Full Translation
血友病と von Willebrand 病の治療プロトコール
1Treatment of Hemophilia Monograph Series, Number 14. World
Federation of Hemophilia: 1998. Protocols for the Treatment of
Hemophilia and von Willebrand Disease is currently being revised by
Hemophilia of Georgia and the haemophilia treatment centres of Georgia. For more information on the revised version, please contact Hemophilia of Georgia, 8800 Roswell Road, Suite 170, Atlanta, Georgia 30350, U.S.A.
3Professor C. K. Kasper, MD
Protocols for the treatment of haemophilia and von Willebrand Disease1
Hemophilia of Georgia 前文 ジョージア州の血友病協会とジョージア血友病セ ンターは,専門的知識および資源を統合し,ジョー ジア州の血友病患者の治療を行う医師のためのガイ ドラインを作成した。 このプロトコールには,血友病治療を行う上での ケアの基本となる事項が含まれている。これは,血 友病センターでの定期検診や治療を,単に置き換え たものではない。担当医とセンターのコミュニケー ションが図られるようにとの願いが込められている。 プロトコールは他の米国の血友病センターのガイ ドラインも参考にして作られている。個人の要望や 利用できる資源に合わせて,治療計画がデザインさ れている。 WFH の副会長(医師)から3 われわれは,先進国の血友病センターのプロト コールを提供することは,世界血友病連合にとり重 要であると考えている。当然ではあるが,これらの プロトコールは一様ではない。このプロトコールは, ジョージア州の血友病治療に実際に用いられている ものである。また国際的にも通用するように,環境 や製剤の種類についても配慮を行った。治療はブエ ノスアイレス,ローマ,シンガポールでは異なるか もしれない。どのプロトコールも,その地域で利用 しやすいように,修正する必要がある。
血友病とその診断
血友病A
とB
は,Table 1
に示すようにX
連鎖劣 性遺伝形式をとり,凝固因子の第VIII
および第IX
の欠 乏が原因である。その頻度は,おおよそ血友病A
は 男子1
万人の出生に1
人,血友病B
で男子3
∼5
万 人の出生に1
人の割合である。 キャリアの診断には,家系図の作成,第VIII
因子活性/
von Willebrand
因子抗原比や最近ではDNA
診断が用いられる。
DNA
診断はもっとも正確ではある が,すべての患者で情報が得られるわけではない。出 生前診断は,胎児の細胞を用いてのDNA
診断によ り,9
∼11
週に胎児絨毛を採取するか,12
∼15
週 に羊水穿刺により行われる。さらに情報が必要な時 には,近くの血友病協会か,血友病センターに連絡を して,専門的知識を得るとよい。 生後診断は,末梢静脈採血により第VIII
因子の測定 を行う。血友病B
の診断は,新生児期は生理的に第IX
因子が低いので,時に困難である。第IX
因子が低 い場合には,生理的に第IX
因子が上昇する6
カ月時 まで定期的に採血を行う。十分な因子活性(Fig. 1
)が ないと,動脈,頸静脈,大腿静脈穿刺および割礼は 禁忌である。4.
凝固因子製剤を用いた家庭治療は,通常,3
∼5
歳で開始する。利点は,コストと合併症の軽減で ある。できるだけ早い時期に家庭治療が行える ようにするべきである。多くの病院では救急処 置室で投与を行っている。5.
血友病センターでの包括医療は,血友病治療の ステイトオブアートとなっている。包括医療では 多くの専門チームにより,患者の診療が行われ る。チームは,通常,血液専門医,整形外科医, ナースコーディネーター,栄養士,感染症スペ シャリスト,ソーシャルワーカー,理学療法士,歯 科医,職業セラピスト,リハビリテーションスペ シャリスト,臨床心理士,遺伝カウンセラーなど からなる。チームは患者のケアプランを作成し, フォローアップは家庭医が行う。 治療を円滑に行うには,家庭医と社会資源と血友 病センターの連係が重要である。 血友病 A(第 VIII 因子欠乏症)の治療 第 VIII 濃縮製剤 商品化された製剤には多くの種類がある。1980
年 代中期以降はウイルス不活化処理がされた製剤が米 国にも出回っている。これらは次の3種類に分類さ れる。1.
遺伝子組換え製剤:Kogenate, Bioclate, Helixate,
Recombinate;
2.
