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百貨店Private Label Apparel(PLA)に関する一考察 利用統計を見る

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著者

?田 朋子

著者別名

Tomoko TSUKADA

雑誌名

経営論集

89

ページ

103-117

発行年

2017-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00008578/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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百貨店

Private Label Apparel(PLA)に関する

一考察

A Study on Private Label Apparel Launchs by Department Stores

in Japan

塚 田 朋 子 はじめに 1. P.H.ナイストロムと H.パスダーマジャンの「百貨店論」再考 2. 日本のアパレル・サプライチェーンの問題点と百貨店にとっての PLA の意義 3. 百貨店 PLA の二つの類型 むすびにかえて はじめに 多くは織物類(dry goods)を扱うところから出発している百貨店(Nystrom, 1922, pp.247, 376)の第一次世界大戦までの歴史は、パリから始まったいわゆる 消費革命を受け入れたいずれの国においても成功の歴史であった。ある意味では 百貨店が大衆により多く支出する習慣をうえつけたのである(1) 日本における百貨店の起源は明治 37(1904)年に「デパートメントストア宣 言」をした東京日本橋の三越と考えるのが一般的であるが、呉服類を核とした百 貨店大衆化のきっかけは関東大震災とされ、昭和に入ると多種類の品ぞろえによ り売上高を伸ばし、戦後は洋服を中心とする流行商品を提案しながら中産階級を 中心に市場を拡大した(2)。しかし、「織物・衣服・身の回り品」の国内総販売額は 減少を続け、2014 年の約 8 兆 6 千億円という額は、20 年前のほぼ 6 割の規模と なった。百貨店の売上高も、1991 年の約 9 兆 7000 億円(衣料品売上構成比は当 時40%前後、うち婦人服は 25%程度)をピークとし、現在、日本百貨店協会会 員81 社の総売上高は 6 兆円ほど(衣料品約 2 兆円、服飾雑貨を中心とする「身 の回り品」は8 千億円程度)に縮小している。特に地方百貨店は大幅に売上高を 落として、一般に5 強と呼ばれる J.フロントリテイリング株式会社(大丸松坂屋 百貨店)、株式会社三越伊勢丹HD、(セブン&アイHD 傘下の)株式会社そごう・ 西武、株式会社髙島屋、エイチ・ツー・オーリテイリング株式会社(阪急阪神百 貨店)が業界の売上の半分を占めている。 R. W.リトルの「チャネル・キャプテン論」がわが国でも注目された当時、残念 ながら日本のアパレルの販売に関しては、誰が流通をリードするもっともよい地 位にあるかまたリードすべきかについての議論はなされなかった(3)。というのも、 全国的な広告を行うアパレルは、百貨店にとっては顧客を吸引するためにしばし ば利用する付加額に差をつける可能性を奪い、もしくは制限するはずであるが、 西洋服の歴史が浅いわが国では、欧米の百貨店とは異なる状況が生み出されてい

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たのである。つまり、メーカーと商業者には、財の社会的流通機能で相互補完的 関係が認められるが個別経済的には(特に価格と販売条件に関し)対立が認めら れる。ところが、「委託取引(返品条件付き買い取り)」、つまり百貨店は在庫リス クを負わされないという制度の下でも、一部の大手アパレル総合メーカーは欧州 企業とのライセンス・ビジネスなどにより、まさに百貨店とともに成長したので あった。 本稿は日本の大手百貨店が独自に有する商標の衣料品と服飾雑貨を考察対象と する。わが国で一般にPB(プライベート・ブランド)と呼ばれるものであるが、

本稿ではPrivate Label Apparel を正式な呼称として用い以下 PLA と略す。寡占

的製造企業によって全国広告が行われている商品が本来 national advertising brand を略して NB(ナショナル・ブランド)と呼ばれた(Borden, 1942, p.21) が、Schutte(1969)の分類に従えば、「メーカー等と提携しながら、流通主導で 開発、製造、販売がなされる製品」と「メーカー主導で開発、製造、販売がなさ れるナショナル・ブランド」の違いは、ブランドをコントロールする(販売の責 任を持つ)主体である。本稿はSchutte に従い、百貨店が管理するファッション 関連のブランドをPLA としてくくり考察対象とする。 わが国初の百貨店PLA は、既成の紳士用スーツが少数であった 1959 年に開始 された大丸の紳士用既成服「トロージャン」(4)であり、有名なPB「ダイエーみか ん」(缶詰)より1 年古い。1976 年の紳士服ブランド認知度ランキングではオン ワードやピエール・カルダン等に続き「トロージャン」は 6 位であった(木下、 2011、p.61)。その後は、紳士服チェーンが private label で市場を拡大し(5)百貨 店では女性用衣料品や服飾雑貨が売り上げを伸ばした。 百貨店のPLA がマスコミの大きな注目を集めたのは 2009 年であった。当時、 消費不況を打開しようと百貨店各社は低価格戦略に走り、とりわけ傘下にそごう・ 西武百貨店を擁するミレニアムリテイリング(当時)は「NB より割安な PB に 新規参入する」と発表してパリ・コレクション参加の経験を持つデザイナーを起 用しマスコミを賑わしていた。景気後退といわゆるPB 商品の市場シェア拡大の

