シンポジウム
悪性リンパ腫
〔書略薦、。第犠,鉱毒
悪性リンパ腫の化学療法
東京女子医科大学 血液内科学 マス ダ ミチ ヒコ増 田 道 彦
(受付平成5年1月5日目 Chemotherapy for Ma1孟gnant. LymphomaMichihiko MASUDA
Department of Hematology, Tokyo Women’s Medical College The malority of the malignant lymphoma are systemic and nearly always require treatment w圭th chemotherapy. Much of the progress made in the treatment of malignant lymphoma has resulted from an improved understanding of the principle of chemotherapy.“Goldie−Coldman hypothesis”and‘‘dose intensity”are two major principle of chemotherapy for mahgnant lymphoma. Goldie and Coldman proposed a hypothesis to expla重n the spontaneous development of resistance of cancer cells to chemotherapeutic agents with mutation. The association between the amount of drug administered over time, termed dose intensity. DeVita demonstrated a significant relationship between dose intensity of the major chemotherapy regimens for malignant lymphoma and their respective disease free survivals, These two principle have important theoreticai implications for the design of chemotherapy protocols for malignant lymphoma. はじめに 近年の悪性腫瘍に対する化学療法の進歩は, GoldieおよびColdmanの仮説とd6se intensity (DI)という2つの考え方に基づ.いている.今回は. この2つの考え方と,それに基づく悪性リンパ腫 に対する化学療法の進歩について紹介したい.1.GoldieおよびColdmanの仮説
GoldieおよびColdmanの仮説Pは, Delbruck らの突然変異理論に基づいた細菌の薬剤耐性獲得 の事実の観察を,抗癌剤耐性獲得に結び付けたも のである.その仮説は, (1)薬剤耐性は突然変異によりspontaneous に出現する耐性クローンによる. (2)このような耐性クローンを含まない確率は 腫瘍量の増大とともに指数関数的に減少する. (3)薬剤耐性発現を回避するためには,明らか な活性を有し互いに非交叉耐性な薬剤のすべてを 治療の初期段階に与える.悪性リンパ腫に対する化学療法を表1に示し
た.これに示されるように4∼8種題の薬剤が治 療早期から投与されるが,これらはGoldieおよび Coldmanの仮説から導かれている. 2. Dose intensity DIは, HryniukとBushら2)に提唱された概念 である.簡単にいえば,DIとは化学療法剤の投与 量を単位時間当たり(mg/m2/week)で表したも のである.DIを用いることにより化学療法剤の投 .与量,投与間隔の異なる多剤併用療法同士の強さ を比較したり,投与量や投与間隔を変化させた場 .合の多剤併用療法の強度の変化を計算できる.