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[Surplus Rice and Seasonal Labor Migration : A Case Study at a Village in Yasothon Province, Northeast Thailand]

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(1)

東南 アジア研究 32巻4号 1995年3月

余剰米 と出稼 ぎ

-

タイ東北 部 ヤ ソー トー ン県の

1

村 を対象 と して

-中

昭 *

SurplusRiceand SeasonalLatxlrM igration:

A

Case Study ataVillagein Yasoth On Province,NortheastThailand

Y

。shiaki

N

AKADA

*

InNortheastThailand,subsistenceglutinousricecultivationhasbeendominantduetotherisky environmentandthelackofirrigation.Recently,however,non-glutinousricecultivationforthe markethasexpandedinsomeparts.Atthesametime,seasonalmigration,mostlytoBangkokand itssuburbs,hasbecomepopularamongfarmers.Thepresentstudyaimstoquantifysurplusrice production and todiscusstherelationshipbetween surplusriceand seasonallabormigration throughafieldsurveyatavillageinYasothonProvince.Ofthetotalharvestedriceinthestudy village,48%wassoldout,36%eaten.2%takenoutbyseasonalemigrants,and15%usedfor otherpurposessuchasanimalfeed,barter・,giftsandrents.Fifty-twopercentofthevillagers temporarily leftthevillage,mainly foremployment,and theseconsisted mainly ofmen aged 16-49yearsandwomenaged16-29years.Theyleavethevillageduringtheslackseasonofrice cultivation,and return to the village during the planting and harvesting seasons.Besides providing cash income from employment, this seasonal mlgration saves in-village rice consumption,which accountsforaboutonehalfofthesurplusrice.Therefore,seasonallabor migration,inadditiontomodernagriculturaltechnology.hasfacilitatedsurplusriceproduction even with rainfed cultivation.This type ofsurplus production can becalled as"migrati on-dependent''or"consumption-saving.''Thesefindingsindicatethatruraldevelopmentprojectsare requiredtoprovideworking-agevillagerswithincomeequaltoormorethantheincomefrom workingoutsideandricesaving,qrtofocusonnon-leavingvillagers.Agriculturalmechanization canalsobeatargetofruraldevelopment.

は じ め に

タイは米の大輸出国 として知 られる。 その中で,東北部 は水 田の卓越する農村地帯であるに

も関わ らず,余剰米 の生産が限 られ, (米 どころ) で はない [福井 1988:36,76]。港敵面積 が限 られ,天水依存 田が卓越す るため,降水量 の経年 的変動 に従 い水稲生産量 は大 き く変化 し,恒常的に余剰米 を産出す るこ とはで きない [Kono 1991:63-65]。福井 らが1981年 と1983

*京 都 大 学 大 学 院 農 学 研 究 科 ;FacultyofAgriculture.KyotoUniversity,Kitashirakawa-Oiwake-cho, Sakyo-ku,Kyoto606-01,Japan

(2)

年 に調査 した東北 部 コー ンケ - ン県 ドンデ ー ン村 で は, 過 去 ,現在 (1983年現在 ) を通 じて, 米 が 商 品作 物 化 した こ とが なか った [福 井 1988:335]。 同村 の稲作 に関す る研 究 で は, 米 の 余剰 が 出 ない こ とが 強調 され てい る。 しか し,ヤ ソー トー ン (Yasothon) 県 な ど, タイ東 北部 の少 な くとも一部 で は,近年 になって 改 良 品種 と化 学肥料 が導 入 され, 商 品米 生 産 が急 速 に普 及 しつ つ あ る とい われ る [河野 ・永 田 1992:242]。 米 の余剰 が生 じ,毎 年 の よ うに米 を販 売 で きる村 が生 まれ て い るの で あ る。1) 本論文 の 目的 は, タイ東北 部 の

1

村 を対象 と して,天水依 存 田であ る に も関 わ らず販売 で きる ほ どの余剰 米 を生 む背景 を,主 と して収穫 以後 ・流 通以前 の米 の流 れ に焦 点 を当てて分析 す る こ とである。そ して最後 に, この よ うな視 点 が農 村 開発 事 業 の策定 に役 立 つ こ とに も言 及 す る。 対 象 と した 調 査 村 は, ヤ ソー トー ン県 カ ム ク ア ン ケ - オ (Khamkhuankaeo) 郡 ナ- ホ ム (Nahom) 村 で (図 1),186世帯 か らな る (1992年 1月当時)。 港概 は な く天水 に依存 し,稲作 図1 ヤ ソー トー ン県 と調査村の位置 注 :[河野 ・永田 1992:243.図1] をもとに作成。 1)調査村 にいる2名の米仲買人が,過去 に取引 した精米業者 と粗集荷業者は合計7つある (ヤソー トーン市 とカムクアンケ-オ郡庁所在地ルムプクに所在)が,そのうち1975年以降に開業 した業者 が4つ もある。 このことが,ヤソー トーン県内では1970年代後半頃に商品米生産が急速に拡大 した ことを物語る。

(3)

中田 :余剰米 と出稼 ぎ は雨季作 のみ行 われ るが,村 人の多 くが毎年米 を販売 す る。 また,バ ンコク等- 出稼 ぎが盛 ん に行 われ る。 米販売 と出稼 ぎの二 つが最 も重要 な現金所得源 で, その他 の所得 は小 さい。 キ ヤ サバ作 や ケナ フ作 な どの畑作 を行 う世帯 はほ とん どな く,野菜作 は 自家消 費用 で,販売 を目的 と しない。2) 調査村 で の予備 的 な観察 や聞 き取 りに よれ ば,以下 の こ とが推 察 された。 米 の総販売量 は飯 米総消 費量 とほぼ同量 で あ る。 他方 ,働 き盛 りで 同時 にカロ リー消 費量 の 多 い年齢層 の村 人が, 出稼 ぎに行 き,都市 で米 を買 い消 費す る。 この村外飯米消 費が村 内飯 米 消 費量 を減 らす。一方 , 出稼 ぎ者 は農繁期 に帰村す るので,稲作 の労働 力 は確保 され る。 余剰 米 を生 む背景 と して,改 良品種 と化学肥料 をは じめ とす る近代 的農業技術 の導 入 ・普 及 に よる 米生 産量 の増加 に加 えて,3)出稼 ぎに よる村 内飯 米消 費の減少 とい う側面 も無視 で きない。4) この よ うに考 えた とき,何 を もって米 の余剰 と定義す るのか, あ るい は どんな状 態 を もって 米 の 自給 と定義 す るのか とい う問題 が浮 か び上が る。 在籍者が全 て在 村 し自村 の米 を消 費 した 上 で なお生 じるのが 「真 の余剰米」 であ る と し, 出稼 ぎに よる村 内飯 米消 費 の節約 に よる もの を 「見 か けの余剰 米」 で あ る と定義す る と,村 人の米販売量 の相 当の部分 が,見 か けの余剰 米 で あ る と予 想 され る。 以上 の推 察 を立証 す るには,米収穫 量 と村 内飯米消 費量 と米 余剰量 お よび-時他 出者 に よる 村 内飯 米消 費節 約量 (-見 か けの余剰量 ) を量 的 に把握 しなけれ ば な らない。価 格 の高 い米 を 売 りその金 で安 い米 を買 い消 費す る とい う対応 や,収穫直 後 にほ とん どの米 を売却 し, あ とで 不足 した ら適宜買 い足す とい う対応 は調査村ではなかった。聞 き取 り対象 に選 んだ79世帯 の うち,

7

7世帯 が高床式米倉

b

,ungkfw) を所有 し,収穫米 を収納 した後,適宜消費 ・販売 していた05)し たが って米 余剰 量 -真 の余剰量 +見 か けの余剰量 -収穫量 一村 内飯 米消 費量 と考 えて よい。 2)1991年に1世帯のみが数年ぶ りにキヤサバ作を行った。村人によればこの村の土は良 くないので, キヤサバを植えても質の悪い小 さな芋 しか収穫できないし,収穫量 自体少ない。連作 しても収穫が 得 られない。野菜作に必要な摘水は十分にない し,売る市場 もない。 3) 最近11年間 (1982-1992年),米倉の容量が拡大 してきたことが,米の生産増を物語る。聞 き取 り 対象に選んだ79世帯中,77世帯が米倉を所有 していたが,うち9世帯は,この間に親の家から独立 して家を建て (ookhienと呼ばれる)それ と同時に米倉を作ったか,あるいは独立後 も親世帯の米 倉を共同利用 していたがその後米倉を持った者である。 2世帯は以前は米倉を持たず家の中に米を 貯蔵 していたが,新 しく米倉を建てた者である。この11世帯を除 く66世帯のうち43世帯は,何 らか の改築か新築を行い,うち25世帯は改築により貯蔵容量を拡大 した。 2世帯は,二つ目の米倉を新 築 しウルチ米貯蔵用 とした。 4) 宮 川 [1991]と福井 [1988]は,余剰の少なさを与件またはその一つと考えて,出稼 ぎなどを説明 し た。また,渡辺 [1992]は,出稼 ぎを与件 として,余剰米の少ない自給水準 ぎりぎりの稲作を説明 し た。これに対 して,都市への出稼 ぎが余剰米を生んでいるのではないかというのが私の仮説である。 5) 2世帯は米倉を二つ持っていた。米が米倉に入 りきらない場合,米倉の床下や台所や大水がめや娘 世帯の米倉に貯蔵する世帯 もあった。米の1部を,米倉 に収納する前に販売する者 もいた。聞き取 り対象 とした1年の間に,米が不足 し買い足 した世帯は皆無だった。ただ,4世帯が豚の飼料 とす るため,1世帯が稲に害を及ぼすカニを殺す農薬に混ぜ るため,村内や隣村の寺で余 り飯を購入 し たoまた,1世帯が豚の飼料 とするため,精米所で砕米 (khaoplaai)を購入 した。 525

