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ウサギにおける正常および虚血後の脳循環に対する

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Academic year: 2021

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博 士 ( 獣 医 学 ) 相 原 研 一

学 位 論 文 題 名

ウサギにおける正常および虚血後の脳循環に対する Ca チャンネル遮断薬の作用

学位論文内容の要旨

1. 亜 酸 化 窒 素 およ びfentanyl麻 酔 下 の ウ サギ に お い てCaチ ャ ン ネ ル遮 断 薬nitrendipineの 脳 循環 お よび 脳代謝 に及 ぼす影 響を脳 血流量 ,脳 酸素消 費量お よび血 圧の測 定に より検 討し,

  さら に脳循 環の自 動調節 に及ぼ す影 響を脳 の血圧 ―血流 量関係の解析により明らかにした。ま た ,一 過 性脳 虚血か らの 血流再 開通後 の脳循 環, 脳波お よび脳 代謝の 変化に 及ぼ す影響 を10分 間の全 脳虚血 法に より検 討し,nicardipineの作 用と比 較した 。

2. 大脳の 平均血 流量お よび 大脳皮 質,皮 質下白 質お よび視 床の局 所血流 量を, 水素クリアラン ス 法 に よ り 測定 し た 。 脊 髄穿 刺(pithed)動物 の 脊 髄 神 経節 を 電 気 的 に刺 激 し て 血 圧を50か   ら125mmHgま で人 工 的 に 調 節し , 脳 血 流 量を 測 定 す る こ とに よ り 血 圧 →血 流 量関係 を明ら か に し た 。 頸 椎 骨 か ら 第1肋 骨 レ ベ ル まで の 頸 部 を 空 気圧 駆 血 帯 で 被い , こ れ を 加圧 膨 張   (1140mmHg)さ せ る と 共 に , 脱 血 し 血 圧 を 下 げ て (50〜60mmHg), 脳 全 体 の虚 血 ( 全 脳 虚血) を引き 起こ した。

3. nitrendipine(O.3〜3〃g/kg7min)の 静 脈 内 へ の持 続 投 与 に より , 大 脳 の 平均 血 流 量 お よび 局 所血 流量は 用量 に依存 して増 加し, 血圧 は低下 したが ,脳の 酸素消 費量 は有意 な変化 を示さ なかっ た。

4. 血 圧 ― 血流 量 関 係 の 測定 に お い て ,50〜lOOmmHgの 血 圧 変 動 範 囲内 で は , 大 脳皮 質 , 皮 質 下白 質 およ び視床 の血 流量が 有意な 変化を 示さ なかっ た。血 圧の上 昇に応 じ, 各部位 の脳血 管 抵抗 も 上 昇 し たこ と か ら 自 動調 節 の 作 動 して い る 血 圧ー血 流量関 係が得 られ た。nitren ‑ dipine(0.3お よ び1ロg/kg7min)を 持 続 的 に 静 脈 内 に 投 与 す る と ,50〜125mmHgの 血 圧 範囲 で は 血 圧 の上 昇 に 応 じ て,3部 位の脳 血流 量が増 加した 。また ,自動 調節 による 血圧の 上 昇に 応 じ た 脳 血管 抵 抗 の 上 昇反 応は 脳の3部位 で抑制 された 。皮質 下白質 およ び視床 の血管 抵 抗は 血 圧 に 依 存し て 低 下 し たが , 大 脳 皮 質で は 血 圧 変化に 対して ,ほぼ 一定 値を保 った。

5. 脳虚血 からの 血流再 開通 後,大 脳,大 脳皮質 およ び視床 の血流 量は一 過性に 増加した後,持

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続的な減少に転じ,虚血前値の58〜73%となった。虚血開始15分前にnitrendipine (0.3およ   びl mg/kg)あるいはnicardipine(3および10mg7kg)を十二指腸内に投与すると,持続的 な 血流減少は抑制された。脳血流再開通後の脳波のtotal intensityおよびfrequency index の 低下は,nitrendipineの前投与により虚血前値に回復したが,nicardipine前投与では影 響がみられなかった。さらに,脳血流再開通60分後に大脳皮質のエネルギー代謝物を測定して み ると,nitrendipine (0. 3mg/kg)は,乳酸含量を低下させ,クレアチンリン酸含量を増加 させた。

6.以上の結果から,次の作用機序が示唆される,nitrendipineは脳循環の代謝性の調節機序 に影響を与えず脳血流量を増加させる。その際,自動調節機序をほぼ完全に抑制するが,この 薬 物の脳血管拡張作用のために50〜125mmHgの血圧範囲では 常に脳血流量を増加させる。

六 脳皮質の自動調節機序には,皮質下自質および視床の機序とは異なり,nitrendipineに耐 性 な機序の存在が想定される。また,脳虚血からの血流再開通後の持続的な血流量の減少は nitrendipineおよびnicardipineにより抑制され,虚血による脳血管のCa2゛誘発の収縮機 序が想定される。しかし,脳波の回復過程に対する両薬物の影響の差は,脳血流量の回復機序 だけでは説明できないる

