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博士(医学)平野麻理 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(医学)平野麻理 学位論文題名

サ ブ ク リ ニ カ ル レ ベ ル の GVHR の 宿 主 免 疫 機 構 再 構 築 に 与 え る 影響

学 位 論 文 内 容 の要 旨

(緒言)

近年、 骨髄移植 は自血病 に代表さ れる難治性 造血器疾 患等の根治的治療とレ て 確立 レ つ っあ る 。こ れ ま で骨 髄 移植 に 伴う難 問のーっ とされて きたGVHR は、移 植細胞対 白血病効 果、ドナ ー骨髄細胞 の生着率 の向上等の効用が認識 さ れ、 こ のGVHRを ど の よう に コ ント 口 ール 、応用し ていくか に焦点が 移っ てきて いる。こ れまでの 実験で、抗Thyl抗体で単独処理したB10(H̲2b、rvns‑

1b)ドナ 一 骨 髄細胞を移 植された 、自血病 自然発症 モデルAKRマ ウス(H̲2kヽ Mls̲la)では、 早期より の造血組織、免疫組織のドナー側細胞への完全置換が 認 めら れ 、 この マ ウス はGVHRの 臨床 所 見を 示さぬま ま長期生 存し、白 血病 の 発生 も 認 められな かった。 更に、こ のキメラ より得た1細胞は、 ドナー抗 原 、レ シ ピ ェント抗 原両者に 寛容であ った。骨 髄細胞と 共に脾臓1細胞を移 植 して 、 マ イル ド なGVHRを 誘 導 した キ メラ において も同様の 所見が認 めら れ た。 し か し、 そ の後 、 こ のよ う なキ メ ラでは 、マイナ ーなGVHRが誘 導さ れ 、 そ の た め に 、 自 己 寛 容 メ カ ニズ ム が 障害 さ れ 、胸 腺 内に お い て自 己

(Ms‑1|)反応性T細胞ク口ーン(V[36゛T細胞)が消去されることなく、末梢に出 現する ことが判 明した。 本論文で は、これら の骨髄移 植法を用いてサプクリ ニ カル な レ ベル のGVHRが誘 導 さ れた と 考え られる骨 髄キメラ マウスを 作製 し 、マ イ ナ ーなGVHRが ホス ト 免 疫機 構 の再 構築にど のような 影響を与 える かを、更に詳細に検討したので報告する。

(材料と方法)

1.骨髄 移植:11Gy全 身照射レ たレシピ ェントマウ ス(AKR)に、抗Thyl.2抗体 と ウサ ギ 補 体(C)で処理 し、完全 に1細胞を 除去(T・CD) した2x107のド ナ一

¢10)骨髄を静注レ、コントロールキメラ(cmt.【B10→ AKR])とした。また、

サ ブ ク リ ニ カ ル な レ ベ ル のGVHRを 誘 導 す る た め に 、11Gy照 射AKRマ ウ ス に 、 抗Thy1抗 体 単 独 処 理 し たB10骨 髄 細 胞 を 静 注 し て 作 製 した キ メ ラを GVHR[B10→AKR]とした。また、一部の実験では、ドナーをB10.BR(H‐2k、 Ms.1b)とするH‐2適合キメラを作製した。二度骨髄移植を施行する場合(ダ ブルキ メラ)は 、上述の 様にコン ント口ール キメラ、GVHRキメラを作製し、

3週後nGy再 照射しTCD.B10骨髄細胞 を再度移 植し、各々 【B10→cont.【B10

(2)

‑ AKRl]、[B10→GVHR[B10‑*AKR]]と示した。

2.細胞精製:各脾臓精製1細胞分画は、ナイ口ンウールカラム通過後の脾臓T 細 胞を 抗CD4抗体 、ま たは抗CD8抗体と抗ラットK鎖Ig抗体とCで処理した後、

抗 ラッ ト・ マウ スIg抗 体を コー トし たM‑450ダイナ ビーズで更に精製して、

得 た。Vt36゛T細 胞除 去CD8yI細胞は、抗CD4抗体、抗Vt36TCR抗体、抗ラット K鎖Ig抗 体とCで 処 理 レ 、 そ の 後 、 更 にダ イ ナ ビ ー ズ で 処 理 し て 、 得 た。

3.FA CS解析: 胸腺 、脾 臓細 胞は 、抗CD3e鎖抗 体、 抗Vl36TCR抗体 、抗V(3‑

8TCR抗 体 で染 色後 、ビ オチ ン化 抗マ ウス・ ラッ トIg抗体 で染 色、 更に マウ ス ・ ラ ッ トIgを 加 え 、PE標 識 抗CD4、FITC標識 抗CD8、Duochromeで染 色し た 。リ ンパ 節細 胞は、 ビオチン化抗マウス・ラットIg抗体で反応させた後、

抗Thyl.1抗体、抗Thyl.2抗体、抗CD3£鎖抗体、抗V[36T丶CR抗体、抗V[3 8TCR 抗体を加え、更にFrI℃標識抗マウス,・ラットIg抗体、及びPE‑Streptavidineで 染色し、解析した。