(4)

研究の方法

Ⅰ-1

.米余剰量の推定 余剰米の量的把握 に関 しては,宮川 [1991:108-120],福井 [1988:399-442],渡辺 [1992: 440-452]の 3名が詳 しく研究 を行 った。 宮川は,先述の ドンデー ン村で 自給 に必要な最低限の生産量 を推定 し,実際の生産量 と比較 した上で,余剰米 について述べ た。必要最低限の生産量 とは,飯米消費量 (または+必要種子 量)である。 飯米消費量は, 日常生活で消費 される量 を意味 し,年中行事,来客接待,寺院献 納 といった社会的必要量 を含む。ただ し,特別行事の際の大量米消費は含 まない。 日常的精米 量 と炊飯量, 1年間の実績消費量 を聞 き取 り,結局,実績消費量 を家族構成員数で割 り, 1年 間一 人当 り必 要最低 限の生 産量 を算 出 した。 それ は楓 米換算 で352kg (種子量 を含 め た ら 376kg)で,1978-1988年の最近11年間の うち,それ を満 たす生産量 は 3年 (種子量 を含めた ら 1年) だけ達成 された と述べ る。 洪水や干ばつのため,必要生産量水準 を維持することさえ 危 うく,余剰 を生み出す ことがで きない と述べ る。 宮川の評価で きる点は,社会的必要量 も消費量 に含めた ところである。 問題点は, まず,家 族構成員の定義のあいまい さである。 また,過去 1年間に結婚,出生,死亡,農外労働等のた めに家族員数が変化 しなかった世帯のみを対象 としたので,出稼 ぎ者お よびそれを出 した世帯 は もともと考慮 していない。その結果,彼 の対象世帯の家族構成員数は年間 を通 し不変 とな り,季節変化 を しない ことになる。 また, ドンデー ン村の近 くには コー ンケ- ン市があるの で,在村 しなが ら通勤 した り野菜 を売 りに出かけた りする村人が多い。だが,村人が同市 に出 かける ときは,多 くは弁当 を持 たない [舟橋 1990:70]。 したが って,彼 らが村外で食べ る 米は相 当な量だ と思われるが,その分 は考慮 していない。 さて,宮川 と同 じ村 を研究 した福井 は,河野のシミュレーション ・モデルに基づ き,米収支 を論 じた。米収支 とは,余剰が出るか否かを確率論的に求めた ものである。 同村では,渋水や 干ばつが頻繁 に起 こるので,米生産量 は極めて不安定である。 それで単年だけ見て も長期的な 米生産量はわか らない。 また,村人は米 を

3

年 くらい備蓄す ることによ り生産の不安定性 に対 処す る。 そ こで福井は,食程 としての米消費量 (種粗含 む) を一人 1年400kg (粗米換算) と 仮定 した上で,降雨量 などを基 に生産量 をシミュレー トし,貯蔵や販売 に関 し一定の前提 を設 けた上で, シ ミュレーシ ョン ・モデルにより,長期的な在村人口一人当 り米収支 を確率論的に 求めた。100年の うち販売可能年は23年,備蓄枯渇年は17年の確率で現 れる としている。 福井の評価で きる点は,余剰が出るか否かを確率論的に求めた ところである。 また,村人は 米 を

3

年間備蓄 し,それを超 えた ら売 るとか,米倉の収容能力の上限 を

3

年分の消費量 とする とか,米倉が満杯 にな らない限 り米は売 らない とかい う収穫後の対処 に前提 を設け,米収支 を

(5)

中田 :余剰米 と出稼 ぎ 算 出 した点である。問題点 は何 だろうか。食べ る人間の側 を在村 人口 としたが,定義があいま いである。 調査 は農繁期 に行 われたので,おそ らく農繁期人口を指すのだろう。そ して,就学 や農外就業 な どのため週 の大部分 を村外 で生活す る者 は,非在村 として カウン トしてい ない [福井

1

9

8

8:1

62

]。

同 じ村 を調査 した武 邑は, こう述べ る。 在村 人口をどの ように確定す る かは注意 を要す る。 日雇い労働者 として1週 間 とか1カ月間一時的に他出する者,休 日には帰 村す るがそれ以外 は勤務地 に寝泊 ま りす る者 な ど人の移動が激 しい。農繁期 と農閑期では人の 数 に大 きな差が ある。 したがって在村 人口の確定 は容易 な ことで はない

[

1

9

9

0

a:2

6

0-

2

6

2

】。

研究 目的や解釈 によ り在村 人口の捉 え方 は変 わって しまう可能性 があ る。 いずれ にせ よ福 井 は,在村人口は年 間を通 し不変であることを前提 とし,季節的変動 を考慮 していない。人口を か な り静的 に捉 えた といえるだろう。 また,米消 費量 を一 人

1

4

0

0

kg

と仮定 したが,その根 拠が明確ではない。 渡辺 は, イン ドネシア西 ジャワ州の 1村 において,世帯員の食事の提供 と獲得 について詳 し く研究 し,米余剰量 を算出 した。世帯員が世帯外,特 に村 内の親戚や隣人や近隣村の知人の と ころで食事 をす る機会が多い ことに注 目 し, [米余剰量 -粗 末獲得総量 (- 自耕地収穫量 +収 穫労働報酬量) - (世帯 内摂取量 +世帯外-の食事提供量)] と して算 出 し,余剰の ない 自給 ぎりぎ りの水準 だ と述べ る。一方で,出稼 ぎす る男 たちが都市で食べ る量が多い ことに も着 目 した。出稼 ぎは現金収 入をもた らすだけで な く,村内の米消費量 を減 らす。そ して村全体 とし ての米の 自給水準 を確保す る。 出稼 ぎの 目的の第 1は,口減 らしあるいは 自分の穀倉の稲束の 節約であ り,第2は現金の獲得である。 渡辺 の評価で きる点 は,村 人のすべ ての食事機会 について 1年 間毎週聞 き取 ることによ り, 精密 に米余剰量 を算出 した ところである。 そ して,性 ・年齢 によ り飯米消費量が異 なることに 注意 を払 った点である。 また,村 人が世帯外特 に都市 で食べ る米の量が多い ことに注 目した点 である。 問題点は何 だろうか。世帯 については細 かい描写 を し, はっ きり定義 したが,世帯員 の定義 があい まいであ る。 また,米 の用途 は食用 のみ としたが,他 の用途 もあ るか もしれな い 。 以上 よ り明 らか になった,米余剰量 を量的 に測 る上で注意すべ き第 1の点は,飯米消費以外 の用途の米使用量 も考慮 した方が よい ことである。第 2の点 は,飯米消費量 は在村す る人間の 量 と質 (性 ・年齢) に左右 されるので,それ らも考慮すべ きことである。第 3の点は,村 人が 世帯外 とりわけ都市で食べ る米の量 に注意 を払 うべ きことである。 第4の点 は,米生産量が極 度 に不安定 な場合 は,単年で余剰 を捉 えるよ りは,生産量 を確率論的 に求めた り,備蓄量 を考 慮 した りして長期的に捉 えた方が よい ことである。 以上の点 をふ まえ,調査村の実態 に即 し,米余剰量 お よび-時他出者の村外消費による村内 飯米消費節約量 を把握 した。各用途 に使用 された米の量 を確定 し, [米余剰量-粗収穫量 +級

5

2

7

(6)

受 取 量6)- (村 内飯 米 消 費量 +販 売 以 外 の用 途 の米使 用 量)] と して米 余 剰 量 を算 出 した。 そ して,村 人が あ る月 に精米 した米 は, その月の うちにすべ て使 い きった と仮定 し,7) [あ る月の村 内飯 米 消 費量 -その 月の精米量 +その月の精米 受取量 -そ の月の飯米消 費以外 の用途 の精 米使用 量8)] と して,各 月の飯 米消 費量 を算 出 した。 そ れ を在 村 者 数 (成 人換 算9)) で割 り各 月 の在 村 成 人一 人 当 り飯 米消 費量 を計 算 し, そ して, [あ る月 の在 村 成 人 一 人 当 り飯 米 消 費量 ×そ の 月 の非在 村 者 数 (成 人換 算)] を12カ月分 合計 し, 一 時他 出者 の村外 消 費 に よる村 内飯 米 消 費 節 約呈 (年 間) を算 出 した。 なお,各 月の精米量 の把 握 には,後述す る精米記録 ノー トを利用 し た。世帯 人 月 は, 世 帯 に在 籍 す る者 と定 義 し, 出稼 ぎに行 ってい る人 間 も含 め た。10)そ して世 帯 人月 一 人 一 人 の在 村 ・非在 村 を, 各 月 につ い て調査 した。.なお,米 生 産量 は, ドンデ ー ン村 の よ うに不 安 定 で は ない。村 人 も米 を経 年備 蓄 しない。 そ こで,生 産 の不 安 定性 や備 蓄 を考慮 に入 れ,長期 的観 点 か ら余剰 米 を捉 え る必 要 は ない と考 え,単 年 の余 剰 の み算 出 した。 さて, 実 際 の調査 にあ た って は,以 下 の方法 に よ り資料 収 集 を行 った。

1.

精 米所 プ ロ ジ ェ ク ト (khroongkaanroong sii)の精 米記録 ノー ト (samutsiikhao)の活用

2.

精 米所 会員 (samaachikroong sii)に対 す る体 系 的 な聞 き取 り

3.

