デ ル に よ る 中空 円柱供 試 体 の 非軸 対 称分 岐解 析
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(2) 試 体 の 中 心 に あ り,z軸. はそ の 対 称 軸 に 一致 す る よ. う な 円 柱 座 標(r,θ,z)を 採 用 す る.供. 試 体 は軸 方 向 に. 粘 土,砂 質 土 にお い て は,平 均 有 効 応 力 が 大 き い程, せ ん 断強 度 が 大 き いの で,本 報 告の よ うな 均 一 多 軸. 変 位 制 御 で 圧 縮 し,側 方 荷 重 は 水 圧 一 定 条 件 と す る.. 状 態 にお け る分 岐 荷 重 は 軸 応 力 σaや応 力 差qで な く,. Cauchy応. q/p'が 物 理 的 に は最 も合 理 的 な 分 岐 荷 重の 定 義 で あ る と考 え る.. 力Tij(i,j=r,θ,z)等 は 引 張 を 正,圧. とす る が,ギ 水 圧u等. リシ ャ文 字 の 全 応 力 σi(i=r,θ,z),間 隙. は 土 質 力 学 の 慣 例 に 従 い 圧 縮 を 正 とす る.. ま ず,Cauchy応 水 圧uの. 縮 を負. 力T,有. 効Cauchy応. 力T'と. 間隙. 間 に 有 効 応 力 原 理 が 次 式 で 与 え られ る.. (1) こ こ で,Iは. 3. 有 限 変 形Cam‑clayモ. デル. 有 限変 形Cam‑clayモ デ ル の 構成 式 を参 考 文 献1) にな らい次 式 で与 え る.. 単 位 テ ン ソル で あ る.ま た,前 述 した. よ う に,均 一 変形 状 態 か ら非 均 一 変 形 状 態 へ の 分 岐 を 対 象 とす る ため,分 岐 の 生 じる瞬 間,時 刻t=tま で は 均 一 状 態 が保 たれ て い る と し,分 岐 の 瞬 間 まで. (4). は有 効 応 力 お よ び 間 隙水 圧 は均 一 で あ る とす る.ゆ え に,均 一 状 態の 場 合,時 刻t=tで の 全 応 力 は, こ こ で,β=β/√3,τ=√SijSij/2で. (2). は. 有. 効Cauchy応. 力. T'=T'‑WT'+T'Wで 速 度,Wijは と な る.こ. こ で,σ'a(σ'z│z=±H)は. 軸 方 向 の 有 効 応 力,. σ'b(σ'r│r=RO,RI)は側 面 上 の 有 効 応 力 で あ る.平 応 力p',応. 力 差qは. 均 有 効. のJaumann. 定 義 さ れ る.ま ス ピ ン,δijはKroneckerの. せ ん 断 係 数Gお 比υ,間. あ る.ま. rateで, た,Dijは. 変 形. 記 号 で あ る.. よ び 体 積 弾 性 係 数Kは,ボ. 隙 比eお. た,商. ア ソ ン. よ び 膨 潤 指 数 κ を 用 い て,. 次 の よ う に 定 義 さ れ る.. (3) こ こ に,SはCauchy応 な お,本. 報 告 で は,分. 力Tの. 均 有 効 応 力p'の. 比q/p'を. 偏 差 応 力 で あ る.. 岐 時 に お け る 応 力 差qと. 平. も っ て 「分 岐 荷 重 」と 呼 ぶ.. で 与 え られ,β. は 限 界 パ ラ メ ー タM5)と. 応力 比. q/p'を 用 い て,. で 与 え られ る.hは,. で,hは. 硬 化 係 数 で ダ イ レ イ タ ン シ ー 係 数D6)を. 用. い て,. で 与 え られ る. 透 水 係 数 をk,水. 図‑1 分 岐 直 前 の 中 空 円 柱 供試 体 概形 図. ―538―. の 密 度 γw=1と. し,位. 置水 頭が.
