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三木 幹子 著者等は, 女子高校生と女子大学生を対象に結婚 恋愛に関する意識調査およびジェンダー意識に関するアンケート調査を行い, 両者の恋愛観と結婚観の違い, およびジェンダー意識が恋愛観に与える影響について考察を行った 3). また, 前報 4) においては, 中学生, 高校生, 大学生, 社会

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Academic year: 2021

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子どもの創造性を豊かにする鑑賞方法についての一考察 〔報  文〕

女性と男性の恋愛観・結婚観に関する意識比較(第 2 報)

―男性の恋愛観・結婚観とジェンダー意識との関係―

三 木 幹 子*

(2014年11月12日 受理)

Comparison of Attitudes toward Perceptions of Love and Marriage

between Men and Women (Part. 2)

── Relationships between Views of Love and Marriage and Gender Awareness of Men──

Motoko MIKI*

A survey was conducted on the relationships between views of love and marriage and gender aware-ness of males targeting the males from teens through to thirties.

From the consideration on the relationships between views of love and marriage and gender aware-ness, the findings were as follows.

・A factor analysis was conducted on the gender awareness of males and two factors were extracted: “factor of dependence on love” and “factor of stereotype on femininity”.

・Males with strong gender awareness have a tendency to be positive on love and desire to build a happy home.

・Males with strong gender awareness have a tendency to desire faith of females and compromise with their beauty.

・Males with less gender awareness have a tendency to consider that it will be difficult to continue a marriage life and desire an easy love relationship.

・Males with less awareness of love and marriage have less awareness of females as well.

・Males who demand females to be feminine have a strong desire of love and are romanticists believ-ing in a predestined encounter.

Keywords: Factor Analysis 因子分析,Perceptions of Love and Marriage 恋愛観・結婚観,Gender 

ジェンダー

* 広島女学院大学人間生活学部生活デザイン・建築学科 教授

Hiroshima Jogakuin University 2: 1–12, Mar. 2015

1 .はじめに  平成26年 8 月に内閣府1)が調査した「女性の活躍推進 に関する世論調査」によると,「夫は外で働き,妻は家庭 を守るべきである」という考え方に賛成する人が44.6%, 反対が49.4%という結果となった.前回(平成24年10月) の調査結果と比べると,「賛成」が低下し,「反対」が上 昇している。性別では,女性の方が「反対」の割合が高 く,年齢別では20歳代の割合が高かった.過去の調査結 果よりも「反対」の割合が高くなったとはいえ,家庭内 での男女の性役割に対して,保守的な考えを持つ若者が 未だに 4 割以上も存在するという結果に驚く.また,女 性が職業をもつことについて,「子どもができても,ずっ と職業を続ける方がよい」と回答した割合は,男性 (43.5%)よりも女性(45.8%)が高かった.  さらに,世界経済フォーラム(WEF)の2014年版 「ジェンダー・ギャップ指数」によると,日本の男女平等 指数は世界142カ国中,104位であった2)  このように,日本人は先進国の中でも保守的なジェン ダー意識を持っており,根本的に日本人の意識を改革し なければ,現在政府が推進する少子化対策の効果は望め ないだろう.

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 著者等は,女子高校生と女子大学生を対象に結婚・恋 愛に関する意識調査およびジェンダー意識に関するアン ケート調査を行い,両者の恋愛観と結婚観の違い,およ びジェンダー意識が恋愛観に与える影響について考察を 行った3).また,前報4)においては,中学生,高校生, 大学生,社会人,主婦の様々な世代の男女を対象に,恋 愛と結婚に関する意識調査を行い,性別や年代による恋 愛観と結婚観の比較を行った.  そこで本研究では,10代から30代の男性を対象に,男 性の恋愛観・結婚観と,彼らが持つジェンダー意識との 関係について考察を行う. 2 .調査方法 ( 1 )調査時期 2009年11月,2010年11月 ( 2 )調査対象 被験者は10後半代から30代の男性509 名,有効回答数484名である。男性被験者の年齢・ 職業の内訳を表 1 に示す. ( 3 )調査内容 質問紙法によるアンケート調査を実施し た. 1 )ジェンダー意識調査  男性が日常生活における仕事・結婚・家庭への意識, 男女平等,性役割,ジェンダーを意識する行動に関する 質問を20項目設定した。評価には SD 法を用い,各項目 について「そう思う」「ややそう思う」「どちらでもない」 「あまり思わない」「全く思わない」の 5 段階で回答して もらった(評価に用いた質問項目は図 1 参照). 2 )恋愛と結婚に対する意識調査  日頃抱いている恋愛と結婚に関する理想,願望,価値 観等に関する意識質問を20項目設定した.評価には SD 法を用い,各項目について「そう思う」「ややそう思う」 「どちらでもない」「あまり思わない」「全く思わない」の 5 段階で回答してもらった(評価に用いた質問項目は表 4 参照). 3 .結果・考察 ( 1 )ジェンダー意識調査 1 )官能評価プロフィール  男性被験者を,高校生,大学生,社会人(10代~20代 前半),社会人(20代後半),社会人(30代以上)の 5 カ テゴリーに分け,評価平均を算出し,図 1 の官能評価プ ロフィールに示す.  全体的な傾向として,「結婚したら男性が家族を養う義 務がある」「涙は女の武器だと思う」「好意を持っている 異性の前では態度が変わる」「プロポーズは男性からする べきだ」などの項目において評価が高く,女性に対して 自分の男らしさを表現したいという意識が強い.また, 「今の日本は男女平等だ」「しょせん,女は男には適わな いと思う」「男は「愛してる」「きれいだね」等と口に出 すべきではない」などの項目において評価が低く,女性 の能力や立場を肯定する傾向が見られる.各カテゴリー の評価を比較すると,社会人(30代以上)の男性は他の カテゴリーよりも,「出産祝いを買うとしたら,女の子に は赤,男の子には青の品物を選ぶ」「「男は男らしく」「女 は女らしく」という主義だ」の評価が高く,「女性の化粧 は詐欺だと思う」は評価が低い.年齢が高い男性は,従 来の社会で常識とされていたジェンダー観を強く持って いるようだ. 2 )単相関係数  男性のジェンダー意識調査に用いた20個の質問項目間 における単相関係数を表 2 に示す.検定の結果,相関が 有意であった組合せに **(p < 1 %)または *(p < 5 %) を記している.  「「男は男らしく」「女は女らしく」という主義だ」と他 の項目との相関に注目すると,「結婚したら男性が家族を 養う義務がある」「男なら電気配線等が得意じゃないと恥 ずかしい」「女性なら料理や家事はできないといけないと 思う」「化粧は大人の女性のたしなみである」「女性が男 言葉を使うのは嫌いだ」「プロポーズは男性からするべき だ」等との間に有意な相関がみられた.ジェンダー意識 が強い男性は,男性と女性の性役割を強く認識してお り,男としての義務や使命感を自覚しているようだ.ま た,「異性には(勉強や仕事で)で負けたくない」「しょ せん,女は男には敵わないと思う」との間に相関が見ら れたことから,女性に対する対抗心も強いことがわかる.  「今の日本社会は男女平等だ」と他の項目との相関に注 目すると,「結婚したら男性が家族を養う義務がある」 「プロポーズは男性からするべきだ」等との間に有意な相 関がみられた.男女平等意識が強い男性であっても,家 庭や結婚に関しては男性としての義務を意識しているよ 表 1  被験者の内訳 (人) カテゴリー 高校生 11 大学生 324 社会人(10代~20代前半) 86 社会人(20代後半) 35 社会人(30代以上) 28 計 484