その他 の体 系 的 ・非体 系 的 な聞 き取 りと観 察 精 米記 録 の活用 や 聞 き取 りの対 象期 間 は,1991年 9月-1992年8月 の 1年 間で あ る。1991年 12月末 一1993年 1月 まで私 は村 に住 み, 東北 部 の別 の農村 出 身の男性 を調査 補助 者 と して雇 っ た。以 下 ,精 米記 録 ノー トと聞 き取 り方 法 につ い て詳述 す る。

ト 2.

精 米所 プ ロ ジ ェク トの会 員 と精米 記録 ノー ト 精 米 所 プ ロ ジ ェ ク トは, 政 府 が 一 部 の村 で行 う農 村 開発 事 業 の一 つ で あ るO 調 査 村 で は, 6)受取 には,水田借地料や種子籾 ・飯米 ・現金の貸 しの清算,お礼,子世帯からの寄贈,農業普及貞か らの米新品種無料配布が含まれる。飯米を借 りる者がいるのは,儀礼用に大量消費するためである。 7)ただ し,儀礼用大量消費については,儀礼の行われる前の月にあらか じめ精米 し準備 を整えてお く こともあった。そのような場合は,前の月に準備のため精米 した量 を尋ね,その分はその月のうち に儀礼用大量消費に消費されて しまったもの として計算 を行った。 8)日常的喜捨 に関 しては,各月の使用量の特定は困難なので,毎月同量使用 を仮定 した。 9)成人換算する際は,成人換算率 (20代男性 の栄養所要量 を1とした場合の性 ・年齢別の栄養所要量 率) を用いた。同率 は [名古屋女子大学 タイ国学術調査団 1975:31]か ら引用 したが,出典は, タイ国公衆衛生省栄養部編,1970,「タイ人一人1日当 り必要な栄養素」 (タイ語文献)の推奨栄養 所要量表。ただ し,0歳児男女 については引用文献中にないので0.29と推定 した。 日本人年齢別 ・ 性別 カロリー所要量表 [桜井 1968:803]か ら0歳児男女の成人換算率 を計算すると各々0.304, 0.276となったが,その中間値0.29を採用 した。 10)世帯人月は,詳 しくは次のように定義 した。「その世帯 に在籍する人間 とする。役所 に届け出 しで ある世帯人員ではな くて,世帯主がみなす ところの世帯人月 とする。1991年9月∼1992年8月の1 年間全 く帰付 しなかった人間 も,将来帰って村に住む見込みがあると,世帯主がみなす限 りは,世 帯人員 として数える。その見込みがないな ら,永久他出者 とする。」一人一人の配偶者 と子の有無 をよく確かめ,聞 き取 り漏れがないよう配慮 した。内縁の配偶者 も,数えた。

(7)

中田 :余剰米 と出稼 ぎ 精 米所 か ら得 られ る米 ぬか を村 人 に販 売す る。米 ぬ か は豚 や家 きん類 の飼料 とな る。 そ の収益 で村 共有 の脱穀 機 を購 入す る計 画 が あ る。 同 プ ロジェ ク トの精米所 は,全 額 政府 の負担 に よ り1991年 7月 に建 設 され た。精米所 会員 と 呼 ばれ る登録 会員が お り,収益 の一部 は会員 に分 配 され る。1992年 9月 に, 第 1回の分 配 が あ り,一 人 当 り350バ ー ツ を受 け取 った。会員 も非 会員 も無料 で精米 で きる。 会 員 は,村 長

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の取 り決 め た 日程 に従 い, 精 米所 当番 をす る義 務 が あ る。 1日当 り 2名 の当番 は, 朝 か ら夕方 まで精 米所 の前 に座 り,楓 米 を計 量 し,誰 が何 kg精 米 し たか を精 米記 録 ノー トに順 次 書 き留 め る。11)会員 弓 巨会 員 とも記 録す るが, 会員 な ら, もう一 冊 の 同 ノー ト会員 用 に書 き写 す 。 そ の行 は会 員名, 列 は 日付 で あ る。 精 米 記 録 ノー トか ら同 ノー ト会員用 に当番 が写 し忘 れ たデー タが あ り,後者 をその まま信 用 す るわけ にはいか ない。 両 ノー トを照 ら し合わせ チ ェ ック し,デー タの信頼性 を高 め分析 に使用 で きる ように した。12) 調査対 象期 間中, 会員数 は少 々変化 し,結 局継続 して会員 だ った者 は

,7

9

世帯 あ るが, うち 不 適 と見 られ る3世帯 は除外 し,76世帯 の デ ー タを利用 した。 13) さて,村 長 は, プ ロジ ェ ク トの精米所 をなるべ く利用 す る よう会員 に呼 びか け るが,村 内 に 私有 の精 米機 が5台 あ るの で, 時 に よ り会員 が それ らを利 用す る可 能性 もあ る。 したが って76 世帯全 員 に, その利 用 の有 無, その時期 と精 米量 を,1992年

3

月 と 9月の 2回尋 ね た。

3

世帯 が 1度ず つ利 用 した こ とが あ ったので, その デー タ も集計 に加 えた。 結 局, 会 員76世帯 の 1年 間の精 米 回数 の総 計 は3,829回 で あ った。 1世帯 当 り 1年 間 に50

.

4

ll)当番は,精米 したのがモチ米かウルチ米かは記 さない。米ぬかを誰に何バーツ分販売 したかをも, 米ぬか販売記録 ノー トに記す。忙 しくて当番ができないなら,1日30バーツ程度で他人を雇い,代 理をたてられる。 12)チェックは,以下の理由により多少困難を伴った。精米記録ノー ト会員用は会員世帯の世帯主 もし くはその配偶者の氏名 (本名)で記録 してある。それに対 し,精米記録ノー トの方は,会員 ・非会 員を問わず記 してある。 また,多 くの場合,世帯主名でなく,精米に来た本人たとえば子供や孫の 名が書いてある。 しかも,それは往々にして愛称である。村人の多 くは愛称 を持つが,人によって は2,3個あるいはそれ以上持つ。それは,本名の略だったり,本名とは関係がなかった りする。 誰それの父 とか,出家 したばか りの男 と記 されることもある。愛称などの情報に精通 しなければな らない。世帯人員に関する全戸調査,村人への質問により,精米記録 ノー トに記 された名前や愛称 を同定 した。 2名以上が同一の愛称 (たとえばノーイ) を持つ場合 もあったが,区別 して記録 され ていた。ただ し,当番が記録 し忘れたり,村人が他世帯の楓を代わ りに精米 してあげたりした可能 性はあるが,それは聞いてないので知 り得ない。さて,精米機以外で,たとえば,足踏み式の米鳴 き器で精米する者は皆無である。ただ,まだ青い未熟の穂 を少量刈 り取 り,鎌やナイフで粗 をそぎ 落 とし, フライパ ンや鍋で妙 めた後,足踏み式の米鳴 き器 その他で粗が らを除 き, カオ ・マ オ (khaomao)と呼ばれる菓子を作 る者はいる。 13) 9月は80世帯だったが,10月に 1世帯が村人に請われ会員にな り,10-12月は81世帯だった。 1月 に 2世帯がやめ,1992年1- 8月は79世帯 だった。会員 をやめた理由は,「忙 しくて当番で きない から」「プロジェク トの精米所で精米 したら,米が堅 くな りおいしくないから」「小型精米横 を持つ から」など。なお,分析から除外 した 3世帯のうち, 2世帯は小型精米機を所有 しよく利用 してい た。 1世帯は,私 と調査補助者に食事 を世話 して くれたので,その影響があるはずである。 529

(8)

回,

1カ月に4.

2回精米 したことになる

たいていの村人は,当面必要 な分 だけ精米す ると判

断 される。

さて,会貞7

6世帯の うち 3世帯 は,親族関係 にある非会員世帯各 1世帯ずつ と同 じ米倉 を共

同利用 し,協力 して精米 し,共 に食事 をし,水 田 も共同耕作 していた

。14)

水 田や米倉 を主に管

理 し,米販売や物 々交換 な どを行 ったのは会員世帯の側 だった。彼 らは協力関係 にある非会員

世帯 に,販売収入や物 々交換で得 た物品の一部 を渡す こともあった。 したが って, この意味で

は,私 は

79

世帯分の精米データを扱 ったことになる

Ⅰ-3.

精米所会員に対 する体系的 な聞 き取 り

会貞76世帯 に対 し,米 の用途 と

1991

年の稲作 について,調査票 を用 い体系的な聞 き取 りを

行 った。

米の用途 については

,1992

10

月に,聞 き取 った。対象期間は,精米データと同 じく

,1991

9

∼1992

8

月である。各用途について,使用量,粗 ・精米の別, ウルチ ・モチ米の別,

使用 した月,理由などを,回想法 によ り質問 した

。15)

特 に村内飯米消費量 については,世帯人

員の性別,年齢,一人一人が どの月に在村 した

が 6)

が大 きく関わるのでそれ も問 うた。

1991

年の稲作の状況 については

,1992

4

月に聞き取 りを行った

。1991

年雨季の楓収穫量,

17)

