緒 言
ア レ ル ギ ー 性 気 管 支 肺 ア ス ペ ル ギ ル ス 症(以 下,
ABPA)は,気道に吸入されたアスペルギルス菌体に対 するアレルギーを基礎に,気道内に菌体と粘液・好酸球 などのアレルギー産物の一体となった粘液栓を形成し,
難治性の喘息や,好酸球性肺炎を伴う疾患である.これ までは,アレルギー性疾患としての側面が強調され,標 準的治療は副腎皮質ステロイド剤の全身投与であり,疾 患活動性や治療の指標としては血清総 IgE 値が有用と されている1).しかしながら,最近,蛇沢ら2)は,手術例 の病理形態学的所見から ABPA 症例の検討を行い,本 疾患の一義的病変は粘液栓であり,粘液栓を増殖巣とす るアスペルギルス感染症として本疾患を捉え直す必要性 があることを報告している.実際治療面でも,アスペル ギルスに対して抗菌活性を有する経口抗真菌剤イトラコ ナゾール(以下,ITCZ)3)の登場以来,この薬剤が ABPA の治療に有用であるとする報告がなされ4)〜9),本疾患に 真菌感染症としての一面が存在することが示唆されてい る.
(1→3)-β-D-グ ル カ ン(以 下,βDG)は,ほ と ん ど す べての真菌に共通した細胞壁構成多糖で真菌感染症の診
断・治療の指標として有用とされている10).ABPA にア スペルギルス感染症としての側面が存在するとすれば,
疾患活動性や生体内に増殖する真菌の量を反映して,血 中βDG 値が変動し,治療の指標として有用である可能 性がある.
そこで我々は,ABPA 患者における血中βDG 値の変 動を,特に,アレルギー疾患としての側面からの指標で ある血清総 IgE 値や,末梢血好酸球数の変動と比較検 討したので,その結果を報告する.
対象と方法
1998 年 5 月から 1999 年 4 月の 1 年間に新たに診断さ れたか,あるいは,以前診断されこの期間に再燃を来し た ABPA の連続した 3 症例を対象とした.いずれも,
Rosenberg の診断基準11)で,確実またはほぼ確実と診断 された症例であった.これらの症例に対し,治療前,治 療経過中 2〜8 週毎に,末梢血好酸球数,血清総 IgE 値 とともに,血漿中βDG 値を測定し,各指標の変化を,
臨床像と併せ,比較検討した.βDG 値はβ‐グルカン テストワコーおよびトキシノメーター MT-358(和光純 薬工業,大阪)を用い,比色比濁法により測定した.
成 績
1)症例 1(Fig. 1)
51 歳,女性.45 歳で気管支喘息を発症.アスペルギ ルスに対する特異 IgE 抗体が強陽性であった.1995 年
●原 著
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症における 血中(1→3) - β -D-グルカン値の検討
柴田 和彦1) 藤村 政樹2)
要旨:アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)患者において,真菌感染症のマーカーである血中
(1→3)-β-D-グルカン(βDG)測定値の変動を血清 IgE 値や末梢血好酸球数と比較検討した.1998 年 5 月 から 1999 年 4 月に新たに診断または再燃した 3 例の ABPA 患者を対象とした.3 症例ともに治療前には βDG は高値を呈し,ステロイド治療(±イトラコラゾール内服)により低下した.2 症例で経過中再燃が 見られ,再燃時にβDG の再上昇を認めた.全体としてβDG は IgE と並行した変動を示したが,一症例で再 発後の治療中に乖離がみられた.βDG はアレルギーとは別の感染症としての側面からの ABPA の経過観察 指標となりうる可能性が示唆された.
