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(1)

環境規制は収用にあたるのか : アメリカ最高裁判 例の成熟性判断をめぐる分析

著者 米谷 壽代

雑誌名 同志社法學

巻 62

号 4

ページ 1169‑1216

発行年 2010‑11‑30

権利 同志社法學會

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000012531

(2)

環境規制は収用にあたるのか二四一同志社法学 六二巻四号

環境規制は収用にあたるのか ―

アメリカ最高裁判例の成熟性判断をめぐる分析

谷 壽 代

  (一一六九)

  稿  regulatory takings

 

 1

     physical invasion

  

  ﹁

    

 

 ewtioityCk or YNv. o. Cn rta19ponsraTal trenCn enP782

    Penn Central

    Penn Central

(3)

環境規制は収用にあたるのか二四二同志社法学 六二巻四号

  (一一七〇)

    Penn Central  湿

 

 1

    

     湿

 

 2湿

    Palazzolo v. Rhode Island2001

    

 

 Palazzolo3

    Greenfield Mills, Inc. v. Macklin 2004

    Rockstead v. City of Crystal Lake 2006

    Adam Bros. Farming, Inc.,etc v. County of Santa Barbara2010

      

 

 1

 

 2

(4)

環境規制は収用にあたるのか二四三同志社法学 六二巻四号

  (一一七一)

一  本稿の目的   アメリカにおいて無計画な土地利用に対する反省が行われ、環境保全の観点から規制の整備がされはじめたのは、一九七〇年代以降の比較的最近のことである

の邦リカ合衆国連にアおけるすべてメ、。邦それ以来、連のき政策にもとづ 1)

州で土地利用に関する環境規制の整備がすすめられてきた

判こは響影の論議の。よたっなにうよる、りあ試裁はで面場るみを効施実の制規な的果がち用議持に関する論が頻繁に 整い伴に備。法のられこ連、所邦の最高裁判では、規制的収 2)

所による違憲無効判決への危惧を呼び、あえて予定より後退した規制を行わざるを得ないという問題を引き起こした。現実に規制をあきらめる事例も数多くみられた

3

  その一方で、総じて見ると、環境規制は多方面であいつぐ改正を重ねながらも、着実に増加し、現在、アメリカでは、土地利用計画は、もっとも重要な環境政策の一つとして位置づけられている。規制の手法のなかに、損失補償の手続き、

およびその代替措置を明記する手法が考案されはじめ

等、な的別個るよに法手の引決取たいてれわ行、来従解 4)

加経えず、規制を受ける側の済は的損失を無視する判決も増いとし、くなってきた。しかのいずれの手法も十分なもな ながされ 5)

した

6)

  こうした問題をうけて、収用(

ta kin g

)をめぐる法理は、環境規制による便宜と経済的損失の調整という観点のもとで、

どのように展開してきたのだろうか。

  近年の最高裁判決をみていくと、環境規制のなかでも湿地帯の規制をめぐり、収用補償(

in ve rs e co nd em na tio n

)を 7

求める事件があいついで取り上げられている

湿策が州、きづともに政邦の)ういとAPE連か下け、に件条をとこる受らを典特のどな金基、以庁護保境環の邦連( 。、るよに邦連湿は制規地接のこ直用的規。いなはで制るなめ定を利地土 8)

(5)

環境規制は収用にあたるのか二四四同志社法学 六二巻四号

地帯を設定し、州法のもとで湿地保護をはかる規制である

判っ裁、は人私たっ被を失損てよに定設の帯地湿めたのそ。 9

所において収用補償を求める訴訟の提起が認められた。これを補償付き立法という。しかし、この規定は、州の財源不足、手続きの煩雑さ、損害の算定基準の不明確さ等の点から、現実に適切に機能させることが難しい。州および連邦の

裁判所においても、法廷で原告の求めた補償の認容に対する明確な判断基準の定立は、困難な問題とされてきた。そのため、連邦裁判所においては、収用補償の是非をめぐる判決を下す最初の関門となる成熟性(

rip en es s

)の問題を、非 10

常に慎重に考慮している。

  そこで、本稿では、湿地規制における制限をめぐり収用補償を争い、成熟性の判断について積極的態度を示した

P ala zz olo v . R ho de Is la nd

判決

体結め認が可許発開、果のれ制規は件事のこ。るらなと求具。るあで案事ためをか償補用収が告原たっすとこう行を討

P ala zz olo

)、し目着に決ういと決こ、下判ののた検ていつに響影え判与に決判審級下(以 11

的には、水質浄化法(以下、CWAとする)において定められた湿地規制

社れ中途(告原、ら会けかが限制し対、社発義元らか社会が名がの地土、し産倒に開にな岸沿い予定されていた大規模 ・ドーてロ、果イア、ランド州においの海結 12

長である原告へと変更される)に開発許可が認められなかった。そのため、最終的にその土地の所有者となった原告が、収用補償(

in ve rs e co nd em na tio n

)を求めた事案であった。特に本件では、大規模な土地における開発の制限が争点と

されたため、原告は、規制を受けず残された小規模な土地の開発申請を行っていなかった。そこで、この原告が収用補償を争う成熟性を認めるために要求される行政機関による﹁最終決定﹂(詳細は三章を参照)の充足が問題とされ、連

邦最高裁判所が新たな態度を示した。

  また、本稿では、この成熟性の判断の検討を行う前に、議論の前提問題として収用に関する法理の展開について紹介 しておく必要がある。収用(

ta kin g

)をめぐる議論は、時代を経て、大きく変遷してきた

。伝統的には、一九世紀初期 13

  (一一七二)

(6)