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結婚したら男性が家族を養う義務がある 幽霊や虫が恐いと言う男は情けない 男なら電気配線等が得意じゃないと恥ずかしい 女性なら料理や家事はできないといけないと思う 化粧は大人の女性のたしなみである 女性が男言葉(「ウマい」「スッゲー」等)を使うのは嫌いだ 女が2日続けて同じ服を着ることは恥ずかしい 異性には(勉強や仕事で)で負けたくない 就職したら女性も男性と同等に働くべきだ 今の日本社会は男女平等だ 涙は女の武器だと思う 出産祝いを買うとしたら、女の子には赤、男の子には青の品物を選ぶ 好意を持っている異性の前では態度が変わる 「男は男らしく」「女は女らしく」という主義だ 好きな異性には自分から告白する主義だ 結婚できない人はかわいそうだと思う プロポーズは男性からするべきだ しょせん、女は男には敵わないと思う 女性の化粧は詐欺だと思う 男は「愛してる」「きれいだね」等と口に出すべきではない 1 2 3 4 5 高校生 大学生 社会人( 10 代~ 20 代前半) 社会人 (2 0代後半) 社会人( 30 代以 上) そ う 思 う や や そ う 思 う ど ち ら で も な い あ ま り 思 わ な い 全 く 思 わ な い 図 1  官能評価プロフィール 「ジェンダー意識」 世代別カテゴリー比較