関係は欧米でも見られる(大野、2010、p.9。Cook and Schutte, 1967)。 その後の、さらなる百貨店衣料品販売の低迷によりこの流れが加速したのであ る。すなわち、2016 年に大丸松坂屋は千趣会と共同開発した「Kcarat(ケイカラ ット)」をオムニ・ファッション・ブランドとして百貨店の店舗、紙媒体カタログ、 両社のEC サイトでスタートした。NB の 80%の価格と発表されている。大丸松 坂屋は「トロージャン」も2015 年に刷新した。そして、セブン&アイ HD は 2016 年夏に衣料品と服飾雑貨の「セットプルミエ」で新たに高田賢三と協業する期間 限定ラインを発売し積極的な広告活動が注目を集めた。婦人用のジャケットやス カートなど約100 種類を用意し、傘下の百貨店であるそごう・西武に加えイトー ヨーカ堂の店舗と「オムニセブン」でも扱い、1 年間で 10 億円の売り上げを目指 すと報じられた(日経新聞2016 年 5 月 19 日)。さらに 2017 年春からは三越伊 勢丹がスポーツの自社ブランドとして「トリトゴルフォ」を開始し女性用のポロ シャツやニット、カーディガン等を予定している。

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こうした流れの背景に大手アパレル総合メーカーの百貨店からの撤退があるこ とは言うまでもない(百貨店を主力販路とするオンワードHD、ワールド、TSIHD、 三陽商会の4 社だけで、2014 年 2015 年の 2 年間の閉店は 1,600 店以上に上り、 百貨店の衣料品売上高は5 年で 2000 億円近く減少した)。百貨店は独自性を出す ために、素材までさかのぼったPLA 開発を今後の商品戦略の目玉の 1 つに据え ているため、企画を担当するファッション・デザイナーの求人が増加傾向にある のも近年の特徴であろう(6) さて、日本には膨大な百貨店研究の蓄積がある(7)が、本稿はP. H. ナイストロ ムとH.パスダーマジャンの百貨店論をレビューするところからはじめている。戦 前における日本の百貨店研究でおそらく最も多く引用されたのはナイストロムで あった(8)。そして、邦訳者片岡一郎が「著者の生涯とその著作」に詳述するよう に、死に至るまでの 18 年間国際百貨店協会事務長であったパスダーマジャンの 研究(1954)は、国際百貨店協会会員の経営者に対し、今後直面する諸問題につ いての見通しを与える意図で書かれたものである。ただし、流行商品という可変 性の強い分野においては「長期間にわたって同一企業が最上の企業たりうるとい うようなことは滅多にない」(H. Pasdermadjian, 1954{邦訳}p.175)という、 そのめったにないことが日本では生じ、日本流のアパレル販売手法(とりわけ欧 州ラグジュアリー・ブランドを日本市場向けにアレンジしたライセンス商品によ る売上の増加)により、大手アパレル総合メーカーと都市百貨店との運命共同体 的成長が長く続いたのであった。 ところが、外資企業が日本法人を設立するなどの変化の後に、2000 年代には大 手都市百貨店の経営統合が行われ、その後も、地方の系列店の閉店が続いてい る(9)。こうした中でPLA を選択する百貨店を本稿は対象とし、実務的なインプリ ケーションを提示することを研究目的として2 つの類型を示す。 1. P. H.ナイストロムと H.パスダーマジャンの「百貨店論」再考 P. H.ナイストロム(1922 年 15 章「百貨店」、及び 1937 年{初版 1915 年の第 4 版})及びパスダーマジャン(1954)に共通した百貨店の特質として注目すべき は、①高コスト体質、②流行の発信者としての優位性、及び③流行商品の計画的 在庫処分方法の確立の3 点であろうと思う。そして、アパレル専門店の(百貨店 に対する)優位性を二人が強調した点も注目されねばならないと考える。以下、 これらの内容を整理する。 〔高コスト体質〕 ・あらゆる部門の広告により引き寄せられた顧客は、他の販売部門においても購 買するが、百貨店は圧倒的に多くの競争相手をもつことから、サービス競争で 優位性を発揮しようとする百貨店は高コスト体質になりがちである。 ・百貨店は新聞広告の最大のスペースを埋めているが、特にバーゲンセールの広 告が活発に行われている(10) ・パブリッシティ効果の大きい「スタイル・ショー」(モデルを用いた、特にパリ・ モードの新作発表)の実施もコストを跳ね上げる要因になる(11)

