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フィブ リン体分解 産物の 臨床

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Academic year: 2022

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(1)臨 床 化 学 ・第2巻. ・第1号(1973)81〜88. <特 集>血 漿蛋自分析の基礎的進歩. フィブ リン体分解 産物の 臨床. 東京都老 人総 合研究所臨床第2生 理. 松. 金 沢大学医学部第2内 科. I.は. じ. め. に. れ,ト. 田. 保. 長谷 田. 恭. 子. ロ ン ビ ン に よ っ て は 凝 固 し な い か,ま. た. は ト ロ ン ビ ン に よ る凝 固 性 の 著 し く低 下 し た 分. 従来,線 維 素 溶解(線 溶)能 は,主. の 測定 法 と して. と して オ イ グ ロ ブ リン溶 解 時 間,フ. リン平 板 法 な ど,フ. ィブ. ィブ リンの 溶 解 時 間 ま た は. フ ィブ リン平 板 の 溶解 面 積 に よ る方 法 が と られ て い る。溶 解 時 間 が 速 い ほ ど,ま た 溶解 面 積 が 大 きい ほ ど,線 溶能 が強 い と考 え られ るので あ るが,最 近 全 く違 った観 点 か らの 線 溶能 測定 法 が 開 発 され た 。 この方 法 は,生 体 内 に お け る線 溶 に よ って生 じた フ ィブ リン(ま た は フ ィブ リ ノゲ ン)の 分 解 産 物 を測定 す る もの で あ って 測 定 に は 主 と して 免 疫学 的方 法 が 用 い られ る。 こ れ らの 分解 産 物 は 一 般 に はF.D.P.ま. たは フ. ィブ リン体 分 解 産 物 と呼 ば れ るが,本 稿 にお い. 解 物 物 を 生 ず る。 フ ィ ブ リ ン も ま た プ ラ ス ミ ン に よ っ て 溶 解 さ れ て 分 解 産 物 を 生 ず る。 これ ら の 分 解 産 物(以. 下F.D.P.と. 質 で は な く,し. た が っ て 測 定 法 に よ っ て は,多. 略)は. 単一の物. 少 と も そ の 内 容 が 異 る こ とに な る。 当 初,F.D.P.は,そ. の 抗 トロン ビン作 用 が. 注 目 され て 抗 ト ロ ン ビ ンVIと よ ば れ た が,以 fibrinogen fibrin. degradation. products,fibrinogen/. degradation. degradation. products,fibrinolytic. products,fibrinogen. products,fibrinogen‑fibrin ducts,fibrinolytic. breakdown. breakdown. pro‑. split products,fibrinogen. て は,そ の 測 定 法 と意義 に つ い て 述 べ,著 者 の. derivatives,fibrinogen‑fibrin. 責 を果 した い 。. genな. ど,測. 後. related. anti‑. 定 者 に よ って さ ま ぎま の 名称 が. 用 い られ て い る 。 II.フ. ィブ リン体 分 解 産 勅 の 定 義. フ ィ ブ リ ノ ゲ ン は プ ラ ス ミン に よ っ て 分 解 さ. Studies on fibrinogen/fibrin degradation products TAMOTSU MATSUDA 2nd Lab. of Clinical Physiology, Dept. of Physiology, Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology. Sakaecho 35-2, Itabashi-ku, Tokyo, Japan (東京 都 板 橋 区 栄町35‑2). (金沢 市 宝 町13‑1). 子 量 約30万)は. く り と凝 固 す るfragment. X(分. と低 分 子 量 のfragments き らにfragment. Xは. プ ラス ミ. ロン ビ ンに よ って ゆ っ 子 量 約24万). A,B,C,に. 分 解 し,. 分 解 さ れ て トロ ン ビ ン. に よ る 凝 固 性 を 全 く 有 し な いfragment (分 子 量 約15万5千)とfragment 8万3千)と. D(分. を 生 ず る 。 こ のfragment. of Me-. のfragment 万)と. Dとfragment. E(分. を 生 ず る 。 現 在 の と こ ろ,プ. Y 子量 約 Yは. さ らに プ ラ ス ミ ン に よ っ て 分 解 さ れ,も. KYOKO HASEDA Dept. of Internal Medicine (II), School dicine, University of Kanazawa. Takaramachi 13-1, Kanazawa, Japan. フ ィ ブ リ ノ ゲ ン(分 ン に よ っ て 分 解 さ れ,ト. う一 つ 子 量 約5. ラス ミンに. よ るフ ィブ リノ ゲ ンの 分解 は これ 以 上 進行 しな 81.

