『
陀 羅 尼 集
経
』
の
普集
会
曼荼羅
に
つ い
て
駒
井 信 勝
0
は じ めに『陀 羅 尼集 経』 は 阿 地瞿
多
が永徽4
(653
)年に 『金剛 大 道 場 経』 か ら一部を 取 り出 し12
巻に集成 した もの とされ、 各 巻 に そ れ ぞ れ別の 経 典が説か れ て い る。 その 内容の多
くは現世 利益 を目的と した成就法
で あり
、 そ れ を達成す
る為
の真
言 や 印 や儀 礼が幾つ も説 か れる。 『陀羅 尼 集 経』 は全体
と して対
応 する梵
本は確 認 されてお らず、 中 国におい て集成さ れた もの と 一般に理解
さ れて い る1)。 しか し、 頼 富本 宏 氏の 指 摘 通 り全 く中 国撰述で ある と言う
こと は出
来 ない1i)。 また、 佐々 木 大樹 氏 に よっ て 『陀 羅 尼 集経』 の 中の経 典の幾 つ かの 異 訳経 典が確 認さ れm) 、 先 行 する異訳経
典との 間で 訳語の 一致
、 主要 述 語 に お け る一貫 した改変、 儀 軌 ・実 践部 分の増 広等
の事
柄より 厂経 説」 と 「儀
軌」 が別々 にあ り、阿地瞿多
が編 訳 したの で は との報告 をされて い るi・) 。 例 えば、 第4
巻の 『十 一 面観 世音 神 呪 経』 を他の 異 訳経 典 と比較す
る と、 七 日作 壇 法 によ る灌頂
儀 礼が説
か れ るの は 『陀羅
尼集経
』 の み で ある し、第
10
巻の 『仏 説摩利 支天 経』 も 同様
に、 異訳経 典の中で灌 頂 儀 礼が説か れ る の は 『陀羅尼集
経』 の み で ある・) 。 先 学 達の研 究に よ り、 個々 にイ ン ドに於 い て成立 した経 典がr
陀羅 尼 集経』 とし て ま とめ られ た とい うこ とが考 えら れる で あろう
。また、 『陀
羅
尼集経
』 の 「儀 軌
」 の部
分に関 して は、 全体
を通 して共 通 す る部分
が少な くない 。特
に、各
巻に説か れる幾つ かの儀 礼が第12
巻に集め ら れてい る こと は興 味 深い 。 『陀羅 尼 集 経』 には七日作 壇 法に よ る灌 頂 儀 礼 が二箇所に説か れる。 一 つ は第4
巻の 「七日供 養 壇法
」、 もう
一つ は第
12
巻 『仏 説諸仏大陀 羅尼都会
道場 印品』 で あ る。 第12
巻の七 日作 壇 法に よる灌頂
(57
)NII-Electronic Library Service 智山学報第六 十一輯 儀
礼
の枠組
み が、第
4
巻に説か れ る 「七 日供養
壇 法」 の灌 頂儀 礼と 一 致 し、 それにその他の巻 に説か れ る儀 礼 を挿 入 し た形である こ と を 以前 に指 摘 し たv1) 。 そ して、 第12
巻 『仏 説 諸 仏 大 陀 羅 尼 都 会 道 場 印 品』 の七 日作 壇 法に よ る灌頂 儀礼の 中で用い る曼 荼 羅は 、 既 に佐 和 隆研 氏が 述べ てい る如 く 『陀羅
尼集経
』前11
巻 まで に挙
げてい る諸尊 を集
め て構
成 さ れて い る と考
えら れるVll) 。 つ ま り、 『陀羅尼 集経
』 は ただ個
々 の経典
を寄
せ集
め たの で は な く、 全体
の構
成か ら何か し らの 目的があるよう
に思 わ れ る。 即 ち第
12
巻の 都 会 壇法
の 編纂
で あ る。 その 曼荼
羅が どの よう
に成立 し た か、 『陀羅尼集
経』 全 体か ら考えてい くこ と とする。1
第
4
巻
の曼荼
羅『陀羅
尼 集経
』第
12
巻
の 七 日作壇法
が、第
4
巻
の 「七 日供養壇法
」 の 七 日 作 壇法
の 枠 組み の 上に成 立 してい る こ とは上 で述べ た通 りで ある。 第12
巻 に説か れ る儀 礼が第4
巻 か らの発 展であ るのな ら ば、 曼荼
羅につ い て も共通 する部 分が見 られる はずである。 『陀 羅尼 集経』 には 全体 に渡 り多
くの造 壇 法が説か れ てい る。 その 中に は今 回取 り上げる曼 荼羅の如 く整 備 されつ つ あ る もの も多
い 。 本 来はその 全て を考 察 しなけれ ば な ら ない 。 特に第12
巻 の曼荼羅
は、 中尊が帝殊 羅 施 か 或い は行 者の 任 意の仏 菩 薩で ある。 第1
巻の 「金剛
地印法
」 には、 同じく帝殊羅
施 を中尊
とし東
方に仏頂系
の 尊 格、 北 方 に十一面等の観 音 系の尊
格、 南方に金 剛 蔵等
の金 剛系
の尊
格を 配置 する三 重 の 曼荼 羅 が あ り、 第12
巻の曼荼 羅 と共 通 する部 分が多
い 。 また 、第12
巻の 灌頂 儀 礼で諸 仏の 萬行 功 徳を讃 嘆する偈が第1
巻に説か れ る等 無視 する こ と は出来
ない 。 しか し、紙 数
の都
合 に より今
回は第
12
巻の 一番
の 基 盤である第
4
巻
の 曼荼
羅 と比較
したい 。 そこ で 、先ず第
4
巻の 「七 日供養壇法
」の 曼荼
羅 を確
認 してい く。 (図1
参照)第
4
巻 『十一面 観世 音 神 呪経』 の曼 荼羅は 、 十 一 面 観世 音を中尊
とする二 重の 曼 荼 羅で ある。 先 ず 十一面 観 世 音の 上方 (東方 )を見て み る と、 内 院は 十 一面 観 世 音の真上 に 阿 弥 陀 仏 、 阿弥陀の 右側 (北方)に釈 迦 、 反対側 (南方 )に (58
) N工工一Eleotronlo Llbrary『陀羅尼 集経』 の普 集会 曼荼羅につ い て (駒井) 般 若 波 羅 蜜が安 置 され る。
東方外
院は 、北方
よ り南 方
にかけて曼 殊 室 利 菩 薩 ・弥勒菩薩
・栴檀 徳
仏 ・阿 闕仏 ・相 徳
仏 ・普
賢菩 薩 ・月天 ・虚 空蔵 菩 薩が 配置さ れる。 阿 弥陀 ・釈 迦 ・栴 檀 徳 仏 ・阿闕 仏 ・相 徳仏等
