小学校低学年の音楽授業における諸民族の音楽の 陶冶財としての特性とその学習指導に関する研究
一身体表現を伴う遊び歌を中心にした音楽授業の構想とその吟味を中心に‑
教 科 ・ 領 域 教 育 専 攻 芸術系(音楽)コース 野 元 貴 代 美 はじめに
社会の急速な国際化の進展に対応する教育は,
広し沖見野をもって異文化を瑚卒し,異なる文化や 習慣をもった人々と偏見をもたずに自然に生きて いくための資質や能力の育成を図ることが求めら れてきている。音楽科教育においても,国際社会 に生きる日本人を育成するとし、う観点から,諸外 国の音楽文化と我が国の伝統的な音楽文化を味わ い尊重しようとする態度の育成を子どもたちに促 すことを劃見する方針がとられている。これを受 けて, 21世紀を国際人として生きる子どもたちを 育てていく音楽科教育のあり方を考えることが課 題である。平成 14年度までの学習指導要領に基 づく音楽科の学習指導においては,諸民族の音楽 に関して学習するのは,主に第6学年である。し かしながら,学習指導上の問題や,子どもたちの 異文化瑚卒を促すまでに至らないとし、う問題も抱 えている。そこで小学校低学年の段階から異文 化に接する学習指導が柔軟に行われていれば異 文化を抵抗なく受け入れ,その結果とし‑C,低学 年の子どもたちなりに異文化を離れ,音渠績を 拡大することができるのではなし1かと考えた。
以上のような見地から,本研究では,諸民族の 音楽の中で身体表現を伴う遊び歌を陶冶財とした 小学校低学年の授業を構想し,授業分析を通して 実践上の課題を明らかにし,諸民族の音楽の陶冶 財としての特性とその学習指導のあり方を検討し ていくことを目的とする。
指 導 教 官 長 島 真 人
I 小学校音楽科教育における陶治財としての 諸民族の音楽
音楽科教育は,子どもたち自身が,音楽の事実 をよりどころとして音楽に含まれている真実を深 くみつめ,音楽的に成長し,自分の生活をみつめ 直し,よりよいものにしていくことを促すことが 目的である。国際理弊教育を視野に入れた音楽科 教育は,戦麦からなされてきたが,国際瑚卒教育 の基礎として重要とされている異文化理解を促す まで、に十分至っていなかった。そこで,これまで の音楽科教育の反省と今日の社会情勢とを踏まえ,
諸民族の音楽を,子どもたちの音楽的陶冶を促す 耕オとして低学年から学習することによって,高 学年では,諸民族の音楽を音楽的な側面からも深 く捉え,異文化瑚特深め,音莱識を拡大してい く子どもが育っと考えた。すなわち,低学年にお ける諸民族の音楽の学習指導は,諸民族の音楽の 中にある音楽的な内容を捉え異文化瑚卒を培い,
音楽観を拡大していく子どもを育てるのに有効で あると考えたのである。
E 小学校低学年の子どもたちの発達の特性を 生かした諸民族の音楽の学習
音楽部知の念激な発達が8歳頃の子どもたちに みられることと,低学年の段階で諸民族の音楽に 関する能力を獲縛させることによって,高学年で の諸民族の音楽の学習がより一層活性化されるで あろうとしづ見地から,小学校低学年の子どもた ちを対象とし,諸民族の音楽を陶冶財とした音楽
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授業の可能性を検討した。
小学校{昏学年の子どもたちの発達の特性から,
身体を使った遊び、を通して,諸民族の音楽のおも しろさを直雛句に捉えさせたり,多様な表現があ るとし、う音楽観の広がりを感じさせたりして,異 文似輔卒の素地を培うことができる音楽授業を構 想した。諸民族の音楽である日本のわらべうたや 外国の遊び歌を陶冶財とし,共通感覚の働きを有 効に促す身体表現を遊びの中核として学習過程に 効果的に位置づけることによって,子どもたちは,
諸民族の音楽の中にある文化的価値を捉え,その 文化的価値との掛かり合いを通して,自分自身の 生きる力をゆさぶり更新してし、く営みを促すこと ができると思われた。
E 遊び歌を中心にした音楽授業の構想
本研究では,身体表現を伴う遊び歌を耕オとし て,子どもたちの音楽的成長を促すとともに人間 的成長を促すことを目的としている。
そこで,第1学年で日本のわらべうたを指導し,
第2学年で外国の遊び歌を指導することにした。
具体的な音楽授業を展開するために,まず,選定 した教材曲の分析を行ない,耕オの中にみられる 音楽の形舟拘特敷と内容的特性を明らかにし,簡 単な特徴から複雑な特徴〈配列した。次に,子ど もたちが,楽曲の形式的新教である「図がら」を よりどころとして 楽曲の内容的特性を想像する ことができるように,共通感覚の働きを促す「二 次的刺激」を手だてとして与えることにした。主 な「二次的刺激」は,遊びの中核となる身体表現 によって与えられる筋感覚的刺激と視覚的刺激,
言語的刺激で、あった。そして, I図がらJへの適切 な指さしによって子どもたちの理解や想像が促さ れるように,学習指導過程を立案し,音剰受業を 行なった。また,子どもたちの主観的なものの見 方,感じ方,味わい方をゆさぶり,郡市が子ども
一人一人を理解するためのよりどころとして,ワ ークシートを開発し,活用したo
N 遊び歌を中心にした音楽授業の実践と考察 本研究においては,諸民族の音楽の中にみられ る陶冶財としての特性を明らかにしながら,教え るべき内容を,巨視的なものから微視的なものに して捉え直し,音楽授業を行なった。その結果,
低学年の子どもたちは,遊ひ歌の形式的特徴と内 容的特性について瑚卒し,音楽の全心的理解をす るまでに至った。また,外国の遊び歌を学習する 前に, 日本のわらべうたを先行オーガナイザーと して指導したことは,子どもたちの知識の精微化 に有効に働いた。
実詔受業で用いた「二次的刺激」は,筋感覚的 刺激,視覚的束Ij激,言語的刺激で、あったが,低学 年の子どもたちにとって,直雛句に把握すること ができるという点において,視覚的刺激が最も有 効な「二次的束Ij激」となることが確認された。
そして,貌耐こは,教授方術が臨機の技として 発揮できるように,事前の準備である耕オ解釈や 教授方略を入念に行なわなくてはならないことが 改めて確認された。
おわりに
本研究において,小学校低学年における諸民族 の音楽の学習指導は,子どもたちの発達の特性や 学習習熟状況を的確に捉え,音楽の学習理論に基 づいた学習指導過程の立案そ教授方略の準備が十 分になされることによって,可能になり有効に展 開されることが明らかになった。このような学習 指導を展開するにあたっては,貌市は,まず,子 どもたちの実態を正確に捉えることが必要である。
今後,本研究によって得ることができた知見を実 際の音楽授業場面で生かすとともに,望ましし、「教 育的タクト」を整え 向上させていくことが課題 である。
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