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博士(工学)權 寧瑳 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)權   寧瑳 学位論文題名

高炉スラグ微粉末を用いた高強度コンクリート および高流動コンクリートの性状に関する研究

学位論文内容の要旨

  近 年コ ンクリート技術の急速な進歩にともをって、これまでにをい高性能のコ ンク リー トが開発されるようにをった。通常のコンクリートの数倍の強度をもつ 高強 度コ ンクリート、現場施工時に締め固めを不要とする高流動コンクリートは その 代表 的ともいえるものであり、これらの技術的展開とその利用は、今後のコ ン ク リ ー ト 工 学 の 進 展 に 大 き な 役 割 をは た す も の と 考 え る こ と が で き る 。   高 強度 コンクリートを得るには、コンクリートの水セメント比を通常のコンク リー トか ら大巾に低下させる必要がある。このため、高強度コンクリートでは低 水セ メン ト比 を得 るた めの 混和 剤と して 高性 能AE減水剤 を利 用す るとともに、

セメ ント の粉末度を下回る徽粉末成分を加えることが行われる。また、高流動コ ンク リー トで は高 性能AE減 水剤 によ って 高い 流動 性を確 保す ると ともに、徹粉 末成分を多量に加えるなどの手法で分離に対する抵抗性を高めている。このため、

高強 度コ ンクリートと高流動コンクリートでは、目的とする特性に相違があるに も か か わ ら ず 、 そ の 基 本 的 を 組 成 ・ 性 状 に 類 似 し た と こ ろ が あ る 。   本 研究 は、産業副産物である高炉スラグを高強度コンクリート、高流動コンク リー トに 加える微粉末成分として利用し、それによって得られるコンクリートの 性 能 を 検 討 し た も の で あ り 、 そ の 結 果 を 要 約 す る と 以 下 の よ う に な る 。   第1章は序論であり、ここでは、高炉スラグ微粉末の性能およびその利用技術、

高強 度コ ンクリート、高流動コンクリートについての研究の状況を調べるととも に、 本研 究の目的と意義を明らかにし、さらに、論文の構成とその内容を記述し た。

  第2章 は、 高炉 スラ グ徽粉 末の 利用 にあたって、基礎的な資料を得ることを目 的と した もので、実験をモルタルによって行っている。ここでは、高炉スラグ微 粉末 を用 いたモルタルを供試体とし、流動性、凝結、細孔構造、化学的特性、圧 縮強 度、 耐凍害性などの藷特性におよばす高炉スラグ微粉末の粉末度、置換率、

銘柄 、対 応する混和剤、養生温度と方法などの影響を総合的に検討し、その結果 をも とに 基礎的な組成配合(スラグ置換率、スラグ量など)、使用する材料(銘 柄、 粗末 度をど)を定めたほか、コンクリートとして利用する場合に必要な検討 項目と内容を見い出した。

  第3章 は、 高炉 スラ グ微粉 末を 用い た高強度・高流動コンクリートの気泡組織 と耐 凍害 性を検討したものである。高炉スラグ徽粉末の利用が、水結合材比が低 い領 域に おぃてコンクリートの気泡組織を微細なものとすること、さらに、紛末

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度の 高い高炉スラグ微粉末の利用は、硬化セメントペースト部分の細孔組織を緻 密化 させることを示し、その結果として、高炉スラグ徹粉末を高強度・高流動コ ンク リート用の混和材とした場合にコンクリートの耐凍害性が向上することを明 らか にした。また、この耐凍害性の改善には養生の役割が大きいこと、さらに、