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・流行商品の増加(既製品の発達)も経費増加の要因となる(12) 〔流行の発信者としての優位性〕 ・流行の重要性が高まりつつあることは、百貨店にとっては有利に作用する。と いうのも、百貨店は流行を予測し、流行を普及せしめる点でいかなる小売形態 よりも有利な地位にあるからである。 ・それぞれの販売部門内に独立小売店主以上に多くの時間を出張と仕入れに割く バイヤーがいた百貨店は、バイヤーを世界の各地に派遣していた(13) 〔流行商品の計画的在庫処分方法の確立〕 ・百貨店は在庫品の組織的処分のために、部門ごとの大売り出しを行う。とりわ け流行スタイルは、最初の短期間は高い価格で、その後は残りの品を速やかに 処分するために値下げする方法が一般的に採用された。 ・百貨店は一部の商品を特に低いマーク・アップで提供し顧客を引き寄せ、通常 あるいはそれ以上のマーク・アップの商品の売上を確保する。 〔専門店の優位性〕 ・百貨店が既製服販売を刺激し(生地類から)既製服へと重心を移したが、より 多くの女性客が既製服を購買するにつれ、多くの既製服専門店が生まれた。 ・百貨店による派手な広告宣伝は(専門店におけるすぐれた販売員と比較し)百 貨店販売員の技術水準が低かったことの結果(14)である。 ・特別な富裕層や大都市のファッショナブルな層は排他的専門店の顧客である。 なお、パスダーマジャンはPLA にかかわる内容にも触れた。すなわち、創造的 商品企画(小売商が自らを単なる財貨の配給者の役割に限定することなく、商品 の創造に貢献し、新しい使命を積極的に果たそうとするその方途を示すもの)を 発展させ、単なる高圧的商品企画(できるだけ体裁を維持しながらその質を低下 せしめて価格を引き下げようとする傾向)から創造的商品企画に代置することは、 百貨店にとって重要な課題の1 つであるとする。また、高圧的商品企画の価格の 低下はその商品の質を落とすことによって得られるが、創造的商品企画では、価 格の低下は、その商品の用途への適用の結果また可能な修正および単純化を採用 したことの結果とされた(H. Pasdermadjian{邦訳}pp.241-243)。 現在、日本の百貨店に求められるのは、まさにこの「創造的商品企画」として のPLA なのであろう。 次に、わが国百貨店業界低迷の背景の1 つであるアパレルのサプライチェーン の問題点についてまとめておく。 2. 日本のアパレル・サプライチェーンの問題点と百貨店にとっての PLA の意 義 明治後期から老舗百貨店は呉服類を核としたが、昭和に入ると電鉄系とともに 洋品の品ぞろえで売上を伸ばした。しかし、国際羊毛事務局の資料が示すところ によると婦人洋服の既製服化率は1960 年代前半には 7 割にまで増加したものの、 呉服に特有であった商取引慣行の一部は、かつて向井鹿松がまとめていた内容を 温存したのである(15)

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しかもこの間に、例えば1956 年にリナシャンテが髙島屋東京店で開催したイ タリアン・フェア(16)などが功を奏し、戦後日本で消費革命を体験する大衆にとっ て百貨店が販売する欧州ブランドは重要な顕示的消費の対象となった。 国内市場は順調に伸びていたわけであるが、一方で、1970 年代のニクソン・シ ョックにはじまる円高を契機に日本産天然素材とアパレルは同時に国際市場での (価格)競争力を失い、85 年のプラザ合意後の本格的円高により輸入衣料が急増 し輸出は激減するのであるから、日本のアパレル業界においてはサプライチェー ン・マネジメント構想が必要となっていたわけである。 ところが、我が国では通商産業省生活産業局編『繊維産業構造改善臨時措置法』 (1994、p.49)においてはじめて販売事業まで含めて「繊維産業」と記されたの であるが、サプライチェーン・マネジメントはこの新たに規定された産業で機能 していない。高度な情報技術を適用し需要予測・在庫・生産計画等の諸情報を企 業間で共有することが、在庫極小化と物流効率化に繋がるという期待は、端的に 言えば、裏切られたのである。さらに言えば、いわゆる日米繊維交渉後1986 年 に民間企業主導の VICS(紡績、縫製、小売業界リンケージ協議会)が設立され 政府主導のQR 化革命も進められたアメリカ(塚田、2012 年、p.248)とは対照 的な面が、販売事業を含む我が国の「繊維産業」に温存されたのである。 三村は、(大店法や販売免許制などとともに建値制やリベートなどの流通取引 慣行も議論の俎上に上がっていた)1990 年代のはじめに QR や ECR、製販同盟 などさまざまな試みが紹介されるとともに、物流業務を全体システムとして捉え 「具体的な問題点(受発注ミスの発生、欠品、検品や納品作業の非効率など)が よくみえてきた」(三村、2004、p.27)とし、問題解決のために試みられた ECR の導入と挫折の過程から、日・米における物流問題の本質的違いと日本に適合し たサプライチェーン・マネジメント手法の確立の可能性を論じている(17)。また、 日本百貨店協会と日本アパレル産業協会により設置されたファッションビジネス アーキテクチュア委員会(伊藤元重座長)により2001 年に機関決定された「フ ァッションビジネスアーキテクチュアコラボレーション取引」について藤野 (2003)は詳しく述べ、さらに、なぜ百貨店チャネルのアパレル流通でサプライ チェーン・マネジメントが実現しなかったのかと言えば、シナジー効果の存在は お互いに理解しても既存の取引形態では「相互の機会主義的行動を抑制するウィ ン―ウィンの取引関係が成立していなかったこと」がその理由だとする(藤野、 2004、p.73)(18)。つまり、百貨店は「売れ残りが発生しても現行取引ではほぼ無 条件に返品できる」のであるから、アパレル製造卸の立場では、たとえ小売から の需要予測や販売計画、発注を信頼して生産し納品したとしても、計画通りの販 売がなされなければ残品は返品されるのだ(藤野、2004、p.59)。 欧州ラグジュアリー・ブランドの日本法人が次々に設立されその多くが成功す る1990 年代(19)に、大手アパレル総合メーカーは、商品企画機能が粗利益向上に つながると公然と語るようになっていた。この流れの中で、当時、国内の服飾雑 貨の産地にも、それまでのライセンス・ビジネス重視から一部「PB 生産」を請け 負う事業所が登場していた。

