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天疱瘡モデルマウスの免疫学的解析

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Academic year: 2021

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Title 天疱瘡モデルマウスの免疫学的解析( 内容の要旨 ) Author(s) 大田, 三代 Report No.(Doctoral Degree) 博士(獣医学) 甲第163号 Issue Date 2004-09-17 Type 博士論文 Version URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/2217 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本籍) 学 位 の 種 痍 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査・委 員 大 田 三 代(東京都) 博士(獣医) 獣医博甲第163号 平成16年9月17日 学位規則第4条第1項該当 連合獣医学研究科 獣医学専攻 東京農工大学 天痘瘡モデルマウスの免疫学的解析 主査 東京農工大学 教 授 副査 帯広畜産大学 教 授 副査 岩手大学 教 授 副査 東京農工大学 教 授 副査 岐阜大学 教 授 郎蔵準久昭 利幸 義利 崎暗 田根木 岩藤安山柵 論 文 の 内 容 の 旨 尋常性天癌瘡(以下PV)は、ヒトおよび動物で認められる自己免疫性水癌性 皮膚粘膜疾患であり、表皮ケラチノサイト間の接着蛋白である Desmoglein 3(Dsg3)に対する自己抗体が特徴である。PVの臨床症状は、表皮および粘膜上皮

の弛緩性水痘とびらんであり、びらんが全身に波及することによる体液喪失、

感染防御能の低下などを招き、患者あるいは羅患動物の生命にもかかわる重篤 な疾患である。通常、治療は副腎皮質ホルモンを中心とする免疫抑制剤により 行われるが、免疫系全体が抑制されるため、より特異的な治療法の開発が望ま れている。 、 近年、免疫したDsg3-/-の牌細胞を用いたPVモデルマウスの作製法が報告さ れた。過去の方法では、Dsg3を正常に発現するレシピエントマウスにおいて、 免疫したDsg3-/一勝細胞は抗Dsg3抗体産生およびPVの症状を誘導した。しかし、 アジュバントを用いて免疫すると全身の免疫系を活性化する可能性が高く、ナ イーブなDsg3イ一勝細胞でレシピエントマウスにPVを誘導できるかを検討する ことは、PV■の免疫学的特徴を理解し、特異的な治療法を評価する上でも有用で あると考えられた。 抗CD154抗体は、抗原刺激を受けたT細胞に一過性に発現するCD154に結合 してその機能を阻害する抗体である。CD40/CD154相互作用が阻害されると、T

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細胞が不活化し、B細胞の増殖分化が阻害されると考えられ、これらの性質から、 抗CD154抗体を用いた治療は多くの自己免疫疾患において、従来の免疫抑制剤 にかわる新しい治療法として注目されている。そこで本研究では、PVモデルマ ウスを作製し、PVの病態における自己抗体の産生機序を明らかにし、同時に新 しい治療法としての抗CD154抗体の可能性を検討した。 賃一章では、ナイーブなDsg3+マウスから分離した牌細胞を、Dsg3を正常 に発現するレシピエントマウスに移植することで、抗Dsg3抗体産生の誘導、PV の特徴的な症状が発現するかを検討した。ナイーブな牌細胞をDsg3-/-マウスか ら分離し、レシピエントマウス1匹あたり5×107個を移植した。移植後28日で 20匹中16匹の血中抗体価が上昇し、移植21日で15匹にPVの症状を認めた。 症状を示したマウスの口蓋では粘膜上皮細胞間にIgGの沈着を認め、病理組廠 学的に基底層直上での辣融解が確認された。次にDsg3r」マウスから特定のリン パ球亜集団を分離して移植したところ、・CD4陽性丁細胞とB220陽性B細胞を移