(3) 無 視 で き,水. 圧 水 頭u/γwの. み と す る と,間. 隙水 の. は,ほ. と ん ど 見 ら れ な い.し. 試 験 に よ る そ の 存 在,ま. 連 続 式 は,. 研 究 は,最. (5). な お,本. 論 文 で も 上 記h1は,参. 均 一 変形 状 態 か ら非 均 一 変 形 状 態 へ の 分 岐 問 題 を. 考 文 献1)の. 述 の5,6節. 表 現を. で示 す解 析解 に. はh1の 具 体 形 は 不 要 で あ る. 結 局,均. る.. た , 存 在 の 必 要 性 を 示 した. 近 精 力 的 に 行 な わ れ て い る1)2)3)4)7).. そ の ま ま 用 い るが,後. とな る.こ こで △ は微 分 演 算 子 で ラ プ ラ シア ンで あ. か し,中 空 円 柱 ね じ り. 一 変 形 か ら分 岐 瞬 間 時 の 有 限 変 形Cam‑. clayモ デ ル の 構 成 関 係 は 式(8),(9)で. 与 え られ る.. 対象 とす るた め,分 岐 の 生 じる瞬 間 まで は排 水 条 件 が 存 在 して もか まわ な いが,均 一 状 態 が 保 たれ て い る と し,有 効 応 力 お よび 間 隙水 圧 は 均 一 に保 たれ て い る と考 え るの で,△u=0と. 4.. 支配方程式. 中空 円 柱供 試 体 は,分 岐 の 生 じ る直 前 ま で均 一 に. お け 式(5)は,. 変 形 し,さ ら に それ 以 降の 均 一 変 形 も次 の軸 方 向変. (6). 形 の 増 大 に お い て も可 能 な解 の 一 つ で あ る.分 岐 は, 次 の 軸 方 向変 形 の 増 大 にお いて 均 一 変 形 とは異 な っ. とな る.式(6)を. た解,つ. 考 慮 す る と 式(4)は 次 式 と な る.. ま り,非 均 一 な変 形 を 示 す 解 が 存 在 す る と. き に生 じ る とす る.. (7). な お,分 岐 が 実 際 に生 じる ため に は,そ の 時 の 均 一 解 が不 安 定 とな る必 要 が あ る.弾 性体 で は,解 の 唯一 性 が な くな る時,そ の均 一 解 は不 安 定 とな るが,. 本 報 告 で は,式(6),(7)は. 次 の よ う に 変 形 で き る.. 弾 塑 性体 で は,そ の 場 合 で も均 一 解 が依 然 安 定 で あ る こ と もあ る8).す な わ ち,弾 塑 性 体 の 場 合,こ の 安 定 性 を 吟 味 す る た め に は,負 荷,除 荷 領 域 を考 慮 した あ らゆ る仮 想 速 度 場 を 想 定 した 増 分 解 が 必要 と な る.梁 構 造 な どの よ うに,変 形 が 比較 的単 純 な場 合 は,そ の よ うな 安 定 性 を 吟 味 す る こ と は可 能 で あ. (8). るが,本 報 告 の よ うな 連 続 体 の 場 合,仮 想 速 度 場 を 特 殊 な もの に 限 定 せ ず,除 荷領 域 を 含 め た一 般 的 な 仮 想 速 度 場 を 想 定 した場 合 の安 定 性 の 吟 味 は非 常 に 難 し く,著 者 らの 知 る 限 り,そ れ に 関す る報 告 は皆 無 で あ る.. こ こで,μ*,μ. は そ れ ぞれ45度. せ ん 断 に お け るせ. ん 断 係 数 、 単 純 せ ん 断 係 数 で,次 式 で 与 え られ る.. した が って,本 報 告 での 分 岐解 も,そ の 分 岐 解 へ 移 行 す る可 能 性 の 範 囲 内で の議 論 で あ る.し か しな が ら,現 実の 物 質 で は,注 意 深 く均 一 な 供 試 体 を 作 成 して も,何 らか の 初 期 不 整(試 験 機,偏 心 荷 重 や 両 端 摩擦 な どの 不 整 を含 む)が 存 在 す るか ら,均 一. (9). 変 形 は,不 安 定 的 で あ り,初 期 不 整 の性 質 に もよ る が,通 常,最 小 分 岐荷 重 で 分 岐 す る と考 え る こ とが で き る8).. こ こ でh1は 第2硬 タA,平. 化 係 数 と 呼 ば れ,非. 均 有 効 主 応 力p',さ. 共 軸 パ ラ メー. らに β を 用 いて 次 式. 4.1 増分 釣 合式 準 静 的 で 物体 力 の な い場 合 を考 え る と,増 分 釣 合. で 仮 定 さ れ る.. 式 は次 式 の よ う にな る. (10) こ こ で,Stは. こ こ で,A=0で. 共 軸 モ デ ル,A>0で. 非 共 軸 モデ ル. T,速 れ る.. を 表 す. 現 在 まで,非 共 軸 性 を 詳 細 に検 討 した 定 量 的 実 験. ―539―. 全 公 称 応 力 速 度 で あ り,Cauchy応. 度 勾 配L,変. 形 速 度Dを. 力. 用 い て次 式 で 定 義 さ.