(結果と考察)

(1)本実 験の 方法 で作 製し たGVHRキ メラ は、 コント ロールキメラと同様に、

臨 床 的 な 、GVHRの 所見 を示 すこ とな く長期 生存 し、 移植 早期 より ほぼ 完璧 な、ドナーキメリズムを有していた。

(2)GVHRキメラでは、レシピェント抗原(Nfls‑l|)特異的なVt36゛T細胞のクロー ン 消去 が障 害さ れてい た。一方、胸腺からのドナー由来V(36+T細胞の除去の 程 度は 、残 存す るレシ ピェ ントAKR T細 胞の 比率と 正の相関を示した。トレ 口 ゲン のMls‑l. 分子 を産生するのはAKR T細胞であるという報告を考慮に入 れ ると 、GVHRキ メラに おけ るV[36゛r細 胞の クロー ン消去の障害は、移植早 期 より ほぼ 完全 にレシ ピェ ントr細 胞が 除去 される ことに起因する事が示唆 された。

(3)GVHRキメ ラで は、 コン トロ ール キメ ラと 比較レ 、同程度の胸腺、脾臓の 再 構築 が認 めら れたが 、リンパ節の再構築は、特異的に障害されていた。同 様 に、[Bl0→GVHR[B10‑ AKR]]と[B10→c:ont.[B10‑‑AKR]]のダブルキメラ 間 で、 胸腺 、脾 臓の細 胞数には差が認められなかったが、リンパ節の細胞数 は 、 【B10→GVHR[B10‑‑AKR]]で 、 有 意に 少 な か っ た 。 従 っ て 、GVHRキメ ラ のり ンパ 節再 構築障 害は、リンパ球自体の異常ではなく、リンパ球のホー ミ ン グ に 関 わ る り ン パ 節 組 織 の 障 害 に 由 来 す る こ と が 示 唆 さ れ た 。 (4)CD4゛、CD8゛1細胞 また は両 者をTCD髄細 胞と共 に移植する実験より、ド ナ ーキ メリ ズム を促進 し、 リン パ節 の再 構築 障害 とVB6゛珊胞のク口ーン消 去 の 異 常 を も た ら す 珊 胞 分 画 は 、 こ のシ ス テ ム で は 主 と レ てCD8゛T胞で あることが示された。

(5)以前 の実 験よ り、GVHRキメ ラで は、 移植 後早期 にりンパ組織内でドナー V{36゛1細胞がレシピント抗原に反応性に増殖し、ほぼ半数がVB6゛T細胞とな ることが判明している。従って、この増殖レたV{36゛T細胞が、サブクリニカ ル な レ ベ ルのGVHRを誘 導し 、上 述の ような 免疫 再構 築障 害を もた らす こと が予測された。レかし、V[3 6+T細胞を除去したCD8゛1`細胞も、ほぼ未処理の

(3)

(ニD8゛1伽胞と同様な免疫再構築障害をもたらしたことから、V{36'T細胞以外 のド ナーT細胞 もサ ブクリニカルなレベルのG¥iHRを誘導する事が示された。

(6)ド ナ ー にB10.BRを 用 い て 作 製 したGVHR[B10.BR→AKR]H‑2適合 キメ ラで は 、GVHR[B10 ‑+AKR]で 認 め ら れ たよ うな レベ ルのGVHRは誘 導さ れな かっ た。 従っ て、 【B10 ‑+AKR] キメ ラに 認め られ るサブクリニカルなレベルの GVHRの誘 導に は、rvns.1以外にH‑2分子の差が関与レていると考えられた。

さらに、(4)で示したように、CD8゛T細胞が主としてドナーキメリズムを促進 し、リンパ節の再構築障害とV[36゛r細胞のクローン消去の異常をもたらす事 より 、そ の夕 一ゲ ット抗原はレシピェントのH‑2クラスI分子であることが示 唆された。

(結語)

骨 髄 キメ ラマ ウス を用 い、 サブ クリニ カル なレ ベル のGVHRが 免疫 機構 の再 構築 に与 える 影響 を解 析し 、ド ナーCD& T細胞 が、レシピェントH‑2クラスI 抗原 をタ ーゲ ット として反応を誘導すること、その結果、リンパ節再構築、

レシピェント抗原(Mls̲lb)反応性Vp6+T細胞のクローン消去の障害されること が明らかとなった。

(4)

学位論文審査の要旨 主 査′ 教授    宮崎    保 副査   教授   小野江和則 副 査    教授    上出利光

     学位論文題名

サ ブ ク リ ニ カ ル レ ベ ル の GVHR の 宿主免疫機構再構築に与える影響

    I、 研 究 目 的

  こ れ ま で 骨 髄移 植に 伴う 難問の ーっ とさ れて きたGVHRは、 移植 細胞 対白 血 病 効 果(GVL)、 ド ナー 骨 髄 細 胞 の 生 着 率 の向 上等 の点 で、 その 有効 性が 認 識 さ れ ミ 現 在、 このGVHRをどの よう にコ ント ロー ル、 応用 して いく かに 焦 点 が レ ぼ ら れて きて いる 。本論 文で は、 サブ クリ ニカ ルな レベ ルのGVHR が 誘 導 さ れ た と考 えら れる 骨髄キ メラ マウ スを 作製 レ、 マイ ナー なGVHRが 宿 主 免 疫 機 構 の 再 構 築 に ど の よ う な 影 響 を 与 え る か を 検 討 し た 。     II、材料及び方法