高流動コンクリートでは打ち込まれた後のコンクリート中の気泡の安定性が悪く、

この解決が重要であることを指摘した。

  第4章で は高 流動 コン クリ ート の凝結とその後の強度増進性状を検討した。高 流動 コン クリ ート では凝 結遅 延効 果を もつ 高性 能AE減水 荊を 比較的多量に用い てい る。このため、低温域を含めてその凝結特性を検討し、高炉セメント(スラ グ の 粉 末 度4,000面 /g)を 用い た高流 動コ ンク リー トに おい てあ る程 度の 凝 結遅 延が見られるものの、より粉末度の高い高炉スラグ徽粉末を用いた場合には モル タルによる実験で得られたほどの大巾な凝結遅延はをく、実際のコンクリー トで は実 用的 な問 題が少 ない こと を示した。さらに、材令3ケ月にわたる圧縮強 度試 験の結果をもとに、高流動コンクリートの強度増進の過程を記述する実験式 を誘 導し、その傾向を述ぺるとともに、寒冷時期のコンクリート工事に利用可能 な温度補正値の提案を行った。

  第5章は 、高 炉ス ラグ 微粉 末を 用いた高強度・高流動コンクリートの中性化と 乾燥 収縮に関するもので、ここでは、高炉スラグ徽粉末による高強度コンクリー トの 強度性能の向上についても考察を加えた。この結果、高強度コンクリートで は高 炉スラグ微粉末を用いた場合の乾燥収縮量が高炉スラグ微粉末を加えない場 合と 同程度か、それ以下であるのに対し、高流動コンクリートではいくぷん値が 大き くなることを認め、さらに、中性化については、高炉スラグ徽粉末による水 酸化 カルシウムの消費にもかかわらず、高強度・高流動コンクリートは、その組 織が 緻密をことによって、中性化速度が極めて遅いことを示した。また、高炉ス ラグ 微粉末の置換による高強度化への寄与はあまり大きなものではないこと、強 度 改 善 の 目的 か ら は 、8,OOOd/gと い う 高 い粉 末度 のス ラグ はか なず しも 必 要ではをいことなどを指摘1´た。

  第6章で は、 単位 セメ ント 量が 多く、したがってコンクリート中の単位アルカ リ量 が多くなりがちを高強度コンクリートがアルカリ骨材反応に対して不利な条 件と をることを懸念して、高炉スラグ微粉末による高強度コンクリートのアルカ リ骨 材反応抑制対策のあり方を検討した。この結果、高炉スラグ微粉末をポルト ラン ドセメントと置換することによって、ポルトランドセメントに起因するアル カり を減量させる効果に加えて、高炉スラグのもつ固有の効果があり、この値が アル カリ 当量 とし て高炉 スラ グ使 用量 のO,7〜1.2%に 相当 するものであるこ とを 明らかにし、これを考慮したアルカリ骨材反応抑制対策を提案した。また、

この 抑制効果には粉末度、銘柄による差はあるものの、主たる要因は置換率にあ ることを示した。

  第7章は 、本 研究 の総 括で あり 、各章で得られた成果を要約するとともに、得 られ た成果をもとに高炉スラグ微粉末を高強度・高流動コンクリートに用いた場 合の特性を述べている。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

高炉スラグ微粉末を用いた高 強度コンクリート および高流動コンクリートの性状に関する研究

  近年コンクリート技術の急速詮進歩にともな って、通常のコンクリートの数倍の強度を もつ高強度コンクルート、現場施工時に締固め が不要な高流動コンクリートなど、これま でにない高性能のコンクリートが開発されるよ うになった。高強度コンクリートでは低水 セメ ント 比を 得る ための混和剤として高性能AE減水剤を 利用するとともに、セメントの 粉末度を下回る微粉末成分を加えることが行わ れる。また、高流動コンクリートでは高性 能AE減水 剤に よっ て高い流動性を確保するとともに、微 粉末成分を多量に加えて分離に 対する抵抗性を高めている。

  本研究は、高強度コンクリート、高流動コン クリートに用いる微粉末成分として産業副 産物である高炉スラグを利用し、それによって 得られるコンクリートの性能を検討したも のであり、その結果を要約すると以下のように なる。