(4) (11). 構 成 式(8)を増 分 釣 合 式(15)に 代 入 した もの は,速 度勾 配 に 関 して線 形 に な っ て い るの で,供 試 体 の変. こ こ で,式(1)の. 有 効 応 力 原 理 を 式(11)に 代 入 す る と,. 形 を 均 一 変 形 と非 均 一 変形 か ら構 成 され る もの と考 え,増 分 境 界 値 問 題 の解 は 次 の よ うに,均 一 境 界 条. (12). 件 と非 均 一 境 界 条 件 の解 の 和 とな る. a) 均 一 境界 条 件. と な る.分. 岐 の 生 じる 瞬 間,時. 刻t=tま. で は有 効 応. 力 お よ び 間 隙 水 圧 は 均 一 で あ る と す る の で,式(6)を 用 い る と,. (13) とな る.増. b) 非 均 一 境界 条 件. (18). 分 釣 合 式 は 式(13)をdivLT=grad(trD)=0,. ま た有 効 応 力 が 分 岐 の 瞬 間 ま で 均一 で あ る こ とを考 慮 して,式(10)に. 代 入 す る と 次 式 と な る.. この と き,均 一 な変 形 は増 分 釣 合 式,境 界条 件 を 自. (14). 動 的 に満 足 す るた め,求 め るべ き分 岐 条 件 式 は増 分 釣 合 式(15)と 非 均 一 変形 に寄 与 す る境 界 条 件 よ り求 め られ る.以 下,非 均 一境 界 条 件 を も って 境 界 条件. 結 局,円 は,次. 柱 座 標(r,θ,z)を 用 い る と,増. 分 釣 合 式(14). と呼 ぶ. 以 上 よ り分 岐 の 支 配 方 程 式 は 次 の よ うに な る.. 式 の よ う に 表 せ る.. 増分釣合式. (15). 4.2. 境界条件. 図‑1の. よ う に 境 界 条 件 は,中. 端 部(z=±H)で w0(>0)に. は,摩. 空 円柱 供試 体 の上 下. 擦 な し で,か. よ る 変 位 制 御 圧 縮,外. (r=RO,RI)で. 境界条件. つ 一 定速 度 側 面,内. 側 面. は 側 方 水 圧 一 定 条 件 とす る と,. 5.. 特 性 方 程 式 に よる支 配 方 程 式 の分 類. 上 下 端(z=±H)の. (16) と な る.こ あ る.な. こ で,σb(=σ'b+u)は. お,間. 側 圧(全. と 同 様 な 条 件 と な り,結 要 と な る.ま. 局,間. 度成 分 および 間. 次 の よ う に お く.. 応 力)で. 隙 水 の 境 界 条 件 の 内,排. は 式(6)の 直 前 に 述 べ た 理 由 に よ り,非. 境 界 条 件 か ら,速. 隙 水 の 未 知 関 数vi(i=r,θ,z),uを. 水境界条件 排水境界条件. (19). 隙水 の境 界 条 件 は不. た,St(St)i,i=r,θ,z)は. 全 公 称表 面 力. 速 度 で あ り,全. 公 称 応 力 速 度St,各. 線 ベ ク トルnを. 用 い て 次 式 で 定 義 さ れ る.. 々の 面 の 単 位 法 こ こ で,km=mπ/2H,m,n=0,1,2,…. (17). ―540―. だ し,変. 形 モ ー ドを 示 す 整 数mが. で あ る.た 偶 数 の と き,上. 下.
