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博 士 ( 工 学 ) 黒 野 暢 仁

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 黒 野 暢 仁

    

学 位 論 文 題 名

Efficient Carbon‑Carbon Bond Formation Utilizing     Electrochemically Generated Reactive Metals     and by the Use of Electrochemical Method

(電 解調 製活 性金 属お よび 電気 化学的手法を用いる     効率 的炭 素― 炭素 結合 生成 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  炭 素― 炭素 結合 生成 反応 は有 機合 成に おい て極めて重要な反応である。そのため 様々な合成手法が開発されているが、電気化学的手法を用いた炭素―炭素結合生成反 応は クリ ーン な電 子を 反応 試剤 とし て用 いる ので環境負荷の低い合成手法のーっと して近年注目を集めている。また、有機電解合成において電極素材を選択することに より、電解反応の収率や選択性等を制御できることも知られている。そこで、本研究 では、電解による高活性金属の新規かっ簡便な調製法の開発と効率的な炭素一炭素結 合生成反応への利用、並びに反応性金属陽極を用いる電解による効率的炭素一炭素結 合生成反応の開発などを目的として行ったものである。新規に調製された活性金属に つ い て は キ ャ ラ ク タ リ ゼ ーシ ョンを 行い 、高 活性 の原 因に つい て考 察を 行っ た。

  本論文は6章から構成されている。

  1章 は 序 論 で あ り 、 本 研 究 の 背 景 お よ び 目 的 に つ い て 述 べ た 。   第2章では、電解調製活性金属の調製法とキャラクタリゼーションについて述べた。

ま ず 、 電 解 調 製 活 性 亜 鉛(EGZn)は 支 持 電 解 質 を 含 むDMF溶 液中 白 金 陰 極 、 亜鉛 陽 極を用いる電解によって簡便に調製することができた。X線回折、走査型電子顕微鏡、

比 表 面 積 測 定 、螢 光X線 を用 いて キャ ラク タリ ゼーシ ョン を行 った とこ ろ、EGZnは 他 の 金 属 不 純 物 が 全 く 含 ま れ てい な い0価 の亜 鉛で あり 、そ の形 状はO.lvm以下 の 粒 径を持 つ微粒子の凝集体であることが判明レた。また、表面積は市販の亜鉛粉末の 約10100倍 以 上の 表面 積を 持つ こと が明 らか となっ た。 さら に、 電流 密度 を小 さ くすることによって、より大きな表面積を持つ活性亜鉛が調製できることを見出した。

各 種金属 亜鉛の反応性については、塩化プレニルによるアセトフェノンのプレニル化 反 応 に お い て 、 市 販 の 亜 鉛 で は10% 以 下 の 収 率であ った が、EGZnを用 いた 場合 に は88%の 収率 で目 的生 成物 を得 るこ とが でき た。 さら に、 小さな 電流密度で調製し た 活性亜 鉛が より 高活 性を 示す こと も明 らか にし た。 以上 のこと より、EGZnの高活

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性はその大きな表面積に起因すると考えている。

  銅陽極 を用 いる 同様 の電 解手 法に よっ ても 活性 銅(EGCu)を調製することができ、

いくっかの炭素ー炭素結合生成反応に応用した。

  さらなる高活性を有する亜鉛を調製するために亜鉛一銅複合金属の電解調製や多環 芳香族をメディェーターとする電解調製法を検討した。その結果、ナフタレンを〆デ イ ェ一夕 ーに 用・ いて 電解調製した亜鉛(EGZn/Naph)は極めて高い活性を示すことを 明らかにした。これを用いることによって、通常では困難な臭化アルキルの有機亜鉛 化合物への変換が可能となった。

  第3章 では 、EGZnを 用い たカ ルポニ ル化 合物 のア リル 化反 応と 亜鉛 やア ルミ ニウ ム陽極を用いた電解プ口パルギル化反応について述べた。アリル化反応では高収率で 相当するホモアリルアルコールや6,Y一不飽和ケトンが得られ、また電解プ口パルギル 化 反応で はホ モプ ロパ ルギ ルア ルコ ール やホ モア レニルアルコールが高収率で生成 した。またプ口パルギル基導入の位置選択性は陽極の種類を変えることによって制御 できることを見出した。

