好アルカリ性細菌の運動特性と電位駆動型Naチャネ
ル欠損によって生じる走化性異常の分子機構の解明
著者
藤浪 俊
学位授与大学
東洋大学
取得学位
博士
学位の分野
生命科学
報告番号
甲第199号
学位授与年月日
2008-03-25
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00003962/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.jaー ー 学 位 請 求 論 文 要 旨 好アルカリ性細蕗の運動特性と 電位駆動型Naチャネル欠損によって生じる走化性異常の分子機構の解明 東 洋 大 学 大 学 院 生 命 科 学 研 究 科 生 命 科 学 専 攻 4910040001 藤 浪 俊 1.背景 極限環境微生物である好アルカリ性細菌はpHIOの高アルカリ性環境下で活発に増殖し、-一般 に生育にはNa剣を要求する[1]・微生物の多くは生命活動を行うために必要なエネルギーをI-r駆動 力から得ているが、高アルカリ性環境下では中性環境下に比べてH膿度が非常に低いため、H' を共役イオンとして使用することは困難である。そこで好アルカリ性細菌は、H非の代わりにNa等を共 役イオンとして用いて栄養素の輸送やべん毛の回転を行っている。また、好アルカリ性細菌の細胞 内は高アルカリ性環境下においても中性から弱アルカリ性に保たれており、これは主に細胞膜に 存在するNaチャネルやNa+/Hアンチポーターの侭Iきによるものと考えられている。このように好ア ルカリ性細菌にとってNaサイクルは非常に重要で友)り、NaチャネルはそのサイクルにおいてNa+ の再取り込み系として働くと考えられている[2]・ 好アルカリ性細菌助cノ加叩“"伽甜加"sOF4株において、電位駆勤型NaチャネルNavBPを欠 損させると、高アルカリ性環境での細胞内pH調節能が低下し、さらにタンブリングの頻度が上昇し、 走化性において誘引物質や忌避物質に対して野生株と反対の反応を示すことが報告されている [3]。しかし電位駆動型Naチャネルと運動性、走化性との関係はまったく解明されていない。 近年発見された微生物の電位駆動型イオンチャネルは、哺乳類のイオンチャネルと相同性が高 く、結晶構造解析が困難な哺乳類のイオンチャネルに代わって結晶化されている[4]・イオンチャネ ルはさまざまな薬のターゲットとなっており、細菌のイオンチャネルの研究は創薬分野からも非常に 期待されている。 2.本研究の目的 本研究では、好アルカリ性細菌Bac/Z/IJspse[/(れう加"sOF4株の電位駆動型Naチャネル欠損に よって生じる走化性異常の分子機構の解明を目的とした。この機構を解明することで、好アルカリ 性細菌のNa鮨サイクルと運動性、走化性の関係の理解が進む(と共に、まだ不明な点の多い微生物 の電位駆動型イオンチャネルの開閉機構も明らかになるのではないかと期待された。 好アルカリ性細菌のNa聖サイクルと運動性、走化性の関係について調べるために、まず好アルカ リ性細菌〃c"/"s」Dselノ吻勿加{ノsOF4株の運動特'│生およびべん毛形成の解析を行った。同時に以 前取得していた軟寒天培地での運動性向上株(811M-M株)と野生株(811M株)との比鮫も行っ た。 次にOF4株の電位駆動型Naチャネル欠損によって生じる走化性の異常がどのような分子・機構 よって起こるのか解明することを目的として研究を行った。
