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対外準備の需要に関する計測--J.A.フレンケルのケース---香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

対外準備の需要に関する計測

−J.A.フレンケルのケー・スー 宮 田 亘 朗 Ⅰ

かつて,われわれは,P,BケネソおよびB。ユ、−ディソ,H.Rいへラー,PB

クラ・−ク,さらにT..丁いク、−ルシェソおよびG・M“こユ・−セフ等の考察を行い,固

定為替相場の下での対外準備保有の計測を試みた。1)ところで,国際通貨体制

は,エ9乃年以降固定相場制から大きく変化し変動相場制へと移行した。そこで,

J9乃年から現在までの対外準備需要の動向を網羅し再度その需要を推定しな

おす必要が生じる。本稿の目的ほ,それを行う前段階として.J・Aフレソケルを

とり上げ彼の対外準備の計測を考察することにある。フレソケルの計測は,固

定相場時代のものと変動相場制移行後のデータを含めたものとの両方が存在す

る。この両者の考えは,基本的には同じである。以下,それらを順に考察する。

フレソケルの対外準備の需要は,対外受取と支払の可変性と対外取引の大き

さおよび平均輸入性向に依存するものとされる。彼の最初の論文では,2)このう

ち対外受取と支払の可変性をへラーのアプローチにしたがって年当たり平均対 1)拙稿「TJCourcheneおよびG MYoussefの対外準備需要の計測に関する考察」香 川大学経済論遊 第48巻第3・4号 昭和50年10月,および「対外準備保有の輸入に対 する比率の検討」 香川大学経済論殺 第50巻第1号 昭和52年4月,Fujita,Mand NMiyata,TheDemandforInternationalCurrenci(andReseves,KobeEtonomic& Business Reu,24ththeAnnualReport,1978

2)Frenkel,JA,Opennessand the Demand forInternationalReserveS,National Mone由rγ1bliciesandiheLnlemalionalnnancidl$ptem,ed”byRZAliber,1974pp 289−298

(2)

香川大学経済学部 研究年報 23 ノ夕♂J −7()− 外準備必要額ゐによって測り,3)また対外取引の大きさを輸入額〟によって 測る。そこで,対外準備の需要点ほ, 斤=A椚α1ゐα2〟α3 (1) と規定される。ただし,桝は平均輸入性向であり,飢,α2,のほそれぞれの弾 力性である。彼の需要函数を導出するための理論的背景は,次のようなもので ある。価格と為替相場が固定されレ/く、−カッショこ/のない小国経済において, ケインジャンの最も単純なモデルでは,支出函数を丘(y)輸入函数を〟(.訂)と

し,訂,ズを産出高と所与の輸出額とするとき,貿易収支rの均衡r≡芳

一〟(針)=∂よりして,輸出下落d方は所得を励/躍=J/(5+研)だけ減じ, 貿易収支を

(Jr

ざ (上Y 5+椚 (2) だけ赤字にすることになる(ただし,5,雛はそれぞれ貯蓄と輸入の限界性向で ある)。そこで,当該国の総支出を−・定とし限界貯蓄性向を不変にとどめるよう な支出のスウィッチ効果のみが働く場合を考えると,輸入性向の上昇は,貿易 収支の赤字をs/(椚+5)だけ減じる(♂5/♂椚=の。すなわち,このようなモデ ルにおける輸入性向(経済開放の程度)と貿易収支の間にほ,負の関係がある ことになる。ところが,単純なケインジャンりモデルから離れて,価格調整を 考慮するモデルを考えるなら,この輸入性向と貿易収支の関係は,異なってく る。いま,相対価格変化の役割を重視するため完全雇用を仮定し,貨幣のみが 市場性ある資産である場合を考える。貯蓄がゼロとなり貨幣フローの需要がな くなる長期均衡では,所得ほ支出に等しく,すなわち, y=れズJ+♪2方2=れ.ズノ+♪2ズ2 (3) となる。ただし,ズノ,方2ほこ財の生産を,ヱ∫,ズ2ほ二財の消費を表しており, 第1財は当該国の輸出財であると仮定されている。4)(3)式の前半の等式y= 3)Heller,HR,OptimalInternationalReserVeS,EJVo166June1966 拙稿「国際 通貨の需要に関する研究」 神戸大学経済経営研究葉書 金融研究シリ・−・ズ 第4冊 137−160真。 4)フレンケルの上掲論文(1974)では,完全特化を仮定しているが,ここでは彼の1978年 の論文にしたがっており,その仮定を除いている。Frenkel,JhA一,InternationalRe− SerVeS:PeggedExchangeRatesandManagedFloat,ASupplementarySeriestothe ル〟γ乃αJ〆肋乃gおり且:抑制励(S,Vo19,1978

(3)

−アブ− 対外準備の需要に関する計測 れズノ+♪2ズ2の変化率をとり完全雇用の仮定より導出される♪Jd方ヱ+如よY2 =♂を代入し整理して,仇≡少上方J/y,β2…カ2ズ2/yとすれば, テ=♂ノダノ+β2ダ2,ただし仇+β2=J (4) となる。また,(3)式の後半の等式y=か須+♪2。ズ2から,y=P訂,βJ=れヱ∫/ y,β2=♪2エ2/yと置くと, β=βノダ∫+β2ダ2,ただしβJ+β2=J (5) と.なる。これらの(4)(5)式を用いて,(3)式から得る訂=(♪Jズノ+少2ズ2)/やの変化 率をとって代入すれば,(3)式を ダ=(β2−♂2)(タノーβ2) (6) と書き換えることができる。この(6)式において,第2財は当該国の輸入財と仮 定されているから,β2>β2となる。β2−β2は,当該国の平均輸入性向を表し ている。他方で,この場合の貨幣市場ほ,その需要を価格水準Pと実質所得訂 の函数クエ(γ)とし,その供給を対外準備のストック斤に比例(比例係数をヱと する)するものとすれば, β=Pいy) (7) において,均衡に到達するとみることができる。(7)式の微分をとり変化率に改 めると, 斤=β+符.ダ,ただし符=(鉱/∂訂)訂/エ (8) となる。ただし,ワは実質貨幣残高需要の所得弾力性である。(5)式を用い(8)式を 変形して(6)式に代入すると, 点=βノダJ+β2ダ2+り(β2−β2)(ダノータ2) (9) の関係を得る。この右辺の初めの二つの項は価格水準の変化が対外準備保有に 与える効果を示し,最後の項は相対価格変化に伴う実質所得変化が対外準備保 有に与える効果を示している。したがって,(9)式は,価格調整を考慮に入れた モデルにおいて,対外準備の変化を表した式であるといえることになる。この (9)式で,価格水準Pを不変に保つならば,右辺の初めの二つの項を消去し, 斤=符(β2−β2)(ダ∫一夕2) (10) を得る。したがって,この場合,対外準備保有は,平均輸入性向(β2−β2)に比 例して増加するのである。また,(9)式で,小国経済を仮定すれば,ダ2=♂とし,

(4)

香川大学経済学部 研究年報 23 /f7JJ ーーご・一

舟タ∫=(ノーβJ)+ヮ仏+β2)を得る。5)そこで,この場合,平均輸入性向の増加

が対外準備保有に与える効果ほ,

∂(舟ダ∫)/∂(β2−β2)】β2=。。乃8f=符

(11)

