ラ ッ ト小 腸移 植後の移 植 片対宿主病に おける リ ン パ 球 動態お よ び肝病変の検討
金沢 大学 医 学 部 外科 学 第
二
講 座 (主任:
宮 崎達 夫教 授)桝 谷 博 孝
小 腸 移 植術 後 早 期
に
おこ
る急 性 移植 片 対 宿主病(g r a
fト V e r S u S
‑ho s t
d is e a s e
,G V H D)の
際に
, 移 植 片か ら宿主の
体 内に
移 行 した T 細 胞が宿主の
阻 織を認 識し, さ らに
攻 撃 する ま での
変 化を 明確に
する た めに
,ラ
ット
を用い
て, 小腸 移 植 後の
G V H Dに
よ る皮 膚, 小 腸 粘膜 病 変が最 も 顕 著に
見ら れ る移 植 後1 4 日 目の
宿主の
脾臓と腸 間膜リン パ
節な ら びに
血液 中に
浸 潤 あるい
は遊 走 する T 細 胞 分 画の
比 率を G V H D 群と免疫 抑 制 剤 (F K‑5 06) 投 与 群で
比 較検 討し た. その
結 果, 浸 潤し てい
る T 細胞の
うちヘル パ
ー T 細胞の
し め る割 合は, 平 均し て脾 臓で約6 6% , リン パ
節で
約6 6% , 血中で約7 3% とい
ずれもヘル パ
ー T細胞が優 位で
あった. ま た肝臓の
血管 内 皮 細 胞に
リン パ
球が接 着 する現 象と肝 臓の
細胆管に リ ン パ
球が浸潤 する現 象は G V H D 群で著 明で あった が, 免 疫 抑制 剤 投 与 群で
は明ら かに
抑 制さ れ てい
た. し た がって,F K‑5 0 6 は宿主抗 原の
認識を抑 制 する事が 示 さ れ, 急 性 G V H Dに
よ る宿 主の
攻 撃が最 も 著 明な時 期に
も 宿主抗 原の
認 識は続い て い
るもの
と考え られ た. すな わ ち, 小 腸 移植に
おい
て は移 植 片 由 来の リ ン パ
球に
よ る宿主抗原の
認 識, 攻撃ほ 一連の
反 応で
はなく, 同時に
進 行する反 応で
あるこ
と が 示 さ れ,脾 臓と
リ ン パ
節お よ び肝 臓に
お け る変 化は, 臨 床 小 腸 移植に
おい て
も 急 性 G V H Dの
診断, 治療の
指標と な る と考え ら れ た.K
e
yw o r
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l tr a n s
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tio n
, gr a
ft‑V e r S u S
‑ho s
t dis e a s e
,1ym
pho c
y te s u
be
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pa
tic
l
e s
io n
, F K‑5 0 6近 年, 短 腹 症 侯 群
の
症 例を対 象に小 腸 移 植ま た は肝・ 小 腸 同 時移 植が行な わ れ てい
る‑ ). 小 腸 移 植に
おい
て は移 植 片 中の
リン パ
組 織に
含まれる移植 片 由 来の リ ン パ
球が宿主の
肝 臓や皮膚 等を標 的 臓 器と し て障 害 する移 植 片 対 宿主病 (g r a
ft
,Ve r S u S
‑h
o s t
d is e a s e
, G V H D) が発 生 する 可能 性がある. G V H D ほ 一 旦 発 症 する と致 命 的となる. し た がって, その
予防の
た めの
免疫 抑 制 剤や抗リン パ
球 抗 体の
投 与が必 要で
あり, 免 疫 抑 制 剤の
効 果判 定と抗リン パ
球 抗 体の
投 与 時 期の
決 定な ど を 可能に
する た めに
は, 宿主の リ ン パ
系臓 器や肝 臓 等の
生 検しやすい
臓器の
移 植 後 早 期の
変 化を 正確に
把 握 するこ
と が 必要と思わ れ る. し か し, 急 性G V H Dの
際の
移 植 腸 管か ら移 行し たリ ン パ
球に
よ る 宿主の
組 織 抗 原の
認 識お よ び宿主組 織への
攻 撃が移植 後どの
よ う な時 期に