  第1章は序論であ り、研究の目的と意義、さらに、論文の構成とその内容を述べている。

  第2章は、モルタ ルによる実験で、流動性、凝結、細孔構造、化学的特性 、圧縮強度、

耐凍害性などの諸特性におよほす高炉スラグ微 粉末の粉末度、置換率、銘柄、対応する混 和剤、養生温度と方法などの影響を総合的に検 討し、高炉スラグ微粉末の利用にあたって の基礎的な資料を得ている。

  第3章は、高炉ス ラグ微粉末を用いた高強度コンクリート、高流動コンク リートの気泡 組織と耐凍害性を検討したものである。高炉ス ラグ微粉末の利用が;水結合材比が低い領 域においてコンクリートの気泡組織を微細なも のとすること、さらに、粉末度の高い高炉 スラグ徹粉末は、硬化セメントペースト部分の 細孔組織を緻密化させること、その結果と して、高炉スラグ微粉末を用いた高強度コンク リート、高流動コンクリートの耐凍害性が 向上することを明らかにした。また、この耐凍 害性の改善には養生の役割が大きいこと、

さらに、高流動コンクリートでは気泡の安定性 が悪く、この解決が重要であることを指摘 している。高炉スラグを用いたコンクリートの 耐凍害性は劣ると見られることが一般的で あり、高炉スラグ微粉末の利用が耐凍害性向上 に役立っことを示したことは、寒冷地でこ れ ら の コ ン ク リ ー ト を 実 用 化 さ せ る う え で の 有 用 な 知 見 で あ る 。   第4章では、高流 動コンクリートの凝結とその後の強度増進性状を低温域 を含めて検討 して いる 。こ の結 果、 高炉 セメ ント ( スラ グの粉末度4,000 cnt7g)を用いた高流動コ

治 昇

二 攻

英  

  祐

田 伯

鎌 佐

石 城

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

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ンクリートである程度の凝結遅延が 見られるものの、モルタルによる実験で得られたほど の大巾を凝結遅延はなく、凝結特性 に関して従来危倶されていたようを実用的を問題が少 ない こと を示 し た。さらに、材令30月にわたる圧縮強度試験の結果をも とに、高流動コ ンクリートの強度増進の過程を記述 する実験式を誘導し、寒冷時期のコンクリート工事に 利用可能を温度補正値を提案してい る。

  第5章 は、高炉スラグ微粉末を用いた高強度コンクリート、高 流動コンクリートの中性 化と乾燥収縮に関するものである。 高炉スラグ微粉末を用いた高強度コンクリートの乾燥 収縮量は高炉スラグ微粉末を加えな い場合と同程度か、それ以下であるのに対し、高流動 コンクリートではいくぷん値が大き くなることを認めた。さらに、中性化については、高 炉スラグ微粉末が水酸化カルシウム を消費するにもかかわらず、これらのコンクリートの 組 織 が 緻 密 で あ り 、 結 果 と し て 、 中 性 化 速 度 が 極 め て 遅 い こ と を 述 べ て い る 。   第6章 は、高炉スラグ微粉末による高強度コンクリートのアル カリ骨材反応抑制対策を 検討したものである。高炉スラグ微 粉末をポルトランドセメントの一部と置換することに よって、ポルトランドセメントに起 因するアルカりを減量させる効果に加えて、高炉スラ グのもつ固有の効果があることを認 め、抑制効果を定量的に示した。単位セメント量が多 く、したがってコンクリート中の単位アルカリ量が多くなりがちな高強度コンクリートは、

アルカリ骨材反応に対して不利な条 件と誼ることが懸念されており、その抑制対策を得た ことには工学的意義が大きい。

  第7章 は、本研究の総括である。

  これを要するに、著者は、開発さ れて日が洩く、知見の限られている高強度コンクリー ト、高流動コンクリートについて、 高炉スラグ微粉末を用いた場合の実用化をはかるうえ で有用を多くの新知見をえており、 建築工学、特に建築材料学の発展にたいして貢献する ところ大をるものがある。よって著 者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資 格あるものと認める。

参照

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