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博士課程用(甲) - 1 - (様式4)

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Academic year: 2021

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博士課程用(甲)

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(様式4)

学 位 論 文 の 内 容 の 要 旨

大津 義晃 印

Diverse Signaling Systems Activated by the Sweet Taste-sensing Receptor in Human GLP-1-secreting Cells (ヒトGLP-1分泌細胞に発現する甘味受容体による細胞内シグナルの多様性)

甘味受容体は舌の味蕾にある味細胞に発現し、糖やアミノ酸、甘味料のもつ甘味を感知する受容体である。甘味受 容体はGタンパク共役受容体(以下GPCR)であるT1R2とT1R3のヘテロ二量体から構成される。最近、甘味受容体が小腸 内分泌細胞、膵β細胞、視床下部グルコース応答性ニューロン、脂肪細胞などにも発現していることが明らかになり、

単に味覚の受容だけでなく、広く糖代謝の調節に関与している可能性が注目されている。味蕾は複雑な構造のため、

甘味受容体のシグナル伝達系の研究は困難が伴う。我々は膵β細胞に甘味受容体が発現していることを見いだし、細 胞レベルでのシグナル伝達機構を初めて明らかにすることが出来た。甘味受容体アゴニストである人工甘味料スクラ ロースは細胞内カルシウム濃度([Ca2+]c)と細胞内サイクリックAMP濃度(以下[cAMP]c)の両者を上昇させ、Cキナー ゼを活性化する。その作用は既知のGPCRとは大きく異なっていた。さらに甘味受容体は構造を異にする様々なアゴニ ストを結合するが、興味あることにこれらのアゴニストは結合部位を異にするとともに異なった細胞内シグナルを産 生することが判明した。これまでに知られているGPCRにはない特性である。これらの特性が膵β細胞に特有のもので あるか、あるいは甘味受容体を発現するすべての細胞に共通する特性であるかは興味がもたれる点である。

そこで我々は小腸内分泌細胞のモデルとして、glucagon-like peptide-1(以下GLP-1)を分泌する細胞株HuTu-80細胞 を用い、甘味受容体シグナルを検討した。HuTu-80細胞はヒト十二指腸癌由来の細胞株で、GLP-1を産生分泌するなど 内分泌細胞としての特性をもっている。

HuTu-80細胞には甘味受容体T1R2とT1R3が発現していた。甘味受容体アゴニストであるスクラロース、サッカリン、

アセスルファームK、グリチルリチンを投与するとGLP-1分泌が促進され、それらの作用は甘味受容体阻害剤ラクチゾ ールで抑制された。これらの甘味物質は[cAMP]cの持続的な上昇を示した。 [Ca2+]cについては、スクラロースとサッ カリンは持続的な増加を示したが、細胞外Ca2+やNa+を除くと、この[Ca2+]cの増加は殆ど観られなくなった。またGq/11 タンパクの阻害剤であるYM254890によって、スクラロースとサッカリンの[Ca2+]cに対する作用は消失した。一方、ア セスルファームKは[Ca2+]cの大きく持続的な低下を示した。さらに、グリチルリチンは最初に[Ca2+]cを減少させ、その 後に上昇させる反応を示した。

一般的にGPCR刺激による[Ca2+]cの低下は、ソマトスタチンなどGiを活性化する受容体の例があるのみで、甘味受容 体のように同じ受容体が[Ca2+]cが増加と低下の両方を惹起するという例はなく、きわめてユニークな応答である。こ の[Ca2+]c低下はラクチゾールにより抑制されることから、甘味受容体を介する。Gq/11阻害剤YM254890はアセスルファ ームKによる[Ca2+]c低下を抑制せず、アセスルファームKによる[Ca2+]cの変化にGqの寄与はないと考えられた。アセス ルファームKによる[Ca2+]c低下は、Ca2+流入の低下あるいは細胞質のCa2+が細胞内プールあるいは細胞外へ汲み出される ことが考えられたが、これに関連して、まず①L型Ca2+チャネル阻害剤ニフェジピンやTRPチャネルを抑制するSKF96365 の投与で[Ca2+]c低下は観察されず、Ca2+流入抑制により[Ca2+]c低下が惹起される可能性は少ないと考えられた。次に② 小胞体膜上のCa2+-ATPase阻害剤タプシガルギンや、ミトコンドリアCaユニポーター阻害剤ルテニウムレッド存在下に アセスルファームKを投与しても[Ca2+]c低下は抑制されず、アセスルファームKにより小胞体やミトコンドリアにCa2+が 取り込まれることは否定的であった。また③細胞外Na+の除去や、Na/Ca交換輸送体をノックダウンしても[Ca2+]c低下 は抑制されず、Na/Ca交換輸送体の関与も否定的であった。カルモジュリン阻害剤W-7や、細胞膜Ca2+ポンプ(Ca2+/H+ ATPase)をノックダウンさせることによって[Ca2+]c低下が抑制されたことから、アセスルファームKやグリチルリチン による[Ca2+]c低下作用は、甘味受容体を介するCa2+/H+ ATPaseが関与していると考えられた。

これらの結果から、甘味受容体は標的細胞ごとに異なる複雑なシグナル伝達系をもち、甘味受容体アゴニストの作

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博士課程用(甲)

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用やシグナル産生機構は非常に複雑で、甘味受容体アゴニスト毎に異なり、惹起される細胞内シグナルのパターンも 大きく異なることが分かった。

参照

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