トルコ語のナゾナゾ分析
城 生
伯太郎
1可 ばじめに
筆者の開講している大学院「一般言語学研究」に,今年度はたまたまトルコ
共和国からの留学生Deni z B6kes oy(デニーズ・ビョケソイ)さんが参加し
ているので,現代.トルコ語の記述言語学的研究を行なうのに絶好の機会と考え
た。そこで,Deni z さんにインフォーマントとしてご協力を頂き,トルコに古
くから伝わる口承文芸の一分野をなす「なぞなぞ」の分析を行なうこととした。 なぞなぞを選んだ理由は,主に以下に掲げる4点にある。
(1)口承文芸の一分野をなすところから,外形に現れた構造にみごとな整合 性がある。すなわち,端的に述べれば音韻面に整然とした体系性が見られ
ることが予測される。
(2)なぞなぞは,表向きは遊戯的側面を露呈しているが,反面長い年月を掛 けて積み上げられてきた民衆の知恵と生活臭が,短い言語形式の中に凝縮 されている。従って,記述されたデータが単なる言語学的資料に留まらず, 文化人類学的,歴史学的資料としても価値を持つ。
(3)モンゴル語やトウンダース語など,他のアルタイ諸語との対照研究を行 なう際に,共通したコーパスとして極めて短く,しかも体系的によくまと まっているために,利用価値が格段に高い。
(4)インフォーマントにとっても比較的興味が持てる題材なので,献身的な 協力をしてくれているインフォーマントに退屈をさせないで済む。
2コ 方法論
本研究に用いた方法論は,大きく分けると3種類になる。
城生伯太郎
頂いたDeni z さんの肉声を,I PAによって調音音声学的観点から記述する。 第2は,J akobs on(1960)によるいわゆるPoet i c al anal ys i s の適用で,資 料の音形面に特段の注意を払った記述を行なっている。具体的な着眼点を,同 著訳本である川本茂雄監修(1973:193)より一部引用すると,
「アイクを愛す」“ I l i keI ke” /ayl ayk
ayk/という簡潔な構造の政治ス ローガンは,3偶の単音節語から成り,3個の二重母音/ay/を数え,そ の各々には/… 1… k… k/と一つずつの子音が均斉的に続く。3語の組成は 変化を見せている。第一の語には子音音素が含まれず,第二の語では二重 母音をはさんで二つの子音音素があり,第三の語では語末の子音が一つあ る。同じような/ay/という支配的核音の存在を,ハイムズはキーツの若 干のソネットの中に,指摘している。*1)“ I l i ke/I ke” という3音節の文句 の二つのコ一口ン(c ol on)*2)は互いに脚韻を踏み,韻を踏む二語のうち 第二のものは第一のものの中に完全に包まれていて(こだま式押韻,すな
わち/1ayk/−/ayk/で),対象を全的に包み込んでいる感情の瀬音法的な 映像を成している。二つのコ一口ンはまた互いに頭韻を踏み,二語のうち 第一のものは第二のものに包含されて,愛する主体が愛される客体によっ て包み込まれていることの類音法的映像になっている。この選挙用キャッ チフレーズの副次的な詩的機能が,その重みと効きめを補強しているので
ある。
車1)Del l Hymes ,“ Phonol o由c al As pec t s
of S七yl e:Some
Eng−
1i s hSonnet s ” ,β秒geよ花エα乃gα聯,pp.109−131. *2)c ol on:詩の一行中で,韻律上一単位となる部分。
となる。すなわち,個々の子音や母音に注目するのではなく,それらの連鎖 に注目することによって,プロソデイーのレベルから全体の音韻構造を腑撤し
ようとする視点がこれである。
なお,筆者もすでに城生伯太郎(1984)において,モンゴル語を対象とする 同種の分析を試みてはいるが,同書が学術論文ではなく一般読者を対象とした
ものであったために,徹底した分析は行なっていない1)。
トルコ語のナゾナゾ分析
音響音声学的方法によって解析し,調音音声学的記述の裏づけとした2)。
3。インフォーマントおよび資料の記述方針
3.1 インフォーマントのフェイスシート
記述にご協力を頂いたインフォーマントに関する情報は,次の通りである。
名前:Deni z B6kes oy(デニーズ・ビョケソイ)氏 性別:女性
生年月日:1971年12月23日
成育地:4∼5歳から12∼3歳までをトルコ共和国のアンカラで過ごす。 従って,標準トルコ語を話す話者だと判断される。
その他の情報:父親の出身地はイスタンブール,母親は少し南に下ったア ダナである。また彼女の発音は明瞭であり,かつわれわれのリク エストに対して極めて好意的に答えてくれる,大変良いイン フォーマントである。
3.2 資料の記述方針
発話資料に関しては,対象がトルコ語であるところから,本稿では特に母音 調和に着目してその構造をあぶり出すよう努力した。従って,次節において展
開される分析結果は,(1)原綴,(2)母音部のみの音韻表記,(3)男性母音(M)と
男性母音
非円唇/a/=[a],/1/=[u]
円 唇/0/=[0],/u/=[u]
女性母音
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円 唇/0/=[∝],/u/=[y]
堵甘分析結果
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トルコ語のナゾナゾ分析
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トルコ語のナゾナゾ分析
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トルコ語のナゾナゾ分析
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32人 女子 だった
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はさまれた
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トルコ語のナゾナゾ分析 11
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十カ月 寝る