環境規制は収用にあたるのか二四五同志社法学 六二巻四号 の物理的侵害(

ph ys ic al in va sio n

)から始まる。その後、価値減少(

dim in ut io n in v alu e

)、比較衡量(

ba la nc in g

)テストなど、それぞれの判断の枠組みの抱える問題を補うように新たな基準が提示されてきた。同時に、コモン・ロー上の ニューサンスの法理に理論的基礎を持つ有害な利用(

no xio us u se

)テストも、そもそもの収用の成立を否定する際の基準として用いられてきた。この要件については、ポリス・パワーの行使の文脈でも説明される。カテゴリカル・ルー

ルを提示した

L uc as v . S ou th C ar oli na C oa st al C ou nc il

判決

においても引き継がれている 14

きれ事例の性質に応じて使い分けらなれるてし能機でまたがいに代現、ら、さ基の断示は、諸判例準なで複層的に提か 収のように、ぐ用をめる判。こ 15

た。近年の連邦最高裁判決のなかで、各種ゾーニングをめぐる規制や湿地規制などをめぐる環境規制に関する収用の問題が提起されるようになってからは、主として、比較衡量テストの適用が頻繁にみられ、収用の可否をめぐる判断が示

されている(二

n P en 2

照例かけとなった判はき一九七八年の参をっのの量こと)。この比較衡テつストを提示する⑶一

C en tr al T ra ns po rta tio n C o. N ew Y or k C ity

判決

P en en n C tr al

、の事件ではを開。発の影響こ)るあでういと決判、下以( 16

受ける者に対し、TDR(

T ra ns fe ra ble D ev elo pm en t R ig ht

)という﹁移転可能な開発権

量後すことが認められている。そのの果判決をみていくと、同じ比較衡たをに当金銭割わる﹁正代な償﹂としての役補 か立法のなれで提示さ、﹂が 17

テストが用いられている事例であっても、そこで比較の対象とされるものは、多種多様である。この基準を抽象的レベ

ルで単一的に理解することは難しい。これには、州が規制に伴う私人の権利侵害を補填するために、様々な救済手法を考案していることも背景にあると推察できる。このように、規制手法の変化が連邦裁判所における収用をめぐる判断に

影響を与え、その結果、訴訟の成熟性に関する判断も、複雑かつ、予測の困難なものとなっているのである。

  本稿での検討の順序としては、二〇〇五年に

L in gle v . C he vr on

判決

理一の理法の用収な的般るよに裁高最たれさ示で 18

解を前提として、上述の収用をめぐる伝統的法理の展開について、簡単に整理を試みる。次に規制的収用をめぐる議論

  (一一七三)

(7)

環境規制は収用にあたるのか二四六同志社法学 六二巻四号

P en n C en tr al

判決を機に、どのように展開してきたのか分析する。   次に、土地利用をめぐる環境規制法制の特質を紹介し、とりわけ湿地帯の開発をめぐる規制の特徴を整理する。それに関連して、二〇〇一年、湿地帯の規制をめぐって連邦最高裁で収用補償を争った

P ala zz olo v . R ho de I sla nd

判決

に焦 19

点をあて紹介する。さらに、

P ala zz olo

判決以降、一連の連邦下級審判例において成熟性をめぐる議論がどのように展開しているのか、簡単に分析をくわえる。

  最後に、規制的収用をめぐる最高裁判所の論理について、現時点での考察を行う。また、今後検討を要すると考えている課題について、ここでは、要点のみ指摘しておく。

二  規制的収用(

regulatory takings

)をめぐる議論の展開   規制的収用をめぐる議論の経緯を考察する前提として、規制によらない収用(

ta kin g

)一般に関する議論の展開につ

いて、簡単に整理しておく必要がある。収用をめぐる伝統的法理は、それぞれの裁判所において主張された年代は異なっている。しかし、そのいずれの基準も、現代の判例のなかで通用するものとして維持されている。二〇〇五年の

L in gle v . C he vr on U . S . A ., In c.,

判決

をはの﹂用収的理物、﹁つ理一。う行を明説に単法で、経用利な用有に的済のあて全、﹁はめつ二。る簡てづ基に類分い れぐ類分の理法る用めを整収、はていがて理こ四たれさ示でこさ、下以。るいにお 20

禁じる規制﹂に関する法理である。これは、

L uc as

判決以降用いられてきた基準である。三つめは、上記二つの類型を除く事例に該当する﹁

P en n C en tr al

判決の枠組み﹂としての比較衡量の法理である。最後に、﹁

N oll an

判決、および

D ola n

判決における定式の基準に違反する場合の土地利用の厳格さ(

ex ac tio n

)﹂の法理がある。この二つの判決につい

  (一一七四)

(8)

環境規制は収用にあたるのか二四七同志社法学 六二巻四号 ては、本章

tr en al P en n C 2

とるす介紹、でろこのの展発⑶降以決判の。  

1

収用の伝統的法理

  合衆国憲法第五修正は、﹁何人も、正当な補償なしに、私有財産を公共のために収用されない﹂と規定している。こ の規定の解釈をめぐり、権限の移転に伴う狭義の収用から、物理的侵害(

ph ys ic al in va sio n

)、規制的収用にいたるまで、時代を経て、様々な変遷がみられてきた。しかし、原則的には、正当なポリス・パワーの行使とみなされる限り、州に

よる財産権の規制は収用にはあたらず、補償を要しないものと解された。一方で、規制が行き過ぎた場合には、収用とみなす方向から、近年、様々な判決が積み重ねられている。ここでは、このような議論の背景も含め、現在にいたるま

で、収用をめぐる基準が錯綜している状況に関し、

L in gle v . C he vr on

判決

。にる整理をもとに、簡単分て類し説明をくわえておくいれ示で見意さ 最のじめとする近年高連邦を裁判例の法廷は 21

⑴   物理的侵害( physical invasion )の法理

  一九世紀初期、財産権が政府によって直接的・間接的に侵害される機会(強制収用)は、少なかった。そのため、道

路や公共施設の建設のために私人の土地が強制的に買い上げられ、その所有権が政府に移るといった典型的な場合を除き、補償の支払いの必要性が問題となることは少なかった。そのため、憲法上の収用として補償が要求されるのは、こ

の基準のもとでは、政府が土地を物理的に直接的に権利として取得した場合に限られていた

壊破﹁の値価、は 内容の害侵的理物、に後。 22

er . L et to v or Te le pr om pt

準に件事るなと例先の基へのら、間接的侵害も﹂拡張していく。こか 23

M an ha tta n C A T V C or p.

