「疫学研究に関する倫理指針
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「疫学研究に関する倫理指針
「疫学研究に関する倫理指針(案)」に対する意見募集の結果概要
(案)」に対する意見募集の結果概要
(案)」に対する意見募集の結果概要
(案)」に対する意見募集の結果概要
○募集期間:平成14年2月8日∼3月7日
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対応項目
意見概要
題名 疫学研究の一部のみを対象にする本指針について、疫学研究に関する倫理指針という題名を付すことは、適当でない。 全般的意見 適切な医療提供のためには、プライバシーを守りながら、研究に協力を得ることが必要。疫学研究にこれ以上の規制をかけないようお願いする。 全般的意見 倫理審査委員会が標準的な尺度を持って審査できるよう、事例集などを示して欲しい。 全般的意見 研究方法の選択肢の制約につながる倫理指針の策定だけでなく、例えば米国のRecDAC のような行政統計データの研究利用を促進する体制の整備が不 可欠である。 全般的意見 日本全体にわたる研究もあり、研究機関内に設置される倫理審査委員会の審査には限界もあるので、複数の共同研究機関や学会等の倫理審査委員会の 積極的活用を推奨すべきである。また、倫理審査委員会の負担が大きいため、委員への報酬(財源確保)、委員の資質の向上、委員会のレベルのチェック などを検討願う。 全般的意見 これ以上厳しい規制がかかると、疫学研究の実施が事実上困難になり、支障を来す可能性が大きい。厳しい規制だが、許容範囲内である。 全般的意見 法医学教室では、司法解剖に際し鑑定事項の検査のため、資料を採取し、検査後も保管する。これを法医学の研究に使用することがある。この場合、生前 に本人の意思を確認することはできず、家族との接触も、鑑定に支障を生じたり圧力を受ける等の問題がないよう、避けることが妥当との考え方もある。法 医解剖に対応する内容が検討されれば幸いである。 全般的意見 これ以上厳しい規定を設けると、必要な研究が実施されにくくなり、社会や個人に不利益が生じてくる可能性が大きくなると感じる。全体として、個人情報保 護の重要性と疫学研究の公益性のバランスを取った妥当な指針と思う。 全般的意見 質の高い倫理審査を実施するため、倫理審査委員が踏まえるべき事項を研修・学習できるプログラムの検討が必要。 全般的意見 新たな細則を定める際には、委員会での慎重な議論やパブリック・コメントをお願いする。採血が侵襲性を有するかどうかなど、細則に示さない事項につい て、倫理審査委員会の判断に委ねるのであれば、その判断を尊重してほしい。五月雨式に細則や公式の解釈が示されると、既に異なる判断を行った倫理 審査委員会で混乱が生じる。 全般的意見 指針公示から施行期日までの期間を十分にとっていただきたい。 全般的意見 疫学研究の実施に当たり、手続きの煩雑さなどで研究に支障を来さないよう配慮してほしい。 全般的意見 社会の認知を得られるよう、一般市民を対象とした教育活動の重要性を本指針に盛り込む必要性を感じる。また、本指針が、専門家の組織である本委員会 でも理解が困難な形でまとまっているのは、疫学に対する一般社会の理解と協力を得る努力を怠っていると理解されても仕方がない。 全般的意見 「疫学研究に極めて多様な形態があることに配慮し」とあるが、幅広い適用除外の結果、どれだけが対象となっているか疑問である。 前文 疫学研究の評価に関する記述について、すべての研究が「欠くことができない」「個人のプライバシーに配慮しながら行われてきた」とするのであれば、かえ って支持を得られないのではないか。 前文 研究について社会のコンセンサスを得るため、具体的に何をするのかをわかりやすく記述すべき。 前文、1 個人情報保護法案の適用除外規定との関係を明確にするため、指針の前文及び1(目的)に、公衆衛生の向上の文言を追加すべきである。 前文、1 前文の「研究対象者の尊厳」を「研究対象者の人間(又は個人)」としての尊厳とすべき。また、1の「人間の尊厳」についても表現を統一すべき。 1 指針の目的において、疫学研究の重要性、学問の自由、人間の尊重、人権の尊重などの要因のバランスをとるため、憲法で定められている公共の福祉と いう言葉を入れた方がよい。 