、 この曼荼
羅曼で は東 方が仏 部とい うことに なる。 なお こ こに月天 がい るの は 、 西方
の 日天 と の対比 によるもの と思わ れ る。 次に十 一面観
世音
の右 側 (北方)を見て み る と、 内 院は真
中に大勢
至菩薩
、大勢至
の東 方
に馬頭観
世音
、 西 方に観 世音 母が 配 置さ れ る。 外 院は東 方 よ り西方
に向
か っ て 、摩
訶 税多
(大 白觀世音)・摩訶 室 蜊 曳 ・随心観
世音
・一瑳
三跋底
・阿牟伽 蟠
貽 (不空羂 索 )・芯倶 致 ・毘摩羅末
知
と観音系
の菩薩
が列 座 して蓮華 部 を形 成 して い る。十
一面観
世音
の左
側 (南方)を見て み る と、 内 院は 中央
に 金 剛 王 、 その 東 方に金 剛 母 (摩麼難)、 西 方に跋 折 羅母 瑟知が 配 置 さ れ る。 外 院は東 方 よ り西 方にかけて、 火 頭 金剛
(烏樞 沙摩 )・尼 藍 婆 羅陀 羅 (青金 剛)・母 噌 陀 旺伽 ・蘇
幡斯
馳 迦羅
・素婆休
(金 剛兒)・央 鳩尸 ・跋
折羅商
迦 羅が列 座 して金 剛 部 を形 成 して い る。最後
に曼
荼羅の西方
をみ て み る と、内
院の 北 方に毘 臚 陀迦 (増長天)、南 方
に提
頭頼
旺 (持 国天)、外
院は北 方よ り南 方に一切 龍王 ・地 天 ・毘沙 門王 ・毘 噌 博 叉天 王 (広 目天)・口天 ・摩
利支
の川頁に列座 して い る。 内 院の西 門 を四 天王で 囲 む よう
に して守護
し、周 りにその他の諸 天 を配 置 して この 部分
は形
成されてい る。 そ して外 院の 四 隅に二 跋 折 羅が安置
され る。 この 曼 荼羅は右 辺 (北方)に観 音 系の 諸尊
、 左辺 に金剛系の 尊格を配 置 し、 西方に諸天 を集
め 、東方
に仏 ・菩薩
を配置し た構 造で ある典 型 的 な三部形 式の曼荼羅
とい える。2
第
12
巻の曼 荼羅次
に第
12
巻
の 曼 荼 羅が、 第4
巻の 曼荼 羅 を基に成 立 してい るこ と を確
認 したい 。 この2
つ の曼荼羅
を対
比 してみる と、 第4
巻の曼荼 羅
と第
12
巻
の曼荼羅
はお お よそ同 じ構
造を とる もの とい える。 (図2
参照 )曼荼羅
は 三重で、 中尊が帝殊
羅施
か或は行者の 任 意の 尊格 と説か れて い る。 内 院は東方
の中央 に般 若 波 羅蜜多
、 その北方
に釈 迦牟 尼 仏、 南 方に 一切仏頂仏 が 並 ぶ 。 内 院の 北方
は中央
に大 勢至 菩 薩、 その 東 方に観
世音
菩 薩、 西 方に観 世音 母が並ぶ。 (59
)NII-Electronic Library Service 智山学報 第六十一輯
内
院の南方
は中央
に金剛羅闍
、 その東方
に摩麼難
、西方
に摩帝
那の 三尊
が並 ぶ。内
院の残 りは、 西方
の 門の北方
に弥勒菩薩
、南方
に普 賢菩薩
の二尊
が配 置さ れ、 四 隅は北 東 ・南 東 ・南 西 ・北 西の 順 に阿 舎 尼 ・跋 折 羅 蘇 幡 悉地迦 羅 ・跋 折羅 健 荼 ・火神が安 置され る。 二 重の 東 方は中央に阿弥 陀仏 、 その 北方
に 阿闕佛
・栴檀
徳 仏 ・十 方一 切 仏 ・曼 殊 室 利 菩 薩、 阿 弥 陀の 南 方に相 徳 仏 ・虚 空蔵 菩薩
・烏
瑟尼沙
・十方
一切仏頂
が並ぶ。 二重の 北方
は中央
に随 心観
世音
、 その 東 方に 一瑳三跋 底 ・不 空羂 索 ・馬 頭観
世音
・地蔵菩薩
・陀羅
尼 蔵 、 西方に摩訶 室 喇 曳 ・六臂観世音 ・毘 倶 知観
世音
が並ぶ 。 二重南方
は中央
に蘇摩
訶、 その東方
に跋
折囃央倶 施 ・跋 折 囃 母 瑟知 ・跋折vaPE
訶娑
・烏
樞沙
摩 、 その西 方に 跋 折 鑼商迦羅 ・迦 濔 倶 臚 陀 ・隨 心金剛 ・跋折 囃 阿蜜哩多
軍 荼 利が 並ぶ 。 二 重の 西方
は、 門の 中 央 を避 け 門の 北 方 に摩 醯 首 羅 ・母 欝 陀 旺怯
・毘 梨觀 喇知が 並 び 、南 方に烏
摩地 毘摩 ・尼藍 跋 羅 ・一切天 が配 置さ れる。 そして 、北東
に婆翕
毘伽、 南 東に母 欝 陀 旺怯、南
西 に迦尼倶嘘陀
、北 西に跋
折 囃 室哩尼
が安置
されて い る。最外
院は一周にわ た り諸 天 が安 置 され る。 こ の構 造は第4
巻に非 常に近い 構造 を もっ て お り、 東 方に 仏部、 北方に蓮華 部、 南 方に金 剛部、 西 方に諸天 を配する三部
形式の 曼 荼羅 とい える。 (60
) N工工一Eleotronlo Llbrary『陀羅 尼集経』 の 普集会 曼荼羅 につ い て (駒井 ) 図
1
『陀羅尼 集経』第 4 巻 「七 日供養壇法 」の曼 荼羅 東 曼 彌 栴 阿 相 普 月 虚 殊 勒 檀 閤 徳 賢 天 空 室 菩 徳 佛 佛 菩 藏 利 薩 佛 薩 菩 菩 薩 薩 釋 阿 般 迦 彌 若 牟 陀 波 尼 佛 羅摩訶税多
佛
蜜
摩 訶室喇 曳
多
隨心 觀世音
馬 頭 觀 世音
±
金剛母 北 一
x
三跋底鑼 大勢至籠窺
銅 王阿牟伽幡畭 觀世齶
書
跋擺 聡 知 芯倶致 毘摩羅 末知 毘 嘘 陀 迦 毘 沙 門 天 王 提 頭 頼 切 龍 王 地 天 火頭金剛 尼 藍婆羅 陀 羅 母噌陀 旺 伽 蘇 幡斯馳迦羅 南 素 婆休 央鳩 尸 跋 折羅商 迦羅 毘 噌 博 叉 天 王 摩 悧 支 日 天 西 (61
)NII-Electronic Library Service 智山学報第六 十一輯 図
2
『陀羅尼 集経』 第12
巻 「普集会曼荼羅」 北 随心觀世音 東 阿 彌 陀 佛難
羅 蜜 多 帝 殊大 勢 至 菩 薩 羅 施 西 金 剛 囃 闍 蘇 摩訶 南3
第
4
巻と第12
巻の曼 荼 羅の共 通点こ こで、 二 つ の
曼荼羅
に共 通 する内院と二 重の尊格
