Regarding metal powder, manufacturing process and applications are reviewed on this report. Water atomized stainless steel powder is applied to many automobile parts because of that heat-resistance, wear-resistance and magnetic properties.
Gas atomized powder is mainly applied to powder welding and hot isostatic press based on the spherical shaped powder. Soft magnetic parts, such as smoothing and boost choke coil of switching regulator and DC-DC converter, gets advantages using metal powder on the point of saving energy and reduction of machining cost.
Daido steel Co., Ltd. started basic study for production of atomized metal powder on 1971, and established the technology of mass production on 1975. Now, not only stainless steel powder with high compressibility and fine powder for MIM process also Levitation melting-Gas atomizing powder for active metal and high purity material and soft magnetic material powder with insulation coating is manufactured.
技術解説
Technical Review
最近の合金粉末製造技術と粉末製品
川村 誠
*, 大河内敬雄
*Recent Alloy Powder Manufacturing Technology and Powder Metallurgy Products
Makoto Kawamura and Norio Okochi Synopsis
2008 年 11 月 27 日受付
*大同特殊鋼㈱高機能材料事業部 粉末材料部 粉末工場 (Metal Powder Plant, Metal Powder Dept., Advanced Materials Div., Daido Steel Co., Ltd.)
1 . は じ め に
粉末冶金技術は複雑形状,高精度部品をニアネット シェープで量産が可能であり,その高い経済性によって 自動車工業を中核とする産業分野に広く浸透し発展して きた.これらの多くは鉄粉を原料とするものであった が,最近ではステンレス,工具鋼や耐熱・耐食性超合金 などの合金粉末を対象とするものも広く発展している.
これらの発展の技術的背景には,第一に溶湯噴霧法
(アトマイズ法)による合金粉末製造技術が確立され,
これにより高品質粉末の量産が可能になったことがあ る.第二には従来のプレス成形・焼結法の技術進歩と粉 末鍛造や熱間静水圧プレス(HIP)などの高密度化技術 の開発があり,これらによって粉末冶金製品に対する特 性上の不信感を解消したことなどがある.
最近ではいろいろな金属粉末同士を自由な割合で混合 したり,金属以外のものを混ぜて複合化したりすること でさまざまな機能を発揮する機能性粉末の認識も高まっ
ている.新しい機能材料としての粉末は今日のテクノロ ジーを支えるばかりでなく,次代の先進技術を切り開く 材料として期待が増大している.
2 . 粉 末 製 造 技 術
2. 1 概 要
Table 1に金属粉末の製造方法の概略的な分類を示
す . 金属粉末の製造方法は機械的方法,化学的方法およ びアトマイズ(噴霧)法に大別される.
機械的方法は物理的な応力により金属塊を粉砕して粗 大粒子から微細粉末までを得るだけでなく,最近では純 金属粉末の混合物にボールミルなどを用いて機械的エネ ルギーを与え,粉末同士の圧着・破砕を繰返しによっ て,合金粉末を製造するメカニカルアロイイング法も研 究開発されている1).
化学的方法は還元,電気分解などの化学反応によって 粉末を製造するもので,非常に微細な粒子を得ることが
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できるのが特徴であり,最近ではサブミクロンの粒径の 粉末製造技術について,研究開発が広く行われている.
しかし原理上,純金属の微細粉末を製造することはでき るが,合金粉末をこれらの単一工程のみで製造すること は困難である.
アトマイズ法は,気体や液体などの高圧噴霧媒体の運 動エネルギーやディスクの高速回転による遠心力によっ て溶湯金属を飛散させ,液滴を凝固させて粉末化する方 法で,安定した品質の粉末を量産できることから,粉末 冶金用の粉末製造技術として主流をなしている.