水 田の所有 ・借入 ・貸出 ・経営 ・作付 の各面積 を開 き,不作付の水田があった場合は,その理

由 とその水 田は何年間連続 して不作付 か, を尋ねた。

14) この会貞 3世帯 は非会員世帯 とそれぞれ妹 と兄,父母 と長女,母方従姉妹同士 という親族関係 にあ る。 この ような親族間の共同耕作 と共同消費は,先述の ドンデー ン村では,ヘ ッ トナムカン ・キ ン ナムカン (het伽m ban,ki71nan kan)(共働 ・共食) と呼ばれる [武邑 1990b:308-309]. 15)村人は何 ムー ン (-12kg),竹かご (taklaa)に何かご,化学肥料袋 に何袋な どと答えたが, よ く聞 き取 り何kg位か を推定 ・計算 した。米販売量 については,業者の計量結果 をキログラムで答えた 者 もいたが, ほ とん どは楓袋 (krasoゆ Jm nまたはkrasoopyaiあるいは単 にkrasoqp)に何袋 と答 え た。 1袋 に詰め る粗米量 は,多少 ば らつ きがあるだろ うが,すべ て80kgと して計算 した。化学肥 料袋 (krasooppwiあるいはkrlaSOOP) と呼び名が紛 らわ しいので,必ず確認 したO化学肥料袋 には, 25-40kg程度の粗 を詰める。概袋は,精米業者 ・楓集荷業者が,村内の仲買人に配布 した ものであ る。精米 を粗米換算す る際 は,先述の ドンデー ン村 で,宮川が推定 した粗摺 り歩合の平均値0.70 [宮

1991:117] を採用 した。種子粗量 については, 同 じ村 を調査 した宮川 と重複す る世帯が あった場合は,彼 のデー タを利用 した。家 きん類飼料 と日常的喜捨 は,各月の使用量の特定 は困難 なので,1週間の使用量 を尋ね,年間使用量 を算出 した。 日常的喜捨 はすべてモチ米で行われた と 仮定 した。各世帯の年間飯米消費量 も尋ねた。なお,他世帯へ よ く食事 に行 く人,他世帯か らよく 食事 に来 る人,その頻度 について も尋ねた。結局,24世帯 が よく食事 に来る親族や友人がいると答 え,11世帯が他世帯へ よ く食事 に行 く人がいる と答 えた。その頻度は高 くなかった。その際の飯米 消費量 を算出するのはかな り困難である。他世帯か ら食事 に来る人 と他世帯へ よ く食事 に行 く人の 飯米消費量は,全体では相殺 されていると見 な し,算出 しなかった。 16)た とえある月に在村 したのがご く短期 間であった として も,その月に在村 した と見な した。全 く在 村 しなかった月があるならば,その行 き先,理由,就業 した職業 を尋ねた。 17)粗収穫量 については,前述の宮川 と重複する世帯があった場合は,彼のデー タを利用 した。

(9)

中田 :余剰米 と出稼 ぎ

調査結果 とその分析

山 -1

.米の用途 ⅠⅠ卜 1-1.販売 村 人は精米 して米 を売 るこ とはな く,楓米の状態で売 る。18)74世帯 が米 を販売 したが, ウル チ米 を販売 したのは71世帯 で,モチ米 は47世帯 だった。販売量 の うち, ウルチ米 は80.7%を占 める。 販売の詳細 は興味深 いが,別 の機会 に論 じることとす る。 ⅠⅠト 1-2.飯米消費 年 間飯 米消 費量 (粗米換算) の79世帯合計 は,聞 き取 りに基づ けば105トン,精米量 と飯 米 消費以外 の用途の精米使用量 との差 に基づ けば107トンと算 出 され,両者 は よ く一致 した。後 者 は,在村一 人当 り年 間319kgで あ り, これ を在村成 人一 人当 りに換算 すれ ば,411kg (粗摺 歩合 を0.70とす れ ばそれぞれ223kg,288kgの精米 に相 当) で あ る。 IRRI [1991:126-127] は, 1964- 1988年 の タイ全 国一 人当 り年 間米消 費量 を紹介 してい るが,それ に よる と1 986-1988年 の平均値 は粗 205kgで あ り,調 査村 の値 は これ を上 回 る。19)同書 の値 に よる と 1964-1966年以降,一人当 り消費量 は減少 しているが,20)調査 村の消費水準 は依然高い。 なお,飯米 消費量 の うちウルチ米が 占める割合 は, 15%であった。21) ⅠⅠト 1-3.消費 と販売以外 の用途 飯 米消 費 と販 売以外 には, 10の用途 が あ る。 す なわ ち,再 生 産用 (種子粗),社 会 的利 用 (日常的喜捨,儀礼用大量消費,贈与,倉上 げ儀礼 用),家畜飼料 (家 きん類飼料,豚飼料), 18)ウルチ米は1- 6回,モチ米 は1- 4回 にわけ販売 された。79世帯 の販売 回数平均 は, ウルチ米 は 2.4回,モチ米 は0.9回 だった。た だ し,1カ月 に2回以上販売 した場合,1回 と見 な した。村 人 は,村外 の精米業者 または粗集荷業者 に,直接 あ るいは村内の仲買人 を通 じ米 を売 るが, ほ とん ど は仲買 人を通す。村 内 に仲買人 は2名いるが,農業 をや りなが ら副業 と して行 う。業者 は,集めた 米 をさ らにバ ンコクやその周辺の ナ コー ンパ トム県,チ ャチ ュー ングサ オ県,サ ラブリー県,東北 部 内のナコー ンラーチ ャシーマ-市の米取引業者へ送 る。 19)調 査 村 は,近隣 国 ラオ スの1986-1988年 の値 (粗312kg) [IRRI1991:124-125]にむ しろ近 い。 IRRIの値 は,生 産量 や輸 出量 や人口の統計 な どか ら算 出 した もので, 出典 は FAO,F仰d Balaw e

sheets,Rome・.FoodandAgricultureOrganizationoftheUnitedNationsであ る。 な お,名古 屋 女 子大学 タイ国学術調査 団が,1972年11-12月に タイ東 北部 コー ンケ- ン県の7カ村42世帯 (1世帯 当 り 2日間) を対 象 に食生 活調 査 を行 った ところ に よる と,成 人一 人 当 り一 日の 白米摂 取 量 は 444.8gであったが [1975:36], これは年 間白米163.5kgに相当 し,私 の調査村 の値 を下回る。 20)辻井 の試算 では, タイ人一人当 り米消費量 は1970年代前半 に ピー クをつ けるがその後減少 している [1991:36-37]0 21)精米量 をウルチ ・モチ別 に知 る ことはで きないので, ウルナの年 間飯米消費量 は聞 き取 りに よ り算 出 した。1992年3月当時,79世 帯 中,50世帯 (63.3%)が電気炊飯器 を所有 していた。 ウルチ米 を 気軽 に炊 いて食べ られる環境 が,か な り広 まっている。 なお, これはモチ米の調理 には使 わない。 531

(10)

その他使用量 (物 々交換,世帯 人月 の村外持 出 し,支払 い) である。以下 に順 に述べ る。 種子粗 は再生産用 に必要である。村人は種子租 を買 わず に自前で調達す る。収穫直後 に種子 に適 した粗 を選 び,袋 な どに詰 め保管す る者 もいれば,苗代播種 の前 に米倉か ら適 当 にす くい とる者 もいる。 日常的喜捨 (thambun Phra),儀礼用大量消 費,倉上 げ儀礼用,贈与 の

4

つ は社会的利用 で ある。 村 人は寺院 ・僧へ米 を日常 的 に喜捨す る。 僧 たちが早朝 に村内 を托鉢す る と,村人は米飯 そ の他 を施す。朝11時頃 には,米飯 な どを携 え寺 に仏話 を聞 きにい く者 もいる。 婚礼 ・葬儀 ・出家 ・供養の儀礼 を行 い,米 を大量消費 した者が

1

7

世帯あ った。 これ ら以外 の 大行事 を行 う世帯 はなか った。葬儀 の後,夜 中に賭博 が行 われるのが慣例 だが, ウルチ米 はそ れに少量が用 い られ るだけである。 以前 は,村 人は伝統 品種 の ウルチ米 を少 しだけ作付 し,そ れか らカノム ・ジー ン (khanom jiin)と呼 ばれる麺類 をつ くり,行事 の際 に消費 した ものだO しか し現在 では購 入す る。それ に,現在村人が植 える改良品種 の ウルチ米か ら, カノム ・ジー ンをうま くつ くることはで きない。 収穫 ・脱穀 の後,脱穀場 か ら米倉 まで粗米 を運 び入れ る際,村人は村 内の祈祷 師 を呼 び倉上 げ儀礼 (bun bookbaan)を行 う。 その際,寺 に粗 米 を少量寄付 す るO その量 は,1世帯 当 り 竹か ご

1

杯分位 (約

1

2

k

g

)

である。 租米 ・精米 を村 内の人間 に贈与す る場合 は,子供が よ く食事 を Lに行 く世帯- のお礼 な どが ある。村外 の人間に贈与す る場合 と しては,干 ばつで米不足 だった り畑作 やエ ビ養殖 を専業で 営 んだ りす る県外 の親族 に与 える例,都市部 の親族や友人 に与 える例 な どがある。 家 きん類飼料,豚飼料 の二つは,家畜飼料 である。 籾米 を家 きん類 に与 えた者 は

7

1

世帯 あ り, その量 は意外 と多 い

(

7

1

世帯

1

世帯 当 り

1

6

0

k

g

)

0

1

9

9

2

4

月当時の飼育数お よび飼育世帯数 は,鶏 (kai)

2,

8

7

3

(

6

1

世帯),家鴨 (pet) 195羽

(

2

1

世帯), バ リケ ン22) (pettheet)

1

0

4羽 (

1

3

世 帯), 鷲 鳥 (haan) 8

羽 (

1

世 帯), 七面 鳥 (kaingu

a

n

g)

1羽 (1世帯) であ る. 家 きん類 は,村 内で適宜売 られ る こ とはあるが村外-売 られることはほ とん どない。主 として 自家消費用 で,魚以外 の重要 なタンパ ク源である。た だ,鶏 については

