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『 は じ め に 音 楽 、 次 に 言 葉 』 を め ぐ っ て

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Academic year: 2021

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(1)

﹃ はじめに 音楽︑次 に 言葉﹄ をめぐって

︱近世音楽思想における﹁声楽﹂の問題︱

武   笠   桃   子

一︑はじめに

イタリア人作曲家である

A

サリエリのあまりられていない作品

楽︑葉︶

Prim a l a m usic a e p oi le p aro le

はじめに

複雑関係象徴的表現している 言葉はそのというであるがこの表題はオペラの内容していると同時オペラにおける音楽言葉

この喜劇オペラは

りであるパトロンである伯爵

1

ものでイタリアオペラがられる様子︑風刺的いたオペラであるあらすじは

4

日間でオペラを作曲するようにわれた作曲家︑台本作家ちかけ

︒﹁

けてくれさらに︑作曲家すセーリア歌手台本作家すブッファ歌手である

4

﹁音

大喜びで舞台成功確信するというものである 登場してプリマドンナのってうがこの二人重唱いのほかいので音楽家台本作家

2

のソプラノ

ここで注目すべきはこのオペラは︑台本より音楽られているということを強調しているにあるまりオペラの題名しているように

Prim a l a m usic a e p oi le p aro le

はじめに音楽︑次言葉︶

ということ

i

(2)

当論文目的︑一八世紀における﹁音楽﹂﹁言葉﹂関係をさぐりながら︑声楽本質きあがらせることにあるここで参照したいのは︑一八世紀におけるブッフォン論争であるこれは表面的にはイタリアオペラと

フランスオペラのどちらがれているのかという論争であったがその優劣根拠にはまさに︑音楽言葉めぐる問題存在していた

そこでまずブッフォン論争概要検討して︑問題言語的特色にあることを確認する︒次この言語的特色する

J

﹁音楽﹂﹁言葉﹂

J

ルソーの主張︑彼有名﹃言語起源論﹄からみていこうとルソーは︑言葉重視する

W

ラーがした﹃音言葉﹄︑指揮者として実際演奏でそれらがどのように解釈されているかをみていくそして

Prim a l a m usic a

ということの音楽的現実していきたいと

二︑﹁声楽﹂﹁器楽﹂分離﹁声楽﹂﹁器楽﹂られているしかしそもそもこれらの区別一六世紀ごろまでは存在していなかった初期キリスト教音楽において︑典礼文朗唱する﹁声楽﹂こそが﹁音楽﹂であり︑﹁器楽﹂重要視されることはなかったつまり︑﹁器楽﹂はそれだけで独立したものではなく︑﹁声楽﹂不可分のものとして存在していたのである一七世紀ってバロック時代えると︑楽器製作技術向上とともに︑次第﹁器楽﹂﹁声楽﹂同等みなされるようになってくる︒器楽可能にした多種多様音色︑音楽表現大幅拡大したバロック

(3)

音楽様式﹁標題音楽﹂ばれるがこれをオーストリアの指揮者であり音楽学者でもある

ルは︑﹁音楽それ自体のためではなく標題表現するために音楽利用﹂することだとべてい

N

アーノンクー

この﹁標題音楽﹂ ii

ばれる音楽においては︑﹁原像﹂して︑﹁言葉﹂わって﹁器楽﹂︑﹁模倣﹂という手法によって﹁原像﹂﹁器楽﹂︑﹁言葉﹂

﹁言葉﹂地位えられたとえることが出来るがまだ﹁器楽﹂自立性めるにはっていな

exp res sio n, Au sdr uc k

一八世紀ると︑表現手法﹁模倣﹂から﹁表出︵︶﹂というたな表現様式へと変化 iii

﹁言語﹂﹁修楽﹂ それまでの模倣的﹁描出﹂決定的いは︑個人的感情﹁表出﹂にあるつまり︑共同体 iv

︑﹁言葉﹂では表現ない人間内奥表現しうるものとしての﹁音楽﹂つまり純粋﹁器楽﹂成立するので

v

C

︑﹁声楽﹂﹁器楽﹂﹁器楽﹂﹁器楽﹂﹁声楽﹂﹁音楽﹂﹁言葉﹂存・

たい

(4)