ー ー 3.実験方法と結果 好アルカリ性細菌肋c/〃タ畑/bd"〃"sC…125株(以下C-125株)ではpH依存性のべん毛形成、 フラジェリン発現が報告されている[5]。そこで、OF4株の野生株(811M株)と運動性向上株 (811M--M株)のべん毛の形成およびフラジェリンの発現と培養pHとの関係について調べるため、 様々なpH(Na濃度は230mMで一定)で培養した各株のべん毛染色、およびウエスタンプロットによ るフラジェリンの発現量の比較を行った(図1)。どちうの株においてもべん毛形成とフラジェリン蛋 白質の発現は培養pHによらずほぼ一定であった。培養pH7.5∼10.3において野生株は1本程度、 運動性向上株は2∼3本程度の周べん毛が観察された。また各株の細胞外フラジェリン量を比較し たところ、運動性向上株のフラジェリン量は野生株の約3.9倍であった。OF4株もC-125株も中性 pH環境下では運動性が低く、C-125株ではべん毛の非形成がその原因と考えられているが、OF4 株ではその生育下限pHであるpH7.5でもべん毛が観察され、その他の原因が考えられた。 811M-M(up-motile) 811M(wild-type) 一一一 寺・・も︲.。●再会・言&■ 令r権●へゞ一・一士一・、一謡︾縄 ●ヘ8−奄辛・︾◇.“一亭.α常封. 今。。﹃。ザ・一。ず ぶ︲“撤︾瘤ゞ ↑〃●︸。凸ず・・“4旅。 、心や〆己マず ︾一・ど△ ︲争。、↑、 ザ〃・へ。.・・、勺・砂︲管ゞ ﹃︽律・や。、,ゞ︲ず︲ apq↑げ’守令■|司ら・寺①・・・■“4号。①Fで.’◆、eFd①毎い”|●・﹄旬e、凸gee● ・訳‘季r・觜﹄、。輯?ふ。。■電・論 劃︲ャ・・・.・もで・な﹄謬一再挙。︾ず龍 4 . ︲ △ 口 凸 印 。 ︲ + ︲ ■ 、 r L ・ ざ 垂 巳 一 油畿揮経︾蕊 ﹃d 淵剖 、・・ ・一 ・︸ 唾蜘ニ ロロ .、 ︲似 ︲◆4 ℃. 恥、 ︲小 零ワ.中・︲いず苧︸﹄q心凸︲ィ。ローロ。今.◆・令 騨誌圭↓剥・〆、酎斗﹄︿。﹃無や。↑Ⅳ。&頭一、。︾・︲ ロウもF、令晶。。、.少竺︲缶︸ ‘。。・・・、q・:。.、・・の。渉咋。。 f鋒、旬、恥率坑串。叫舎鍔鋒、・則。︲︲土。 ︲令■。・1句︲6︲︲G1ざ、◇1 唖・黒・駁平︲蝿‘吟.噸賂、・蝋 ■■J●■◇■、寺q4qF■■4b 完 . 彦 骸 綏 城 印 ? 韓 坤 恥 祷 。 ◇ 鞭 、 等 γ 八 t ■ ら . ■ い む 。 ︲ ■ も ” ■ . F q p・ 心 ︲ ’ 叩・・矛簿轤・へ..﹄品・鯵か●︲”︼& ︾97。︽咋叫小千・.・信一宮一︼一一J︽・仏。諏珀 “・ずq︲eい■’|白■申Pf 。よ←・︲為。﹄。U︽。●酔唾ぬぎ。望。f評。︲ .びf﹃・とげ。γ・﹂。・雫‘“・︲ 。﹄︲D︲P︲。■q・◇︸ ■も,■、■①呵ら︾Qqp・・ B■I。二目。■●ひ■︲■ ●昏凸・rq■○毛︸◆。a︸中 “・顎蕪掘噌﹀評耗.。司争目。。﹃︲ h︲■●凸﹃I■卜■■■b二●画可 、,‘、ぺ・︲紅・〆恥少少℃P・・・﹄。 叙 唇亨鎮冨誤記。鐡透 酔謬︾ ■伊二“■邑冒〃〃“ザ二中と甲も雫・︲心・許︲手、●埋祇ず●、.討心萄鎚 ●● @ … 、 屯 一■-- 1 1 、今jJ 〃 , ,『.?2.‐ , 姑 r も P ● P 昏 篭砿:『 : I 、 、e , 4 ーー 一 鼻灘蕊 ヤ ー 『 - ■ ■ ■ ■ ■ ・く『・了,2.ダ。. ,.:..》’tも、z’・弓 ‘『_鷺‘諸ミ息:.:.,f了'轆 (kDa) 50-37− … … … … … 江..:隼9..$・癖幹:‘:f・4,...6.・・・ず‘譜懲 に.‐注』鐙 旧 1 0 . 3 7 . 5 8 7 ‐ 5 8 9州 9 10 10,3 pH 図l.好アルカリ性細菌的cIMノざ例eU伽耐加usOF'i各株のべん毛形成・フラジェリン蛋白質の発 現と培養pHとの関係。上に菌株名、下に培養pHを示した。上段:べん毛染色の顕微鏡写真。バ ーは5"mを示す。下段:抗フラジェリン抗体を用いたウエスタンブロヅテイングの結果。 次にOF4株の様々なpH,Na'濃度、粘性条件下における通勤性の解析を行った。