種数
3
非超楕円的な族に対する
Meyer
函数の構成
A
construction
of the Meyer function
for
non-hyperelliptic
families of
genus
3
久野
雄介
(Yusuke Kuno)
東京大学数理科学研究科
(The
University
of
Tokyo)
1
はじめに
近年、有向閉曲面を一般ファイバーとするファイバー空間の構造を持った4次元多様体の研究、特に、4
次元ファイバー空間の全空間の符号数が、いくっかの特異ファイバー芽に局所化する現象は符号数の局所化 として知られ、 トポロジー、代数幾何、複素幾何などの分野から活発な寄与がある研究対象になっている。 Meyer函数は、モノドロミーのデータから局所符号数を定義するために用いられてきた。Meyer函数とは、 Meyerコサイクルと呼ばれる曲面の写像類群$\Gamma_{g}$上の2- コサイクルを、 ある適当な群$G$からのある準同型 $\rho:Garrow\Gamma_{g}$ により引き戻したときに、それをコバウンドするような$G$上の有理1-コチェインのことである。W.Meyer[10]により、$\Gamma_{1},$$\Gamma_{2}$ にMeyer函数が存在することが証明された。超楕円的写像類群の上にも Meyer函数が存在 し、$Endo[5],Morifuji[11]$ により研究されている。 しかし、種数が3以上の時はMeyer コサイクルが$\Gamma_{g}$ の
有理係数の2次元コホモロジーの生成元となることから、$\Gamma_{g}$ にはMeyer函数は存在しない。
$Mumford[12]$ により、
Grothendiaek-Riemann-Boch
公式を用いて、 種数3の非超楕円的なRiemann
面 の族に対して、第一MMM
類が有理係数で消えることが指摘されている。Looijenga[7] により、非特具平 面4次曲線のモジ$z$ライ空間の第2ベッチ数が$0$であることが証明されている。 この稿では、これらの結 果と標語 種数3の非超楕円的なRiemann
面 $=$非特異平面4次曲線 をふまえて、平面4次曲線の写像類群$\Gamma^{Q}$ と、準同型 $\rho:\Gamma^{Q}arrow\Gamma_{3}$ を構成し、$\Gamma^{Q}$ 上のMeyer函数の存在と一意性を証明する。$\Gamma^{Q}$ は種数3非超楕円的なRiemum
面の普遁 族の底空間の基本群として定義される。我々の方法はGRR
公式を用いず、$E_{6}$,
島型Artin
群と平面4次曲 線の関係を用い、 最後はMeyer コサイクルの具体的な計算に帰着させる。 得られたMeyer函数を用いて一 般ファイバーが種数3非超楕円的なRiemann
面であるようなファイバー空間の局所符号数を定義し、符号 数の局所化公式を導く。この局所符号数の定義の仕方は[9] に既に見られるが、今回の種数3非超楕円的な 場合では、位相的なモノドロミーを$\Gamma^{Q}$ にリフトする必要があるところが今まで具なる。2
Meyer
コサイクル
まずMeyer コサイクル[10] について説明する。$\Sigma_{g}$で種数$g\geq 1$ の$c\infty$級有向閉曲面、$\Gamma_{g}$ でその写像類
群、 つまり $\Sigma_{g}$ の向きを保つ微分同相写像のアイソトピー類全体のなす群を表す。
$P:=S^{2}\backslash u_{k=1}^{3}D_{k}^{\circ}$ とおき、 パンツと呼ぶ。
ここに$D_{k}$ たちは互いに交わらない$S^{2}$
内の2次元閉円板。
$P$の境界 $-\partial D_{1},$ $-\partial D_{2}$を一周する、基点からのループをそれぞれ$\ell_{1},\ell_{2}$ とする。$\alpha_{1},$$\alpha_{2}\in\Gamma_{g}$ に対して、$P$
上の$\Sigma_{9}$ 束$Earrow P$であって砺に関するモノドロミーが$\alpha_{k}(k=1,2)$ となるものが存在する。$E$は自然な
向きを持ったコンパクトで境界を持つ
4
