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当科における脛骨顆部骨折の治療成績

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Academic year: 2021

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38

臨床報告

〔東女医大誌 第60巻 第9号頁866∼869平成2年9月〕

当科における脛骨穎部骨折の治療成績

東京女子医科大学 整形外科(指導:田川

ハヤシ ヒデタカ ヒジカタ ヒロミ オグチ

林秀剛・土方浩美・小ロ

ヨコハタユ ミ コ ソ ワ ケンセイ タガワ

横撃由美子・曽和 健誠・田川

(受付平成2年5,月19日)

はじめに

脛骨穎部骨折の治療は概して良好な成績を上げ

ることが可能だが,種々の要因により成績不良と

なる症例がある.今回我々は過去10年間に当科で

治療を行った怪骨穎部骨折47例について調査し,

予後に関連すると思おれる因子について検討し

た.

対象症例

昭和54年より63年まで入院治療を行った脛骨顯

部骨折は47例であり,内訳は男性30例,女性17例

であった.受傷時年齢は14∼78歳,平均44。8歳で

あった.受傷原因は交通外傷によるものが34例,

転落8例,転倒3例,その他2例であった.骨折

型の分類はHoh1&Luckの分類に従った1)2).1

型(undisplaced)13例, II型(central depression) 8例,III型(split depression)13例, IV型(total

depression)5例, V型(split)はなくVI型(com−

minuted)8例の分布を示した(表1).

治療方法

1型では13例中開放骨折の1例を除ぎ保存療法

を行った.他のII∼VI型では重大な合併症を伴う

5例を除き手術療法を行った.手術療法の適応は

5mm以上のdepressionまたはsplitとした3)∼5).

靱帯損傷はmedial collateral ligalnent(MCL)

損傷が6例,anterior cruciate ligament(ACL)

損傷が2例,ACL, posterior cruciate ligament

(PCL), lateral collateral ligament(LCL)の複

宏教授) シゲキ

茂樹

ヒロシ

表1 骨折型の分類

型 1 且 皿 IV v VI X 線

(7

13例 8例 13例 5例 0例 8例 自験例 28% 17% 28% 11% 0% 17% Hohl 24% 26% 26% 11% 3% lo%

合損傷が1例あった.MCL損傷は全例保存療法

とした.半月板損傷は15例に認められ,実質部の

損傷12例は半月板切除を行い,peripheral detach−

mentの3例については可及的に縫合した.内固

定材料としてはscrew, T−plate, K−wire, tibial

boltなどを単独,または組み合わせて使用した.

骨移植は手術例30例中15例に行った.

結果および成績

1.骨折型と年齢

骨折部を年齢別に分けてみると,II型とIII型で

は若年層よりも高年齢層に多く発生しており,高

齢者ほどdepressionを起こしやすい傾向がみら

れた(表2).

2.骨折型と受傷原因

骨折型と受傷原因との関係では,高所からの転

落ではII型, III型のdepression typeが多かった.

VI型はほとんどが交通外傷により発生した(表

mdetaka HAYASHI, Hiromi HIJIKATA, Shigeki OGUCHI, Yumiko YOKOHATA, K:ensei SOWA and

Hiroshi TAGAWA〔Department of Orthopedic Surgery, Tokyo Women’s Medical College〕:Our experi−

ence of treatrrlent of tibial condylar fracture

(2)

39 表2 骨折型と年齢 年 齢(歳) 型 10∼19 20∼29 30∼39 40∼49 50∼59 60∼69 70∼79 計(例) 1 ○○○ ○○ ○○○○○ 13 II ○○ ○○○○ 8 III ○○○ ○○○○ ○○ 13 IV ○○○ ○○ 5

V

0 VI ○ ○ ○○○ ○○ ○ 8 表3 骨折型と受傷原因 型 交 通 外 傷 歩行中 二輪車 転 落 転 倒

その他

1 ○○○○ ○○○○○○

OO

II ○○ ○○○ ○○ III ○○○○ ○○○ ○○○○○ ○ IV ○ ○○○○

V

VI ○○○ ○○○○

表4 Hohlの機能評価

Excellent 1)膝の完全伸展可能 Q)ROM120.以上 R)正常な強度と耐久性 S)時に膝の痙痛あり 全てを満たす

Good

1)膝の伸展170味満 Q)過度の側方動揺性 R)毎日軽度の痺白あり S)ROM90. T)すぐ疲れる !つを越えない Fair 1)膝伸展170.未満 Q)ROM75. R)日常生活に支障 S)過度の側方動揺性 2つを越えない Poor 1)通常の通勤ができない Q)就労不能 R)運動痛 S)過度の側方動揺性 3つ以上 3).

成績評価はHoh1&Luckの機能分類を用いた

(表4)2}.excellent, good, fair, poorの4段階

に評価され,項目は簡素である.来院できない長

表5 骨折型別の成績

Excellent

Good

Fair Poor E+G(%)

1 ○○○○○ 宦宦宦宦 ○○○ 100 II ●●● ○●●● ● 88 III ●●●● ○●●● ●●●●● 62 IV ●●●● ○ 100

V

VI ○● ○●●● ●● 75 23(49%) 16(34%) 8(17%) ○:非手術例 ●:手術例

期follow患者に対してもアンケート調査などで

対応できる反面,正座などの和風生活様式への適

応を必ずしも反映しない欠点がある.