ま たある標準治療の各薬剤のDIで除した値を,そ ;れそれの治療のrelative dose intensity(RDI)と表1 悪性リンパ腫に対する化学療法 プロトコール名 1.MOPP 2.COMLA 3.CHOP 4.COPA 5,COPA・B 6.CAP−BOP 7.ProMACE−MOPP 8.M−BACOD 9.BACOP 10.COP BLAM I 11.COP BLAM II 12.MACOP−B 13,ProMACE−CytaBOM 用 い る 薬 剤 ナイトロジェンマスタード,ピンクリスチン,プロカルバジン,プレドニゾロン シクロホスファミド,ピンクリスチン,メトトレキサート,ロイコボリン,シタラビン シクロホスファミド,ドキソルビシン.,ピンクリスチソ,プレドニゾロン シクロホスファミド,ドキソルビシン,ピンクリスチン,プレドニゾロン シクロホスファミド,ドキソルビシン,ピンクリスチン,プレドユゾロン,ブレオマイシ ン シクロホスファミド,ブレオマイシソ,ビソクリスチン,プレドニゾロン プレドニゾロン,メトトレキサート,ドキソルビシン,シクロホスファミド,エトポシド, ナイトロジェンマスタード,ピンクリスチン,プロカルバジン メトトレキサート,ブレオマイシン,ドキソルビシン,シクロホスファミド,ピンクリス チン,デキサ耳玉ゾン ブレオマイシン,ドキソルビシン,シクロホスファミド,ビソクリスチン,プレドニゾロ ン シクロホスファミド,ピンクリスチン,プレド』ゾロン,ブレオマイシン,ドキソルビシ ン プロカルノミジン , シクロホスファ「 ド,ピンクリスチソ,プレドニゾロン,ブレオマイシン,ドキソルビシ ン プロカルノミジン , メトトレキサート,ドキソルビシン,ピンクリスチン,プレドニゾロン,ブレオマイシン プレドニゾロン,メトトレキサート,’ドキソルビシン,シクロ.ホスファミド,エトポシド, シタラビン,ブレオマイシン,ピンクリスチン 表2 4週間隔CHOP療法変法のrelative dose intensity(RDI)の算定の方法 標準CHOP療法 4週間隔CHOP療法
薬 剤 名 実際の投与量 DI(mg/m2^週)(A) 実際の投与:量
鷺艦
RDI(B/A)シクロホスファミド hキソルビシン rンクリスチン @プレドニゾロン 750mg/m2×1/3週 @50mg/m2×1/3週 P.5mg/m2 x 1/3週 i投与されていればRDIは1とする) 250 P6.7 @0.5 750mg/m2 x 1/4週 T0mg/m2×1/4週 P.5mg/m2 x 1/4週 187,5 @ 12,5 @ 0,375 i投与されていればRDIは1とする)1 illi(瀧
し,各薬剤のRDIの平均が多剤併用療法のRDI
となる.具体例として,標準CHOP療法(3週間隔)と4週間隔CHOP療法のRDI算定の方法を
表2に示した. DeVitaらはポジキン病の治療として広く使われているMOPP療法においてDIを検討し, DI
が高い場合のほうが低い場合に比較して生存率が 高いと報告している.ポジキン病で標準的に使われるMOPP療法はピンクリスチソの投与量,プ
ロカルバジンの投与日数に各研究施設ごとに若干 の違いがある.Nationa1 Cancer lnstitute(NCI)で行われているMOPP療法を基準として,各研
究施設で行われているMOPP療法のRDIを計
算し無病生存率との関係をみたのが図1であ
る2).MOPP療法のRDIと長期間の無病生存率との間には相関が認められる.つまりMOPP療法
のRDIが高いほど,長期間の無病生存率が良好で ある. 非ポジキンリンパ腫に対する各種の多剤併用療 法のRDIと,長期生存率との関係をみたのが表3 である3).長期生存率はドキソル.ビシン,シク.ロホ スファミド,ピンクリスチン,ブレオマイシン, エトポシド,プロカルバジン,イホマイド,メト トレキサート,プレドニゾロンの9薬剤のRDIと 相関している.ドキソルビシン,シクロホスファ ミド,ピンクリスチンの3薬剤,ドキソルビシン,シクロホスファミドの2薬剤のRDIと長期生存
率は必ずしも相関しない. DIの考え方を用いることにより,複雑な多剤併 用化学療法の各プロトコールを簡単な数値で互い に比較できるようになった.また各化学療法の RDIの値と予後には密接な関係があった.しかしDIの考え方にもいくつかの欠点がある。1つはす べての薬剤の至適投与量を同じ効果としている点 である.たとえぽ非ポジキンリンパ腫に対して, 効果が高いと考えられるドキソルビシンと,それ ほど効果が高くないと考えられるブレオマイシン も至適投与量が投与されれぽ効果は同じとされ る.動物のRDIの実験モデルでは,ある悪性腫瘍 を2種類の薬剤で治療する場合2種類の薬剤がそ の腫瘍に対して同等な場合,治療効果は両薬剤の RDIの平均に比例している.しかし腫瘍に対して ある1つの薬剤の効果が他の薬剤に比較して優れ ている場合は,治療効果は2薬剤のRDIの平均よ りは優れた薬剤のRDIだけに相関している. またもう1つのDIの考え方の問題点は,薬剤
の投与経路投与スケジュールの差がDIに反映
されない点である.例えば経口投与でも,静脈内 投与でもDIは同じと計算される.また急速静注 無病生存率 (%) !00 90 80 70 60 ら0 40 30・ 20 10 0 ●単剤 □SEGOMILAN