次元多様体であるのでその符号数 Sign$(E)$ が定義される。$\tau_{g}(\alpha_{1},\alpha_{2}):=-Sign(E)$
とおくと、$\tau_{9}$
:
$\Gamma_{g}x\Gamma_{g}arrow Z$は$\Gamma_{g}$上の2-コサイクルとなり、Meyer
コサイクルと呼ばれている。次に(小)Artin群について述べる。$\mathcal{G}$を $\{a:\}:\in l$ を頂点集合とする連結グラフで、ループを含まないものと
する。具なる2頂点を結ぶ辺の個数は$0$または 1 と仮定する。$\mathcal{G}$に関する
Artin
群Artin
$(\mathcal{G})$ とは、$\{a:\}:\in I$を生成元集合とし、 定義関係式として
砺$a_{j}=a_{j}a_{i}$ ($a_{*}\cdot$と $a_{j}$が結ばれないとき) $a:a_{j}a_{i}=a_{j}a:a_{j}$ ($a_{i}$と $a_{j}$が結ばれるとき)
を持つ群のことである。次に、$\{r_{j}\}_{j\in J}$を自由群$F=F(\{a_{j}\}_{t\in I})$ の部分集合とし、
Artin
$(\mathcal{G})$ に、更に関係式$r_{j}=1,$ $j\in J$ を付け加えて定義される群を
Artin
群の商群と呼び、Art
$(\mathcal{G}, \{r_{j}\}_{j\in J})$ と表す。$G$ を群、$\tau\in Z^{2}(G;\mathbb{Z})$ をある準同型$\rho:Garrow\Gamma_{g}$ によるMeyer コサイクルの引き戻しとする。
1-
コチェイン$\phi:Garrow \mathbb{Q}$ で$\delta\phi=\tau$ を満たすものを$\tau$ に関する Meyer函数と呼ぷ。$G$ が表示を持つ時に、$G$上の
Meyer函数の存在を判定する Meyerの判定法[10, p.249] がある。$G$が
Artin
群の商群の時にこれを簡明にし、 なおかっMeyer函数の構成法を与えたのが次の補題である。$G=Art(\mathcal{G}, \{r_{j}\}_{j\in J})$ の時、$\varpi:Farrow G$
を自然な射影、$c:Farrow \mathbb{Z}$を
$c(f)$ $;=$ $\sum_{*\in I}\tau_{g}(\varpi(\frac{\partial f}{\partial a}),\varpi(a:))$, $f\in F$
$=$ $\sum_{k=1}^{n}\tau_{9}(\varpi(a_{1}^{e_{1}}1 a_{:_{k-1}}^{e_{k-1}}),\varpi(a_{\dot{\iota}_{k}}^{\epsilon_{k}}))$
,
$(f=a_{i_{1}}^{e_{1}}\cdots a_{j_{\hslash}}^{\epsilon_{n}},i_{1}, \ldots,i_{n}\in I,\epsilon_{j}\in\{\pm 1\})$により定める。$\neq_{\circ:}^{\delta}\in ZF$ は
Fox
自由微分を表し、$\tau_{g}(\cdot, \cdot)$ は双線型に拡張している。また、$\alpha:Farrow Z$ は $\alpha(a:)=1$ で定まる準同型とする。
Lemma
2.
1(Meyer 函数の春在判定と構成法)
$G=Art(\mathcal{G}, \{r_{j}\}_{J\in J})$ の時、1. $n\in N$に対して、
$n[\tau]=0\in H^{2}(G;Z)\Leftrightarrow$ ある $m\in \mathbb{Z}$が存在して、任意の$i\in J$に対して$n\cdot c(r_{j})=m\cdot\alpha(r_{j})$
2. 1. の状況で、$\phi:Garrow\frac{1}{\hslash}Z$を
$\phi(\varpi(x)):=-c(x)+\frac{m}{n}\alpha(x)$
,
$x\in F$により定めると、$\phi$は
well-d4ned
で、$\delta\phi=\tau$ となる。 すなわち$\phi$ は$\tau$ に関する Meyer函数となる。S. 1.