∂(舟ダノ)/∂(β2−∂2)lβ2=。。乃∂亡=ワープ

(1幻

となる。すなわち,消費条件所与(β2=Cノ0乃5′.)の下でほ勿論のこと,生産条件

所与(β2=CO紹5′.)の下でも少なくとも実質貨幣残高需要の所得弾力性がJよ

り大である限り(通常の実証分析で妥当一),(11)(1幻或は正借を示す。かくして,通

常のケースで価格調整を考慮に㌧入れたモデルでは,単純なケインジャンのモデ

ルとほ異なり,輸入性向(経済開放の程度openness)と貿易収支(対外準備の

変化)との間に正の関係を得るのである(なお,単純なケインジャンのモデル

では,経済開放の程度は,理論上は限界輸入性向で把えている。しかし,それ

を実証分析に用いる場合には,データの入手不能のため,平均輸入性向によっ

て代替される。したがって,この点で,(9)式と同じことになる)。

かくして,フレソケルは,このような理論的考察よりして,上掲(1)式に平均

輸入性向椚を導入する正当性を主張すると共に.,その係数仇の正値を期待す

る。(1)式に〝とゐを導入することは,既にへラ、−で分析されている。そして,

それらの係数の正であることも,特に説明を要しない。そこで,フレソケルは,

(1)式の対数をとり,

logノ?=α。+αJlog∽+α2logゐ+α,log〟+ぴ

(柑

として回帰係数動を最小自乗法によって計算する。使用したデータは,J963年

−J.96’7年(∫カ年)の∬カ国(カナダとアメリカを除く)6)に・関している。そ

れらほ,すべてU5ドルで表示される。そして,対外準備は,金と〟ばFのレザ・−

ブ・ポジショソおよび外国為替の和からなる。さて,最小自乗法によって導出

された結果は,第1表に掲げた通りである。J値は各係数の下方に括弧で示され

てあり,標準偏差ほ5“e.欄に,自由度修正済みの決定係数ほ斤2欄に,また仮

設飢=α2=αヲ=βを棄却するに必要なF値7)はF欄にそれぞれ記されて

5)ここでは,固定為替相場を仮定している。 6)カナダは変動相場制であったこと,他力アメリカは主たる対外準備の供給国であり対外 準備需要の計測に加え得ないこと,等の理由による。 7)Johnston,J,EconometricMethods,2nd,ed1972竹内他共訳「計量経済学の方法」 上巻164−5ページ。

(5)

対外準備の需要に関する計測

第 1 表

一一∴?一

YeaI Constant log雛 logん log〟

F S.e 点2

1963 4023 5669 5034 6564 F(3,51) 492 〃=55 (62) (360) (356) (465) 17630 1964

−1646 由74 3408

548 〃=55 (一22) (260) (256) (492) 13717 1965 4492 4248 4632 520 〃=55 (62) (242) (286) (415) 14208 1966 7220 5188 5397 5752 F(3,51) 584 868 〃=55 (93) (268) (315) (356) 11206 1967 1087 6463 7326 4496 F(3,51) 568 〃=55 (158) (350) (462) (311) 12529 1963−67 5684 5283 5290 532 〃=275 (184) (684) (770) (924) 70896 ′個は各係数の下の括弧内に示されている。使用データは ノ且Sの1971年6月の磁 気テ・−■7tより得た。

いる。この第1表によれば,ぁと〟の回帰係数ほ,すべて正の符号を持ち,か

っその才値ほすべて有意を示している。さらに,平均輸入性向刑の回帰係数に

っいても,すべて正の値でかつ有意である。この平均輸入性向の係数がすべて

正を示したことは,単純なケインジャン・モデルが期待するものと異なり,実

質貨幣残高の所得弾力性がJより大である既述のケースが妥当することを表

している。フレソケルほ,期間J9お∼J967年について,各年毎にそれぞれの

回帰係数を導出すると共に,全期間についてデータをプールした場合の回帰係

数をも導出した。それは,第1表の最後の行に記載されている。このように全

期間のデータをプールして回帰係数を求めるためには,各年毎の回帰係数が全

期間に亘って安定的であることを確かめる必要がある。フレソケルは,これを

チャウ・テスト(具体的にはグジャラティによるダミー変数を用いる方法)8)で

行った。その結果は,彼によると労%水準で,各年毎の回帰係数が異ならない

との仮説を棄却しえないようなものであった。

次に,フレンケルほ,対外準備の需要を動かす要因のうち対外受取と支払の

8)Gujarati,D,Use ofDummy VariablesinTesting for Equality between Setsof CoefficientsinLinearRegressions,771eAmeYicanShltistitidn,Vol24,nOl&5,Feb andDec19L70 なおチャウ・テストは,上掲ジョンストソの訳書228−9べ−・ジ。

(6)

香川大学経済学部 研究年報 23

第 2 表

一詔− ノダ♂J

Year Constant log〝乙 log♂ log凡才 f Se 点2

1963 02411 05756 05220 06471 ア(3,51) 0490 0小913 〃=55 (040) (367) (368) (464) 17889 1964 −03018 04646 03424 07965 F(3,51) 0547 0890 〃=55 (−044) (263) (212) (511) 13765 1965 02461 04317 0一4706 06413 F(3,51) 0516 〃=55 (0小38) (252) (304) (448) 14508 1966 0581 〃=55 (062) (266) (324) (393) 11326 1967 07077 06255 07064 04795 F(3,51) 0567 0881 〃=55 (113) (344) (464) (348、) 12565 係数の下の括弧内の数個ほJ借を表す。 可変性を,へラ・−のゐを用いず,標準偏差を使用する場合について考える。9)す なわち,対外受取と支払は,当該国の対外準備ストックのトレンドを調整した 年々の撹乱に依存する。そしてそれほ,トレンド調整済みの年間観測値のそれ 以前ヱ∫カ年の標準偏差∂によって測る。したがって,0・は,ケネソおよびユ・・− ディソの求めた対外準備年間変化額に関わる標準偏差10)と多少異なるが,基本 的に類似のものである。そこで,(1)式のゐを∂・で代替し(1劫式を, 10g斤=の+勘log椚+α2log∂+αβ10g〟十α (l劫′ のように書く。この(1劫′式を用い,衆1表と同じ期間と∬ヵ国のデ・一夕につき, 最小自乗法で回帰係数を求める。フレソケルの結果は,第2表の通りである。 この場合も,以前と同様に,∂・と〝の係数は期待された正の償を持ち戌タ%水準 で有意であり,他方研の係数も正かつ有意である。 引続いて,7レンケルは,この同じ(i溜′式を用いて,デpクを先進国(develop・ ed countries)と後進国(1ess−developed countr’ies)に分け,その各々のグル、− ブの対外準備需要の違いを検討する。先進国(βC)と後進国(エβC)の分類は, 9)観測値からうるぴの値は,スワップ協定や他の政府の政策によって実際の対外準備の撹 乱を正確に表していないことがありうる。Frenkel,JA,TheDemandfor・International

Reserves by Developed and Less−Developed Countries,&onomica,Vo142,nO161, Feb 1974

10)Kenen,P B andE.RYudin,TheDemandforInternationalReserveS,R E Vo147,Aug1965

(7)

一行−

対外準備の需要に関する計測 第 3 表

YeaIGrOuP Constant log7花 log(7 log〟 F βe. 虎2

Developed 1539 03557 07841 02811 F(3,18) 0∴476 0887 Countries (130) (127) (298) (106) 4730 1963〃=22 LDC’s −01051 06592 04326 0小7739 F(3,29) 0489 0853 Ⅳ=33 (−012) (348) (247) (372) 55寧8 Developed 1850 04283 07968 02533 F(3,18) 0.498 0872 Countries (143) (151) (271) (088) 4084 1964〃=22 LDC’s −07946 05237 02100 09590 F(3,29) 0560 0792 〃=33 (一080) (232) (106) (415) 3675 Developed 1457 04810 08002 03057 F(3,18) 0565 0849 Countries (093) (145) (222) (087) 3383 1965∧「=22 LDC’s …0099 04475 03823 07502 F(3,29) 0小503 0815 〃ニ33 (−011) (213) (218) (387) 4255 Developed 1365 ・06253 07898 03514 F(3,18) 0581 0845 Countries (087) (185) (223) (101) 3270 1966∧7=22 LDC’s 03010 04411 04577 06346 F(3,29) 0613 0734 〃=33 (030) (177) (234) (286) 2665 Developed 09595 06160 09192 03181 F(3,18) 0568 0861 Countries (070) (203) (248) (0,95) 3726 1967∧r=22 LDC’s 05852 06818 06691 05382 F(3,29) 0597 0772 Ⅳ=33 (063) (2−67) (373) (267) 3272 係数の下の括弧内の数値はf借を表す。