起こ
るの
か, ま た そ れ ら が 同時に
起こ
るの
か別々 の
時期
に
起こ
るの
か は十 分に
明ら かに
さ れ て ほい
ない
. そこ で
, 小腸 移 植 後に
発 生 する急 性 G V H Dの
際の
宿主臓器に
おける リン パ
球 動 態を明ら かに
するこ
と を 目的に
,ラ
ット の
小 腸 移 植後の
G V H Dの
際の
宿主の
脾 臓と腸 間 膜リン パ
節に
浸 潤 する リン
パ
球 分 画を免 疫 鼠 織 染 色に て
分 析し, さ らに
, 標 的臓器 である 肝 臓に おける移 植 後 早 期の
変 化を免 疫 抑 制 剤 投与 群と非 投 与群 と で比 較 検 討し た.材 料 お よび方 法
Ⅰ. 実 験モ デ ル の作 成
体 重25 0 〜3 0 0
g の
雄 性ル
イス
系ラ
ット
を ドナ
ー と し, 同 条件の ル
イス ×
ブラ
ウン
・ノ ル
ウェ ー Fl をレ シ ピ
エン ト
と し て 用い
た. ドナ
ー とレ シ ピ
エン ト
は共に
術 前の
絶 食は 2 4時 間と し,麻 酔ほ
ベ ン
トパ ル
ビタ
ール の
筋 注に
よ り行なった. 移 植 手技ほ すべ
て手術 用顕 微 鏡を用い て
行なった.1 . ド
ナ
ー 手 術移 植 片と し
て
空 腸起 始 部よ り 回腸 末 端まで の
小 腸を 上勝 間険 動 脈 根 部の
上下の
大動 脈(腹腔 動 脈か ら左 腎 動 脈ま で ) を動 脈 茎, 肝 門 部まで の
門脈を静 脈茎と して
切 離し た. 移 植 腸 管の
内 腔ほ 2 0m
lの
冷 生 食を緩 徐に
注入 して
洗 浄し, 腹 部 大 動 脈 内に
刺入 し た注 射 針よ り 1 0
m
Iの
ヘパ リ ン
加冷 生理食塩水 を緩徐に
注入 して
潅 流し た後摘 出し た.2 .
レ シ ピ
エン ト
手術M
o n c
h ik‑Rus s e
ll 法2 一に
準じ た異 所性全小 腸 移 植を施行し た. 移 植 片の
動 脈 茎は末梢 側を結 集し, 中枢 側をレ シ ピ
エン
トの
腹 部 大 動 脈(右 腎 動 脈の
末 梢)に
端 側 縫 合し, 静 脈茎ほレ シ ピ
エン ト の
下 大静 脈 ( 右 腎 静脈の
末梢)に
端 側 縫合し た. 移 植 腸 管の 口
側ほ結 致し, 肛 側ほ右 腹 壁に
縫 合して
腸 療と し た. 術 直 後の
水 分 補 給の
目的で, 閉腹 時に
約2 0m
lの
生理食 塩水を腹 腔 内に
注 入 し た.3 . 術後 管 理
移 植 後2 4時 間は水 分
の
み経口
摂取可 と し, そ れ以降は術前と 同 様の
固形 飼 料を与え た. 抗 生 物質は投 与し な かった.Ⅱ. 実 験 群
実 験 群を以下
の
3群に
分 けた.平 成5 年1 1月1 6 日受 付, 平 成5 年1 2月2 4 日受 理
A b b
r e v
ia
tio n s :
G P T , glu
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mic
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min a s e
; G V H D, gr a
ft‑V e r S u S
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in
; H P F, high po w e r
fie
ld; M H C,m a
jo r
his
to c o m
pa
tibilit yc o m
ple x
1 . G V H D 群(
n
=8 )移 植 後 免 疫 抑 制 剤を投 与
せ
ず, 術 後1 4 日 冒に
犠死 さ せ た. 2 . F K 群 (n
=9)移 植 直後か ら 0.3 2
m g
/kg の
F K‑5 0 6 (F R 90 0 5 0 6, 藤 沢 薬 品工 業, 大 阪) を連日筋 注し, 術 後1 4 日 目に
犠死 させ
た.3 . 対 照 群 (
n
= 7)開腹 術
の
み を施 行し, 免 疫抑 制 剤を投 与せず, 術後1 4 日 目に
犠死 させ た.
