• 検索結果がありません。

腎と高血圧

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "腎と高血圧"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

80 学 会 〔東女医大誌 第60巻 第12号頁1068∼1070平成2年12月〕

東京女子医科大学学会第284回例会抄録

シンポジウム 高血圧臨床の進歩

日 時 会 場 司 会

平成2年11月8日(木)午後4時半より

東京女子医科大学第1臨床講堂

出村 博教授(第二内科) 杉野 信博教授(第四内科) 1.ホルモンと高血圧 (第二内科) 成瀬 光栄 二次性高血圧の原因物質として,一部のホルモンの 臨床的意義は確立されている.一方,本態挫高血圧 (EH)におけるホルモンの役割は充分に明らかではな く,研究の領域を越えないが,新しいホルモン(様物 質)の発見に伴い多くの興味ある知見が集積されてい るので,演者らの研究結果を混じえて最近の動向を概 説する. 1.昇圧系:RA系に関しては,レニンの遺伝子を導 入した“transgenic rats”で激烈な高血圧と副腎レニン の増加を認めたことから,組織中RA系の病因的意義 が脚光を浴びている.血管内皮由来のエソドセリン (ET)は,臓器障害を伴うEHで血中値が上昇してい ること,動物における抗ET抗体による中和実験で血 圧が下降することから,高血圧の維持,血管合併症の 進展に関与すると考えられる.de Wardenerにより存 在が推測された内因性ジギタリス様物質は,最近,ウ アバインであると報告された,EHの約半数では血中 ウアバイン濃度の増加を認めており,今後の検討が待 たれる.Pangらにより発表された副甲状腺由来昇圧 因子は数週間で血圧上昇をきたすペプチドで,低レニ ン性EHでのみ上昇しており,その物質の同定が期待 されている. 2.降圧系:ANPはEHの約1/3で上昇しており代 償反応と考えられるが,最近,高血圧素因を有する家 族で,食塩負荷に対するANP増加反応の著明な低下 が報告され,“ANP欠損症候群”の可能性が示唆され ている.内皮由来血管拡張物質nitric oxideは,その 特異的阻害剤により著明な高血圧を生じることから, ETと拮抗的に血圧調節に関与していると考えられ る.腎由来ドーパミンの減少も注目されており,尿中 Na排泄の減少,体液量の増加など加齢,重症度などに 1068 伴うEHの病態の変遷と一致した変化を示すと報告 されている. 3.ホルモンと血管構築:ホルモンは以上のごとき 血管壁のトーヌスを規定するという比較的短期的な作 用に加えて,長期的にはそれ自身が直接あるいは成長 (阻害)因子を介して間接的に血管壁の構造的変化を生 じ,血行力学的特性を変化させることにより,高血圧 に関与し得ることが示唆されて来ている. しかしながら,高血圧の成因におけるこれら多数の ホルモンの相対的重要性については未だ明らかでな く,包括的,系統的解釈は今後の研究を待たねばなら ない. 4.ホルモンと降圧剤:一方,これらのホルモンの研 究は,その構造,受容体,代謝過程などの解明を通じ て,新しい降圧剤の開発に積極的に応用されている事 実も忘れてはならない. 2.腎と高血圧 (第四内科) 加藤 貞春 本態性高血圧症に合併する腎機能障害は,古くから 腎硬化症として知られており,この腎障害の末期は腎 不全として透析療法が必要となる. 高血圧の薬物治療は,利尿剤,β遮断薬が主に使用さ れてきたが,1988年の米国合同委員会の段階的治療ガ イドラインでは,第一段階に利尿剤β遮断薬に加えて Ca拮抗剤,アンギオテンシン変換酵素阻害剤の使用を 勧めている.これら作用機序の異なる種々の降圧薬が 臨床応用され,血圧のコントロール,合併症の出現頻 度は改善しつつあると考えられるが,いぜんとして腎 不全に進行する例も少なくない.また急速に腎機能の 悪化がみられる悪性高血圧も降圧薬の進歩と共に血圧 コントロールと予後の改善が得られている. 今回は,腎硬化症として長期間外来followされてい

(2)