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ニカ月 起きる
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トルコ語のナゾナゾ分析
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トルコ語のナゾナゾ分析 17
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小さい 大理石
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トルコ語のナゾナゾ分析
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蜂蜜より 甘い 斧より 重い
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手で 摘めない バザーで
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ハンカチに
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置けない
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その味に
Sa七11maz ,
売っていない
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諦められない
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[三三[こ妄二三]仁二重][三三∃
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トルコ語のナゾナゾ分析
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5 2 トルコ譜のナゾナゾ分析
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トルコ語のナゾナゾ分析
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トルコ語のナゾナゾ分析 29
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城生伯太郎
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青い 畑 上に
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[三三
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トルコ語のナゾナゾ分析 33
拭 囁
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城生伯太郎
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なか 火 外 石
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一つ 乾いている
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一つ 濡れている
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トルコ語のナゾナゾ分析 35
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⊂⊃ 1=⊃ 1=⊃ ⊂⊃
戚感済
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匝
慧 聯
感筋脚数毒蛾瀞汲_ 済 闇鞘規謙裸麦拭毒煤莞靭拭和兵機長餅y
匝
ーq血血p_ 匝
塵
臓
匝言
済
義
陸
奥
済
・桓療
苧
4.20 Hanl ml ぢer de,
奥さん 中
Saぢ1 dl 弓ar da
彼女の望 外
巨∃
1 e e[妄コ[三ヨ
MM FFF
MM MMM
トルコ語のナゾナゾ分析 43
⊂)
N
以上に示した分析結果について若干の説明を施しておくと,まず,それぞれ の配列は次の順になっている。
1
2
3
Aふ
原綴と逐語訳の併記 プロソデイ一分析 母音音素の類別 音響解析データ
これらのうち,(2)ほ最小のアクセント節単位ごとに母音音素を四角で囲み,
特にアクセントの山が見られる部分には「′ 」の記号を指した。但し,例外的
に第2アクセントが認められる場合には「、」の記号も指してある。
次に,(3)は母音調和の観点から,上記(2)の四角で問んだ単位ごとの母音音
素を,男性母音(Mと記号化)と女性母音(Fと記号化)に分類してある。な
お,それぞれに分類される具体的な母音音素に関しては,すでに3.2に述べて あるのでくり返さない。
最後に,(4)には対方㌫の音響データを,①原波形(上段),②フィルター分析 (下段)の2現象表示によって示す。但し,下段の回申1i ne(実線)は物理的
な強度を示す音庄を,またdot (点線)は物理的な高さを示す基本周波数を表 示している。さらに,上段の原波形には上部にT字型のマーク(ねg)をつけ て,(2)におけるそれぞれの因みに対応する部分を明らかにしてある。
具体的を例によってこのことを示せば,例えば4.1にほ6個のt agが置かれ
ているが,最初のt agは原綴で表記すると《ぢar 弓1ぬn≫に該当する部分を, また2番目のもagは《al dl m≫,3番目は紬i r t ane≫に… という具合に,それ ぞれが対応している。さらに,この画面は下段の画面と正確にリンクするよう 調整されているので,定規などを用いて七覗から垂線を下ろせばより一層プロ ソデイ一面における音響特性が見やすくなる。なお,本来ならばもa嘗をふって ある位置にすべてカーソルを立てておきたいところだが,このソフトでは一度 に2本以上のカーソルが立てられないためこのような表示をとっている。
