83 る.その臨床病理学的特徴を明らかにすることを目的 として本邦例40症例(M:F=19:21,平均年齢31歳) について検討した.腫瘍細胞は大型で細胞質に富み, まがたま様あるいはドーナッツ状と表現される強い核 異型を示した.しぼしぼ傍皮質領域,類洞への浸潤, 線維化も認められた.29例にT細胞関連抗原,2例に B細胞関連抗原が認められ,9例についてはT細胞B 細胞関連抗原が認められなかった.また,HLA・DR, CD 25, EMAが高率に陽性であった. DNA解析は13 例中9例にT細胞受容体(TCR)beta鎖遺伝子の再構 成を示した.5年生存率は52%で,臨床像と予後から ポジキン病と他の末梢性T細胞腫瘍の中間に位置づ けられる特殊な一群と考えられた. 4.悪性りンパ腫の化学療法 (血液内科)増田 道彦 悪性リンパ腫の化学療法の基本は,突然変異理論に 基づいたGoldie−Coldmanの仮説から導かれており, これより治療の初期段階から非交叉耐性の多種類の薬 剤を投与することが必要になっている.またHryniuk らによって示されたdose intensity(DI)は単位期間に おける薬剤投与量の考え方であり,DeVitaは悪性リ ンパ腫の治療効果や生存率は化学療法のDIに相関し ていると述べている.これらを基礎にして登場したの
がMACOP−BやProMACBCytaBOMなどの非ポジ
キソリンパ下中および高悪性度群に対する第3世代と いわれる多剤併用療法である.また最近登場したG− CSFを化学療法に併用することにより,白血球減少な どの副作用軽減だけでなく,化学療法のDIを上げる ことが可能となった.もう1つ化学療法のDIを上昇 させる方法として骨髄移植,自家骨髄移植の併用があ る.第3世代化学療法にG−CSFや骨髄移植を組み合 わせることにより,悪性リンパ腫は寛解だけではなく 治癒も期待でぎるようになってきた. 5.悪性リンパ腫の放封線治療 (放射線科)大川 智彦 悪性リγパ腫に対する治療法とその成績は過去50年 の間に大きく変化し,なかでも最近の20年の変化は急 激である.すなわち1930年代までは不治の病であった が,1940年代以降の放射線の発達によって限局型症例 の治療成績が向上し,1970年以降の化学療法の進歩に よる併用療法によって治癒可能となった.とくにHod−gkin病の5年生存率は90%以上であり,非Hodgkin
病は50∼70%といわれている.放射線治療は限局型 (1,II期)では腫瘤部およびその周囲を含めて照射し (involved且eld),進展型(III, IV期)では化学療法主 体であるが,全リンパ節照射(マントル照射+逆Y照 射)で行うこともある.線量は1回1.5−2Gyで週5回 行う.総線量は腫瘍量により決定されるが一般的には 30−50Gyである.いずれにしても治療後の障害を充 分考慮した集学的な至適併用を目指した治療を行わな けれぽならない. 6.悪性リンパ腫の骨髄移植 (血液内科)押味 和夫 骨髄移植は,血液腫瘍,再生不良性貧血,先天性疾 患などの治療法として広く行われている.骨髄移植に は,患者自身の骨髄細胞を保存しておいたのち移植に 用いる自家骨髄移植と,兄弟あるいは非血縁者からの 骨髄を移植する同種骨髄移植とがある.さらに最近で は,末梢血中を流れている造血幹細胞を移植する方法 なども行われている.悪性リンパ腫では,主に自家骨 髄移植が行われることが多いが,同種骨髄移植も行わ れている.自家骨髄移植では移植する骨髄中に腫瘍細 胞が含まれていないことが,治療成績を向上させるた めの前提条件となる。本講演では,このような骨髄移 植を行うための症例の選び方,骨髄移植前の化学療法 などの前処置,具体的な骨髄移植の方法,骨髄中の判 所細胞を除去する方法,治療成績,問題点,今後の展 望などについて述べる予定である. 追加発言 悪性リンパ腫の外科治療 一高悪性リンパ腫の切除予後一 (消化器外科)喜多村陽一 鈴木 博孝・小熊 英俊・井上 達夫 目的:胃悪性リンパ腫に対しいかなる手術を行うべ きか,またその効果は,どの程度有るのかを検討した. 検討対象:消化器病センターにおける胃悪性疾患に 対する胃切除例6,226例中,胃悪性リンパ腫40例を対象 とした. 結果:①男女比は1.86:1で男性に多発,肉眼型は 決潰型が最も多く,占拠部位はM領域小平中心が多 かった.②術前生検白竹率は60.6%と低率であった. ③組織分類ではすべてB細胞リンパ腫で禰漫性リン パ腫が67。5%を占めた.腫瘍径,深達度とリンパ節転 移との間には,一定の傾向を認めず,転移陽性例でも 近位リンパ節にとどまっていた.④術後生存率でみる 一601一84 と,深達度pm,転移陰性群は,他群と有意差をもって 良好な成績であった. まとめ:郭清は第2群リンパ節までとし,深達度ss 以上または,リンパ節転移陽性群には術後の補助療法 が必要と考えた. 〔教育講演〕 大腸癌の外科的治療一特に括約筋温存手術と肝転移 の治療について一 (第二外科)浜野 恭一 大腸癌の外科治療のうち,最近の話題から直腸癌に 対する括約筋温存術,および肝転移癌の治療について 述べる. 直腸癌の手術術式の主流は,長い間直腸切断術で あったが,1980年代からは低位前方切除術にとって代 られている.低前切について,筆者らは,肛門側切除 端の問題,再発形式,生存率などからその妥当性を検 証してきた. また技術的には,器械吻合などを用いて,その適応 拡大をはかってきた.超低位前方切除術を含め,この 問題について述べたい. 一方,大腸癌の肝転移は,約20%にもおよび,治療 成績上の大問題である.筆者らは,術中超音波検査を 開発し,積極的に肝切除を行ってきた.同時に切除不 能癌に対しては,温熱化学療法,免疫療法などを中心 に種々の治療を試みてきた.しかし転移癌に対する治 療には限界があり,high risk群の予知と予防的治療が 絶対に必要である.自験例を通じてこれら諸問題につ ぎ言及したい. 一602一