(5) 面の 境 界 条 件 を 満足 す る ため にz座 標 の 原 点 をH/m. EC領 域. だ け 移 動 させ る必 要 が あ る.ま た,Vi(r),U(r)は. H領 域. 未 知 関数 で あ る.本 報 告 に お い て はす べ り面 が 最 初. P領 域. に入 る位 置 を 考 察す るた め に未 知 関 数Vi(r)の み を 求 め る.式(8),(15)を. 用 い る と,支 配 方 程 式 は 次 式 の. ま た,式(24)の. ね に 虚 数 で あ る.ゆ. よ うに な る.. しな い.支. (20) (21). え に 式(21)は 領 域 の 分 類 に 寄 与. 配 方 程 式,お. 界条. ま っ た く変 わ ら な. い 形 と な っ て い る. 配 方 程 式 の 分 類 に 基 づ き,式(20),(21),(22). か ら,Vi(i=r,θ,z)の. こ こ で,Li(i=1〜4)は. よ び そ の 分 類 に は,境. 件 は 含 ま れ な い の で 参 考 文 献2)と ま た,支. と お い て い る.ま. 解 は 現 実 的 な応 力 状 態 の 範 囲 で はつ. 一 般 解 は 次 式 の よ う に な る.. た,. (22). (26) こ こ で,Ci(i=1,2,…,6)は は 第n次. で あ り,α1,α2お よ び α3は 次 式 を 満 足 す る.. n次. (23) (24). の 第1種. の 第2種. ベ ッ セ ル 関 数,Yn(n=0,1,2,…)は. 第. ベ ッ セ ル 関 数 を 示 す.. 6. 分 岐 条 件 式 分 岐 条 件 式 は 側 面(r=RO,RI)の て,Ci(i=1,2,…,6)の て 得 られ る.な. こ こ で,. 未 定 定 数 で 以 下Jn(n=0,1,2,…). 合EC領. 境 界条件式 にお い. 非 自明 な解 が 存 在 す る条 件 と し. お,最. 小 の 分 岐荷 重 は ほ とん どの 場. 域 で 生 じ る の で,本. 報 告 で はEC領. 域のみ. を 考 察 した.. (25). EC領. 域 の分 岐 条 件 式. 式(23)で 与 え ら れ る4つ. で あ る. a,bお. の 複 素 数 解 α1,α2は 共 役. な 複 素 数 で あ り,α,α=P±iQ(P>0,Q>0)と. よ びcは 応 力 の 関数 で あ り,ゆ え に 供 試. PとQの. お くと. 間 に は 次 の 関 係 式 が 得 られ る.. 体 内 の応 力 状 態の 変 化 に と もな い 式(23)の 実 数 解 の 存 在 個 数 が 異 な り,実 数 解 の 存 在 個 数 が0,2お び4個. よ. (27). に対 応 して支 配 方 程 式(20)は それ ぞれ楕 円 型. (E),放 物 型(P)お よ び双 曲 型(H)に 分 類 され る.E領 域 は解 の 形 に よ り更 に二 つ の 領 域 に分 類 で き4つ の 複素 数 解 の 場 合 を(EC)領 域,4つ. の虚数解の場 合を. (EC)領 域 と分 類 す る.な お,そ れ ぞ れ の 領 域 の 判 別 条件 は次 式 で 与 え られ る. EI領 域. ―541―. ま た,式(26)のVi(i=r,θ,z)は. 次 式 の よ う に な る..
(6) (28) た だ し,ρ の 第1種 次 の 第2種. は α3=iρ で あ り,In(n=0,1,2,…)は. 修 正 ベ ッセ ル 関 数,Kn(n=0,1,2,…)は. 第n次 は 第n. 修 正 ベ ッ セ ル 関 数 を 示 す.. 側 面(r=RO,RI)の. 境 界 条 件 式 に 速 度 場 の 一 般 解,つ. ま り式(28)を 代 入 す る こ と に よ り次 式 を 得 る.. 式(29)に. お い て,ci(i=1,2,…,6)の. る と き,つ. ま りci(i=1,2,…,6)の. 零 に な る と き,分. 非 自明 な解 が 存 在 す 係 数 行 列 の 行 列 式 が. 岐 が 生 じ る.. 7. 分 岐 荷 重 の 解 析 結 果 お よ び 考 察 本 報 告 に お いて は,梅 田層 粘 土 の 土 質 パ ラ メ ー タ の 値υ=0.333,κ=0.042,e=15,D=0.053, M=1.43を 用 い る9).ま. た,非 共 軸 パ ラ メ ー タAの. 値 に 関 して は 参 考 文 献1)の 考 察 に な ら いA=0.01を 用 い る.