トルコ語のナゾナゾ分析 45
なお,本研究に用いた音響解析用ソフトMul 七i Speec 壬l では,払r manもhi s 一 七or yを「口腔における伝達関数の時間変化」と定義しており,時々刻々と変 動を遂げて行くフォルマント動態を,ある程度の幅を持たせた帯域として表示
している。また,縦方向に伸びている棒状パタンのうち1点のみdo七が見える 部分は,ソフト上において演算されたフォルマントのコアーである。
この図が意味するところは,母音と子音の時系列上における変化を,周波数 と音庄の両面から示していることになるが,本稿では特に基幹部分におけるト ルコ語の分析の周辺に見える事象の1つとして,文音調までは大きくないけれ
ども単語音調よりは大きい,プロソデイ一面におけるまとまりを示す「句音調」 の析出に利用している。
すなわち,具体的に述べれば,回申に「×」印で示してある部分がそれぞれ
の句音調における頂点を示しており,1句音調内では必ず1カ所にこの「×」
印で示される句音調の頂点が存在することになる。但し,先に行なった音響解
析が専ら音声の物理的な強さと基本周波数の高さであったのに射し,ここでは 声道における共振周波数のピークを示すフォルマント動態が解析されている点
が異なるので,結果は必ずしも一致しない。また,次節で述べる「文節」との 接点も,この払ymanもbi s もor yで捉えたデータの方が明瞭に捉えやすい。
最後に,図21∼49と資料番号との対応関係を示せば次のようになる。
図21,22¢4.1 図27轄>4.5 図32,33¢4.9 図40⊂さ4.13 図45⊂シ4.17
図23ぢ>4.2 図28,29[さ4.6 図34∼36⊂ウ4.10 図41=>4.14 図46⊂さ4.18
図24⊂>4.3 回30[さ4.7 図37ぢ>4.11 図42ぢ>4.15 図47,48[さ4.19
城生伯太郎
1→ N
トルコ語のナゾナゾ分析 47
N N
m N
49 トルコ譜のナゾナゾ分析
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蚤習摘静
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憾尊ン㌧鰍妾
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城生伯太郎
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トルコ語のナゾナゾ分析 51
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城生伯太郎
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トルコ語のナゾナゾ分析 53
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城生伯太郎
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55 トルコ譜のナゾナゾ分析
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城生伯太郎
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57 トルコ語のナゾナゾ分析
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トルコ語のナゾナゾ分析
59
城生伯太郎
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トルコ語のナゾナゾ分析 61
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トルコ語のナゾナゾ分析 63
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城生伯太郎
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トルコ語のナゾナゾ分析 65
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67 トルコ語のナゾナゾ分析
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トルコ語のナゾナゾ分析
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トルコ語のナゾナゾ分析 71
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城生伯太郎
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トルコ語のナゾナゾ分析 73
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城生伯太郎
「はは拘卜ほL嘗普∈芹「l 凸帽はほ川川L
㌣幻爪印呵㌣ 0日呂一U
7
トルコ語のナゾナゾ分析 75
本来ならば,以上に示した図21∼49に対応する部分の詳細をⅠ㌘Aによって データの中に書き込むべきところだが,今回はしめきり時間の関係で省略せざ るを得をい。そこで,便宜的にそれぞれの図に対応する部分の概略を次に正書 法で示しておく。をお,事‡ の記号は主として払r manもbi s br yを辛がかりに音 響データ上から読み取られた1区切りを示すもので,後述する「韻律節」に対 応する。また,「左」「中」「右」などは,それぞれ国中に見えるパーカーソル
で仕切られた1まとまりを示す。
図
図
m凶
図
2
1
左右
2
2
左右
2
3
左中右
糾左中石
部左右
2
6
左右
回
国
ぢar 弓1danal dl ml ‡ bまで七ane‡t
玄vegel ai m‡ t bi n七ane】‡
鑑故紳C也kぎ1ぢ1Cl kt ! i 与i dol t l l !