モノクローナル抗体処理製剤:赤十字AHF-M,
Hemofil M, Monoclate P;
3.
中間あるいは高純度第VIII
因子製剤 :Humate P,
Alphanate
(両方ともvon Willebrand
病の適応も取得),
Koate HP, Profilate SD
どの製剤を用いるかについては,専門的知識に基 づく説明が必要である。どの製剤もウイルス不活化出血の治療
治療の原則1.
なるべく早く,例えば何らかの徴候が出現して から2
時間以内に補充療法を行う。理学的所見が 出るまで待つな。(i)
関節内出血は,小さい子でも,早い時期から わかるものである。早い時期に認識するこ とにより,組織にダメージが起こる前に止 血でき,また投与量も少なくてすむ。(ii)
出血を疑う場合。けがをした場合や出血が 予測される時には補充治療する。2.
静脈注射の注意点。血友病患者にとって静脈は ライフラインである。(i) 23G
あるいは25G
の翼状針の使用が望まし い。(ii)
カットダウンは静脈を潰してしまうので緊 急時以外は行わない。(iii)
静脈穿刺後は3
∼5
分,指で圧迫をする。3.
血小板機能を低下させないように,特にアスピ リンを含む薬剤に注意する(Table 2
)。 非ステロイド系消炎剤を注意して用いる。ペイン コントロールには,われわれは,アセトアミノ フェン(+ コデイン)を薦めている。複数の薬剤 を用いる時には,害のある相互作用に注意する。処理が行われている。ジョージア血友病協会は推奨 する製剤を特定していない。インヒビターや
HIV
感 染などの合併症により,ある製剤を薦める場合があ る。これらに関しては,血友病センターに相談してほ しい。 バイアルの容量は300
から1,600
単位である。体 重あたり1
単位の投与で,第VIII
因子は約2%
上昇す る。半減期は8
∼12
時間である。計算量は患者の因 子レベルにもよる。因子レベルを計算するには,体重 に目標因子レベルを掛けてさらに0.5
を掛ける。 例えば45kg
×40
(%
目標レベル)×0.5
=900
単位Table 3
に出血毎の目標因子レベルを示す。 第VIII
因子の注入時には,成人では1
分あたり3ml
を超さないように,幼少児には1
分あたり100
単位 を超さないように投与する。 もし溶解したバイアルの含有量が計算量を超えて いても,製剤は高価であり,浪費は慎むべきであり,1
バイアル分すべてを投与する。 持続静注(4
∼5
単位/kg/h
で約100%
)は血液 専門医の指導のもとに行う。持続静注を行っている 間は,第VIII
因子レベルのモニタリングを行う。第VIII
因子は室温で12
時間は安定である。タンパク質の不 活化,変性,細菌の混入のないように投与する。12
時間分のバッグを薬剤部で調剤してもらうのがよい。 クリオプレシピテート クリオプレシピテートを用いる場合には,ドナー のウイルス学的安全性を繰り返し検査する。基本的 には,クリオプレシピテートはウイルス不活化処理 がなされておらず,使用は推薦されない。1
バッグ には平均60
∼100
単位の第VIII
因子を含む。DDAVP
DDAVP
は,合成バソプレシンのアナログ(Stimate
) であり第VIII
因子レベルが5%
以上の軽症の患者の治 療に用いられる。DDAVP
投与により因子の上昇が みられる。DDAVP
は,貯蔵された第VIII
因子を末梢循環血中 に放出し,第VIII
因子レベルを2
∼3
倍に上昇させる ことにより,軽度の出血には対処可能である。この 製剤の利点は,血液製剤の使用を少なくできたり, また回避できることにある。DDAVP
を使用する前に は,次の点を評価しておく。DDAVP
投与前の第VIII
因子レベル測定;DDAVP
(0.3
µg/kg
を生理食塩水30
∼50ml
)に溶解し15
∼30
分かけて投与;投与 終了後30
∼60
分後に因子レベル測定。期待値は,第VIII
因子レベルの2
∼3
倍の上昇である。 点鼻によるStimate
投与は,尿崩症や遺尿などに 投与する15
倍を使用することで,von Willebrand
病(type 1)
に有効である。5
歳以上には,片方の鼻孔 に,成人には,両方の鼻孔にスプレイを行う。Stimate
の鼻孔投与による反応は個人差が大きいので,使用 前に評価を行う。von Willebrand