の状況で、Meyer
函数が一意に存在する必要十分条件はある$j\in J$について$\alpha(r_{j})\neq 0$ となること。3
種数
3
非超楕円的な族と非特異
4
次曲線
種数3の非超楕円的な
Riemann
面の普遍族を、非特異 4 次曲線を用いて構成したい。$\mathbb{P}$ で変数$x,$ $y,$$z$ に
関する複素係数斉次
4
次式のなすベクトル空間の射影化を表す。
Deflnition 3.1
$Q:=$
{
$F(x,$$y,$$z)\in P;C_{F}=\{[x:y:z]\in \mathbb{P}^{2}$ ; $F(x,y,$$z)=0\}$は非特異
}
$C$$:=\{(F,p)\in \mathcal{Q}xP^{2} ; p\in C_{F}\}$$\Phi$ $:=$
{
$(F,p)\in C$;
$p$は$C_{F}$上のフレックス
}
$Q”$$;=\{(F,p)\in\overline{Q}$ ; $p$は$C_{F}$上のハイパーフレックス
}
$Q’$ $:=Q\backslash Q’’$Remark
3.2
$(F,p)\in C$のとき、$P$が$C_{F}$上のフレックスであるとは、$P$における $C_{F}$の接練が$C_{F}$ と3次 以上の接触をすることである。$P$が$C_{F}$ 上のハイパーフレックスであるとは、 $P$における $C_{F}$の接線が$C_{F}$ と4次の接触をすることである。$\overline{Q},$$Q”$ および$Q’$ は以下の議論で補助的な役割を果たす。 $PGL(3)$は射影変換群として$P^{2}$ に、変数変換として$Q$に作用している。この作用は$PGL(3)$の$C,$ $Q,$$Q”,$$Q’$ への作用を誘導する。 さて $C$を種数3非超楕円的なRiemann
面とすると、 標準埋め込みにより $C$は$P^{2}$ に埋め込まれ、その像は非特異平面4次曲線である。逆に$C\subset \mathbb{P}$を非特具平面4次曲線とすると、添加公式から包含写像$C\subset P^{2}$
が標準埋め込みと同一視されることが分かり $C$は非超楕円的で種数は3となる。$M_{g}$ で種数$g$のコンパク
ト Riemann面のモジ$I$ライ空間、$\mathbb{H}_{g}$で超楕円曲線全体のなす$M_{g}$ の部分空間を表すことにすれば、次の
集合論的全単射が存在する。
$M_{3}\backslash \mathbb{H}_{\theta}\underline{\simeq}PGL(3)\backslash Q$
しかし$PGL(3)$の $Q$への作用は自由ではないため、 素朴な商空間は特異点を持つ。 これによる困難を避け
るため、ここでは普遍族を得るために、ホモトピー商(Borel構成)
$Q_{PGL(3)}:=EPGL(3)x_{PGL(3)}Q=EPGL(3)xQ/(eg,F)\sim(e,gF)$
$(e\in EPGL(3),g\in PGL(3),$$F\in Q$) を取ることにする。 ここで$p:EPGL(3)arrow BPGL(3)$ は普遍主
$PGL(3)R_{\text{。}}$
$p_{1}$: $Q_{PGL(3)}arrow BPGL(3),$ $[e,g]rightarrow p(e)$
は$Q$をファイバーとするファイバー束になる。同様に $C_{PGL(3)}$ および種数3非超楕円的なコンパクト
Riemarm
面の連続族 $C_{PGL(3)}arrow Q_{PGL(3)}$ (1) を得る。Deflnition
3.3
(
平面4
次曲線の写像類群)
$\Gamma^{Q}:=\pi_{1}(Q_{PGL(3)})$ とおき、平面4次曲線の写像類群と呼ぶ。 (1) を向き付けられた$\Sigma_{3}$バンドルと見たときのモノドロミー準同型を$\rho:r^{\mathcal{Q}}arrow r_{3}$と書く。族(1) は次の意味で普遍族と呼ぶに相応しい。以下では種数3非超楕円的なコンパクト