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Bi l mec ebま1di r mec ei ‡ di l 也s 七色nde‡ l kayd汀maCa】‡
Bi z bi z i di kbi z i di k蔓i
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回
国
回
国
図
回
国
図
2
7
左中右
2
8
左右
2
9
左右
3
0
左右
3
1
左右
3
2
左右
3
3
左右
誕左右
城生伯太郎
Kar 等1danbakも1mも粥‡ ‡
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蕊㍑1g6r おきi
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トルコ語のナゾナゾ分析 77
図
回
国
図
図
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図
図
3
5
左右
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左右
3
7
左中右
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4
0
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43
左 右
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左右
図
図
Ⅰ冒i at e弓】‡ dl 等I t 粥‡ ‡
Bi r i kur u】‡ bi r i y粥‡‡
図45
左 G6k七eg6r 血mbi r k6pで也】‡ 右
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46
左 右 図
A紬ぢ也s も也ndel l ki l i 七1i s andl k】暮
図47 左
Bi z ebi r mi s a鮎酢I di ‖ 右
ye等i l f br ac el i t 王
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左右
4
9
左右
図
図
k汀ml Zl en七ar まl =‡
s i yahd鵬mel =l
Hanl mi 冒er del l
いレコ語のナゾナゾ分析 79
5。考
察 5暮1母音論和第1に,全20種のナゾナゾに見られる母音調和の構造的分布についてまとめ てみると,総音節数331に対して男性母音の使用は163,女性母音の使用は168
となっており,前者がおよそ49.24%であるのに射し後者はおよそ50.75%と, ほぼ同数の割合で使用されていることがわかる。
次に,これらを四角の囲みで示した単位ごとに集計してみると,囲みの内部 で母音調和を乱している例は,
4.1 4.4 4.5 4.6 4.9 4.15 4.16
4.17 4.18 4.19
と,ちょうど半数に上るが,囲みの総数127に対して調和を乱している囲み の数はわずかに22とをっており,これは全体のおよそ17.32%にすきない。つ
まりは,ここに示したコ}パスにおいては,母音調和がきわめて厳しい制約の もとに使い分けられているということにほかならない。
さらに,4.1における≪a−i −る≫,4.2における紬Ⅶ由一去≫対≪u−u一也≫,4.5
における 《a−1】畠≫,4.7における《i … i −f ≫,4.9における≪e−e−a一丈≫… など,短い言語形式の中で「こだま式」に同一の母音音素が男女別にきわめて
見事な構造的配列を示している例は,枚挙にいとまがないほどである。
この点で,いささか趣を異にするのは4.12の“
i s t anbul クda”
で,1語の途
中に囲みの切れ目が来てしまっている。これは,この語彙がもともとギリシア 語起源であるところから,変則的に第2音節にアクセントが落ちているためで ある。
5キ2 音節数
全体を鳥駁すると,1作品に用いられている音節数でほ14音節がトップで, 資料番号4.7,4.13,4.14,4.15,4.16,4.17,4.18の,計7例を数える。し かし,残る13例に関しては特段の傾向性は見られをい。