三︑イタリアオペラとフランスオペラの対立一七世紀半︑当時ルイ一四世えていた宮廷楽長

J

B

リュリによってフランスわれるフランス

来︑フランスオペラの作曲積極的であったが︑古代派ばれる人々からはずしも歓迎されたわけではなかっ

これに近代派︑﹁オペラ﹁悲劇﹂﹁喜劇﹂第三舞台芸術としてえていた︒彼らによれば﹁悲劇﹂︑﹁喜劇﹂精神そしてオペラ視覚・聴覚という感覚満足させることを目的としているの

である一八世紀るとイタリアオペラとの対立からリュリのフランスオペラの評価まることとな

リュリ vi

作中した音楽旋律重視され︑単純かつ明快音楽であるがこの音楽こそがフランス音楽であり︑情方︑

﹁古派﹂﹁近派﹂︒﹂べているつまりフランス音楽古代派︑イタリア音楽近代派ということになるのである

﹁⁝

であることはかですというのは︑音楽わった特別性格をそれにえるので︑歌詞のジャンルもそれに︑︵略︶

ラは第三種類のものであって︑他つからはっきりと区別されています⁝﹂︵﹁グリムててフランスとイタリアの音楽劇

vii

(5)

フランスの哲学者ルソーのこの言葉にあるように︑当時オペラ﹁喜劇﹂﹁悲劇﹂第三芸術ジャ︑﹁﹁喜劇﹂﹁悲劇﹂

時代べてオペラ地位向上︑人々関心まっていたことのしとえよう︑﹁悲劇﹂﹁音楽﹂両者められる題材なるものとなる︒﹁オペラにおいて﹁音楽﹂存在支配的でありそれゆえにこの﹁音楽﹂調和しないような題材されるべきだというのがルソーの主張であ

viii

この議論成立する背景には︑﹁音楽﹂地位向上がある︒一八世紀初頭以前までのオペラにおいては題材優先され︑﹁音楽﹂付随する付属品としての価値しかなかったしかし

J

B

デュボスのように︑﹁音楽﹂

︑﹁﹁音楽﹂

調和するような題材とは︑一体どのなものなのだろうか ﹁音楽﹂題材調和問題顕在化してきたのであるではルソーがめるオペラにふさわしい︑﹁音楽﹂ ︑﹁ ix

︑﹁悲劇﹂﹁人現﹂方﹁︑﹁音楽﹂﹁音楽﹂必要となるその場合︑歌いながらなされる会話内容﹁音楽﹂左右されることとなるルソーは︑歌いな︑﹁音楽﹂ぶことが重要となるルソーはオペラした題材について︑次のようにべている

(6)

﹁⁝贄︑術︑やかな饗宴︑戦いの︑勝利歌︑こうしたものはすべて音楽におあつらえきのものであってそこでは︒﹂︵﹁アの音楽劇

x

面︑唱︑宴︑戦場への出征勝利凱旋などをげているのであるしかしイタリアオペラにおいてはルソーのこれらの

なっているのである︒﹁悲劇﹂言語のみによって成立するが︑﹁オペラ音楽言語両方によって成立している︑﹁悲劇﹂姿えるオペラ本質していたリュリの後︑登場したフランスの音楽家

J

ていく この対立ブッフォン論争﹂ばれる︒次節以降ではルソーの音楽論とこのブッフォン論争﹂について からは支持され︑古代派からは非難されることとなるそしてこのラモーとから衝突したのがルソーであ

P

ラモーはその和声豊かな作風からイタリア音楽的だとして近代

四︑ルソーとブッフォン論争﹂ブッフォン論争とは︑一七五二年にイタリア人作曲家

G

B

ペルゴレージのオペラブッファ﹃奥様女中﹄がパ

(7)