8/ る症例および悪性高血圧のために透析導入し,引ぎ続 き当センターにてfollowしている症例を提示し,高血 圧と腎合併症について述べ,さらに主要降圧薬と腎機 能との関係に触れる, 3。心臓と高血圧 (循環器内科〕 楠元 雅子 高血圧による心臓障害には,心肥大,心不全や虚血 性心疾患があり,降圧療法によりこれらの障害の予防 と進展抑制がみられている.高血圧症例における求心 性心肥大は物理的な圧負荷による量的な変化のみでな く,質的な機能や代謝を含めての質的な変化としても 考えられており,最近は各種降圧剤により心肥大の退 縮についても検討されている.心肥大の判定は臨床の 場では,心電図や胸部レ線写真が用いられている。し かしながら心電図による種々の心肥大の判定基準を用 いても,血圧や剖検との相関は高くない.これは経過 あるいは症例により合併してくる動脈硬化による心筋 障害所見が加わり,単純に高電位差のみでは心肥大の 量的な判定は困難なことを示している.レ線写真での 心胸比の増大は,左室の肥大に加えて,拡張がおぎて きた場合にみられる所見であり,軽度から中等度の高 血圧症例の心肥大の判定には用いにくい.最近は心臓 超音波検査により左室壁厚からの左室重量を推定でぎ るようになり,剖検心と高い相関が認められている, また心臓超音波検査では左室収縮機能の判定も可能で あり,広く用いられるようになった.さらに高血圧の 病態,治療薬の種類や内服時間の選定にきわめて有用 である.携帯型24時間自叙血圧計の普及により,血圧 の日内変動と心肥大との関連についての検討がなされ るようになった.仕事中や運動中の血圧と心臓超音波 検査による左室重量係数との相関を認め,安静時血圧 とは相関が認められない,あるいは血圧の日内変動か らみると,夜間血圧降下例では左室重量は軽く,心肥 大の進行は遅い,等高血圧と心肥大の関連についての 報告が多く見られるようになっている. 今回は高血圧症例における心臓超音波検査所見と24 時間自動血圧計について,文献および自験例をもとに 報告する. 4.脳血管障害と高血圧 (神経内科) 小林 逸郎 近年,わが国の脳血管障害は減少傾向にある.特に 脳出血の減少は著明であり,これは主として降圧薬の 進歩を含めた高血圧管理の徹底によるものと考えられ る,降圧治療により高血圧により直接促進される細動 脈硬化や血管壊死の進展が抑えられるためである.一 方,中等大以上の脳動脈や頸部の主幹動脈などの粥状 硬化は脂質代謝との関連が深いが,高血圧もその進展 を促進させることが知られている. 今回のシンポジウムでは, 1.発症24時間以内に救急入院した脳血管障害(脳出 血,脳血栓,脳塞栓)の高血圧の罹病期間,治療歴, 入院時の血圧・脈拍 2.入院後2週間の血圧・脈拍の変動 3.脳出血特に視床出血・橋出血の血圧の日内変動 4.CT・MRIで側脳室周囲に多発する小梗塞巣を有 する症例において,1231−IMPSPECTを用い,脳血流状 態を検討した.特に,高血圧の既往・治療,24時間血 圧の日内変動との関係を検討した. 脳血管障害(脳梗塞)をおこした症例では既に非可 逆性の進行した血管病変を有するものが多く,脳血流 量の低下や血圧自動能調節の低下が予測される. 高血圧を適切に治療することは脳血管障害を予防す ることにつながるが,一旦脳血管障害をおこした症例 での血圧のコントロールも重要であることを強調した い. 5.動脈硬化と高血圧 (日本大学第二内科) 八杉 忠男 高血圧は動脈の機能的疾患であり,動脈硬化は動脈 の器質的疾患である.従って,全く異なった疾患単位 であるが,この両者の間には密接な関係がある.また, 動脈硬化は細小動脈硬化と中等大以上の動脈にみられ る粥状硬化に二大別され,それぞれ後発してくる疾患 に差がみられる.細小動脈硬化は,hypertensive arter・ iopathyとも考えられるもので,脳内細小動脈,眼底動 脈,腎内細小動脈に発生して,脳出血,眼底出血,腎 不全などの基礎となり,高血圧が直接原因となる.一 :方粥状硬化は,大動脈,腸骨動脈,冠動脈,脳外や脳 底動脈,腎動脈等に生じて,いわゆる虚血性疾患の基 となる.最近の降圧療法の進歩は前者を予防し,後発 疾患を減少さぜていることは良く知られていることで ある.一方,粥状硬化に対する進展因子は,高脂血症, 高血圧,肥満,喫煙などが挙げられており,高血圧は その重要な進展要因になっている.最近特に問題と なっているのは,降圧療法の進歩によって大きな進展 因子の1つが除去されてきているのに,虚血性心疾患 一1069一

参照

関連したドキュメント

緒  副腎皮質機能の高低を知らむとして,従来

について最高裁として初めての判断を示した。事案の特殊性から射程範囲は狭い、と考えられる。三「運行」に関する学説・判例

F1+2 やTATが上昇する病態としては,DIC および肺塞栓症,深部静脈血栓症などの血栓症 がある.

にて優れることが報告された 5, 6) .しかし,同症例の中 でも巨脾症例になると PLS は HALS と比較して有意に

血は約60cmの落差により貯血槽に吸引される.数

 単一の検査項目では血清CK値と血清乳酸値に

混合液について同様の凝固試験を行った.もし患者血

[Publications] Taniguchi, K., Yonemura, Y., Nojima, N., Hirono, Y., Fushida, S., Fujimura, T., Miwa, K., Endo, Y., Yamamoto, H., Watanabe, H.: "The relation between the