〟4Fのものをそのまま使用する。その結果は,第3表の通りである。はとんど

の場合,係数は正で95%水準で有意を示す。そして,対外取引の大きさを表す

〝の係数はエβCが常に高い有意性を示し,しかも先進国の値より大きい値を

持ち,これに対し可愛性を表すβの係数は逆に先進国がエβCより大きい値を

持っていることがわかる。

第2表と第3表の各々につき各年毎の回帰係数が安定的であることは,第1

表の場合と同じようにして確かめることができる。その結果,フレンケルは

9∫%水準で各年の係数が異ならないとする仮説を棄却しえないことを導く。そ

こで,先進国とエβCにつき,それぞれ全期間のデータをプールし再び最小自乗

法で回帰係数を求める。フレソケルの得た結果は,第4表に掲げた通りである。

(8)

香川大学経済学部 研究年報 23

第 4 表

J夕βJ

ー76−

Year Group Constant log〝l logグ log〟

F Se小 点2 1963/ Total 03290 05265 015276 06158 F(3,271) 0小530 67 Sample (118) (691) (792) (982) 71730 ∧r=275 0504 67 Countries Ⅳ=110 1963/LDC’s 0537 67 Ⅳ=165 (015) (571) (572) (785) 19872 係数の下の括弧内の数値はJ値を表す。 それによれば,すべての係数は正でかつ有意となる。さらに,第3表と同じよ うに,〟に関する係数ほエβCについて大であり,これに対し0・に関する係数 は先進国について大であることを得る。この回帰係数に関する不均等の確認ほ, ジョンストソの手法にしたがい11)共分散分析表を作りダ分布表を用いて,切 片や勾配が異なるか否かの検証を通じなされる。その結果フレンケルは,平均 輸入性向椚の係数について両グル、−プで異なると言えないけれども,標準偏差 dと輸入額〝の係数について明らかに異なるとの結論を得るのである。 以上の結果から,フレンケルほ,びおよび〟の係数について次のように言う。 先ず,〝の係数αヲについて,これは(13)′式にみるように対外準備の輸入額に対 する弾力性(粛々)/(粛〟〟)を表しており,したがって両グル、−プでこれに差 異があるということすなわちα,がエβCで大であり先進国で小であること は,輸入額〝が対外取引の大きさ(規模)を示す指標であることよりして先進 国がエβCよりも対外準備保有に閲し規模の節約を示すと共に,他方で現状で ⊥βCが経済開発を行い対外取引の増加を見込む場合には先進国に較べてより 多くの対外準備保有の伸びを必要とし対外取引に関する流動性不足の困難に直 面する可能性の大であることを示唆している。そして,このような輸入額と対 外準備との問の関係は,すでに最適対外準備保有論争の当初より例えばトリ フィソの最適水準4∂%の主張やマハループの如何なる最適水準もあり得ない 11)Johnston,J,OpCit.ch6。3,訳書228べ・−ジ。

(9)

対外準備の需要に関する計測 −77− とする主張12)をめく)って論じられてきているけれども,いずれも世界各国をす べて同質とみて先進国とエβCの二つのグループ間に規模の節約のあることを 看過するという欠陥を有していると。そして次に彼は,標準偏差8の係数α2に 目を転じて次のように言う。これほ,対外受取と支払の可優性に対する当該国 の反応度合を表している。それが先進国で大でエβCで小であることは,両グ ループのうち前葛が対外受取と支払の変化により敏感に反応することを示し, ゆえに両グル、−プのα2の値に類似した値を使用する場合の対外準備保有の計 測は,例えばへラ1−の最適準備額尺別=須10g(桝り/log∂.封にみるように1 ドルの準備保有の限界コストγ・を両グループでともに∫%とし(椚を除きぁ の係数は等しくなる)先進国のγ・がより高いことを無視する結果,先進国の最 適準備ストック凡刺を過大評価する誤りを犯すことになると。以上,〟の係数 αタとβの係数α2のいずれであるにせよ,両グループでその値が異なること ほ,ともに諸国間の反応行動に差異のあることを表している。そしてアレンケ ルによればその差異はそれら諸国の金融機構の差(すなわち,国内資産を貨幣 化することで対外不均衡に対処しうる能力の差)や国際金融市場への接近の程 度の差(スワップ協定や他の借入を行いうる能力の差)また各国政府の人為的 干渉(貿易制限為替統制)に訴えることに対する嫌悪感の差等より生じるもの であると言う。 ⅠⅠ 以上の第Ⅰ節は,フレンケルの対外準備需要の計測を固定相場時代に限定し て考察したものである。われわれは,かつて固定相場制の下での対外準備需要 の計測を試みた。13)その概要は,以下に示す如くである(ただし,多少の修正を 行っている)。対外準備の保有動機は,ケインズの国内通貨の保有動機分類にし たがえば,取引的動機,予備的動磯,投機的動機に三分することができる。こ のうち取引的動機は,対外支払と受取の不一・致の橋渡しをするために生じるも

12)Tr’iffin,R,Gold andiheDolh17Cri:sis,1950.ch“14;Machlup,J,TheNeed for

MonetaryReserVeS,B2nCa入bzionaledelLavo7VQwタieYb7Reuieu},No78,Sep.1966

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JクβJ 香川大学経済学部 研究年報 23 一指− のであり,国際取引の大きさおよび受取時点と支払時点との間の時差に依存す る。また,予備的動磯は,不作や天変地異などから生じる緊急輸入にみられる ような予期しない対外出費に備えるためのものであり,他方投機的動機は長期 資本の国際的移動が係わるものである(為替裁定や投枚並びに短期資本移動ほ, さしあたり除外)。そこで,以下,これらの動磯にもとづく対外準備需要をより 詳しく考察する。 先ず,取引的動磯による対外準備需要は,次のようにして導出することがで きる。市場で成立する取引の契約はその契約時点の翌日から実行に移されるも のとし,その履行期間の各時点に生起する受取と支払のパタ・−ソは予め市場の 契約において予測されているものとする。そして,その各時点の受取と支払は, 統計的に独立に生起すると考えられる部分と,それ以前の支ぬと受取に影響さ れて生じると期待される部分とからなり,そのうち特に後者の部分ほ前日の収 支に対し−L定の割合γで生じるとする。そこで,ある任意の時点gまでに生じ た支払と受取の差で示される純支払の総額を∑(研アーク丁)としそのうち極大値 を々とすれば,その々の値は契約時点で保有する対外準備大トック点より小さ くなければならないことになる。さもなければ(点>斤),当該国ほ市場での契 約時において予めg時点で支払不能に陥入ることを承知して契約を行うことに なるからである。そこで,支払不能とならない安全性の指標に確率方≡㍉㌔(々≦ 点)を用いることとする。この確率方は,いうまでもなく上記の統計的に独立な 受取と支払の部分と以前の受取と支払に影響されて生起する部分との両方の決 定要因に依存するものである。統計的に独立に生起する部分は,その平均値と 分散によって表すことができる。そこで,分散を所与とすれば確率方は,統計 的に.独立な部分の平均値E(病丁−♂丁)と以前の受取や支払に影響される部分の 係数γによって変化することになる。契約時において,各国が決定しうるもの は,その期の総取引額(取引の大きさ)と対外準備の保有額斤である。予算制 約式は斤=桝−♂+斤であるから,当該国の対外準備保有斤の決定は,総受取 裸ゼを所与とする限り,総支払額研を決定することと同値である(もし総支払 額刑を所与とすれば総受取額ゼの決定と同値)。契約時点で,総支払額椚を決 定すれば,それほ,統計的に独立な部分の平均値β(痛丁−♂T)を決め,劇定の係

(11)