(2) 臨床 化 学 ・第2巻 い と考 え られ て い るが,以 Y,D,Eが. 一般 にF.D.P.と. 上 のfragments. X,. 呼 ば れ る。(図1). フ ィ ブ リ ノ ゲ ン は トロ ン ビ ン の 作 用 に よ っ て 2種 の フ ィ ブ リ ノ ペ プ タ イ ド(フ タ イ ドA,フ. 生 ず る が,こ. さ らに 活 性 第XIII因. X,Y,D,Eを. れ が 重 合 し,. 子 の 作 用 に よ り安 定 化 し. これ ら のF.D.P.は,相 リ ノ ゲ ン,五brin. 互 に,ま. monomerな. たは フ ィブ. ど と結 合 し,ト. ロン ビン に よ って凝 固 しな い か ま た は凝 固性 の 悪 い 種 々 の 複 合 体 を 形 成 す る 。F.D.Rとfibrin monomerと. れ た フ ィ ブ リ ン が プ ラ ス ミン に よ っ て 分 解 さ れ. mer. 成 の 事 情 は,フ. ィブ リノゲ ン分 解 産. っ て お り,抗 ト ロ ン ビ ン作 用 は 弱 い と い わ れ る 。. た フ ィ ブ リ ン を 生 ず る 。 こ の よ うに し て 形 成 さ. た 場 合 のF.D.P.生. 生 ず る が,フ. 物 に 比 し フ ィブ リ ノ ペ プ タ イ ドを含 ま ぬ 点 が 異. ィブ リ ノ ペ プ. ィブ リ ノ ペ プ タ イ ドB)を 遊 離 し て. fibrin monomerを. ・第1号(1973). の 複 合 体 はsoluble fibrin. complex(S.F.M.C.)と. mono‑. 呼 ば れ る(表1)。. ィブ リノ. ゲ ン分 解 の 場 合 と全 く類 似 し て お り,フ. ィブ リ. III.F.D.P.の. ノ ゲ ン 分 解 の 場 合 とanalogousなfragments. 測定法. 現 在 用 い られ て い るF.D.Rの test,Staphylococcal. 測 定 法 は,Fi‑. clumping. test(S.C.T.),. 赤 血 球 凝 集 阻 止 反 応(T.R.C.H.I.I.)が な もの で あ り,い ず れ もF.D.P.が. 代 表的 フ ィブ リ ノ. ゲ ンを 除 去 し た血清 ま た は脱 線維 素血 漿 中 に も 存 在 す る こ と と,こ れ ら が 免 疫 学 的 に は そ の 母 蛋 白 で あ る フ ィブ リ ノ ゲ ン と 同 一 の 反 応 を 示 す こ と と を 利 用 した 免 疫 学 的 測 定 法 で あ る。 血 清 ま た は 脱 線 維 素 血 漿 の 脱 フ ィブ リ ノ ゲ ン が 不 完 全 で あ れ ば,当. 然 そ の 中 に 含 まれ る フ ィブ リノ. ゲ ン に 反 応 し,ま. たS.F.M.C.に. 対 し て も反. 応 す る。 図1フ. ィブ リ ノ ゲ ン の プ ラ ス ミン に よ る分 解(数. 表1F.D.P.と. ま た はF.D.Rと. フ ィブ リ ノゲ ン血 漿 で 被 覆 し. た ラ テ ッ ク ス 粒 子 が フ ィブ リ ノ ゲ ン に 反 応 し て. 字 は 分 子 量)1). フ ィ ブ リ ノ ゲ ン,Fibrin. Fi‑testは,抗. monomer,. のcomplex2). 凝 集 す る こ と を 利 用 し て い る。 し か し,こ. の ラ. テ ッ ク ス 粒 子 の 凝 集 は 少 く と もfragments. Y,. D,E,に. よ っ て は 生 じな い た め,本. ent Xま. た はS.F.M.C.を. れ,fragment YとDと. Xは. 法 はfragm‑. 反 映 す る と考 え ら. 極 め て 短 時 間 でfrgment. に 分 解 す る の で,F.D.P.の. 測定 法 と. して 必 ず し も一 般 的 と は 言 い か ね る 欠 点 が あ る 。 し か し,全 う際,全. 血 ま た は 血 漿 よ り脱 線 維 素 を 行. 血 を 自 然 に 凝 固 せ し め るに せ よ,ま. トロ ン ビ ン を 加 え る に せ よ,少. 大 文 字 は フ ィブ リノゲ ンの 分 解 に よ って生 じた fragmentを 示 す 。 小 文 字 は フ ィ ブ リン の 分 解 に よ っ て 生 じ たfragmentを. 82. 示 す。. fibrin monomerを. 生 ず る の で,条. は こ れ がF.D.P.と. 結 合 し て,試. のS.F.M.C.を. F.D.P.を. 件 に よ って 験管 内 で 多 少. 生 ず る 可 能 性 が あ り,本. 結 果 と し てfragment. Xよ. た. く と も一 過 性 に. 法が. り も分 子 量 の 少 い. 反 映 す る可 能 性 が あ る 。 な お,本. 法.

