• 検索結果がありません。

(シンポジウム 注目すべき感染症とその対策)Toxic shock syndrome

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "(シンポジウム 注目すべき感染症とその対策)Toxic shock syndrome"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

76

東京女子医科大学学会 第57回総会抄録

〔特別講演〕 熱傷治療の進歩と私達の夢 (形成外科)平山 峻 広範囲重症熱傷ではショック期,感染期,潰瘍期と いう全くphaseの異なった反応を僅か1ヵ月の短期 間内に示すものである.これらの治療に当る医師はま ず患者が現在どのphaseにあるかについて的確な判 断を下し,素早く救急治療を開始すべきであろう. 現代医学の進歩により重症熱傷初期に現われる ショック状態は現今ではほとんど抑制,治療すること が可能となったが,諸種の感染問題,とくにMRSA感 染により患者の一命を失う症例が極めて多い.感染予 防に当っては当然のことではあるが,局所,全身治療 を必要とする.然しながら如何なるすぐれた抗生剤が 使用されても局所に蔓延する細菌群はやがて耐性を示 すものであり,要は細菌と人智との競争といわざるを 得ない. 感染を的確に予防する最強の武器とは生着しうる植 皮術を早期に行うことであり,その点自家,同種植皮 術が最もすぐれている方法といえよう.ごく最近考案 されつつある永久生着を示す人工皮膚の使用は重症熱 傷の感染予防に最も効果的な治療法といえよう. 今回は私達が東京女子医大熱傷ユニットで行ってい るショック,感染の治療法について述べ且つ,人工皮 膚の治験についても言及する.なお,現在東京都熱傷 救急医療の現況も適わせて報告し,来る21世紀の様々 な熱傷治療法についても述べる. 〔シンポジウム〕

MRSA感染症と対策

(臨床中央検査部)菊池 賢 Ehlichが“Modern chemotherapy”を提唱した化学 療法の幕開けからかれこれ1世紀が過ぎようとしてい る,この間,次々に発見された抗菌物質により,駆逐 されていった感染症は数知れない.しかし,微生物は “耐性”を獲得することでこれに対応してきた.いわゆ る菌と人間の叡知のいたちごっこがここに始まった. このような耐性菌の歴史の中で絶えず重要な位置を占 め,主役を演じてぎた菌に黄色ブドウ球菌がある.現 在,マスコミにも大きく取り上げられているように, 院内感染源として,多剤耐性菌として,あるいはtoxic shock syndromeのような新しい重篤な感染症を起こ す起因菌として最も問題になっている菌であることは 周知の通りである.今回このシンポジウムではこの

MRSAの現状を踏まえ,特に院内感染源としての

MRSAの対処につき自験例を混じえてお話しする予

定である.

MRSA感染症の化学療法

(臨床中央検査部)長谷川裕美 Methicillin・resistant s’αρ勿106066%∫ 傭γ6%s (MRSA)感染症の抗菌薬療法として,近年,種々の併 用療法が試みられている.特に,immunocompromised

hostのMRSA感染症の増加が問題となっている現

在,生体にとっては安全で,且つ,より強力な抗菌効 果が期待できる治療法が必要となっており,抗菌薬療 法もその投与方法(投与:量,投与時間,投与順序,投 与間隔など)が注目されている.本シンポジウムでは,

vancomycin(VCM)の使用法,またはVCMとβ一ラ

クタム剤との併用投与方法,ならびに,fosfomycinと β・ラクタム剤,minocyclineとβ・ラクタム剤の併用投 与方法について,特に,投与量,投与時間,投与順序

を中心に,in vitroおよびin vivo実験の結果を述べて

みたい.また,抗菌効果の判定としては,従来より行

われている殺菌作用の他に,PAE(postantibiotic

effect),すなわち,再増殖抑制効果を考慮した新しい 指標についても検討し,より有効な抗菌薬投与法につ

いて述べてみたい.

Toxic shock syndrome

(消化器内科)春木 宏介 Toddらによって1978年に提唱されたtoxic shock syndromeはブドウ球菌が産生するTSST−1によ.り DIC,ショックなど多彩な症状を示し致命率の高い疾 患である.1980年代にアメリカで生理期間中にタンポ ンより感染し,発症した例が多発して以来,、主に婦人 科領域の疾患であった.しかし近年婦人科以外でも数 多く報告され注目を集めている.起因菌は黄色ブドウ 球菌(S寄藻06006%εσ娩%s)であり,毒素はTSST−1, エンテロトキシンA,B, Cなどが知られている.臨床 一606一

(2)