  1)骨髄移植:11Gy全身照射したレシピェントマウスAKR(H̲2K、rvns‐1゜)に、

抗Thyl.2抗体 と補 体で 処理 し、 完全 にT細 胞を 除去(TCD)した2xl07のドナー B10(H̲2b、Ms‐1b)骨髄を静注したコント口ール[BlO→AKR]ぐ抗Thyl抗体単独 処 理 し た 骨 髄 細 胞 を 静注 し たGVHR[B10→AKR]を 作 製し 、3、5、8週後 に検 索し た。 二度 骨髄 移植 を施 行す る場 合は 、両キ メラ を作 製し 、3週後llGy再 照射 しTCD‑ Bl0骨 髄細 胞を 静注 し、5週後 に検 索し た。 さら に、 一部の実験 で は 、 ド ナ ー をB10.BR(H̲2K、Mls̲lb)と す るH‑2適合キ メラ を作 製し た。

  2)細 胞 精 製 : ナ イ ロン ウ ー ル カ ラ 厶 通 過 後 の 脾 臓T細 胞を 各種 抗体 (抗 CD4、 抗CD8、 抗V{36、 抗ラ ットK鎖Ig)、 補体 、ダ イナビ ーズ で分 画し て得 たlx105のT細 胞 亜 群 をTCI) 骨 髄 細 胞 と 共 に 移 植 レ 、5週 後 に 検 索 し た 。   3) FACS解析:T細胞レセプターは、ビオチン化抗マウス・ラットIg抗体で 染色 後、 抗CD3e鎖 、抗Vp6I'CR、 抗V(38TCR抗体、次いでFITC標識抗マウス・

ラッ卜Ig抗体、及びPE‑Strep tavidineで染色して検索した。11細胞のキメリズム は抗Thyl.1、 抗Thyl.2抗体 、及 びFITC標識抗マウス・ラッ卜Ig抗体を用いて 検索した。

(5)

    III、結果及び考察

  1) GVHR[B10‑*AKR]は 、 臨 床 的 なGVHRの所 見 を 示す こ とな く 長 期生 存 し、リンパ節の萎縮、レシピェント抗原(Mls‑la)特異的なV[36゛T細胞の出現、

ドナーキ メリズム の促進が 認められ た。V[36゛T細胞の除去の程度は、残存す るAKR珊 胞 の比 率 と正 の 相 関を 示 し た。Mls‑l゜ 分 子を 産生 するのはAKRT細 胞である という報 告を考慮 にいれる と、この クローン消 去の障害 は移植早期 より ほ ぼ 完全 に レシ ピ ェ ントT細 胞が除去 されるこ とに起因す る事が示 唆さ れた。

  2) GVHR[B10‑ AKR]に再 度TC D‑B10骨 髄を 移 植し て も、リ ンパ節の 再構 築は、コ ント口ー ルキメラ に比較し 不十分で あり、この 障害は、 リンパ球自 体の異常 ではなく 、リンパ 球のホー ミングに 関わるりン パ節組織 の障害に由 来することが示唆された。

  3) GVHR[B10‑ AKR]にお け るGVHRは、 主 とし てCD8゛T細胞 により誘 導さ れた。さ らに、V[3 6yI細胞を除去したCD8yI細胞にもGVHR誘導能が認められ、

リンパ組織には、V[36゛1細胞が、ドナー前駆細胞より出現したことより、Vl3ー 6゛1細胞以 外のレシピェント反応性細胞が、末梢リンパ組織の再構築に影響を 与えると 同時にV[36゛T細胞を消 去するメ カニズムが障害されたものと考えら れた。

  4) H‑2適 合GVHR[B10.BR‑*AKR]キメ ラ で は、GVHRは 誘導され なかった 。 従っ て 、[B10一AK.R]キ メ ラに認 められる サブクリ ニカルな レベルのGVHRの 誘導には 、Mls‑l以外にH‑2分子の差 が関与し ていると考えられた。また、3) よりその ターゲッ ト抗原は レシピェ ントのH‑2ク ラスI分子で あること が示唆 された。

    rv、結語

  骨 髄 キメ ラ マウ ス を用い、 サブクリ ニカルな レペルのG VHRが 免疫機構 の 再構築に 与える影 響を検索 し、ドナーCD8゛T細胞が、レシピェントH‑2クラス I抗原をタ ーゲット として反 応を誘導すること、その結果、リンパ節再構築、

レシピェント抗原(Ms.1b)反応性V[36゛T細胞のクローン消去の障害されること が明らかとなった。

  以上より 、本研究 は博士( 医学)の学 位論文と して妥当 なものと判断され る。

参照

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