● o△ ▲ ■ △ECOG ▲標準の治療 □Nα 口 r=0.88 p<0.02 .25 .50 .75 1.O Dose Intensity 図1 ポジキン病におけるMOPP療法のDIと無病 生存率 SEG:南東二一研究グルーフ◇, ECOG:東部腫瘍研 究グループ,MILAN:ミラノグループ, NCI:米国 国立癌研究所(文献3)より) 表3 非ポジキンリンパ腫に対する多剤併用療法のRDIと長期生存率(文献3)より) RDI 化 学 療 法 治療期間(月) 長期生存(%) 9薬剤 3薬剤 2薬剤 1.MACOP−B 3 69 0.51 0.78 0.74 2.ProMACE/CyTABOM 4.5 、70 0.48 0.50 0.46 3.ProMACE/MOPP 6 58 0.44 0.52 0.56 4.ProMACE/MOPP 8 48 0.43 0.50 0.60 5.M・BACOD 7 48 0.42 0.51 0.54 6.BACOP 6 35 0.39 G.75 0.69 7.MOPP 6 35 0.36 0.58 0.44 8.COMLA 9 〈33 0.28 0.24 0.17 9。CHOP 6 〈30 0.26 0.46 0.50 でも長時間持続点滴でもDIは同じである.またMACOP−B療法のように短期間で治療が終了す
る治療法は,DIが高くなる傾向がある. 3.ホジキン病に対する化学療法 一般に悪性リンパ腫は病理組織学的にポジキン 病と非ポジキンリンパ腫に分類される.また非ポ ジキンリンパ腫は悪性度からlow gradeとinter・ mediate gradeまたはhigh gradeに分類される,ポジキン病の病期分類には表4に示すAnn−
Arborの分類が使われている. Ann−Arborの stage IとIIは原則として放射線療法の適応とな り,stage IやIIで化学療法の対象となるのは巨大 腫瘤(bulky mass)がある場合である. 現在ポジキン病に対して行われている化学療法はMOPP療法とその変法, ABVD療法,それら
を交替で行う交替療法または両者を組み合わせた hybrid療法などである. MOPP療法はnitrogen mustard,ピンクリスチン,プロカルバジン,プレ ドニゾロンを組み合わせた多剤併用療法である が,わが国ではnitrogen mustardが手に入りにく いため,シクロホスファミドに変更したC−MOPP 療法が行われている.ABVD療法はドキソルビシ ン,ブレオマイシン,ビンプラスチン,ダカルバジンが使用される.ABVD療法はMOPP療法不
表4 Ann−Arborの分類 Stage I:!リンパ節領域(1),または単一のリンパ組織 以外の臓器または部位(IE)の侵襲 Stage II:横隔膜で上・下に分け,いずれかの側で2つ以上 のリンパ節領域(ID,または横隔膜の同側でリ ンパ組織以外の臓器または部位の限局性侵襲と 1っ以上のリンパ節領域の侵襲(IIE) (付):侵されたリンパ節領域の数を記載する(例, II3) Stage IgI:横隔膜で上・下に分け,その両側にわたるリンパ 節領域αID.およびリンパ組織以外の臓器ま たは部位の限局性侵襲を伴う(IIIE),脾の侵襲 を伴うもの(IIIS),あるいはその両者の侵襲を 伴う (IIISE). Stage IV:1つ以上のリンパ組織以外の臓器または組織へ のびまん性または散布機侵襲で,リンパ節腫大 の有無は問わない. (付):Stage IIVには侵襲の部位を記号で示する (注1):以下の全身症状を欠くものをA,. S身症状のいずれ かを有するものをBとする. ①入院前の6ヵ月間に10%以上の原因不明の体重減少 ②38℃以上の原因不明の発熱 ③盗汗 (注2):病期分類は発病時で治療前にある患者についての み行なう. (注3):リンパ組織とはリンパ節,脾臓,胸腺,Waldeyer’ sring,虫垂, Peyer’s patchを指す。 (注4):肝生検で浸潤がある場合(H.),びまん性浸潤であ るとする..したがって,常にStage IVとする.骨 髄生検は骨文線および臨床的に病変がないと思わ れるところで行なうこと. (注5):肝の一葉に限られる多発性結節または同側肺門部 リンパ節腫大を伴った肺門部拡大は限局性臓器浸 潤とする.肺門部リンパ節腫大に伴う一側性の胸水 貯留は肺病変の有無にかかわらず限局性浸潤とす る. (注6):臨床病期分類(CS)と病理学的病期分類(PS): 通例,前者の分類を行なう.これは臨床所見,検査 成績,X線アイソトープ検査で浸潤部位を確認す る.その後試験開腹し,臓器の生検を行ないえた症 例については後者の分類を併記する.生検結果は次 のシンボルで付記する. N:リンパ節,H:肝臓,.S:脾臓, L:肺, M:骨 髄,P:肋膜,0:骨, D:皮膚,+:陽性,一:陰性L 記載例:CSIIA3, PSIIIs+N+H−M一 応例や再発例だけでなく,初回治療から交替療法 やhybrid療法として行われている.最近の報告で