(3) <特 集>フ. ィブ リン体分 解 産 物 の 臨 床. は 測 定 に 要 す る 時 間 が 極 め て 短 い と い う利 点 が. 最 近,本 法 に お い て も,抗 血 清,感 作 赤血 球 の. あ る。. 製 品 化 へ の動 きが あ る。 F.D.P.測 定 の検 体 として は,前 述 の 如 く,. S.C.T.は. ブ ド ウ状 球 菌 が,フ. ィブ リノゲ ン. また は そ の 分 解産 物 に反 応 して 凝 集 す る事 実 に. 血 清 ま た は脱 線 維 素 血 漿 が 用 い られ るが,い ず. 基 い て い る が,主. と し てfragmentsX,Yな. ら. れ を用 い るに して も検 体 中 の フ ィブ リノゲ ン が. び にS.F.M.C.を. 反 映 し,fragmentsDな. ら. 完 全 に 除 か れ て い る こ とが 必 要 で あ り,全 血 ま. び にEに. た は 血 漿 を完 全 に 凝 固 せ し め る必 要 が あ る。 血. は反 応 しな い 。 製 し た ヒ ト ・フ ィ. 液 が 試 験 管 壁 に接 触 す る と,ガ ラ スの異 物 面 作. ブ リ ノ ゲ ン を 家 兎 に 静 脈 内 投 与 し て 抗 フ ィブ リ. 用 に よ って 第 組 因 子が 活性 化 され,以 下 順 次 第. ノ ゲ ン 血 清 を 作 製 し,こ. XI,IX,VIII,X,II因. 赤 血 球 凝 集 阻 止 反 応 は,精. 時 間incubateし. れ に検 体 を加 えて 一 定. た 後 フ ィブ リ ノ ゲ ン 感 作 ヒ. ツ ジ赤 血 球 浮 遊 液 を 加 え て,感. 作赤血球の凝集. 反 応 の 阻 止 状 態 を 観 察 す る も の3)4)で,検. 体中. に 抗 フ ィ ブ リ ノ ゲ ン 血 清 に 対 す る抗 原 性 を 有 す る物 質 が あ れ ば,抗. 子 の順 に 活 性 化 され て フ ィ. ブ リン を生 ず るが,活 性 第 組 因 子 が線 溶 系 を活 性 化 す る こ と5),ト ロン ビン に も類似 の 作 用 の あ る こ と,ま た,全 血 を凝 固 せ め る際赤 血 球 よ り線 溶作 用 を 有 す る 物 質(erythrokinase)が. 血 清 が こ れ と反 応 す る た. 遊 離 す る6)と い わ れ る点 な ど,血 液 ま た は血 漿. 血 清 に よ る感 作 赤 血 球 の 凝 集 反 応 が 抑 制. の凝 固 に 際 して は 必 ず線 溶 系 が活 性 化 され る と. され る こ と に な る 。 検 体 を 倍 々 に 希 釈 し て 抗 血. 考 え るべ きで あ ろ う。 本 法 で は0.25mg/dlの フ ィブ リノゲ ン と等 価 のF.D.P.を 含 む検 体. め,抗. 清 に 加 え る こ と に よ り,凝. 集 反 応 を阻止 し得 る. 最 大 の 希 釈 率 か ら検 体 中 のF.D.P.を る の で あ る が,本. 半定 量 す. 法 は,fragmentsX,Y,Dな. らび にS.F.M.C.を. 反 映 す る ほ か,多. は 低 下 す る と は 言 えfragmentEを と い わ れ る 。 こ の 点,本 定 法 中,最. 少感度. も反 映 す る. 法 は 各 種 のF.D.P.測. も鋭 敏 か 否 か は 別 と し て も,少. も各 種 のF.D.P.に. に反 応 し得 る(正. 常 フ ィブ リノゲ ン量 は約220. mg/dl)の. ィブ リノゲ ン を完全 に フ ィブ. で,フ. リン に転 化 せ しめ る必 要 が あ り,こ の た めに は 37℃ で 比 較 的 長 時 間incubateし. て 完全 に 凝. 固せ しめ るか,ま た は比 較 的 高 濃 度 の トロ ン ビ くと. ン を加 え る必 要 が あ る。 しか し,フ ィブ リノゲ. 対 し 最 も は ば 広 く反 応 す. ンに 比 し フ ィ ブ リン は は るか に プ ラス ミン の. る。 本 法 は,現 在 最 も広 く用 い られ て い る の で,. 作 用 を 受 け や す く,以 上 の 操 作 中 に 人 工 的 な. 以 下,本. F.D.P.を. 法 に 関 し,少 し く詳 し く述 べ て み た い 。. 抗 血 清 は,精. 製 した ヒ ト ・フ ィブ リ ノゲ ン. に ト ロ ン ビ ン を加 え て 作 製 し た フ ィ ブ リ ン を homogenizeし nd's. た 後 透 折 し,complete. adjuvantsと. 4〜5週. Freu‑. と に 家 兎 足 蹠 皮 下 に 注 入 し,. 間 後 ヒ ト ・フ ィ ブ リ ノ ゲ ン を 大 腿 部 皮. 下 に 注 射 し,4日. 血 に 際 して は まず 線 溶 阻 止 物 質 を あ らか じめ 試 験 管 に 入 れ てお き,凝 固後 生 ず る人 工 的線 溶 を 防 ぐ必 要 が あ る。 線 溶 阻止 物 質 と して は,プ. ラ. ス ミンに 直 接 作 用 す る トラ ジ ロ ー ル を用 い た方 が よい 。 ただ し,ト ジ ラ ロー ル はin. vitroで. 離 した 血 清 を. 第VIII因 子 を阻 止 す る7)こ と と,凝 固性 の悪 い検. 酸 バ リウ ム を. 体 に遭 遇 す る こ とを考 慮 し,十 分 量 の トロン ビ. 加 え 残 余 の 凝 血 因 子 を 除 去 し た もの を 凍 結 乾 燥. ンを 同時 に 加 えて お い た方 が よい 。 国産 の製 品. 56℃30分. 後 全 採 血 し,分. 生 ず るお それ が あ る。 したが って 採. 加 温 し て 非 動 化 し,硫. し 使 用 時 緩 衝 液 に 溶 解 す る。 感 作 赤 血 球 は,洗. を用 い た著 者 の経 験 で は ヒ ト ・ トロン ビン の方. 滌 ヒ ツ ジ赤血 球 を ホ ル マ リ. が ウ シ ・ トロ ン ビン よ りも好 結 果(線 溶 作 用 が. ン化 し た 後 タ ン ニ ン 酸 溶 液 を 加 え て 感 作 し た も. 低 い)が 得 られ る。 この よ うに して分 離 した血. の を 凍 結 乾 燥 し,使. 清 に さ らに トロン ビン を加 え て 凝 固 しな い こ と. 用 時 緩 衝 液 に 浮遊 せ しめ. る。 い ず れ も,力. 価 を 一 定 に 保 つ 必 要 が あ る が,. を た しか め れ ば 十 分 で あ るが,こ の 間frag‑ mentXが 凝 固す る可 能性 が あ る。 83.