1940 年代に始まったといわれるアトマイズ法はタン ディッシュ底部の注湯ノズルから溶湯金属を流下させつ つ,周囲に配置した噴霧ノズルから噴霧媒体を噴射して
粉末化したり,高速回転するディスク上に溶湯金属を流 下し,遠心力で粉末化する.使用される噴霧媒体や噴霧 技法により水アトマイズ法,ガスアトマイズ法および遠 心アトマイズ法に大別される.Fig.1に示されるように,
アトマイズ法の違いにより同じ成分の金属でも粉末化さ れた凝固後の形状が特徴的になる.水噴霧法では突起の 多い不規則な形状になりやすく,ガス噴霧法および遠心 噴霧法では真球に近い形状となる.溶湯金属の単位時間 当たりの流下量および噴霧媒体の圧力や流量の調整ある いはディスク回転速度の調整で粉末の粒度(粉末の大き さ)を調整し,篩による分級を行って所望の粒度分布と することが可能である.
Principle
Table 1. Main production method of metal powder.
Machining
Feature
Mechanical Process
Coarse powder with an irregular shape from shearing wrought metal.
Method
Milling Mechanical impaction of coarse brittle particle.
Mechanical Alloying
Repeated impact, cold welding and fracture events produce desired composite powder that contains fine oxide particle.
Reduction Reduction from metallic oxide or chloride.
Precipitation Precipitation from solution of metallic salt by reductant.
Electrolysis Precipitation from solution of metallic salt by electrolysis.
Decomposition of
Carbonyl Metal Thermal decomposition from carbonyl metal.
Gas atomization
Use of gas as a fluid for breaking up a molten metal stream. The powder is generally spherical shape, and low oxygen content.
Water atomization
Molten metal is forcing disintegration and rapid solidification by high-pressure water jets. The powder is relatively irregular shape.
Centrifugal atomization
Molten metal is poured on rotating disc, and forcing droplet by centrifugal force. The powder shows comparatively narrow size distribution.
Plasma rotating electrode process
Rapidly rotating metal ingot is melted by plasma, and forcing droplet by centrifugal force. The powder is formed regarding active metal, which can be made ingot shape.
Chemical Process
Atomizing Process
Fig.1. Typical shapes of water and gas atomized powders.
2. 2 水アトマイズ法
粉末を金型に充填し,プレスにより成形後,焼結して 部品にする成形焼結法のための粉末は主に水アトマイズ 法によって製造される.
水アトマイズ法では噴霧媒体に高圧水を使用するた め,噴霧媒体である水と高温の溶湯とが反応して粉末の 表面酸化が起きる欠点がある.このため後工程で容易に 還元処理できる鉄粉と異なり難還元性の合金元素を含む ステンレス鋼などの合金では不向きとされていた.
ステンレス鋼粉末に関しては,1950 年代から研究が 始まり,1960 年代以降には成分と粉末冶金的プロセス 因子の研究が報告されるようになった.当社では 1971 年から中央研究所(現研究開発本部)において Ni 系ス テンレス鋼粉末の製造技術の研究が始まり,1975 年に は量産技術を確立して製造販売を開始した.
Ni 系ステンレス鋼粉末は,元来の材質の特徴である 高い耐食性と粉末冶金的造形の自由度を活かした産業機 器の装飾的部品への適用が多いが,Cr 系ステンレス鋼 粉末は輸送機器産業の隆盛とともに耐熱部品や耐摩耗性 部品をはじめ,耐食性と強磁性を示すことから,磁気特 性を生かしたパワーステアリング用のトルクセンサーや アンチロックブレーキシステムのローターセンサーのよ うな複雑形状を有する車載用のセンサー部品への適用が 広がり,需要が旺盛となった(Fig.2).
また粉末冶金法では,通常では成形が困難な高炭素を 含有する硬質合金についても,成形容易な合金鋼と黒鉛 粉を混合してプレス成形することで,焼結後に高炭素含 有合金鋼を容易に製造することが可能である . この手法 により加工費が大きく低減されるため,高炭素含有の耐 摩耗性焼結部品用途にも需要が広がっている.