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1990 年代末に全国中小企業団体中央会の支援による製・配・販オープン情報ネ ットワーク開発事業委員会が発足し筆者が座長を務めたことがあった(20)。データ 交換を目的とした「鞄業界EDI ネットワーク」、情報検索の「鞄業界情報データ ベース」、コミュニケーションツール「鞄ネット」を構築し情報活用に質的変化を もたらし新たなビジネスチャンスを創造する手段としての利用も期待できると報 告書には記した(㈳日本鞄協会、2000、p. 297)ものの、その後、同委員会を構 成した業界大手企業が複数倒産したこともあり(その総てがライセンス・ビジネ スに依存していた)、成果が見られることはなかった(21)。むしろ、自社ブランドを 有する東京の企業とその協力企業としての豊岡産地の関係構築、また大手流通企 業と産地製造卸(一部はそれまで産地問屋としか取引がなかった零細メーカー) との関係構築ができあがる。ただし、大手流通企業のいわゆるPB 商品の粗利益 率は、NB 商品よりも 10%程度高いなど産地企業等から収集した正確な情報はあ ったものの、知的財産権がすべてであるファッション関連製品では、その生産決 定自体がトップシークレットでもあり(22)、こうした情報をたとえ学術論文であっ ても公表することは不可能であった。 いずれにせよ、サプライチェーン・マネジメントの合理的形成が困難であるか らこそ、日本の百貨店の PLA という選択肢が重視されたものと、長く地場産業 の実態調査を行った経験から筆者は考えている。既述の通り、2009 年以降、90 年 代とは異なる環境で百貨店の PLA が市場化されているが、本稿では代表的な百 貨店PLA「ナンバー21」とセブン&アイ HD 傘下のマルチチャネルで販売され るPLA に注目しようと思う。 3. 百貨店 PLA の二つの類型 百貨店以外を含む日本の衣料品市場規模は、1990 年代の約 15 兆円から 2010 年の約10 兆円に縮小した(しかも一方で、衣料品の国内供給量は、この間に、年 間約20 億点から 40 億点に倍増した)。現在は、特に百貨店における衣料品売上 の減少傾向に歯止めがかからず、2015 年度の百貨店の業績は、『第 49 回日本の 小売業調査』(日経新聞社)などによると拡大したインバウンド需要と富裕層消費 に支えられたが、同年も多くの百貨店で衣料品の売上は減少した。それに伴い服 飾雑貨全般への期待が大きくなるわけだが、日本の靴、バッグ、ジュエリーはそ れぞれ1 兆円を超える市場規模である(バッグ類の市場規模は 8000 億円強だが 財布などの小物を加えると約 1 兆円)。ここ数年主に女性向けにインバウンド及 び輸出で伸びている「BAOBAO イッセイミヤケ」、また 1990 年代から市場を確 実に拡大してきた「ポーター」など国産の強いブランドも存在するが、ライセン ス・ビジネスに依存してきた多くのかばんやハンドバッの国内製造企業は厳しい 環境下にある(23)。こうした状況で、技術力のある国内製造企業とともに private label の新しいモデルに挑戦しているブランドとして三越伊勢丹(連結決算で 2015 年度売上高 1,287,253 百万円、衣料品売上構成比 36.3%、身の回り品売上 構成比12.4%)の「ナンバー21」がある。