をみてみ たい 。 第4
巻 の 曼 荼 羅 を構成
する尊格
と、第
12
巻の 曼 荼 羅 を構 成 する尊格
を対
照す
る と 以 下の如
くである。 (62
) N工工一Eleotronio Library『陀羅尼集経』 の 普集 会曼 荼羅につ い て (駒 井) 第四巻 第十二巻 備考 中尊 十一面観 世音 帝殊 羅施 内 院 「 } 叩 灘 隅滞跚
靆
阿 弥 陀 に変わ り 一切 仏 心 仏 東面靉
覊 繕蠶
覊攤
1
が 配 置 さ れ る 阿弥陀仏 一切仏心仏 二重灘
糶
弥勒 ・普 賢 ・月天 が 移動 し 東面驪
靉 鼕
:齷
て 、 阿 弥 陀 と仏 頂 系の 尊 格1
鑼
灘
が 配置さ れ る。覊
難
驪
雛
弥勒菩薩 十方一切佛 普 賢菩 薩 阿弥 陀仏 月 天 鳥瑟尼 沙 十方一切 仏頂 内院 馬頭観世音 観 世音菩 薩 馬 頭 に変わ り観世音が配置 北面纏
鑼
さ れ る。i
灘鏤韆
1
覊 鑛
驪
二重 摩 訶 税多 (大 白觀世音 ) 陀羅尼蔵 第4
巻に近い 構 造 を持 ち、 北面鑼
糶 鑼
新た に 地蔵 ・馬頭 ・六臂 観攤
灘
世 音 ・陀 羅尼蔵が 配 置 さ れ き靆
1
る。 溶 齢繍麟纖 賺
h 曲 F鑽
韈 攤
、 毘 摩羅末知 地蔵 菩薩 馬頭観 世音 六臂觀世音 内院靉 攤
季碼 げ n ψ奪 i 蔭 , 跋折 羅母 瑟 知に変わ り摩 帝 南面鸚
_ 圃r 「 」 髄 } 那 が 配 置 さ れ る。 跋折羅 母瑟知 摩帝那 (金 剛使者) 曝 曜 串 憂 二 重 ・1
灘
・灘
第4
巻に近い 構 造を持 ち、 南面 尼藍婆 羅陀羅 跋折囃1
旡訶 娑 新 た に 跋 折 羅 母 瑟知 ・迦禰邏
灘
倶嘘陀 ・隨 心 金剛 ・跋折 囃 撒 ‘ 陣 毛r溺舐 厂 需一
阿蜜哩多軍荼利が配 置さ れi
靆
灘 轗
る。黶
嬲
(63
)NII-Electronic Library Service 智 山 学報 第六十 一輯
鑞
魏
蠶
跋 折囃母 瑟知 (金 剛兒) 迦禰 倶噫 陀 隨 心金剛 跋 折曜 阿蜜哩多軍茶利こ の よ
う
に多 く
の尊格
の一致
が見
ら れ る。 なお、 第4
巻の 曼 荼羅に配置 さ れ る月天 ・摩 利 支 天 ・日天 ・地 天は、第
12
巻
の曼荼羅
で も第
4
巻
の時
と等
しい 位置
の まま配さ れる。次に、新た に
参
入 し た尊
格 と、 その尊
格が 『陀 羅 尼 集 経』 前11
巻の 中に 説か れて い るこ とを確認する。 第4
巻の 曼 荼羅 に配 置さ れず、第12
巻 に な っ て参
入 した尊格
と その典
拠は以下の 如 くである。 帝首 羅施 尊格が説か れる箇 所 巻 大正蔵 備考 帝殊羅施金輪佛頂心法印呪第十四1790a
金 剛地 印法1794b
曼荼羅の中尊と して 一切 仏心 仏 一 切仏 心印呪第六2796c
一切 仏 心 印 呪第七2797a
十方一切仏頂 菩 婆菩 陀烏瑟膩 沙 印呪第一2
796a
観世音菩 薩 仏頂 法1785c
仏 頂 ・観音 ・金 剛 蔵の三尊を建立 す る 金 剛 地印法1794a
多 くの観 音が説か れ る 阿弥陀 座 禅印第四2801b
阿 弥 陀 ・観音 ・大勢至 を請喚 観世音 護 身印第七〜4817b
以下第4
巻の 印呪の多 くは観 音系。 但 しこ こ で の観音は 十一面の可 能 性 が あ る。 〜観世音 君馳 印呪 第四十五4823c
千転観世音菩薩心 印呪第一5825c
持一切観世音菩薩三昧印呪第五5827a
(64
) N工工一Eleotronlo Llbrary『陀羅尼 集経』 の普 集会 曼荼 羅につ い て (駒 井) 画観世 音菩薩像法
5828a
観 世 音菩 薩の画 き方 文殊菩薩法 印 呪 第三6839a
文殊 ・普 賢 ・観音が画かれ る 地蔵菩 薩 金 剛 地印法1794b
曼荼 羅の一尊 と して 地蔵菩 薩法 身印呪第六6839c
地蔵菩 薩印第七6839c
摩 帝那 跋 折囃 母瑟羝法 印呪第二 十二7845b
こ の 印呪 、金剛兒法 ・使者 法 ・摩 帝那 法 とい う 跋折maJE
訶 婆 跋折囃 旺 訶婆身印 呪第一8859a
跋折 囃眤訶 婆 印呪法と して 跋折 囃1
壬訶 婆大呪第五8859a
跋折 囃旺訶 婆 印呪法と して 迦濔倶 嘘陀 仏説金 剛蔵大 威神力三昧法印 呪 品第一7841a
金剛蔵菩 薩の 十四眷属 跋 折 嘱 迦 尼矩 贐 駄 と して 随 心金剛 金剛地印法1794a
曼荼 羅の 一尊と して 金剛随 心 身法 印呪第四 十一 〜7849b
金剛随 心療一切難伏鬼 大法 身 印第四十八7850b
金剛随 心大瞋 法身印 第五 十7850b
金剛随 心大悪都 身印 第五 十二7850c
金剛 阿 蜜 哩多軍 荼利 金 剛地印法1794a
甘露軍荼利辟除尾那夜迦法印真言3810a
金剛蔵軍荼 利菩 薩i
自在神 力法 印呪品8852b
軍荼利香鑪 法 印呪第一〜8852b
軍 荼 利使者 法印呪 第二十七8856b
(65
)NII-Electronic Library Service 智山学報 第六十一輯 軍 荼利金剛受法 壇
8856b
軍 荼 利 金 剛救病法壇8857c
以上 が内 院と二 重 に配 置され る尊 格の 中で 、 第12
巻の 曼 荼 羅にな るこ と に よっ て参
入 した尊格
であ
る。 その多
くを 『陀 羅尼 集 経』 前11
巻に求め る こ とが出来る。4
尊 格の 移動次に、 第
4
巻の 曼 荼 羅か ら第12
巻の曼荼 羅に至 っ て移動 した尊格
を確
認 して い く。 先 ず 中尊は十 一面 観世 音か ら帝殊 羅施 に変 化 した 。帝
殊 羅施
を以て之 を座 主 と為
せ 。 中心に当た りて大 蓮 花座 を敷 け。 座の主 は即 ち是 れ
釈
迦如
来の 頂上の化仏
なり
。仏頂
仏 と号す
。如
し其れ仏 頂を以て 主と為 さざれば、 意の 念
ず
る所
の諸仏菩 薩