キーワード:アレルギー性気管支肺アスペルギルス症,(1→3)-β-D-グルカン,イトラコナゾール,IgE,
真菌感染症
Allergic bronchopulmonary aspergillosis,(1→3)-β-D-glucan,Itraconazole,IgE,Fungal infection
〒933―8555 富山県高岡市永楽町 5―10
1)厚生連高岡病院呼吸器内科
2)金沢大学第 3 内科
(受付日平成 12 年 7 月 28 日)
11 月,右下葉に結節影出現し,開胸肺生検で好酸球性 肺炎と診断された.1996 年 5 月に陰影の再燃を認め,10 カ月間にわたるステロイド全身投与により寛解となっ た.以後,ステロイド投与なしで安定した状態を維持し ていたが,1998 年 4 月咳嗽が増強,5 月の胸部 X 線で 右中葉,右 S6c を中心とする浸潤影を認めた.胸部 CT では,右中葉の気管支拡張を伴う浸潤影と,右 S6c を中 心とする腫瘤状の浸潤影を認めた.末梢血好酸球数は 18.8%,2,240 µl と 増 加 し,血 清 IgE も 8,090 IU ml と 上昇していた.この時点で,ABPA と診断し,5 月 12 日からプレドニゾロン(以下,PSL と略す)25 mg 日 と ITCZ 200 mg 日の経口投与を開始した.大量の粘液 栓の喀出とともに臨床症状,胸部 X 線所見は速やかに 改善,末梢血中好酸球数は速やかに減少した.βDG は 治療前 26.9 pg ml と高値を呈し,治療開始後,血清 IgE 値とともに徐々に低下した.PSL は 2 週後から漸減を 開始し,14 週後以降 5 mg 日とした.ITCZ は 12 週で 投与を終了した.IgE およびβDG は,31 週の時点で各々 864 IU ml,11.9 pg ml と最低値をとり,その後 PSL を さらに 2.5 mg 日まで減量した.しかし,その頃から末 梢血好酸球数は再び増加に転じ,次いで IgE,βDG も 上昇,45 週頃から咳嗽の増強を認めたため,PSL を 10 mg 日に増量した.βDG は 58 週に 7.8 pg ml と最低と なったものの,末梢血好酸球数,IgE はいずれも十分に は抑制されず,βDG もその後は再び上昇に転じ,71 週 目には胸部 X 線上新たな浸潤影が出現したため再燃と 判断し,PSL を 25 mg 日に増量した.増量後は,好酸 球数は速やかに減少,IgE も漸次低下傾向となり,再び
PSL の漸減を開始した.βDG は 20 pg ml 前後の高値が 持続したため,83 週から ITCZ 200 mg 日の経口投与を 再開,その 6 週後にはβDG 値は 3.2 pg ml まで低 下 を 認めた.
2)症例 2(Fig. 2)
58 歳,女性.57 歳で,気管支喘息,アレルギー性鼻 炎を発症し近医で通院加療を受けていた.1998 年 5 月 中旬より咳嗽が出現し,徐々に呼吸困難を伴うようにな り,6 月 25 日当科に紹介で初診.胸部 X 線上左全無気 肺を認めた.末梢血好酸球数は 47.5%,5,300 µl と著増 していた.直ちに気管支鏡検査を施行し,左主気管支に 粘液栓を認め,その病理組織検査で粘液内に多数の好酸 球と菌糸を認めた.培養では Aspergillus fumigatus が 分 離 さ れ た.IgE は 288 IU ml,βDG は 19.6 pg ml で あった.アスペルギルス抗原に対する即時型皮膚反応陽 性,特異 IgE 抗体強陽性,沈降抗体陽性であった.ABPA と診断し,直ちに PSL 20 mg 日の経口投与を開始する とともに,ITCZ 150 mg 日の経口投与を 8 週間にわた り併用した.多量の粘液栓の喀出とともに臨床症状は著 明に改善し,治療開始 1 週後には胸部 X 線上無気肺は 解除された.胸部 CT では,左 B 8 を中心に気管支拡張 像を認めた. 治療開始 2 週後から PSL の漸減を開始し,
IgE お よ びβDG は,そ れ ぞ れ 10 週 後 に 62 IU ml,18 週後に 1.2 pg ml と最低値をとり,症状や X 線所見にも 異常を認めず,寛解と判断し,投与開始から 26 週を経 て PSL 投与を終了した.しかし,初回治療から 45 週後 に咳嗽が再燃し,胸部 X 線上右下葉に新たな浸潤影が 出現し,末梢血好酸球数は 40%,2,760 µl と再度著増 Fig. 1 Clinical course of case 1 Fig. 2 Clinical course of case 2
Table 1 Summary of three cases
Case 3 Case 2
Case 1
(1 → 3)- β -D-glucan(pg/ml)
22.3 19.6
26.9 Pretreatment
3.2 1.2
7.8 Post-treatment
― 11.4 35.4
On relapse
Eosinophil counts(/ μ l)
5,400 5,300
2,240 Pretreatment
320 32
0 Post-treatment
― 2,760 2,200
On relapse IgE(IU/ml)
2,910 288
8,090 Pretreatment
228 62
864 Post-treatment
― 372 4,290
On relapse
し,再 燃 と 判 断 し た.IgE お よ びβDG も,372 IU ml および 11.4 pg ml と再上昇を認めた.PSL の再開のみ で速やかな改善を認めた.好酸球数は治療開始後直ちに 減少し,次いで IgE が低下し,βDG は最も遅れて,徐々 に低下傾向となった.