植したレシピエントマウスで明らかな抗Dsg3抗鹿が産生された。以上より、ナ

イーブなDsg3-/-マウス牌細胞を移植するだけで抗Dsg3抗体産生が誘導され、 pvの症状が発現することが示された。また、抗体産生にはCD4陽性丁細胞およ びB220陽性B細胞の存在が重要であることが示唆された。 第二章では、抗CD154抗体を用い、PV発症時のT-B細胞間におけるCD40/CD154 相互作用の重要性について検討した。Dsg3一/-マウス牌細胞を移植する-2、0、2、 4、7日に0.5mgの抗CD154抗体をレシピエントマウスに投与した。対照群では 移植14日後に明らかな抗体産生を認めたのに対し、抗CDlも4抗体投与群では明 らかな抗Dsg3抗体産生は認められず、ELISPOT法でも牌臓およびリンパ節で抗 Dsg3抗体産生B細胞をほとんど認めなかった○臨床的にもPVに特徴的な体重減 少および脱毛などの症状は静めなかった。抗体産生抑制効果は移植後70日まで 持続し、組換えマウスDsg3による免疫を行っても明らかな抗Dsg3抗体産生は なかった。以上の結果から、PV発症におけるCD40/CD154経路の重要性が示唆さ れ、抗CD154抗体のPV笹対する治療効果の可能性が示唆された0 第三章では、抗CD154抗体のPVに対する治療効果を検討した。安定した抗Dsg3 抗体産生および症状を示すPVモデルマウスに対して1mg/匹の抗CD154抗体を 週2回計12回投与した。ナイーブな牌細胞を移植したモデルマウスでは、投与 開始後から抗体価が低下し、一部のマウスで症状の改善を認めたが、対照群と の間に差はなかった。以上より、PVモデルマウスにおいて、抗CD154抗体の投 与が著明な抗体産生抑制効果を示さなかったことから、CD40/CD154相互作用が 発症後の抗体産生の維持には主要な経路ではないことが示唆された。 本研究では、PVモデルマウスの解析から、PVの抗体産生にはDsg3反応性の CD4陽性丁細胞およびB220陽性B細胞の存在が重要であることが示され、T-B 細胞間のCD40/CD154相互作用阻害による抗体産生抑制効果が期待された。さら に抗CD154抗体の予防投与の結果から、CD40/CI)154相互作用がPVの発症に必要

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-174-であることが示され、抗CD154抗体療法の可能性が示唆された。しかし、抗CD154 抗体は発症抑制には劇的な効果を示したのに対し、安定した抗体産生を示すマ ウスでは明らかな効果を示さなかった。したがって抗CD154抗体の病初期ある いは再発予防における治療効果の可能性が示唆された。 審 査 結 果 の 要 旨 本研究では貞己抗原ノックアウトマウスを用いた新しい方法でヒトや犬の天癌瘡のモデ ルマウスを作製し、その病態発生のメカニズムを研究するとともに、抗CD154抗体投与に よりCD40/CD154相互作用を阻害することが、天痘瘡発症に対する予防ならびに治療効果 を有するかどうかについて検討した。 まず、リコンビナントマウス馳sm)如h3(馳が)蛋白で免疫していないDsg3一んマウスのナ イーブな脾細胞が、レシピエントマウス内において内在性のD喝3により刺激され、抗Dsg3 1gG抗体を産生し、尋常性天癌瘡(PV)の表現型を誘導するか検討した。その結果、免疫 していないDsg3-ん脾細胞を移植したマウスにおいても、免疫した脾細胞を移植したマウス 同様に抗Dsg3抗体産生が認められ、体重減少、脱毛およびびらん形成などのPVモデルマ ウスに特徴的な表現型の発現を確認した。しかし、PVスコア値を用いた重症度で評価する と、両群のマウス間に差は認めなかったが、ナイーヴ肺細胞を移植したモデルマウスでは、 明らかな表現型を認めた時点での抗体価が低かった。さらに、除去あるいは分離したCD4 陽性丁細胞、CD8陽性TおよびB220陽性B細胞群を用いて、どゐ細胞群が天痘瘡の抗体 産生機序に必要か検討した。この結果、天癌瘡の病態を惹起するには、CD4陽性丁細胞お よびB220陽性B細胞の両方が必要であることが証明された。このことは、抗虜特異的なT 細胞とB細胞の相互作用を阻害することによって、抗体産生を抑制するような治療法の可 能性を示唆していると思われた。 次に牌細胞を移植する前のレシピエントマウスに抗CD154抗体を投与することでおこる CD40/CD154相互作用阻害が、天癌瘡の発症を予防するかどうかについて検討した。天痘瘡 における自己抗体産生および水痘形成機序において、抗原特異的なCD4陽性丁細胞および B細胞の相互作用は不可欠である。また、抗CD154抗体は、刺激を受けたCD4陽性丁細胞 に一過性に発現するCD154に結合して、その機能を阻害する抗体である。今回の結果から、 免疫したDsg3+マウス牌細胞を移植する以前から抗CD154抗体を投与したマウスでは、抗 Dsg3抗体産生は明らかに抑制され、表現型も認めなかった。抗CD154抗体により、B細胞 を含む抗原提示細胞とT細胞の間の相互作用を阻害することで、B細胞による抗体産生が 抑制されることが示された.。また、抗体の投与が終了した後も長期にわたって抗体産生が 抑制され、組み換え蛋白による刺激を行っても明らかな抗体産生を認めなかったことから、 抗CD154抗体により抗原特異的なT細胞に抗原に対する免疫寛容が誘導された可能性が示 唆された。 次に牌細胞を移植後、明らかな抗体産生を認めたPVモデルマウスを用いてCD40/CD154 相互作用阻害の治療効果について検討した。抗CD154抗体を週2回計12回投与したが、抗 体産生は対照群との間に有意差がなかった。PVマウスの症状は、抗体投与後に改善を認め た個体も認められたが、PVスコア間に有意差はなかった。治療的投与の結果から、抗体価 が高く、病勢の活発な時期の患者に対する抗CD154抗体の治療効果はほとんど期待できな いことが示された。