−7クー 対外準備の需要に関する計測 数γを通じて純支払総額∑(∽アークT)の極大値ゑを決めることになる。たとえ ば,総支払額別の減少ほ,′統計的に独立な部分の平均値E(成丁−♂−)を減じ, γを一・定とすれば々の債を小さくする。そして,それほ安全性の水準方の改善 をもたらすことになる。そこで,安全性の水準ほ,方=方(♂,8α,γ,凡斤)で表 され∂オ∂β>♂となる。いま,効用函数び=ぴ(ズ,方)を,予算制約の下で極 大化すると, ∂こ〃∂ズ一心=♂ (∂乙〃∂方)(∂方/∂β)一人=∂ 点=少(ズ−君)+斤 を得る。14)ただし,J−倉は財の超過需要,♪はその財の価格を表し,♪(ズ−君) ほ桝−ゼに対応している。かくして,対外準備の取引需要は, 斤=β(ゼ,γ,∂ぴ,点) (川 となる。この(川式において,♂は対外取引の大きさ(規模)に関わり,γとd“ ほ支払と受取の/くタ・⊥ソに,また点は対外準備資産の効果に関わる。γは以前 の対外受取と支払が影響する割合である。そして,それは,ケネンおよびユ・− ディソの支払いの繰越し額(carry−forward)でなく,予想される単なる反応係 数であるにすぎない。 この(川式は,取引動機による対外準備の需要を示すものといえる。それを用 いて対外準備需要を推定する。先ずケネンおよびこL∵−ディソの分析にしたがい, 」凡=ビ+7」凡_ノ+J/′ (】㊥ を用いてγおよび8£を推定する。15)そして,祝亡に閲し正規性ゎが検定および ダ・−・ビン・ワトソソ比と回帰係数の有意性による㍑亡の統計的独立性の検定,さ らに∂£の均一・性に関するバートレットのズ2検定を行う。〝亡の正規性と統計的 独立性については望ましい結果を得たが,∂・孟の均一・性についてはむしろ否定的 結果を得た。それほ,αぎを♂£の点推定値とし,αぎ=αぎ+片㌻の回帰係数バを 求めると有意となること,すなわち分散が時間Tと共に増加していることから 14)Mejnich,P,A肋乃♂吻γG♂ガβ膠/塾〟∠彪∂カ〟桝叩βク叩,舟γ■α乃劫Jβ用α′∠0乃αJ且:0乃0・ 刑桝1971,pp60−68

15)Anscombe,FJ,The Rejection of Outliners,7セchnometYics,Vo12,1960異常値 をアンスコムの方法により除去している。

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香川大学経済学部 研究年報 23 第 5 表 J(7∫、丁 −β∂− 月よと=β0+β2γ!+β3♂祝よ+∈よ£ βw R2 β0 β2 β3 全期間 (月別データ) R57 131679 1,205947 (053) (146) 8062 187 091 ♯(822) 月72 1,177172 7,599862 (057) (109) 34896 1955 O 73 *(421) 全期間 (四半期別データ) 213020 線357753 (2)蝕 (095) (−041) 6075 204 093 *(917) 月72 −288718 11,862534 24512 2 21 (−016) (169) *(462) O 81 知期間 (月別データ) −367475 841875 R57 (3) (…108) (100) 28673 275 088 *(707) R62 −177852 914519 (“056) (116) *(1167) 44229 1。68 095 494454 2,414905 R62 (4) (078) (134) 20457 143 063 *(319) R67 739907 4,504493 (084) (180) 21396 152 055 (240) R67 586211 4,154705 (069) (140) 7870 268 0 72 (5) *(413) R72 227.870 10,380657 (012) (152) 23572 187 081 *(540) 係数の下の括弧内の数値は/借を表す。 また,*印はJ値が有意であることを示す。 理解しうるところである。しかしながら,さしあたり,♂£の均一・性が成り立つ として回帰方程式(用を用いて,クロス・セクショソ分析による回帰係数βの導 出を行う(γが有意でないときゼロとし,その場合の0・£の代わりに』晶の単純 な分散を用いている)。 凡∠=β。+β2γよ+βヲ∂・£‘+e“ (畑 以上のすべてのデータは,J5彷7年J2月−J9万年J2月に亘る月別と四半期別 の先進J5ヵ国(アメリカとカナダを含む)のものであり,〃巧からとられてい る。その結果ほ,第5表の通りである。全期間の分析は,当該期間の月別Jβヱコ

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対外準備の需要に関する計測 ーβノー のデータを使用したものと四半期別6ブコのデ、一夕を使用したもののこ種から なっている。他方,短期間の分析は当該期間を三等分しその各々の期間につい て月別データを使用したものである。いずれも,g値ほ,各係数の下に.括弧で記 され,∫%水準でゼロから有意に異なるとき,*印を付してある。第5表によれ ば,∂ぴの係数βタほ,すべての場合にゼロから有意に異なる。しかし,γの係数 β2は,逆にすべてについて有意に異なるとほいえない。他方,ダー・ビン・ワト ソソ比(βⅣ)および決定係数(点2)は,最後のこ列に掲げられた通りであり, 短期間の分析の(4)行に.あるββ2,ガβ7を除いて,おしなべて良い。以上のこと からみて,第古表の対外準備の取引需要は,主として∂ぴを決定因として変動 し,以前の対外取引に対する反応係数γの影響をはとんど受けていない16)もの とみることができる。 次に,上記(17)式の対外準備需要函数のうち対外受取額♂は,それを対外取引 の大きさ(規模)を表すものと解釈するとき,輸入額〝で把えるのが普通であ る。その場合の計測についてほ,かつてわれわれも,クールシュンおよびこ1・− セフの対外準備需要の計測を考察した際に行っている。17)しかし,ク・−ルシュ ンおよびユ・−セフは,その主たる関心が対外準備保有と国内通貨供給量の関係 にあったので,以下第6表にみるようにその間の関係を中心に分析を進めた。 彼等ほ,対外受取と支払の差額を,経済効率の観点に立って対外準備の枯渇を もたらす拡張政策がとられない限り国内通貨供給量の変動を引起こすことか ら,対外準備と国内通貨供給量との間に一・定の関係が生じると考えるのである。 そして,その−・定の関係ほ,当該国の限界輸入性向や支出性向からなる乗数に 依存し,シトフスキー・の言うその国の現金残高の対外支出を行いうる能力を表 すものと解釈する。そこで,クールシェソおよびユーセフは,ズ1に主として国 内通貨供給量をとり,それとズ1に輸入額をとった場合とを比較しながら,次の ような方程式を用いて回帰係数を求める。 &=α+∂。方‘+e‘ 錮 16)ただし,凡‘=β〃+βJe+β2れ+β9(7む‘+∈;fによって求めた係数β∼は,有意となる。ここ にeほ(用式の定数項の推計値である。 17)拙稿「TJCourICheneおよびGM Youssefの対外準備需要の計測に関する考察」香 川大学経済論叢 第48巻第3・4号昭和50年10月。

(14)

香川大学経済学部 研究年報 23 第 6 表 ノウJ、ゞ −&2− 凡=〃+∂ズ(+e− 斤巨=d+∂1方‘十み2γr+β′ ただしれは ただしれは 同 名 甲南 入 国内通貨供給鼠 輸 入 国内通貨供給鼠 ロ 厄, む 島 占2 烏 Dlγ βw βw βw 2941 08、7 0478 ()95 3876 ¶2,118435 095 0551 −1,226170 099 ス イス ・(1288) 209 ・(2352) 209 ・(1406) ・(−395) 196 ・(2587) ・(−469) 158 0560 065 0313 0 84 0543 −657392 082 0299 −210950 086 オ ラ ン ダ ・(638) 198 ・(1125) 199 ・(697) ・(−267) 214 ・(899) (】091) 198 テ ン マーク 0357 038 0074 026 0393 −37783 0 42 0087 −17344 034 ・(315) 182 ・(225) 169 ・(293) (⊥021) 173 (152) (−007) 161 19∴365 006 ス「7ェーテン 0002 000 −0008 005 0001 【366529 019 −0009 (Ob3) 189 (−036) 162 (001) (−137) 190 (−039) (008卜 164

ド イ ノ 1599 050 0507 062 1801 −1,435353 053 05−72 、−189168 066 ・(432) 183 ・(592) 187 ・(456) (−075) 184 ・(597) (−104) 188

0465 067 0261 0 77 0450 843578 066 0260 264626 077 ペ ル ギ 【 ・(668) 159 ・(900) 192 ・(605) (052) 158 ・(861) (023) 192

イ タ り 一 0053 004 0017 014 00、72 −17,848212 007 0021 −77,781571 018 (032) 165 (144) l77 (043) (−025) 164 ・(171) (−114) 178