,1

9

9

2

1

月に養鶏場 を建 て,

2,

0

0

3

(

1

9

9

2

4

月当時) を飼育 し,村外 販売 を目的 とす る者が1世帯 あった。 しか し,飼料 のほ とん どを購入 していた。

1

9

9

1

9

-1

9

9

2

8

月 に,

9

世帯が豚 を飼育 したが

(

1

9

9

2

4

月の豚飼育頭数 ・世帯数 は

2

2

頭, 5世帯),彼 らはモチ精米 を煮 るかお こわの余 りを煮 るか して,豚 に与 える。 豚 は村内

(11)

中EB:余剰米 と出稼 ぎ 外-販売 す る 目的で飼 われ る。 物 々交換 ,世帯 人員 の村外持 出 し,支払 い は,その他使 用量 で あ る。 県 内外 か ら,粗 米 を求 め て ピ ックア ップや トラ ックで物 々交換 に来 る村 人が い るが,23)ほ と ん どの世帯 (72世帯 ) が, それ に応 じた。大 きな市場 のあ る郡庁所在 地 ルム プ クや ヤ ソー トー ン市 まで は遠 い の で,物 々交換 は村 に居 なが ら物 を入手 す るの に便 利 な手段 で あ る。 村 人が 物 々交換 で得 た物 品 は29種 類 あ り,24)果物 や野菜 な どの農 産物 や塩 が多い。 ほ とん どの場 合 モ チ米 で交換 され, ウルチ米 で交換 された例 は,乾燥 トウガラシ,土製 こんろ, カボチ ャの

3

品 目 に対 して だ けで あ り, そ の量 も少 ない。 精 米 との物 々 交換 の例 は,

1

件 しか な く, 精 米 14kgが サ ツマ イモ と交換 され た。物 々交換 の詳 細 は興 味深 いが, 別 の機 会 に論 ず る こ とと し たい。 村 人が 出稼 ぎに行 く際, 出稼 ぎ先 で食べ るための精米 を袋 に詰 め,バ ス に乗 る光景 は よ く見 られ る。54世帯 が そ う してい た。 だが, 1年 間 に世帯 人員が村外へ持 ち出す米 の量 は,全79世 帯 1世帯 当 り64.6kg (54世帯 1世帯 当 り94.6kg) であ り, 量 的 に少 ない。 出稼 ぎ者 は,稼 い だ現 金で 自分 の食べ る米 の ほ とん どを購 入す る。25) 水 田借地料 や,種子楓 や米 の借 りの清算 の支払 い に,粗 米 ・精米 を用 い る場合が ある。 水 田借 地料 ば,現金や化学肥料で支払 われ る場合 もあるが,何 で支払 われ るかは事前 に決め られ る。 ⅠⅠ卜 1-4.用途 別年 間使 用量 米収穫 量 (79世帯計 298,620kg, 1世帯 当 り3,780kg) 十受取 量 の用 途別使 用量 (年 間) を, ウルチ ・モチ別,粗 ・精米別 に図 に示 した (図2)。 量 的 に用途 を並べ る と, 第1に販売 (48%),第 2に飯米消 費 (36%)で, そのあ と,家 きん 23)彼 らは現金払いも受け付ける。調査村に親族がいるのでそれを操 りにやって くる場合もある。 24)モチ米 と多 く交換 された順に列挙すると,スイカ,塩,ココナツ,バナナ,カボチャ,乾燥 トウガ ラシ, トウモロコシ,マスクメロン,竹,キュウリ,サ ツマイモ, シャロットとニ ンニク,負, ピーナツ,ナンバンサイカチ,パイナップル,土製こんろ,パパイヤ,金属製バケツ,服, クラボ ング,小型土製水がめ,大型アル ミ製水椀, タバコの葉,ナムプラー,水がめの金属製ふた,プラ スチ ック製バケツ,キャベツ,プラスチ ック製たらいである。竹は,稲の収穫後,稲束を縛る竹ひ もをつ くるのが 目的である。塩 は,魚の塩辛 (plaadekまたはplaa laa)や野菜の漬 け物 (pak doαng)などに使用 される。東北部内の陸水性塩類集積か ら生産 された塩である。ナンバ ンサイカ チ (学名

-c

assiafistula,タイ名- kaen khuun)は, ビンロウジ代 わ りに使用 される時好品。 ク ラボング(krabong)は,おが くずにyaangnaa樹 (学名- Dipterocarpusalatus)の樹脂 を しみこま

せ,kung樹 (学名- DiPterocarPustuberculatus, タイ名- yaang♪hluang)の葉 と竹ひもで棒状 に包 んだ もので,たきつけに使用する。ナムプラー (nam plaa)は,魚醤。 シャロッ トはネギ属の 1 種.シャロッ トとニンニクは一緒 に交換 されることが多いので一緒 に集計 した.米不足の村人は,

このように主 として日付の産品により米を手に入れる。

25)村人によれば,都市ではほとんどウルチ米を食べる。調査村で植えられるウルチ品種は,カオ ・ チャオ ・マリ (khaochaomali),カオ ・ホーム ・マリ (khaoboom nazi),カオ ・カーオ ・ド-ク ・ マ リ (khaokaaodookmali)などと村人が呼ぶ改良品種だが,食味の優れた高級品種なので市場価 格は高い。村人が都市で買って消費する米は, もっと安い品種のウルチ米である。

(12)

類飼料,物 々交換,種子粗,支払 い,世帯人月の村外持 出 し, 日常的喜捨,儀礼用大量消費, 豚飼料,贈与,倉上げ儀礼用が続 く。

#

J L 図2 米の用途別使用量 荏 :楓米の収穫量を100とする。精米の場合は粗米換算量。

(13)

中田 :余剰米と出稼 ぎ モチ米 とウルチ米 の収穫量 はほぼ同量 だが,用途 は際 だ って異 なる。 モチ米 はあ らゆ る用途 に用 い られ オー ルマ イテ ィー なの に対 し, ウルチ米 の用途 は販売 と飯 米消 費 に限 られ る。 た と えば,家 きん類 飼料 ,豚飼料,倉 上 げ儀礼用 には, ウルチ米 は全 く用 い られ ない。 また,儀礼 用大量消 費,物 々交換 に も, ほ とん ど使 われ ない。 これ は一つ には,年 間 を通 じモチ米 よ り, ウルチ米 の価 格 が高 い ため (図3), ウルチ米 が もと もと販売 目的 で植 え られて い るか らで あ る。 さ らにモチ米 は,伝統 的 に栽培 されて きたので,生活 や文化 に深 く根 ざす の に対 し, ウル チ米 は販売用 に大量作付 され始 めたのが最近 の こ となので, それ ほ ど生活 に密 着 してい ないか らで あ る。26) 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1991年 1992年 (聞 き取 り件数 :ウルチ米73件.モチ米83件) 図 3 粗米販売価格の季節変動 注 :精米所会員以外 を含 む複数の村人への聞 き取 りによる。米の品質は考慮 していない。

Ⅰ-2

.飯米消 費量 の季節変動 飯 米総 消 費量 は,季節 に よ り大 .き く変 化 し,

9-1

2

月,

5- 8

月 に多 く

1- 4

月 に少 ない (図4)。 この ような変化 は,在村者 数,在村者 の性 ・年齢構 成,食欲 の変化 で説 明で きる。 農繁期 と農 閑期 で は在村 者数が変 わ り, それ に伴 い飯 米総消 費量 も変化 す る。 図 に見 る よう 26)先述のように,現在は改良品種のウルチ米 しか存在 しないが,これの普及する以前は,行事などの 機会に消費するため,伝統品種のウルチ米が少量植えられることはあった。渡部によると,東南ア ジア大陸部には,モチ稲が主作物 として栽培 され,主食 として消費される特異な地域が存在 し,そ の範囲は,タイの北部 と東北部,それとラオスを中心 にして周辺のビルマ,イン ド,中国,ベ トナ ムの一部 にも広がる。 これを渡部 は,「モチ稲栽培圏 (GlutinousRiceZone)」 と名付 けた [渡部 1983:73-75]。タイ束北部内の民族は,大 きくは,ラーオ系,クメール系,そ してシャム (中部 タ イ人) とクメールの混血 といわれるコラー トの三つに分けて考えられる。ラーオ系は, タイ東北部 内の北方,すなわち,メコン河の支流であるチ-川,ソングクラムJHの流域を占める。クメール系 とコラー トは, タイ東北部内の南方,すなわち,メコン河の支流であるムーン川流域 を占める。 ラーオ系の分布の南限は,モチ稲栽培圏の南限とほぼ一致する [福井 1988:63]。調査村は,モ チ稲栽培圏に属 し,村人はラーオ語 を話す。 535

(14)

義 作 業 層 甘

=

首代繍覆

Ji*

-

移稚 ⊂ 二二二コ 義兼義精霊量 (toTD 耕 著数 (人) 一一一一一在村一人当 飯 米滞責量 (也 /人) --I-・・在村成人一人当 畿米清責量 (kA/^) 図

4

飯米消費量の季節変化 とその要因 注 :79世帯 を集計 したもの。農作業暦 は,宮川修一の聞 き取 りデータと私の観察 によ り把撞 した。 に,

ll-1

2

月 は収 穫 と脱穀 ,

5-8

月 は苗代 播 種 と移植 が行 わ れ,農 繁期 で あ る。 出稼 ぎ者 が 多 数 , 一 時 的 に帰 付 し農作 業 を手伝 う。 したが っ て,在 村 者 数 が多 くなる。27)9-10月 は稲 が 生 育 中 だが手 間 の か か る農作 業 は ない し,

1- 4

月 は稲 作 も畑 作 も行 われ ないの で,農 閑期 で あ る。 村 人 は出稼 ぎに行 き,在 村 者 数 は少 ない。 農 繁期 と農 閑期 で は在村 者 の 質 (性 ・年齢 構 成) も異 な るので,在 村 一 人 当 り飯 米消 費量 は 変化 して,飯 米総 消 費量 の変化 に貢献 す る。 在 村 者 の性 ・年齢 構 成 の季節 的変動 を見 る と,男