Riemann
面の連続族を種数3非超楕円的な族と呼んでいる。空間$B$上の種数3非超楕円的な族$\pi_{i}$ : $E_{i}arrow B$ $(i=0,1)$ が
あるとき、$\pi_{0}$ と $\pi_{1}$ がアイソトピックであるとは、$Bx[0,1]$ 上の種数 3 非超楕円的な族$\pi$: $Earrow Bx[0,1]$
が存在して、$\pi$ の $Bx\{i\}$への制限が
Riemann
面の連続族として$\pi_{i}$:
$E_{:}arrow B$ に同型$(i=0,1)$ であるこ ととする。 記号$NH_{3}(B)$ で、$B$上の種数3非超楕円的な族のアイソトピー類全体のなす集合を表す。アイ ソトピーの定義から、$B$から $\mathcal{Q}_{PGL(3)}$への連続写像により普遍族を引き戻す写像 $K:[B, Q_{PGL(3)}]arrow NH_{3}(B)$, $[f]arrow[f^{r}C_{PGL(3)}]$ はwell-definedである。 Proposition3.4
($Q_{PGL(3)}$の普遁性) 任意の空間$B$ に対して$K:[B, Q_{PGL(3)}]arrow NH_{3}(B)$ は全単射。 延里: 種数3の非超楕円的な族$\pi$ : $Earrow B$に対して、各ファイバーの正則1型式の基底の空間を集めて$P(E)=$
{
$(t,$$(\omega_{1},w_{2},w_{3})mod\mathbb{C}^{*})$; $t\in B,$ $w_{1},w_{2},\omega_{3}$は$H^{0}(\pi^{-1}(t);K_{\ell})$の基底
}
とおくと、 これは$B$上の主$PGL(3)$ 束となる。$\Phi$
:
$P(E)arrow \mathcal{Q}$ を、$\Phi(t, (w_{1},w_{2},w_{3})modC^{r}):=$
(
$\pi^{-1}(t)$ を $(w_{1},w_{2},w_{3})$により $\mathbb{P}^{2}$に埋め込んだ像の定義方程式
)
により定めるとこれは$PGL(3)$ 同変であるから $\Phi_{PGL(3)}$ :$P(E)_{PGL(3)}arrow Q_{PGL(3)}$ が定まる。一方、 自然 な写像$T:P(E)_{PGL(3)}=EPGL(3)x_{PGL(S)}P(E)arrow PGL(3)\backslash P(E)\cong B$ は可縮な空間
EPGL
(3)をファイバーとするファイバー束であるからホモトピー同値である。$T$のホモトピー逆を$\zeta$: $Barrow P(E)_{PGL(3)}$ と
し、$f:=\Phi_{PGL(3)^{\circ}}\xi$とおく。$\pi:Earrow B$に対して$f$のホモトピー類を対応させる写像が $K$の逆を与える。 $\blacksquare$ また、 次も分かる。
Lemma 3.5
$tO$ と $Q’$の非萄輿性)1.
$\overline{Q}$ は$C$ の中の余次元1の非特具連結部分多様体。2.
$Q”$は$\mathcal{Q}$ の中の余次元1の非特具連結部分多様体。4
主結果
今回の主結果を述べる。 $Th\infty rem4.1$ 1. $\rho^{s}[\tau_{3}]=0\in H^{2}(\Gamma^{Q};\mathbb{Q})$ 2. $H^{1}(\Gamma^{Q};\mathbb{Q})=0$S. 〆$\tau_{3}$ に関する Meyer函数$\phi^{\mathcal{Q}}$: $\Gamma^{Q}arrow \mathbb{Q}$が一意に存在する。
Remark
4.2最近、2.
についてはより強く、$H_{1}(\Gamma^{Q};Z)=Z/9Z$であることが分かった。2.