イタリアオペラフランスオペラ派双方ともに音楽家のみなず︑当時思想家をもんで大論争となっ

たがここでは前節れた音楽家ラモーとルソーの対立注目した

リア音楽派していたルソーが批判するにった理由であろうか 存在するがルソーがしていたのはイタリアオペラであるイタリアであると批判されたラモーをイタ 立﹂考察したように︑古代派近代派︑イタリアオペラとフランスオペラそしてルソーとラモーという対立 節﹁ ルソーは音楽する叙述をいくつかしているが︑特にブッフォン論争んでかれたつの書簡における xi

まず︑一七四五年かれたグリムててフランスとイタリアの音楽劇においてルソーは音楽言語調和オペラ本質であるという立場ちながらその調和成立条件として︑旋律的なリュリの音楽

より和声的なラモーの音楽げているこのオペラにおける音楽言語調和んじるれは︑当時のフランス音楽思想主流であったルソー以外思想家たちはリュリのような言語韻律一致した旋律こそがオペ

必要だとラモーのような言語無視して音楽優先するような作風批判されたしかしルソーは︑﹁

音楽によって聴衆情緒喚起させ︑元来滑稽じられてしまうような局面においても︑観客圧倒すること説得力のある舞台成立すると結論づけているのであ

xii

(8)

しかし︑一七五三年かれたフランス音楽する手紙﹄においてはラモーの音楽念頭におきながらようにべている

C ʼ es t do nc un p rin ci pe cer tain & f on dé d an s l a n atur e, q ue t ou te M usiq ue o ú l

︵﹃フランス音楽する手紙﹄一七五三年より 伴奏騒々しいだけでほとんど表現力はないそしてそれこそまさにフランス音楽性格なのである︒﹂ 綿楽︑

d exp res sio n:ce q ui es t p réci sém en t le c ha rac tér e de l a M usiq ue F ra nço ise . ʼ

xiii

rem plie , t ou t acco m pa gn em en t o ú t ou s les acco rd s f on t co m plets, do it fa ire b eauco up de b rui t, m ais a vo ir t rés-p eu ha rm onie es t s cr up uleu sem en t ʼ

格﹂

イタリア音楽装飾的がしい和声多用することで感覚しませるだけの音楽でありリュリの音楽のようなフランス音楽旋律的音楽こそが言語との調和成功しており︑情念れた表現可能にしているというも

のであったしかしルソーはイタリア音楽における低音分厚和音あくまで主旋律しくすため調

ソーは旋律重視従来立場をとりながらも︑主旋律際立たせることに成功しているイタリア音楽和声評価

(9)

︑和声的だからではなくその和声主旋律十分くことなくただ騒々しいだけで主旋律圧倒︑旋律しさをなっているからなのである

ではなぜイタリア音楽とフランス音楽においてこのようないがじたのであろうかルソーによればそれは言語特性によるものなのであるルソーはフランス特性についてのようにべている

On p eu t co nce vo ir des l an gues p lus p ro per s á l a M usiq ue les u ses q ue les a utr es;o n en p eu t co ne vo ir q ui n e le f er - oien t p oin t d u t ou t. T elle en p our ro it et re un e q ui n e f er oit co m pos ée q ue de s on s mixt es, de sy lla bles m uet tes, four des o u n aza les, p eu de v ote les s s on ores, b eauco up de co nso nes &d

d au tres co ndi tio ns es sen tie lles, do nt j e p arlera i d an s l ʼ art ic ula tio ns, & q ui m an quer oit en co re ʼ

art ic le de l a m eas ur e. ʼ

xiv

﹁混音﹂﹁無節﹂︑﹁鼻声﹂︑﹁くような母音もなく﹂︑﹁多くの子音﹂から出来ているのでありこうした言語﹁非音楽的言語﹂であるために旋律

になりないのであるそのために作曲家和声執拗充実させるしかなくなり︑結果的騒々しさしかもたらすことが出来フランスには音楽存在しない結論付けるのである一方︑イタリア特徴についてはのようにべている

Or s

il y a en E ur op e un e l an gue p ro pre á l a M usiq ue , c ʼ

es t cer tain em en t l ʼ

no re, h arm onieu se, & accen tué e p lus q u auc un e a utr e, & ces q ua tre q ua lités s on t p réci sém en t les p lus co nv en ab les ʼ Ita lienn e; c ar cet te l an gue es t do use , s o- ʼ

参照

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