(4) 臨床 化 学 ・第2巻. ・第1号(1973). 可能 性 が 高 い と思 われ る。 なお,ヘ. パ リン に よ る抗 凝 血 薬 療 法 を行 っ て. い る場 合 に は,こ の程 度 の 量 の トロ ン ビン を血 漿 に加 えて も十 分 に脱 線維 素 され ず,凍 結 融 解 の操 作 を加 え て も一 部 の フ ィブ リンが 生 ず るに 止 り,比 較 的 多 量 の フ ィブ リノ ゲ ンが 検 体 中 に 残 存 して 測 定 値 に影 響 を及 ぼ す 可 能 性 が あ る。 この よ うな 場 合 には,ヘ パ リンに よ っ て は阻 止 図2脱. 線維素血漿 の作製法. さ れ な いReptilase(フ. ィブ リ ノゲ ン に 加 え. る とフ ィ ブ リ ノペ プ タイ ドAの み が 遊 離 して fibrin monomerを 脱 線 維 素 血 漿 を得 る場 合 に も全 く同 様 に,血 漿 に十 分 量 の トラ ジ ロール と トロン ビ ン を加 え る方 法 が よ く,加 熱 に よ って 脱 線 維 素 を行 う方 法 は フ ィブ リノ ゲ ンを完 全 に 除 去 で きず,し か も熱 に 比 較 的 弱 いframentX,Y,Dが. 破壊 さ. れ る可 能 性 が あ るので,適 当 で は ない 。著 者 は 図2の よ うな方 法 で 得 た脱 線 維 素 血 漿 を使用 し て い る。 測 定 に,血 清 で は な く脱 線維 素血 漿 を 用 い た理 由 は,そ の他 の 凝 血 学 的 検 索 を同 時 に 行 うた め に は 血 清 に比 し血 漿 を用 い た方 が 有 利 で あ る た め で あ る。 脱 線維 素 血 漿 を用 い る よ り 血 清 を用 い た方 がF.D.P.値. が 低 値 を示 す8)と. の報 告 もあ るが,十 分 量 の トラ ジ ロー ル を使 用 す れ ば 両 者 の 間 に は 差 は な い よ うで あ る。 な お,脱 線維 素 に 際 して著者 の 用 い た トラ ジ ロー ルの 量 は,加 熱 フ ィブ リン平 板 を用 い た場 合,. 代 りに(血. 漿1ml対. 形 成 す る)を. トロン ビ ンの. しKlobusitzky単. 位). 加 え る こ とに よ り脱 線 維 素 を 行 う こ と が で き る。 脱 線維 素 血 漿 につ いて のF.D.R測. 定 は,ま. ず 脱 線維 素 血 漿(こ の 場 合,す で に も との血 漿 の10倍 に 希 釈 され て い る)を 倍 々 に 希 釈 し, (血 清 を用 い る場 合 に も同様 に10倍 希 釈 を起 点 として測 定 を行 う),そ の0.1mlに mlを. 抗 血 清0.1. 加 えて37℃30分incubateし. 赤 血球 浮 遊 液0.2mlを. た 後感 作. 加 え,室 温 で2時 間放. 置 した後,試 験 管 底 の赤 血 球 凝集 状 態 を肉眼 で 判 定す る。 管 底 に は っ き りした リン グ を生 じた 場 合 に凝 集 阻 止 と 判定 す るが,45℃. の 角度 の. 鏡 を試 験 管 立 の 下 に 装 着 す る と観 察 に 便 利 で あ る。 著 者 は各 例 に付 き,ま ず10倍,20倍,40 倍 の希 釈 脱 線 維 素血 漿 につ い て検 討 し,40倍 希. 正 常 血 漿 中 の プ ラス ミノゲ ンが 完 全 に 活性 化 さ. 釈 の検 体 に も凝 集 阻 止 が み られ れ ば さ らに80倍. れ て 生 じ た プ ラス ミン(whole. の 希釈 脱 線 維 素 血 漿 につ いて 再 検 す る こ とに し. plasmin)を. 完 全 に 抑 制 し得 る量7)の 約20倍 で あ る。 塩 化 カ ル シ ウム液 は,第XIII因. て お り,良 好 な再 現 性 が 得 られ る。. 子 活性 化 の 目. 的 で 添 加 し て い る。. な お,室 温 で,検 体 に抗 血 清 を加 え た直 後 に 感作 赤 血 球 浮 遊 液 を加 え た場 合 に は,同. 脱 線維 素 血 漿 作 製 に際 して は プ ィブ リン塊 の. じ検 体. 収 縮 が 極 め て不 完全 で,脱 線 維 素 血 漿 の分 離 が. と抗 血 清 とを混 合 した後 あ らか じめ37℃ で15 〜60分incubateし た場 合 に 比 し,同 程 度 の 赤. 多 少 困 難 で あ るの で,一 旦 凝 固 し た血 漿(希 釈. 血 球 凝集 阻 止 反 応 を惹起 す るの に 約2倍 の 検 体. 血 漿)を 凍 結 した後,再 融 解 して フ ィブ リン を. の濃 度(希. 収 縮 させ る方 法 を用 いて い る。F.D.P.は. 融 解 の 操 作 に対 して は比 較 的 安 定 で あ るが,こ. 37℃15〜60分incubateし 一定 の 価 が 得 られ る(図3). の 方 法 で は 検 体 中 のS.F.M.C.がparaco‑. 清 との 反 応 に は,一 定 の 温 度 と時 間 とが 必 要 と. agulateし. 考 えれ ば,F.D.P.と. て フ ィブ リンが 折 出 し,S.F.M.C.. か らF.D.Rが 84. 凍結. 脱 線維 素 血 漿 中 に分 離 され る. 釈 倍 数 で は な い)を. 必 要 とす る。. た 場 合 に は,ほ 。F.D.P.と. ぼ 抗血. 抗 血 清 との 混 合 後 直 ちに. 感作 赤 血 球 を加 え る こ とに は問 題 が あ る と思 わ.

