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コミュニティ・ビジネスの持続性をめぐる議論(Reference Review 55-3号の研究動向・全分野から, リファレンス・レビュー研究動向編 (2009年7月~2010年5月))

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コミュニティ・ビジネスの持続性をめぐる議論

(Reference Review 55-3号の研究動向・全分野から

, リファレンス・レビュー研究動向編 (2009年7月

∼2010年5月))

著者

小林 伸生

雑誌名

産研論集

38

ページ

92-93

発行年

2011-03-26

URL

http://hdl.handle.net/10236/7321

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92 − 産研論集(関西学院大学)38 号 2011.3 ないことを指摘している。直轄事業負担金は、当面、維持管理のみが見直され、建設分については今 後の課題とされている。全面見直しの際には、本稿の論点が注目されるであろう。  木村陽子「義務教育費国庫負担金を廃止すると教育格差が開くのか、教育水準は低下するのか」『明 大商学論叢』91 巻 2 号は、地方財政審議会委員を務めた著者が、三位一体改革における義務教育費 国庫負担金の廃止論議などを踏まえて、歴史的な分析を含めて国庫負担金の一般財源化への反対意見 について包括的に検討している。たいへん興味深い内容である。 【Reference Review 55-3 号の研究動向・全分野から】

コミュニティ・ビジネスの持続性をめぐる議論

経済学部教授 小林 伸生  企業社会における雇用不安の増大、少子高齢化や、いわゆる「格差社会」の進展等に伴い、様々な 社会的要請が量的・質的に拡大する一方、財政的な厳しさが増す中での行政サービスの供給における 制約の強まり等、国民生活を質的に向上させていく上でのハードルは年々高まってきている。そして、 これらの課題を解決する一つの有力な手段として、地域の課題を住民自らがイニシアチブを取って解 決するとともに、市民のワーク・ライフ・バランスの実現に寄与すると考えられるコミュニティ・ビ ジネス(以下、地の文ではCB と略記)に対する期待感が強まってきている。  期待感の高まりに伴い、近年CB に関する研究が活発化してきている。しかし、その多くは後述す る櫻澤論文でも指摘されている通り、研究の焦点は主にCB の定義や社会的役割、政策的支援のあり 方等に当たっており、持続性を担保するための経営のあり方に関する分析と提言等は、あまり行われ てこなかった。今後、地域社会に対するサービスの供給主体として期待感が高まってきているCB の 経営力の向上は重要な課題であり、そのための条件整理、制度設計のあり方などは、解明が進むべき 重要な論点である。  櫻澤仁「転換期を迎えるコミュニティ・ビジネス(3)−その幻想と現実、そして新たな可能性−」 (文京学院大学『経営論集』第18 巻第 1 号)は、これまでほとんど行われてこなかった CB の経営実 態を明らかにする試みである。そこでは、埼玉県と東京都におけるCB の実態調査を概観しながら、 共通する問題点を抽出し、議論の普遍化を行っている。そこで浮かび上がる問題点として、①CB の 担い手が、自らの社会的意義、顧客満足の追求を意識するあまり、収益力の向上が極めて困難になる という「好意的悪循環」が生まれること、および②多くのCB 推進団体は、努力しても成果が上がら ない原因が、主としてビジネスの仕組みにあることに気づいていない点を指摘している。  こうしたCB が抱える問題点に対する解決の道筋を示すものとして、日置真世「地域課題の解決を 生活者が担う「ソーシャルビジネス」」(『都市問題』第100 巻第 7 号)は参考になる。この論文の著 者は、釧路市を拠点とする地域生活支援のNPO を 10 年にわたり運営し、100 名以上の職員を抱える 事業体に拡大してきた実績を持つ。その実践から得られる示唆として、①マーケティングは、事業体 側から計画をするのではなく地域のニーズを出発点とし、それに応える形で事業を拡大する。②マネ ジメントは目の前にある条件から出来ることを探るのではなく、やるべきことに条件をどうあわせる かという発想で臨む、③モデル事業を地域との共同で行い、それを通じて事業のモニタリング機能を

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93 − リファレンス・レビュー研究動向編 担保する、などの点が示唆されている。同時に、道州制のパイロット事業としての取り組みが紹介さ れ、地域の生活課題・実態に即したローカルな制度設計の重要性が指摘されている点は注目すべきで ある。  相川康子「もうひとつのワーク・ライフ・バランス論~ 地域内で中間労働市場的な雇用を増やすた めに~」(神戸都市問題研究所『都市政策』136 号)は、企業の CSR(社会貢献活動)の一環として のCB 育成や政策的育成のあり方を論じている。従来 CSR は、主に企業が自らの経営資源を一部提 供する形で展開されてきたのに対して、これからのありかたとして、良心的なアウトソーシングによ る地域内のCB 育成の必要性などを指摘している。また、公的セクターの役割として、指定管理者制 度を活用したCB の事業機会の創出や助成・融資制度の創設の必要性などに言及している。  地域コミュニティが抱える課題は千差万別であり、それぞれの状況に即した、臨機応変な解決方策 が求められる。公的使命を帯びつつ、民間事業者としての経営能力を求められるCB は、いわば「第 3 の道」を実現する重要なプレイヤーとして、今後存在感をますます高めていくだろう。そうした観 点からも、事業継続のための条件をCB 内 / 外両面から分析し、担い手の育成と外的環境の整備を進 めていくことが求められる。 【Reference Review 55-4 号の研究動向・全分野から】

WTO と東アジア共同体をめぐる議論

商学部教授 広瀬 憲三  第2 次世界大戦の勃発の 1 つの要因となった各国の保護主義政策の反省から生まれた GATT(貿易 関税に関する一般協定)は、戦後の世界貿易の拡大、ひいては世界の経済発展に大きく貢献した。 1995 年、GATT は、関税引き下げだけではなく、知的所有権、紛争解決などの問題を解決するため の国際機関としてその権限をより強めたWTO(世界貿易機関)へと拡張し、更なる世界貿易の自由 化を目指して交渉が行われている。  WTO は、加盟国全体が自由な貿易等を共通のルールで行うことを目指しているが、その一方で、 EU、NAFTA など 2 国間もしくは数カ国間だけで自由な貿易などの共通ルールを結ぶ自由貿易協定の 動きも活発である。この自由貿易協定はブロック経済化の側面もあり、WTO の精神とは相反する側 面を持つが、現在、WTO による交渉と自由貿易協定が利害対立からなかなか合意に至らない中、自 由貿易協定がますます拡大しているといえる。  馬田啓一論文(「WTO ドーハ・ラウンドと自由貿易体制の行方」『杏林社会科学研究』2009 年 9 月) は2001 年 11 月に立ち上げられた WTO のドーハ・ラウンド(多角的貿易交渉)が現在もなかなか進 展しない理由を①日本、EU の農産品関税引き下げ、②米国の農業補助金削減、③途上国の鉱工業品 関税引き下げ、の抵抗という 「三すくみ」 のためなかなか合意に向かわない背景を説明し、世界の自 由貿易体制を崩壊させないために交渉を継続するとともに、その間、WTO として保護主義的措置の 監視と紛争処理機能の強化が重要な役割を果たすと考えている。  日本政府は、自由貿易体制を維持するために1990 年代までは、WTO を中心とした交渉のみであっ たが、小泉首相の頃から、WTO とともに、特にアジアを中心とした FTA(自由貿易協定)、EPA(経

参照

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