日 −0952 015 0135 057 1348 −50,503935 023 0220 −536040 090 本 (−146) 177 ・(522) 176 ・(214) (−027) 164 ・(1323) ・(−493) 164 −0522 027 −0099 013 −0581 90061 030 0002 160172 022 オーストラリ7’ ・(−230) 180 ー(−136) 160 ・(−252) (133) 160 (003) ・(205) 187 関内通牒の100万を単位として表示=㌢本のみ10憎)。輸入は√06 係数の「の粁狐内の数偶は/伸庵また*印はその偶の石膏であることを示す。 凡=α+∂Jガ‘+∂2γ・亡+e; (21)

ただし,γ才ほ.対外準備の機会費用(投資の限界生産力,長期利子率で測る)で

あり,対外準備需要の修正項目として導入されている。第6表は,彼等にした

がい先進J♂ヵ国のJ妬9年第1四半期からブタ詔年第4四半期までの四半期別

データ(ノアSよりとる)を使用した最小自乗法による結果である。なお,ダー

ビソ・ワトソン比(βⅣ)の修正は,繰返し法で行われた。第6表によれば,クー

ルシェソおよびユーセフの主張するような結果ほ得られていない。すなわち,

彼等は,ズ1に輸入額よりも国内通貨供給量を用いるのがより望ましいとみる。

しかしながら,第6表でほ,∼値でみて輸入額よりも国内通貨供給量がより有意

となるケースが多いとは言えず,むしろ両者の差異ほぼとんどないとみねばな

らない。また,決定係数も両者とともに¢ゆ式と飢或は当てはまりの良さを示し

ていない。そのうえ,修正項の長期利子率γ亡すなわち対外準備の枚会費用の係

数∂2に関する′値ほ,ほとんどのケースで有意となっていない。したがって,

これらのことを判断すると,ク・−ルシェソおよびユ・−・セフの主張は受入れ難い

(15)

ー&ヲー 対外準備の需要に関する計測 ものである。18)しかしながら,輸入額や国内通貨供給量の係数に関する∼値が しばしば有意を示していることからみて,これら両者が対外準備保有に何らか の関わりを持つことほ,想像しうることである。このうち特に彼等が計測した 国内通貨供給量と対外準備保有との間の関係を示す係数∂∫ほ,彼等の主張によ れば現金残高の対外支出能力を示すものであるけれども,結局はある種の国内 通貨に対する対外準備での慕うち保証とでも言うべきものと考えられ,意味の あるものである。例えば,その値の低下は,それが国内通貨の対外準備による 保証の低下とみられるならば,当該国通貨の信認を喪失せしめることとなり, そめ値の維持をもくちみ対外準備の保有をもたらすことに.なるからである。し かしながら,このような対外準備の保有は,取引動機というよりも予備的動機 によるものとして分類するのが妥当であろう。 さて,取引動機から目を転じ予備的動機による対外準備の保有を考えよう。 上記の(19式−(川式は,取引動機以外の動機に関わる要田を所与と.したときのも のである。ゆえに,予備的動機に関わる要因を考慮に入れるならば,(川式を修 正しなければならない。元来,予備的動磯による対外準備保有ほ,不作やその 他災害による緊急輸入に備えるものである。そして,それは,その国の人口や

生産力また外国政府や国際金融機関からの借入れ能力に依存する。しかし,一

般には,予備的動機による対外準備保葡ほ,この緊急輸入に対する備え以外に 多くのものがあるであろう。かつて,トリフィンは,対外準備の輸入に対する 比率が先進国で約4ク%を維持し,それが3∂%以下になれば何等かの制限措置 をとり,最悪でも約2ク%を保持すると主張した。19)それは,その2♂%以下とな れば当該国の経済の破綻を示すものと受取られ民間金融磯関ほもとより公的税 関からも資金の借入れが不可能となるからである。そこで,−もしこのような輸 入に対する対外準備比率が取引動磯のためでなく健全な経済運営の証しとして 必要なものであれば,それは予備的動機によるものとして分類されるべきもの であろう。 18)なお,対数による回帰方程式を用いた計測を試みた。しかし,結果は同じである。 log凡=α+∂10gズ∼+e‘ 10g凡=α+∂Jlogγ‘+∂210g㌢・′+e‘ 19)Triffin,R,Op Cit

(16)

香川大学経済学部 研究年報 23 第 7 表 ノウJ、7 −∂4− 国 名 平′均値 分 散 国 名 平均値 分 散 工 某 国 0484 0208 オーストラリア 0467 0232 ア メ・リ カ 0853 2774 ニュージ・−ランド 0169 0075 イ ギ リ ス 0214 0071 ラテンアメリカ 0343 0∴020 ヨ・一 口 ッ パ 0453 0069 ア ルゼンチ ン 0292 0437 オ ーストリ ア 0594 0086 ブ フ ン ル 0277 0174 ベ ル、ギ1−

0349 0072 メ キシ コ

0369 、0025 デ ン マ ー ク 0168 0026 ノヾ ル 、一 0229 017P フ ラ ン ス 0405 0387 ベ ネ ズ エ ラ 0559 0111 ド イ ツ 0549 0220 その他アジア 0287 0012 イ タ リ ア 0576 0336 ビ ル マ 0677 0746 オ ラ ン ダ 0321 0056 セ イ ロ ン 0227 0−228 ノ ル ウ ェ T 0215 0014 1F? 湾 0489 0186 ス ウ ェーチン 0197 0029 イ ン ド 03Z3 0183 ス イ ス 0963 0138 イ ンドネシア 0192 0556 カ ナ ダ

0325 0044 純

国 0359 0。175 日 本

0315 0311 マ レ ー シ 7

0436 009声 その他先進国 0 388 0039 パ キ ス タ ン 0354 0540 フ ィ ンランド 0220 0065 1フ ィ り ビ ン 0160 0042 ス ペ イ ン 0−451 0731 シ ンガ、ポール 0125 0。021 ト ル コ

0380 0647 タ

イ 0869 0186 このように対外準備の輸入に対する比率にある水準があるとすれば,その水 準は当該期間一定に保たれかつ実際の対外準備比率がその近傍を変動するとい うものでなければならない。これを確かめるため,先ず主要な4♂ヵ国について

1957年−197I年の年次データ(IFS,1972Supplement)を用いて対外準備の

輸入に対する比率の平均値と分散を求める。それほ,第7表の通りである。そ れによると,大部分の国の平均値ほほぼ3♂%に近いかそれ以上であり,またそ の分散は非常に小さい値を示している。次いで,この平均値が当該期間に亘り −・定を維持したかどうかの検証を以下の順で行う。始めに,輸入に対する対外

準備の比率に関するデータが無作為のものであると仮定し,当期間を前半

(J.好7∼ユ96妻)と後半(エ96J−エ9乃)に二分し,両期間で分散が等しいかどう

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対外準備の需要に関する計測 ーJこ了一

かをダ検定によ り確かめる。そして,分散が等しい国について∼=

乃J+乃2−2 .I■ノ ̄.rご の億を計算し自由度〝J+〝2−2 JJ′+Jタコ の′分布表の値と比較し,分散が等しくない国については才=(君ノー′君2)/

紬を計算しそれと自由度邦ノーヱの巨分布表の値J∫と自由度乃2

−Jのg分布表の備わを用い′=(町筋+抄2′2)/(仇+抄2)を求めて20)比較 し,両期間の平均値が等しい倉上=倉2とする仮説を棄却することとする。21)そ の結果は約半分の国で仮説が棄却され,叫・定性を保持していないこととなった。 しかしながら,この結論ほ,上述のように対外準備の輸入に対する比率が無作 為のデータであること/を前提としている。そこで,デ1−・タの無作為性の検定を 連(γ・〟乃5)を用いて行った。22)中央値より小さい値の個数とそれより大きい値 の個数を算え,古%棄却域を設けてそれらと連の癒個数とを比較し検定する。そ の結果,約半分の国で仮説は棄却され無作為でないこととなった。そして,こ のことは,直接データに一・階のマルコフ過程机==れ+∂2飢_J+α亡をあてはめ 回帰係数を求めてみることによって(第8表)4βヵ国中2ヲ∼39ヵ国において 係数∂2がゼロから有意に異なっていることからも確認される。(なお,この第 8表において,ダ、−ビン・ワトソソ比は余り良くない。そこで,残差項弘パにつ き無作為性の検定を行った。結果ほ,すべての国で,αfが無作為であることを 導いた。)以上の諸結果からみて,輸入に対する対外準備の比率のデ岬タほ,そ れ自体無作為性のないものと結論される。ゆえに,上で行ったg検定による平 均値の一・定性の検証結果は,正当なものとほいえない