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【三越伊勢丹ナンバー21】 2011 年に伊勢丹新宿店の靴のブランドとして生まれたが、16 年春夏から新た にバッグといわゆるシーズン雑貨を、16-17 年秋冬からはファッション・ジュエ リーをそれぞれスタートさせたPLA が、グリム童話第 21 話「シンデレラ」にち なんだ「ナンバー21」である。2015 年度には伊勢丹新宿店のシューズ売り場で 2 万6,000 足以上(グループ全体で、小売で 9 億円、卸売で 8,000 万円)を売り上 げ(WWD ジャパン 2016 年 7 月 4 日)そして 2016 年には「イセタンシューズ」 として輸出も開始されたほか、パリ・コレクションの時期に単独の展示会もパリ 1 区で実施した。イタリア産や東京のデザイナーとのコラボアイテムである日本 産も増えている。これは「ファッションに強い日本の百貨店」による服飾雑貨の PLA の型である。 「ナンバー21」は、基幹 3 店から支店や地域店へ、さらに 2016 年春から全日 本デパートメントストアーズ開発機構の幹事店の一部への卸売がスタートし、欧 米の販路開拓にも着手している(繊研新聞2016 年 7 月 21 日)。一般の PB では、 多数のアイテムを店頭に並べなければ魅力が乏しく集客力が下がるが、多数のア イテムを生産すればアイテム当たりの生産規模が小さく原価が高くなることから 「百貨店単独で垂直統合型ドメイン戦略を目指すことは限界がある」とされる(藤 野、2004、pp.71-72)(24)「ナンバー21」は、このような一般の PB とは異なる、 日本の百貨店PLA が成功するための要件を明確にするための 1 つの類型として 注目されるべきであろう。 矢作は、PB 商品が NB 商品に対して競争優位に立つのは、①品質が同等で価 格が割安な価格重視型、②NB 以上に品質が優れ価格が同水準の品質重視型、③ 品質がNB より優れ価格は割安な品質・価格両立型であるとする(矢作、1996、 p.93)。2015 年の個別店舗の売上高(単位百万円)は、1 位伊勢丹新宿本店(衣 料品の売上高構成比46.4%、身の回り品の構成比 14.7%)、2 位阪急うめだ本店 (218,358。以下、順に 32.6%、21.4%)、3 位西武池袋本店(190,018。22.4%、 21.8%)、4 位髙島屋日本橋店(136,630。29.9%、9.1%)、5 位三越日本橋店(133,432。 30.5%、9.6%)であり、伊勢丹新宿店の衣料品構成比の高さは際立っている。し かし、「イセタンシューズ」という輸出品がこの②や③たり得る方向性を模索する には、つまりパスダーマジャンが推奨する「創造的商品企画」としてブランドを 育成するには、販路拡大によるコストダウンに加えて PLA としての強いブラン ド構築のための社会実験の積み重ねが必要である。 【そごう・西武「セットプルミエ」と「リミテッド エディション」】 売上高で圧倒的なのは、セブン&アイHD の(イトーヨーカ堂及びネット販売 を加えた)「リミテッド エディション」と「セットプルミエ」である。つまりマ ルチチャネルで販売される百貨店の PLA の型である。マスコミの注目を集めて 2009 年に「リミテッド エディション」は開始された。自身のパリ・コレクショ ン参加の経験に加え様々なブランドの開発にかかわってきた田山淳朗との共同開 発による「リミテッド エディション バイ アツロウ タヤマ」が開始された 後、この PLA は様々なアパレル総合メーカーや世界的なデザイナーとの協業を

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行っている(25)2016 年には既述の高田賢三との協業に加え気鋭のデザイナー江 角泰俊らと協業した「リミテッド エディション プラチナム」を開始し、また 1980 年代からシャネル社のデザイナーであるカール・ラガーフェルドとの「コラ ボ」とされる「リミテッド エディション バイ カール・ラガーフェルド」を 発表した。 同社MD は、①社内にデザイナーやパタンナーを揃えモノづくり体制を整えた ことでPB の規模が 100 億円になったこと、②有力デザイナーとの協業 PB をさ らに強化する予定であること、③重視しているのは、すそ野を広げるための買い 求めやすい価格、と現状について説明している(繊研新聞7 月 21)(26)。消費者の 声を収集してそれをPB 商品として企画・提案するときに「流通企業は消費者の 購買代理人としての役割」を果たす(大野、2010、p.124)とすれば、女性のオフ ィス向け衣料である「リミテッド エディション@オフィス」は同社メンバーズ カード顧客5,000 人を対象に仕事着に対するアンケート調査を実施し主に機能面 やデザイン面を見直したものであり、(「創造的商品企画」の)「購買代理人」の例 と言えるかもしれない(27)そごう・西武のprivate label の 2015 年度の売上高は、 全体の12~13%を占める 1200 億円を記録している(WWD ジャパン 2016 年 7 月11 日)。シーズン性の影響が大きい衣料が、服飾雑貨に比べてより予測が難し いことは確かであろうと思われるが、その成功の理由の1 つがここにあるのかも しれない。 むすびにかえて 日本は特に欧州のファッション・ブランドにとってライセンスの収益源として 重要な役目を担った。独特のギフト需要を含め百貨店もこれによって長く恩恵を 受けてきたが、日本流のビジネスモデルはすでに合理的根拠を失ったのだ。加え て、百貨店の場合も量販店などにおいても、一般のPB については、消費者の購 買経験が乏しい製品カテゴリーで市場シェアは小さく、消費者の商品に関する事 前知識が豊富であるか、また小売店舗に親しみや信用を感じている場合には、小 売独自のブランド商品に対する知覚リスクが小さいことが先行研究において主張 されてきた(藤野、2003、p.19)。PLA に関しても同様であろうが、衣料品に比 べれば、服飾雑貨の市場分析は予測が容易である点には留意したい。 そこでバッグ類など服飾雑貨の PLA を実証研究の対象とすることは有意味だ と思える。その場合の重要なテーマについて最後に一言言及する。 上田は、消費者のブランドへの精通性は、「価格―品質関係」に影響を与えると する。すなわち、価格以外の品質判断情報が多く、かつ非価格情報による品質判 断の自信や時間的ゆとりが小さい場合に消費者は、非価格情報による判断が不十 分となり、要約度の高い情報も併せて用いようとすることから「価格がこの要約 度の高い情報となることが多く、他の情報も用いることから、弱い価格―品質関 係があると思われる」(上田隆穂、1999、pp.36-38)。この点は衣料品も服飾雑貨 も同じであろう。「ナンバー21」に関しては、K. L. Keller のブランド論に従うな ら、ターゲット顧客層に対するポジティブなイメージを有する「イセタン」とい