この盛んな需要に対し,当社では精錬し,不純物を低 減したステンレス鋼原鋼を溶解原料とすることで粉末品 質の安定化を図るとともに,溶解・噴霧工程を半自動シ ステム化した製造ラインを構築した.Fig.3に示すよう に,精錬した原鋼による不純物(C+N)の低減は粉末の 成形性を改善し,焼鈍工程を省略したままで圧粉密度を 向上することができる.またFig.4に示す半自動システ ム化した製造ラインは,溶解から回収,分級まで人手を 介さないため,異物混入防止および製造ロスを低減で き,より高品質な粉末の製造を可能とした.
1980 年代にバインダーと金属粉を混合し可塑性を持 たせて成形する MIM 法(Metal Injection Molding,金属 射出成形法)が考案された2).MIM 法は,鋳造法にお けるロストワックス法同様の部品の三次元形状化を達成 すると共に,微小形状の部品製造を可能とした.MIM 法では射出成形時にバインダーと金属粉の混合物の流動 性を得るために,より微細粉末を使用する必要があり,
当初は化学的方法であるカーボニル法による粉末などが 使用されてきた.しかしながらこれらの粉末は純金属で
あることから,合金粉末の需要が高まり,アトマイズ法 でもこの需要に応えるべくより微細な粉末を製造するた め,噴霧水を高圧化する研究が行われた.水噴霧による 粉末の平均粒径は 50 ~ 60 μm 程度であるが,噴霧水の 圧力を 10 倍程度に増加し,平均粒径は 10 μ m 程度に 微細化された.当社でも 1986 年に超高圧ポンプを導入 し,噴霧装置の改善と操業方法の最適化を行い微粉製造 を行っている.Fig.5に MIM 製品の例を示す .
2. 3 ガス噴霧法
ガス噴霧法は 1940 年代から空気による噴霧方法が研 究されたが,現在では難還元性の元素を有する合金では
一般的に窒素(N2)やアルゴン(Ar)などの不活性ガ スが噴霧媒体に使用されている.ガス噴霧法による粉 末は形状が球状化しやすいため,金型充填・プレスで 成形する成形焼結法には不向きである(成形時に粉末 同士が絡み合わないため,造形できない)が,流動性に 富んでいることから Co 基や Ni 基の耐熱耐摩耗性合金 粉末として表面改質技法(例えば PPW,Plasma Powder Welding)への適用や,表面酸化が少なく高充填性が得 られることから高緻密化技法(例えば HIP,Hot Isostatic Pressing)による粉末ハイス鋼などに適用されてきた.
PPW 法はプラズマの高温下で粉末を溶融させながら,
部品の必要な部位にのみ耐熱合金や硬質金属などの特殊 合金を肉盛する技法である.エンジンバルブの耐熱部分 に施す耐熱合金粉末の肉盛(Fig.6)や,ボイラー管の耐 熱性向上のために施す超合金粉末などの肉盛が代表的な 例である.
H I P 法は金属缶に真空封入された合金粉末を高温高 圧化で加圧焼結させ緻密化させる技法である.溶解して インゴットなどに凝固させた溶製材に比較し,粗大な炭 化物や成分偏析がなく,微細で均一な組織が得られる.
必要な部位のみに所望の合金を複合化することも可能で あり,複合化部品として圧延用ローラーなどが製造され ている.
ところで 2000 年以降,水冷銅坩堝を使用したレビ テーション溶解の実用化に伴い,活性金属の粉末化も行 われるようになった3).当社ではレビテーション溶解-
ガス噴霧の開発と実用化を進め,2003 年ごろには製造 技術を完成させ,Ti 合金粉末,Al 合金粉末や希土類元 素含有合金粉末などの製造が可能となった.レビテー ション溶解-ガス噴霧の模式図をFig.7に示す .
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Fig.2. Examples of sintering parts.
Fig.3. Green Density vs. [C+N] content of SUS410L compacted at pressure 490 MPa.
Fig.5. Examples of MIM parts (for mobile phone).
Fig.4. The outline of water atomizing product line.
Fig.6. Example of PPW (Engine valve).
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3 . 機 能 性 粉 末
ここでは機能性粉末のうち,最近特に研究開発が進め られ,需要の高まっている軟磁性粉末について述べる.