はMOPP療法に比較して, ABVD療法または交
替療法が良好な成績をあげている4). ポジキン病の完全寛解(CR)例について,維持 療法を行うか否かについては薬剤耐性誘導などの 表5非ポジキンリンパ腫のWorking Fo㎜ulation による分類 WF分類 [軽度悪性群コ A.ML, small lymphocytic consistence with CLL;plas− macytoid(SL) B.ML, follicular, predominantly small cleaved cell diffhse area;sclerosis(FSC) C.ML, follicular, mixed, small cleaved and large cell diffuse areas;sclerosis(FM) [中等度悪性群] D.ML, follicular, predominaロtly large ceU areas;scle・ rosis(FL) E.ML, diffuse, small cleaved cell sclesosis(DSC) F.ML, diffuse, mixed, sman and large cell sclerosis; epitheroid component(DM) G.ML, diffuse, large cleaved cell;non・cleaved ceU; sclerosis(DL) [高度悪性群] H,ML, large cell, immunoblastic(IBL) plasmacytoid;clear cell;polymorphous;epitheroid cell component I.ML,1ymphoblastic(LBL) convoluted cen;nonconvoluted cell J.ML, small noncleaved ce11(SNC) Burkitt’s;folliOular areas Miscellaneous: composite;mycosis fungqides;histiocytic; extramedullary plasmacytoma;unclassi丘able; other 問題から不要であるとされている.しかし化学療 法後の残存腫瘍細胞に対してインターフェロン, インターロイキン2などの併用により成績を向上 させられるかが今後の検討課題となっている. また治療成績の向上により1長期生存が得られ るようになったポジキン病の問題としてクローズ アップされているのが二次発癌の問題である.特にMOPP療法およびその変法では,二次性白血
病の発生が3∼4%といわれており注意する必要 がある5).この点から,最初にABVD療法が行わ れることもある. 4.軽度悪性群非ホジキンリンパ腫に対する化 学療法 表5に示すのは非ポジキンリンパ腫のWork− ing Formulationによる分類である.この分類は 臨床的予後を考慮して提唱されている.予後によ り軽度悪性群,中等度悪性群,高度悪性群の3群に分類される.このうちの軽度悪性群は増殖速度 が遅く,mildな経過をとることから,“indolent lymphoma”の名でよぼれている.この軽度悪性群 は化学療法にある程度反応するが,完全治癒は望 めないとされている.1988年のYoungらの報告6) では104例の“indolent lymphoma”につき,限局的 な放射線療法のみにとどめる“watchful waiting”
群と,強力な多剤併用療法であるProMACE−
MOPP+total nodal irradiation群に分けて予後 を比較している.これでは両群の4年生存率は 83%程度でほぼ差がなかった.しかし多剤併用治 療群には治癒を思わせる長期寛解例もみられ, “indolent lymphoma”の予後改善の期待がもたれ るとも報告している. 一般にこの低悪性度非ポジキンリンパ腫に対す る化学療法に対してはアルキル化剤単独またはCOPまたはCVP療法(シクロホスファミド,ピ