因子の枯渇を防ぐ ために,可能ならば,DDAVP
静注と同じように1
日1
回に制限するべきである。使用時には,水分制限 は重要であり,Na
濃度のモニタリングを行う。単回 投与でなく予防投与を行う場合にはその使用と副作 用に精通している医師に相談する。 抗線溶剤 ε-
アミノカプロン酸(Amicar
またはEACA)
は侵 襲を伴う歯科治療や口腔内出血時に使用する抗線溶 剤である。内出血(たとえば腎出血)には使用しない。50
∼100mg/kg
を1
日4
∼6
回で7
∼10
日間投与 する(最大投与量24g/day
)。液状の製剤が利用でき るし,うがい薬としても調剤可能である。使用する場 合は,近くの血友病センターに相談すればよい。 トラネキサム酸(Cyklokapron, TECA
またはTA
) は,適応のあるもう1
つの抗線溶剤であるが,米国で は容易に利用できない。25mg/kg
を1
日3
回,8
時 間毎10
日間投与を行うことで,線溶を抑制し,創傷 治癒を促進する。トラネキサム酸は低用量で効果があ り,Amicar
よりも安価であるので,使用しやすい。 血友病 B(第 IX 因子欠乏症)の治療 第 IX 因子製剤 商品化された加熱処理を行った第IX
因子製剤には 多くの種類がある。1991
年からウイルス不活化され た製剤が導入された。それらは2
つのカテゴリーに分 けられる。1.
高純度第IX
因子製剤:Alphanine SD, Mononine
2.
第IX
因子複合体製剤:Konyne 80, Bebulin
どの製剤を使用するかについては相談するとよい。 ジョージア血友病協会は,特定の製剤を推奨してい ない。HIV
感染をもつ場合には,ある製剤を薦める 場合がある。血友病センターに確認することで,全米 血友病財団(U.S.A.
)のthe Medical and Scientific
Advisory Council (MASAC)
の推薦文を参照することもできる。 高純度第因子
I X
因子製剤(A l p h a n i n e S D ,
Mononine
)は血栓症やDIC
関連合併症の頻度は少な いと考えられている。しかし第IX
因子複合体製剤 (Konyne 80, Bebulin
)はそのリスクがある。 高純度第IX
因子製剤は次のような場合には優先的 に使用される。手術,肝疾患,B
型あるいはC型肝炎, 治療が長引く時,過去の血栓症の既往,交通事故,DIC
,抗線溶剤などの血栓傾向を助長する可能性のあ る薬剤の使用などの場合である。しかし,高純度第IX
因子製剤が得られない場合には,利用できるように なるまで第IX
因子複合体製剤を使用する。 バイアルの容量は300
∼1,200
単位である。 体重あたり1
単位の投与で第IX
因子は約1%
上昇 する。半減期は18
∼24
時間である因子レベルを計 算するには,体重に目標因子レベルを掛ける。 例えば45kg
×40
(%
目標レベル)=1,800
単位Table 3
に各出血毎の目標因子レベルを示す。 第IX
因子の注入は,成人では1
分あたり3ml
を超 さないように行う。持続静注は経験のある血液専門 医のもとに行う。 新鮮凍結血漿(FFP) 新鮮凍結血漿は,血友病B
の患者には生命に危険を及ぼすような出血がみられた時,第
IX
因子製剤が 手に入らない時にのみ用いられる。しかし,第IX
因 子レベルは15%
以上とはならない。15ml/kg
が初回 投与量として適当である。しかし,いまだにウイルス 不活化処理はなされておらず推奨できない。米国で は有機溶媒 – 界面活性剤処理を行ったFFP
が望まし いと考えられているが,食品薬品管理局は認可して いない。 抗線溶剤 血栓症の危険があるので,複合プロトロンビン製 剤を用いている第IX
因子欠乏症の患者での初期治療 または併用治療は禁忌である。出血部位別治療
関節内出血1.
まず適量の濃縮製剤を投与する。X
線写真は必要 な場合と必要でない場合がある。2.
症状がある時,外傷後には因子レベルを40%
以 上に上げる(投与量の計算について前出の項参 照)。重症であれば,60
∼80%
に上げて,近くの 血友病センターに連絡をする。3. 2
回目の投与が必要な場合がある。症状が続く時 には(腫脹や痛みが明らかに改善しない時),12
時間後(血友病A
)または24
時間後(血友病B
) に再投与する。4.
