ヒト単球系細胞THP-1 における歯周病原細菌刺 激によるWnt5a 遺伝子発現について 南原弘美 キーワード:Wnt5a,P. gingivalis LPS,THP-1 【目的】Wnt は組織の分化・発生と深く関わっている糖タンパク として知られている。近年,炎症性の組織破壊にも Wnt シグナル が重要な働きを担っていることが明らかとなった。我々はこれま でに,慢性歯周炎組織において Wnt5a mRNA 発現が有意に上昇し ていることを明らかとした。本研究では歯周組織細胞および免疫 担当細胞を用いて Wnt5a 遺伝子の発現メカニズムを検討する。 【材料および方法】HGF-1 および THP-1 を用いて,歯周病原細菌 および炎症性サイトカインによる刺激を行った。Inhibition assay, transfection,luciferase assay および EMSA を用いて Wnt5a 遺伝子 発現における NF-κB・JAK/STAT・PI3K・MAPK 経路の解析を行 った。Wnt5a mRNA 発現レベルは real time RT-PCR 法によって測 定した。
【結果および考察】HGF-1 では各刺激に対する Wnt5a mRNA 発現 に有意な差はみられなかった。THP-1 では P. gingivalis (P. g.) LPS 刺激に対して特異的に Wnt5a mRNA 発現が上昇した。Inhibition assay・luciferase assay・EMSA により,P. g. LPS 誘導 Wnt5a は NF-κB・STAT1・JNK・p38 を介し,PI3K-Akt・mTOR により抑制 されることが明らかとなった。Wnt5a mRNA 発現は P. g. LPS/IFN-γ 共刺激により増強し,STAT1 強制発現によりさらに上昇した。一 方で siRNA を用いた STAT1 ノックダウンにより P. g. LPS/IFN-γ 誘導 Wnt5a mRNA 発現は減少した。本研究により,THP-1 におい て P. g. LPS 刺激による NF-κB を介した Wnt5a 発現は,STAT1 と の相乗作用により増強し,さらに MAPK・PI3K など多岐にわた る分子メカニズムが関与することが示唆された。