  第4章 でほ 、電 解調 製活性亜鉛の合成反応への応用範囲を拡張するために、官能基 を有するヨウ化アルキルから有機亜鉛化合物へ変換し、これを用いて行ったク口スカ ップリング反応の結果について述べた。電解調製活性亜鉛を用いた場合には、温和な 条件下、短時間で効率よく相当する有機亜鉛へ変換でき、ハ口ゲン化アリールとのク ロ ス カ ッ プ リ ン グ 反 応 も 高 収 率 で 進 行 す る こ と を 明 ら か に し た 。   また、反応性金属陽極を用いる電解手法によって、官能基を有するヨウ化アルキル の 有機亜 鉛へ の変 換と クロ スカ ップ リン グ反 応が 一段階で進行することを明らかに した。

  第5章 では 、第2章で 述べ たナ フタ レン をメ ディ ェーターとして電解調製した高活 性亜鉛の利用として効率的なク口スカップリング反応の開発、ならびにナフタレンの 電 解還元 で生 成す るラ ジカ ルア ニオ ンを 一電 子還 元剤とするラジカル環化反応の開 発について述べた。入手容易なナフタレンをメディェーターとして電解調製した高活 性 亜鉛(EGZn/Naph)は 様々 な臭 化アル キル やヨ ウ化 アリ ール と反 応さ せる こと によ り相当する有機亜鉛へ高収率で変換させることができ、ヨウ化アリールとのク口スカ ップリング反応で相当するク口スカップリング生成物を高収率で得ることができた。

  第6章 では 、水 やメ タノール中での電解アリル化およびプロバルギル化反応につい て述べた。通常、プロトン性溶媒中では、陰極還元反応で生成したカルボアニオン中 間体がプ口トン化されるため目的の炭素一炭素結合生成物を得ることができない。第 6章 では 、有 機電 解反 応において、環境に優レく、無限に存在し、入手容易である水 を溶媒とレて用いることの可能性について基礎的知見を得ることを目的として、様々 な条件下、電解アリル化およびプロバルギル化反応について検討を行った。さらに、

プ口トン性溶媒として入手容易なメタノールを用いて検討を行った。その結果、亜鉛 やインジウムを電極材料として用い、条件を選択することによって反応は効率よく進 行し、相当するホモア1jルもしくはホモプ口パルギルアルコールが良好な収率で得ら れることを見出した。

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学位 論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

徳 田 昌 生 宮 浦 憲 夫 米 田 徳 彦 折 登 一 彦

    

学位論文題名

Efficient Carbon‑Carbon Bond Formation Utilizing     Electrochemically Generated Reactive Metals     and by the Use of Electrochemical rvIethod

( 電 解 調 製 活 性 金 属 お よ び 電 気 化 学 的 手 法 を 用 い る     効 率 的 炭 素 ― 炭 素 結 合 生 成 )

  炭 素 一 炭 素 結 合 生 成 反 応 は 有 機 合 成 に お い て 極 め て 重要 な 反 応 であ る 。 その た め 様 々 な 合 成 手 法 が 開 発 さ れ て い る が 、 電 気 化 学 的 手 法を 用 い る 炭素 一 炭 素 結 合 生 成 反 応 は 温 和 な 条 件 下 ク リ ー ン な 電 子 を 反 応 試 剤 とし て 使 用 して お り 、 環 境 負 荷 の 低 い 合 成 手 法 の ひ と っ と し て 近 年 注 目 を 集 め てい る 。 本 研究 の 目 的 は 、 電 解 に よ っ て 高 活 性 な 金 属 を 新 規 か つ 簡 便 な 方 法 で 調製 し 、 そ れを 用 い る 効 率 的 な 炭 素 ― 炭 素 結 合 生 成 反 応 を 開 発 す る こ と で あ る 。ま た 、 反 応性 金 属 陽 極 を 用 い る 電 解 法 に よ っ て 高 効 率 的 な 炭 素 一 炭 素 結 合 生 成反 応 を 開 発し 、 新 規 で 有 用 な 合 成 反 応 を 見 出 す こ と も 目 的 と し て い る 。

