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論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨の公表

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論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨の公表

学位規則第 8 条に基づき、論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨を公表する。

○氏名 WASANA SUYOTHA(わさな すよーたー)

○学位の種類 博士(工学)

○授与番号 甲 第 1040 号

○授与年月日 2015 年 3 月 31 日

○学位授与の要件 本学学位規程第 18 条第 1 項 学位規則第 4 条第 1 項

○学位論文の題名 Studies on Structure and Function of Bacterial α-1,3-Glucanases

(細菌由来α-1,3-グルカナーゼの構造と機能解析)

○審査委員 (主査)若山 守(立命館大学生命科学部教授)

久保 幹(立命館大学生命科学部教授)

三原 久明(立命館大学生命科学部教授)

<論文の内容の要旨>

Bacillus circulans KA-304由来 α-1,3-グルカナーゼ (Agl-KA)は糸状菌の生育の阻害及び

担子菌のプロトプラスト生成に寄与する有用な酵素である。一次構造解析の結果、Agl-KA は N-末端から順に、触媒機能を持たない (ディスコイジンドメイン I (DS1)、 多糖結合ド メインファミリー 6(CBM6)、ディスコイジンドメイン II(DS2)、 機能不明なドメイン

(UCD)) 及び触媒ドメインから構成されることが分かった。Agl-KAの N-末端領域のドメイ

ン欠失酵素を作製し、性質を検討した結果、各 N-末端ドメインは細胞壁の加水分解反応を 効率よく触媒するためには必要不可欠であることを明らかした。また各ドメインとGFPの 融合タンパクを構築し、不溶性基質及び S. commune菌糸に対する結合能を検討した。その 結果、Agl-KAはDS1、CBM6及びDS2の複合効果により、糸状菌の細胞壁への結合性が強 くなり、細胞壁を効率的に分解できるものと考えられた。基質結合メカニズムを理解する ため、最も基質結合能の高いCBM6に着目し、CBM6の基質結合に関るアミノ酸残基を探 索した。その結果、4残基の芳香族アミノ酸 (W213, W218, W272, W275) とアスパラギン (N304) が α-1,3-グルカンの結合に関与していることが明らかとなった。次にAgl-KAの触 媒ドメインの機能解析を行った。その結果、本酵素はエンド型酵素であり、D1067、D1090

及び D1091 がAgl-KA 触媒残基であることが明らかとなった。反応速度論パラーメータを

解析した結果、D1091が活性部位内の基質結合に関わる残基であり、D1067及びD1090が 触媒残基である可能性が示唆された。次に、新たな触媒特性を有する α-1,3-グルカナーゼ として、Paenibacillus glycanilyticus FH11 由来 α-1,3-グルカナーゼの研究を行った。P.

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glycanilyticusから 2 種の α-1,3-グルカナーゼ(Agl-FH1とAgl-FH2)を単離し、解析した結 果、Agl-FH1とAgl-FH2はイソ酵素であることを明らかにした。特に、Agl-FH1はAgl-KA および既知 α-1,3-グルカナーゼと異なる新規なサブファミリーに属する新規酵素である ことが明らかとなった。

<論文審査の結果の要旨>

α-1,3-グルカナーゼは、β-1,3-グルカナーゼ及びキチナーゼ等と同様に有用な酵素で あるにも関わらず、β-1,3-グルカナーゼ及びキチナーゼに較べ、生化学的な研究は少なく、

かつ構造生物学的な研究報告はない。そのような背景のもと、申請者はカビや担子菌の細 胞壁分解能を示したBacillus circulans KA-304由来 α-1,3-グルカナーゼ(Agl-KA)に着目し、

本酵素を構成する各ドメインの機能性を解明した。さらに本酵素の細胞壁分解メカニズム の解明を進めるうえでより多くの有用な情報を得るため、Paenibacillus glycanilyticus FH11 由来 α-1,3-グルカナーゼの研究を行った。その結果、以下のように評価できる結果を得た。

1.Agl-KAのN-末端領域ドメインのDS1、CBM6及びDS2は基質結合ドメインであり、酵 素の触媒効率を向上させる補助的な役割をすること、ならびにこれらドメインの複合効果 により、効率的に細胞壁を分解できることを解明した。

2.Agl-KA の基質結合において特に重要な役割を担っているCBM6(AglCBM6)の基質結

合に関るアミノ酸残基を探索した結果、W213, W218, W272, W275 及びN304 が α-1,3- グルカンの結合に関与していることを明らかした。また AglCBM6 の構造モデルを既知 CBM6と比較した結果、W213及びW218が α-1,3-グルカンに対する特異性に寄与するア ミノ酸残基であることが推定された。

3.Agl-KAの触媒に必須なアミノ酸残基及び触媒メカニズムを検討し、D1091、D1067及び

D1090が活性発現に必須であることを示すとともに、本酵素がエンド型で、生産物のアノマ

ー立体特性を保持する触媒メカニズムをもつことを示した。

4.Paenibacillus glycanilyticus FH11が2種の α-1,3-グルカナーゼ(Agl-FH1とAgl-FH2)を誘 導生産すること、さらにAgl-FH1がAgl-KAおよび既知 α-1,3-グルカナーゼと異なる新規 なサブファミリーに属する新規酵素であることを明らにした。

α-1,3-グルカナーゼの触媒機能の解明には立体構造解析が必要であるが、本論文は今後 の構造生物学的展開の足がかりとなる重要な成果であり、本酵素がう蝕予防、真菌の育種 および α-1,3-グルコシルオリゴ糖製造などの応用面で寄与できる可能性を示した。

本論文の審査に関して、2015 年 2 月 5 日(木)17 時 30 分~18 時 30 分イーストウイング 6F 生命科学部・薬学部演習室2において公聴会を開催し、申請者による論文要旨の説明の

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後、審査委員は学位申請者 WASANA SUYOTHA 氏に対する口頭試問を行った。各審査委員お よび公聴会参加者より論文内容に関して様々な質問がなされたが、いずれの質問に対して も申請者の回答は適切なものであった。よって、以上の論文審査と公聴会での口頭試問結 果を踏まえ、本論文は博士の学位に値する論文であると判断した。

<試験または学力確認の結果の要旨>

本論文の主査は、本論文提出者と本学大学院生命科学研究科博士課程後期課程在学期間 中に、研究指導を通じ、日常的に研究討論を行ってきた。また、本論文提出後、主査およ び副査はそれぞれの立場から論文の内容について評価を行った。

本論文提出者は、本学学位規程第18条第1項該当者であり、論文内容および公聴会での 質疑応答を通して、本論文提出者が十分な学識を有し、課程博士学位に相応しい学力を有 していると確認した。

以上の諸点を総合し、本論文提出者に対し、「博士(工学 立命館大学)」の学位を授 与することを適当と判断する。

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