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うショップブランドが成功のカギを握るのであろう(28)。また、ファッション・マ ーケティングの嚆矢としてのナイストロムも述べたように、商品ライフサイクル が短く、かつ生産リードタイムは長く(29)、しかも現在の消費者のニーズの見通し は極めて難しい衣料品に比べれば、服飾雑貨のprivate label ではこれらの厳しさ がやや緩和される点にも留意されるべきであろう。 ただし、PLA は百貨店のかかえる問題の一部を解決する可能性はあるが、根本 問題の解決には至らないだろう。加えて、知的財産権の問題あるいは Fashion Law の特にアメリカでの研究の進展(30)を見ると、仮に成功した百貨店PLA でも それを継続するための有能なクリエイター及び生産拠点を確保できるのかどうか という問題と百貨店は真摯に向き合うべきであろうと思う。それによって、本稿 で示した2 類型の「創造的商品企画」としての百貨店 PLA の長期的な戦略が見 えてくるものと考える。 生産拠点については特に注意しなければならない。「原産国(country of origin)」 という概念は、ファッション・ブランドの場合は非常に複雑なのである(31)。具体

的には、COM(country of manufacturing)、COP(country of parts)、COD (country of design)に加え、country of brand origin も百貨店の顧客にとって 容易に考慮対象となる(Rashid et al., 2016, pp.231-233)。「イセタンシューズ」 として輸出開始された「ナンバー21」については、これらの点に留意した社会実 験として(32)注目する意義があると考える。 【注】 (1) 消費革命と都市百貨店の成長については R. H. Williams(1982)を参照されたい。 (2) 男子服の大衆化については柳洋子(1982)に詳しい。 (3) 理論的にはメーカーも卸売業も小売業もチャネル・リーダーたり得るとし、チャネルを リードするための条件として経済的パワー(資本力、規模力、研究開発力等)と地位パワ ー(企業の置かれている位置、機能、活動等)があげられた(R. W. Little, 1970, p.33)。 (4) 国際羊毛事務局等の資料によると紳士服の既製服化率が 3 割程度であった時代に誕生 したトロージャンは、ロサンゼルスから紳士服店オーナーを招聘し、様々な試行錯誤の末 に新しい型紙による裁断をはじめ、また縫製工場にはアメリカ式の流れ作業を採用してス タートした。当時最新鋭のプレスマシンの導入、さらに補正がしやすいように縫い代を多 めにとる合理的な仕上げ、各工程に厳格な検品システムを導入、また肩に厚みのあるスー ツ用ハンガーや背抜き使用という発明により、日本人の体形に合うよう根本的に改良した ものである(http://dmdepart.jp/torojan/value.html)。 (5) 以下を参照されたい。日本繊維経済研究所(1974)『日本の専門店チェーン』日本繊維 経済研究所。本田一成(1997)「衣料専門店チェーンの出店戦略とキャリア管理」『日本労 働研究機構研究紀要』14 号、pp.51-64。 (6) 「百貨店のプライベートブランドのデザイナー案件」をHP上で探すことは容易である。 2016 年夏現在では、アパレル企業などに於ける実務経験 5 年以上を条件とする例が多く、 ほとんどが契約社員としての採用であり年収は300 万円~500 万円である。 (7) 参考文献に記載したもの以外に特に多く引用されたものは以下である。松田慎三(1931)