3)症例 3(Fig. 3)
66 歳,男性.37 歳で気管支喘息を発症,40 歳で肺結 核として右上葉切除を受けた.62 歳の時に両側肺炎で 入院歴があった.1999 年 4 月,発熱,喘鳴,呼吸困難 のために入院,胸部 X 線で左 S6を中心とする浸潤影を 認め,CT では左下葉支の中枢性気管支拡張像を認めた.
末梢血好酸球数は 50%,5,400 µl と著増し,IgE 2,910 IU ml,βDG 22.3 pg ml といずれも高値を呈した.粘液栓 の喀出を認め,鏡検で多数の好酸球と真菌を認めた.ま た,アスペルギルス抗原に対する即時型皮膚反応,特異 IgE 抗体,沈降抗体はいずれも陽性であった.以上から,
ABPA と診断し,PSL 25 mg 日の経口投与で治療を開 始した.症状,X 線所見は速やかに改善し,好酸球数も 速やかに減少した.IgE およびβDG はほぼ同様の経過 で徐々に低下し,それぞれ治療開始 37 週後および 25 週 後に 228 IU ml,3.2 pg ml と最低値をとった.現在 PSL 10 mg 日で維持療法中で,再燃を認めていない.
4)3 症例のまとめ(Table 1)
ABPA の活動性の高い時期にβDG の測定を行うと,3 症例いずれにおいても高値を呈した.初期治療として,
症例 1 および 2 では副腎皮質ステロイド剤と ITCZ 内服 の併用が,症例 3 ではステロイド剤の単独投与が行われ,
いずれも臨床的に著効を示し,βDG 値も 10 pg ml 以下
の正常値に低下した.しかし,症例 1 および 2 では,ス テロイド剤の漸減または中止により,再燃を認め,再燃 時にβDG 値の再上昇を認めた.基本的にはβDG の変動 は,アレルギーの指標としての好酸球数や IgE 値,特 に後者と並行していたが,症例 1 の再燃前後のように一 部にはこれらの指標との乖離を認めた.
考 察
ABPA は,アスペルギルス菌体に対する I 型および III 型アレルギーによって発症する疾患として理解され12), その治療の中心はアレルギー反応の抑制を目的とした副 腎皮質ステロイド剤の全身投与である1).
一方,蛇沢ら2)は,Bosken の基準13)に合致したアレル ギー性気管支肺アスペルギルス症・真菌症の手術例 5 例 に関して病理形態学的検討を行い,全例に共通して認め られる病理学的特徴が多数の好酸球を伴う粘液栓子のみ であり,その栓子内に糸状菌の形態で増殖した真菌を 伴っていることから,粘液栓子が真菌の増殖巣と認識さ れること,また,栓子末梢肺野に観察された病変の内部 に栓子成分が認められ,これらが栓子の形成に起因する 二次的な真菌の気道散布病変と考えられることから,
ABPA を粘液栓を増殖巣とするアスペルギルス感染症 として捉え直す必要性を主張している.この様な考え方 に基づけば,治療においても,アレルギー反応の抑制の みならず,増殖する真菌を排除するための抗真菌剤によ る治療の意義が注目される.