(5) <特 集>フ ィブ リン体分解産物の臨床 れ るが,一 方,F.D.P.と. Antifiibrinogen. 抗 血 清 との. serum+defibin.. plasma. 〓incubate(37℃). 混合 液 を あ ま りに 長 時 間incubate. +tanned. red‑cell. suspension. す る こ とは,単 に測 定 時 間 を延 長 せ し め るの み で な く,抗 血 清 を失 活 せ し め るお それ が な い とは言 えな い 。 著 者 は この よ うに作 製 し た抗 血 清 は 比 較 的 安 定 と考 え て い るが,以 上 の 点 を考 慮 して,抗 血 清 と検 体 との incubation. timeを37℃30分. とし. て い る。 F.D.P.測. 定 値 の 表 示 法 と して は,. 感 作 赤 血 球 の 凝集 阻 止 を惹 起 す るの 図3抗. に必 要 な,血 清 ま たは 脱 線 維 素血 漿. 血 清 と検 体 のincubation. timeのF.D.P.. 測 定 値 に及 ぼ す 影 響. の最 も高 い 希 釈 倍 数 で(た ×20の よ うに)表 F.D.P.と. とえ ば. 示 す る方 法 と,. 免 疫学 的 に 同一 力 価 の フ ィブ リ ノゲ. ン量 と して(た. とえ ば5μg/mlの. よ うに)表. ン の 分 解 産 物 に 相 当 す る。)抗. 原 性 は 時 間 の経. 過 と と も に 再 び 低 下 す る 。 こ の こ と は,前. 述 の. 示 す る方 法 とが あ る。 血 漿 中 の フ ィブ リノゲ ン. 如 く,フ. ィ ブ リ ノ ゲ ン1分. 量 を測 定 して お き,次 い で,血 漿 に つ い て(脱. D各1分. 子 を 生 じ,最. 線 維 素 を行 わず に)赤 血 球 凝 集 阻 止 反 応 を 実 施. 2分 子E1分. し,次 の 式 に基 い て 計 算 を行 い,等 力 価 の フ ィ. D,Eの. ブ リ ノゲ ン量 と して 表 示 す る方 が 便 利 で あ る。. の そ れ に 比 し い く らか 低 い こ とに よ る の か も知. 子 よ りfragment. 終 的 に はfragment. 子 とな る こ と,ま. Y, D. た,fragrpents. 抗 原 性 が フ ィブ リ ノ ゲ ン,fragment. Y. れ な い。 た だ し,線. こ の 場 合 に は,他. 溶 阻 止 因 子 を 十 分 に 含 ん で い る正. の 研 究 室 との成 績 の比 較 が. 可 能 で あ る の み で な く,か. り に,incubation. に よ っ て 抗 血 清 の 力 価 が 多 少 と も失 活 し て も, そ れ はF.D.P.の. 測 定 値 そ の もの を 変 化 せ し. め る の で は な く,単. に 一 定 の 価 以 下 のF.D.P.. 値 が 信 用 で き な くな る に す ぎ な い か らで あ る。 な お,抗. プ ラス ミン を 含 ま ぬ ヒ ト ・フ ィ ブ リ. ノ ゲ ン 製 品2mgを,プ 単 位 と37℃. ラ ス ミン5カ. でincubateし,抗. 検 討 す る と,図4の. ゼ イン. 原性 の 変 化 を. よ うに,incubation開. 始. 後 抗 原 性 は 多 少 と も増 加 す る よ う な 結 果 が 得 ら れ る。(点. 線 は,同. 時 に トロ ン ビン を加 え た場. 合 の 脱 線 維 素 血 漿 の 抗 原 性 の 変 化 で,フ. ィブ リ. 図4フ. ィブ リノゲ ンに プ ラス ミン を加 え た 後 の フ ィブ リノゲ ン分 解 産 物 の 変 動 (点線 は フ ィブ リン分解 産物) 85.