2 この規定を遵守しつつ、新薬や医療用具の臨床テストを行うには、商業ベースとなっていなければ困難。 2 「予防及び治療を目的とする研究」を対象としつつ、「医学的介入を伴う介入研究」を対象としないのは矛盾しないか。また、EBMの根拠を提供する「臨床疫 学研究」にも適用しないのか。 2 細則の表中「カルテ」を「診療録」に、「カロリー摂取量」を「エネルギー摂取量」に、それぞれ改めることが適当。 2 適用範囲が、次のような場合について明確でない。① 1例の症例報告や2例以上の症例報告は、研究に該当するのか。② 医療、医学研究、臨床研究、 臨床疫学研究、疫学研究などの概念、範囲、関係が十分に明らかでない。③ 医療機関内で治療方法を検討することは対象外のようだが、疾病の成因や 治療への反応性を検討する場合はどうか。④ 多施設が協力して疾病の治療方法を検討するために多施設の情報を収集・集計する場合はどうか。2 2 対象者の身体の状態や周囲の環境等に関する各種情報を扱うのは医学研究で普通に見られることであり、医学研究の中で疫学研究のみを対象とした指 針が策定される理由が理解できない。まず臨床研究から倫理面を考えるべきである。 2 細則の表に関し、ある疾病の治療方法を検討する目的で、多施設が共同して収集した診療に係る情報を取りまとめて集計結果を報告する場合、本指針は 適用されるのか。また、がん検診の精度管理事業として、地域がん登録の資料と照合して、偽陰性者数を把握し、検診の特異度を評価するとともに、偽陰 性者の検診結果などを見直して、偽陰性となった原因を把握し、精度向上に努める作業は、保健事業として本指針の適用外となるのか。 2 細則の表の「連結不可能匿名化されているデータ」の項で「患者調査と国民栄養調査」とあるが、これが集計値のみを指すのであれば、例として適切でな い。 2 指針の策定は、あくまで学会主導で行われることが望ましく、行政機関が科学研究の手法・方法にまで何らかの拘束力を及ぼそうとする行為は、本来の行 政機関の行為を逸脱しており、不適切である。行政が補助金を出す研究に限定することが望ましい。 2 細則の表に関し、保健事業は市町村の条例等に基づくものが多い。法令等に基づく保健事業の法令等に条例等は含まれるか。 2(3) 「医療行為」は「治療行為」とするのが適当。 2、12(1) 本指針が、地域における保健事業によって得られるデータの集計、分析、評価等を妨げるものであってはならず、保健事業を目的とする限り、疫学的手法を 用いても、対象外であることを、より明確に示すべき。 2② 連結不可能匿名化された人体由来試料を用いる研究には本指針を適用すべきであるが、指針案2②の「データ」に人体由来試料が含まれるかどうか明確 でないので、明記すべきである。 2等 「原則とする」と「原則として必要とする」の混用、定義のない「データ」や「最小限の危険」という語の使用など、用語の精査が必要。 3(1)③ 研究対象者に対して最小限の危険を超える危険を含まない研究についても、実施に当たり研究機関の長の許可、さらには、例え迅速審査が行われるとして も、倫理審査委員会の承認が必要であるなら、研究の実施が遅れ、学問の自由を侵害しかねない。人体から採取された資料を用いない観察研究について は、3(2)及び(3)を守る旨の資料を添付して研究機関の長に届け出れば、研究を実施できることとして欲しい。 3 ( 1 ) ③ 、 4 (4) 研究の実施は研究者の自由であり、所属する研究機関の長の許可が必要であると国が定めることは、学問の自由に抵触する。 4(2) 保健所等の小規模な機関では、倫理審査委員会の設置は難しい。本指針案のように共同研究機関、公益法人、学会等に設置された倫理審査委員会に審 査を依頼することも一案であるが、実施には研究機関全職員のコンセンサスが必要であり、このことに関して規定されることを望む。 4(2) 研究機関に所属していない者が研究する場合を含め倫理審査委員会に審査を依頼できない場合は、研究ごとに構成員を選定して倫理的協議の実施を義 務づけることが適当。 4(2)③ 共同研究機関が共同設置する倫理審査委員会について、地域・研究機関の違いから研究対象者の利益・不利益が異ならないよう、また、審査の質の確保 のため、具体的な審査の仕組みを提言して欲しい。また、アドホックな組織と考えられるので、それに伴う規定も明記する方がよい。 