城生伯太郎
ると28例の多きを数えることになる。ちなみにこの数は,なんと全体のおよそ 6割を占める57.14%強に当っている。
小論の筆者は,これだけの裁然とした傾向性が析出される以上,上に指摘し た6∼8音節が基調となってトルコ語のなぞなぞが作られたという事実には, それなりの必然性があったものと推論する。そうして,こののっぴきならない 必然性の解明には,学際的な知見の援用が不可欠ではないかと考える。すなわ ち具体的に述べれば,それほ大脳のはたらきのうち,なかんずく記憶に関わる 人類の営みに見いだされる,一般的な傾向性によるものではないかという見通
しである。
記憶にほさまざまなタイプがあり,特に心理学等においてつとに指摘されて いることがらとしては,「短期記憶」と「長期記憶」との別がよく知られてい る。短期記憶は,一般に長期記憶に比べで情報の保持される時間が短いところ
から命名されたものだが,内容的には必ずしも長期記憶の前段階的な記憶とは 限らない。
例えば,暗算や会話場面における言葉のやりとりのように,特定の作業や課 題を行なうためにだけ記憶される短期記憶は,作業記憶(wor ki ngmemor y)
と呼ばれ,当初の目的が達成されればただちに不要となり,消去されてしまう タイプの記憶ということができる。
これに対して,当面の課題を達成するためという剃那的な目的とは異なり, 自分にとって比較的長期間保持しておきたいと判断するような有用な情報は,
一度その前段階的な短期記憶に貯蔵され,そこでふるいにかけられたのち海馬 と呼ばれる部位に送り込まれ,長期記憶として固定される。ただし,この短期 記憶は一般に忘却速度が速く,さらに保持できる情報量にも上限があることが
知られており,[7±2]チャンクという価がほぼ定説として認められている。
なお,ここに言うチャンクとは,「ひとまとまり」という程度の意味である。 こうして,改めてトルコ語のなぞなぞに具現化された行あたりの音節数をな がめて見ると,口承文芸の一斑を示す特徴としての伝承性の良さという部分が, 人類一般に具備されている大脳における記憶のメカニズムと決して無縁ではな いことを窺知することができるのである。
5−3 文節の再検討
トルコ語のナゾナゾ分析 81
として世界に誇る快挙であった。
その形式的な特徴を,亀井,河野,千野編著(1996:1183)から引用すると,
(1)一定の音節が一定の順序に並んで,それだけは,いつも続けて発音さ れる(その中間に音の断止がない)。
(2)文節を構成する各音節の音の高低関係(すなわちアクセント)が定まっ
ている。
(3)実際の言語においては,その前と後に音の切れ目(音休止)を置くこ とができる。
(4)最初にくる音とその他の音,または,最後にくる音とその他の音との 間には,それに用いる音にそれぞれ違った制限があることがある(たと
えば,文節の頭には/D/がこない,など)。
とされている。従って,橋本進吾氏の主張をひとことで要約すれば,文節の 要は「音韻的特徴を目じるしにまとめられた発語断片」ということになる。し かしながら,先に引用した亀井,河野,千野編著(よdよ∂.)ではさらにこの後 で,服部四郎(1949)を参考にしながら
文節は音休止を基準にした単位であるが,それは,日本語における基本 的かつ形式的な型であり,多くの場合,(意味関係を考慮せずに)自動 的に決定することができる。しかし,たとえば「雪のようだ」とか「食 べてしまう」のように,1文節か2文節か決定しがたい場合もある。・‥ 以下略。
とつけ加えており,単位の画定にかかわる不安定性について批判的な態度を 示している。
これに対して,柴田武氏は服部四郎(去dよd.)における批判の大半はdeSaus −
s Ⅵr eのいう1angⅥeではなく,par Ol eのレベルにある問題だと主張して,ト ルコ語を視野においた分析を行なっている柴田武(1948:165)の中では,
節」という言語単位は形態論的記述にあたって十分有効とは言えないだ
ろう。トルコ語にとっては「文節」はかなり有効な言語単位と考えられ るから,文節によってトルコ語の形態論的記述を試み,語の分類(品詞 分類)に及びたいと思う。