判決がある

用けの設置を義務付たブことについて収ルー州ケの事件では、法。がアパートにこ 24

  (一一七五)

(9)

環境規制は収用にあたるのか二四八同志社法学 六二巻四号

が争われ、﹁政府がある者の財産に永続的な物理的侵害を負わせたと推定される場合、正当な補償を負わせなければな

らない﹂と判断された。

  近年では、物理的侵害の態様が抽象的レベルへと転じ、都市の再開発計画をめぐって土地が物理的に収用されること から、その規制目的の正当性について、裁判所における審査が求められている。その一例として、物理的侵害に伴う収用そのものの差止めが認められた

K elo v . C ity o f N ew L on do n

20 05

)判決もみられる

25

⑵   「全ての経済的に有用な利用を禁じる」規制をめぐる収用の法理

  一九九二年の

L uc as v . S ou th C ar oli na C oa st al C ou nc il

判決

住建の建設が禁止され一戸て合た宅の建設が不可能と場のっめたれわ争が用収てっぐを﹁い払支の﹂償補な当正な 、物、海岸線管理法により浸で食の危険から永住用の建は 26

。連 27

邦最高裁判所では、まず、公益にかかわりなく補償を要するとされた規制として、少なくとも二つの区別されたカテゴリーがあると述べた。その一つは﹁物理的侵害﹂を所有者に被らせる場合である。もうひとつは﹁すべての経済的に有

益で生産的な土地利用を否定した場合﹂であるとする。また、﹁有害な利用を妨げる規制と利益を与える規制との区別は、不可能とまではいえなくても困難なものである﹂、と言及した。そのうえで、本件は、後者のカテゴリーに属するもので、

﹁有害な利用﹂法理のもと補償が必要とされるカテゴリカル・ルールに該当するという判断を示した

28

  ここで、提示されたコモン・ロー上のニューサンスの法理から発展した﹁有害な利用(

no xio us u se

)﹂法理とは、﹁他

人の物を害する﹂有害な利用は、どのような損害が生じようとも排除されてしかるべきとする法理のことである。同時に、この法理は、ポリス・パワーは公共の害悪を排除するために政府に与えられた権限という考え方も基礎にもつ。そ

のため、政府が規制に伴ってくわえた制限は、土地利用の﹁悪性﹂に基づくため、補償の問題は生じない。すなわち、

  (一一七六)

(10)

環境規制は収用にあたるのか二四九同志社法学 六二巻四号 制限を受ける者の財産権の性質に着目し、有害な土地利用の規制とそうでないものを区別し、前者には補償が不要、後者には補償が必要とする考え方である

29

⑶   比較衡量の法理の定式化

  上記二例にあてはまらない事例は、概ね

P en n C en tr al

判決において提示された比較衡量(

ba la nc in g

)の法理の枠組みのもとで説明される。この法理はもともと、価値減少テストに端を発し、そこで基準とされた価値のあいまいさに対 する批判に対応するなかで、生成された。ここでは、価値減少テストから比較衡量テストへの展開に焦点をあて、現在、収用をめぐり最高裁判決の指導的先例とされている

P en n C en tr al

判決が導き出されるにいたった背景について説明す

る。

ⅰ  価値減少(

diminution in value

)テスト   大部分の土地利用規制は、本来は﹁無害﹂(

in no ce nt

)な各種の土地利用の相互の相関関係から発生する問題を解決

するという状況にあった。この基準は、立法部の行う規制が相対立する価値に対して示す選択的判断であるとの認識に

合致する基準として、打ち出された。政府による侵害の態様が(直接か間接か)という点や、制限を受ける財産権の性格によって区別することなく、財産権に対する侵害の程度のみに着目していた。ここで要求されたのは、政府による財

産権の間接侵害一般に対し、それがある限度を越えることを禁ずることであった。主要な判決としては、

P en ns ylv an ia

C oa l C o. v. M ah on

判決

た財は、制限を受ける産と権が﹁有害﹂であっでもおのる。この判決にいがて提示された基準あ 30

としても、ある程度以上の制限には補償が必要とされた。その限りで、財産権保護の範囲を拡張する基準であった

31

  (一一七七)

(11)

環境規制は収用にあたるのか二五〇同志社法学 六二巻四号

ⅱ  比較衡量の法理   その後、﹁価値減少﹂テストの問題点を解決する法理として、比較衡量の法理が

P en n C en tr al

判決を通じてみられるようになる。この法理は、問題となっている規制によって実現される公共の便益の総量と、これに伴って一部の私人に 生じる損失の総量とを比較考量し、後者が前者を上回る場合に、その規制を﹁収用﹂とし、違憲・無効とする基準である。特徴としては、ある社会的目的の達成のため制定された立法が、その社会的費用を上回る社会的便益(

pu bli c ut ilit y

)を産むものであるのか否か、換言すれば、目的達成のための懸命な手段であったか否かという視点が新たに導入されている。この点で、﹁価値減少﹂法理のもとでは、﹁実質的価値減少をもたらすような規制は採用しえない﹂、と

される難点を、目的達成の懸命な手段であれば規制の採用が可能になるという理由から、理論上克服している

32

  その後、規制による収用を是認し、補償を認めるだけでなく、規制に伴う原告への新たな手法による救済を講じるこ との是非を争った

N oll an v . C ali fo rn ia C oa st al C om m iss io n

判決

ola D ar ig T v. n d

判年決四九九一、の 33

or Y tio n C o. v. N ew k ns C ity P en n C en tr po rta ra n T P en al C tr al en

と定の自独るな)いう異との組枠決み式判下以(、は、 すが登場こる。こで 34

化が試みられた

35

 

ew tio ity C k or Y N v. o. C n rta 19 po ns ra T al tr en C n en P 78 2

()判決前後の議論の展開   上述してきたように、一九七〇年代以降、規制的収用が認められるようになるまで、収用をめぐって様々な事例が裁

判所において持ち込まれ、議論に新たな広がりが見られはじめた。これには、一九六〇年代から、あいついで制定された土地利用に関する多くの規制の影響が大きく関係している。そこで、以下では、近年の収用をめぐる連邦最高裁判決

においても指導的先例となっている

P en n C en tr al

判決の登場の前後で、規制的収用をめぐる連邦最高裁判決の動向にど

  (一一七八)

(12)

環境規制は収用にあたるのか二五一同志社法学 六二巻四号 のような変化があったのか、改めて整理しておくこととする。

⑴   Penn Central 判決以前の連邦最高裁判所の態度

  一九二六年の

V illa ge o f E uc lid v . A m ble r R ea lty C o.