についての証明は以下省略する。
以下では$Th\infty rem4.1$の最初の主張の証明について述べる。
Lemma
4.3写像$g:\overline{Q}arrow Q_{PGL(3)}$,
$(F,p)rightarrow[e_{0}, F]$ の誘導する群コホモロジーの間の写像$g^{t}$:
$H^{2}(\Gamma^{Q};\mathbb{Q})arrow$$H^{2}(\pi_{1}(\overline{Q});\mathbb{Q})$ は単射である。
この補題により、最初の主張の証明のためには$\rho og_{r}$ による $\tau_{3}$ の引き戻しを$\overline{\tau}\in Z^{2}(\pi_{1}(\overline{Q});Z)$ と書くと
5
$E_{6},$$E_{7}$型
Artin
群と平面
4
次曲線
ここでは$\pi_{1}(\overline{Q})$ が
Artin
群の商群として表示されることを説明し、$[\overline{\tau}]=0\in H^{2}(\pi_{1}(\overline{Q});\mathbb{Q})$ の証明の概略を示す。 まず天下りであるが、次の定義をする。
Deflnition 5.1
$V_{6}$ $:=\{F\in Q;F(x,y,z)=x^{4}+y^{3}z+a_{1}x^{2}yz+a_{2}xyz^{2}+a_{3}x^{2}z^{2}+a_{4}yz^{3}+a_{6}xz^{3}+a_{6}z^{4}\}$
$V_{7}$ $:=\{F\in Q ; F(x,y,z)=x^{3}y+y^{3}z+a_{1}x^{4}+a_{2}x^{3}z+a_{3}xyz2+a_{4}x^{2}z^{2}+a_{5}yz^{3}+a_{6}xz^{3}+a_{7}z^{4}\}$
空間$V_{6},$$V_{7}$ はそれぞれ$E_{6},$ $E_{7}$特具点の半普遍変形空間の
smooth locus
に一致する。([6] や[8] を参照)。特に、$[3][4]$ より $\pi_{1}(V_{6})\cong Artin(E_{6}),$ $\pi_{1}(V_{7})\cong Artin(E_{7})$である。 ここで
Artin
$(E_{i})$ は$E_{1}$型のDynhn図形をグラフと思って定義される
Artin
群である。 その頂点に対応する生成元を$\alpha_{j}$ と表すことにする。$V_{6},$$V\tau$の上には自然に4次曲線族がある。これの$\Sigma_{3}$束としてのモノドロミー準同型について、次が知られている。
Theorem 5.2
(A’Campo [1])1. 各$j$に対して$\alpha_{j}$ は、$\Sigma_{3}$上の非分離的なある単純閉曲線$c_{j}$ に沿う左
Dehn
ツイスト $t$計にうつる。
2.
相異なる$j,$$k$に対して $Cj$ と $c_{k}$ の $\Sigma_{3}$上での幾何学的交点数は $\alpha_{j}$ と $\alpha_{k}$ が隣合うとき1で、 隣合わない とき $0$である。 「左」Dehn
ツイストとなるのは我々のモノドロミー準同型の決め方による。多くの文献では右Dehn
ツイ ストで書いてある。 図に見るように、曲面にDwin
図形の形をした単純閉曲線のチェインが埋め込まれた 格好になっている。 $|=6$ $i=7$$c(E_{6})=(\alpha_{1}\cdots\alpha_{6})^{12},$ $c(E_{7})=(\alpha_{1}\cdots\alpha_{7})^{9}$とおく。 これはそれぞれ
Artin
$(E:)$の中心の生成元を与えてい る。上の図と Meyerコサイクルの定義に基づいて、次を計算した。$c$は、モノドロミー準同型Artin
$(E_{1})arrow\Gamma_{3}$によるMeyer コサイクルの引き戻しから
Lemma
21に出てくる $c$の様に構成した自由群$F=F(\alpha_{1}, \ldots,\alpha:)$上の 1-コチェインである。 Proposition5.3
$c(c(E_{6})^{3})=-120$
,
$\alpha(c(E_{6})^{3})=216$ $c(c(E_{7})^{\theta})=-105,$ $\alpha(c(E_{7})^{3})=189$また、包含写像$V_{6}arrow Q’’,$$Frightarrow(F, [0:1:0])$および$V_{7}arrow Q’,$$Frightarrow(F, [0:1:0])$ をあるファイバー束の