ンクリスチン,プレドニゾロン)の3者併用療法 が行われる.これらの治療で,ドキソルビシソを 加えたCHOP療法などの4者併用療法・と寛解率 などに大きな差はない. 5.中高度悪性群非ホジキンリンパ腫に対する 化学療法 近年のドキソルビシンなどanthracycline系の 抗癌剤を含む強力な多剤併用療法により,中高度 悪性非ポジキンリンパ腫の予後は著しく改善し た.わが国での非ポジキンリンパ腫の約90%がこ の中高度悪性群といわれ,比較的急速な経過をと る. この中高度悪性二三ポジキンリンパ腫に対する 治療法は使用薬剤,投与方式,DIから3つの世代 に分類される. 第1世代の化学療法はシクロホスファミド,ピ ンクリスチン,ドキソルビシソ,ブレオマイシン などを間欠的に投与する治療法で,1970年代の治 療法である.MOPP, C−MOPP, CHOP, BACOP, CHOP・Bleo, COMLAなどの治療法がある.これ らの治療法の完全寛解率は40∼70%程度で,無病 長期生存率は30%程度である.現在でもCHOP, CHOP・Bleoなどは限局期の症例において放射線 療法,手術などと組み合わせて行われる.また高 齢者に対する治療法として,薬剤投与量を適宜増 減してこれらの治療が行われる. 1970年代終わりから1980初頭に行われたのが第 2世代治療法で,M−BACOD, ProMACE−MOPP, COP−BLAMIなどの治療法がある.第2世代の化 学療法は,第1’世代の間欠投与法の欠点である休 薬期間中の悪化を補うため,交替療法となってい る.またメトトレキサート,シタラビンなどの代 謝拮抗剤が用いられているのも特徴である.この 第2世代の化学療法により完全寛解率60∼80%, 無病長期生存率50%が達成された. 1980年代のはじめから行われた治療法が第3世代といわれ,ProMACE−MOPP hybrid,
ProMACE−CytaBOM hybrid, COP−BLAMIII, MACOP・Bなどがある.これらの治療法の特徴は Goldie−Coldmanの仮説に基づき,非ポジキンリ ンパ腫に対して明らかに活性をもつ非交差耐性の 薬剤が治療早期からすべて投与されることであ る.またDIをできるだけ強めようとする工夫も みられる,またシタラビン,メトトレキサートな どの,効果や副作用が時間依存性を示す薬剤の投 与法が考慮されている.表6に代表的な第3世代の化学療法であるMACOP・B療法の薬剤投与タ
イミングを示したη.使用される6薬剤のすべて が治療開始より4週間にすべて投与される.また 骨髄抑制の強いドキソルビシソ,シクロホスファ ミドの投与は隔週ごとに行われ,その間の週は骨 髄抑制の比較的少ないメトトレキサート,ピンク リスチン,ブレオマイシンが投与される. 図2は非ポジキンリンパ腫に対する多剤併用療 法のRDIを,非ポジキンリンパ腫に対する9薬剤 のgo蓋d standard(表7)から算定し完全寛解率と の関係をみたものである7).完全寛解率とRDIは 表6、MACOP・B療法の薬剤投与.タイミング 薬 剤 名 量 投与タイミソグ メトトレキサート 400mg/m2 weeks 2,6,10 ドキソルビシン 50mg/m2 weeks 1,3,5,7,9,11 シク巨ホスファミド 350mg/m2 weeks 1,3,5,7,9,11 ピンクリスチン 1.4mg/m2 weeks 2,4,6,8,10,12 ブレオマイシン 10mg/m2 weeks 28 12 , , プレドニゾロン 37mg/m2 Daily完全寛解率 % 100 go 80 70 60 50 40 3G 20 1D O 川 △★ 13・ 牽CIC2 ロ XG3 圏 O .1 .2 .3 .4 .5 .6 .7 .8 .9 1.0 無二生存率 ●零MOPp O=P/MOPP ★=MACOP−B コ しム コ ロ ムむ む ムき ノ ロコの 灘£811≡§§翫ド剛(1’8’ C3=CAP−BOP 図2 非ポジ.キンリンパ腫における各治療プロトコー ルのRDIと完全寛解率(文献8)より) 100 go 80 70 60 50 40 30 2G lo O ‘十 1門 △費 ニ タ3さ、ロ C1 0 .1 .2 .3 .4 .5 .6 .7 .8 .9 1.O .=MOPP O零P/MOPP ×罵COMLA ●=M−BACOD rト=CHOP ロ電BACOP C1電COPA I=CQP BLAM I C2=COPA−B 川=COP BLAM皿 C3胃CAP−BOP 禽・冨MACOP−B △三FPIC(1.8) ▲=R/M〔1.8) 図3 非ポジキンリンパ腫における各.治療プロトコー ルのRDIと無病生存率(文献8)より) 表7 相対薬剤強度(RDI)算出のためのDevitaの 、、Gold Standard” 薬 剤 mg/m2/week 相対薬剤二二(RDD Doxorubicin 25 1.0 Cyclophosphamide 375 1.0 Vincristine 0.8 1.0 Bleomycin 10 1.0 Etoposide 172 1.0 Cytarabin 250 1.0 Procarbazine 750 1.0 Corticosteroid 投与量にかかわらず 1.o Methotrexate 投与量にかかわらず 1.0