判決

所〇判裁高最邦連、でまば半年七九一の後間年〇五約、降以 36

において、規制的収用をめぐる議論はほとんど事件として取り上げられることがなかった。この

E uc lid

判決は、ゾーニング条例

入お合衆国の一部の都市にいリてゾーニング条例が導カメたア当性について争われ事の件であった。当時、正 37

され、比較的間もなかった。原告は、この条例によって、建築に制限が加わり、自己の財産権の価値が減少したことから、法の適正手続きのもと財産を処分することができなくなったと主張した。しかし、裁判所は、ゾーニング条例の目

的が公共の福祉の増進であることから、規制は、州の有するポリス・パワーの範囲にあたるとする。そして、その範囲は、環境や条件によっても変化するものと評価したうえで、本件においては当該規制そのものを有効なものと判断する。

また、ニューサンスの適用についても一応考慮するが、ニューサンスの法理は、規制そのものの正当性について判断するものではなく、規制の個別的な適用の範囲を識別する際に用いられる基準にすぎないとした。また、﹁ゾーニング条

例が違憲であると宣言されるためには、あらかじめ当該規定が公衆の衛生、安全、モラルあるいは一般的福祉と実質的

にかかわりをもたないものであることが言及されなければならない﹂と示した。そして、恣意的独断が立証されない限り、条例の適法性が推定されるべきであるという要件を提示した。このように当時は、よほどのことがない限り当該条

例に対する収用の適用は認められなかった。

  この判決以降、特別な場合の規制的収用の事件を除いては、連邦裁判所の判断の対象となる訴訟はほとんど提起され ていない。そのため、この間、土地収用(

ta kin g

)の理論的発展に影響を及ぼした判断はさほどみられなかった

。しかし、 38

  (一一七九)

(13)

環境規制は収用にあたるのか二五二同志社法学 六二巻四号

一九七〇年代後半に、いくつかの劇的変化がみられた。この変化の最初の口火を切ったのは、

P en n C en tr al

T ra ns po rta tio n C o. v. N ew Y or k C ity

判決

。官ト裁判である

n en tr al en P C

た執筆しキレーンス見を、意す(以下、判決とる対)において反 39

⑵   Penn Central 判決の概要

  この

P en n C en tr al

判決は、ニューヨーク市の歴史的建造物保存条例の制定に伴って生じた建築物の開発の問題を扱った事件である。ニューヨーク市の歴史的建造物保存条例は、歴史的建造物やその近隣の地域についてその歴史性を破 壊したり、基礎から変更したりするような軽率な決定からの保護を定めた規定である

認び観を良好な状態に保つこと、及、のて承に前事、はし外際に更変の観外物地た的建に指定され区土の権利者は、地 史のような歴や的建造物歴史。そ 40

を受けることを義務づけられた。本件では、

P en n C en tr al

駅が、歴史的建造物保存条例に基づいて歴史的建造物として指定されたため、原告となる権利者に対して、その建物を建て直す許可が下りなかったことが問題とされた。そして、 その補償の一環として、原告には、移転できる開発権(TDR)が与えられた。しかし、原告は、本件条例が、補償なしの収用であって、違憲無効であると主張した

41

  本件の争点としては、一.ニューヨーク市の条例によって課されている開発に対しくわえられた制限が﹁収用﹂にあたるか、二.もしこれが収用にあたるとすれば、原告に与えられた移転しうる開発権は修正五条にいうところの﹁正当

な補償﹂にあたるのかという点であった。

  これに対し、連邦最高裁判所は、①経済的インパクト、②合理的な投資に裏付けられた期待への実質的な干渉の程度、

③政府行為の資質の三つの要因を比較衡量の要素とした

区.﹁るあは論議るす関に用収、一は裁高最邦、連でえうのそ。 42

  (一一八〇)

(14)

環境規制は収用にあたるのか二五三同志社法学 六二巻四号 画﹂の土地全体(

pa rc el

)を論じるものであって、その﹁区画﹂の上空部分(に対する権利)といった﹁断片﹂を論じるべきものではないとした

起産によって原告の財が規重大な価値減少を制.す二して、上空に関る。権利を否定し、そ 43

こしていることについて、本件条例を市内全域にわたる歴史的芸術的利益をもった建築物を保持するという包括的プランの一部としての土地利用規制と位置付けることで、差別的ゾーニングとは異なると述べた

。また、三.コミュニティ 44

内すべての建物に同じような制限を課すゾーニングや歴史的地区条例と違い、規制の利益と負担の公正で公平な配分が欠如していることも一般的福祉を促進する立法にはよくあることであるとした

とに﹂用収、﹁ていお件本、で上のそ。 45

いえるほどの財産権の侵害があるか否か議論をした。その結果、本件条例が現在の土地利用に介入しておらず、﹁移転しうる開発権﹂によって原告における負担が和らげられているとし、収用の成立を否定した

46

  反対意見では、レーンキスト裁判官が、ホームズ裁判官の﹁のぞましい変化による損失が誰の肩にかかるか﹂という問題意識を鮮明に述べ、

P en n C en tr al

駅の開発を制限する規制があたえる損失を個人に被らせるべきか、公的な負担と

して、ニューヨーク市民全体に負担させるべきかという点を明らかにするべきであるという議論を展開している。

⑶   Penn Central 判決以降の規制的収用法理の発展

  一九七八年に提示された

P en n C en tr al

の判決において提示された上記基準は、﹁固定的ルール﹂でも、﹁決まった公式﹂でもない曖昧な基準として、維持された

司と定まったものし準て提示しようとを基八。こ、期初代年〇の九一、でこそ 47

法的努力がみられた。その試みの一つとして捉えられる事件に

A gin s v. T ib ur on

判決

事償ニング条例について、﹁正当な補﹂ゾでたっ争とるあ用な収的制規のしーのスを体ースの確保ペ規している自治定 件る。この事プは、オーン・があ 48

件である。この条例により、原告は所有する五エーカーの土地に五軒までしか一戸建て住宅の建築ができないとされた

49

  (一一八一)