(6) 臨 床化 学 ・第2巻. ・第1号(1973) る(paracoagulation)こ. と を 利 用 し て い る。. IV.F.D.P.の F.D.Rは. 生理的意 義. 前 に 述 べ た よ う に そ れ 自 体 トロ ン. ビ ン に 対 す る 阻 止 作 用 を 有 す る が,こ fibrin monomerと る た め,fibrin. 結 合 し てS.F.M monomerの. の ほか .C.を. 作. 重 合 に 対 し競 合 的. に 阻 止 す る。 ま たfragmentXま. た はYは,. 血 小板 の 粘 着 ま た は凝 集 に対 し て抑 制 的 に作 用 す る9)と い わ れ るが,S.F.M.C.は. 逆に 血小. 板 を 凝 集 せ し め10)む し ろ血 栓 形 成 を 促 進 す る と も考 え られ る 。 この ほ か,F.D.P.は 図5各. 高 め,ま. 種 疾 患 に お け るF.D.P.(1). ア ドレ ナ リンの 作用 を. た 毛 細 血 管 の 透 過 性 を 充 進 せ し め,ま. たbradykininの. 平 滑筋 に 対 す る収 縮 作用 を高. め る と も言 わ れ る が,生. 常血 漿1mlに. 対 し200単 位 の ウ ロキ ナ ー ゼ を. す るF.D.Rが. 理 的 状 態 に お い て存 在. どの 程度 の 作 用 を 生 体 に 及 ぼ. 加 え て,血 漿 中 の プ ラス ミノゲ ン を完 全 に 活 性. し 得 るか に つ い て は 今 後 の 検 討 が 必 要 で あ ろ. 化 して も,血 漿 中 の フ ィブ リノゲ ン分 解 産 物 は. う。. 極 めて 僅 か しか増 加 せ ず,フ. ィブ リノゲ ン分 解. な お,F.D.Rの. 代 謝 速 度 は 比 較 的 速 く,. 産物 の 生 成 に は血 中 の阻 止 因子 の演 ず る役 割 が. 生 体 内 に お け る 半 減 期 も24〜72時. 少 くな い と考 え られ る。 しか し,同 時 に トロ ン ビン を加 え て血 漿 を凝 固 せ しめて お くと,極 め. fragmentsD,Eは5〜19時. て 大 量 のF.D.P.(こ フ ィ ブ リ ン 分 解 産 物)を の で,生. 生ず る. 体 内 に お い て も,お. そ. ら くフ ィブ リ ノゲ ンの分 解 産 物 よ り もフ ィ ブ リ ン の 分 解 産 物 の 方 が生 じや す いの で は な い か と 考 え られ る 。 な お,F.D.P.と S.F.M.C.の. 関連の深い 測 定 法 と し て は,. 血 漿 に 硫 酸 プ ロ タ ミン(硫. 酸. プ ロ タ ミ ン 試 験)や. エ タ ノー ル. (ethanol. test)を 加 え. gelation. た り,血 漿 を 凍 結 後 融 解(cryo‑ precipitation. test)せ. 法 な ど が あ り,い 件 下 で は,S.F.M.C.よ monomerが 86. しめ る方. ず れ も一 定 条 りfibrin. ゲ ル化 して折 出す. 図6各. 種疾 患 に お け るF.D.R(2). とに. 間12)と 言 わ れ る 。. 著 者 も急 性 前 骨 髄 球 性 白血 病 の1例. の 場 合,. 間11),こ. に お い て,.

(7) <特 集>フ. 著 し く増 加 して い たF.D.P.が3日. ィブ リン体 分解 産 物 の臨 床. 後1/8に減. 少 した の を経 験 して い る。 V.F.D.P.の. と一 見 矛 盾 す るよ うで あ るが,生. 鎖 飽 和 脂 肪 酸 の 第XII因子 活 性 化 作 用,活 性 第XII. を測 定 した 著 者 の 成 績 を 図5,図6に. 示 した. が,糖 尿 病,狭 心 症,悪 性 腫 瘍,肝 硬 変 症,各 る。F.D.P.は. 費性 凝 固 障 害 例 で 増 加 して い 狭心症例では発作の軽 快 とと も. に 低 下 す るが,新. ク リー ム負 荷. 後 第XII‑XI因 子 活 性 増 強 の み られ る こ と13),長 臨床的意義. 正 常 者 な らびに 各 種 疾 患 患 者 に つ い てF.D.P.. 種 の 腎 疾 患,消. 低 下(著 者 は 抗 プ ラス ミンの 増 強 を認 め て い る). 鮮 心筋 硬 塞 例 で は 正 常 範 囲. 因 子 の 線 溶 系 活性 化 作 用 か ら,血 中脂 質 の増 加 が 凝 血 能 ・線 溶能 の増 強 を来 た し,F.D.P.を 増 加 せ し め るの か も知 れ な い 。 い ず れ に して も,F.D.P.は. む しろ 凝血 能 亢. 進 状 態 に お い て増 加 す る とみ られ る一 方,フ. ィ. ブ リノゲ ン,オ イグ ロ ブ ロ ブ リン溶 解 時 間,抗. 内 に 止 って い る。 