ファイバーから全空間への包含と見倣すことにより、 そのホモトピー完全列から次が分かる。
$Th\infty rem5.4$ 包含準同型$\pi_{1}(V_{6})arrow\pi_{1}(Q’’)$および$\pi_{1}(V_{7})arrow\pi_{1}(Q’)$ は全射で、 核は$c(E:)^{3}$が生成する。
さて、Lemma 3.5から $\overline{Q}$は連結複素多様体で、$Q”$ は $\overline{Q}$ の非特異因子である。 よって、群の完全列 $1arrow\langle\sigma)arrow\pi_{1}(Q’)arrow\pi_{1}(\overline{Q})arrow 1$ が存在する。ここで$\sigma$は$\overline{Q}$の周りを一周するあるループ( なげなわ)である。局所方程式を調べることによ り、 なげなわ$\sigma$ を具体的なループとして求めることができる。
Lemma
5.5
$\epsilon$ を十分小さい正数とするとき、$V\tau$のループ$\ell(t)=x^{S}y+y^{3}z+s^{-2}x^{4}++s^{-6}z^{4},$ $s=e^{2\pi\sqrt{-1}t},$ $0\leq t\leq 1$
は$Q’$のループと見ると、なげなわ$\sigma$を表す。
特に、$Th\infty rem5.4$ とあわせて$\pi_{1}(\overline{Q})\cong Art(E_{7}, \{c(E_{7})^{3}, \sigma\})$ となる。$\sigma$の語表示については現在得られて
いないが、$c$や$\alpha$の幾何的意味を用いることで、 次を証明することができる。
Proposition
5.6
$c(\sigma)=30$,
$\alpha(\sigma)=-54$ここで、
Lemma
2.1を適用すると $c:\alpha=-5:9$であるので、$[\overline{\tau}]=0\in H^{2}(\pi_{1}(\overline{Q});\mathbb{Q})$が分かる。6
局所符号数
$Th\infty rem4.1$ の$\phi^{Q}$ を用いて種数
3
非超楕円的な族のファイバー芽に対して局所符号数を定義する。$\Delta$ を2 次元の向き付けられた閉円板、$P$をその中心とする。4次元多様体$E$ と、$c\infty$ 写像$\pi$
:
$Earrow\Delta$があり、$\pi$の$\Delta\backslash \{p\}$への制限が種数 3 のコンパクト
Riemann
面の可微分族になっていて、 各ファイバーに定まる複素構造が非超楕円的なものであるとき、4 つ組 $(E, \pi, \Delta,p)$ を種数3非超楕円的な族のファイバー芽と呼ぶ
ことにする。 中心ファイバー$\pi^{-1}(p)$ は必ずしも位相的に退化していなくてもよい。 この様な組$(E, \pi, \Delta,p)$
と $(E’, \pi’, \Delta’,p’)$ が同値であるとは、$\Delta,$$\Delta’$
をともに小さく取り直すと $(\Delta,p)$ から $(\Delta’,p’)$ への向きを保つ
微分同相写像$\varphi$ と $\pi^{-1}(\Delta)$から$\pi’-1(\Delta’)$ への向きを保つ微分同相写像$\tilde{\varphi}$が存在して
$\varphi$。$\pi=\pi’0\tilde{\varphi}$が成り
立ち、 更に$\tilde{\varphi}|_{\pi^{-1}(\Delta\backslash \{p\})}$
:
$\pi^{-1}(\Delta\backslash \{p\})arrow\pi^{\prime-1}(\Delta’\backslash \{p’\})$ が各ファイバーごとに双正則となっているときを言う。
記号$\mathcal{N}\mathcal{H}_{3}$ で、組$\mathcal{F}=(E, \pi, \Delta,p)$
の同値類全体のなす集合を表す。$\mathcal{F}=(E, \pi, \Delta,p)\in \mathcal{N}\mathcal{H}_{3}$ に対して、$\gamma$
で、$\Delta$
の境界を反時計周りに一周するループを表す。$\pi|_{\Delta\backslash }..-$
, は種数3非超楕円的な族であるから、$Th\infty rem$