に隨い て位 を替 うる こと も亦 得。 其の座 主 を除 きて 以
外
の諸
仏 及 び菩薩等
は、皆本位
に在
りて供 養 を
受
く。 自より諸仏般 若 及び十 一面等の 菩 薩の相 替る に非らず
。余
は皆 得 ずして都 会法壇 の主 と作すviii) 。
とあ り、 釈 迦仏 頂たる帝 殊 羅
施
を曼荼
羅の 中尊とする こ と を説 く。多
くの曼荼羅
は中尊 が決 まっ てい て、 その尊
格に合わ せ て諸 尊
の 配置
が あるように 思 わ れ る が、第
12
巻の 曼 荼 羅は帝殊 羅施以外
に も行者
の随意
の 仏菩薩
を中 尊に変え るこ と が 出 来 るとも説か れ てい る。 恐 ら く多
くの仏菩薩
やその儀礼
が成立 して 来た中で、 あらゆ る場 面に対応 出 来る教 科 書 的 な役割
をこ のr
陀
羅尼 集経』 に負わ せ ようと したの で あろう
。 ま た 、帝殊 羅 施 以外の 仏 菩 薩 を 中尊
とす
る場合
の 例と して十一面観 世 音の名を出 してい る。 これ は第
4
巻の 曼 荼 羅の中尊
が十一面観
世 音であっ たこ とか ら、第12
巻 の曼 荼 羅が第
4
巻 の 曼荼
羅を継承
して い る と言 える。内 院東 面は、
第
4
巻
は釈
迦牟
尼 ・阿 弥 陀 ・般 若 波 羅 蜜多
、 第12
巻は釈
迦 牟 尼 ・般若 波 羅 蜜多
・一切仏 心 仏頂
である。 第12
巻で は 阿弥 陀が二重
の東 方の 中尊に移 動 した ため に般 若 波 羅蜜多
が真ん中にな り、 般若波
羅 蜜多
がい (66
) N工工一Eleotronlo Llbrary『陀羅尼 集経』 の普 集会曼荼 羅につ い て (駒井) た処に一切仏 心仏 が参 入 する。 この こ と によ り第
12
巻の曼
荼 羅で は、東
方 に 『陀 羅尼 集 経』 第1
巻(『大 神力 陀羅 尼経釈 迦 仏頂三昧 陀羅尼 品』)・第2
巻(『阿 弥 陀仏 大思 惟 経説 序分 第一』)・第
3
巻(r
般 若 波羅 蜜多 大心 経』)を代表
する尊
格が 中 心 に列 を なすこ とにな る。 な お 、 両曼 荼 羅と も阿 弥 陀が東 方に画か れる こ とにな るが 、 こ の曼 荼羅の場合は東 方が仏 部、 北 方が蓮 華 部、 南 方が金 剛部、 西方に諸天 と明確に方角に合わ せ て諸尊
の 配 置が 決まっ てい るため である。 こ のこ と は阿弥 陀に限っ た こ とで はない 。本論
で は第
12
巻の灌頂儀礼
の中
に説
か れる十
二肘壇
の曼荼羅
を取 り
上げ
て い るが、第
12
巻
に は巻末
にもう
一つ十
六肘壇
の曼荼
羅が説か れる。 こ の曼 荼羅は十二 肘 壇が更に増広 さ れ た もの で 、 微 妙 声 仏 頂 ・阿弥 陀仏 頂 ・阿闕仏頂 ・宝相 仏 頂の 四方四 仏 が曼 荼 羅 の 中に配置さ れる最 初 期の もの である。 これ らの 四方四仏は 『陀 羅尼 集経』 第 十巻 「功 徳天法」 一巻に 、亦 応に、 東 方 阿 闕如 来、 南 方宝
相如来
、 西方無
量寿
仏、 北方微妙声
仏に礼敬
す
べ しi・) 。とその
名
を確
認 する こ とが出来る。 そして、 此れ等の 四方四仏 も十六肘
壇 の 曼荼 羅では東方第
二 重に一列に 配置 され る・) 。 こ の こ とか ら田 中公明氏 も 指 摘 して い るよう
に、 『陀 羅 尼 集 経』 の 曼荼
羅で は仏の 浄 土の方 角に関係な く仏部の 諸 尊を東面 に配 置 した もの と考
えら れる。 内院北面の尊
格は第4
巻 で は観 世音 母 ・大 勢 至 ・馬頭 観 世 音、第
12
巻は観
世音
母 ・大 勢至 ・観 世 音菩 薩
と、馬
頭観
世音
が二 重に移 動 し、 そこが観 世 音 菩 薩に変わ る。 内 院南 面 も同様
に、第
4
巻
で は金 剛 母 ・金剛王 ・跋 折 鑼 母瑟 知、 第12
巻は摩麼 難 (金 剛 母)・金 剛羅 闍(金剛王)・摩 帝那 と跋
折 囃母瑟知
が摩帝
那に変
わる。内
院西 面は、第
4
巻で は内院
の西 門を囲む よう
に提 頭 頼PE
(持国 天)・毘 嘘 陀 迦 (増長 天)・毘 噌 博 叉天 王 (広目 天)・毘 沙 門 天王 (多聞天)が配 置さ れてい た。 この 四 天 王 は 『陀 羅 尼 集 経』 第11
巻 にそれ ぞ れ 、 「東 方 提 頭 頼 唾天 王法 印
呪第
五」・「南 方 毘 噌 陀迦 天王法印
呪第
六」・「西方毘噌博
叉天 王法印
呪第
七」・「北 方 毘 沙 門天王 法 印 呪第
八」 として説
か れ 、第
12
巻
の曼 荼 羅にい たっ て最 外 院におい て各尊
の守護
すべ き方角
に配置 され た。 その 移 動により
、第
4
巻で (67
)NII-Electronic Library Service 智 山 学報 第六 十一輯 は二 重の
東
面で栴
檀 徳 仏 ・阿 闕仏 ・相 徳 仏の 諸仏の 両 脇にい た弥勒菩
薩と普賢菩
薩が内 院西 面の 門の両 脇に配 置さ れた。次
に二 重で は 、東
面を第
4
巻と比べ る と真ん中に阿弥 陀仏が 配置さ れ 、仏 の両 脇にい た弥勒 と普 賢と月天 が移 動 した。 月 天の移 動は諸天 が最 外 院に配 置さ れ るた めで あろう
。 第12
巻の 曼 荼 羅で新た に出来た最 外 院に移 動 した が、位置
は第
4
巻
の時
と同じ とい える。 それ により
、十 方
一切 仏
・烏瑟尼
沙 ・十方
一切 仏頂が配 置 され る。 曼殊室利菩薩
と虚 空蔵
菩薩
は第 4
巻 と同様
の位 置にい る。 北 面は、第
4
巻
にい た摩
訶税多
と毘摩羅末知
がい なく
なり
、 馬頭 観 世 音 と六臂 観世 音が配 置さ れ る。 その 上 (東方)に第4
・5
・6
巻に説か れ る 菩薩の 中で曼荼羅 に 配 置 さ れてい な かっ た地蔵 菩 薩 と陀羅 尼蔵が参 入 す る。 南面 は 、第