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今回の結果から、作製されたPVモデルマウスの解析により、PVの発症にはある頻度以 上のDsg3反応性CD4陽性細胞およぴB細胞の存在が不可欠であることが示された。さら にPVモデルマウスに対する抗CD154抗体の発症前投与および治療投与の結果から、PV の発症にはCD40/CD154.相互作用が不可欠であるが、発症してからの抗体産生の維持には CD40/CD154相互作用が必ずしも必要ではないことが示され、抗CD154抗体の病初期ある いは再発予防における新しい治療法としての■可能性が示唆された。PVは、多くの自己免 疫疾患の中で自己抗体産生と病態の発生が・よく理解されている疾患である。PVモデルマウ スはこの疾患の特徴である自己抗体の産生および自己抗体による症状の発現をよく反映し ており、この疾患の病態解明および種々の治療法の評価系として非常に有用であると考え られた。 以上について、審査員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論文と して十分価値があると認めた。 基礎となる学術論文 1)題 目:AmousemodelofpemphigusYulgarisbyadoptivetransfbrofnarve Splenocytes舟omdesmog]ein3kn00koutmice・ 著 者 名:Aoki-0吼M.,恥unoda,K.,Ota,Tl,lwasaki,Tl,Koyasu,S・,Amagai,M・ andNishikawa,T 学術雑誌名:BritishJoumalofDematology 巻・号・頁・発行年:151(2):2004 既発表学術論文 l)題 目:動物の天痘瘡と水癌性類天痘瘡 著 者 名:岩崎利郎、青木三代、西藤公司、関口麻衣子、朴性俊 学術雑誌名:日本皮膚科学会雑誌 巻・号・頁・発行年:lll(12):1765-1768,2001 2)題

目:Distribution示dexpressionofdesmosomalproteins,desmoglein-land-3,

innormalcanineskinandmucousmembrane: 著 者 名:Aoki,M.,Nishi軸i,K.,Amagai,M.,Nishikawa,Tl,Paik,S・.,Iwasaki,Tl 学術雑誌名:AdvancesinVbterinaryDermato]ogy; 巻・号・貢・発行年:4(l):30-36,2002: 3)題 目:1nductionofpemPhigusphenotypebyamousemonoclonalantibody againsttheamin扇erminaladhesiveinteぬc?Ofdesmoglein3 著 者 名:恥unda,K.,0吼T,Aoki,M.,「ねm如吐T,N喝ai,T,N故喝aWa,T, Koyasu,S.,Nishikawa,TandAmagai,M 学術雑誌名:JoumalofImmunology 巻・号・頁・発行年:174(4):2170-217$,2003 A)題 目:Suppressionoftheimmuneresponseagainstexogenousdesmoglein3 indesmogIein3knockoutmice:animplicationforgenetherapy 著 者 名:Ohyama,M.,Ota,T,Adki,M.,恥unoda,K.,Harada,R,Koyasu,S., Nishikawa,TandAmagai,M. 学術雑誌名:JoumaloflnvestigativeDermatology 巻・号・貢・発行年:12叫4):610-615,2003

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