し た が っ て,A=0.01と す る本 報 告 は,試 行 的 な もの で あ るが,い ず れ に して も非 共 軸 項 が な い共 軸 モ デル で は,実 際 現 象 を 説 明 で き な い実 例 が (29) た だ し,ξi,ξi(i=1,2,…,6)は. 以 下 の よ う な 関 数 と す る.. 多 々 あ る こ と が 分 か って き て い る.本 報 告 で も,そ の 例 を後 で 示 す. まず,非 共 軸 性 の 妥 当 性 を 示 す た め に,図‑2に. 中. 実 円 柱 供 試 体 の 共 軸 お よ び 非 共 軸Cam‑clayモ デル の場 合 にお け る 「分 岐荷 重 」 と分 岐 時の 「供 試 体 寸 法 比 」 の 関係 を示 す.共 軸 モデ ル にお い て軸 対称 の バ ル ジ型 の分 岐荷 重が 存 在 しな い の は参 考 文献7)で 述 べ た 通 りで あ る.実 際現 象 に お いて,円 柱 供試 体 の 圧 縮試 験 で しば しば 見 られ る,軸 対 称 のバ ル ジの よ う な変 形 を 共 軸 モ デル で は 説 明で きな い 点 を指 摘 して お く.ま た,非 軸 対 称 座 屈 型 の 分 岐 荷 重 は存 在 す る が極 め て 細 長 い供 試 体 に限 られ る こ と も参 考 文 献2)に 述 べ た通 りで あ る.し か し,非 共 軸 モ デル で は こ の よ うな 軸 対 称 の バ ル ジ型 の変 形が 生 じ る事 を 説 明 で き,様 々な 寸 法 比 で 座屈 型 の 分 岐 が 生 じる こ とが わか る.ま た,非 共 軸 モ デ ル は,共 軸 モ デル に 比 べ て,理 論 的 に分 岐 の促 進 効 果が あ る事 が 説 明 で き る. 中空 円柱 供 試 体 の各 変 形 モー ドに お け る 分 岐 荷 重 につ い て考 察 す る.分 岐 条 件 式 は分 岐荷 重q/p',分 岐 時 の 供 試 体 寸 法 比R/H,変 軸 パ ラメ ー タAの. ―542―. 形 モ ー ドm,n,非. 共. 陰 関数 で 与 え られ るの で,変 形 モ.
(7) 図‑2 分 岐 荷 重 と モー ドお よび 供 試 体 寸 法 比 の 関係 中実 円柱 供 試 体. 図‑3 分 岐 荷 重 と モー ドお よび 供 試 体 寸 法 比 の 関 係 中空 円柱 供 試 体 軸 対 称 バ ル ジ型(n=0,m=2). 図‑4. 分 岐 荷 重 とモ ー ドお よび 供 試 体 寸 法 比 の 関係. 中空 円柱 供 試 体 非 軸 対 称 座 屈 型(n=1,m=1). 図‑5 軸 対 称 バ ル ジ型の 分 類 の 関 係 を 示 す.図‑3は. ー ドと非 共軸 パ ラ メ ー タ を 与 え る こ と に よ り,分 岐 条件 式か ら 「分 岐 荷 重 」 と分 岐 時 の 「供 試 体 寸 法 比 」. 軸 対 称 バ ル ジ型,図‑4は. 非軸. 対 称 座 屈 型 の 場 合 で あ る. 肉厚(RI/RO=0.5)中. 空 円 柱 供 試 体 の場 合 につ い. の 関 係 を 得 る こ とが で き る.た だ し,得 られ た 関係. て考 え る.軸 対 称 バ ル ジ型(n=0,m=2)の. は各 供 試 体 寸 法 比 に対 して,最. 荷 重 は,共 軸 モ デ ル に お い て は 存 在 す るが 極 め てか. も低 い分 岐 荷 重 を 採. ぎ られ た供 試 体 寸 法 比(RO/H〓1.6)の. 用 して い る. 本 報 告 に お い て は,中 RI/RO=0.5の. 空 円 柱 供 試 体 と し て,. 肉 厚 の タ イ プ とRI/RO=0.9の. 薄 肉のタ. 分岐 場合 に限 ら. れ る.し か し,非 共 軸 モ デ ル に お いて は 供試 体 寸 法 比 に よ らず 分 岐荷 重が 存 在 し,様 々な供 試体 寸 法 比. イプ を考 え る.な お,変 形 モ ー ドと して 軸対 称 の2. で軸 対 称 バ ル ジ型 の分 岐が 生 じる こ とが わ か る.特. 次の バ ル ジ型,非 軸 対 称 の1次 の 座 屈 型 を考 え る.. にRO/Hが. 図‑3,4に 共 軸 お よ び 非 共 軸Cam‑clayモ デ ルの 場 合 にお け る 「分 岐荷 重」 と分 岐 時 の 「供 試 体 寸 法 比 」. し得 る こ とか ら,非 共 軸 モ デ ル の ほ うが 実 際 現 象 を. 大 きい 場 合,バ ル ジ 型 の 分 岐 荷 重 が 存 在. よ く説 明 して い る こ とが 分 か る..