4
巻にい た 母噌陀旺伽は二 重の 東南の 角に、 蘇 幡斯 馳 迦 羅は 内 院の東 南の角へ 移 動 した。 火 頭 金 剛 (烏枢 沙摩)・央
鳩尸 (跋 折羅 央倶 施)・跋 折羅
商 迦 羅は その ま まに、 第7
・8
・9
巻に説かれる尊 格達が新たに配置され る。 こ の箇 所で 注目 さ れ る尊格に跋 折 囃蘇 幡 悉 地迦 囃と蘇 摩 訶 がい る。 こ の 二菩薩
は 『蘇
悉地羯
羅経』Xi)の 蘇 悉地 羯 羅 菩 薩と 『蘇 婆呼童
子 請 問経』xii)の 蘇 婆 呼童子を連 想 させ る。第
4
巻の曼荼
羅で は蘇
蟠斯 馳 迦 羅 ・素 婆休 と して 、 第7
巻 『仏説金剛 蔵大威神力
三昧法印
呪品』第
一で は金 剛蔵菩
薩の 十四眷属 と してその名
を見い だすこ とが出来る。 田 中公明氏は 『陀 羅尼集
経』 の この 二尊
につ い て、 『蘇
悉 地羯羅経
』 と 『蘇婆
呼 童 子 請 問経』 はr
陀 羅 尼 集 経』 よ り遅れて訳 され た が、 『陀 羅尼集
経』訳 出時
に は成
立 して い たで あろう
と 述べ て い る・i・%
次に二 重 西面
の尊格
は 、第
12
巻に なり新
たに 配置
さ れ た尊 格である。 門の 両脇に摩 醯 首 羅と烏
摩地 毘摩が 配置さ れてい る。摩
醯首羅 は 第11
巻に 「摩醯 首 羅天法 印第二 」 と して説か れ、第
12
巻の曼荼
羅 形成にあ た り参
入 したの で あろ う。 烏 摩地 毘 摩をr
陀羅尼 集経』 の 中に確 認 するこ と は出
来な か っ たが、摩醯
首羅
と鳥 摩 妃の 関係に よ る もの と思わ れる。 摩 醯 首 羅は第4
巻 「十果報
印呪第十
三」・i・)や第
11
巻
「摩醯
首羅
天法 印
呪第
三 」・ ・)に 見 られ、 「十果 報 印 呪 第 十三」 は十 一面観
世音
を中尊
と して東方
に 阿弥陀
、 北方
に大勢
至 、 南方
に馬頭観
世 音、 西 方に摩 醯 首羅 を配 置 する曼 荼 羅 を説 く。 (68
) N工工一Eleotronlo Llbrary『陀羅 尼集経』 の普 集会曼 荼羅につ い て (駒井 ) この 曼 荼 羅の 影響 によ り第
12
巻の曼荼羅
で摩醯
首羅
が二 重の 西方
の 中心 的 な尊格になっ たのか は不 明であるが、 少 な くと も 『陀羅
尼集経
』 の 中に摩醯
首 羅 を西方
に配置する曼荼
羅が、 そ れ も第4
巻に説か れてい るこ と は注 意す べ きで あ るxVi) 。 最 外 院は第12
巻の 曼 荼 羅にな り大 き く変 化 した特徴の 一つ で ある。 こ こ に配置
さ れる多 く
の尊格
は第
11
巻
に説か れ るも
の である。 四天王 を除 けば 第4
巻にい た諸天はその位
置の ま ま最外
院に移 動 した。 では諸天 の 配 置で あ るが、東
面より南
西北にか けて十
二 天 が見
られる。 ・帝釈
天 ・火天 ・談 摩壇 茶 ・鑼 刹 娑王 ・(
水
天)
・風天 ・毘 沙 門王 ・伊 沙 那鬼王 ・(
梵天)
・地 天 ・日天 ・月天南
南
北
北
東
東 南 西 西 西 北 東 天 地 日 月 帝釈
天 法 印呪 第二 火天法 印 呪第 十六 閻魔 壇 陀呼召印呪法第
三十四 一切 羅刹 法印
呪第
五 十 三水
天呼
召 印呪 第三十五 風 天 法 印呪 第三十七 北 方 毘 沙門 天 王法 印呪第
入 記 述 な し大梵摩
天法
印 呪 第一 地 天法 印呪 第 十五 日天法 印呪 第 十一 月天 法 印呪 第 十三しか し、
水
天 と梵 天は配 置 されない 。 第ll
巻に 「水
天呼召印呪第
三十
五」 と説
か れてい な が ら曼荼
羅に見られ ない の には、 西面に は画 くべ き尊格が集 中 してい るた めであろう
。 第4
巻か ら摩 利支 天 と 日天 と地天 を継承 し、 一切 龍王 を分 けて二 龍王 で西 門を護 り、 四 天王の 中で西 方 を守護す
る毘樓博
叉 を 配 置 し、 北 西の守護
天である風
天 を配置
して い る。 そ れ に比べ て東
面には帝 釈天 と月
天、 北 面には伊 沙
那鬼
王 と毘沙
門王、 南 面には火 天 と瑛 摩壇 茶 と囃 刹娑 王、 そ して各
方角
を守護す
る 四 天 王 と数
が少な く感じる。 その ためか、尊格
の数
の増
える十
六肘壇
では水
天 を確 認する こ とが出来る。 水天 と同 じ く (69
)NII-Electronic Library Service 智 山学報 第六十一輯
梵
天 も 「大梵摩
天法印呪第
一」 と説
か れなが ら曼荼羅
上に見
ることが 出来な い 。 配置
さ れ るべき場所
は地天 と対
応 させ ると東面
であ
る。 こ の箇所
に跋摩
天 なる尊が い るが、 梵天 と同 一か は不明である 。 次に、 第12
巻の 曼 荼羅の 最 外 院に新たに配 置され た諸天 につ い て み て い きたい 。 多 くの 諸天 が以下の 表の 如 く 『陀 羅尼 集経』 前11
巻に見る こ とが 出来る。 毘那 夜迦 一切 毘那夜迦法印呪第四 十 九11884c
他 にも毘 那夜迦 は多く登 場する 。 毘那夜 迦 呪法第五 十11884c
調和 毘那夜 迦法 印呪第五 十一11885a
首 陀会天 仏頂 法1786a
仏頂尊作像の 中で画 か れ る 文殊 師利菩薩法印呪第三6839a
文殊菩薩作像の 中で 画 か れ る 帝釋天 金剛地印法1794b
画大般若像法3850b
般若菩 薩の左側に画か れ る 般若壇 法3808a
般若壇の南 方に安置 さ れる 功徳天像法10876a
功徳天の右側に画か れる 諸天等 獻佛 助成三昧法 印呪品11877b
帝釋天法 印呪第二 11877c 星天 諸天等献仏 助成三昧法印呪品11877b