正の相関を示している.つまりRDIの高い
MACOP−B療法などの治療法ほど,完全寛解率が 高い.図3は同じRDIとの関係を無病長期寛解率 との関係でみたもので,完全寛解率と同様の関係 がみられる8). 6.非ポジキンリンパ腫に対するgran1110cyte colony stimulating factor(G・CSF)の効果 白血球を増殖させる効果のあるG−CSFが発売 になり,化学療法時の副作用である白血球減少症 に投与され効果をあげている.非ポジキソリンパ 腫の化学療法時のG−CSFの効果について,小川 らはG−CSFとplaceboとの二重盲検比較試験に ついて報告している9),非ポジキンリンパ腫患者に化学療法終了後3日目よりG−CSFまたは
placeboを14日間連続投与し両群を比較した.好 表8 MACOP・B療法におけるドキソルビシン,シク ロホスファミドのdose attenuation 穎粒球数 ドキソルビシン,シクロホスファミドの投与:量 1,000/μ1〈 P00−999/μ1 P00/μ1> 100% @ 65% 蒲^1週延期 中球の最低値はG・CSF群で1,894/μ1, placebo群 で494/μ1,また好中球3,000/μ1以上に回復するま での期間はG−CSF群8.3日, placebo群20.0日と いずれもG・CSF群が有意に優れていた.また尾山らは非ポジキソリンパ腫患者でCHOP療法を
2クール以上行う患者に対して,placeboから G−CSFを投与する群とG・CSFからplaceboを投 与する群に分けて比較し報告した10).G−CSFおよびplaceboは化学療法開始後3日後より14日間
投与された.好中球最低値はG−CSF投与群で
4,264/μ1,placebo投与群で585/μ1,また好中球 2,000/μ1まで回復するのに要する日数はG−CSF 群が3.8日,・placebo群が20.7日とそれぞれG二 CSF群が有意に優れていた.また感染症の合併 も,G−CSF群11.8%に対してplacebo群23,5%と 差がついた.表8に示したのはMACOP−B療法の dose attenuationの方法である.穎粒球数1,000/ μ1以上の時はシクロホスファミド,ドキソルビシ ンはfull dose投与されるが,穎粒球数100∼999/G−CSF ↓↓↓↓ ↓↓↓.↓ ↓↓↓↓ ↓↓ Day l 2345 678910111213 u 151617181920212223242526272829303132 ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 薬剤 ADM MTX ADR BLM ADR CPA VCR CPA VCR CPA 図4 MACOP・B療法におけるG−CSFの併用 μ1の時は投与量を65%に減量し,穎粒回数100/μ1
の時は薬剤投与を1週延期する.つまり
MACOP−B療法を行っていても穎粒球が減少す
ると,MACOP−B療法の高いDIを維持できない。 ここでG−CSFを併用することにより, DIを保つ ことができる.我々の施設では非ポジキンリンパ 腫患者25例に対してMACOP・B療法を行ったが, そのうち12回の治療すべてを行うことができた17 例についてG・CSF併用の効果を検討した. G− CSFの投与法は図4に示すように,抗癌剤投与か ら48時間の間隔をあけて投与した.これはG−CSF で刺激された正常血液幹細胞が,抗癌剤で強く障 害されるのを防止するためである.G・CSFを使用 しなかった患者12名,G−CSFを使用した患者5名 で感染症の合併をみた.G−CSFを使用しない患者 群で感染症の合併は8/12(67%),G−CSFを使用し た患者群で感染症の合併は0/5であり,G−CSF使 用により感染症の合併は有意に減少した.また MACOP−B療法のDIの低下は,.G−CSFを使用し ない患者群で7/12(58%),G−CSFを使用した患者 群で1/5(20%)でありG・CSF使用によりDIを低下させずMACOP−B療法を行える可能性が示唆