ITCZ は,比較的新しいトリアゾール系抗真菌剤であ り,in vitro,in vivo でアスペルギルスに対して抗真菌 活性を有し3)14),臨床的にも肺アスペルギルス感染症に 対する有用性が報告されている4).ABPA に対しても単 独またはステロイド剤との併用で有効とする報告がなさ れてきた4)〜9)が,対照を置いた検討はなされず,その有 効性は疑問視されてきた15).最近米国で行われた無作為 Fig. 3 Clinical course of case 3
化比較試験16)では,ステロイド剤依存性の ABPA 患者 に対し,ITCZ の追加投与がプラセボに比べ明らかに有 効であることが示された.ABPA の治療に抗真菌剤を 使用する重要なエビデンスが得られたことから,今後難 治性・再発性,またはステロイド剤の使用しづらい症例 などで,ITCZ を使用する頻度が高まることが予想され る.
ABPA の治療経過観察の指標としては,すでに血清 総 IgE 値の有用性が報告されている1).IgE は粘液栓内 のアスペルギルス抗原量にも影響を受けるものと考えら れるが,基本的にはアレルギー反応の指標である.抗真 菌剤による治療を加える場合,この指標のみで十分な治 療効果判定や薬剤中止時期の決定が可能か否かは不明で ある.真菌感染症としての側面からの有用な指標が存在 すれば,抗真菌剤治療のモニタリングに役立つことが期 待される.βDG は,広く真菌に共通して存在する細胞 壁 構 成 多 糖 類 で あ り,そ の 測 定 系 は 我 が 国 で 開 発 さ れ10),現在,広く深在性真菌感染症の診断・治療の指標 として用いられている.そこで我々は,ABPA のモニ タリング指標としてのβDG の有用性を検討する目的で,
まず,疾患活動性の高い治療前にβDG の測定を行った.
大林17)の報告によれば,カットオフ値を 10 pg ml とし た場合,感度 98%,特異度 90%,20 pg ml の場合,感 度 90%,特異度 100% とされているが,今回検討した 3 例では,治療開始前に 2 例で 20 pg ml を超え,残り 1 例もこの値を若干下回る程度であり,3 例とも正常人に 比べ明らかな高値と考えられた.再発例の症例 1,今回 が初発の症例 2,3 のいずれも,直前にステロイド剤の 投与を受けておらず,カンジダ属など内因性真菌の挙動 の影響は考えにくく,また他の真菌症の合併もみられな かったにも関わらず,連続した 3 例で治療前のβDG が 高値をとったことから,ABPA においては少なくとも 疾患活動性の高い時期にはβDG が高値をとる可能性が 高いと考え ら れ た.Obayashi ら の 報 告10)で は,3 例 の ABPA 患者ではすべてβDG が正常範囲であったとされ ているが,内 2 例は 10〜20 pg ml の間であり,さらに 採血時点での疾患の活動性が不明であることから,これ をもって我々の知見と相反するとは断定できない.
治療前のβDG 値が高値を示したことから,治療中経 時的にβDG 値の測定を行い,同時に測定した末梢血好 酸球数や血清総 IgE 値と比較検討した.3 例ともに治療 前に比べて,治療による改善後にはβDG 値の低下を認 め,臨床的に安定した時期には低値が持続した.初期の 低下の時間経過は,末梢血好酸球数にやや遅れ,血清総 IgE とほぼ同様の経過をたどった.この治療初期のβDG の低下は,抗真菌剤をステロイド剤に併用した場合でも,
ステロイド剤単独の治療を行った場合でも同様に認めら
れた.一般的に ABPA に対して十分量のステロイド剤 で治療を開始すると,抗真菌剤の有無に関わらず,多量 の粘液栓が喀出され,臨床的改善に至る.今回検討した 3 症例でもいずれも治療開始後に多量の粘液栓を喀出し た.粘液栓を増殖巣とする真菌が,粘液栓の喀出ととも に多量に対外に排出されることが,βDG の低下の一因 と推測される.さらに,症例 1,2 では,再燃をきたし,
再燃時には再度βDG の上昇を認めた.同時に血清 IgE や末梢血好酸球数も上昇・増加を認めた.再燃を認めな かった症例 3 では,βDG は末梢血好酸球数や血清 IgE とともに低値を維持した. これらの結果から,βDG は,
ABPA の病勢とほぼ並行して変動し,IgE と同等の経 過観察のマーカーとなりうる可能性が示唆された.