眷 属と して 星 宿 天法 印呪第十四11879b
火天 諸天等獻 佛 助成三昧 法印 呪品11877b
火天法 印呪 第十六11879c
火天 子助呪師天驗 印第十七11880a
那羅延 那 羅延 天 身印呪第二 十三11
880c
(70
) N工工一Eleotronlo Llbrary『陀羅尼 集経』 の普 集会曼 茶羅につ い て (駒井) 那羅延天無 邊力印第二十 四
11
881a
駿摩檀 荼 焔摩檀 陀呼召 印呪法 第三十四11
881c
緊那羅 大神 力 陀羅尼経仏頂三味陀 羅 尼 品一1785b
対告 衆と して 阿 弥 陀 仏 大 思惟経説序分 第一2800a
対告衆と して 緊那羅 身印呪 第二 十六ll881a
観世 音甘 露 印呪第十4818b
こ の印 呪に よっ て毘舍遮の所作に よる 病が治る 毘舍遮 王 羅刹 沙王 十一面観世音神呪 経4813a
喚羅刹 身印第四9868a
一切 羅刹法印呪第五十三11885b
閭羅王 閻羅王法身印呪第 十八ll
880a
阿素 囃 大神 力陀 羅 尼経仏頂三昧陀羅 尼 品一1785b
対告 衆と して 阿弥 陀仏大思惟 経説序 分第 一2800a
対告 衆と して 阿修羅 王法印呪第三 十 八ll882a
難陀龍王 馬頭觀世音菩薩受法壇6
838a
壇の南 方に画か れ る 憂婆難陀龍王 一切龍王法身印 呪第十 九11
880a
優 婆難 陀龍王印として 乾闥婆 乾闥婆 身印呪 第二十五11
881a
風 天 (71
)NII-Electronic Library Service 智山学報 第六十 一輯 風 天法 印呪第三十七
11
882a
倶 毘 囃 藥 叉 一切藥 叉法 印 呪第五十二11
885a
この 真言、 庵倶 毘囃莎 訶 遮文荼 遮 文茶 法 印呪 第三十九11882a
遮 文茶功 能と して以下印四十八 まで 遮文茶 印呪移腫 法第四 十 八11884b
この 中に は 『陀 羅尼 集 経』 の 中にその 名称を見い だすこ との 出来 なか っ た尊
格 もある。 推測の 域 を脱 し ない が 、 お そ らく尊格の 数の 問 題 である と思 わ れる。 最外 院は 一面 十 尊 、 四面で 四十尊 となるが、 そ れほ どの数の尊 格の儀礼
が整
っ てい な か っ た ことが考
えられ る。最外
院の東
面の 門 に帝
釈天 と帝
釈 天弟
子の 二尊
が配さ れ るこ とや、最外 院南面
の 門の西側
に談摩檀荼
と瑛摩檀
荼 弟 子 が並
ぶ こ と、 また二重
の西 面の 門の両脇
に摩醯首羅
と烏摩
地毘摩
が配 置 さ れ るこ とは、 帝釈天 ・瑛
摩 檀 荼 ・摩 醯 首 羅が 『陀 羅尼集
経』 に説か れ る 中足 りない尊
格の数を上手
く補 充 した 例 とい える。 こ の よう
に第
12
巻にな り多 くの諸天 が前11
巻 よ り最 外院 に配置さ れ た とい える。5
『陀羅 尼集 経』 の構 成 と5
つ の グル ー プこ れ まで
見
て きたよう
に第4
巻の 曼 荼 羅、 及び第12
巻の 曼 荼 羅は共に三 部形式の曼荼 羅であ っ た。 『陀 羅尼 集経』 に説 か れ る多 くの 曼荼 羅 も同様に、 中心に仏部の諸尊
、北方
に蓮華
部の諸尊
、南方
に金 剛部
の諸尊
、周 り
に諸
天 を配置 する仏 ・蓮 ・金の 三 部 形 式で ある。 しか し、 『陀 羅 尼 集 経』 全体 に 目 を向
けると、 この経
典が三部
だけで な く5
つ の グ ルー プ を意識 して い る だろう
と思 わ れ る箇所
が度
々見受
けら れ る。(
第
1
巻)
「仏 頂三昧 曼荼 羅 法」手
に香鑪
を執
りて是の 言 を作せ。 我れ某 甲、蠹靉驍靉覊 難戀灘1
靆鑽鞭 鑼纛覊灘
llll
−
一
(72
) N工工一Eleotronlo Llbrary『陀羅尼集経』 の普集会曼荼羅につ い て (駒井)
藻醗 齷
璽鬱灘
を供 養せ んxvii) 。「大三 昧
勅語
結界印
呪第
八」 供 養 し已 竟 りて 、 仏に従い て薬を請 す。 之 を服 するこ と 三度
、 日別 に 一度せ よ。 及び頂 面 身心の 上 に灑 散 し内外を清 浄にせ ば、 障 難病 苦 皆な悉 く消 滅 す。 次に和 南を作
して至 心に驪
懸灘
綴 轗 醗灘 飜講
覊
に頂 礼せ よ。行者起
立 し礼
拝の印
を作
せ XVII1) 。「那 謨 悉羯 囃印 呪 第九」 誦 す ること三 遍 し已 りて頂 礼 するこ と一礼、 是の如 く三
度
せ よ。 是の如 く礼
拝せ ば、嬲
螽
1
靉鑼覊
1
餐懸 懿覊
繕 饑
罐韈
を礼 し、 一切の十
悪 ・五逆
・四 重 等の罪 を滅除 し、 一切 の障 難皆 な悉 く消 滅せ んmx ) 。「一字 仏 頂法 呪 第三 十二 」 当に知るべ し。 行 者、一切の罪 障皆な悉 く消滅 し三昧陀 羅 尼 力 を得ん。 以
後
即 ち五色の 壇 法を設 け、 灯 ・食 ・香 ・華の種種
の 供養
すべ し 。 一 に前法
に准
ぜ よ。 或い は鏤鑞鬣鑼 灘爨爨
繋鑞 鑞麟
1
購 糶
、 行 者の 為に身 を現 ず。 其の 見る 時に随い て種種
に乞 願せ よ・x> 。(
第2
巻 ) 「仏 説作 数珠 法相 品」是
の珠
を作
し已り
て、 止匕の 壇 中に於
て更に種種
の香水
を以て珠を酒せ。 又た、 七盤の食
を著
き三七 の灯
を然
し、覊灘覊 驫鑿纛藤驪
’ _ .を請 し、 仰
啓
し供養
せ よ。 三宝の威 神
力 を称讃 す
る が故に、 種 種の 法 事 皆 な効 験 あ りxxi) o 「作 跋 折 曙 并功 徳法」 結 界法事
を し、道場の 中 に当た りて一水 壇 を作 し、覊 鑼
1
鑞靉
覊
戀鑼
灘
韆
黼
覊鏃
を請すべ し。 又た舎 利 一二 七粒を請 し、其の壇中 に置 けX)[11) 。(
第3
巻)
「
般若
壇法
」 道場
の残
