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東京女子医科大学学会 第58回総会抄録
〔特別講演〕 ウイルス性肝炎の新たな知見一C型肝炎を中心とし て一 (消化器内科)小幡 裕 日本における肝疾患の約80%は肝炎ウイルスによる ものである.1965年以来5種類のウイルスが次々と発 見され,それぞれの特徴が明らかにされてきた.これ らのうち我が国において最近特に新たな知見が集積さ れ,重視されているのはC型肝炎である. C型肝炎は基礎面では分子生物学的研究により遺伝 子構造が解明され,またそれを臨床に応用して診断法 が開発されてきている.さらに遺伝子の変異の問題が 新たな課題となってきている. 一方,臨床面では我が国における疫学的実態が把握 されるようになり,持続感染の成立とそれによる肝病 変の推移,すなわち急性肝炎から肝細胞癌への進展の 様相についても明らかにされてぎている.そして,C型 肝炎の感染,発展に対する予防対策も着実に進められ, また治療面では特にインターフエロン療法が脚光を浴 びてきている.しかし,本療法によるC型肝炎の寛解, 治療の可能性は期待されているものの投与量,投与期 聞さらに副作用の問題などについて,さらに評価が必 要である. B型肝炎に関しては,C型に先んじて受動および能 動免疫による予防対策が確立され,臨床実態も変貌し, 制圧に向っている.しかし,未だ肝炎の発症機序など 残された問題も少なくない.それらの現況についても 述べる. そして,最後にウイルス性肝疾患に対する東洋医学 からのアプローチとして,基礎,臨床面における役割, 新たな展開について考察を加える. 〔シンポジウム〕 悪性リンパ腫シンポジウム 1.悪性リンパ腫の研究経緯と本学の悪性リンパ腫 について (第二病理)笠島 武 1832年,Hodgkinの報告に端を発した悪性リンパ腫 の研究史は,造血系細胞,とくにリンパ網内系細胞の 帰属の変貌の歴史ともいえる.リンパ球の芽球化の確 認,細網細胞,内皮細胞,マクロファージの起源に関 した幾多の論議の継続,近代の免疫学,分子生物学の 新たなアプローチ,種々の解析などから,形態学的な 悪性リンパ腫の分類も曲折を経て,現在のHodgkin 病(HL),非Hodgkin病(NHL)に2大別された. さらに免疫学的な立場,あるいは臨床的な予後との関 連を重視したいくつかの分類が提言された.これらの 研究経緯にふれると共に,新たな今日的問題点を紹介 する.さらに,本学における悪性リンパ腫の剖検,生 検での推移を紹介する. 2.Bリンパ腫の病理一低悪性度群Bリンパ腫を中 心として一 (筑波大学基礎医学系病理)森 尚i義 近年working formulationの低悪性度群リンパ腫 に属するもののうち,mantle zone lymphomaやmonocytoid B lymphoma,更にMALT lymphoma
などの概念が次々と出されている.これらのリンパ腫 は形態的に鑑別が難しく,概念的にもオーバーラップ が見られるなど,未だそれぞれが明確な疾患単位とし て確立されていない.我々は現在までにmantle zone lymphoma 9例, monocytoid B lymphoma 4例を経 験しており,これらの形態的,免疫組織化学的特徴を 明らかにしたい. これらの疾患と鑑別を要するものとして,びまん性 小細胞型リンパ腫(あるいはCLL), hairy cell leuke− mia, MALT lymphomaなどがある. 我々は小細胞型リンパ腫(あるいはCLL)7例, hairy cell leukemia 6伊旺を経験しており, mantle zone Iymphoma, monocytoid B lymphomaとのマー カー上の鑑別を試みたい.MALT lymphomaについ てはその概念を述べるとともに,他の低悪性度群リン パ腫との関連性を述べる. 3.末梢性T細胞腫瘍の臨床病理学的研究 一特に未分化大細胞型リンパ腫を中心として一 (愛知県がんセンター病院臨床検査部病理科) 中村 栄男 未分化大細胞型リンパ腫(LC−Ana)はSteinらによ りKi−1抗体(CD 30)陽性の非ポジキンリンパ腫とし て報告された.多くはT細胞性と考えられ,現在up− dated Kiel分類Tリンパ腫high grade群に分類され 一600一83 る.その臨床病理学的特徴を明らかにすることを目的 として本邦例40症例(M:F=19:21,平均年齢31歳) について検討した.腫瘍細胞は大型で細胞質に富み, まがたま様あるいはドーナッツ状と表現される強い核 異型を示した.しぼしぼ傍皮質領域,類洞への浸潤, 線維化も認められた.29例にT細胞関連抗原,2例に B細胞関連抗原が認められ,9例についてはT細胞B 細胞関連抗原が認められなかった.また,HLA・DR, CD 25, EMAが高率に陽性であった. DNA解析は13 例中9例にT細胞受容体(TCR)beta鎖遺伝子の再構 成を示した.5年生存率は52%で,臨床像と予後から ポジキン病と他の末梢性T細胞腫瘍の中間に位置づ けられる特殊な一群と考えられた. 4.悪性りンパ腫の化学療法 (血液内科)増田 道彦 悪性リンパ腫の化学療法の基本は,突然変異理論に 基づいたGoldie−Coldmanの仮説から導かれており, これより治療の初期段階から非交叉耐性の多種類の薬 剤を投与することが必要になっている.またHryniuk らによって示されたdose intensity(DI)は単位期間に おける薬剤投与量の考え方であり,DeVitaは悪性リ ンパ腫の治療効果や生存率は化学療法のDIに相関し ていると述べている.これらを基礎にして登場したの