Ⅲ. 検 査 項 目お よび 方 法 1
∴
組織 標 本の
作 成レ シ ピ
ェソ ト
は下 大 静 脈か らの
採血に
よ り脱血 死 さ せ,レ シ ピ
エン
ト側の
腸 間 膜リ ン パ
節, 脾 臓お よ び肝 臓を摘 出し, リン パ
節ほ単 離し肺 臓お よ び肝 臓は約3m m
厚さに ス ラ
イス
して
!い
ずれも0 ℃の ア セ ト ン に
てすみ や かに
固定し た, 約1 2時 間の
固 定の
あと, A M E X 液3 )に
て処 理し た.2 . 阻織 標 本
の
染 色組 織 標 本を脱
パ ラ フ ィ ン
化し, 水 素 化ほ
う 素ナ
ト リ ウム
, 過 よう 素 酸, 過酸 化 水 素 加メ タ ノ
ール に
よ り内 因性ペ
ロキシ
ダ ーゼ
を十 分に
抑制した後, 以下の
リン パ
球表 面 抗 原に
対 するモ ノ ク
ロ ーナ ル
抗 体 (Se r o t e c
. Ox
fo r
d, En g
la n
d)4 }を用い
てア
ビ ディ ソ
・ビ
オチ ン
複 合体 (a v
idin
b io t
in c o m p
le x
,A B C) 法3)に
よ り免 疫 組 織 染 色し た.B
F i
g
.2. M ic r o s c
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he s
kin
. A . Gr a
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‑V e r S u S
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(G V H D)m o
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liu m
. B′∴
■Im r n u n o s u p p r e s s e
dm o
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l. A lm o s t n o r m a
lc D n S t ∫u C t
io n
・in p r e s e r v e
d. 11) W 3/2 5
ラ
ッ トの
ヘル パ
ー/イン
デ ュ ーサ
ー T 細 胞の
表 面 抗 原 2) O X 8ラ
ット の サ
イ ト ト キシ
ック
/サ
ブレ
ッサ
ー T細 胞の
表 面抗 原 3 . 組 織 標 本の リ ン パ
球 比 率の
測 定脾 臓
の
T 細 胞 領 域で
ある動 脈 傍リ ン パ
観 織 鞘, 腸 間膜リン パ
節の
T 細 胞 領 域である傍 皮 質 領 域, 肝 臓の
門 脈 域に
おける全リン パ
球 数と W 3/2 5 な ら びに
0 Ⅹ8 陽 性 細 胞 数を光 学 顕 微 鏡で 4 0 0倍 拡 大 時の
一 視 野 あた り で計 測し, さ らに
全リ ン パ
球に
対 する W 3/2 5 と O X 8 陽 性 細 胞の
比 率を計 算し, G V H D 群と対 照 群とで
比 較し た.4 . 肝 病 変
の
検 討G V H D 群と F K 群
の
血管 壁への
リン パ
球 接 着 所 見お よ び小 阻 管壁への リ ン パ
球 浸 潤所 見を比 較し たt 9 卜 2 7)1) 血管 壁へ
の
リン パ
球 接 着 (e n
do t
he
lia
lit
is
) 所 見レ シ ピ
エン ト の
肝 臓の
一切 片 あた りの
門 脈 枝, 肝 静 脈 枝の
う ち,リ ン パ
球の
接 着を認め る 血管 数(a
), そ れ らの
血管に
接 着して い
るリ ン パ
球の
総 数( b) を計 測し, 平 均 接着 細 胞 数 (b/a
) を 求め た.2) 小 胆 管 壁へ
の
リン パ
球 浸潤 (e m p e r
ip o r e s
is
) 所 見レ シ ピ
エン ト の
肝 臓の
一切 片 あた りの
直 径1 0 0 〜2 0恥の
小 胆 管数 (c
) と, そ れ らの
う ち一 個 以上の リ ン パ
球が 上皮 層 内に
浸 潤して い
る胆 管の
数( d) を計 測し,リ ン パ
球 浸潤 率( d/c
) を 求め た.5 . 血液 標 本 作 成 法
全血中