アルカリ複合 培地(pH10,Na濃度230mM)で培養した○F4各株の細胞を集菌し、さまざまな条件の培地に岬懸 濁して暗視野顕微鏡観察により遊泳速度を測定した(図2、図3)。また、軟寒天培地でのコロニー の直径から軟寒天培地での運動性の解析も行った(図4)・ アルカリ複合培地で培養した野生株は、10mMNa今より低いNa+を含むpH8以下の液体培地中で は運動性を示さなかった。しかし、高Na濃度の培地ではpH7でも運動性が観察された。pH8から pHllにおける遊泳速度は、Na濃度230mMまではNa濃度の対数的増加に伴い直線的に増加し た。また、pH7ではNa糖度23()mM以上でも(少なくとも560mMまでは)遊泳速度が増加した"野生 株の最適遊泳速度は、pHl0,Nざ濃度230mMであった。運動性向上株の運動性は、通常の液体 培地中では野生株とそれほど変わらなかったが、PVPなどの増粘性物質を含む液体培地や寒天 濃度0.3%のアルカリ性軟寒天培地上では野生株よりも明らかに高い逓動性を示した。また、テザー │、法により、べん毛をガラスに固定し、野生株と邇動性向上株のべん毛モーターのトルクを観察した
ー ー ところ、差は見られなかった。これらの結果から運動性向上株における運動性の向上の原因はべ ん毛の本数の増加によるものであると考えられた。 鋤鴻沁幅扣50 沁潟加濾、50 ︵兵︾ハノ必喰へ〃冬d004000505050 ■ ■ 四 守 ■ = 、 F ‐ ■ 5 F 一 口 ! pl"16 p}"17 pH8 ︵O①仰、、Eユ︶ 腿摺競潤 ■ _ _ _ _ ▲ − − 1 0 1 0 0 1 帥 0 1 1 0 1 “ 1 0 0 0 1 1 0 1 ” 1 ” 0 0505050 32211 ︵O①い、Eユ︶ 個瞬於潤 、505050 切Jへ皇句よ乳I14 つ色ヘノ︽う聖イー弓I0505050 苧 − − 白 合 や 一 己 pH ー や ・ 一 公 一 や ∼ ∼ 今 ニ ー ー ヂ 争 一 や ■ ∼p や ● " - 一 寺 ▲ ¥ ひ一 ・ . グ , 公 一 や マ マ ー ーp q − pH11 苧¥q少.。〃P4・で一。一抄.◆,、’クヴゲークベ I 1 1 j テ
F1
1 1 0 1 0 0 1 0 0 0 ・ 1 1 0 1 0 0 ・ 1 0 0 0 1 ・ 1 0 1 0 0 1 0 0 0 N a 今 濃 度 ( m M ) N a 、 濃 度 ( r n M ) N a 、 濃 度 ( m M ) 図2.好アルカリ性細菌Mc/肋s価eα仇)〃沈"sOf、4各株の液体培地での運動性とpH、Na{濃度 の関係〕縦軸に遊泳速度("m/sec)、横軸にNa濃度(mM)を示した。pHとNa濃度は培地に添加 するNaCI、Na2CO3、KCl、K2CO3の割合を変えて調製した。灰色丸(鋤)は野生株(811M株)、黒三 角(▲)は運動性向上株(811M-M株)の遊泳速度を示す。 ごO︾八叩﹀︽﹄lr−▲郷”、↑へD︾経唖訓︾一吋.﹀一︵翅﹀ ぺぐ.﹀一▲々画一へ︵︲グー﹃J夕︽●勺○0Q・Gg0I ︵o池避E1︶腿潤員鯛 一 一 一 一 弐 一 … pH7 pl・19 I塗
L一一
0 1 2 3 4 5 0 1 2 3 4 1 う 0 1 2 3 4 3 PvP(%) PVP(" F'VP(%) 図3.好アルカリ性細菌βacノ肋GF""""t)伽""SOI44各株の液体璃地での還動性と培地粘性の関係。 縦軸に遊泳速度(um/sec)、横軸にPVP濃度(%)を示した。培地の粘性はPVP(poIWinylpyrrolidone) の添加により調製した。灰色丸(▲)は野生株(811M株)、黒三角(血)は運動性向上株(811M-M株) の遊泳速度を示す。劇
諦
幽“I ‐ ■ 一 一 ー ー ー ー − 画 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 − 一 ー =洲
>
挙
州
’
81 −I!