。そこで,母数によらな

い方法(non−parametrictest)で検定することにする。第9表は,順位和検定法 (rank−SumteSt)23〉によって,平均値の−・定性を検定した結果である。ただし, この場合,平均値に代わって中央値が用いられたが,両者に大きな違いはない。 第9表の最後の列にみるように,検定結果は,4∂ヵ国中34ヵ国について仮設 20)紺ノ=S子/乃ノ,紗2=.S雲/乃2(乃′,乃2はデータ数)拙稿「対外準備保有の輸入に対する比率 の検討」香川大学経済論叢 第50巻第1号 昭和52年4月。

21)Snedecor,GW and WG Cochran,StatisiicalMeihods,6th ed1967 pp114−18 オい−エル(浅井・村上訳)『初等統計学』 昭和48年168ページ。

22)ホー・エル 上掲訳書 241−44ページ。 23)ホーユル 上掲訳書 237−39ページ。

(18)

香川大学経済学部 研究年報 23 第 8 表 −β6− ノダ♂J 国 名 ム2・ β≠ 丘2 国 名 田 ゐ2 βw 丘2 エ 某 国 0037 (067) 0896 (823) 1300 0915 オーストラリア 0297 (247) 0339 (133) 170b 0243 0085 ア メ リ カ …0013 (−031) 0900 (2120) 2613 0986 ニューシ−Lランド (183) イ キ リ ス 0129 (179) 0426 (125)■ 1277 0203 ラテン17■メリカ 0176 (204) 0481 (190) 1901 0409 ヨ ー・ロ ッ ハ 0154 066L7 1110 0650 アルゼンナ ン 0190 0356 1761 り221 (162) (324) (198) (129) オーストリ ■ア 0382 27 0371 1 1241 0325 7 ラ シ■ ル 0163 191 0422 139 1452 0259 (3) (59) () () ベ ル ギ ー 0143 0586 24 1632 0505 メ キ シ コ 0316 304 0138 049 1842 0140 (158) (3) () () テ ン マ ーク 0090 22 0481 1518 0428 ベ 0131 (1) (198) ル ー (221) (203) 7 7 ン ス 0148 (225) (307) 0083 ト イ ソ 0227 (183) 0568 (258) 2315 0551 その他アシア (143) 0304 イ タ リ ア 0282 (194) 0523 (218) 1197 0473 ビ ル マ (199) 0050 オ ラ ン ダ 0123 (161) 0620 (268) 1231 0567 セ イ ロ ン (137) 0188

ノ ル ウ ェ・− 0073 (149) 0692 (298) 1386、 0615 台

湾 (138) スウェーデン 0048 0743 1834 0697 イ ン 0054 (115) (365) ド (093) (472) 0036 ス イ ス 0465 (194) 0517 (209) 1389 0454 イ ンドネ シ■ア (068) 0207 カ ナ ダ 0099 (146) 0700 (340) 1423 0669 韓 国 (205) 0432 (163) 日

本 0213 (134) 0394 (072) 1128 0204 マ レ ー シ ア 0074 (072) 0878 (369) 2,351 0701

その他先進国 0241 (225) 0375 (135) 1726 0245 ハ キ ス タ ン 0089 (109) フィ ンラ ント 0120 (205) (205) ス へ イ ン 0199 0045 (200) (148) 0070 ト ル コ 0170 (171) 0524 (218) 1953 0473 タ イ (044) (511) 係数の下の括弧内の数億ほJ値を表す。 ほ採択され中央借の一・定性があるということになったのである。 以上のことからして対外準備の保有ほ,当該国の輸入額と一・定の関係を持っ

(19)

対外準備の需要に関する計測

第 9 表

ーβ7−

1957−1971 1957−1971 ∬yea工畠 Ⅳ−∬years (∬,∧L∬) rank_Sum mean median

. medianl median2 testR

エ 英 国 0∴、484 0470 0590 0390 (8,7) 29* ア メ リ カ 0853 0820 1180 0450 (8,7) 29* イ ギ リ ス 0一214 0200 0255 0150 (8,7) 40 ヨ ー・ロ /パ 0453 0470 0510 0455 (5,10) 54 オ−ストリ ア 0由4 0600 0620 0570 (8,7) 48 ベ ル ギ ー 0349 0。360 0380 0345 (5,10) 54 デ シ マ・−ク 0168 0.160 016さ 0160 (8,7) 51

フ ラ ン ス 0405 0390

0430 0390 (8,7) 61 ド イ ツ 0549 0540 0580 0470 、(10,5) 25

イ タ リ ア 0576 0560

0680 0520 (8,7) 41 オ ラ ン ダ 0321 0一320 0365 0260 (8,7) 32* ノ ル ウ ェ ー 0215 0210 0195 0240 (8,7) 87* ス ウェーデン 0197 0210 0220 0160 (8,7) 41

ス イス 0963 0960

0970 0900 (10,5) 26 カ ナ ダ 0325 0,330 0360 0295 (7,8) 70 日

本 0315 0260

0325 0240 (8,7) 43

その他先進院 0388 0390

0430 0340 (7,8) 71 フ ィ ンランド 0220 0220 01240 0180 (7,8) 71 ス ペ イ ン 0451

0“390 0630 0350

(8,7) 51

ト ル コ 0380 0310 0345 0240

(8,7) 46 オーストラリア 0467 0500 0540 0350 (8,7) 41 ニュージt−ランド 0169 0。160 0180 0105 (9,6) ラテンアメリカ 0343 0350 0340 0350 (8,7) 63

ア ルゼンチン 0292 0260 0240

0340 (8,7) 67 7、・ア ジ ル 0277 0280 0255 0290 (8,7) 64 メ キ シ コ 0369 0360 0370 0345 (7,8) 73

ペ ル ー 0229 0220

0210 0240 (8,7) 67 ベ ネ ズ エ ラ 0559 0530 0555 0530 (8,7) 58

その他アジア 0287 0280

0−295 0270 (8,7) 53 ビ ル マ 0677 、0710 0565 0780 (8,7) 71

セ イ ロ ン 0227 0240

0245 0140 (10,5) 27

湾 0489 0520

0545 0420 (8,7) 43

イ ン ド 0323 0290

0290 0260 (8,7) 58 イ ンドネ シア 0192 0100 0170 0100 (9,6) 32 韓

国 0359 0340

0395 0310 (8,7) 43 マ レ ー シ ア 0436 0420 0380 0450 (8,7) 85* パ キ ス タ ン 0一354 0310 0450 0−210 (8,7) 29* フ ィ リ ピ ン 0160 0150 0145 0200 (8,7) 71 シ ン カ∵ポール 0125 0120 0110 0130 (10,5) 53 タ イ 0869 0890 0880 0890 (8,7) 58 *印は,仮設の棄却されたことを示す。

(20)