の リ ン パ
球 比 率 測 定 用に
術後3,7
,1 4 日 目に
尾 動 脈よ り約2m
l 採血 し た. ま た, 血液 生 化 学 検 査用に
, 屠 殺 時に
下大 静 脈よ り約1 0m
l 採血 し, 3 0 0 0 回転で
1 5分 間遠心分 離し, 血清 を ‑8 0 ℃で
凍 結 保 存した.1) 全血中
の
リン パ
球 比 率 測 定採取し た 血液 中
の
全リン パ
球に
対 する W 3/1 3, W 3/2 5, O X 8 陽 性 細 胞の
比 率を,フ
ロ ーサ
イト メ ト リ
ーF A C Sc a n
( Be c t o n
D ic
k in s o n
,Sa n
Jo s e
. U.S.A.)に て
測 定し た.2) 血液 生 化 学
血清 中
の ア ル
ブミ ン
を ブロモ ク レ
ゾ ール
グリ
ーン
( br o m o
‑3 凌 慧 6 ア 1 0 t l
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. A. Co n t r o
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,B C G) 法5 ), 総ビリ ル
ビン
をア ル カ リ ア
ゾビ
リル
ビン
法6), グル タ ミ ン
酸ピ ル
ビン
酸トラ ン ス ア ミ ナ
ーゼ
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lu t a m
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ic t r a n s a
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,G P T) を紫 外 線 吸 光 光 度 分 析 (u
lt r a v
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‑ le t
, U V) 法7}( ド イツ
臨 床 化 学 会 (Ge r m a n
So c
ie t y o
f C lin
ic a
lC h
e m
is t r y
,G S C C) 法 準 拠) を用い
て測 定し た.Ⅳ. 統計 学 的検 討
測 定 値ほす
べ て
平 均 値土標 準偏 差であら わ し た. 測 定 値の
比 較は St u
de n t
'
s t
検 定を 用い
, 危 険 率5 % 未満をもって有意 差 あり と し た.成 績
1 . 肉 眼 的 変化
G V H D 群
の
小 腸 移 植後1 4 日目で ほ1 脱 毛, 湿 疹 等の
皮膚 変 化 と下 痢に
伴う体 重 減少が著明 であった( 図1).2 . 皮 膚
の
顕 微 鏡所 見G V H D 群
で
は, 上皮 層への
著 名な リン パ
球 浸潤, 上皮細 胞の
空砲 変 性を認め たの に
対し, F K 群で
は そ れ らの
変 化ほ見ら れ なか った( 図2).3 . 免 疫 臓器
の
変 化G V H D 群
の
脾 臓は著 名に腫 大し, 平 均 重 量ほ 正常 動 物の
約 3倍であった(図 3 ).レ シ ピ
エン ト の
腸 間膜リ ン パ
節 も 同様に
腫 大し, 鼠 織 学 的に
ほ, リン パ
ろ胞の
消 失お よ び T 細 胞 領域で
F i
g
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ls o S e e n
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g
.5 Aある傍皮 質 領 域
に
おける著 明な リン パ
球 浸潤を認め た (図4). 肺 臓の
T細 胞 領 域である動脈 周 囲リ ン パ
組 織 輪に
おい
ても 著 明 な リン パ
球 浸 潤 所見が認め ら れ た.4 . 紅 織 標 本
の リ ン パ
球比 率 1) 腸 間膜リ ン パ
節の
リン パ
球 分 画腸 間膜リ
ン パ
節の
傍 皮 質領 域の
強 拡 大一 視 野 あた りの
全 細胞ヽ畷
覧‥ 曽ギミさ土ニミ妄
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