(8) 薄 肉(RI/RO=0.9)中. 空円柱供試 体の場合 におけ. あ る こ と よ り,. る軸 対 称 バ ル ジ型 の 分 岐 荷 重 に つ いて 考 え る.共 軸 モデ ルの 場 合 も,様 々な 供 試体 寸法 比 で 分 岐荷 重が. (32). 存 在 して い る が,非 共 軸 モ デル の方 が 分 岐荷 重 は低 い こ とが わか る. 中空 円柱 供 試 体 と 中 実 円柱 供 試 体 の 分 岐 の顕 著 な. と な る.こ. 違 い は 軸 対称 バ ル ジ型 の場 合 に現 れ て い る.実 際 に. と お き,最. は 中 空 円 柱供 試 体 の 軸 対 称 の バ ル ジ型 は2つ の タ イ. す る.. プが 存 在 す る.図‑5にRI/RO=0.9の. こ で,εijの. 主 値 をλ1,λ2,λ3(λ1>λ2>λ3). 大 せ ん 断 ひ ず みΓmaxを. 次 式 の よ うに定 義. 薄 肉の 場 合 にお. け る軸 対 称2次 の 分 岐 荷 重 を それ ぞれ 示 す.図‑5の. (33). 点線 は 片 側 断 面 が 座 屈 型 とな る タイ プ(図‑6参 照)で, 図‑5の 実線 は片 側 断 面 が バ ル ジ型 とな るタ イ プ(図‑ 9. 最 大 せ ん 断 ひ ず み の 解 析 結 果 お よ び 考 察. 7参 照)で あ る. 中空 円柱 供 試 体 の 場 合 に お け る 非 軸 対 称 座 屈 型 (n=1,m=1)の 分 岐 荷 重 につ い て 考 え る.共 軸 モ デ ル に比べ て非 共 軸 モ デ ル の 方 が,分 岐荷 重 が 低 いこ とが わか る. 共 軸 モ デ ル は,主 応 力 方 向 の急 激 な 変 化 に変 形 速 度の 応答 が 鈍 感 で あ る特 性 を 反 映 して お り,共 軸 モ デル の非 現 実 性 を 示 して い る.金 属 にお け る 弾塑 性 座 屈 で も共 軸 モデ ル に よ る座 屈 荷 重 が 実 験 値 よ り, は るか に大 き くな り種 々の 非共 軸 モ デ ル が 提 案 され て い る10).. 圧 縮 試 験 に お け る非 共 軸Cam‑clayモ. 式(33)よ り求 め,各 変形 モ ー ドに お け るす べ り面 の 発生 位 置 につ いて 考 察 す る.通 常,粘 土 の す べ り面 は,破 壊 力 学 の用 語 で言 え ば モ ー ドII型 また は モ ー ドIII型(せ ん 断型)の 進 行 性 破 壊 で あ る の で,こ こ で は,上 記 の 最 大 せ ん 断 ひ ず み が 最 大 と な る 点が す べ り面 が最 も発 生 しや す い 位 置 と仮 定 して 議論 す る. 図‑6か ら図‑8は,横. 軸 に半 径 方 向 γ(0〓γ〓Ro),縦. 軸 に供 試 体 高 さ方 向z(‑H〓z〓H)を. 8. 最 大 せ ん 断 ひ ず み 初 期 にお い て長 さl0の 部 分 が 分 岐直 前 に はlに な り分 岐 直 後 に はl+△lに な っ た とす る. 分 岐 後 の 主 対 数 ひ ず み は,. デ ル 中空 円. 柱 供 試 体 の 分 岐 時 の 最 大 せ ん 断 ひず みΓmaxの分 布 を. と る.ま た,. 各 々の 供 試 体 はH=1と した.(a)は 分 岐 時 の 変 形 図 で あ る.(b)は 最 大 せ ん 断 ひ ず みΓmaxの分布 図 で,色 の 濃 い部 分 で 最 大 せ ん 断 ひ ず み が 大 き く,薄 い部 分 で小 さ い こ と を示 して い る.な お変 形 図 は分 岐 時 の 非均 一 解 によ る変 形 の み を 表 してお り,実 際 の変 形 図 は,す べ て の 領 域 で負 荷 とな る 自明 な 均 一 解 の 変 形 を加 え る必 要 が あ る. 図‑6,7で は,軸 対 称変 形 を考 え て い るの で,θ が 一 定 で切 り取 られ る片 側 断 面 を ,ま た,図‑8で は非 軸 対 称 とな るの で 全 断 面 を 示 して い る. 図‑6はn=0,m=2,Ro/H=2の 場 合 で あ る.変 形 モ ー ド概 形 は 図‑6(a)に示 す よ う な一 般 にバ ル ジ と 呼. と な る.上. 式 は,χ<<1な. △l/l<<1の. と き,ε. ら1n(1+χ)〓χ. で あ る か ら,. は 次 式 で 近 似 で き る の で,. (30). と な る.式(30)よ. り,分. 岐 直 前 の 一 様 ひ ず み(ε)lと. 変 形 速 度 を 用 い て 表 す と,. (31) (a) 図‑6 ま た,分. 岐 直 前 の せ ん 断 ひ ず み((εij)l,(i≠j))が零 で. ―544―. (b). 分 岐 時変 形 概 形 お よ び最 大 せ ん 断 ひず み 図 n=0,m=2,Ro/H=2.