1

6-

49

歳 , 女性

1

6-

2

9

歳 の在 村 者 数 の変 動 が, 他 の年 齢 層 と比 較 して激 しい (図5)。彼 らは 成 人換 算 率 が比 較 的高 い, す なわ ち カ ロ リー消 費量 が 多 い年齢 層 で もあ る。 つ ま り,飯 米 を多 く消 費す る。 同時 に彼 らは働 き盛 りで,労働 力 と して重 要 だか ら,農 繁期 は稲 作 に従 事 し農 閑 期 は都 市 で就 業 す る。 なお, 一時他 出者 の多 くは,比 較 的 自由 に帰 村 で きる職 業 に就 業 し,

か も帰 村 の ため の交通 の便 は整 ってい る。28)一 時他 出者 の就 業 職種 につ い て は,後 述 す る。 27) 1992年 5月には,調査村の祭 りの中で最 も盛んな雨乞いロケッ ト祭 り (bunbangfai)が行われた. この祭 りは農繁期の始 まりと密接な関係 を持 ち,例年5月頃行われる。これに参加するため出稼 ぎ などか ら一時的に帰村 した者 も多かった。それで 5月は最 も在村者数が多い。 28)他出者の最 も多いバ ンコクを例 に取ろう.幹線道路沿いにある隣村 ナ- トム (Nathom)村や都庁所 在地ルムプクに行けば,隣県 ウボンラーチャタ一二一発のバ ンコク行 きバスに乗れる。便は毎 日あ り, しか もエアコン付 き,エアコンな しを含め 1日に何回 もある。夜行のエアコン付 きバスに乗れ ば,翌朝 にはバ ンコクに着 く。 また,相には郵便ポス トがあ り,農作業が始 まるから相に帰れ と手 耗 をバ ンコクに出せば, 2, 3日中には着 く。郡庁所在地ルムプクに行けば,郵便局から電報で連 絡 を取ることも可能である し,隣村ナ- トム村の寺には電話がある。

(15)

中田 :余剰米と出稼 ぎ 在 村 音 数 lHrh u 5 90 80 70 60 50 40 3 性 ・年齢の別 図5 在村者の性 ・年齢構成の季節変動 注 :79世帯 を集計 したもの。 在村 成 人一 人 当 り飯米消 費量 は,成 人換算 率 か ら計 算 した20-29歳の男性 一 人当 りの値 であ り, その通 年変化 は季節 的食欲 の変化 を表す とみて よいであ ろ う。29)食欲 の変化が在村成 人一 人 当 り飯 米消 費量 を変化 させ,飯 米総 消 費量 の変化 に貢献 す る。 た とえば12月 は,新 米 の収 穫 ・脱穀 が どん どん進行 し,新米 が食べ られ るが,新米 はおい しく食欲 をそそ る。 しか も,脱 穀 は重労働 であ る。 それで12月 に在村成 人一 人当 り飯米消 費量 は多 くなるのだ ろ う。

Ⅰ-3

.一 時他 出者の 内訳 ここで は,出稼 ぎ者 をは じめ とす る一時他出者の内訳 について主 に述べ るO ここでい う一時他 出者 とは,1991年9月∼1992年 8月の間,全 く在村 しなかった月が 1月以上ある者であ る。 聞 き 取 り対 象世帯79世帯 中,75世帯 (94.9%) で,一時他 出者 が い る。 その数 は,79世帯 の在 籍者 計554名 中,30)288名 (52.0%) であ った。他 出者 は男性 (164名) が女性 (124名) よ り多い。 在籍者 と一時他 出者 の年齢構成 を

5

歳刻 みで図示 した (図

6)

。 最 も一時他 出者 の多 いのは, 29) しか し,在村成人一人当 り飯米消費量の月別変動は,食欲の変化だけでは説明で きない面 もある。 先述のように,ある月にごく短期間 しか在村 しなかったとしても,1カ月在村 したと見なしてい る。それで,在村者の在村 日数により在村成人一人当 りの重みは変わる。たとえば,在村成人一人 当 り飯米消費量が5月に最小値を取る理由は,前述の雨乞いロケット祭 りのため,ごく短期間帰村 する者が多いせいもあるだろう。 30)1991年9月∼1992年8月にかけて,出生,死亡,婚人,婚出により,各月の在籍者数は537名-549 名の間で多少変化 した。年間平均は543名であった。 537

(16)

男 性16-49歳 と女 性 16-29歳 で あ る。 男 性 16-49歳 (在 籍 者164名)の83% (136名)

,

女性16-29 読 (在 籍 者

1

1

1

名 )の76% (84名 ) が他 出 してい る。 また, 労働 に適 さない0-14歳 の子 供 の数 は, そ の上 の年 齢 層 と比 べ 少 な く, 労働 力 に適 した年齢 層 の比 率 が 高 い 人 口構 造 で あ る。1970 年 頃 か ら, タイ国 の 出生 率 は農村 部 にお い て も急 激 に下 が ったが ,31)そ れが調 査 村 で も起 こ っ た ため だ ろ う。 一 時 他 出者 は, そ の労働 力 に適 した年齢 層 か ら, 大 量 に出 て い る。32)

.

E'0 80 75 7 LP.5

55 60 46 4 L.1., 紺 26 20 ▲6 10 5 0 年 齢 階 層 20 0 20 40 50(人) 図6 在籍者 と一時他 出者 の性 ・年齢別構成 注 :79世帯 を1991年 9月-1992年 8月の期 間について集計 した もの。 他 出者 の うち91%が 中部 タイ に出 て お り, そ の ほ とん どが バ ンコ クに出 て い る33)(表1)0 31) タイの出生率低下 をめ ぐっては,数々の報告や論議があるようだ。 タイ国人口の出生率 に関する データは,1970年になって急速 に増加 し,出生率低下が,都市だけでな く農村地域で も確かに進行 しつつあることが報告 されているが,信ずべ き出生率水準 についてはまだ議論が多い。計量的な詳 細 を論ずるのはまだ時期尚早である [小林 1980:303] と,小林は慎重に述べ る。 タイ農村におけ る出生率が1970年代前半に目立 った低下を示 したことは,同期間に家族計画実行者の割合が ぐんと 伸 び,避妊知識 を有す る者の割合 も同様 に著 しく増加 した ことによって も裏付 け られる [小林 1983:283-284] と,後年にな り認めた。後は,センサスや標本調査か ら得 られたタイの出生率の諸 推計値 を紹介 し, こう述べる。1950年代前半-1960年代前半の (租)出生率 は,人口1,000人対大 体44ない し43の水準でほとん ど変化が ないが,1960年代後半に急 に約41.5に低下 し (約5%の低下 率),そ して1970年代前半では, もっと急速 に低下 した (33.2をとれば約20%の低下率)。合計特殊 出生率 (totalfertilityrate)の諸推計値 は,1960-1965年では6.119-7.170をとり,1970-1976年 では4.899-5.085をとる [同上書 :245-246]。1970年代 中盤以降 も出生率は低下 し続けたらしく, ESCAPの資料によると,1988年の タイの租出生率は22であ り,合計特殊出生率は2.6である [小川 1991:85]。 32)子供の数が少ないので,出稼 ぎしやすい面はあるか もしれない。夫婦 ともども出稼 ぎに行って ち, 子 を祖父母などに預けやすい。 33)調査村では海外 出稼 ぎは盛 んでない。国外出稼 ぎ者は,聞 き取 り対象世帯にはな く,対象外の世帯 で女性1名だけあった。彼女は,1990年以来 日本へ渡 り,食堂の調理係 をするが,送金はない。そ のほか,対象外の世帯で,数年前 に中東へ出稼 ぎした経験のある男性が1名いる。 日本へ出稼 ぎし た女性がいるが,結局 日本で結婚 し永住 した。そのほか,バ ンコクの 日系の工場 に勤務する女性 が, 日本で何 カ月か研修 を受けた経験がある。

(17)

中田 :余 剰 米 と出稼 ぎ また,79%は就業 し,就業者 に同伴す る妻や未就学児童が13%を占める。 就学者12名の うち

8

名は小 ・中学生であ り,彼 らも実質的には就業者の同伴者である。 就業者の職種 を見 ると,運輸従事者が最 も多 く,サー ビス職業従事者,生産工程従事者お よ び単純労働者がそれ に続 く (表

2)。

職種 は,性別 によ り多少異 なる。 男性 は,運輸従事者が 最 も多 く, その 中で も特 に タクシーの運転手 と自動

3

輪 タクシー (tubtukまたはsaam loo kruang)の運転手 な どが多い. 食堂の従業員などサー ビス職業従事者 も多い.女性 は,生産工 程従事者お よび単純労働者,サー ビス職業従事者が特 に多 く,その中で も特 に縫製工場工員, 食堂の従業員,女 中などが多い。 表1 - 時 他 出 者 の 他 出 理 由 と他 出 先 (単位 :人) 他 出 先 他 出 理 由 合計 就 就 職 就 出 兵 入 寺 子 そ 喜 芸 蓋 芸 の 業 伴 い 学 家 役 院 い 間 他 中 部 ノヾンコ ク 186 31 1 8 1 1 1 229 ナ コー ンパ トム 7 1 8 サ ム ツ トプ ラ- カー ン 1 2 3 ノ ンタブ リー 1 1 パ トウム 夕一 二 一 2 2 4 サ ム ツ トサ ー コー ン 1 1 サ ラフやリー 1 1 プ ラ- チ - ンブ リ- 1 1 チ ャ ン タブ リー 2 2 チ ヨンブ リ- 1 1 ラ ヨー ン グ 1 1 カー ンチ ャナ ブ リ- 9 9 小 計 211 35 1 9 3 1 1 261 北 部 チ ェ ンマ イ 3 1 4 東北部 ナ コー ンパ ノム 4 1 5 ナ コー ンラーチ ャシーマ - 2 2 ウボ ンラーチ ャ タ一 二 一 l l 2 コー ンケ - ン 1 1 ム クダーハ ー ン 1 1 シーサ ケ- ト ヤ ソー トー ン県 内郡 内 ルム プ ク 21 1 13 村 内 の寺 l l 2 郡 外 ヤ ソー トー ン市 1 2 3 マハ-チ ャナチ ャイ郡 2 2 小 計 14 2 3 2 1 22 不 明 1 1 注 :79世帯 を1991年 9月∼1992年 8月の期 間 につ い て集 計 した もの。 村 内の寺 で 出家 や小 使 い を した例 は,便 宜 上 一時他 出 とみ な した。 539