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表2  単相関係数(ジェンダー意識) 単 相 関 結婚したら 男性が家族 を養う義務 がある 幽霊や虫が 恐いと言う 男は情けな い 男なら電気 配線等が得 意じゃない と恥ずかし い 女性なら料 理や家事は できないと いけないと 思う 化粧は大人 の女性のた しなみであ る 女性が男言 葉(「 ウマい 」 「スッゲー」 等 ) を使う のは嫌いだ 女が 2 日続 けて同じ服 を着ること は恥ずかし い 異性には (勉強や仕 事で ) で負 けたくない 就職したら 女性も男性 と同等に働 くべきだ 今の日本社 会は男女平 等だ 結婚したら男性が家族を養う義務がある 1.0000 - 幽霊や虫が恐いと言う男は情けない 0.1492 ** 1.0000 - 男なら電気配線等が得意じゃないと恥ずかしい 0.1209 ** 0.2976 ** 1.0000 - 女性なら料理や家事はできないといけないと思う 0.1780 ** 0.1736 ** 0.1534 ** 1.0000 - 化粧は大人の女性のたしなみである 0.0677 0.1026 * 0.0273 0.2708 ** 1.0000 - 女性が男言葉( 「ウマい」 「スッゲー」等)を使うのは嫌いだ 0.1244 ** 0.1301 ** 0.1106 * 0.1727 ** 0.0611 1.0000 - 女が 2 日続けて同じ服を着ることは恥ずかしい 0.0532 0.1593 ** 0.1552 ** 0.1507 ** 0.1898 ** 0.2130 ** 1.0000 - 異性には(勉強や仕事で)で負けたくない 0.1318 ** 0.1438 ** 0.1813 ** 0.1975 ** 0.1709 ** 0.1607 ** 0.2165 ** 1.0000 - 就職したら女性も男性と同等に働くべきだ -0.0547 0.0263 -0.0045 -0.0064 0.1474 ** 0.0225 -0.0039 0.0908 * 1.0000 - 今の日本社会は男女平等だ 0.1078 * 0.0563 0.0346 0.0058 0.0822 -0.1079 * 0.0493 -0.0300 0.0568 1.0000 - 涙は女の武器だと思う -0.0082 0.0696 0.0450 0.1125 * 0.0554 0.0922 * 0.1149 * 0.0724 0.0449 0.0077 出産祝いを買うとしたら,女の子には赤,男の子には青の品物を選ぶ 0.0300 0.1473 ** 0.0981 * 0.0749 0.0375 0.0594 0.0520 0.1184 ** 0.0843 0.0588 好意を持っている異性の前では態度が変わる 0.0559 -0.0103 0.0725 0.0879 0.1305 ** 0.0457 0.0710 0.1483 ** -0.0705 0.0433 「男は男らしく」 「女は女らしく」という主義だ 0.2595 ** 0.2605 ** 0.2800 ** 0.3476 ** 0.2564 ** 0.2625 ** 0.1593 ** 0.2908 ** -0.0193 0.0891 好きな異性には自分から告白する主義だ 0.0751 0.1526 ** 0.0584 -0.0001 0.0200 -0.0611 -0.0091 0.0384 -0.0348 0.0432 結婚できない人はかわいそうだと思う 0.0641 0.0882 0.2301 ** 0.2102 ** 0.1118 * 0.1252 ** 0.2273 ** 0.2221 ** -0.0914 * 0.0808 プロポーズは男性からするべきだ 0.2687 ** 0.2127 ** 0.1726 ** 0.2059 ** 0.1066 * 0.0804 0.1679 ** 0.1883 ** -0.0674 0.1453 ** しょせん,女は男には敵わないと思う 0.0853 0.0370 0.2016 ** 0.2049 ** 0.1378 ** 0.0664 0.1165 * 0.2252 ** -0.0078 0.0091 女性の化粧は詐欺だと思う -0.0933 * -0.0100 -0.0361 0.1249 ** 0.0227 0.0080 0.1097 * -0.0045 0.0020 0.0029 男は「愛してる」 「きれいだね」等と口に出すべきではない 0.0726 0.0647 0.1261 ** 0.0893 * -0.0500 0.1245 ** 0.0361 0.0594 0.0705 -0.0304 無相関の検定 *: 5 % **: 1 % 単 相 関 涙は女の武 器だと思う 出産祝いを 買うとした ら, 女の子 には赤 , 男 の子には青 の品物を選 ぶ 好意を持っ ている異性 の前では態 度が変わる 「 男は男らし く」「 女は女 らしく 」 と いう主義だ 好きな異性 には自分か ら告白する 主義だ 結婚できな い人はかわ いそうだと 思う プロポーズ は男性から するべきだ しょせん , 女は男には 敵わないと 思う 女性の化粧 は詐欺だと 思う 男は 「 愛し てる 」「 きれ いだね 」 等 と口に出す べきではな い 涙は女の武器だと思う 1.0000 - 出産祝いを買うとしたら,女の子には赤,男の子には青の品物を選ぶ 0.0586 1.0000 - 好意を持っている異性の前では態度が変わる 0.0844 -0.0530 1.0000 - 「男は男らしく」 「女は女らしく」という主義だ 0.1049 * 0.2136 ** 0.1563 ** 1.0000 - 好きな異性には自分から告白する主義だ -0.0698 -0.0473 0.0862 0.0202 1.0000 - 結婚できない人はかわいそうだと思う 0.1086 * 0.1596 ** 0.1233 ** 0.2762 ** -0.0014 1.0000 - プロポーズは男性からするべきだ 0.1229 ** 0.0820 0.0673 0.2507 ** 0.1078 * 0.2761 ** 1.0000 - しょせん,女は男には敵わないと思う 0.1455 ** 0.1054 * 0.1392 ** 0.2357 ** -0.0563 0.2754 ** 0.1966 ** 1.0000 - 女性の化粧は詐欺だと思う 0.2019 ** -0.0070 0.0015 -0.0121 -0.0921 * 0.1217 ** 0.0479 0.2179 ** 1.0000 - 男は「愛してる」 「きれいだね」等と口に出すべきではない -0.0173 0.0534 -0.1507 ** 0.1043 * -0.0304 0.0236 0.1222 ** 0.0764 0.1082 * 1.0000 無相関の検定 *: 5 % **: 1 %