と述べて,積極的にこの単位を利用したトルコ語の分析を展開している。/ト 論の筆者も,1970年度に東京大学の法文Ⅳ号館413番教室にて開講された柴田 武先生の「アルタイ語対照文法」に出席した折に,上の論文を発表してからす でに22年もの歳月が経過していたにもかかわらず,先生がこの文節に対してこ
められている熱い思いをひしひしと感じ取ることができたほどである。
ところで,文節という単位がこれまでに述べてきたように,音声言語にその 基盤をおいて考察されているにもかかわらず,これまでに実験音声学約手法を
援用したうえでこの間題に対する所見が述べられた例は,管見のおよぶ範囲で は殆ど見当たらない。そこで,試みに上に引用した亀井,河野,千野編著(Zd去d.) において指摘されている「雪のようだ」と「食べてしまう」を,前節に示した 図21∼49と同様に払r man七hi s 七肝yで捉えて解析した結果を,次に掲げる図50 と図51に示す。
それぞれの図における上段には原波形が,下段にはそれに対応する払r man七
hi s 七or yが示されているが,後者にはさらにdot によって音注が表示してある。
具体的に述べると,図50にあっては左側が/刑/,右側が/蔀フl 壬
ヨ
ーダ/(ただし,=はポーズを示す)であり,図51では左側の方 シマツタ/,
右側の方に/可竺主t l
ン′マッタが表示されている。に/粒
ここで,図の見方を繰り返しておくと,すでに前節に示した図21∼49で述べ
たとおりに,特に下段の払mant hi s t or yに注目して縦方向に伸びる線分の集
合を巨視的に捉えてパタン化することである。このようにして,細部ではなし に全体のゲシタルトに注目して音響情報を整理すると,改めて左右差が殆ど見 られないことに気づく。
今日では,ぎi r t h(1948)流のpr os odyに対する見方は決して珍しくはなく なっているが,文節が提唱された1932年当時にはこの術語がまだ知られていな かったために,時の追従者たちによって問題とされた点が,せいぜいアクセン トとポーズぐらいに限定されてしまったということは,今日的レベルにおいて 改めて認識しておかなければならないだろう。
トルコ語のナゾナゾ分析 83
⊂⊃ l _n
r づ LJ つ
トルコ譜のナゾナゾ分析 85
いみじくも/○/(筆者の考えでは,ここは音声学的レベルの問題なので[9]
とすべきだと見るが)など,音程にかかわる問題も「文節」には含まれること が明示されているからにほかならない。
つまり,このことを実験音声学約レベルで捉え直してみると,音響データ上 に反映された情報のうちでは基本周波数(pi 七c h),音庄変化に加えて,母音と 子音の特徴,ポーズおよび発語時間長などがことごとく吟味されなければなら
ないということである。
従って結論を述べれば,図50∼51からも十分に窺知されるように,ここに示 された払r man七bi s t or yに凝縮された左右のパタンにおける類似性こそが,音 響レベルにおける互いの相関性を如実に反映しているものと捉えることが,ひ
とつの解釈法としては有効であるということにほかならない。すなわち,別言 す讃t ば,文節こそは音声情報処理系にかかわる事象を,おそらくはわが国にお いて初めて,真正面から文法論的単位を画定する際に利用しようとした先駆的 見解であったということである。
しかしながら,すでに述べたように,その後多くの追従者たちによってこの 考えはアクセントとポーズを中核とする狭義のプロソデイーとしてすり替えら
れ,中途半端な形の検証によるいわば不完全な評価を被ってきたように思われ る。ちをみに,この機会にあえて年来抱き続けてきた文法理論の組み立て方に 対する不満を敷桁して述べておくと,一般論的に見て文法論ではどうして書き
言葉のみを偏重し,その土台となっている音声言語を,少なくとも定量化され た音声言語情報というレベルでは積極的に取り込もうとしないのだろうか。こ
の点が,筆者にはどうにも合点が行かぬところなのである。
こうした意味合いからも,橋本進吾氏は音声情報を積極的に文法論に取り込 もうとした先駆者として位置づけられてしかるべきではないかと思われる。
最後に,再び前節において図示しておいた,トルコ語を解析した図21∼49に
戻ると,それぞれ「×」印でまとめられたひとかたまりは,例えば図24の資料
番号4.3にあっては,