香川大学経済学部 研究年報 23 ノり、(J −&9− ていると言える。そして,その関係を表す係数は,輸入に対する対外準備比率 の平均値であり,対外準備の予備的動機に関する保有を説明する。ところで, 上記のクールシェソおよびユ1−セフの考察において,われわれほ,(川式の取引 的動機の要因として対外受取額ゼを導入し,もしそれが対外取引の大きさ(規 模)の指標であるとするならば,♂に代わって輸入額〟で把え計測するのが普 通であるとした。したがって,輸入額〟は,ヱつは対外取引の規模に関する取 引動機から,他ほ対外準備との比率の平均値としての予備的動機から,対外準 備の需要函数に説明変数として導入されてくることになる。ゆ.えに,第6蓑の 輸入の回帰係数(∂または∂J)ほ,両方の動機の合成結果を表すとして解釈す べきものである。さて,対外準備の予備的動機を表す要因には,この輸入額以 外にク1−ルシュンおよびユ・・−セフの第6表で考察したように,国内通貨供給量 がある。すなわち,ク・−・ルシェソおよびユ・−セフによれば,この国内通貨供給 量は現金残高の対外支払能力いわば国内通貨の対外準備による保証程度を表し ており,そしてその係数(∂またほ∂J)は限界(平均)輸入性向を椚とし限界 貯蓄性向を5とすれば乗数椚/(研+ぶ)に依存すると考えられる。そこで,彼等 ほ,国内通貨供給量に蘭する回帰係数∂またぼムを乗数椚/(m+.s)と比較し, 順位相関係数24)(r・ankcorelationcoe侃cient)を求めて検定し,その主張を確か めたのである。もしこのことが正しいなら,対外準備の予備的動機に関する要 因として国内通貨供給量を導入せねばならないことになろう。しかしながら通 常,対外準備の説明変数としてほ,ク・−ルシェンおよびユ・−セフのように国内 通貨供給量を用いるよりも,むしろ限界(平均)輸入性向を用いることが多い。 例えば,へラーや第Ⅰ節で考察したフレソケルの如くである。この場合,そこ に導入された輸入性向は,予備的動機を説明する要因であるとして理解される べきものであろう。 輸入性向と共に問題となるのは,利子率である。われわれの分類でほ,これ は,投機的動機に関わるものである。しかし,クールシュンおよびユ・−セフの 分析でみたように,この利子率の回帰係数はほとんどのケースで有意とならな 24)ホーユル,上掲訳書 239−40ペMジ。拙稿「TJCourcheneおよびGM Youssefの 対外準備需要の計測に関する考察」香川大学経済論革 第48巻第3・4号 昭和50年10 月。

(21)

一Jf)一 対外準備の需要に関する計測

い。ところで,へラーは,ボ・−モルの在庫理論にしたがい利子率を対外準備の

取引需要の重要な決定要田とした。25)すなわち,周知のように彼は,対外準備を

斤乃保有する場合に,その最後のJドルから得る限界利益をそれによって回避

しうる(対外不均衡に伴って生じる)国民所得切下げ額方乃(J/桝)で表し(ただ

し,方乃ほ最後の了ドルを対外不均衡に使用する確率),他方その保有の限界的

損失を対外準備の限界コストγ・で表した。ゆえに,純利益を極大とするなら,

方円=γ∽の関係をうる。いま,尺乃の最後のJドルを使用する確率方乃を

(♂J)乃′九に等しいと仮定する。ここで,ゐは年当たり平均対外準嘩必要額であ

り,次のようにして求める。国際収支が赤字となり対外準備の流出をみる確率

を各年5∂%とし,ヱ年に亘り継続して赤字が生じその後黒字に転換することに

ょって旧水準に復帰するものとする。このとき,対外準備の必要額ほェゐ=乃ド

ルとなる。そして,それが生じる確率は,(∂‖J)方すなわち(∂.タ)乃′ぁとなる。し

たがって,この場合の各年の対外準備変動額ぁほ,当該期間に実際に生じた対

外準備の変化の時系列に,横軸に平行な直線あるいほ最終年に初期の旧水準に

復帰するような回帰線いレンド)をあてはめ,そのトレンドからの燕離の絶

対値を求め平均した値として計算する。方乃=(∂5)乃/力=γ・・∽となるから,乃の

値すなわち最適対外準備の保有軍属ふは,

log(γ・椚) ㈹ 斤押′=/J・ log(フ.J

の式で計算される。この鋤式を用い,J9詔年の最適対外準備を先進ノブヵ国に

っいて求め,それをへラー自身が計画したエ963年の最適準備額と共に掲げた

のが,第10表である。この第10表のβの欄ほエ9郎年とヱ9だ年の実際の対外

準備保有額を,また凡/凡研の欄は両年の実際額の最適額に対する比率を示し

ている。さて,このへラー・モデルにおいて,ぁほ対外準備変動の分散に相当し,

導出方法ほ異なるけれども,われわれの8・“と同じ意図の下に導入されたもの

である。ゆえに,それは,対外準備の取引動故に関わるものといえよう。他方,

輸入性向∽ほ,われわれと同じく予備的動機に関わるものである。また,対外

準備の機会費用γ・は,長期証券から得る収益の放棄を意味するから,われわれ

25)Heller,HR。,OptimalInternationalReserves,EJVol76,June1966上の脚注 3)参照。

(22)

香川大学経済学部 研究年報 23 第10 表 ノ夕♂J ーf)()− 国 名 ケ ん

Ropt

凡 兄畑opt

ベルギー

1963 00514 036 151小0 869 1,940 223 1972 00704 042 1942 988 3,870 392 カ ナ ダ 1963 00469 016 1227 866 2,603 301 1972 00723 019 3034 1,886 、6,050 320 7 フ ン ス 1963 00549 010 4251 3,192 4,903 154 1972 00735 013 7887 5,319 10,015 188 ド イ ツ 1963 00636 011 5270 3,773 7,650 2 1972 00790 015 1,6440 10,601 23,785 224 イ タリ ア 1963 00567 015 2572 1,893 3,283 173 1972 00747 015 4277 2,788 6,079 218 日 本 1963 00500 011 2350 1,770 2,058 116 1972 00700 007 2,3628 10,380 18,365 177 オラ 1963 00500 041 1664 93 2,101 225 972 00688 036 205,4 1,097 4,785 436 スウェーデン 1963 00530 021 584 379 758 2.01 1972 0 0729 018 1240 775 1,575 203

ス イ ス

1963 00502 028 1001 616 3,078 500 1972 00497 027 2677 1,665 7,488 450 イ ギリ ス 1963 00531 016 5538 3,810 3,147 083 1972 00891 016 6901 4,226 5,647 134 ア メリ カ 1963 00501 003 862。0 8,085 16,843 208 1972 00563 005 8122 6,931 13,150 190 の主張でほ投機的動機の要因に分類すべきものである。ところで,もしへラ・− のように各国がポー・トフォリオを対外準備と証券の間に分けて保有すると考与 るならば,それは,例えばグルt−ベルが26)ニ国モデルで示したような投資から 得る期待収益E(γ∫,2)とその危険y(㌢・J,2)を両国証券の保有割合の和がヱとな る(βJ+β2=J)との制約の下で, E(ァ・J,2)=p∫n+β2γ・2 V(γJ,2)=pJ8・タ+勿Jp20・ム2+p2∂g

26)Grubel,HG,Internationally Diver・Sified Portfolios:Welfare Gains and Capital Flows,AER,Dec1968

(23)

対外準備の需要に関する計測 −9ノー と規定し,それが且−Ⅴ平面上に描く曲線と社会無差別曲線との接点において 最適証券保有額と対外準備保有額が同時に決定されるとすべきものである。そ こで,投機的動機を導入する場合にほ,少なくともその社会の保有する資産総 額,両国の利子率と危険,両国資産の報酬の相関(∂ム2/仇∂2)が考慮に入れられ なければならないことになる。かくして,既述の方程式(用は,これらを加味し た形で修正され再度検証されるべきものとなる。その場合,ク・−ルシよ二/おノよ びユーセフのように,利子率γ・がすべてのケ、−・スで有意でないとする結論を得 るとは限らないからである。 以上は,かつてわれわれが計測を試みた対外準備需要の概要である。すなわ ち,われわれほ対外準備をその保有動機により,取引動機,予備的動機,投機 的動機に分類し,その各々について対外準備を説明する変数の導出に努めた。 しかしながら,その分析ほ,説明変数を見出し指摘したにとどまり,それらす べての変数を導入した回帰方程式を用い検証するという試みはなされないまま 放置されたのである。そこで,これらのことを念頭に置ヽ、て,第Ⅰ節における フレソケルの対外準備の計測を再び考察してみることとしよう。 フレソケルは,前節の第1表∼第4表において,平均輸入性向椚,対外受取 と支払の可変性,および対外取引の大きさの函数として対外準備の需要を規定 し,対外受取と支払の可変性の指標としてへラ・−のぁあるいほ標準偏差β・を, また対外取引の大きさの指標として輸入額〟を用いて回帰係数仇,α2,αヲを 推定すると共に,各々の係数に.関するg僧や方程式の当てはまりの良さの決定 係数点2を求め,すべて望ましい結果を得たことを示した。さらに,各国を先進 詔カ国と後進㍊ヵ国のニグループに分け,両少ル・−プの各々について係数 飢,α2,αヲを求め,8の係数α2について先進国が,〝の係数α√,について後進 国が,明らかにより大きいという結果を見出したこと,したがってα.ヲが大きい 後進国は規模の節約が少ないため経済開発を行う場合に輸入の増大とそれにみ あう流動性の不足に悩むことを表し,α2が小さい先進国は後進国のように安易 に対外不均衡是正策として人為的干渉に訴えず,代わりに対外受取と支払の変 動に敏感であることを表していると結論したのである。このようなフレソケル の分析の特徴をわれわれの分析と比較すると次のようになる。先ず,それほわ