4(2)等 複数の共同研究機関が共同で設置する倫理審査委員会については、疫学研究以外でも重要な機能を担う可能性があるので、独立した指針を設けて欲し い。 4(3) 科学的、倫理的に適正な研究の実施には、管理・指導する組織的体制が不可欠であり、研究機関に所属しない研究者については、一層厳しい倫理的手続 きが必要であるので、細則は削除すべきである。 4(3) 倫理審査委員会の意見を聴くとあるが、これに従うこととする必要があるのではないか。 5 倫理審査委員会の審査について、不服審査の規定を設けるべきである。 5 多施設共同研究において、各施設の倫理審査委員会の判断が一致しない場合に調整に当たる公的審査機構がなければ、共同研究が実施できなくなる。こ の点は、本指針の中核と考えられるので、検討して欲しい。 5(1)① 倫理審査委員会の意見については、公開すべき議事要旨で明確にされることから、事務が繁雑とならないよう、文書によらないことを認めるべきである。 5(1)② 単一のテーマのために倫理審査委員会が置かれる場合や、健常者や地域を対象とした疫学研究の場合は、一般の立場を代表する者より、研究対象者の 立場を代表する者を含むべきである。
3 5(1)② 倫理審査委員会は、社会に対する説明責任を果たすための貴重な場である。そこで、委員の構成要件として、人文・社会科学の専門家および外部委員の 比率を1/2又は1/3と、また、議決要件として、これらの委員の過半数の賛成を要すると定めるべきである。 5(1)② 外部委員の範囲があいまいであり、普通の市民を入れることとすべきである。 5(1)② 倫理審査委員会に大幅な裁量権を与えているので、倫理審査委員会の透明性を高めて指針の実効性を確保するため、外部委員の比率に言及するべきで ある。 5(1)② 倫理審査委員の教育の機会について、特に外部委員や非疫学研究者が疫学研究の基礎知識を学ぶための教育予算を倫理審査委員会が計上できるよ う、明記して欲しい。 5(1)③ 倫理審査委員会の委員については、正当な理由と責任があると考えられるときには、守秘義務よりむしろ社会への公表を義務づける必要があるのではな いか。 5(2)③ 事前に包括的に他の倫理審査委員会に付議できる旨を定められるとするのは、倫理審査委員会の形骸化・有名無実化を招くおそれがあり適切でない。 5(3)① 疫学研究では資料収集に2~3年を費やすことも稀でなく、目的とする結果を把握するまで10年単位で追跡を行い、その間、ほとんど「待ち」の状態の場合 もある。このため、観察的な疫学研究の報告は、5年程度の期間を置くことが適当。 6 ただし書及び細則に定められたインフォームド・コンセントの緩和等の取扱いは、疫学研究を実施するために欠くことのできない事項である。 6 指針案6及びその細則(1)~(4)は、がん登録事業により利用可能な精度のがん統計を得る上で必須のものであり、支持する。 6 インフォームド・コンセントの方法等の研究類型に対する当てはめ方については、あくまで原則とすべきであり、細則により一律の条件を課したことは、整合 性を欠く。 6 細則について、次の事項を加えるべきである。⑥ その資料を用いることなくしては行い得ない研究等であること。⑦ 不適切な利用、開示、漏洩から情報を 保護する十分な対策がなされていること。⑧ 当該研究等の目的上個人識別情報を保持する合理的理由がなくなった場合には、できるだけ早い時期に入 手した資料を匿名かつ連結不可能なものにすること。⑨ その資料を別の目的で利用しないこと及び第三者に提供しないことを誓約すること。 6 「最小限の危険」や「資料の採取に侵襲性を有する」について、例示をお願いしたい。 6 収集するデータが匿名化されている場合には、インフォームド・コンセントを受ける手続きが緩和できることが必要である。 6 原則として必要とするとの記述が多いが、例外がどういう場合であるか不明確。また、研究対象者となることを拒否できるものとする場合に、どのような実効 的な手段を講じるか記載すべきである。 6 細則④について、インフォームド・コンセントを受ける手続きを緩和する等の場合に講じるべき措置として、情報の保存・保護の方法を周知することを加える べきではないか。 