食、 持 明 師及び受法人皆な喫する こ と を得 ず。 若 し喫すれば持 明 師 及び受
法人 は並 んで成就
を失
せ ん。其
の 襯施 銭、繊
は作 仏 用に入れ、 其の (73
)NII-Electronic Library Service 智山学報 第六十一輯
嫐
は写 経 用に入れ、飜
は作 菩 薩用に、鑞
は金剛
・諸
天処 用に入るベ レ” 且1且) 。「
結
虚 空界 法 印真
言」 道場を荘 厳 し、 種 種の香 花 灯 明飲 食を悉 く行 列 し竟 りて 、 次に当に焼香
すべ し。若
し仏 を請せ ん と欲せ ば、 仏 印を作 して 請 すべ し。 次に灘購
を請 する に 般若を作 すべ し。 次に綴 豫灘
鑽
を請す
る に観
自在印
を作 す
べ し。次
に驪
及び飜
を請す
る も亦 しか なり
xxi・) 。(
第
4
巻)
「七 日
供養壇法
」 次に阿 闍梨、 手 を もっ て香鑪 ・水 等 を印 し 、 呪 し已 りて手に香鑪 を執 り胡跪 し燒 香せ よ。磯
覊
糶轗驪鑼 覊 鑽覊讖韃鑞 韈 騰 鑼覊韆鑞
鑠
攤韈
靉靆蟻
鑼
鏃鱗藤
に 啓 白す。 今此 の 地 は是 れ 我の 地 な り。 我今
七 日七夜、都 大道場 法壇の会を 立て ん と
欲す
。ee
講 飜
ele
騾
m
灘戀雛
mewawawame
。mewa
韈
纛靉灘
蘿
に供 養 し、 諸 もろの 徒 衆 を領す xxv ) 。「華 座 印 呪 第六」 若 し
藝
鄰鸚縷纖鑽鑾鑠靆轗鸚繼
を請
ずん ば、 一 一皆
な 此 の大華 座 印呪を 用 い て以て承
迎 せ よ・ ・v [) 。(
第
8
巻)
「金 剛 阿蜜哩多 軍茶 利
菩
薩 自在
神力
呪印
品」 若 し復
た 人あ りて 、蘿 靉纛懸灘鏃 齶藤羅
驫 繰韈
の 呪 法 印等
を誦 持 し、 日々 に供 養 し、 広 く懺悔
を為
し、 及び 一切衆
生の厄難i
を救
護せ ん と欲 する の 時、 汝等
、鬼
神の護 助 力をもっ て悩 乱を得ず ・xvii) 。「軍茶 利 護 身法」 凡 そ 人、 金剛の法 事を作 さん と欲わ ば、 先
ず香
鑪 を印
して焼香
し已竟 り
て、手
に香鑪
を把
り、飜鑼 靉鏃鑼鑼鑞 韆鑞黐懇韃韈灘灘 邏 轗 靆鸚
獵鎌 鑠 難
に啓告
せ よxxviii)Q (74
) N工工一Eleotronlo Llbrary『陀羅尼 集経』 の普集会 曼荼 羅につ いて (駒 井) 「軍茶 利 結虚 空 界法 印呪 第八 」 第七に、
靆 騾 鱗難懿靉灘韈灘蠶覊 覊覊 鼕
を請せ ん と欲せ ば、 未だ請
する以前
に復
た一遍 の結
界辟
除 を作
せ。結
界の 中 間 に 一 一皆
な大 身法 印
を結
ぶ べ しxxi・) 。(
第9
巻)
「
烏枢沙摩呪法功能
」 若し芯芻
・優婆
塞等
あり
て、 意に烏枢
沙摩
金剛 呪 を受
持せ んと欲せ ば、 当に水
壇 を作 す
べ し。毎
日平
旦に諸
々 の香華
を以て、発
心 して靉灘覊 糶 灘 灘 爨
一驪 靉
を供養す
べ しxxx ) 。(
第11
巻 )「北 方 毘 沙 門天 王 法 印呪 第八 」 是 の 四 天 王法 印呪等、 若 し諸 々 の 人輩、
飜 鰓 覊鐶靆 覊 驪 轗 覊鍮 鑛覊麟 鼕
の法
呪 を受持
するの 時、因に都会道
場法壇
の所を供養
し、 并び に此の印を作 して 呪を誦 し天 を喚
し安
置 し供 養 する こ とあ れば、 即 ち 一 切の 人 等 歓 喜 を得 んXXXI ) 。 (第12
巻)
「仏 説 諸 仏大 陀 羅尼 都 会 道場 印 品」 阿闍梨
は手
に香鑪
及び浄水等
を印
し、馬
頭印
を用 い て其
の浄水
を印
し、呪 す るこ と三 七 遍 せ よ。 而 して香 鑪 を把 り、 胡 跪 して香 を燒 き、韈攤
1
鑼靉靉驥
鸚雛 鑞灘爨離離購靆覊驤軈灘鸚靉轗韈韈鏃騰
に仰 ぎ啓す
。今
此の 地は、 是れ我 の 地 な り。 我れ今 七 日七 夜の 都 大 道場法
壇の会 を立て て 、懸翻難 懸靉 驤 醐鑾
ua .raen
−,
韈鑾飜 靉靉一
を供養
せ ん と欲 う
。 仰ぎ請 う
らくは諸 仏、 諸の徒 衆を領 して、 一切の 秘密 法 蔵不可 思議の大法 門を決 定 した もうが故に、 諸の 證 成を取 りたまえ xxxii) 。「仏 説 諸 仏大 陀 羅尼 都 会 道
場印
品」 日没
の後
に至り
て 、阿闍梨
は道場
の 中に入 りて、獵靉韈 鑼 灘飜韆鑾轗飜醗灘飜
灘
を請
し、壇
に入れて安
置 すべ し。 仏の座 は中心に して、観
世 音等
は北 方に於て座せ しめ 、 金 剛蔵 等は南 方に於て座せ しめ よ xxxi ・) 。 (75
)NII-Electronic Library Service 智山学報 第六十一輯
「仏
説
諸仏 大 陀羅
尼都
会 道場 印品
」諸
の弟子等
、明
日壇
に来入
して供養
せ ん と欲 う
。 願わ くは1
鑼鑼
綴糶
1
飆 孅 織鑞蠶 纛蘿
、 今 夜 大 悲をもっ て境 界 あら しめたま え。 徒 衆の 弟 子某
甲、 明日普 く一切の 三宝及 び諸の 眷属 を請して、 広 く供養を為さ ん。 願 わ くは大 慈 悲、 明日皆 赴 きて諸 供 養を受 けて 法 事を 証明 した ま えと xxXi ・) 。以 上の
様
に、『陀 羅 尼集
経』 は全体に 渡っ て5
つ の グル ー プ を意識 してい る とい える。 また、 『陀羅
尼集経
』全12
巻の構
成 もこれ にそく
してみ る と、 以下の表
の如
く第
1
・2
巻が仏、第
3
巻が般若
、第
4
・5
・6
巻が観音
(蓮華 )、 第7
・8
・9
巻 が 金 剛、 第10
・ll
巻 が 諸 天 、 第12
巻 が普集 会 とみ るこ とが 出 来る・xx・) 。第
12
巻の 曼荼
羅を構
成 して い る尊格
が 、『陀羅尼集
経』 全 体に わ た り説か れ て い るこ とが確
認で き る。 ま た 、 中尊の 帝殊羅 施 を第1
巻 よ り、 その 上 (東 方)の般若