軟磁性材料用の粉末は,金属粉末の表面に絶縁被覆膜 を形成するか,金属粉末と絶縁剤と混合してからプレス 成形して用いられる場合がほとんどである.軟磁性粉末 は例えばトロイダル状にプレス成形されて圧粉磁心とな
り(Fig.8),パーソナルコンピューターなどの OA 機器
や自動車のエレクトロニクス化に伴う電子制御回路(例 えば,直噴エンジン制御の電源など)において,電源の 平滑用チョークコイルや昇圧チョッパ用チョークコイル の磁心として用いられる.このような用途で金属粉末が 使用される理由は,従来のソフトフェライト対比,金属 粉末は飽和磁束密度が大きいため,磁心に同じ電流を流 す場合において部品が小型化できるためである.
また近年では,圧粉磁心は小型の電子制御回路部品の みならず,より大型の DC-DC コンバータや制御回路に とどまらず,モーターのステーターコアへの適用も進め
られている.これらの場合,金属粉末材料には省エネル ギー省電力化,機能性向上あるいは加工コスト削減など の効果が期待されている.
圧粉磁心では金属粉末形状の違いにより透磁率などの 磁気特性に違いが生じる4).例えば圧粉磁心の初透磁率 は粉末のアスペクト比(粉末粒子の長径と短径の比率)
と圧粉体の相対密度の影響を受け,アスペクト比が大き いほど,また相対密度が大きいほど高い透磁率を発生す ることが可能となる.ただし,制御用電源装置における 重要因子である,直流バイアス磁界を印加させたときの 透磁率変化を指す直流重畳特性は,粉末のアスペクト比 が大きいほど低下する傾向を示す.
これらの特性は圧粉磁心の用途,電子回路設計ごとに 応じて互いに最適に調整する必要があることから,当社 ではアトマイズ法の操業条件を制御することで粉末形状 をコントロールする技術を用い,アスペクト比を調整し た軟磁性粉末材料を製造している.
4 . そ の 他 の 粉 末
異種粉末の混合による特性改善は粉末冶金特有の技法 である.粉末冶金では材質の異なる種々の金属粉末のみ ならず,非金属粉末を混合して利用することも可能であ り,単一合金では高価であったり機能的に不足である場 合,それらを補う粉末原料を組み合せて使用することも 考えられる.
例えば,硬くて耐摩耗性に優れるが加工が困難な高合 金を粉末化しておき,これを Fe 系の低合金粉末と混合 Fig.7. Outline of levitation melting and gas atomization.
Fig.8. Dust core (toroidal type).
して成形・焼結すると耐摩耗性に優れ,かつ加工性を有 する部品が製造可能である.このように使用される硬質 な合金粉末を硬質粒子と呼ぶ.この技法はエンジンのバ ルブシート (Fig.9)などに多用され,環境規制強化に伴 う自動車エンジンの高性能化に寄与している.
5 . ま と め
金属粉末材料は異種粉末の混合などによるアロイデザ インフリー,軟磁性粉末材料の絶縁被覆膜処理などの表 面制御を活かした機能性創出およびニアネットシェープ 成形による複雑形状部品の加工コスト優位性などの特徴 を有し,今後さらに高付加価値化,高機能化,高品質化 の期待と要求が高まっている.
金属粉末の製造技術においては,IT 機器の小型化高 性能化が進む中で小型複雑形状部品への対応や高密度化 のニーズはさらに高まり,超微細化技術,超高純度化技 術が重要になるだけでなく,新機能創出のために形状制 御,組織制御あるいは異種材料との複合化技術も必要と なる.
当社ではこれらの要求に対応するべく,アトマイズ法 の改善をはじめ,二次加工を含めた粉末特性の改良技術 の開発を進めている.
(文献)
1) Randall M.German : Powder Metallurgy Science 2nd ed., (1994), 88.
2) Randall M.German : Metal Powder Report, 36(1981), 388.
3) 大河内敬雄,清水孝純:電気製鋼,74(2003), 227.
4) 武本聡,齊藤貴伸:電気製鋼,73(2002), 229.
Fig.9. Examples of sintered valve seats and microstructure.