Bi l mec e bi l di r mec el ‡
知る(なぞ)知らせる
di l 也St i まndel ‡
舌 上で
滑らせる
となるが,図37の資料番号4.11にあっては,
Bi r kl Zl m
Var l l
一… 【▲人の娘 いる
gel en 6per 事l
来る人 キスする
由den 6per ‡l
行く人 キスする
となって,橋本進吾氏の文節に完全には一致しない。そこで,最終的な見解 としては,文節のような音声情報を根幹に見据えた文法的単位の有用性を尊重
しつつ,その内容が時としていわゆる「句音調」のレベルから,果ては節全体 をひとかたまりとするようなレベルにまで分散することが予測されるところか ら,本稿においてはこれを「韻律節」と命名して,この単位による文法的記述 にも道を拓いておきたいというのが,トルコ語のなぞなぞを分析して得られた
ところの,いわば副産物である。
6ェ ぁわりに
以上で,トルコ語のなぞなぞ分析をとおして,
(1)J akobs on流のpoe七i c al anal ys i s を適用することによって,母音調和 を核とする見事な音韻的構造を析出した
(2)上の構造が,音響音声学的レベルからも実証できることを定量的に示
した
(3)なぞなぞの各行を構成する音節数は7がもっとも多用されていた。こ のことより,口承文芸としての側面を有するなぞなぞの性格上,この結 果は人類に普遍的に備わっていると目されている短期記憶における[7
±2]チャンクと無関係ではなかろうとの所見を示した
トルコ語のナゾナゾ分析 87
として「韻律節」という,より幅広い音声情報に立脚した文法的単位の 措定を試みた
などとなる。ただし,最後に音響データの扱いに関してひとこと付言してお く。
従来の音響音声学的研究では,当の研究者が,とかく解析された音響データ をあたかも「真理」と同義であるかのように錯覚してしまうことが多かった。 しかし,これでは人間の言語理解にとってもうひとつの大切な側面である「受 容。認知」のレベルが見落とされている。ここから,例えば音韻理論との轟離 が始まった。
しかし,今日では周知のように,脳神経科学とコンピュータ・サイエンスの 長足の進歩によって,例えば事象関連電位を用いた大脳における高次機能の働
きを,非侵襲の電気生理学的方法によって観察することができる時代になって きた。城生伯太郎(1997)などは,その一部を自らの手によって実行した脳波 実験によって示したものだが,本稿において示唆されたトルコ語のなぞなぞに
おける母音調和と,音節数を核とした見事なほどに整然とした音韻的な構造は, 聞き手の大脳にとっても相応の伝承効果を挙げているはずである。
従って,ここに指摘した事象のすべてが真の意味での「実証」に催するよう になるためには,まだまだこれら音響実験に加えて,しかるべき脳波実験パラ ダイムが組まれなければならないものと考える。そのような意図から,現在こ の研究はもう一方の受容・認知にかかわる側面からの実験パラダイムを準備し ているが,小論のしめきりには到底間に合わない。またの機会に,稿を改めて 論じることとする。
【註3
1)現在,モンゴル語を対象とした分析は『アルタイ語対照研究脚韻律節の構造 冊(仮題)』として執筆中である。また,フランス語の諺を対象とした分析
も部分的に試みており,城生伯太郎(1996)にその一斑が示されている。 2)ただし,本文中に示したデータはすべてMul t i Speec bによっている。理由は,
【文献】
亀井孝,河野六郎,千野栄一編著(1996)『言語学大辞典』第6巻,三省堂
柴田 武(1948)「トルコ語の文節とその構造」『日本学士院紀要』第6巻,第2,3
口
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橋本進言
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(1997)『実験音声学研究』,勉誠社
(1934)『国語法要説』(後に橋本1948に再録),明治書院 (1948)『国語法研究』,橋本進吉博士著作集第2巻,岩波書店 服部四郎(1949)「『文節』について一特に日本語および英語に関して−」(『言
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