$34$ により写像$g:\Delta\backslash \{p\}arrow Q_{PGL(3)}$ が存在して $\pi|_{\Delta\backslash \{p\}}$ と $g^{*}C_{PGL(3)}$ はアイソトピックとなる。
$\gamma$ を
$\pi_{1}(\Delta\backslash \{p\})$の元と見ることにより、$g_{*}([\gamma])\in\Gamma^{Q}$が定まる。
Deflnition 6.1 (
種数3
非超楕円的なファイバー穿に対する局所符号数)
loc.$sig^{Q}$:
$\mathcal{N}\mathcal{H}_{3}arrow \mathbb{Q}$ をloc.$sig^{Q}(\mathcal{F})=\phi^{Q}(g_{2}([\gamma]))+Sign(E)$
次に一般ファイバーが種数3非超楕円的な
Riemann
面になっているようなファイバー空間を定義する。Deflnition 6.2
$E$および$B$をそれぞれ次元が4と2の $c\infty$級有向閉多様体、$\pi:Earrow B$ を$c\infty$ 級写像とする。有限個の点$b_{1},$
$\ldots,$$b_{n}\in B$が存在して、$\pi$の$B\backslash \{b_{1}, \ldots, b_{n}\}$への制限が種数 3コンパクト
Riemann
面の可微分族になっていて、各ファイバーに定まる複素構造が非超楕円的なものであるとき、$\pi:Earrow B$ を
一般ファイバーが種数 3 非超楕円的なファイバー空間と呼ぶ。
Meyer
の符号数公式[10] を用いて次が示される。Theorem 6.3
(符号数の局所化公式) $\pi:Earrow B$を一般ファイバーが種数3非超楕円的なファイバー空間、$\mathcal{F}_{j}\in N\mathcal{H}_{3}$ を $b_{j}\in B$に対応するファイバー芽とすると、
Sign$(E)= \sum_{j--1}^{n}1oc.sig^{Q}(F_{j})$
証明: $F_{j}=(\pi^{-1}(D_{j}),\pi, D_{j}, b_{j})$ と書いて、$B_{0}=B\backslash u_{j}^{n}=1D_{j}$ 。
とおく。
WMeyer
の符号数公式 ([10],$p.2u,Satzl)$ より
Sign$( \pi^{-1}(B_{0}))=\sum_{j--1}^{n}\phi^{Q}(g_{j_{*}}(\gamma_{j}))$
となるので、符号数の
Novikov
加法性より、Sign$(E)$ $=$ Sign$( \pi^{-1}(B_{0}))+\sum_{j--1}^{n}Sign(\pi^{-1}(D_{j}))$
$=$ $\sum_{j=1}^{n}\phi^{Q}(g_{j_{*}}([\gamma_{j}])+\sum_{j--1}^{n}Sign(\pi^{-1}(D_{j}))$
$=$ $\sum_{j--1}^{n}1oc.sig^{Q}(F_{j})$
となる。 $\blacksquare$
Corollary
6.4
$B$ を有向閉曲面、$\pi:Earrow B$を種数3 コンパクトR-emann
面の可微分族で、各ファイバーは非超楕円的であるとする。 このとき、 Sign$(E)=0$
7
計算例
以下$\Delta$は複素平面の原点を中心とする十分小さい閉円板としその座標を $s$ とする。1.
特異4次曲線全体のなす集合$D^{Q}=P\backslash Q$ はディスクリミナントと呼ばれ、$P$の既約な因子である ことが知られている。$D^{Q}$ の非特具点のまわりを一周するループ (なげなわ) を $\sigma^{Q}$ とする。 対応し て、$D^{Q}$ と一般の位置で横断的に交わる $\Delta$ からの写像で4次曲練族を引き戻して作ったファイバー 芽を$\mathcal{F}_{I}$ とする。 中心ファイバーの位相形は、$\Sigma_{3}$上の非分離単純閉曲線を一点につぶして得られる、Lefschetz
のI型である。$\pi_{1}(Q)$上$c:\alpha=-5:9$であることと、$\sigma\in\pi_{1}(Q’)$ が$\sigma^{Q}$にうつるというこ とから、 次が分かる。
Proposition 7.1
loc.$sig^{Q}(\mathcal{F}_{I})=\phi^{Q}(\sigma^{Q})=-\frac{5}{9}$
2.