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『デパートメントストア』日本評論社。水野祐吉(1933)『百貨店経営学』日本評論社。向 井鹿松(1941)『小売商問題研究叢書第10 巻 百貨店の過去現在及将来』同文舘。清水晶・ 土屋好重(1951)『百貨店経営:販売業者の百科事典』東洋書館。土屋好重(1955)『百貨 店』新紀元社。堀新一(1957)『百貨店論』関書院。松田慎三・坂倉芳明(1960)『日本の 産業シリーズ7 百貨店』有斐閣。清水滋(1973)『百貨店のマーチャンダイジング』デパ ートニューズ社。高丘季昭・小山周三(1984)『現代の百貨店』日経文庫、日経新聞社。伊 藤元重(1998)『百貨店の未来』日本経済新聞社。 (8) 拙稿(2005、7 章)及び拙稿(2016A)を参照されたい。 (9) 最近閉店した主な百貨店は、2014 年高松天満屋・髙島屋若松店・沖縄三越、2015 年県 民百貨店(熊本県)、2016 年伊万里玉屋、西武春日部店、マルカン百貨店(岩手県)、そご う柏店、西武旭川店である。 (10) ただしジョン・ワナメーカーの広告マネジャーやマーシャルフィールドの広告マネジャ ーはバーゲンセールの広告に批判的であった(Nystrom, 1922, p.255)。 (11) ナイストロムは、「ファッション製品のイラストとショー」という項を立てて、特にスタ イル・ショーの効果を詳しく説明した(P. H. Nystrom, 1932, pp.180-182)。 (12) 流行は往時のように、主として富裕階級の生活に影響を与えるのではなく、ますます大 衆の生活を左右するという考えはナイストロム(特に1928、1932)に一貫している。 (13) ワナメーカーの例については同社創業期に活躍した Appel(1940)に詳しい。 (14) 「しばしば高い(または少なくとも中位の)階層の顧客に商品を供給する専門店の近く に位置し・・・しばしば百貨店は、この顧客に手ごろな価格でこれら高級専門店の陳列の 中でみてきたみごとな商品とそっくりの商品を提供している(H. Pasdermadjian{邦訳} p.105)。向井は日本の百貨店について、長所は①大量の品物を現金で仕入れるから仕入値 段が安い、②優秀な才能、および専門的知識をもつものを雇い入れ合理的な経営ができる ものの、短所は「壮麗な建物や施設、客に対する無料配達その他のサービス、また広告費、 高級職員の給料などに多大の営業費を要し・・・販売能率があがらない点」(向井、1951 年、pp.63-65)としたが、戦前期については、日本独特の衣の専門店の細分化(特に帽子 店、靴店、半襟店、扇子店のような嗜好品を販売する店舗)に関して「専門店中で百貨店 の競争によく対抗し得るものは常に高尚なる趣味および品質を置く品物を取り扱う店舗」 と分析している(向井、1937、p.103)。 (15) 衣料品流通に関する取引経路の段階性(向井、1951、p.129 など)や季節性(向井、1951、 p.157 など)に関する内容である。 (16) 1956 年のイタリアン・フェアでは繊維製品や服飾雑貨の他にベネチアングラスその他 高級品約4 万点が展示販売されている(大内・田島、1996 年、p.135)。

(17) 「注意すべきは、ECR(efficient consumer response)にもっとも強い関心を示したの は、日本ではメーカーではなく卸売業であったこと・・・在庫コストに対する関心は総じ て低く大量に在庫を抱える傾向の強い米国の大型小売業にとって、ECR が目指した無駄 のない商品供給システムはまさにパラダイムシフトとよぶに相応しいものであった」(三 村、2004、pp.36-38)。ただしアパレル製造卸は他の消費財の卸売業者とは必ずしも歩調 を合わせていない。すなわち、産業構造審議会繊維産業分科会基本政策小委員会(第2 回) 議事録を見ると、委員の一人である大手縫製業経営者は次のように発言している。アパレ

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ルの製造原価率は30%前後だったものが 25%から 20%となり「現状では 10%台のもの も出てきている」と。そしてこの加工コストは「プロパー消化率が向上できない」結果で ある、と。この経営者によれば「売れ残った商品はすべて返品するという旧態依然とした 委託販売の取引慣行で結局、犠牲になっているのが、素材製造業であり我々国内縫製業」 (http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004221/index.html)。 (18) 品番別のシーズントータル生産数の終了意思決定タイミングを、比較的需要予測精度が 高い実需要期(シーズン期)に行うビジネスモデルを提案しても、百貨店の立場から考え ると「現行取引形態(いわゆる委託、返品条件付買取など)では、たとえ需要予測の精度 を向上させ、精度の高い販売計画を立案し、発注したとしても、店頭へ発注しただけの数 量の納品は、必ずしもなされるわけではない」(藤野、2004、p.58)。 (19) 1980 年代にルイ・ヴィトン日本法人が成功を収めると、外資ラグジュアリー・ブランド が90 年代には次々と日本法人を設立するのだが、中でも、1996 年には鐘紡(当時)と同 社のアパレル事業の約半分を占めたクリスチャン・ディオール社(当時)との契約解消、 またデサントと同社売上の約4 割を占めたアディダスの契約に終止符が打たれ、「ディオ ール・アディダス・ショック」としてマスコミを賑わした。その後2015 年のバーバリー・ ショック(三陽商会とバーバリー社の契約打ち切り)により、日本流にアレンジされてい た独特のライセンス・ビジネスは終焉を迎えつつある。 (20) 1999 年 9 月~10 月に日本の四大かばん産地とされる東京・大阪・名古屋及び兵庫県豊 岡市において調査を行い、284 社からの回答を得た(発送企業数 647 社、回収率は製造業 で43.2%、卸売業で 54.6%)。集計の結果、卸売業(製造卸を含む)で自社のオリジナル 商品が「ある」企業は76%であった(売上高 10 億円以上の企業では 100%)(㈳法人日本 鞄協会、2000、pp.104、176)。ただし社内に専門的教育を受けたデザイナーを確保する企 業は少なく、不正競争防止法の観点から問題のある製品を百貨店等に納品してきた例も見 受けられたが、より問題であるのは、大手流通企業の店頭で今日もこうした商品を見かけ る現実であろうと思う。 (21) かばん業界では、90 年代には在庫の照会を電話確認するのが一般的であり、また納品伝 票は業界標準が存在せず、各企業に任されている状況であった。情報の流れのほとんどを 人に依存しており、納品伝票、商品コード、製造仕様書などは個々の企業が独自に制定し たものを使用(納品伝票が取引先企業数と同数存在するケースもあった)というメーカー に商品開発が委託されることもあったが、1990 年代に入ると円安を背景にアジアからの 輸入が急増を続けた(塚田、2002 に詳しい)。なお、ライセンス・ビジネスに依存した名 門企業の相次ぐ倒産は2010 年からである(代表は長く東京の最大手かばん製造卸であっ た株式会社松崎と名古屋を代表するハンドバッグの株式会社エリットの倒産である)。 (22) 産地企業に加え金融機関その他へのヒヤリングでは、PB 生産への、「産地」としての最 大の懸念は、短期間でPB を止めてしまうことである。また企画担当者に対する不満もあ った(しかしコストを重視するため産地で社内企画担当者を確保するのは難しい)。 (23) 2014 年春の消費増税の際、アパレル市場が直後から影響を受けたのに対して、ファッ ション・グッズは影響しなかったが、15 年度から市況が悪化している。メンズは比較的善 戦しているものの、レディースが厳しく、特に靴、バッグが低迷している。 (24) PB の品質の責任は流通企業が負うため、流通企業は仕様書を作成して素材を製造企業