全体的には,βDG は IgE とほぼ並行して変化したも のの,一部ではかなり乖離した変動が見られた.症例 1 では,PSL を 2.5 mg 日に減量したところで IgE,βDG が いずれも上昇傾向となり,咳嗽も出現したため,胸部 X 線や呼吸機能上は不変であったが,PSL を 10 mg 日に 増量し 24 週間にわたって経過をみたところ,IgE は高 値のままほぼプラトーとなったが,βDG は一旦は低下 傾向になったものの,その後急速に上昇に転じ,最終的 にはこれまでの最高値をとった.この時点で胸部 X 線 上明らかな浸潤影が出現し,PSL を 25 mg 日に増量,
臨床的には速やかな改善を認め,IgE は順調に低下した が,βDG は低下傾向にはなったものの,20 pg ml 周辺 にとどまって十分な低下が認められず,ITCZ の追加に より急速な低下をみた.βDG 値と,アレルギー反応の 消長を示すと考えられる IgE との乖離が何を示すもの かは不明であるが,一つには不十分なステロイド剤投与 によってアレルギー反応はある程度抑制されたにも関わ らず残存した栓子内でアスペルギルスの増殖が起こって いる可能性や,また,カンジダなどの内因性真菌がステ ロイド剤の増量によって増殖しβDG の測定値に影響し た可能性などが考えられる.仮に前者の機序で,βDG が IgE と 乖 離 し た 変 動 を 示 し た と す る と,こ れ ま で ABPA の治療経過で用いられてきたアレルギーのマー カー以外に,真菌感染の面からのマーカーとしてβDG が役立つ可能性があり,抗真菌剤投与の適応などの治療 方針決定の一助となる期待が持たれる.
βDG は,広く真菌に存在する成分であり,アスペル ギルスに特異的ではない.したがって,今回検討した βDG の測定値の一部あるいはすべてが,ABPA と全く 無関係に生体内での何らかの真菌の増長を反映して変動 した可能性も否定できない.今回はアスペルギルスの特 異抗原の測定は行っていないが,最近導入された ELISA 法による抗原測定は,従来の測定に比べかなり高感度に なっており,βDG が高値を示した際,アスペルギルス
特異抗原を同時に測定することで,βDG の上昇が生体 内でのアスペルギルスの増殖を反映しているか否か結論 が得られる可能性があり,今後の検討課題と考えられた.
以上の検討結果から,βDG 値は,ABPA の治療にお いて,IgE と同等の,しかし別の側面を持った指標にな りうることが示唆された.これまで,ABPA 症例にお ける抗真菌剤の投与は,何らかの理由でステロイド剤の 十分な投与が行いえない症例に限定されてきたが,今後 は比較試験での有用性の証明を基に,抗真菌剤の使用頻 度が高まることが予想される.しかし,その使用時期や 期間について一定の見解は得られておらず,今後の検討 に委ねられている.そのような検討を行う際にβDG 値 を経時的に測定することにより,この新たなマーカーの 有用性が明らかとなることを期待したい.
本論文の要旨は,2000 年 3 月 22 日から 24 日にわたって 広島市で開催された第 40 回日本呼吸器学会総会において発 表した.
文 献
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Abstract
Plasma(1→3)-
β
-D-glucan Level in Allergic Bronchopulmonary AspergillosisKazuhiko Shibata1)and Masaki Fujimura2)
1)Department of Respiratory Medicine, Koseiren Takaoka Hospital, Takaoka, Japan
2)Department of Internal Medicine(III), Kanazawa University School of Medicine, Kanazawa, Japan
We measured the plasma(1→3)-β-D-glucan(β-DG)levels in patients with allergic bronchopulmonary asper- gillosis(ABPA)and compared their temporal changes with those of serum IgE and eosinophil counts in the pe- ripheral blood. The subjects were three ABPA patients who were newly diagnosed or had had a relapse between May 1998 and April 1999. Before treatment, all three cases showed high plasmaβ-DG values, which declined fol- lowing corticosteroid treatment with or without oral itraconazole. In two cases, theβ-DG values rose again on re- lapse.β-DG values showed a tendency to change in parallel with IgE, although they moved in the opposite direc- tion after a relapse in one case. The present findings suggest that the plasmaβ-DG level may be a useful follow-up indicator of the infectious aspect of this disease.