(15)

環境規制は収用にあたるのか二五四同志社法学 六二巻四号

連邦最高裁判所では、このゾーニング条例が収用にあたるか否かという点につき、①規制が正当な州の利益を実質的に

促進していない場合

地土いてれさ定否が用利合な場能可現実に的済経②やる 50

おンの性当正はグニるーゾらか来従あ規的がてきてれさ示断制判ういとるあでに般に連た。さら、邦最高裁では、①一 あるた示に用収と、しいう判断基準をには 51

主。も用利の良最は告原③る産いてけ受を益利も告原ら財権例ならか来従、上のそ。いいのてれらげ妨も性属的本基か 条守がか響影の化市都を民市的該目の例条もていおに件らる、言当②、にらさ。たし及ととるあで当正でのもうい本 52

張していた住宅目的で土地を開発できることから合理的な投資期待を追求できるという三点を理由に、収用の成立を否定した。

  このように

A gin s

判決では、

P en n C en tr al

判決で提示された要件に加え、規制そのものの性質に着目し、正当な州の利益を﹁実質的に促進(

su bs ta nt ia lly a dv an ce

)﹂しているか否かという要件を新たに追加した

。その後も、連邦最高裁 53

判所は、

A gin s

判決の要件を前提とした上で、一九八七年の

N oll an v . C ali fo rn ia C oa st al C om m iss io n

判決

、一九九四年、 54

D ola n v. T ig ar d

判決

。的るす加追を件要な体具にらさ、ていおに 55

 

N oll an

判決の概要は、以下のとおりである。原告(

N oll an

)は、海岸沿いのバンガローを新しい家に建て替え、拡張するための許可を海岸委員会(

C oa st al C om m iss io n

)に求めていた。それに対して、委員会は、新しい家が海の眺望へ のアクセス(

vis ua l ac ce ss

)を妨げるという理由で、海岸への公衆のアクセス(

pu bli c ac ce ss

)の確保を義務付けている規制のもと、二つの公共の海岸を結ぶ原告の土地の一部に地役権(

pu bli c ac ce ss

)を付与することを求めた。これに

対し、原告が、この規制による地役権の付与を﹁正当な補償﹂なき規制的収用であると訴えた。連邦最高裁は、条件と規制との間に﹁基本的な関連(

es se nt ia l ne xu s

)﹂を欠き、委員会は、﹁正当な補償﹂なしに、この条件を原告に課すこ

とはできないと判示し、補償を認めた。

  (一一八二)

(16)

環境規制は収用にあたるのか二五五同志社法学 六二巻四号   また、

D ola n v. T ig ar d

判決

ためこるす供提を地土にたがの道車転自と道歩びともお用っ争が告原とるあで収とを件条のこ、れらめよ道歩遊の生芝 の対に請申の装舗可場車すと張拡の店、駐条る和の共公にめたの緩許雑混、てしと件では 56

事案である。連邦最高裁は、

N oll an

判決を重要な先例とした上で、正当な州の利益と許可条件の間に﹁基本的な関連(

es se nc ia l ne xu s

)﹂が必要であるとした

整性基本的な関連はれ、﹁大まかな均るさ五。要てっよに正修求第、で上のそ 57

のとれた基準(

ro ug hly p ro po rti on al te st

)﹂であるとし、数学的な計算は必要ないが、要求された土地提供が計画された開発へのインパクトの性質とその程度の両方において﹁合理的関連性﹂があるよう許可条件の決定を個別に実施しな ければいけないという基準を創出した

関達と響影るえ与に成のほ的目制規の府政と可がぼ発のに的接直はと制規と均もとも、ばれあで等許開が件条るす加、 土規法立るす制地を用利も土、はれの地とを付に際るえ与可で許に者有所。、こ 58

係のない条件が認められるというものである。

  このように、政府の規制に服さない開発計画を許可することと引き換えに、当該土地の権利者に代替地や地役権

ea se m en t

)の提供、あるいは損害軽減費用(

m iti ga tio n fe e

)の拠出などをみとめる条件を課す手法は、一種の政府との間の利益交換の原理である

qu id p ro q uo

の原則で容認され、合憲性の基準を高めてきた

ola N n

。その一方で、判決の 59

ように課された条件の一部を違憲とする判決もみられた。

D ola n

判決は、この規制目的と許可に伴って課された条件

co nd iti on

)との間の基本的な関連性(

es se nt ia l ne xu s

)に加えて、条件が規制目的の達成に与える悪影響と﹁大まかな均整のとれた基準(

ro ug hly p ro po rti on al

)﹂でないといけない、とした。これにより、政府に、規制に伴う条件の合

憲性について新たな挙証責任を付け加えられている。

  以上、見てきた判決が出された時期は、一九八六年、スカリア裁判官の任命によって規制的収用法理が強化され、一

九九一年、トーマス裁判官が最高裁判所の裁判官に就任したことから、連邦最高裁判所の裁判官の大多数が規制的収用

  (一一八三)

(17)

環境規制は収用にあたるのか二五六同志社法学 六二巻四号

に関する事件に強い関心をもちはじめた時期にあたる。その後の二〇年間は、最高裁判所においても、土地収用に関す

る議論を数多く取り上げ、審理を行っている

. P nd sla I de ho R v olo zz ala

規地湿点けにわり制ど焦問をあて、がのよ題て浮二決判の年一〇〇、かかるいなっが上びう 環とのなかでも、次章では、特に、境。規制をめぐる事例に着目して、そ 60

61

を中心に成熟性の観点から分析していくこととする。

三  環境(湿地)規制をめぐる収用の議論  

1

規用利地土るけにお制規境環の邦連制

⑴   環境分野における各種土地利用規制の態様

  二〇〇〇年代に入り、環境規制をめぐって、特に湿地帯の開発をめぐって訴訟となる事件が頻発している。湿地帯の規制には、どのような特徴があるのか。他の規制と比較しつつ、ここで若干の整理を試みておきたい。もともと、連邦 政府には、国有地を維持管理する責任が課されてきた