3.骨折型別の成績

総合成績はexcellent 23例, good 16例, fair 8

例でありexcellentとgoodの合計は83%と満足

すべき結果を得た.骨折型別の成績では1型とIV

型は全てexcellentまたはgoodであったが, III型

(3)

40

表6 Depressionの程度と成績

①受傷時のDepressionと成績

Excellent

Good

.Fair E+G(%)

0∼4mm

5∼9mm

●●●● ○○● 100

10∼14mm ●● ●● ● 80

15∼ mm ● ●●● ●●●●● 33

②治療後のDepressionと成績

Excellent

Good

Fair E+G(%)

0∼4mm

●●●●● ●●● ●● 80

5∼9mm

○○ ●●● 40 10∼14mm ●● ●●● ● 83 15∼ mm ○:非手術例 ●:手術例

は13例中5例がfairであり,その全例に靱帯また

は半月板損傷を合併していた(表5).

4.Depressionの程度と成績

II型とIII型のdepresiion群で, depressionの大

きさと成績との相関について受傷時,治療後で調

べてみると,成績は治療後のdepressionの程度よ

りもむしろ受傷時のdepressionの大きさに相関

する傾向がみられ6),fairであった例は全て受傷時

のdepressionが12mm以上であった(表6).

考 察

心骨頼部骨折は偽関節となることは稀である

が7),関節面の完全な修復が困難な骨折型や軟部

組織損傷を伴うものぞは解剖学的整復および早期

関節運動ができずに治療に難渋することがある.

表7 成績不良例の検討 症例 年齢 骨折型 Depression 外固定 合併損傷 可動域 その他 1 57 II

15mm

8W

ACL, PCL kCL,半月 0∼105。 装具使用 2 31 III

12mm

7W

MCL,半月 0∼850 3 45 III ユ4mm

4W

MCL,半月 20∼100。 4 46 HI

15mm

6W

ACL

15∼110P 5 56 III

15mm

4W

半月 10∼80。 6 67 III

18mm

4W

半月 0∼90。 7 19 VI 一

4W

半月,開放骨折, C骨神経麻痺 10∼120。 装具使用 8 55 VI }

3M

半月,開放骨折 0∼50。 偽関節 ACL:前十字靱帯, PCL:後十字靱帯, LCL:外側々副靱帯, MCL:内側々副靱帯 表8 外固定期間と屈曲120. 非手術例 固定週 可 能 不 可 能 可能率(%) 0∼2W ○○ 100 3∼4W ○○○○○○○○○ 100 5∼6W ○○○○ 100 7W∼ ○○ 100

手術例

固定週 可 能 不 可 能 可能率(%) 0∼2W

00

100 3∼4W ○○○○○○○○○○ ×××× 71 5∼6W ○○○○○

×XX×X

50 .7W∼ ○ ××× 25

我々の症例のうちHoh1の機能評価でfairと

なった成績不良例について検討してみると,骨折

型ではIII型に多くII型III型のdepressionの大き

さは12mm以上を示した.また全ての症例が靱帯

損傷や半月板損傷,腓骨神経麻痺などの軟部組織

損傷を伴っていた(表7).

軟部組織損傷は,初期治療の段階で時にその骨

折型ぽかりに目を取られて十分な検索がなされな

いままで手術が施行されることがあり,後に手術

治療・外固定の追加などにより機能障害を引き起

こすことがある.術前に各種補助診断法を可能な

限り行い,軟部組織損傷の有無を明らかにしたう

えで慎重に治療されるべきと考える8)心10).

一868一

(4)

41 表9 非手術例(II∼VI型)の検討 骨折型 年齢 Depression

外固定

荷重開始 成績 靱帯半月損傷

ROM

II 58

8mm

6W

10W

G

(一) 0∼120。 III 70

8mm

6W

8W

G

(一) Fu11 IV 65 一

4W

8W

G

(一) 0∼120。 VI 39

2W

12W

E

(一) Fu11 VI 55 一

4W

8W

G

(一) Full

ROM:range of motion, G l good, E:excellen亡

外固定期間とrange of motion(ROM)との関

係をみると,手術施行例では外固定期間が長いほ

ど屈曲制限が起こりやすく,4週を超える外固定

は避けるべきである5)11)12)(表8).最近我々はcon−

tinuous passive motion(CPM)による,より早

期の関節可動域訓練を行っており,さらに良好な

成績をおさめている.

我々は手術の適応を5mm以上のsplitまたは

depressionとしたが, II∼VI型の手術適応例の中

で全身状態が悪いために手術ができなかった症例

について検討してみると,全てに軟部組織損傷が

なく,II, III型ではdepressionは8mmであり,成

績はgood以上であった(表9).このことから非

手術例において,軟部組織損傷がなくdepression

が10mm以下であれぽ,外固定期間が6週間の長

期にわたっても比較的良い成績をあげられること

が示唆される11). ま と め

1)昭和54年より63年まで当科で治療した脛骨

穎部骨折47例について報告した.

2)成績はHohl&Luckの機i能分類でexce1−

lent:49%, good:34%, fair:17%とほぼ満足す

る結果を得た..

3)II型, III型では術後より治療前のdepres−

sionの程度が予後に相関した.

4)合併する靱帯・半月板損傷は成績不良の大き

な要因の一つである.

5)手術例の外固定期間は4週間以内に留める

べきである.

文 献

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OrthoP 145:146−149, 1979

8)Hobl m:Treatment methods in tibial con−

dylar fractures. South Med J 68:985−991,1975

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11)Schulak I)J, G皿nn DR= Fractures of the

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参照

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