  本 論 文 は6章 か ら 構 成 さ れ て お り 、 第1章 で は 本 研 究 の 背 景 と 目 的 が 述 べ ら れ て い る 。 以 下 に 著 者 が 見 出 し た 新 規 な 結 果 お よ び 評 価 で き る 点 を 述 べ る 。 1) 電 解 に よ っ て 活 性 な 金 属 亜 鉛 が 調 製 で き る こ と は 著 者 の 研 究 室 で す で に 見 出 さ れ て い る が 、 著 者 はX線 回 折 、 走 査 型 電 子 顕 微 鏡 、 比 表 面 積 測 定 、 螢 光X 線 な ど を 巧 み に 利 用 し て キ ャ ラ ク タ リ ゼ ー シ ョ ン を 行 い 、 電 解 調 製 活 性 亜 鉛 (EGZn)が 他 の 金 属 不 純 物 を 含 ま な い O価 の 結 晶 性 の 亜 鉛 で あ り 、 そ の 形 状 O.lym以 下 の 粒 径 を 持 つ 微 粒 子 の 凝 集 体 で あ る こ と を 明 ら か に し た 。 ま た 、 表 面 積 は 市 販 の 亜 鉛 金 属 の 約10100倍 以 上 の 大 き さ を も ち 、 こ れ が 高 活 性 の 原 因 で あ る こ と を 明 ら か に し た 。 さ ら に 、 よ り 大 き な 表面 積 を 持 つ活 性 亜 鉛 の 調 製 に つ い て も 種 々 の 検 討 を 行 い 、 低 電 流 密 度 で 電 解 する 手 法 を 新た に 開 発 し た ( 第2章 ) 。

2) 著 者 は 活 性 銅 や 活 性 な 亜 鉛 一 銅 複 合 金 属 の 電 解 調 製 に も 成 功 し て お り 、 い

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くっ かの 炭素―炭素結合生成反応に応用して、その有用性を明らかにした。さ らに 、極 めて高活性な亜鉛を調製することについても検討を行い、多環芳香族 を ヌ デ ィ ェ ー タ ー と す る 全 く 新 規 な 電 解 調 製 法 を 開 発 し た ( 第2章 ) 。 3) 電 解 調 製 活 性亜 鉛(EGZn)を 用 い る こ と に よ っ て カ ル ボ ニ ル 化 合 物 の ア リル化反応が容易に進行し、高収率で相当するホモアリルアルコールやp,Y―不 飽和 ケト ンが得られることを見出した。また、電解プ口バルギル化反応でホモ プ口 パル ギル アル コー ルや ホモ アレ ニルア ルコ ール が高 収率 で得 られること を明 らか にし、その位置選択性が陽極の種類を変えることによって容易に制御 され得ることを見出した(第3章)。

4EGZnは ェ ス テ ル 基 、シ アノ 基あ るい は二 重結合 など の官 能基 を有 する ヨ ウ化 アル キル を相 当す る有 機亜 鉛化 合物に 変換 する のに 非常 に有 用であるこ とを 見出 し、それを利用してハ口ゲン化アリールとの高効率的なクロスカップ リン グ反 応を達成した。また、反応性金属陽極を用いる電解手法を利用して、

官能 基を 有す るヨ ウ化 アル キル から 一段階 でク ロス カッ プリ ング 生成物を得 る合成法を開発した(第4章)。

5) ナ フ タ レ ン を メ デ ィ ェ ー タ ー と し て 電 解 調 製 し た 高 活 性 亜 鉛 (EGZn/Naph) を用 いる こと によ って 、臭化 アル キル ある いは ヨウ 化アリール から 相当 する有機亜鉛化合物へ変換できることを明らかにした。本変換は通常 の活 性亜 鉛では不可能であり、著者の開発した新手法は極めて評価できる方法 であ る。 なお 、生 成す る有 機亜 鉛化 合物はPd触 媒の 存在 下ヨ ウ化 アリールと の ク 口 ス カ ッ プ リ ン グ 反 応 に 利 用 で き る こ と を 明 ら か に し た 。 6) ナフ タレン の電 解還 元で 生成 する ラジカルアニオンを一電子還元剤とする ラジ カル 環化反応の開発に成功し、スズ化合物を用いない環境調和的なラジカ ル環化反応として有用であることを示した。

7) 環境 調和的 な合 成を 目的 とし て、 著者は無限に存在し入手容易である水を 溶媒 とし て用いる電解合成について検討し、亜鉛やインジウム電極を用いるこ とに よっ て合 成上 有用 なア リル 化お よびプ ロパ ルギ ル化 反応 が効 率よく進行 することを見出した。

  こ れを 要するに、著者は、高活性亜鉛あるいは活性銅の簡便な電解調製法を 開発 し、 これらの金属を用いる反応あるいは反応性金属陽極を用いる電解手法 によ る反 応によって高効率的な炭素―炭素結合生成を達成したものであり、有 機工 業化 学ならびに有機合成化学の発展に寄与するところ大なるものがある。

  よ って 著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと 認める。

参照

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