77

症状は発熱,発疹,血圧低下,多臓器障害である.ま

た近年のトピックスであるMRSAによるものも認め

られている.今回はtoxic shock syndromeについて

婦人科1例,消化器内科1例の臨床例を呈示し解説す る. 術後感染症と対策 (第2外科)桐田 孝史 現在,消化器外科術後の感染症の中で最も大きな問

題となっているのは,MRSA感染症とくにMRSA腸

炎である.当科でも約3年前にtoxic shock syndrome

に陥ったMRSA腸炎を経験して以来,今日まで軽症 例を含めれば30例以上を経験している. 当科で経験した症例を検:摩した結果,MRSA腸炎発 症例の原疾患は胃癌にて胃切除術が行われた症例が 70%以上を占めており,とくに胃全摘例が重症化する こと,症例の過半数(重症例では80%以上)は術後第 3病日までに発症していることなどが判明した. そこで,その対策として一般的に論じられているよ うな院内感染の予防,抗生剤とくに第3世代セフェム 剤の適正な使用などを行うとともに,胃全摘例に限り 術後3日間,MRSAに極めて有効とされているバンコ マイシンの消化管内への予防的投与を行ってきた.し かし,現在なお病棟内からMRSAを一掃するまでに は至っておらず,今後一層の努力と対策が要求される. 輸血にともなう感染症 (輸血部)清水 勝 血液を介する感染症には,古くは梅毒トレポネーマ, マラリア原虫に始まり,肝炎ウイルス(HBV, HCV, HDV),成人T細胞性白血病ウイルス(HTLVJ),ヒ ト免疫不全ウイルス(HIV),サイトメガロウイルス (CMV)など数多く知られている.これらのうち梅毒, マラリアは過去のものとなったといえるが,危険性が 無くなったわけではない.HBV感染はスクリーニン グ検査で激減し,稀となりつつあり,HCV感染はスク リーニング検査が行われているが未だ不十分である. HTLV−1とHIVとはスクリーニング検査が導入され てからは,わが国においては感染例の報告はないが, HIVについては今後silent infectionの可能性が危惧 される.輸血によるCMV感染の予防は他の感染症と は様相を異にするが,抗体陰性血の供給体制が整って きた. より安全な輸血を目指すためには,献血血液の検査 ばかりでなく,献血者による自己申告の信愚性の確立 と共に血液の採血・供給体制の円滑な運営も求められ る. 移植と感染 (腎臓病総合医療センター) 高橋 公太・八木沢 隆・中沢 速和。 東間 紘・阿岸 鉄三・太田 和夫 臓器移植後の感染症は免疫抑制法の進歩により発生 頻度が全体に低下したが,いまだ合併症の第1位を占 めている.感染症をひとたび併発すると免疫抑制剤を 減量せざるをえないので,ときにその結果,拒絶反応 が発現して移植した臓器の機能を失い,不幸な経過を たどることがあるので,感染症を予防することが大切 である. 今回は,われわれが行っている腎移植を中心に,臓 器移植患者の感染症について述べたい. 抗菌薬の投与法 (臨床中央検査部)戸塚 恭一 最近postantibiotic effect(PAE)が注目され抗菌薬 の投与法に関する検討が必要とされている.PAEは細 菌が薬剤と短時間接触後に細菌の再増殖が抑制される 作用を示している.蛋白や核酸合成阻害剤ではグラム 陽性球菌,グラム陰性桿菌に対してPAEを示すが,β・ ラクタム剤ではグラム陽性球菌に対しては2時間前後 のPAEを示すが,グラム陰性桿菌に対しては一部の 薬剤を除いてPAEを示さない. PAEを示さない薬剤 では有効濃度を持続的に維持させることが重要と考え られる. 実際にファルマコキネティックパラメータと効果と の関連をマウスを使用して検討するとβ一ラクタム剤 の効果はtime above MICと関連するが,アミノ配糖

体やキノロソ剤はAUCと関連することが示される. アミノ配糖体やキノロン剤では効果’がAUCと関連す ること,PAEが存在すること,副作用の軽減などから 1日1回投与法が検討されている. 〔教育講演〕 体温調節に関与する神経ペプチドについて (薬理学)野本 照子 恒温動物の体温は筋労作,食物摂取,睡眠や感情興 奮によって変動する.この体温調節には,中枢神経系 および自律神経のみでなく,内分泌も関与しており, 一607一

参照

関連したドキュメント

10例中2例(症例7,8)に内胸動脈のstringsignを 認めた.症例7は47歳男性,LMTの75%狭窄に対し

取締役会は、事業戦略に照らして自らが備えるべきスキル

JICA

自分は超能力を持っていて他人の行動を左右で きると信じている。そして、例えば、たまたま

えて リア 会を設 したのです そして、 リア で 会を開 して、そこに 者を 込 ような仕 けをしました そして 会を必 開 して、オブザーバーにも必 の けをし ます

例えば、EPA・DHA

新型コロナウイルス感染症(以下、

開発途上国の保健人材を対象に、日本の経験を活用し、専門家やジョイセフのプロジェクト経 験者等を講師として、母子保健を含む