定理で題問の害侵的物るたきて見に先がれあ。。湿想ていおに帯地、た合場のく多、しだこた合きてれさ起提に場るす 用が訴訟の収統で味意な的、は直連邦政府。接的に土地を没収伝 62

されてきた連邦の規制は、直接的に土地を徴用するものではない。

  他方、連邦の行政機関のEPAなどの政策が、私的当事者の所有している土地の利用や管理方法に対して深く影響を

与える規制が近年しばしば問題とされてきた。湿地規制はこれに属している。すなわち、連邦の政策を州が採用し、実施に踏み切った場合、この規制が、私的当事者の財産価値に強く影響を持つ。この規制から生じる損失に対する補償や

代替措置を争うのが、規制的収用をめぐる訴訟の特徴といえる。伝統的に、州が行ってきた私的当事者の管理している

  (一一八四)

(18)

環境規制は収用にあたるのか二五七同志社法学 六二巻四号 土地に対する規制を、一九七〇年代以降、連邦の政策としてニクソン大統領が提示し、立法化を進めてきたことに端を発している

促との基金を付与するこに多よって、政策の実施を額、政ての時期以降、連邦の策。に協力する州に対しこ 63

進するという手法が多くとられた

64

  環境規制の観点でみると、環境保護庁(以下、EPAとする)より提示された大気浄化法の改正案が議会の政治的抵 抗により、否決されるなど一筋縄で受け入れられるものとはいえなかった

、政ともの法手的行、の邦連なまざまで多、れもとっも。たら大えわくが響影なさて態い利用の形に関する州の政策につ 改律法、、しかが正土難航する一方で。地し 65

土地利用を直接的に規制する連邦法は、この後も、ほとんどみられない

66

  湿地帯をめぐる規制については、CWA一〇一条

一〇四)、項事止禁(条条三一)、法方行執と準基(〇 67

(州の認証)、 68

四〇四条

が採るいてれさ択 湿〇州においても、プ地規制の、ログラム五け。う出物)が規定されているま(た、このCWA四〇一条を排 69

70

  他の連邦環境法においても、直接的ではないけれど、土地利用に対して多大な影響を与えている法律がある。海岸線の管理計画法(

C oa st al Z on e M an ag em en t A ct

)では、海岸線の保存に関する計画を州に採択させることを促進し、こ れに矛盾しない形で、連邦機関が州の計画を尊重することを義務付け、基金も導入している

。一方で、海岸資源保全法 71

C oa st al B ar rie r R es ou rc es A ct

)は、入り組んだ海岸地帯における開発に対して、連邦の基金を導入せず、開発に対して消極的な規制にとどめている

72

  有害な物質の廃棄に要する費用を補填する包括的環境対処・補償・責任法(CERCLA)の責任スキームは、汚染された産業用地の再開発を困難にしてきた。このことは、EPAに対して、将来の責任への関心を補償する潜在的開発 者を規定している﹁ブラウンフィールド﹂の開発を促進する計画の発展に拍車をかけている

73

  (一一八五)

(19)

環境規制は収用にあたるのか二五八同志社法学 六二巻四号

  絶滅危惧種の保存法(ESA)は、絶滅危惧種のリストにある種のいくつかの﹁収用﹂することを禁じるために都市

の特定の場所における開発決定に影響を与えている。生物の保全計画が求められる重要な許可がない限り、絶滅危惧種は、危害を加えられ生息地の変更を求められない。生息地保護計画の開発は、絶滅危惧種が見つかった場所の土地利用

計画の内容へと組み込まれている

たにーパの物生生野﹁者ナ有所地土全する的めトー私等るいてて立を画計のう﹂らもてし録登てしと、 F野関機の物生生び保及類魚のカリメ(W。種を家棲的在潜の惧S危滅絶、はで)ア 74

75

  また、他の多くの連邦のプログラムも同様に、私的土地利用決定に影響を与えている。連邦の災害救済プログラムは、洪水の氾濫原である約一億八〇〇〇万エーカー、(すなわち、アメリカ合衆国領の七%の土地において)過剰な開発を 促進させることを禁じている

コとま集が心関に点ういた、し化悪層一が害被、り開っ洪のかつくい、らか水。発たっま高が判批のへてよにとこるす は及ピッシシミ、ーで水び大の年三九九洪リミ洪を減削の域地水然ズ自、はで流上川。一 76

ミュニティを保護する努力は、現実に、他の局所的な被害を悪化させた。だが、内部機関の洪水の氾濫原管理審査委員会の報告書によると、連邦の洪水統制プログラムは、全体的な洪水の損害を軽減させている。一九九三年の洪水の結果、

連邦政府は、緊急湿地保全プログラムにおいて湿地として記録された土地を保全するためのインセンティブとして、一、二〇〇〇以上の洪水による被害を受けた場所の財産を算定し、その被災者に対して支払うための基金を創設した。また、

議会は、一九九四年に、国家洪水保険計画を変更した。この変更には、良好な氾濫原管理プログラムを定めたコミュニティにおいては、保険の掛け金を減額し、氾濫原に住む者については、それに応じた多大なリスクを負担させることに

ついて選択を迫るものであった

合混るいてじ禁、をとこるすを 氾全保の能機的然自の原濫にこかっとも、連邦議会は、の。保険計画の料金体系のなも 77

るなくの環境規制のか、で、新たな州によ多とのものように連邦政。策による誘導のこ 78

土地利用規制が実施されてきた。

  (一一八六)

(20)

環境規制は収用にあたるのか二五九同志社法学 六二巻四号

⑵   湿地規制の変遷

  なかでも湿地規制における損失補償をめぐる立法は、一九六〇年代半ば以降、環境問題の登場とともにいくつかの州 において制定された。湿地(

w et la nd

)とは、そもそも、一時的、断続的または継続的に浅い水でおおわれた低地を指し、沼地(

bo g

)、潟(

la go on

)、湖、池、潮の干潟のある沼沢地(

tid al m ar sh

)などをその例とする。湿地には、魚鳥類の

保存、洪水の防止、空気や水の汚染防止などの多様な役割がある。湿地開発の規制は、洪水の防止を目的とする場合もあるが、多くの場合、魚鳥類などの自然資源の保存を目的としている。この点で、湿地開発の規制は、上述の氾濫原開