(24)

一一92一 香川大学経済学部 研究年報 23 ノダβ3 れわれが対外準備需要を説明する変数として指摘したものすべでを,投機的勤 続に関わるもの例えば利子率を除いて,網羅的に、導入して検証を行っているこ と,また諸国を先進国と後進国に分けそこに差異を見出したこと等,優れた分 析であるといえる。しかしながら,掲げられた第1表∼第4表をみると,すべ ての係数の′債が有意であり方程式の当てはまりも決定係数点2がJに近く良 い結果を得ているけれども,そこに.残差項αのランダム性の検定が省かれてお り特に当然記載されるべき系列相関に関するダービソ・ワトソソ比について何 等の記述がなされていない点,問題が残る。例えば,第9表の分析に.おいてわ れわれが平均値の一・定性を検定するに際しg分布やF分布を使用する検定を 行わず順位和検定法を用いたのは,まさにデータ自体にランダム性がないため であり,この点に原因した例といえる。すなわち,フレソケルの第1表∼第4 表において,もし残差項〟に系列相関がありランダムでないならば,それらの 諸表で彼が導出した高いJ億やJに近い決定係数は,決してそれら本来の意味 を示さないものとなるからである。 次に,フレンケルの分析で問題となる点は,取引動機に関する標準偏差β・の 導出に関してである。彼ほ,αを時間と共に変化するものと仁把える。この点は, 既にケネソの分析においても,ケネソの∂・£を残差㍑ぎの点推定値で代替し〟g =〟。+八丁となし時間Tの係数人を求めてみると♂£に増加傾向のあること が指摘されている。したがって,フレソケルの処置は妥当であり,むしろケネ ソが当該期間を通じて∂・ぴを−一・定として取扱ったことに問題があるといえる。 しかしながら,彼は標準偏差0・を対外準備水準のトレンドで修正した年次デー タを用い過去J5カ年間の標準偏差を導出しそれを各年次の∂として用いた。 これほ,へラーのぁと額似のものを求め,かつ時間と共に変化する形で把えよ

うとしたためである。フレンケルにはr時点ののを次のようにして求める。

先ずある国のT−J時点に関する回帰係数βトノを求め,

晶=α+βトJg+αゎ ただし′=r−J∫,…,r−J+個

そして,そのβ丁・_∫を用いて∂字を計算する。 T一J ∂享= ∑(凡−&_ノーβ丁_∫)2/J4 ト=T−Jイ ㈹ かくして得た∂丁を規準化(スケールを表す輸入額〝で割る)し,標準偏差♂r

(25)

対外準備の需要に関する計測 −ざ1?− を導出する。すなわち, 0丁=∂r/〟 (2カ

である。27)このようにして得られたフレソケルの標準偏差0・ほ,われわれの∂・ぴ

とほ多少異なっている。われわれの0αほ,(用式にみるように,』動から前期の

対外準備の変化に依存する部分7d斤卜Jを差引いた残差払の標準偏差であり,

しかもその残差〝との正規性,統計的独立性,ぴ£の均一僧について検定を行い,

∂−£の均仙性を除いて望ましい結果を得ている。換言すれば,ケネソおよびわれ

われの∂■£は,対外受取と支払のうち統計的に独立に生起する部分の標準偏差を

意味するように構成されているのである。これに対し,フレンケルの標準偏差

びほ・,差額(4吼−βトJ)に関するものであり,その正規性や統計的独立性など

の検定ほ行われていない。したがって,われわれの言う統計的に独立な対外受

取と支払に関する標準偏差に相当するとする確証は,見当たらないのである。

ゆえに,フレンケルの∂■は,われわれのような取引動機の指標として出来る限

り妥当なものを求めたのに較べて,動機に関する分析への配慮に欠けるものが

あると言わざるを得ない。

フレソケルの分析において,対外準備需要の決定困として用いる変数に閲し

動機の分析が不充分であることほ,単に彼の標準偏差∂だけでなく対外取引の

大きさの指標として用いられる輸入額〟についても,同様である。フレンケル

ほ,輸入額を対外取引の規模の指標として取り上げ,それが対外準備の取引動

機に関わるものとしている。しかしながら,われわれの分析によれば,それは,

取引動機のみならず予備的動機の両方から函数の中に導入されてくるのであ

る。そして,このうち予備的動機に関する部分ほ,対外準備水準と一・定の関係

を保っている。したがって,フレソケルの分析ほ,この予備的動磯に関する考

察を欠いていると言える。(しかし対外準備が輸入に対し一億の比率を保つこと

は,フレソケル自身も〟の係数のの各時点間の安定性を検証することにより

27)この個式一位7)式ほ,フレソケルの最も新しい論文に掲げられたものを用いている。この 導出については,他のフレソケル論文では多少異なっている。しかし,考え方としては, 同じである。

Frenkel,JA,IntemationalLiquidity and Monetar・y Control,NβE斤l穐Yki廃 物e7;No118,May1983

(26)

香川大学経済学部 研究年報 23 ノダ♂J ー94− 類似の結論に達している。28)) さらに,この対外準備を保有する動枚分析の不明瞭性は,フレソケルにおけ る輸入性向椚に.関しても存在する。彼が対外準備の需要函数に平均輸入性向を 導入すべきであるとする理由ほ・,彼の(3)式∼(12)式の分析にもとづいている。ゆ えに,対外準備ほ,(7)式に.みるように国内通貨と財の取引から生じる残差とし て保有されることになる。換言すれば,その変動は,あたかも財の輸出入の差 額を残差として受動的に表現したにすぎず,対外準備に財のフロ・−から区別さ れた効用がありそれを極大にする結果として保有するものではないようであ る。ところで,フレソケルほ,平均輸入性向によって当該国の経済開放の程度 を表すものとして把え,それを取引動機に関するものとして取扱っている。し かしながら,このように当該国の経済開放性を導入するのであれば,それは輸

入性向∽よりも対外取引の規模〟がより妥当となるであろう。そしてそれ

は,既に彼の分析の中に導入されているのである。桝および〝の両者は,とも に輸入に関する類似の変数である。したがって,その輸入額〟の上にさらに輸 入性向を導入することほ,同じ指標を二重に導入した函数を設定するに等しく なる。ところで,このように塀似の変数を二重に導入してなお正当な場合があ

る。それは,輸入性向研が輸入額〟と異なる動機の指標である場合である。

いずれにせよ,フレソケルの輸入性向∽の導入は,その動機に閲し確固とした 分析を行っていないか,あるいは対外準備を単に財のフローの結果として受動 的にのみ保有するものと考え.そこに特別の保有動機を認めないかのどちらかで ある。 ⅠⅠⅠ われわれほ,第Ⅰ節においてフレンケルの対外準備需要を固定相場時代に限 定して考察し,引続いて第ⅠⅠ節においてその分析の吟味を行った。そこで,こ の第ⅠⅠⅠ節では,これらの固定相場時代の結果を管理されたフロート相場制の時 代(ノー9スヲ年∼J.9乃年)にまで拡大する場合のフレソケルの分析について考察 28)フレソケルでは,αブの安定性とほ対外準備の輸入に対する弾力性の安定性を意味する。

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