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うである.また,「女性が男言葉を使うのは嫌いだ」との 間にはマイナス値で有意な相関が認められたことから, 女性の男性化について容認していることがわかる. 3 )因子分析  男性のジェンダー意識についての基本因子を抽出する ために,20個の質問項目を変数に,被験者484名の全評価 を観測回数として因子分析を行った.評価値は「全く思 わない」から「そう思う」までを 1 ~ 5 点とした.因子 分析には主因子法を用い,バリマックス回転法により, 軸回転後の因子負荷量および各被験者の因子得点を求め た.  因子分析を行った結果,表 3 に示すような固有値1.0以 上の 2 因子が抽出された.因子負荷量より各因子の意味 を検討した結果,第 1 因子は,「「男は男らしく」「女は女 らしく」という主義だ」「結婚したら男性が家族を養う義 務がある」「女性が男言葉(「ウマい」「スッゲー」等)を 使うのは嫌いだ」「女性なら料理や家事はできないといけ ないと思う」等の因子負荷量が高い値を示していること から,“保守的ジェンダー観の因子”と解釈した.  第 2 因子は,「しょせん,女は男には敵わないと思う」 「涙は女の武器だと思う」「女が 2 日続けて同じ服を着る ことは恥ずかしい」「化粧は大人の女性のたしなみであ る」等の因子負荷量が高い値を示していることから,“女 性らしさの固定観念の因子”と解釈した. 4 )因子得点の分布  男性のジェンダー意識の各因子について因子得点を算 出し,全被験者の因子得点を分布させたグラフを図 2 に 示す.よこ軸が第 1 因子“保守的ジェンダー観の因子”, たて軸が第 2 因子“女性らしさの固定観念の因子”を示 している.また,男性被験者を,高校生,大学生,社会 人(10代~20代前半),社会人(20代後半),社会人(30 代以上)の 5 つのカテゴリーに分類し,記号を変えて表 示している.  各因子のプラスとマイナスの組合せにより,被験者を a,b,c,d の 4 領域に分類することができる.  社会人(30代以上)の被験者は,第 1 因子,第 2 因子 ともにプラスの領域(a 領域)に多く分布している.す なわち,性役割意識が強く,女性に「女らしさ」を求め る男性が多いといえる.社会人(20代後半)の被験者は 全体的に第 1 因子がプラス側に多く分布しており,ジェ ンダー意識が強い傾向が見られる.また,第 1 因子,第 2 因子ともにマイナスの領域(d 領域)での分布も目立 つことから,20代後半の男性の中には,性役割や女性ら しさについて特別な意識をもたない層が存在するといえ る.社会人(10代~20代前半)の被験者は,第 2 因子が マイナス側に分布が多い.この領域には大学生の分布も 多いことから,20歳前後の若い男性の場合,女性に特定 のイメージ(固定観念)を要求しない場合が多いようだ. ( 2 )恋愛と結婚に対する意識調査 1 )因子分析  男性の恋愛と結婚に対する意識の基本因子をそれぞれ 抽出するために,20個の質問項目を変数に,被験者484名 の全評価を観測回数として因子分析を行った.評価値は 「全く思わない」から「そう思う」までを 1 ~ 5 点とし た.因子分析には主因子法を用い,バリマックス回転法 により,軸回転後の因子負荷量および各被験者の因子得 点を求めた.  因子分析を行った結果,表 4 に示すような 4 因子が抽 出された.第 3 因子と第 4 因子は固有値が1.0に近いため 採用することとした.因子負荷量より各因子の意味を検 討した結果,第 1 因子は,「彼女には思いっきり甘えた い」「恋人から数日間連絡がないと心配で眠れない」「友 達との友情よりも恋人との恋愛が優先」「人前で恋人と平 気でいちゃいちゃできる」等の因子負荷量が高い値を示 していることから,“恋愛依存の因子”と解釈した.  第 2 因子は,「理想の恋人が現れると信じている」「運 命の赤い糸を信じている」「むかしから自分の「未来予想 図」を持っている」等の因子負荷量が高い値を示してい ることから,“運命論の因子”と解釈した.  第 3 因子は,「美人すぎる異性とは浮気が心配でつきあ いたくない」「結婚する気のない異性とは本気でつきあえ ない」「男と女は結婚まで性的関係を持つべきではない」 等の因子負荷量が高い値を示していることから,“保守的 恋愛観の因子”と解釈した.  第 4 因子は,「一生,ひとりの異性だけを愛し続けるこ とは難しいと思う」「結婚と恋愛は別だ」「経済力も男性 の重要な魅力のひとつだと思う」等の因子負荷量が高い 値を示していることから,“現実的結婚観の因子”と解釈 した. 2 )因子得点の分布  男性の恋愛と結婚に対する意識の各因子について因子 得点を算出し,全被験者の因子得点の位置関係を検討し た.第 1 因子と第 2 因子の分布図を図 3 に,第 3 因子と 第 4 因子の分布図を図 4 に示す.  図 3 は,よこ軸が第 1 因子“恋愛依存の因子”,たて軸 が第 2 因子“運命論の因子”を示している.また,男性 被験者を,高校生,大学生,社会人(10代~20代前半), 社会人(20代後半),社会人(30代以上)の 5 つのカテゴ リーに分類し,記号を変えて表示している.  各因子のプラスとマイナスの組合せにより,A,B,

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図 2  因子得点の分布図 「ジェンダー意識」  世代別カテゴリー比較(第 1 因子と第 2 因子) しょせん、女は男には敵わないと思う 女性の化粧は詐欺だと思う 結婚できない人はかわいそうだと思う   第2因子 涙は女の武器だと思う 女性らしさの固定観念 女が2日続けて同じ服を着ることは恥ずかしい 化粧は大人の女性のたしなみである   第1因子   保守的ジェンダー観 「男は男らしく」「女は女らしく」という主義だ 幽霊や虫が恐いと言う男は情けない 男なら電気配線等が得意じゃないと恥ずかしい プロポーズは男性からするべきだ 結婚したら男性が家族を養う義務がある 異性には(勉強や仕事で)で負けたくない  女性が男言葉(「ウマい」「スッゲー」等)を使うのは嫌いだ 出産祝いを買うとしたら、女の子には赤、男の子には青の品物を選ぶ 女性なら料理や家事はできないといけないと思う -3.0 -2.5 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 -3.0 -2.5 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 そう思う そう思う 思わない 思わない a c d 高校生 大学生 社会人(10代~20代前半) 社会人(20代後半) 社会人(30代以上) b 表 3  因子分析(ジェンダー意識) 因子負荷量:回転後(バリマックス法) 変 数 名 第 1 因子 第 2 因子 保守的 ジェンダー観 女性らしさの 固定観念 「男は男らしく」「女は女らしく」という主義だ 0.5549 0.2738 幽霊や虫が恐いと言う男は情けない 0.5031 -0.0249 男なら電気配線等が得意じゃないと恥ずかしい 0.4677 0.0927 プロポーズは男性からするべきだ 0.4152 0.1941 結婚したら男性が家族を養う義務がある 0.4055 -0.0411 異性には(勉強や仕事で)で負けたくない 0.3599 0.2830 女性が男言葉(「ウマい」「スッゲー」等)を使うのは嫌いだ 0.3220 0.1657 出産祝いを買うとしたら,女の子には赤,男の子には青の品物を選ぶ 0.2600 0.0937 女性なら料理や家事はできないといけないと思う 0.3567 0.3564 しょせん,女は男には敵わないと思う 0.1827 0.4739 女性の化粧は詐欺だと思う -0.1077 0.4063 結婚できない人はかわいそうだと思う 0.2867 0.4044 涙は女の武器だと思う 0.0328 0.3558 女が 2 日続けて同じ服を着ることは恥ずかしい 0.2524 0.3082 化粧は大人の女性のたしなみである 0.1753 0.2922 就職したら女性も男性と同等に働くべきだ 0.0242 0.0190 今の日本社会は男女平等だ 0.0960 0.0105 好意を持っている異性の前では態度が変わる 0.0368 0.2243 好きな異性には自分から告白する主義だ 0.1467 -0.1704 男は「愛してる」「きれいだね」等と口に出すべきではない 0.2314 0.0198 固有値 1.8537 1.3073 寄与率(%) 9.27 6.54 累積寄与率(%) 9.27 15.80