(9) (a). (b). (a). (b). 図‑8 分岐時変形概形および最大せん断ひずみ図. 図‑7 分 岐 時 変 形概 形 お よ び最 大 せ ん 断 ひず み 図 n=0,m=2,Ro/H=1. n=1,m=1,Ro/H=1. ば れ る よ うな 中央 部 が 膨 らむ 型 を 考 え る.ま た 内側. って,初 期 す べ り面の 発 生 源 とな る可能 性 の 高 い位. 面 も外 側 面 と 同 じ挙動 を して お り,断 面 片側 は座 屈 の 型 を 成 して い る.図‑6(b)で は,最 大 せ ん 断 ひず み. 置 を考 察 した もの で あ る.. axの 最 大 は外 側 面 の 上 下 端 近 傍 とな って い る こ Γm と が わ か る.し たが って,こ の よ うな 供 試 体 寸 法 比,. 放 物 型 に お け る速 度 勾 配 の 不 連 続 面 で 定 義 され る. 変 形 モー ドの 場 合,外 側 面 の 上 下 端 か ら最 もすべ り. 条件 に基 づ い た議 論 も,数 多 く行 な われ て い るが,. 面 が 発 生 しや す い と考 え られ る.. その 条 件 で は,せ ん 断帯 モ ー ドと しての すべ り面 の. 図‑7はn=0,m=2,Ro/H=1の 場 合 で あ る.変 形 モー ド概 形 は 図‑7(a)に示 す よ うな 中央 部 が 膨 らむ バ. 発生 す る応 力 状 態 や そ の方 向は 議 論 で き るが,境 界. な お,す べ り面 発 生 の 考察 と して,双 曲 型 ま たは 「 せ ん 断帯 モ ー ド(Shear band mode)」. 発生 の 必要. ル ジ型 で あ る.外 形 は 図.6と 同 じバ ル ジで あ るが,. 条件 に無 関 係 な局 所 的 な理 論 で あ る ため,本 分 岐解 の よ う に,特 定 の 供 試 体 形 状 にお け るす べ り面 の発. 内側 面が 内側 に膨 らん で お り断 面 片 側 は バ ル ジの 型. 生位 置 ま で は議 論 で き な い.. を成 して い る.図‑7(b)よ り,こ の よ うな変 形 モ ー ド の 場 合,最 大 せ ん 断 ひ ず みΓmaxは外 側 面 の 中央 の 膨 らん だ部 分 に お い て最 大 と な る こ とが わ か る.ゆ え. 10.. お わ りに. 本報 告 で は,有 限変 形 非 共 軸Cam‑clayモ. デ ルを. に こ の よ うな 供 試 体 寸 法 比,変 形 モ ー ドの 場 合,外. 用 い た 中空 円柱 供 試体 の軸 対 称 お よ び非 軸 対 称 分 岐. 側 面 の 中央 部 が か ら最 もす べ り面が 発 生 しや す い と 考 え られ る.. 解 析 を行 うこ とに よ り,ま ず,分 岐条 件 式 を 求 め, 分 岐 荷 重 と変 形 モ ー ドとの 関係 を 議論 し た.次 に最. 図‑8はn=1,m=1,Ro/H=1の お よ び θ=πで の 断 面)他. 場 合 で あ る(θ=0. 大 せ ん断 ひず み の 分 布 を 求 め る こ とに よ り,す べ り. ず み は大 き くな い 変 形 モ ー ド概 形 は 図‑8(a)に示 す よ う な座 屈 型 で あ る.ま た,断 面 両 側 と も座 屈 型 と. の断面 では最 大せ ん断 ひ. 面 の 発 生 位 置 につ いて 考 察 した.な お,本 報 告 で は nお よ びmの 高 次 の もの は取 り扱 わ なか った が,す べ り面群 の 生 成 等 の 議 論 に は高 次 の分 岐 解 析 が 重 要. な っ て い る.図‑8(b)よ り,こ の よ うな供 試 体 寸 法 比,. で あ り,そ れ につ いて は別 に報告 す る.. 変 形 モ ー ドの 場 合,最 大 せ ん 断 ひず み Γmaxは供 試 体 側 面 の左 下 お よび 右 上 にお い て 最大 とな る こ とが わ か る.