発の規制とは異なっていた。

  一九七五年、モデル土地開発法(

A M od el L an d D ev elo pm en t C od e

)において、訴訟を通じて土地利用一般につき損 失補償の道を開くことを立法により明確化する提案が行われた。その後、徐々に法律の整備が試みられた

制る規まについて、見べ償き成果を上げた州法付補あ〇いなれら見り一九八年て代の時点では、総じは 、もとっも。 79

。その後、補償 80

付規制の執行の困難さを問題視して、様々な訴訟の提起がされる。湿地規制は、この点でもたびたび争われた。

  湿地開発の規制に関する州裁判所の判決は、規制後に合理的、実用的、または利潤のあがる用途がのこされていない

ことを理由として、無効判断が示される傾向にあった。しかし、一九七〇年代に入ると、自然資源の保存や公衆の衛生

と安全の保持にとっての湿地の重要性を強調して、湿地開発の規制を支持する州裁判所の判決がいくつかあらわれてくる。なかでも重要なのが

Ju st v . M ar in et te C ou nt y

れ所さなみと用収が制規るあ、は判裁州、で決判のこ。るあで決判 81

るか否かを決定する際には、価値の減少を考慮しなければならない。しかし、その際に、公的権利への害悪を生じさせるような土地の性格変更に基づいた価値は、考慮すべき本質的または支配的な要素とはみなされない、と判示した。さ

らに、

Ju st

判決は、財産権を土地の投機的価値を排除して、自然状態での土地の価値だけを考慮するよう示唆して

  (一一八七)

(21)

環境規制は収用にあたるのか二六〇同志社法学 六二巻四号

いる

わま考慮にいれるよう、さざ値まな形で議論の提起が行も価て的の点は、現代におい、。多くの批判もあり投機こ 82

れている

代全代るすと能可を施実の保案地湿、ていづ基に条四替が四るに仮、たま。たれさとじな禁をて立め埋、り限い〇AW 示断判な確明だまい、はていつに論議のこ、しかはさ。こC、はていおに決判の、れもとくな少。いないてし 83

替案が認められるとしても、埋め立てそのものが絶滅危惧種を脅かさず、水環境に著しく害を及ぼさないものへと限定されていた。

  その後、一九八七年の陸軍工兵隊のマニュアル、一九八八年のマニュアルのなかで、湿地帯の保護区に対する重要な言及が行われた。一九八九年のマニュアルでは、農業および石油への関心から、CWA四〇四条の範囲が拡大した。一

九九一年のブッシュ政権では、湿地帯の保護地区を劇的に削減した。この削減の理由書について、一部の科学者は、調査不足により削減理由が不明確であると異議を唱えたが、EPAはこの削減を一九八七年のマニュアルに基づくもので

あり、NAS(

N at io na l A ca de m y of S cie nc es

)による湿地研究が行われているため妥当であると主張した。その後、一九九五年以降は、湿地帯の性格に関するレポートをNASが公開し、国家的研究委員会の湿地に関する特徴および境界 等について詳細な説明を行っている

84

 

2

判の近最るぐめを用地利土くづ基に制規地湿例   このように湿地規制は大きな変遷を遂げてきた。二〇〇〇年代に入ってから、相次いで、湿地規制をめぐる収用

ta kin g

)を争う判決が見られる。ここでは、

P ala zz olo v . R ho de I sla nd

20 01

)判決

。体うな影響を与えているのか、具的のいるすにとこくて事みてじ通を例よどをれ制にぐって争わめてる下級審判決い のける成熟性湿議論が、地規にお 85

  (一一八八)

(22)

環境規制は収用にあたるのか二六一同志社法学 六二巻四号

⑴   Palazzolo v. Rhode Island ( 2001 )判決

【事案の概要】

  のちに原告となる

P ala zz olo

の会社(SGI)は、海岸沿いの湿地帯の土地を購入し、土地全体の埋め立てを計画していた。この湿地帯は一九五九年時に当該会社が購入したもので、満潮時に冠水する塩水性の湿地であった。これにつ

き、SGIは、一九六二年、州の港湾河川課に対して、土地全体に埋め立てを行い、開発をするための許可申請書を提出した。一度、書類の不備により、申請書が返却される、一九六三年、再び原告は、①防水壁の建設、池の浚渫、土地

の埋め立ての申請を行う。次いで、一九六六年、②ビーチに娯楽施設を建設するための地域の埋め立ての許可を申請した。一九七一年四月、港湾河川課は、これらの申請を許可する決定を行い、①もしくは②のいずれかを選択するよう示

した

、会よてし設創を員岸委理管源資岸海海のり権たいてえ与を限う湿行を制規の帯地、 州に法立、はドず一に月一一年一七九、ン後直のそ、がろこいれ。年ライア・ドーロ、同の。たし消り取も可許と 86

岸後海は会員委、年六らかれそ。 87

資源管理計画を発表し、委員会が﹁特別の例外﹂に該当すると認定する場合以外には、海岸の湿地帯への埋め立てを禁止した。翌一九七八年、SGIの株式会社設立許認可状が、法人税の滞納により無効となり、土地の権限はSGIの唯

一の株主である原告(

P ala zz olo

)に帰属することとなった

88

  一九八三年、原告(

P ala zz olo

)は池沿いに防水壁を建設することと湿地帯のうち約一八エーカーに埋め立てをすることの申請書を提出した

請申なし可許をたのっこは会員委。か 89

ー地ビ、てしをて立め埋に帯湿、は告原、年五八九一。 90

チに娯楽施設を建設する申請書を提出した。一九八六年、委員会は﹁特別な例外﹂に該当しないと言って許可しなかった。原告は、この不許可処分が州の行政法違反であるとして、州裁判所で争ったが、委員会側の決定が支持された。原

告は、州の湿地帯への規制が補償なくしてなされた財産の収用に該当するとして、ロード・アイランド州の裁判所に対

  (一一八九)

(23)