された.しかしG・CSFを使用しても,高齢(60歳 以上)の患者にMACOP・B療法のようなaggres・ siveな治療を行うことは大変困難であった. またParkerら11)は非ポジキンリンパ腫22例に 対してCHOP+エトポシド療法を行い, G・CSF 投与によりシクロホスファミド,エトポシドの投 与量を2倍にすることが可能となったと報告して いる.ここではG−CSFを化学療法に併用するこ とにより穎粒球減少を防止して感染の合併を防止 するだけでなく,積極的にDIを上昇させて非ポ ジキンリンパ腫の治療成績の向上を目指してい る. おわりに 悪性リンパ腫の最近の化学療法の進歩.について その概略を述べた.化学療法剤の進歩だけでなく, 抗生剤,輸血,無菌室管理など支持療法の進歩は めざましいものがある.また骨髄移植療法やG・ CSFの併用により,悪性リンパ腫の治癒も夢では ない時代となった.しかし高齢者や合併症を持っ た患者に対する治療法,再発した患者に対する salvage療法など今後解決すべき問題も多い. 文 献 1)Goldie JH, Co旧man AJ:Amathematical model for relting the drug sensitivity of tumors. to their spontaneous mutation rate. Cancer Treat Rep 63:1727−1733,1982 2)Hryniuk W:The importance of dose inten− sity in outcome of chemotherapy.1ηImportant Advances in Oncology(DeVita VT, Helman S, Rosnberg SA eds), pp121−128, Lippincot, Philadelpha(1988) 3)DeVita VT, Hubberd SM,1.ongo D et a1: The chemotherapy of lymphoma;looking back, moving forward−The Richard and Hind Rosenthal foundation award lecture。 Cancer・ Res 47:5810−5824,1987 4)Canellos GP, Anderson JR, Pmpert KJ et al: Chemotherapy of advanced Hodgkin’s disease with MOPP, ABVD, or MOPP alternating with ABVD. N Engl J Med 327:1478−1484,1992 5)Bonadon聾a G, Santro A, Viviani S et a監: Treatment strategies for Hodgikin’s disease. Semin Haematol 25:51−57,1988 6)Young RC, Longo DL, Glastoin E et al:The treatment of indolent lymphomas. Watchful waiting aggressive conbined modality treat・ ment. Semin Heniatol 25:11−16,1988 7)Klimo P, Connors JM:MACOP−B chemo・ therapy for large cell lymphoma. Semin Hemato豆24:8−20,1987 8)DeV三ta VT, Canellos GP, Chabnor B et a監: The role of chemotherapy in diffuse aggressive ly㎎phomas. Semin Hematol 25:2−10,1988 9)小川一誠,正岡 徹,溝口秀昭ほか:悪性リンパ 腫化学療法後の好中球減少に対するKRN8601 (rhG−CSF)の第III相試験.癌と化療17: 365−373, 199σ 10)尾山 淳,太田和雄,浅野茂隆ほか:非Hodgkin リンパ腫に対するRecombinant Human G・CSF (rG・CSF注)の二重盲検交叉試験.日癌治 25: 2533−2543, 199011)Parker BA, Vassos AB, Haidern SE et al: Dose escalation study of CHOP plus Etoposide (CHOPE)without and with rhG・CSF in untreat− ed non−Hodgkin lymphoma(NHL)。 Proc ASCO 10:283−290, 1991 . 12)溝ロ秀昭,増田道彦:dose intensityと有効性. Current Therapy 9 129−134,1991 13)増田道彦,.押味和夫:悪性リンパ腫の化学療法. 日常診療と血液 2:513−519,1992