ただ し,心 筋 硬 塞 例 で は 硬 塞. プ ラス ミンな ど,全 身 線 溶 のparameterと. 発 現 後,経 過 と と もにF.D.P.が. 増 加 す る。. え られ る因 子 や 測定 法 とは 全 く相 関 しな い14)。. らか の 意 味 で. しか し,F.D.P.が. 肝 硬 変 症,腎 疾 患 を除 けば,何. 考. フ ィブ リノゲ ン の分 解 産 物. 血 栓 症 と関連 が 深 い 疾 患 に お いてF.D.P.の. で は な く,主 と して局 所 に お い て生 じた プ ィブ. 増 加 の み られ るの は 興 味 深 い が,腎 疾 患 に 関 し. リンの 分 解 産物 で あ る とす るな らば,プ ラ ス ミ. て も,最 近,糸 球体 に お け る フ ィブ リン の 沈 着. ノゲ ン を 活性 化 す るactivatorを. を腎 病 変 のmidiatorと. る こ とに よ りこの矛 盾 は解 決 され る。 血 栓 が 多. 考 えて,何. らか の 凝 血. 血 管 壁 に求 め. 能 亢 進 が 腎 病 変 成立 に促 進 的 に作 用 す るの で は. 発 して も局所 線 溶 の 亢 進 しな い例 で はF.D.P.. な い か との見 解 が み られ る。 肝硬 変 症 に お け る. が増 加 しな い こ とは,血 小 板 数 減 少 の 初 発 症 状. F.D.Rの. を もっ て 発症 し,フ ィブ リ ノゲ ン を含 む各 種 凝. 増 加 を凝 血 能 元 進 と結 び つ け る こ と. に は 多 少 の 無 理 が あ るが,F.D.P.が. 網 内系 で. 処 理 され るた め と解 す べ きか も知 れ な い。. 腎 不 全 な ど比 較 的 定 型 的 な消 費 性 凝 固 障 害 の経. な お,狭 心 症 例 に お い て は発 作 後24時 間以 内 に 測定 を行 っ た 心 筋 硬 塞 例 に 比 しF.D.P.が 高 い が,あ. 血 因子 活 性 の低 下,赤 血 球fragmentation像,. るい は狭 心 症 例 に お い て は冠 血 管 に. 過 を とっ た グ ラム陰 性 菌 敗 血 症 の1剖 検 例15)に お い て,全 身 臓 器 に 血 栓 の 発 現 が み られ た に も か か わ らず,終. 壁在 血 栓 を生 じ,こ れ が 血 管 を閉 塞 す る前 に溶. F.D.P.が. 解 す る こ とがF.D.P.を. され る。. 増 加 せ し め て い るの. で は な い か と も考 え られ る。 新 鮮 心 筋 硬 塞 にお い てF.D.P.が. 低 値 を 示 す 理 由 と して は,冠. 動 脈 の 閉 塞 の た め,血 管 末 梢 部 に お い て 生 じた F.D.P.が. 流血 中 に流 入 し難 い こ と と,壁 在 血. 栓 の溶 解 し難 い(し. た が っ てF.D.P.の. 増加. しな い)事 情 が あ っ て,こ の こ とが硬 塞 に つ な が っ た と考 え る2つ の 可 能 性 が考 え られ る。 糖 尿 病 例 に お い て は,F.D.P.と,同. 時に測定. 始 全 身 線 溶 の 低 下 が み られ,. 正 常 範 囲 内 に あ っ た こ とか ら も推 測. 通 常 血 中 に証 明 され るF.D.P.が. フ ィブ リン. の 分解 産 物 で あ ろ う とい う考 え方 は,前 述 の フ ィブ リノゲ ンの分 解 産 物 は フ ィブ リン の分 解 産 物 に 比 しは るか に生 じに くい と とす る考 え方 に も一致 す るが,こ の た め に は,血 中 にお い て は 常 に トロ ン ビ ンに よ る 凝 固(Coagulation)ま た は血 小板 第4因 子,basic るparacoagulationに. proteinな. どに よ. よ り不 断 に フ ィブ リン. した血 清 総 コ レス テ ロー ル 値 とを比 較 す る と,. を生 じて い て,そ れ が 生 理 的 線溶 ま た は網 内 系. F.D.P.の. 比 較 的 高 い 例 の コ レス テ ロー ル 値 は,. に よ って処 理 きれ て い る と考 えな けれ ば な らな. F.D.P.の. 低 い例 に 比 し有 意 に 高値 を示 した 。. い。 逆 に この よ うに 考 え る こ とに よ り,必 ず し. この こ とは,生. ク リー ム 経 口負 荷後F.D.P.. 増 加 を認 め た瀬 尾4)の 報 告 と興 味 あ る対 照 を示. も血 栓 症 の症 状 や出 血 症 状 の み られ な い正 常 者 や各 種 疾 患 患 者 にお い てF.D.P.の 存在が認 め. して い る。 一 般 に言 わ れ る高 脂肪 食 後 の線 溶 能. られ,時 に は増 加 す る こ とが説 明 で き るか も知 87.