6 個人情報保護法案第20条第3項第3号では、公衆衛生向上のため特に必要であり、本人からの同意取得が困難な場合に、本人の同意を得ずに個人情報 の目的外使用等を認めているが、本項では、研究対象者の一部だけがインフォームド・コンセントを受けることができない場合にも、研究対象者全体につい てインフォームド・コンセントを受ける手続きを免除できるように読めるので、不適当である。 6 インフォームド・コンセントの緩和又は免除を行った場合、倫理審査委員会は事後評価を行うべきである。 6 最小限の危険について、判断を倫理審査委員会に委ねることは適当でなく、法律上被験者保護が明示されている国と同様で良いかも疑問。定義又は内容 を示して欲しい。 6 細則④について、「適切に場合には」の用語は曖昧であり、まとめて「資料の収集方法と内容について情報公開を行う」として欲しい。 6(1)①ア 文書により同意を得る場合にも、管理について細則を設けるとともに、本人に控えを交付すべきである。 6 ( 1 ) ① イ 等 説明の内容及び同意に関する記録については、抽象的な記録では足りず、研究対象者ごとの具体的な記録である必要がある。 6(1)② 細則1で、集計に当たっての母集団に加えることができるとは、どういう意味か。 6(1)②、(2) ② 情報についても資料とされているので、疾病名、検査結果などを含む全ての資料が「人体から採取された資料」となるのではないか。こうした点を明確にさ れることを願う。 6(1)②イ、6情報公開の手段、方法等について明らかにすべきである。
4 (2)② 6(2)② アで「研究計画立案時以後に収集した収集した資料を用いる観察研究」について規定しているが、当該資料が研究以外の目的で収集され、提供される場合 については、指針案10に準じて取り扱うこととし、別項を設けるべきである。 6、12(1) がん登録や脳卒中登録に本指針を適用することは難しい。生体資料採取を伴う疫学研究と、アンケート調査や、あるいは発病、死亡等の出来事の報告の みを求める調査については、分離して検討すべき。 6、9、10 疫学研究では、対象母集団の性質を損ねることなく研究結果に反映することが重要であり、例えば、有病率等の記述疫学研究では、対象者の選択的脱落 を認めることは、研究を無価値なものとする。このため、指針案の6細則③の「実際上、当該疫学研究を実施し得ないこと」を「当該疫学研究の価値を著しく 損ねること」に変更すべきである。 また、指針案9及び10の「研究対象者となることを拒否できるものとすること」という条件については、研究の性格上、拒否を認めれば研究が無価値となる 場合は、倫理審査委員会の判断で拒否を認めない途を開くべきである。 7 研究対象者本人からインフォームド・コンセントを受けることが困難な場合の基準、及び代諾者の基準をさらに明確にすべきである。 7 代諾者によるインフォームド・コンセントが認められる場合として、大集団を対象とする観察研究等で、個々の対象者本人からインフォームド・コンセントを受 ける必要がある場合を追加すべきである。 7 細則②で、16歳以上の者には説明することとなっているが、15歳以下の者にも説明すべきである。 9(1) 個人情報だけでなく、研究資料そのものについても、混交等が起こらないように管理しなければならないと規定すべきである。 9(2)、10② 倫理審査委員会の承認を得ることとされている事項が、いずれも客観的事実であり、倫理審査委員会に付議する必要性に乏しい。むしろ、研究対象者に不 利益を与えないこと等を審議すべきではないか。 9(2)①、10 ① 単なる匿名化の場合、研究者が対照表等を用いて個人を特定する可能性があるので、連結不可能匿名化と改めるべきではないか。 9、10 法医学の分野で行われる死因究明と関わる部分での疫学研究(研究開始前に人体から採取された血液や尿などの資料を用いる研究も少なくない。)につ いて、匿名データ化して利用することとなれば、突然死に関わる研究などが大きく制限される。死因と関わりない研究については、同意を得る必要があると 考える。 9、10 拒否できるものとする場合の手続きについて、具体的な規定を設ける必要があるのではないか。 9、10 研究対象者に接触して拒否する機会を提供することはできないので、拒否できるものとするとの要件は意味がなく、削除すべきである。 10 他の機関等に資料を提供する場合の措置について、次の点を踏まえ修正されたい。 ① 資料の提供を受けて行われる疫学研究には、いくつかの類型があり、類型によって提供者側や提供を受ける側の対応を変える必要があり、一概に規 定できない。