0000
●−4321
︵EE︶出泗l川口、 −−− − 一一一−−−−1 0 . 0 1’
Mj49 130 11” p10 1−I0 0 −,。.・っ−◆一・J。−.。←..=。..‘●・や−−比一一一c三一一一3 1 0 1 0 0 1 ( Na÷濃度(mM) 1000 1 1 1 0 1 0 0 1 ( X > 0 Na・'濃度(mM) 図4.好アルカリ性細菌的c/Z/"spse[ノ伽励加"sOF4各株の執寒天培地での運動性とpH、Na濃度V ▼ の関係。縦軸に軟寒天培地上でのコロニーの直径(Inm)、横軸にNa濃度(mM)を示した。灰色丸 (●)は野生株(811M株)、黒三角(▲)は運動性向上│朱(811M-M株)の軟寒天培地上でのコロニー 直径を示す。 ○F4株のべん毛形成と運動特性が明らかになったので、次に電位駆動型Naチャネルと走化’性 の関係を調べた。OF'1株において電位駆動型NaチャネルNavBPが欠損すると走化性の異常が 起こることから、NavBPと走化性に関与するタンパク質のどれかが相互作用している可能性が考え られた。そこで数多くある走化性タンパク質のうち、桿菌細胞の極に局在しクラスター化することが 知られている膜貫通型走化性レセプター(MCP)が[6]、NavBPと相互作用するのではないかという 仮説を立てた。まず、枯草菌(B.@"加〃:3)の抗McpB抗体を用いてOF4株のMCpが検出できるか どうかウエスタンブロッテイングにより確認した(図5)。枯草菌の抗McpB抗体を用いて.好アルカリ性 細菌Mc"ルざpse"(加加7"sOF4株のMCPの−−つを特異的に検出できることがわかった。この○F4 株の推定上のMCPをMcpXとした。
u50
,75
k一 ︷適当篭蕊域﹁1判l︲ もgo浦凹寸画。こくpo亡勺︶ ︾ 〆﹄l↑0ヘノ、ノ、ノー、 OぺcLO−殉 ︵可心○厘勺︶寸の○の一一 ︾ ︿gや夏言︶三二の” ”陸L
のの予め篭﹄ぬ。の麺 ︽ 図5.抗McpB抗体を用いたウエスタンプロッテイングによる好アルカリ性細菌駒c肋A, p@S'e【ノ伽/伽フ"sOF4各株McpXの検出。上に菌株名を示した。矢E│jは枯草菌のMcpBの位置を示 す(用いた抗McI)B抗体は枯草菌のMcpA、McpBを検出する抗体である)。 次に抗NavBP抗体とこの抗McpB抗体を用いて免疫蛍光染色を行い、蛍光顕微鏡観察により NavBPとMcpXの細胞内局在を調べた(図6)。 免疫蛍光染色の結果、野生株(811M株)ではMcI)XだけではなくNavBPも極に局在し、これら は細胞の極で共局在していることがわかった。これらの位置はべん毛の位置とは関係がなかった (図l)。また、NavBP欠損株(SC34株)では、McpXの発現量はほぼ変わらないものの(図5)、その局在性は低下していた(図6)。このようなMcpXの脱局在化は、染色体上にNavBPをコーードする遺伝
子を戻した株(SC34-R株)では元に戻った.これらの結果よりNavBP欠損株の走化性異常はMcpX の脱局在化が寄与している可能性が示唆された。 大腸菌では、MCPとともに複合体を形成している走化性タンパク質CheA、CheWがないとMCP の極への局在性が低下することが知られている[6]。そこで、○F4株のcf7e44W破壊株 (811M-cheAW株)を構築し、N側v剛〕とMcpXの細胞内局在を調べた(図6)。cl7eAW破壊株 (811M-cheAW株)ではMcpXの局在性だけではなく、NavBPの局在性も低下していた。以上の結ー ー 果から、NavBPとMcpXは極へ局在性において相互に依存していることが示唆された。 811M (wildtype) SC34 (』〃的心 SC34−R (△"cM, "GMrestorBd) 811M-cheAW 〈酌a,4〃 disrupted)
DIC NavBP k上pX Overlay
ー 図6.免疫蛍光染色による好アルカリ性細菌仇c/肋sp,ツGMbmm"',OF4各株のNavBPとMcpX の細胞内局在の観察。"Overlay''はNavBPとMcpXの画像の重ね合わせ、バーは5〃mを示す。 次に、生細胞内でのNavBPの細胞内局在を観察するため、NavBP-CFPを発現するブラスミドを 構築し、NavBP欠損株(SC34株)に形質転換し、その局在を確認した(図7)。