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図 3  因子得点の分布図 「恋愛と結婚の意識」 世代別カテゴリー比較(第 1 因子と第 2 因子) 理想の恋人が現れると信じている 運命の赤い糸を信じている   第2因子 むかしから自分の「未来予想図」を持っている 運命論 結婚したら相手に生涯愛される自信がある   第1因子   恋愛依存 彼女には思いっきり甘えたい 恋人から数日間連絡がないと心配で眠れない 友達との友情よりも恋人との恋愛が優先 人前で恋人と平気でいちゃいちゃできる 最大の幸せは「結婚」だ -2.5 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 -3.0 -2.5 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 高校生 大学生 社会人(10代~20代前半) 社会人(20代後半) 社会人(30代以上) そう思う そう思う 思わない 思わない A B C D 表 4  因子分析(恋愛と結婚の意識) 因子負荷量:回転後(バリマックス法) 変 数 名 第 1 因子 第 2 因子 第 3 因子 第 4 因子 恋愛依存 運命論 保守的恋愛観 現実的結婚観 彼女 or 彼氏には思いっきり甘えたい 0.5229 0.1355 0.0120 0.0963 恋人から数日間連絡がないと心配で眠れない 0.5183 0.0811 0.1602 -0.0479 友達との友情よりも恋人との恋愛が優先 0.4676 0.0911 0.0128 -0.1251 人前で恋人と平気でいちゃいちゃできる 0.4268 0.0017 0.0030 0.0199 最大の幸せは「結婚」だ 0.3793 0.3569 0.2661 -0.1491 理想の恋人(白馬に乗った王子様 or お姫様)が現れると信じている -0.0047 0.6063 0.0349 -0.0092 運命の赤い糸を信じている 0.1086 0.5923 0.1457 0.0023 むかしから自分の「未来予想図」を持っている 0.3039 0.4111 0.1099 -0.0250 結婚したら相手に生涯愛される自信がある 0.3074 0.3365 -0.0504 -0.1018 美人 or かっこよすぎる異性とは浮気が心配でつきあいたくない 0.0838 0.0184 0.5246 -0.0624 結婚する気のない異性とは本気でつきあえない 0.1962 0.1194 0.4621 -0.1357 恋人が一度でも浮気をしたら絶対別れる 0.0316 -0.0224 0.3727 -0.0046 男と女は結婚まで性的関係を持つべきではない -0.0916 0.1109 0.3669 -0.1186 一生,ひとりの異性だけを愛し続けることは難しいと思う -0.0837 -0.1954 -0.0289 0.4920 結婚と恋愛は別だ -0.1444 -0.0312 -0.1688 0.4431 経済力も男性の重要な魅力のひとつだと思う 0.1086 0.1578 -0.1005 0.4060 条件がよければお見合い結婚でもよい 0.0156 0.0172 -0.0168 0.2197 愛があれば貧乏生活も耐えられる 0.2183 0.1624 0.0021 -0.3032 自分は理想が高いと思う 0.0854 0.2321 -0.1081 0.2333 恋人から高価なプレゼントをされると愛情が増す 0.2715 0.2485 0.1593 0.2018 固有値 1.5088 1.3950 0.9729 0.9360 寄与率(%) 7.54 6.97 4.86 4.68 累積寄与率(%) 7.54 14.52 19.38 24.06