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に指示し、検品に関わる場合もあるが、90 年代の豊岡産地を振り返れば、この流れの一部 に、流通企業と取引する製造卸にとって重要な、技術力のある関連企業(実質的には下請) 経営者の合意が得られない例もしばしば見受けられた。 (25) 主な新企画は以下のとおりである。2010 年島田順子と協業、2011 年サンエー・インタ ーナショナルとの協業(女性の仕事着を開始)、2012 年レナウンとの協業を開始、2014 年 様々なクリエイターと組んだライフスタイルストア「ハニカムモード」等を開始、2015 年 「リミテッド エディション・エリアモード」を開始、また「セットプルミエ」の第1 弾 としてジャンポール・ゴルチエと組み婦人服などを開始。 (26) そごう・西武松本社長によると、婦人靴の工場に入り込んで生産ラインを守るための改 革に取り組んでいるとし「革の素材調達・供給の安定化で、生産を委託する7,8 社の国内 工場と組んでそごう・西武が革や部材を一括手配」して、スケールメリットを活かし、ま た「工場の閑散期を活用した生産サイクルの効率化」を行っていると述べる(繊研新聞2016 年7 月 21 日)。さらに、地方店を立て直すべく 15 年 3 月に立ち上げたリミテッドエディ ション・エリアモードでは、日本初の縫製職人マッチングプラットフォーム「nutte(ヌッ テ。株式会社ステイト・オブ・マインドが2015 年 2 月に開始したサービス。依頼者はサ ンプル制作など、1 点から受注できる。アパレル企業と縫製工場のマッチングプラットフ ォームである)と組むことで小ロット生産の対応も可能になった(WWD ジャパン 2016 年7 月 4 日)。 (27) ただしかつての紳士服チェーンは女性用スーツも充実し顧客の支持を得て業績を伸ば している。すなわち、青山商事は、ウィメンズの2016 年 3 月期の売上が前期比 116%の 274 億円であり、同社は 2016 年春に 30~40 代前半にキャリア女性をターゲットに設定 した女性専門店「ホワイト・ザ・スーツカンパニー」をスタートしている。 (28) 塚田(2016B)を参照されたい。 (29) 塚田(2005、第 7 章)に詳しい。 (30) 西村(2014)を参照されたい。

(31) 以下を参照されたい。Ha-Brookshire, J. E. (2012), “Country of parts, country of manufacturing and country of origin: consumer purchase preferences and the impact of perceived prices”, Clothing and Textiles Research Journal, Vol. 30 No.1, pp.19-34. Hamzaoui, L. and Merunka, D. (2006), “The impact of country of design and country of manufacture on consumer perceptions of bi-national products’ quality: an empirical model based on the concept of fit”, Journal of Consumer Marketing, Vol. 23 No.3, pp.145-155.

(32) 社会実験については拙稿(1989)(「マクロマーケティング論序説:漸次的社会工学的ア

プローチに基づく研究構想」『三田商学研究』32 巻 4 号、pp.43-57)を参照のこと。

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(2016A)「黎明期アメリカのMarketing Thought と伝統的アプローチに関する一考察」『東洋 大学大学院紀要』第52 集、pp.177-205。 (2016B)「ラグジュアリー・ファッションとブランド・レゾナンス」東洋大学経営学部マーケ ティング学科編『現代マーケティング研究の潮流』中央経済社、pp.161-178。 (2016C)「向井鹿松博士のMarketing Distribution 研究に関する一考察」『東洋大学経営論集』 87 号、pp.49-63。 (2017 年予定)「Amazon.com のアパレル販売とわが国百貨店」『東洋大学大学院紀要』53 集。 (2017 年 1 月 6 日受理)

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