(A)
DIC SC34/ pSC-CFP IWvBP-CFP(B)
SC34/ pCFP DIC CFP − − − 言 一 = 図7,好アルカリ性細菌 察。NavBP欠損株(SC34 一 脚c""pseWb/7肋【"OF4株のにおけるNavBP-CFPの細胞内局在の観 株)にNavBP-CFPを発現するプラスミドpSC-CFP(A)またはCFPを発現e ー ー するプラスミドpCFP(B)を形質転換し、蛍光顕微鏡で観察した。バーは5ノ』mを示す NavBP--CFPは細胞の極に局在した。CFPのみを発現させた場合にはこのような局在は観察され なかった。抗CFP抗体を用いたウエスタンブロッテイングにより、NavBP-CFPは膜画分に、CFPは 細胞内画分に発現していることを確認した。またNav3P-CFPを発現するプラスミドはNavBP欠損 株(SC34株)における運動性、走化性異常を相補するが、CFPのみを発現するプラスミドは相補し ないことを確認した(データは示していない).これらの結果からNavBP-CFPは機能的であり、 NavBPが極に局在することが強く示唆された。 4.結論 好アルカリ性細菌Bac"/t/spse"db励加"sOF4株の中性環境での運動性が低下する理由は、べ ん毛の発現が抑制されるからではなく、中性環境下ではNa+駆動型のべん毛モーーターがH』により 競合阻害を受けているという可能性や、中性環境下における電気化学的ポテンシャルの低さが影 響している可能性が考えられた。一般に、pH7付近まで生育が可能な好アルカリ性細菌は、生育 においてアルカリ性よりも中性環境下でより多くのNaを要求する性質があり[1]、べん毛モーターに おいても同様なのではないかと示唆された。運動性向上株の高粘性液体培地やアルカリ性軟寒 天培地上での運動性の向上には、べん毛の本数の増加により複数のべん毛が束になった構造を 形成したことが起因していると考えられた。 また、NavBPとMcpXが細胞の極で共局在していること、NavBP欠損株の走化性異常はMcpX の脱局在化が寄与している可能性が示唆された。桿菌においてMCPは細胞の極に局在化するこ とが知られているが、膜電位駆動型チャネルが極に局在しているという報告例はこれまでになく、 新規性の高い発見である。これらは共局在していることから相互作用している可能性があり、好ア ルカリ性細菌だけでなくイオンチャネルの研究においても興味深い結果であると考えられた. 5.引用文献 [1]KrulwichTA,ltoM)CuhntiAA.(2()01)ThoN"--dependenceofaikaliphilyi睡駒α〃3."bc"伽 βノbノブ句,否/4c".1505:158-68. [2]PadanE,BibiE,ItoM,KrulwichTA.(2005)Aikali,1epHhomeostasisinbacteria:newinsights. βノbcM77Bノbp跡え外4ct‘3.1717:67-88. [3]ltoM,HicksDB,HenkinTM,GulYMUAA,PowersBD,ZviL,UelnatsuK,KrulwichTA.(2004) MotPSisthestator--fbrcegeneratorfbrinotilityofalkaliphilicBaC/〃s,anditshomoIoglleisa secondlilnctionalMotinBac肋ノss肋"〃汐、ルん/MIご℃6/bl53:1035-49. [41KungC,BIountP.(2004)Channelsinmicrobes:somllnyholestoml.M)/ルル"oZ)ノb1 53:373-80. [5]A()noR,OginoH,HorikoshiK.(1992)pH--dependentHagellf[ibrmationbyfacllltative alkaliphilicBac/助Ssp.C-125."/bscノ‘βノ〆ech/7o/〃フc"E)/".56:48-53. [6]MaddockjR,ShapiroL.(1993)Polal-iocationofthechcmOrecept()rcompiexintheEFche"肋/を] co"cell.此ノ師ce.259:1717-23.