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図 4  因子得点の分布図 「恋愛と結婚の意識」 世代別カテゴリー比較(第 3 因子と第 4 因子) 一生、ひとりの異性だけを愛し続けることは難しいと思う 結婚と恋愛は別だ   第4因子 経済力も男性の重要な魅力のひとつだと思う 現実的結婚観 条件がよければお見合い結婚でもよい 愛があっても貧乏生活は耐えられない   第3因子   保守的恋愛観 美人すぎる異性とは浮気が心配でつきあいたくない 結婚する気のない異性とは本気でつきあえない 恋人が一度でも浮気をしたら絶対別れる 男と女は結婚まで性的関係を持つべきではない -2.5 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 -2.5 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 そう思う そう思う 思わない 思わない E F G H 高校生 大学生 社会人(10代~20代前半) 社会人(20代後半) 社会人(30代以上) C,D の 4 領域に分類することができる.  A 領域(第 1 因子,第 2 因子共にプラス)に分布して いる被験者は,恋愛に依存する傾向が強く,運命の出会 いを信じており,恋愛・結婚に関心が強く,積極的な男 性であるといえる.このエリアでは10代~20代前半の若 い年齢層の分布が多い.  B 領域(第 1 因子マイナス,第 2 因子プラス)に分布 している被験者は,結婚願望は強いが,恋愛には消極的 な男性である.この領域では社会人(30代以上)の分布 が多く,社会人(20代後半)の分布が少ない.  C 領域(第 1 因子プラス,第 2 因子マイナス)に分布 している被験者は,恋愛には積極的であるが結婚願望が 低い男性である.この領域には社会人(30代以上)が多 く分布している.運命の出会いを信じておらず現実的で あるといえる.  D 領域(第 1 因子,第 2 因子共にマイナス)に分布し ている被験者は,恋愛に消極的で,かつ結婚願望も低い 男性である.ここには,10代~20代前半と20代後半の社 会人が多く分布している.いわゆる「草食系男子」と呼 ばれる女性との交際に関心が低い,若い男性層であると 思われる.  図 4 は,よこ軸が第 3 因子“保守的恋愛観の因子”,た て軸が第 4 因子“現実的結婚観の因子”を示している. 各因子のプラスとマイナスの組合せにより,被験者を E,F,G,H の 4 領域に分類することができる.  E 領域(第 3 因子,第 4 因子共にプラス)に分布して いる被験者は,恋愛には保守的で,結婚に対しては現実 的なイメージを持っているといえる.  F 領域(第 3 因子マイナス,第 4 因子プラス)に分布 している被験者は,自由な恋愛観を持っているが,結婚 に対しては現実的に考えているといえる.  G 領域(第 3 因子プラス,第 4 因子マイナス)に分布 している被験者は,保守的な恋愛観を持っており,理想 的な結婚増を抱いているといえる.  H 領域(第 3 因子,第 4 因子共にマイナス)に分布し ている被験者は,結婚に理想を抱いており,また恋愛に 対しては進歩的な考えを持っている. ( 3 )被験者のジェンダー意識の違いによる,恋愛観・結 婚観の比較  男性のジェンダー意識の違いが,恋愛観・結婚観にど のような影響を与えるのかについて検討するため,ジェ ンダー意識の分析結果を,恋愛と結婚に対する意識の因 子得点分布に反映させ,両者の関係を考察する.  ジェンダー意識の因子分析結果から,各因子の因子得 点の標準偏差(σ)を算出した(各因子の標準偏差:第 1 因子0.8203,第 2 因子0.7619である).

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 次に,被験者のジェンダー意識の因子得点を,平均値 +σ以上の被験者(+σ),平均値+ 2 ×σ以上の被験者 (+2σ),平均値-σ以下の被験者(-σ),平均値-2×σ 以下の被験者(-2σ)の計 4 グループに分け,恋愛と結 婚の意識の因子得点分布図上に記号を変えて表示した.  図 5 は恋愛と結婚の意識の第 1 因子“恋愛依存の因子” と第 2 因子“運命論の因子”の因子得点分布図である. ジェンダー意識の第 1 因子“保守的ジェンダー観の因子” の因子得点がプラスの被験者(+σ,+2σ)とマイナス の被験者(-σ,-2σ)に分けて示している.  ジェンダー意識プラスの被験者(+σ,+2σ)は,第 1 因子と第 2 因子共にプラスの領域に多く分布してい る.すなわち,「男は男らしく,女は女らしく」といった 典型的なジェンダー意識が強い男性は,恋愛に積極的で あり,また幸せな家庭を持つことを夢見ているというこ とである.  反対に,ジェンダー意識がマイナスの被験者(-σ, -2σ)は,第 1 因子,第 2 因子共にマイナスの領域に多 く分布している.すなわち,性役割意識の低い男性は, 恋愛に消極的もしくは関心を持っておらず,また結婚願 望が低く,結婚に理想を抱いていないといえる.  図 6 は恋愛と結婚の意識の第 3 因子“保守的恋愛観の 因子”と第 4 因子“現実的結婚観の因子”の因子得点分 布図である.ジェンダー意識の第 1 因子“保守的ジェン ダー観の因子”の因子得点がプラスの被験者とマイナス の被験者に分けて示している.  ジェンダー意識がプラスの被験者は,第 3 因子がプラ ス側に多く分布している.すなわち,ジェンダー意識が 強い男性は,保守的な恋愛観を持っており,女性には誠 実さと貞操観念を求めている.そのため相手(特に容姿) に妥協する傾向がある.また,これらの被験者中でも, 第 4 因子もプラス側に分布が多く,結婚生活に必要な条 件(特に経済力)を強く認識しているといえる.  ジェンダー意識がマイナスの被験者は,第 3 因子がマ イナス側に多く分布しており,進歩的で自由な恋愛を望 んでいることがわかる.すなわち,結婚を前提としない 恋愛関係を理想としており,また女性に誠実さや一途さ を求めているわけでもない.さらに,第 4 因子はプラス 側に多く分布していることから,ジェンダー意識が低い 男性は,気軽な恋愛関係への志向が強く,結婚生活を継 続することの困難さを自覚していると思われる.  図 7 は恋愛と結婚の意識の第 1 因子と第 2 因子の因子 得点分布図に,ジェンダー意識の第 2 因子“女性らしさ の固定観念の因子”の因子得点がプラスの被験者とマイ 図 5  ジェンダー意識による,恋愛と結婚の意識比較(第 1 因子と第 2 因子) ─第 1 因子「保守的ジェンダー観」による分類─   理想の恋人が現れると信じている   運命の赤い糸を信じている 第2因子    むかしから自分の「未来予想図」を持っている 運命論     結婚したら相手に生涯愛される自信がある   第1因子   恋愛依存 彼女には思いっきり甘えたい 恋人から数日間連絡がないと心配で眠れない 友達との友情よりも恋人との恋愛が優先 人前で恋人と平気でいちゃいちゃできる 最大の幸せは「結婚」だ *「ジェンダー意識調査」の第1因子「保守的ジェンダー観」の因子得点が、プラスの被験者(+σ、+2σ)と、マイナスの被験者(-σ、-2σ)に分けて分布させて いる。 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 -3.0 -2.5 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 ジェンダー意識(+σ) ジェンダー意識(+2σ) ジェンダー意識(-σ) ジェンダー意識(-2σ) そう思う そう思う 思わない 思わない