波 羅 蜜を第
3
巻
よ り、その上 (東 方)の第
二 重の真
ん 中に第
2
巻
の 阿 弥 陀 仏、 中尊の 右 辺 (北方)に第4
〜6
巻に説 か れる蓮 華 部の 諸 尊 、 中 尊 の 左辺 (南 方)に第
7
〜9
巻 に説
か れ る金 剛部
の 諸 尊、 西 方 及 び最 外 院に第
(76
) N工工一Eleotronlo Llbrary『陀羅尼 集経』 の普集 会曼 荼羅につ い て (駒 井)
10
・11
巻に説
か れ る諸
天 を配 置し 、5
つ の グ ルー プ と 『陀 羅尼 集経
』全体
の 構 成 を考 慮した構 造である とい える 。6
お わ りに『陀羅 尼 集経』 に は七 日作 壇 法に よ る灌 頂儀 礼が第
4
巻と第
12
巻に説
か れ る。 こ の 二 つ の儀礼
が 同じ系統
の もの である こ とか ら曼荼羅
につ い て も考
察 した わけである。第
4
巻の曼荼
羅は十一面観 世 音 を中尊
とす
る二 重の曼荼
羅 で あっ た。 こ の曼荼羅
は東方
に仏 部、 北方に蓮 華部
、 南方
に金剛 部を配 し西 方に諸天 を並べ る三部 形 式の 曼 荼羅である 。第
12
巻は都 会 壇で あ り、帝殊
羅施 か或は行 者の任 意の 仏菩 薩を 中尊
とする。 曼荼 羅は二重か ら三 重に増広
され た が、多
くの 尊格の 一致が見
られ た 。 この こ とか ら、第
4
巻
の曼 荼 羅か ら第12
巻の 曼 荼羅へ と発展 した もの で 、尊格
の 一致
は第
4
巻
の名
残で あ る とい えよう
。 ま た 、第12
巻の 曼 荼 羅に な るこ とで新た に参 入 した尊格
の多
くが 『陀羅尼集
経』前11
巻の 中より確
認す
る こ とが 出 来た 。 つ ま り、 第12
巻の 曼荼羅
は 『陀 羅尼集
経』 の 諸 尊によっ て構成 されてい るの で ある 。今
後第
4
巻
の儀 礼や曼 荼 羅につ い て さ ら なる検 討 が必 要で ある が、 その儀 礼 や曼i
荼羅 を もと に新た に仏頂尊
たる帝殊 羅 施 を中尊と し、あらゆ る儀礼や尊格 を 配置し た教 科 書 的な経 典が この 『陀羅 尼集
経』 であっ た と考 え られ る。 さ ら に 、曼茶
羅の配置や 『陀羅尼 集 経』全体
の構
成 も考慮 すれ ば、 推測の 域 を脱
しない が、多
くの尊格
を5
つ のグル ー プ に分 類 し 、 そ れ を普集
会壇 に ま とめ る過程の 中で第12
巻が編纂
さ れ た と現在の所 は考 えてい る。 更に他の巻、 周 辺の 経典に よ る比 較考察
の 中か ら結 論 を導 きだ したい 。 何 れに して も、 第12
巻が 『陀羅 尼集
経』 の成立 に深 く関係 してい る とい え よう 。 以 上 (77
)NII-Electronic Library Service 智山学 報第六十一輯 注
i
) 『陀羅尼集経』 が イ ン ド由来の 正典で ない と一般に理解され る根拠につ い て は、 佐々 木 大樹 『『陀羅 尼集 経』 に関する諸文 献の考 察』(大正大学大学院研究論集第29
号2005
)に詳 しい 。ii
) 頼富本宏 『仏 教パ ンテ オン の 構成』(宗教研究第276
号)参照。iii
)佐々 木大樹 『『陀羅尼 集 経』 の 研 究一特に第四 「十一面観音経」 と、第十 「功 徳 天法」 の異訳 対 照 を 中 心と して 一』(智山学報 第52
輯2003
)参照。iv
)『陀羅尼 集経』 各 巻の異訳経典にかん して は、 (佐々 木大樹『『陀 羅尼 集経』 に 関 する諸文 献の考察』 大正大学大学院研究論集 第
29
号2005
)に詳 しい 。 v) 第4
巻 『十一面観世音 神 呪経』 の異 訳経 典との比較につ い て は、清田寂雲『十
一面神呪心 経につ い て』(『天台学報』 第二 十 号
1978
)及び、佐々 木大樹『『陀羅
尼集経』 の研究一 特に巻四 「十一面観音 経」 と、 巻 十 「功徳 天法」 の異 訳対照 を 中心 と して一』(『智 山学 報』 第五十二輯
2003
)参照。 第10
巻 『摩 利 支 天 経』 の 異訳経典 との比較につ い て は拙稿 『『陀 羅尼 集 経』 にお ける灌 頂儀礼を め ぐっ て 』 (智山学 報第60
輯2011
)参照。 vi)拙稿 『『陀羅 尼 集経』 における灌頂 儀 礼を め ぐっ て』(智山学報 第60
輯2011
)参 照。 尚、 この中で論じてい る儀礼以外にも、 多くの儀礼に共 通点が見ら れ第12
巻に影響を与えてい るこ とが解っ た。 その箇所に関しては ま た別の機会に論 じた い o vii) 佐 和 隆研 『陀羅尼 集経覚書』(仏教
i
藝述100 1975
)参照。 viii)『大正蔵』18
巻 ・888b
ix
) 『大正蔵』18
巻 ・876b
x) 『陀 羅尼 集経』 第12
巻の十六肘壇の曼荼羅につ い て は、大村 西 崖 『密教 発 達志』 (国書刊 行会1972
)253
頁、田 中 公 明 『イン ドに おける曼 荼羅の成立 と発展』(春秋 社2010
)89
頁に詳しい。 xi)『大正蔵』No
.893
xii)r
大正蔵』Ne
.895
xiii)田中公 明 『イン ドにおける曼荼羅の成 立 と発 展』(春秋 社2010
)87
頁参 照。
Xiv
)『大正蔵』18
巻 ・819a
xv) 『大正蔵』18
巻 ・878a
xvi )こ の他に も、『陀 羅尼 集経』 成立 当時の イン ドで は、 摩 醯首 羅が神々達の中で権力を もっ て い たこ と も考 えら れ る が、 現地点でその確認は出来てい ない 。 xvii
) r
大正蔵』18
巻 ・787b
(78
) N工工一Eleotronlo Llbrary『陀羅 尼集経』 の普 集会 曼荼羅につ い て (駒井) xviii)『大正蔵』