(18)

表2 - 時他 出就 業 者 の職 業 (単位 :人) 職種 職 業 男性 女性 合計 職種 職 業 男性 女性 合計 逮 自動3輪 タクシー運転手 31 31 技舵 エ アコ ン修理工 3 3 タクシー運転手 25 25 ク レー ン車修理工 1 1 輪 従 辛 運転補助その他 運転手 81 81 バ イク修理工船修理工 11 11 者 サ ーム ロー こ ぎ 1 1 電気工扇風機取付工貴金属加工 312 3 315 小 計 66 66 サー 女 中 10 10 食堂 コ ック 9 9 工 旋盤工 3 3 食堂 マ ネー ジ ャー 1 1 自動車 塗装工 3 3 食堂皿洗 い 1 1 塗装工 1 1 食堂給仕係 食 堂領収書係 食 堂 内その他従業員 3 612 921 家具作 り 1 1 小計 20 3 23 販 イーサ ー ン料理売 り 1 1 ど 雑貨屋 兼食堂店月 1 1 ラー ブ売 り 1 1 ス デパ ー ト店員 4 4 ソム 夕ム売 り 1 1 ガ ソ リンス タン ド店月 2 2 クイテ イオ売 り 2 1 3 戟 飲料水販売店店員 l l 2 71士: バ ミー売 り 1 1 莱 薬局店員 1 1 従 その他 食事売 り 3 2 5 ホテル従業員 1 1 辛 トリ肉売 り 1 1 従 印刷屋従業員 1 1 者 豚 肉売 り 1 1 辛者 弁護士事務所 清掃員 1 1 氷売 り 1 1 役所 リフ ト係 (臨時雇) 玩具会社従 業員その他 会社従 業貞 311 311 その他物売 り 3 3 小計 9 9 18 農 従.サ トウキ ビ収穫労働 者 6 3 9 警備 員理髪 師 1 1 11 業 者辛 小計トラクター運転手 17 3 110 小計 20 33 53 専謁 耽業 警察官職業軍 人 22 22 生 お 産 よ 縫 製工場工 員 31 31 髪飾 り工場工貞 2 2 語 手 保健士・従 1 1 工 び シャンプー容器工場工員 1 1 看護婦 2 2 程 単 従 純 辛 労 建設労働 者タイヤ運 び 91 1 110 的 者 小計事 従 会社事務員 5 21 71 者 働者 その他労働者 1 1 務 薯 役所事務 (臨時雇) 1 1 小計 11 35 46 小計 2 2 通 従辛 信 者 電話交換手 1 1 注 :79世帯 を1991年9月∼1992年8月の期 間 について集計 した もの。 サ ーム ローは 自転車 タクシー。 イーサー ン料理 は, タイ東北部 の料理全般 を指 す。 ソム タム とラープは料理 の一種 。 クイテ イオ とバ ミーは麺類 の一種。 職業分類 は,1965年 日本 国勢調査職業分類表 【尾 高 1965:585-586]を参考 に した。 同調査 では,職業分類 と産業分類 を区別 してい る。

(19)

中田 :余剰米と出稼ぎ 就業者 の職業 は,農繁期 になればやめ るか中断 して比較的 自由に帰村で き,農閑期 になれば 再就業で きる ものが多い。村 人の側がその ような職業 を意識的 ・積極的 に選択す る側面 もある と思 われる。 実際,一時他 出者の うち,全 く帰村 しなか ったのは31%にす ぎない (図 7)。 10-11カ月 31% (一時他出者怠数 :288

名)

図 7 -時他出者の帰村月数

港 :

79世帯 を1991年9月∼1992年 8月の期間について集計 したもの。

Ⅰ-4.

-時他 出者 と余剰米 ここでは,余剰米 と見かけの余剰米の量 を算 出 し,出稼 ぎと余剰米の接合 について論 じる。 米余剰量 は,先述の式 に従 い算出 した結果,収穫量の48.6%であった。販売量 は47.9%であ り,余剰量 の値 に近 い。両者の差0.7%は,誤差 や翌年- の繰 り越 し分 を含 む と思 われ る。34) 販売量 -余剰量 と見 な して よい もの とし,以下,米余剰量 は収穫量の47.9%である とす る。 さて,一時他 出者の村外飯米消費 による村内飯米消費節約量 (-見 かけの米余剰量) の年 間 合計 (楓米換算) は,79世帯合計で760トンに ものぼ り,収穫量の25.5%にあたる (図 8)。見 かけの余剰量 は現在の余剰量 の約半分 (53.2%)を占め る。 この見かけの余剰が なければ,莱 余剰量 は現在 の約半分以下 になる。 出稼 ぎによって,村内 に労働力不足が起 こ り不作付 の水 田は現 れているだろ うか。 ほ とん ど の村 人が水 田 を所 有 し経営 す るが,79世帯 の経営面積計 1,694ラ イ35)中,不作付面積 は369ラ 34)いずれにせよ,その年に生 じた余剰は貯蔵されず,ほとんどすべて販売されてしまうということで ある。そして,繰 り越 しはあまりないのである。 35)75世帯が水田を経営 し作付けした。所有面積1,610ラ イ (71世帯),貸出面積247ラ イ (28世帯),借 入面積330ラ イ (36世帯)であった。 541

(20)

初兼 籾米 叔穫量 受取量 100 1. 0 図8 米 余剰 量 と村 内飯 米 消 費節 約量 (粗 米換 算値 ) 注 :楓 米収 穫 量 を100とす る。

(21.8%

,該 当世帯

38

世帯) あった。不作付理 由は,主 と して水不足 と労働力不足 である

(

3)

村人によれば,1

991

年は降雨の量 ・時期共 に良好で例年 より適当だった。それにもか

かわ らず,水不足のため不作付 だった水 田は, よほ ど雨の降 り方が よ くない と作付で きない悪

条件 の水 田である

実際,連続不作付年数 を見 ると何年 も不作付の ままの水 田が多い。労働力

不足のため不作付 だった水 田 (

経営面積の

9%) ち,観察 した限 り,比較的悪条件の ものが多

く,労働力が十分 だ として も,収穫が確実 に期待 されるとは思 えない。 したがって労働力不足

による不作付 の拡大や生産量の減少 は,極めてわずか と考 えられる

。36)

前 に述べ た ように,調

査村の年齢構成 は,労働力 に適 した年齢層 の比率が高い構造 だが,それ も労働力不足が起 こ

36)また, 出稼 ぎに よ り稲作が租放化 している ともいえないだろ う。天水稲作 の もとで これ以上労働集 約化 をすすめて もそれほ ど効 果がある とは思 えない。福井 は,先述 の ドンデー ン村 における集約化 について以下の ように論 じた。 同村 では,集約化が通常意味す る施肥 や水管理の改良 といった点 に おいて集約化 を見 ることはで きない。天水稲作地 としてほほほ限界的 な降雨条件下に位置 し,水条 件が極 度 に不安定 であるため,労働力 をいかに注 ぎ込 んで も増収 を結果す る とは思 えない。米生産 の シ ミュ レー シ ョン ・モ デル を用 い集約化 の効 果 を試 したが,効 果 は小 さか った [福 井 1988: 416-417]。 同村近辺 の タープラの1978-1983年 の6年 間の年 降雨量平均 は1,285ミリメー トル (最 高1,560,最低1,005)で [同上書 :244],私の調査村 のあ るカム クア ンケ- オ郡の1976-88年の13 年 間の年降雨量平均 は1,600ミリメー トルだった [河野 ・永 田 1992:248]。調査村 は ドンデー ン村 よ り降雨量が多 いので,労働集約化 の効果 は多少あるか もしれない。

(21)