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図 6  ジェンダー意識による,恋愛と結婚の意識比較(第 3 因子と第 4 因子) ─第 1 因子「保守的ジェンダー観」による分類─   一生、ひとりの異性だけを愛し続けることは難しいと思う   結婚と恋愛は別だ 第4因子     経済力も男性の重要な魅力のひとつだと思う 現実的結婚観    条件がよければお見合い結婚でもよい   愛があっても貧乏生活は耐えられない   第3因子   保守的恋愛観 美人すぎる異性とは浮気が心配でつきあいたくない 結婚する気のない異性とは本気でつきあえない 恋人が一度でも浮気をしたら絶対別れる 男と女は結婚まで性的関係を持つべきではない *「ジェンダー意識調査」の第1因子「保守的ジェンダー観」の因子得点が、プラスの被験者(+σ、+2σ)と、マイナスの被験者(-σ、-2σ)に分けて分布させて いる。 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 -2.5 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 ジェンダー意識(+σ) ジェンダー意識(+2σ) ジェンダー意識(-σ) ジェンダー意識(-2σ) そう思う そう思う 思わない 思わない 図 7  ジェンダー意識による,恋愛と結婚の意識比較(第 1 因子と第 2 因子) ─第 2 因子「女性らしさの固定観念」による分類─   理想の恋人が現れると信じている   運命の赤い糸を信じている 第2因子    むかしから自分の「未来予想図」を持っている 運命論     結婚したら相手に生涯愛される自信がある   第1因子   恋愛依存 彼女には思いっきり甘えたい 恋人から数日間連絡がないと心配で眠れない 友達との友情よりも恋人との恋愛が優先 人前で恋人と平気でいちゃいちゃできる 最大の幸せは「結婚」だ *「ジェンダー意識調査」の第2因子「女性らしさの固定観念」の因子得点が、プラスの被験者(+σ、+2σ)と、マイナスの被験者(-σ、-2σ)に分けて分布させ ている。 -2.5 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 -2.5 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 ジェンダー意識(+σ) ジェンダー意識(+2σ) ジェンダー意識(-σ) ジェンダー意識(-2σ) そう思う そう思う 思わない 思わない

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図 8  ジェンダー意識による,恋愛と結婚の意識比較(第 3 因子と第 4 因子) ─第 2 因子「女性らしさの固定観念」による分類─   一生、ひとりの異性だけを愛し続けることは難しいと思う   結婚と恋愛は別だ 第4因子     経済力も男性の重要な魅力のひとつだと思う 現実的結婚観    条件がよければお見合い結婚でもよい   愛があっても貧乏生活は耐えられない   第3因子   保守的恋愛観 美人すぎる異性とは浮気が心配でつきあいたくない 結婚する気のない異性とは本気でつきあえない 恋人が一度でも浮気をしたら絶対別れる 男と女は結婚まで性的関係を持つべきではない *「ジェンダー意識調査」の第2因子「女性らしさの固定観念」の因子得点が、プラスの被験者(+σ、+2σ)と、マイナスの被験者(-σ、-2σ)に分けて分布させ ている。 -2.5 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 -2.5 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 ジェンダー意識(+σ) ジェンダー意識(+2σ) ジェンダー意識(-σ) ジェンダー意識(-2σ) そう思う そう思う 思わない 思わない ナスの被験者を分布させている.  ジェンダー意識がプラスの被験者は,第 1 因子がプラ ス側に多く分布しており,また第 2 因子もプラスへの分 布が目立つ.このことから,女性に女らしさを求める男 性は,恋愛願望が強く,また運命の出会いを信じると いったロマンチストな一面を持っているといえる.  反対に,ジェンダー意識がマイナスの被験者は,第 1 因子,第 2 因子共にマイナスの領域に多く分布している ことから,恋愛と結婚に関心が低い男性は,女性に対し ての関心も低い傾向が見られた.  図 8 は恋愛と結婚の意識の第 3 因子と第 4 因子の因子 得点分布図に,ジェンダー意識の第 2 因子“女性らしさ の固定観念の因子”の因子得点がプラスの被験者とマイ ナスの被験者を分布させている.  ジェンダー意識がプラスの被験者は,第 4 因子がプラ ス側に多く分布している.すなわち,女性らしさの固定 観念が強い男性は,結婚に経済力が必要だと認識してお り,いわゆる「一家の主」としての責任感が強いといえ る.また,第 3 因子,第 4 因子共にマイナスの領域には ほとんど分布していないことから,女性らしさを要求す る男性は,結婚を意識しないで女性と気軽に交際しよう とは思っておらず,ある意味責任感が強いといえる.  反対に,ジェンダー意識がマイナスの被験者(特に -2σ)は第 4 因子がマイナスの傾向が強いことから,女 性らしさにこだわりを持っていないが,男性としての義 務感や甲斐性に対しても自覚が低いことがわかる. 4 .まとめ  男性を対象に恋愛と結婚に対する意識調査,および ジェンダー意識に関するアンケート調査を行い,因子分 析により 2 つの意識の関係を考察した結果,以下のこと が明らかになった. ( 1 )全体的に男性は,女性に対して自分の男らしさを表 現したいという意識が強く,また女性の能力や立場を肯 定する傾向がみられた. ( 2 )30代以上の社会人は,「男は男らしく,女は女らし く」といった,従来の社会で常識とされていた保守的な ジェンダー観を強く持っている. ( 3 )単相関係数の結果から,ジェンダー意識が強い男性 は,男性と女性の性役割を強く認識しており,男として の義務や使命感を自覚しており,また女性に対する対抗 心も強い.

