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化学療法が著効を示した睾丸腫瘍の肺転移例 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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1.演題 化学療法が著効を示した睾丸腫瘍の肺転移例 2.演者名 還田稔 多胡紀一郎 田辺信明 武井孝 山田豊 小松秀樹 上野 精 3.所属 山梨医科大学泌尿器科 4.緒 言  最近の睾丸腫瘍に対する化学療法の効果には目覚ましいものがあり、今や睾丸腫瘍は、 症例によっては治療可能な腫瘍になりつつあると言っても過言ではない。今回我々は化学 療法が著功を示した睾丸腫瘍の肺転移例3例を経験したので、若f:‘の考察を加え報告する 5、症 例  症例1:34歳男性。昭和58年より右陰嚢内の腫大に気付くが放置。昭和60年9月 近医受診し、後腹膜リンパ節転移を伴う右睾丸腫瘍と診断され当科紹介入院となる。初診 時右睾丸は小ラグビーボー一ル大に腫大し,腹部正中には小児頭大の硬く固定された腫瘤も 認められた.入院時の腹部CTではIVC・Aortaもはっきりせず、右尿管を巻込み 、右水腎症の状態を呈していた(写真1)。入院時の胸部断層撮影では、左中・F肺野に それぞれ10×9㎜、10×6mmの小陰影が認めちれた。9月19日高位除睾術を施行、

睾丸の病理組織はaIlaplastic semillomaであった。このためシスプラ

チン、ビンブラスチン、ペプレオマイシンよりなる化学療法(PVP療法)を行う(表1 )。化学療法1コー一一ス終了時点で腫瘍マーカーであるβ…hcgがIll常範囲に低下し、肺 転移陰影も消失した(表2)。4コー一一ス終了時のCTでは腹部腫瘤は著明に縮小し、内部 は嚢胞状の変化を示した(写真2)。化学療法終了後、残存腫瘍摘除及び後腹膜リンパ節 郭清を行った(写真3》。摘出した残存腫瘍は壊死組織のみであり、腫瘍細胞は認めちれ なかった。そして約3年経過した現在でも再発の兆候はない。  症例2:37歳男性。昭和55年8月、右陰嚢内容の腫大に気付いた。近医で高位除睾 術を施行され、絨毛上皮腫の病理診断にて当科紹介され入院となる。入院時女性化乳房が みちれ、胸部断層撮影で転移巣と考えちれる2っのcoin legionが認めちれた ため症例1と同様にPvP療法を開始した。3コー一ス終r時には血中、尿中β 一一一 hcgは i[常範囲に低下した(表3)。PVP療法前後の背面より6㎝での胸部断層撮影では右下 肺野に存在していた直径9㎜のcoin legi(》nは写真右のr’ VP療法後、消失し ていた(写真4)。同様に]5㎝のスライスでは左下肺野に認めちれていた2つのcoi n legiOnも加療後消失していた。4コースのPVP療法後、地固め療法としてメ

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ソトレキセート、エンドキサン及びアクチノマイシンDの併用療法を行い、5年経た現在 でも再発は認められない、}

 症例3:43歳男性。昭和99年に左陰嚢内容の腫大に気付き、61年11月には落痛

が出現したため近医を受診し、左睾丸腫瘍の診断にて左高位除睾術を施行された。病理組

織はembryonal carcii’t omaの成分を持つseminomaであった。

術後も血中β一hcg、α一・−FP、LDHが高く、又、肺転移・後腹膜リンパ節転移も認 められたため総遺でシスプラチン330㎎、ビンブラスチン105㎎、ペプレオマイシン 20㎎による不完全な化学療法が行われ、…時転移巣は縮小したが、再び増大傾向が認め られたため、睾丸腫瘍摘除より3ヶ月後に当科入院となる。入院時検査上、β一hcg,

α一一FP、LDHはいつれも高値を示し、胸部X線上両肺野に多数のcoin legi

OI1が認めちれ、又、CTでは左腎門部近くの傍大動脈リンパ節の腫大も認めちれた。こ の症例はPVP療法後の再燃例として取扱うこととし一一サルベージ療法としてビンクリス チン、メゾトレキセー一ト、シスプラチンによるPOMP療法と.アクチノマイシンD、エ

トポシド、サイクロフォスファマイドのACE療法を行った(表4).POMP療法2コ

ース後には腫瘍マーカーが正常に戻・)たためシスプラチンを除き、ACE−OMP療法を 3回繰返した(表5).写真向かって左の化学療法前のものでは、右肺門部、右申肺野に

