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Academic year: 2021

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論文内容要旨

Pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide promotes eccrine gland sweat secretion

(Pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide はエクリン汗腺 の汗分泌を促進する)

British Journal of Dermatology 2016 年 掲載予定

医学研究科 生理系 生化学専攻 佐々木駿

汗分泌はエクリン汗腺における重要な生理作用の一つであり,その作用 が障害されると紅斑や瘙痒感など精神的苦痛を伴う様々な皮膚疾患を引 き起こす.発汗異常の要因は多くの可能性が示唆されているが,未だ明確 には分かっておらず,また治療も限られるため,さらなる発汗のメカニズ ムの解明が必要とされている.

Pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide(PACAP)は,そ の受容体(PAC1R, VPAC1R, VPAC2R)を介し神経伝達物質として機能する ほか,神経保護作用や血管拡張作用など様々な生理活性を持つ神経ペプチ ドである.近年では PACAP は外分泌腺における分泌促進作用や,皮膚にお ける紅潮,血管拡張作用,浮腫および神経性炎症への関与が報告されてい る.しかし,その機序については不明であり,また PACAP のエクリン汗腺 における汗分泌作用への影響に関する報告はない.本研究ではマウスとヒ トのエクリン汗腺における PACAP と PACAP 受容体の発現と局在について解 析し,in vivoでの PACAP の汗分泌に対する影響について検討した.

まず,マウスおよびヒトの足底からのサンプルを用いて,RT-PCR法に より PACAP, VIP および PACAP 受容体の mRNA 発現を検討した.さらに PACAP および PAC1R の局在を免疫組織学的に解析した.その結果、PACAP はマウ スの足底エクリン汗腺周囲の Neurofilament200 と共染色されたことから,

神経線維に局在していることが明らかになった.また PAC1R はマウスお よびヒトの足底のエクリン汗腺分泌細胞において陽性反応を認めた.次に,

エクリン汗腺にの汗分泌における PACAP の役割を明らかにするため,

(2)

C57BL/6 雄マウスの足底に PACAP を皮下注射し,ヨウ素デンプン反応を用 いて汗分泌を可視化しその効果を検討した.非選択的ムスカリン受容体刺 激薬であるピロカルピン皮下注射による汗分泌を評価すると、対照群では 5 分で有意な汗分泌促進が見られたのに対し,PACAP 投与群では,5 pmol 投与 2 時間後に有意な汗分泌促進が観察された.その効果は PAC1R アンタ ゴニスト(PACAP6-38)共投与により抑制された.また VPAC1R,VPAC2R のリ ガンドである Vasoactive intestinal peptide の投与では汗分泌は促進さ れなかった.さらに,汗分泌の促進は注射側にのみ観察され,反対側の足 底では認められなかった.

以上の結果によりマウス足底への PACAP 皮下投与が,エクリン汗腺分泌 細胞の PAC1R を介して,汗分泌を促進することが示唆された.汗分泌に PACAP が関与しているという新知見は,発汗異常のメカニズム解明の一助 となり,新たな治療法開発への応用が期待される.

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