痛みが改善した後,関節をできる限り早く動かす ようにする。5.
冷却,安静,出血部位を高い位置に保つ。6. 3
日以上症状が持続する時,または骨折が疑われ る時には血友病センターの整形外科医に連絡す る。7.
アスピリンを含まない薬剤(Table 2
)による疼 痛管理。 筋肉出血1.
まず適量の濃縮製剤を投与してから評価する。2.
症状が出てから,また外傷後には因子レベルを40%
以上に上げる(投与量の計算について前出 の項参照)。3. 2
回目の投与が24
時間以内に必要となる場合が多い。神経症状の出現に注意する。 腸腰筋出血
1.
筋肉内出血であるが特徴的な症状を示し,急性 腹症としての症状を呈する。症状は下腹部の痛 み,股関節を回転時ではなく伸展時の腰背部痛 などである。大腿部の神経麻痺あるいは他の大 腿神経の圧迫に伴う症状が出現する。2.
速やかに因子レベルを上昇させ,血友病A
の場合 には80
∼100%
に,血友病B
の場合には60
∼80%
に上昇させる。その後は48
∼96
時間は血 友病A
,B
ともに30
∼60%
に保つ。3.
経過観察のため入院とする。4. CT
などの画像診断は,診断の確定や時に間違わ れやすい虫垂炎との鑑別に有用である。5.
痛みがとれるまで活動は制限する。理学療法は 可動域の回復に有用である。血友病センターに相 談する。 中枢神経系出血/頭部外傷1.
すべての頭部外傷と強い頭痛は治療するべきであ る。速やかに因子レベルを上昇させる。症状の出 現や血液あるいは画像診断が出るまで待っては ならない。2.
この出血はもっとも医学的緊急性がある。よっ て,評価をする前に,疑われた時点で治療を行 う。外傷後や症状が出現したら,直ちに因子レベ ルを,血友病A
の場合には80
∼100%
に,血友 病B
の場合には60
∼80%
に上昇させる。出血 が改善するまで(通常2
∼3
週間),維持療法と して,因子レベルを血友病A
で最低50%
に,血 友病B
で30%
に保つ。患者が落ち着いた時に, 血友病センターに連絡する。3.
迅速な診断と入院治療が必要である。臨床的に必 要が認められた場合には,CT
やMRI
を行う。4.
頭部外傷が示唆されたら,まず濃縮製剤を投与 した後に評価を行う。5.
程度の強い頭痛がある場合にはHIV
関連の日和 見感染の可能性も考慮する(HIV
感染の項参照)。 咽頭/頸部出血と咽頭炎1.
この出血も医学的緊急性がある。疑われた時点 で,評価する前に治療を行う。外傷後や症状が出 現したら,直ちに因子レベルを,血友病A
の場合 には80
∼100%
に,血友病B
の場合には60
∼80%
に上昇させる。出血が改善するまで,維持療 法として,因子レベルを血友病A
で最低50%
に, 血友病B
で30%
に保つ。患者が落ち着いた時に, 血友病センターに連絡する。2.
外傷あるいは出血の症状がある場合には,通常 入院が必要である。血液科と耳鼻咽喉科により フォローする。CT
やMRI
が時に必要となる。3.
咽頭炎による出血を予防するために,培養と抗 生物質の投与に加えて製剤投与が必要になる場 合がある。 急性消化管出血1.
まず適量の濃縮製剤を投与してから,評価する。2.
速やかに因子レベルを,血友病A
の場合には80
∼100%
に,血友病B
の場合には60
∼80%
に 上昇させる。原因がわかるまで,維持療法とし て,因子レベルを血友病A
で最低50%
に,血友 病B
で30%
に保つ。3.
消化管出血や急性腹症のサインがある場合には, 正しい医学的評価と入院加療が必要である。4.
貧血やショックがあれば治療する。5.
出血の原因治療を行う。6.
第VIII
因子欠乏症の場合には,補助療法としてAmicar
(EACA
)やトラネキサム酸を使用しても よい。血友病センターに連絡する。 急性腹腔内出血1.
急性腹腔内出血は,感染症と紛らわしく,その鑑 別に画像診断が必要になることが多い。腸腰筋 出血との鑑別は重要である。2.