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( 4 )男女平等意識が強い男性であっても,家庭や結婚に 関しては男性としての義務を意識しており,また女性の 男性化について容認する傾向がみられた. ( 5 )男性のジェンダー意識について因子分析を行った結 果,“恋愛依存の因子” “女性らしさの固定観念の因子” の 2 因子が抽出された. ( 6 )ジェンダー意識の因子得点がプラスとマイナスの被 験者に分け,恋愛と結婚に対する意識の比較を行った結 果,ジェンダー意識が強い男性は,恋愛に積極的であ り,また幸せな家庭に対する願望が強い傾向がみられた. ( 7 )ジェンダー意識が強い男性は,保守的な恋愛観を 持っており,女性には誠実さと貞操観念を求めている. そのため相手の条件(容姿など)に妥協する傾向がある. ( 8 )ジェンダー意識が低い男性は,結婚生活を継続する ことを困難と捉えており,気軽な恋愛関係への志向が強 い. ( 9 )恋愛と結婚に関心が低い男性は,女性に対しての関 心も低い. (10)女性に女らしさを要求する男性は,恋愛願望が強 く,また運命の出会いを信じるといったロマンチストな 一面を持っている.また気軽な恋愛を好んでおらず,あ る意味責任感が強い.  最後に,アンケートにご協力いただいた皆様へお礼を 申し上げます. 引用文献 1 )内閣府,「女性の活躍推進に関する世論調査」 http:// survey.gov-online.go.jp/h26/h26-joseikatsuyaku/1.html (2014年11月 6 日) 2 )日本経済新聞,「男女平等指数,日本は142カ国中104位」  http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF27H0B_ X21C14A0PP8000/(2014年10月28日) 3 )三木幹子,植木由香,「女子大学生と女子高校生の恋愛 観・結婚観とジェンダー意識との関係」,広島女学院大学 論集,第60集,pp. 95–109,2010 4 )三木幹子,植木由香,「女性と男性の恋愛観・結婚観に関 す る 意 識 比 較」,広 島 女 学 院 大 学 論 集,第 61 集,pp. 95–112,2011 5 )三木幹子,「女子大生のメンズファッションに対する意識 と着用実態(第 1 報)─パンツ・スタイル画像の視覚評 価─」,広島女学院大学論集,第56集,pp. 97–108,2006 6 )三木幹子,「女子大生のメンズファッションに対する意識 と着用実態(第 2 報)─パンツ・スタイルのイメージと ジェンダー意識の関係─」,広島女学院大学生活科学部紀 要,第14号,pp. 1–14,2007 7 )山田昌弘,白河桃子,『「婚活」時代』,ディスカヴァー・ トゥエンティワン,2008年 8 )森岡正博,『草食系男子の恋愛学』,メディアファクト リー,2008年 9 )厚生労働省,http://www.mhlw.go.jp/(2014年10月25日) 10)国立社会保障・人口問題研究所,http://www.ipss.go.jp/ (2014年10月25日)

図 2  因子得点の分布図 「ジェンダー意識」  世代別カテゴリー比較(第 1 因子と第 2 因子)しょせん、女は男には敵わないと思う女性の化粧は詐欺だと思う結婚できない人はかわいそうだと思う  第2因子涙は女の武器だと思う女性らしさの固定観念女が2日続けて同じ服を着ることは恥ずかしい化粧は大人の女性のたしなみである   第1因子   保守的ジェンダー観 「男は男らしく」「女は女らしく」という主義だ幽霊や虫が恐いと言う男は情けない 男なら電気配線等が得意じゃないと恥ずかしいプロポーズは男性からするべきだ
図 3  因子得点の分布図 「恋愛と結婚の意識」 世代別カテゴリー比較(第 1 因子と第 2 因子)理想の恋人が現れると信じている運命の赤い糸を信じている  第2因子 むかしから自分の「未来予想図」を持っている運命論結婚したら相手に生涯愛される自信がある   第1因子   恋愛依存 彼女には思いっきり甘えたい 恋人から数日間連絡がないと心配で眠れない友達との友情よりも恋人との恋愛が優先人前で恋人と平気でいちゃいちゃできる最大の幸せは「結婚」だ-2.5-2.0-1.5-1.0-0.50.00.51.01.52
図 4  因子得点の分布図 「恋愛と結婚の意識」 世代別カテゴリー比較(第 3 因子と第 4 因子) 一生、ひとりの異性だけを愛し続けることは難しいと思う結婚と恋愛は別だ  第4因子経済力も男性の重要な魅力のひとつだと思う現実的結婚観条件がよければお見合い結婚でもよい愛があっても貧乏生活は耐えられない   第3因子   保守的恋愛観 美人すぎる異性とは浮気が心配でつきあいたくない結婚する気のない異性とは本気でつきあえない恋人が一度でも浮気をしたら絶対別れる男と女は結婚まで性的関係を持つべきではない-2.5-
図 6  ジェンダー意識による,恋愛と結婚の意識比較(第 3 因子と第 4 因子) ─第 1 因子「保守的ジェンダー観」による分類─   一生、ひとりの異性だけを愛し続けることは難しいと思う  結婚と恋愛は別だ第4因子     経済力も男性の重要な魅力のひとつだと思う現実的結婚観    条件がよければお見合い結婚でもよい  愛があっても貧乏生活は耐えられない   第3因子   保守的恋愛観 美人すぎる異性とは浮気が心配でつきあいたくない結婚する気のない異性とは本気でつきあえない恋人が一度でも浮気をしたら絶対
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