(8) 臨 床化 学 ・第2巻. ・第1号(1973). れ な い。 この 考 え方 は,そ の 他 の 血 中 蛋 白の 代. 法 とは根 本 的 に異 って お り,そ の意 義 は少 な く. 謝 速度 に 比 し凝 血 因子 の 代 謝 速 度 が 著 し く速 い. な い と考 え られ る。. 点 を説 明 し得 るの みで な く,ア テ ロ ー ム性硬 化 VI.結. 症 の 成立 を血 管 壁 に沈 着 した フ ィブ リンの 器 質 化 に求 め るDuguidの. いわ ゆ る動 脈 硬 化 の 血栓. 源 説 に対 して も1つ の 理 論 的 背 景 を提 供 す る と い う点 で も魅 力 が あ る。 この ほか,腎 疾 患 患 者 に お い て,人 工 透 析 前 後 にF.D.P.の F.D.P.は. 変 動 を 検 討 す る と,透 析 後,. 軽 度 に増 加 す る14)が,透 析 面 にお け. る凝血 因子 の活 性 化 に よ る もの か も知 れ な い。 ま た,腎 F.D.P.が mune. 移 植 時,拒. 絶 反 応 の 発 現 と と もに. 増 加す る との 報 告16)が あ り,im‑. reactionに. お け る凝 血 因 子 な らび に 線. 溶 系 の活 性 化 を示 唆す る成 績 と して 興 味 深 い 。 尿 中 のF.D.P.も. フ ィブ リン体 分 解 産 物 に つ いて,そ. の 測定 法. として,現 在 最 も代 表 的 な赤 血 球 凝集 阻止 反 応 と,こ の方 法 に よ り測 定 を行 った 各種 臨床 例 に つ い て の成 績 に つ い て 述べ,そ つ き考 察 を加 え た 。. の 臨床 的意 義 に. フ ィブ リン体 分 解 産 物 は,消 費 性 凝 固障 害 の ほか,血 栓 症 の準 備 段 階,あ. るい は血 栓 症 と関. 係 の 深 い と思 わ れ る 各 種 の 疾 患 で 増 加 を 示 す が,全. 身 線 溶 と 関 連 す る 検 査 所 見 とは 相 関 せ. ず,局 所 に お け る フ ィブ リン の 沈 着 とその 溶解 (局所 線 溶)を 反 映 す るの か も知 れ ない 。. 全 く 同様 の 方 法 に よ って. 測 定 す る こ とが で き るが,著 者14)は尿 中蛋 白の 増 加 して い る例 に 高値 を示 す こ とを み て い る。 こ とに ネ フ ロー ゼ症 候 群 に お い て尿 中F.D.P. 値 が 高 値 を示 した が,尿 中蛋 白 の多 い例 で も う っ血 腎 の 例 で は 尿 中F.D.P.は 尿 中F.D.P.の. 語. 認 め られず,. 起 源 に つ い て 興 味 あ る 問題 を. 提 供 して い る。 以上,現 状 で は,血 中F.D.P.の. 測定 は,診. 文. 献. 1) V. J.Marder: Scand. J. Haemat., 13, 21 (1971) 2) Z. Wegrzynowicz, M. Kope, Latallo: Scand. J. Haemat., 49 (1971). and Z. S. suppl., 13,. 3) 村 上 元 孝:. 日血 会誌. 28, 341. (1965). 4). 白 血 会誌. 32, 406. (1969). 瀬 尾 迫 夫:. 5) K. Onchi:. suppl.,. Acta Haem. Jap., 29, 182 (1966). 断 学 的 に は 消 費 性 凝 固障 害 な らび に臓 器 移 植 時 の拒 絶反 応 の 診断 に最 も有 用 で は な い か と思 わ. 6) M. Semar, L. Skoza and A. J. Johnson: J. Clin. Jnvest., 48, 1777 (1969). れ る。. 7) 村上 元 孝, 松 田保, 万 見新 太郎, 平 丸 三 樹:. S.F.M.C.を. 検 出す る こ と も,同. 性 凝 固障 害 の診 断 に有 用 で あ るが,S.F.M.C. の検 出率 は比 較 的 低 く,消 費 性 凝 固障 害 例 に お いて も,疾 患 の最 もactiveな. 時 期 に 一過 性 に. 検 出 きれ るに 過 ぎない 。S.F.M.C.は,少 く と も現 在 のparacoagulationに. な. よ る方 法 で. は,血 中 に か な り大 量 の トロン ビン を生 じた時 に しか 検 出 し難 い と も思 われ る。 いず れ に して も,F.D.P.の. 測定 は,こ. とに. 生 体 内 に お け る フ ィブ リン の 沈 着 と そ の 溶 解 (局所 線 溶)を 反 映 し得 る とす れ ば,従 来 の オ イグ ロ ブ リン分 画 の 抽 出 に よ り線 溶 阻止 因子 を 除 い た り,ス トレプ トキ ナ ー ゼ や ウ ロ キ ナー ゼ の よ うな 線 溶 活 性 化 物質 を加 え る こ とに よ り人 工 的に 線 溶 能 を活 性 化 せ しめ る一 種 強 制 的 な方 88. 血液 と脈 管2,411. 様 に 消費. (1971). 8) J. D. Cash: Scand. 13, 122 (1971). J. Haemat.,. suppl.,. 9) E. Kowalski, M. Kope and Z. Wegrzynowicz: Thromb. Diath. haemorrh., 10, 406 (1964) 10) M. J.Larrieu: Scand. J. Haemat., suppl., 13, 273 (1971) 11) E. R. Stiehm and C. W. Trygtad: Amer. J. Med., 46, 774(1969) 12) A. P. Fletcher, N. Alkjaersig and S. Sherry: J.Clin. Invest., 41, 896 (1962) 13). 松 田 保:. 血 液 と 脈 管1,485(1970). 14). 松 田 保:. 日 血 会 誌35,. 15). 松 田 保 ほ か:. 第39回. 628(1972) 臨 血 例 会(1973)に. て発 表. 16) C. Haanen I.Novakova, P. Wijdeveld and F. van Liebergen: Scand. J. Haemat., suppl., 13, 345 (1971).

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参照

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