学位論文審査の要旨

  申請者・相原研一氏は,麻酔下ウサギを用い,血管に対する作用の選択性が高いCaチャンネ ル遮断薬nitrendipineにっいて,脳循環の代謝性調節,自動調節および虚血後の回復過程に及 ぼす影響を検討し,次のような結果を得ている。

  大脳の平均血流量および大脳皮質,皮質下白質および視床の局所血流量を,水素クリアランス 法により測定した。脊髄穿刺(pithed)動物の脊髄神経節を電気的に刺激して血圧を50から125 mmHgまで人工的に調節し,脳血流量を測定することにより血圧―血流量関係を明らかにした。

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夫 和

之 守

富 幸

昌 悦

野 里

藤 田

菅 中

斉 原

授 授

授 授

   

   

教 教

教 助

査 査

査 査

主 副

副 副

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頚 椎 骨か ら第1肋骨 レベル まで の頚部 を空気 圧駆血 帯で 被い, これを 加圧膨 張させ ると 共に, 脱 血 し 血 圧 を 下 げ て(50〜60mmHg), 脳 全 体 の 虚 血 ( 全 脳 虚 血 ) を 引 き 起 こ し た 。   nitrendipine  (0. 3〜3ロg/kg/min)の 静 脈 内 へ の持 続 投 与 に より , 大 脳 の 平均 血 流 量 お よ び局所 血流 量は用 量に依 存して 増加し ,血 圧は低 下した が,脳 の酸 素消費 量は有意な変化を示 さ なかっ た。

    血 圧 一 血流 量 関 係 の 測定 に お い て ,50〜lOOmmHgの血 圧 変 動 範 囲内 で は , 大 脳皮 質 , 皮   質 下白 質およ び視床 の血流 量が 有意な 変化を 示さな かった 。血 圧の上 昇に応じ,各部位の脳血   管 抵 抗も 上 昇 し た こ とか ら 自 動 調 節の 作 動 し てい る血圧 →血 流量関 係が得 られた 。nitren‑

  dipine (0.3お よ び1〃g/kg/min)を 持 続 的 に 静 脈 内 に 投 与 す る と ,50〜125mmHgの 血   圧 範囲 では血 圧の上 昇に応 じて,3部 位の脳 血流 量が増 加した 。また ,自 動調節 による 血圧の   上 昇に 応じた 脳血管 抵抗の 上昇反 応は 脳の3部位 で抑制 された 。皮質 下白 質およ び視床 の血管   抵 抗 は血 圧 に 依 存 し て低 下し たが, 大脳皮 質で は血圧 変化に 対して ,ほ ば一定 値を保 った。

    脳虚血 からの 血流再 開通 後,大 脳,大 脳皮質 およ び視床 の血流 量は一 過性に増加した後,持   続 的な 減少に 転じ, 虚血前 値の58〜 73%とな った。 虚血 開始15分 前にnitrendipine (0.3およ   びl mg/kg)あ る い はnicardipine(3お よ び10mg7kg)を 十 二 指 腸内 に 投 与 す ると , 持 続 的   な 血 流減 少 は 抑 制 さ れた 。脳 血流再 開通後 の脳 波のtotal intensityおよびfrequency index   の 低 下は ,nitrendipineの 前投 与 に よ り 虚血 前 値に 回復し たが,nicardipine前投 与では 影   響 がみ られな かった 。さら に, 脳血流 再開通60分後 に大脳 皮質の エネル ギー代謝物を測定して   み ると ,nitrendipine (0.3mg7kg)は,乳 酸含 量を低 下させ ,クレ アチ ンリン 酸含量 を増カ 口   さ せた 。

  以 上 の結 果 か ら , 申 請者 ・相 原研一 氏は次 のよ うな作 用機序 を示唆 して いる。nitrendipine は 脳循環 の代 謝性の 調節機 序に影 響を与 えず 脳血流 量を増 加させ る。 その際 ,自動調節機序をほ ぼ 完 全に 抑 制 す る が, こ の 薬 物 の脳 血 管 拡 張 作用 の た め に50〜125mmHgの 血圧 範 囲 で は 常に 脳 血流量 を増 加させ る。大 脳皮質 の自動調節機序には,皮質下白質および視床の機序とは異なり,

nitrendipineに 耐 性な 機 序 の存在 が想 定され る。ま た,脳 虚血 からの 血流再 開通後 の持続 的な 血 流 量 の 減 少はnitrendipineお よ びnicardipineに よ り 抑 制さ れ , 虚 血に よる脳 血管のCa2+ 誘 発の収 縮機 序が想 定され る。

  こ の研 究は, 動物の 脳循環 の調 節機序 とそれ に対す る薬物 の効 果にっ いて新しい知見を示した も のであ り, 審査員 一同は 相原研 一氏が 博士 (獣医 学)の 学位を 受け るのに 十分な資格を有する も のと認 めた 。

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