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津波の水理模型実験に用いた大型水路

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Academic year: 2022

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(1)土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月). Ⅱ‑221. 越流津波による盛土形式の防潮堤の水理模型実験 -後ろ法面のコンクリートブロックのめくれ上がり現象- 農研機構. 農村工学研究所 正 ○松島健一 毛利栄征 桐博英 丹治肇 堀俊和. 1.はじめに 我が国における防潮堤は,高潮時の越波などに対して後ろ法面をコンクリートブロック等で保護する構造にな っているが,津波が堤防を乗り越えることを想定して設計され ていない.このため,東北地方太平洋沖地震による巨大津波に 対しては,津波が防潮堤を越流した際に強烈な揚力や衝突力が 後ろ法面に作用し,ブロックの破損やめくれ上がりなど複合的 な破壊が引き起こされた(図-1).そこで,本研究では,盛土形 式の防潮堤に用いられる被覆コンクリートブロックのめくれ 上がり現象を再現するため,長さ 64m,幅 2.0m,高さ 3.0m の大型水路を用いた津波の水理模型実験を実施した. 図-1 越流津波による盛土形式の防潮堤の破壊 2.実験方法 図-2 に実験に用いた大型水路を示す.模型に用いた防潮堤(模型縮尺比 1:15(無ひずみ模型))は,陸域の地盤 面を基準として高さ 0.63m,天端幅 0.38m,前法面 1V: 0.5H,後ろ法面 1V: 1.5H である.図-3 に示すように堤防表 面にはコンクリート製のブロック(厚さ 30mm,幅 300mm)を設置した.後ろ法面のブロックは,法長方向に 4 分割したタイプ(長さ 250mm)と 6 分割したタイプ(長さ 167mm)の 2 種類である.これら以外のブロックは模 型本体に完全固定した.実験では沖側の水路に 1.55m まで貯水し,沖側の水路のゲートを一気に引き上げること で津波を発生させた.前法面の初期水深は堤防上の越流流量を大きくするため,陸域の地盤面を基準として高さ 0.21m の位置に設定した.実現象に対しては,津波到達により海水面が上昇した状態で第2波,第3波の津波が来 襲した状況に対応する. 63.0 28.0. 15.0. 6. 0H. 1.55. 3.0. 0.21. 1.0 V :. 20.0. 沖側. 防潮堤. 0.86. 陸側 : 8. 3H. 0.63. 1.0V. ゲート. (単位:m). 図-2. 津波の水理模型実験に用いた大型水路. 3.実験結果 図-4 に津波到達直前から持続波に至るまでの 5.13 秒間(実ス ケール換算で約 20 秒)の連続写真を示す.津波到達直前(t= 0.00 秒)の図-4(a)では,陸域の地盤面を基準として波高 75.5cm の津波が観測された.0.46 秒後の図-4(b)では,砕波しない状態 で前法面に津波が衝突し,前法面に沿って越波が生じた.0.83 秒後の図-4(c)では,越波が水平方向に発達し,1.00 秒後の図-4(d) では,越波水が後背面の広い範囲に落下した.また,前法面近 傍では津波の衝突により沖側に向かう反射流れが生じた.1.16 秒後の図-4(e)では,越波から越流に連続的に流況が変化した. このとき,後ろ法肩部の6分割ブロックがめくれ上がった.1.50 図-3 コンクリートブロックで被覆した防潮堤模型 秒後の図-4(f)では,反射した流れと後続する入射波が重なり, 反射重複現象が生じた.このとき,波高が最も大きくなった.さらに,1.96 秒後の図-4(g)では,反射重複波によ り強烈な押し波が堤防に作用した.これにより,防潮堤上の越流水深が増加し,後ろ法肩部の4分割ブロックが めくれ上がった.その後,5.13 秒までの間に6分割ブロックおよび4分割ブロックとも隣接したブロックが次々 と押し流され,後ろ法面のすべてのブロックが消失した(図-4(h)). 4.考察 後ろ法肩部の6分割ブロックが越波直後の越流によりめくれ上がった.その後,遅れて4分割ブロックがめく れ上がった.このことから,ブロックの長さが長いほど抵抗モーメントが大きくなり,めくれ上がりに対する抵 抗力が大きかったと考えられる.しかし,いずれも場合も法肩のブロックが押し流されると,隣接するブロック に大きな流水圧が作用するため,連鎖的な崩壊に発展することがわかった. キーワード 連絡先. 防潮堤,津波,越流侵食 〒305-8609. 茨城県つくば市観音台 2-1-6. 独立行政法人農研機構 農村工学研究所 ‑441‑. TEL029-838-7575.

(2) 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月). Ⅱ‑221. 5.まとめ コンクリートブロックのめくれ上がりに対する抵抗力を向上させるためには,①コンクリートの厚みを増して 重量を増加させ,②法長方向に長いパネルを採用することが有効であると考えられるが,本実験で使用したブロ ックは,実物換算で厚み 45cm であり,コンクリートの厚みだけで抵抗するには限界がある.このため,水理学的 に引き剥し力が作用しにくい法肩形状や,地盤工学的に被覆コンクリートと背面盛土をジオテキスタイル等によ る面的な結合力を付加させる補強土工法など組み合わせ,越流津波に対して引き剥がれに強い構造を採用する必 要がある.. 段波状の津波. 法肩部6分割 ブロック のめく れ上がり. 75.5 cm 21.4 cm. 射流. (a) 津波衝突直前(t=0.00 秒). (e) 越流直後(t=1.16 秒後) 反射重複波 (最大波高). 前法面に沿って 跳水が生じる. 102.5 cm. 反射波 入射波. 63㎝. (b). (f) 反射重複現象(t=1.50 秒後). 跳ね上がり時(t=0.46 秒後). 広い範囲に落水 一時的に大きな 越流が現れる. 法肩部4分割ブ ロックの流失. 越流水深 の増加 25.4 cm. 自由落下. 押し波. (c). (g) 反射重複波による押し波の出現(t=1.96 秒後). 越波水の落下(t=0.83 秒後). 全てのブロッ クが流失. 反射波. 自由落下. 持続的な越流. 入射波. (h) 持続波による越流(t=5.13 秒後). (d) 越波水の落下と津波の反射(t=1.00 秒後) 図-4. 防潮堤の被覆コンクリートブロックのめくれ上がり現象. ‑442‑.

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