速やかに因子レベルを,血友病A
の場合には80
∼100%
に,血友病B
の場合には60
∼80%
に 上昇させる。原因がわかるまで,維持療法として, 因子レベルを血友病A
で最低50%
に,血友病B
で30%
に保つ。眼科的外傷/出血
1.
まず適量の濃縮製剤を投与してから評価する。2.
速やかに因子レベルを,血友病A
では80
∼100%
に,血友病B
では60
∼80%
に上昇させる。維 持療法も必要である。3.
症状がある場合や外傷のサインがある場合には, 眼科医と血液専門医による評価が必要である。 腎出血1.
抗線溶剤は使用しない。2.
血尿でも痛みを伴わない場合には,安静(ベッド 上)と多めの水分摂取(いつもの1.5
倍)で様子 をみればよい。3.
痛みがあったり,肉眼的血尿が続く場合には,血 友病A
では50%
に,血友病B
では40%
に上昇 させる。4.
肉眼的あるいは微少血尿が続くかどうか,また 繰り返すかどうかを観察する。 口腔内出血1.
プロトロンビン複合体製剤を用いている第IX
因 子欠乏症の患者には抗線溶剤は使用しない。2.
第VIII
因子欠乏症の患者では,Amicar
(EACA
)ま たはトラネキサム酸単独あるいは濃縮製剤併用 によりコントロール可能である。Amicar
(EACA
) はうがい薬としても用いることができる。3.
血液を飲み込まないように指導する。4.
必要あれば貧血の診断と治療を行う。5.
出血している粘膜の局所治療剤として,Avitene
ま たはThrombin
が有効なことがある。6.
必要あれば,血液専門医,歯科医,耳鼻咽喉科医 に相談する。 鼻血1.
止血には血小板血栓が形成されればよいので, 通常補充療法を必要としない。2.
血液を飲み込まないように,頭部を前方とし,弱 いクロットを吐き出しやすいようにする。鼻根 部を最低20
分間圧迫する。3.
アレルギー,上気道炎,季節の変わり目などによ る出血は,NeoSynephrine 0.5
∼1%
を両鼻孔に1
日2
回2
滴ずつの点鼻を5
日間行う。冷却噴霧 器や鼻孔の油性ゼリーも有用な場合がある。4.
出血が長引くときや,頻回である時には貧血の 検査を行う。5.
耳鼻咽喉科医に相談するのもよい。4%
のコカイ ン液が推奨されている。6. EACA
やトラネキサム酸の使用も有用である。 軟部組織出血1.
表在性の軟部組織出血の出血は,通常補充療法 を必要としない。しっかりと圧迫を行い冷却する ことが有用である。2.
重症度と筋肉や神経損傷の程度を評価する。除 外診断のため,圧迫による生命の危険を伴う頭 部や腹部の臓器の損傷の評価を行う。後腹膜や, 陰嚢,顎,頬部などの区域のない部位での出血 は,きわめて出血量が多いことがある。もしこの ような出血が疑われたら,治療は速やかに行う。3.
活発な血友病の幼少児は,多くの傷がたえない。 幼児虐待と間違われることもある。 裂傷と擦り傷1.
裂傷は傷をきれいにし,圧迫やステリストリッ プにより治療する。2.
擦り傷もきれいにすることと圧迫が基本である。3.
深い裂傷は,因子レベルを血友病A
では50%
に, 血友病B
では40%
に上昇させてから縫合する。 抜糸も通常補充が必要となる。 von Willebrand 病von Willebrand
病(vWD
)は,遺伝性出血性疾患 の中ではもっとも頻度が高い。X
連鎖劣性遺伝形式 で,男性だけに生じる血友病と異なり,通常のvWD
は常染色体遺伝であるので,男性と女性に均等に表 れる。この疾患は,血小板機能維持に必要な血中の グリコプロテイン(von Willebrand
因子またはvWF
と呼ばれる)の量の減少または質の異常である。こ のタンパク質は第VIII
因子の安定化作用をもつために,血液中の
von Willebrand
因子と第VIII
因子は比例して減少している。
血,泌尿生殖器出血,鼻出血,月経過多)や出血斑点 (微小出血斑や紫斑)ができやすいことである。まれ に血友病でみられるような関節や筋肉の出血が生じ る。