② 提供者側において研究対象者の同意を得ることを原則とし、これが困難な場合は、指針案6に準じた手続きを経るものとする。③ 多施設 共同調査の場合、研究代表者が一括して適切な倫理審査委員会に審査を付託できるものとする。④ 提供者側が既に規定している提供条件を有している 場合、指針案6の精神に反しない限り、これを尊重する。⑤ 匿名化して提供する場合、提供側の倫理審査委員会が提供に当たっての条件を審査すること とする。⑥ 長期にわたるコホート研究における提供資料は、既存資料に該当しないが、その提供手続きを明らかにする。⑦ 全数調査を要する場合は、匿 名化した情報を提供できるようにする。⑧ 「既存資料の提供のみを行う者」及び「第三者」の意味を明確にする。 10 既存資料の提供を行う機関には、倫理審査委員会の設置及び付議を義務づけるべきである。 10 疫学研究のために資料を提供する場合だけでなく、疫学研究の研究責任者が疫学研究以外の研究のために資料を提供する場合についても規定することと し、その要件を定めるべきである。 10 本指針案では、研究計画が策定された後に資料を収集し提供する者で研究者等に該当しないものについて規定していないのではないか。 10 他の機関に資料提供を依頼する場合に関して、指針案6により研究機関の倫理審査委員会で研究計画の承認を得た疫学研究については、既存資料は提 供できることとすべきである。 10 10の例外規定は、概ね6よりも厳格であるが、6に準じて改めるとともに、資料提供依頼機関の倫理審査委員会の審査で足りるものとすべきである。
5 10 資料提供のみを行う機関においては、次の理由から、倫理審査委員会の承認を必ずしも要しないものとすべきである。① 倫理審査委員会を設置しない小 規模の機関から資料提供を受けられなくなるおそれがある。② 少数の倫理審査委員会が承認しないため、情報の悉皆性が失われ、研究遂行が阻害され るおそれがある。③ 共同研究機関でない協力機関について、倫理審査委員会の承認を要件とする必要性はないのではないか。 10 個人情報保護の観点からは、②について、疫学研究の実施だけでなく資料を提供することについても情報提供すること等が必要である。ただし、これは資 料提供者に過大な負担を課し、資料提供を阻害する可能性が高い。また、匿名化された資料の提供についても、提供機関の長が把握し管理すべきであ る。したがって、研究以外の目的で収集された資料の提供は、所属機関の長の判断により行うものとすべきである。 10 同意を得ずに資料を提供する場合の要件については、6細則の要件を満たす必要があるのではないか。 10 匿名化された資料では、後ろ向きのコホート研究は実施できないので、倫理審査委員会の承認を得て、当該資料を利用できるようにすべきである。6のただ し書を適用すれば、10ただし書は不要。 12(1) 細則2の「産業医又は学校医がその業務の範囲内で」について、業務の範囲を明確にするため、「産業医又は学校医が、法令に基づくその業務の範囲内 で」と改めるべきである。 12(1) 細則2で、がん登録事業等が指針の対象でないとしているが、そこで得られたデータを利用する研究との区別を明確にすべきである。 12(1) 法律に直接位置づけられていないがん登録事業を、保健事業と同列に扱ってよいのか、疑問である。 12(1) 細則で、「科学研究でない」とあるが、本指針との関係であるから、疫学研究でないとすべきである。 12(2) 「健康に影響を与えると考えられる作為又は不作為」→「健康に影響を与えると考えられる要因に関する作為又は不作為」と改めるべきである。 12(4)等 「試料」と「資料」を区別すべきである。 12(7) 個人情報の定義について、3省共同指針のとおりとするのでなく、個人識別情報、病歴・生活習慣等情報、資料の解析結果の情報等に分類して定義する必 要がある。 14 5年という時期については、変えられないとの理由となってしまわないよう、削除した方がよい。 15 現在継続中の研究は、この指針の対象となるのか。 役割を果たさない、又は科学的妥当性を欠く結果が医学の発展や国民の健康の保持増進に害をなした研究もこれまでに多くなされ、現在も行われている。 前文に、こうした問題について記述するなど、修文すべきである。(修文意見多数)