ゆ え に この よ うな 供 試体 寸 法 比,変 形 モ ー ド の場 合,供 試 体 体 側 面 の 左 下 お よび 右上 か ら最 もす べ り面が 発 生 しや す い と考 え られ る. これ らの 結果 よ り最 大 せ ん 断 ひ ず み Γmaxが最 大 に な る 位 置 は,変 形 モー ドお よび 供 試 体 寸 法 比 等 の 違 い に よ り異 な って い る こ とが 分 か る. た だ し,実 際 に は,は. じめ に述 べ た よ う に,す べ. り面 は,何 らか の 非 均 一(分 岐 モ ー ド)変 形後,「 非 軸対 称 」 的 に 進 行 す るの が 普 通 で あ るか ら,以 上 の 議 論 は,仮. に 初 期 に 「拡 散 分 岐 モ ー ド(Diffuse. bifurcationmode)」. の 出現 した場 合 に 限 って,速 度. 勾配 に よ り定 義 した 「最 大 せ ん 断 ひ ず み 」の概 念 を使. ―545―. 参考文献 1) Yatomi, C., Yashima, A., Iizuka, A., and Sano, I.: General theory of shear bands formation by a noncoaxial Cam-clay model, Soils and foundations, Vol. 29, No.3, pp.41-53, 1989. 2) Yatomi, C. and Shibi, T.: Antisymmetric bifurcation analysis in a circular cylinder of a non-coaxial Camclay model, Proc. Int. Symp. Deformation and Progressive Failure in Geomechanics, Nagoya, pp.914, 1997 3) Chau, K. T.: Antisymmetric bifurcations in a compressible pressure-sensitive circular cylinder.
(10) under axisymmetric tension and compression, ASME Journal of Applied Mechanics, vol.60, pp.282-289, 1993 4) Chau, K. T.: Buckling, barrelling, and surface instabilities of a finite, transversely isotropic circular cylinder, Quart. Appl. Math., vol. 53, No.2, pp.225224, 1995 5) Roscoe, K. H., Schofield, A. N. and Thurairajah, A: Yielding of clays in states wetter than critical, Geotechnique, Vol. 13, pp.211-240, 1963. 6)Ohta, H.: Analysis of deformations of soils based on the theory of plasticity and its application to. ―546―. settlement. of. Thesis, Kyoto 7). embankments, Univ.,. 志 比 利 秀,矢. Doctor. Engineering. 1971.. 富 盟 祥:有. 限 変 形 非 共 軸Cam‑clay. モ デ ル に よ る 円 柱 供 試 体 の 軸 対 称 分 岐 解 析,構 造 工 学 論 文 集,Vol. 8). 伊 藤 歌 一:塑 工,Vol.. 43A,. pp.413‑421,. 1997.. 性 不 安 定 と 分 岐 の 理 論,塑. 22‑249,. PP.1009‑1015,. 性 と加. 1981.. 9) Sekiguchi, H.: Rheological characteristics of clays, Proc. 9th ICSFME, Tokyo, Vol. 1, pp.289-291, 1977. (10) 例 え ば,北. 川 浩:弾. た め の 基 礎 理 論‑,裳. ・塑 性 力 学‑非. 線形解析 の. 華 房,1987. ( 1998年4月24日. 受 付).
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