径4㎝程の肺転移陰影がみられ、左下肺野にもcoin leg輌onがみられた。化学

療法後の右の胸部X線では明らかな腫瘤状陰影は消失した(写真5)aしかし、化学療法 後のCTでは右肺中葉部及び傍大動脈リンパ節に転移巣の残存が認めちれ、残存腫瘍の切 除を勧めたが、本人が同意せず一時退院となった。同年8月に残存腫瘍の増大、更には左 後頭葉への転移巣が発見され再入院となった。その後、化学療法及び放射線照射を追加し たが効果なく、肺転移巣の急速な増大のため呼吸不全で死亡した.   考 察        1)  睾丸腫瘍の発生頻度は全悪性腫瘍中僅か1%未満にすぎない。 しかしながら他の悪 腫瘍が一・一般的に高年齢層に多いのに対し、青壮年層に好発する点で見逃せない疾患といえ  )        る。 又、転移も早く、初診時あるいは病初期に既に臨床的に転移を有するものが30% 以上あり、発病からt年以内に発見されたものを含めると約50%に達するとの報告もあ 3) る。睾丸腫瘍は病理組織学的に精上皮腫と非精上皮腫とに分類される。精上皮腫は固定腫 瘍のなかでも最も感受性の強い腫瘍の一一一一一一つである。このため、睾丸に限局した精上皮腫は 、高位除睾術と傍大動脈・腸骨動脈周囲リンパ節に対する放射線療法のみで5年生存率は ほぼ100%に達する。これに対し非精上皮腫は放射線感受性が低く、血行性転移をしや

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すいため、除睾術に加えて後腹膜リンパ節郭清術が行bれるのが普通である。PVP療法 が普及する以前では、精上皮腫においても遠隔転移のある症例では非精上皮腫と同様に成      4) 績が悪かった。 Einhg e} nらが睾丸腫瘍の治療に初めてPVP療法を導入して以来 、目覚ましい治療成績の向上を見た。 症例1のごとく、遠隔転移があり、bulky umorを有する症例でも完全寛解に至る可能性が出てきた。しかし、症例2のような絨       7}毛癌の予後は悪く、完全寛解率は40%に止まるとされる。 この点において我々の症例 2のような長期生存例は、希なケー一スと言える、強力な化学療法に引続いて、残存した腫 瘤を外科的に摘除除するべきかどうかは議論の分れるところである。摘除したした残存腫 瘍には確かに壊死組織のみで、viableな腫瘍細胞がみちれたのは30%に止まると      8)されて砕るが、 腫瘍細胞が残っている可能性がある以上切除すべきであるというのが大 勢である。 ところでPVP療法を初めとする化学療法も万能な訳ではなく、症例3のよ うに著効を示さない例もある.その予後不良因子として1.腫瘍の総体積の大きいもの

2.脳転移例 3.肝転移例 4.別のregimenでの化学療法に無効であった症例

      1o)11) 等が考えられている。 当初からPVP療法に無効であったり、PVP療法後の再燃例に

対しては、VP 一一16やVM−−26をもちいるsulvage ヒherapyが最近注

     12)13)目されてきている。  おわりに   化学療法が著効を示した睾丸腫瘍の肺転移例3例を報告するとともに若干の考察を加 えた。 文献  1>朝日俊彦、松村陽右、棚橋豊子、公文裕之、富田和豊、武田克治、金重 哲三、石 戸則孝、亀井義広、大森裕之、太田武夫:睾丸腫瘍の統計的観察、日泌尿会誌70:11

59−1163、1979

 2)酒徳治三郎:睾丸悪性腫瘍の化学療法。臨泌31:155−160、1977

 3)御厨修一、松本恵一一、瀬戸pa−A:成人悪性睾丸腫瘍の治療.日癌治12:ユ49−

159、1979

 4)Smith RB、de Kervion JB and Shirmer DG

:Management of advanced testicular semin

oma. J.Uro1121:429−−431、1979

 5>古武敏彦、三木恒治:睾丸腫瘍の化学療法.臨泌、38;481−一 489、197 9      ・

 6)Einhorn、L.H、Wi口iams、S,D、Troner、M.e七

al:The role of maintenance しh・erapy in di

sseminated 七esしicular cancer.New Engl.J.

med、305;727、1981

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