中田 :余剰米 と出稼 ぎ 表

3

水 田の不作付 理 由 と連続不作付 年 数 (単位 :ライ,6.25ライ- 1ha) 1991年の 不作付理由 不作付面積計 連 続 不 作 付 年 数 1 年 。9のみ)91年 2年 3年 4年 5年 6年 7年 t3至 その他.不明 水 不 足 165 31 18 16 9 43 17 7 24 労 働 力 不 足 160 73 17 9 14 14 33 水 .労 働 力 不 足 14 14 耕 起 し に く い 25 9 8 8 不 明 6 6 荏 :79世帯 中,不作付 の水 田があった38世帯 について集計 した もの。 らな い 一 因 で あ る。37) 現 在 の 米 余 剰 量 の お よそ 半 分 は, 出 稼 ぎ に よ り村 内 の 飯 米 消 費 量 が 節 約 され る た め 可 能 に な っ て い る。 一 方 , 米 生 産 の労 働 力 は, 働 き盛 りの 人 間 が 農 繁 期 に出稼 ぎか ら帰 村 す る こ とに よっ て , 確 保 され る。38)都 市 - の 出稼 ぎ と余 剰 米 生 産 とは, 飯 米 消 費 の節 約 と労 働 力 の 移 動 と を通 して, 密 接 な 関係 を持 つ. この よ うな米 生 産 の あ り方 を, 一 言 で 表 現 す れ ば 「飯 米 消 費節 約 型 余 剰 米 生 産」 あ る い は 「出稼 ぎ依 存 型 余 剰 米 生 産 」 と呼 ぶ こ とが で き よ う。 「都 市 - 出稼 ぎに行 け ば米 倉 の米 もた ま る し賃 金 もた ま る」 とい って も よい で あ ろ う。 1993年 1月 に, 64世 帯 を対 象 と して,1992年 1-12月 の 年 間 現 金 所 得 につ い て 聞 き取 っ た39) (表 4)。 そ れ に よ る と, 第 1の 所 得 源 は 一 時 他 出 者 の 送 金 ・手 渡 し40) (45.2%) で , 第 2は 雇 用 労 働 (19.1%) で , 第 3は稲 作 (13.0%) で あ る。 出稼 ぎ者 の 送 金 は, 村 に恩 恵 を もた ら 37)1970年以後, タイ国人口は徐 々に老年化 してい くもの と考 えられる [小林 1983:64]。調査村で, 将来老年化がすすむ と労働力不足が顕在化するか もしれない。 38)農繁期の農業労働力 は,世帯 により過不足があるか も しれない。その間題 は,本論文では論 じてな い。水 田の借 入 ・貸出,雇用労働,食事 や酒 を見返 りとする労働力の提供 (long khaekあるいは ao raengと呼ばれる),助 け合い,耕 うん機や トラクターの賃排,脱穀機 の借 り入れなどによ り, うま く調整 されている と思 われるO1992年10月19日に,親族 同士 の 2世帯 と隣のナ-カム (Nakham) 村の1世帯が共同出資 し,村で初の中古脱穀機 を購入 した。近隣村 にはそれ以前 か ら脱穀機 を持つ 者がいて,脱穀機 をのせた トラックが調査村の水 田に もや って きていた。田植機,収穫機 (バ イン ダーや コンバ イン) は,調査村 に も近隣村 に も所有す る者 はない。調査村 には, 中国製の手動式 田 植機 を懸賞で手 に入れた者が一人いるが,村の水 田の土 は砂質で堅いので苗が差 し込めず,全 く使 い ものにならない。 39)60世帯お よびその うち 3世帯 と水 田を共同耕作 し収穫米 を共同消費 し,生活のその他の面で も密接 に協力する4世帯 を含めた計64世帯 を対象 とした。 うち43世帯が米の用途の聞 き取 り対象世帯 と重 複 し,41世帯が精米所会員。稲作粗収益 は,1992年 1-12月の米販売価格平均 (ウルチ米50.8バー ツ/12kg,モチ米44.5バーツ/12kg)か ら算出 した。稲作その他の経営費に自家労働費は含めていない。 40)64世帯 の世帯 人員合計424名の うち,220名 (51.9%)が一 時他 出 し, うち174名 (一時他 出者 の 79.1%)が就業 した。その うち113名 (出稼 ぎ者の64.9%)が送金 ・手渡 しを行 った。一人当 り送 金額は200-42,000バーツで,出稼 ぎ者一人当 り3,621バーツ,送金者一人当 り5,576バーツだった。 543

(22)

してい る。41)雇 用 労働 所 得 の大 半 (85.7%)は公 務 員 の給 与 だが ,該 当す るの は 3世帯 にす ぎ ない。 したが って, 一般 的村 人 に とって は, 出稼 ぎと米販 売 の二 つが 主 な所 得 源 で あ る。 しか もこの二 つ は接 合 して い る。 所 得 の詳 細 は興 味 深 いが ,別 の機 会 に論 じる こ と とす る。 表4 現金所得 の構成 (単 位 :バ ー ツ) 所 得 源 全1世帯当所得64世 帯構成比

(

%)

従辛世育敬 農 莱 稲畑 作作 2.I8109 13.0.00 600 野 菜 作 -10 0.0 51 果 樹 作 5 0.0 】_ 畜 産 水牛 69 0.3 46 午 1,009 4.6 40 豚 255 1.2 8 鶏 186 0.9 49 家鴨 .バ リケ ン 44 0.2 39 小計 1,562 7.2 59 漁 業 975 4.5 54 キノコ作 り 78 0.4 1 小 計 5,429 24.9 60 農 雇 用 労 働 農業労働 224 1.0 21 外 日雇い労働 59 0.3 6 米品種交配請負 313 1.4 2 公 務 貞 3.559 16.4 3 小計 4,155 19.1 28 自 営 業 1,272 5.8 38 農用資産利用 水田貸地料 (現金) 55 0.3 2 水田貸地料 (現物) 5 0.0 1 ポンプ貸 し料 47 0.2 1 トラクター賃耕 66 0.3 2 機械貸脱穀 156 0.7 1 小計 328 1.5 7 一時他出者の送金 .手渡 し 9,845 45.2 55 永久他出者の送金 .手渡 し 192 0.9 6 精米所収益の分配 224 1.0 41 そ の 他 319 1.5 17 小 計 16,336 75.1 60 注 :現金所得のみ集計 した。米など農産物の自家消費分は含 まない。 64世帯 を1992年 1-12月の 1年間について集計 したもの。 水 田貸地科 (現物) とは化学肥料 を現金換算 したもの。

(23)

中田 :余剰米 と出稼 ぎ

結論

タイ東北部 ヤ ソー トー ン県の 1村 を対象 として,余剰米 と出稼 ぎの接合 を論 じて きた。 この 接 合 は,都市 と農村のつ なが りを示す重要 な 1側面である。以下,要点 をまとめる。 1.米 は販売 と飯米消費以外 に家畜飼料,物 々交換 な ど様 々な用途 に利用 される。 2.米余剰量 は米収穫量 の約半分である。

3.

在籍者 の年齢構成 は,労働力 に適 した年齢層の比率が高 い構造である。 最近の出生率低下 による。

4.

在籍者の約半数が出稼 ぎな どによ り一時他 出す る。 5.労働力 に適 した年齢層 (男性16-49歳,女性16-29歳)が,特 に大量 に出稼 ぎす る。 彼 らは カロ リー消 費量 が多 いか ら,彼 らの村外飯米消 費 に よる村 内飯米消費節約量 は大量 であ る。

6.

-時他 出者 による村内飯米消費節約量 (-見かけの米余剰量) は,米余剰量の約半分 を占 める。

7.

出稼 ぎ者 は,農閑期 は都市で就労す るが,農繁期 は 日付で稲作 の労働力 となるので,稲作 の労働力不足 は起 こ らない。彼 らの就業職種 は帰村 Lやすい ものが多い。

8. 3.

は村 内 に労働力不足が起 こ りに くい一因 となっている。 本論文 で は労働 力 と米消 費者 とい う二つ の側面 か ら人間 を捉 えた。人 間は,労働力 に劣 り もっぱ ら消費者 である人間 と,労働力 に優 れ大量消費す る人間 とに,大 きく分類で きる。前者 は年 間を通 し村 内 に とどまる。 後者 は,農繁期 は 自村で稲作の労働力 となるが,農 閑期 は都市 で就労 し,労働 力 を 1年 中発揮 す る。 彼 らは都市 で稼 いだ現金 で米 を買 い消 費す る。 その結 果,村内の飯米消費は節約 され,その分米 の余剰が増 える。 この飯米消 費の節約 に よ り生 まれ た米 の見かけ余剰 は,米販売量全体の約半分 とい う大 きな位置 を占め る。単純 なた とえを用い れば,働 き盛 りの人 間の 胃袋 は都 市 にあ るが,手足 は村 の稲作 に も使 われ る ような ものであ る。 そ して, この ように して生 じた余剰量 の分 は,モチ米 よ り価格の高い ウルチ米が販売用 に 作付 け される。 出稼 ぎと余剰米が,飯米消費の節約 と労働 力の移動 とを通 して,接合 している ことを強調 し 41)イ ンフ ォーマ ル ・セ ク ターの労働 者 は,低賃金 に も関 わ らず,農村-送金す る余 裕 は まだ まだあ り, 出稼 ぎ者の送金が農村 に恩恵 を もた らしている こ とを諸調査 は示唆 してい る。1978/79年の調 査 による とバ ンコク-移動 した東北部出身の移動労働 者 は,東北部 の平均所得 よ り30%高い賃金 を 得 てい る。1978/79年 の調査 に よる と,東北部 出身の移動労働者 の61%が家-送金 していた。 月平 均614バー ツであ り, それは東北部農村の 中位所得 の48%に相 当す る。1986/87年 の調査 に よる と, バ ンコク首都 圏の移動労働者 の うち,男性 の 3分 の 1,女性 の半分が,農村-送金 した [ボ ンパ イ ナ ッ ト 1993:25-27 ] 。 545

表 2 ‑ 時他 出就 業 者 の職 業 ( 単位 :人) 職種 職 業 男性 女性 合計 職種 職 業 男性 女性 合計 逮 自動 3 輪 タクシー運転手 31 31 技舵 エ アコ ン修理工 3 3タクシー運転手2525ク レー ン車修理工1 1輪従辛運転補助その他 運転手8181バ イク修理工船修理工1111 者 サ ーム ロー こ ぎ 1 1 電気工 扇風機取付工貴金属加工 312 3 315小 計6666 サ ー 女 中 1 0 1 0食堂 コ ック99 工 旋盤工 3 3食堂 マ ネー ジ ャー

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