環境規制は収用にあたるのか二六二同志社法学 六二巻四号

して、収用補償請求の訴訟を提起した

と筆原告は、七四ので土地の埋め立て、所て判件の経過としは。、州控訴審裁事 91

宅地開発により受けるはずだった利益から損害額を三一五万ドルであると主張したが、非陪審審理により敗訴した

92

  ロード・アイランド州最高裁判所でも、控訴審と同様の以下の四点の理由により訴えを退けた

。①原告が湿地帯にお 93

ける許可を求めた際に、その土地において埋め立てや池の浚渫以外に何を計画していたのか明確ではなかったため、訴えに成熟性がないこと、②SGIから承継した一九七八年に先行する規制に対して原告には、争う権利がないこと、③

原告の財産のうち、高台部分における開発の価値二〇万ドルがあるため、経済的に有益なすべての土地利用が否定されたという主張は認められない。また、④原告が土地を取得する以前に規定された規制により、合理的な開発の利益が失

われたという主張は認められないという理由であった。その後、原告は上訴し、移送手続き(

w rit o f c er cio ra ri

)により、連邦最高裁判所で本件が取り上げられた。そこでは、ケネディ裁判官が法廷意見(レーンキスト、スカリア、トーマス 裁判官が同調、オコナー裁判官は一部意見)を執筆し、破棄差戻しの判決がだされている。反対意見の立場を示したものには、ギンズバーグ(ブライヤー裁判官同調)、スーター、スティーブンス裁判官がいた

。連邦最高裁において、主 94

に争われたのは、①成熟性の成否、②規制後の財産獲得者による収用補償請求の可否、③収用の成否についてであった。

【判断】

  ①②に対しては、破棄差戻し、③収用の成否については、維持という判決が示された。

  そこで、以下では、州最高裁の成熟性がないとした判断に対して、差戻しをした法廷意見と反対意見を提示したギン

ズバーグ裁判官の見解に着目して、成熟性の問題について整理を行う。

  (一一九〇)

(24)

環境規制は収用にあたるのか二六三同志社法学 六二巻四号 [成熟性をめぐる議論]  法廷意見は、州裁判所で認定された収用について争う以前に、合理的な手続きを利用する余地があるという判断を覆

し、成熟性については破棄差戻しの判断をしている。

  収用を争う訴訟の成熟性については、

W illi am so n C ou nt y R eg gio na l P la nn nin g C om m isi on v . H am ilt on B an k of Jo hn so n C ity ,

19 85

)判決

用計たし定決の会員委画用ー利地土の州ーシネテゾニり、収きづ基に正修五第てンし対に更変の画計グ、な告原が者と

illi y W so n C ou nt am

はさ示された基準に基づいて判断れ決る。この有所での地団宅住、判提 95

を争った事案である。そこでは、成熟性の判断について、⑴問題となっている財産権に対する規制の施行が最終的に政府によって認められ、適用が確実であること。⑵原告が﹁州の定めている手続きを通じて補償を﹂求めていること、と

いう要件が提示されている。特に本件では、⑴の要件のうち計画が最終決定されているかどうかという点について、問題とされている。本件についてみると、原告は一九八三年および一九八五年の時点で委員会に開発の申請を否決されて

いるため、最終決定は出されている。また、⑴の基準をさらに踏み込んだ判断を示している

M ac D on ald S om m er &

F ra te s v. Yo lo D ou nt y

判決

際請大規模な計画を申し者て不許可とされたが発こ開件を検討した。のの判決では、土地要 96

に、当該土地のより小規模な残地利用の可能性が残されているかどうかという要件が提示されている。そのうえで、規

制の影響をうけない高台部分の土地の価値については、州裁判所の二〇万ドルとした評価を妥当と判断して、最終決定が行われているとみなした。

  これに対し、反対意見では、訴訟記録の不正確さを強調し、高台部分の孤立した丘への開発の可能性についても否定できないと述べ、成熟性を問題としている

L uc as

るの連邦憲法上を救済み求めてい、での下の用適の決判件事、たま。 97

原告の主張が、

P en n C en tr al

判決の問題を新たに提起し、主張を追加していることに疑念を示している。

  (一一九一)

(25)

環境規制は収用にあたるのか二六四同志社法学 六二巻四号

そのため、

P en n C en tr al

判決の要件については、法廷意見では、成熟性の点で下級審において十分な審理がつくさ

れていないとして、意見が差し控えられている。しかし、同意意見を執筆したオコナー裁判官は、﹁投資に裏付けられた期待﹂の要件を、裁判所が収用補償の請求を認める上で考慮しなければならないファクターの一つとして理解を示し

ている

。は主張が妨げられることな及るいていし言もと﹂

P al tr C n en en

っ力限権、後たじ生を効取が制規の州﹁たま。を得ての、もをとこたし判決の基準に基づく原告 98

⑵   小括

  このように

P ala zz olo

判決の成熟性は、

W illi am so n C ou nt y

判決

適産制規るす対に権財施るいてっなと題の行①よ、れらめ認てっにが府政に的終最﹁問、っつなたのは二の要件のうち 要もに件いたれさ示づとるき判断されてで。問題と提 99

用が確実であること﹂である。﹁最終決定﹂されているかどうかという点については、

M ac D on ald

判決

規と模な計画を申請して不許可さ大れた際に、当該土地のより小規が準示に踏み込んだ基者提がさ土発開れ地。るいて にらさ、ていお 100

模な利用の可能性が残されていないことである。連邦最高裁でも特に

M ac D on ald

判決の基準をめぐって、高台部分の

P ala zz olo

の開発の余地の残されている土地をどのように評価するべきか見解が分かれた。法廷意見は、この土地に対

する評価はすでに定まったものであると判断し、成熟性を認めた。

  成熟性について判例の要件や基準を提示している

W illi am so n

判決、

M ac D on ald

判決、

P ala zz olo

判決は、いずれも

L uc as

判決の枠組みの下で、収用を争った事件であった。成熟性をめぐるその後の下級審においても、

L uc as

判決の枠組みの下で、多くの訴訟が争われている。そのため、

P en n C en tr al

判決の枠組みのもとでも、同様の成熟性の判断が

用いられるかどうかは、連邦最高裁判所の判断を見る限り、判然としない。この点、

P ala zz olo

判決においても、連邦

  (一一九二)

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