非特異なコニック $C$:yz-x2
$=0$に8点で交わるような斉次4次式$F$をとり、$(yz-x^{2})^{2}+s^{2}F(x, y, z)=$$0$で定まる $\Delta xP^{2}$の曲面を$S_{F}$ とする。$S_{F}$は$C$上特異点を持つ。$\Delta x\mathbb{P}^{2}$ を $C$に沿ってブロウアッ
プして、$S_{F}$ の狭義引き戻しを $\overline{S_{F}}$
とすると、例外因子は、$C$に二重被覆を持っ非特具な種数3の超
楕円曲線となる。$p_{1}$ を第一成分への射影とするとファイバー芽$\mathcal{F}_{h}=(\overline{S_{F}},p_{1}, \Delta, 0)$ ができる。 対応し
て $Q$のノ–$\text{フ^{}p}$
$\ell_{h}$ を$P_{h}(t)=(yz-x^{2})^{2}+(\epsilon e^{2\pi\sqrt{-1}t})^{2}F(x, y, z)$ とおく。
Proposition
7.2
(
超楕円的なフアイパー諄の局所符号数)
loc.
$sig^{Q}(\mathcal{F}_{h})=\phi^{Q}([\ell_{h}])=\frac{4}{9}$3.
$z^{3}x+y^{2}x^{2}+y^{4}+s^{6}x^{4}=0$で定まる $\Delta xP^{2}$ の曲面を$S$ とする。$p_{1}$: $Sarrow\Delta$ について、$C_{2}=p_{1}^{-1}(0)$はカスプ特具点を1つだけもつ。$S$ の最小特異点解消$\varpi$ : $\tilde{S}arrow S$を取ると、例外曲線は自己交叉数
$-1$の楕円曲線$C_{1}$ となる。フアイパー芽$\mathcal{F}_{II}=(\tilde{S},p_{1}\circ\varpi, \Delta, 0)$ の中心ファイバーの位相形は$C_{1}$ の
一点と砺のカスプ特具点を同一視したものになり、
Le&chetz
のII
型である。 対応して $Q$のループ$\ell_{II}$ を$\ell_{II}(t)=z^{3}x+y^{2}x^{2}+y^{4}+(\epsilon e^{2\pi\sqrt{-1}t})^{6}x^{4}$ とおく。
Proposition
7.3
(II 型フアイパー穿の局所符号数)
1oc.sig $( \mathcal{F}_{lI})=\frac{1}{3}$
,
$\phi^{Q}([\ell_{II}])=\frac{4}{3}$以上の計算結果は、$|2$]$|13$] にあるものと一致する。
4.
$f(x, y, z),$$g(x, y, z)$を$0$でない斉次4次式で、その定める4次曲線$C_{f},C_{g}$ が横断的に交わっているも
のとする。$f(x, y, z)+sg(x, y, z)=0$で定まる $\Delta x\mathbb{P}^{2}$ の曲面を$S$ とし$p_{1}$: $Sarrow\Delta$ とする。 ファイ
バー芽$\mathcal{F};=(S,p_{1}, \Delta, 0)$ に対応して $Q$のノレープ$p_{f}$ を$\ell_{f}(t)=f(x, y, z)+\epsilon e^{2\pi\sqrt{-1}t}g(x, y, z)$ とおく.
Proposition 7.4上の設定で、$\pi^{-1}(0)$ の
Euler
数を$\chi$、 $\sigma=Sign(S)$ とおく。 このとき、loc.$sig^{Q}(\mathcal{F}_{f})=-\frac{5\chi+20}{9}$
,
$\phi^{Q}([\ell_{f}])=-\frac{5\chi+20}{9}-\sigma$参考文献
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