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資本蓄積 と信用制度あるいは金融システム

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(1)

経営 と経済

8 3

巻 第

3

2 0 0 3

1 2

i 2 5 t l

資本蓄積 と信用制度あるいは金融システム

高 倉

Abst ract

Fi na nc ec a pi t a lo fGe r ma nc a pi t a l i s m i nt hebe gi nni ngo ft heTwe n‑

t i e t hCe nt ur yi ss t i l li mpo r t a ntt he o r e t i c a lc r i t e r i o nf o rmo s tJ a pa ne s e Mar ∑i anec onomi s t s( es pe ci al l yUnos c hool )t oanal yz emat ur ed c a pi t a l i s te c o no mi e s . The yf o l l o we dt hede f i ni t i o no fRudo l fHi l f e r di ng' s Fi nanc eCa pi t al ( 1 91 0 )a ndt ho ug hti ta st hemo s tde ve l o pe da ndr e f i ne d f o r m o fc a pi t a l i s tc r e di ts ys t e m.Butma nyr e c e nts t udi e sa bo ute f f e c t s o fba nksa ndc a pi t a lma r ke tt oe c o no mi cgr o wt ho rc a pi t a la c c umul a t i o n ha ves ho we dt ha tt he r ei snodi f f e r e nc eo fe f f e c t sbe t we e nba nk‑ ba s e d f i na nc i a ls ys t e m a ndma r ke t ‑ ba s e do net oe c o nomi cgr o wt hi nt hel o ng r

un.

Co ns i de r i ngt he s er e c e nts t udi e sa bo utr e l a t i o no fe c o no mi cgr o wt h a ndf i na nc i a ls ys t e m,t hi spa pe rt r i e st opr o pos ea no t he ra ppr o a c h , ba s e do nKa r lMa r x' sC a pi t alVo l .E. ,t oa na l yz ec o nne c t i o no fc r e di t s ys t e m t oe xpa nde dr e pr o duc t i ono rc a pi t a la c c umul a t i o n.

Keywor ds:f i na nc e ‑ l e da c c umul a t i o ns ys t e m,f i na nc i a ls ys t e m,s t a ge t he o r yo fc a pi t a l i s m

はじめに

宇野弘蔵は 「ことに段階論 というのは (原理 もそ うですけれ ども,段階論 で とくにそれが明確 になるのですが) リーダーシ ップを とっている代表的な 国で, しか もリーダーシ ップを とっている代表的な産業でやるよりはかない

(2)

のです

」1)とする。そ してその 『経済政策論』の 「3編 欄熟期の資本主 義」では,「帝国主義の基礎をなす金融資本は ドイツの重工業に具体化 され ているといってよい。」 とし

,

「そこで ここでは ドイツの重工業における独占 組織を通 して認め られる金融資本を基礎 にして,イギ リス金融資本の特殊性 と,アメリカにおける金融資本的発展 としての独占体の形成 とについて簡単 に述べておきたい と思 う。」 として, ドイツ ・イギ リス ・アメリカでの 「 融資本の諸相」を叙述 して第

3

編の最後に第

1

次世界大戦までの 「帝国主義 の経済政策」の叙述でこの著を締め括 っている

2 )

。そ して,この 「金融資本 の諸相

にもとづいて 「帝国主義の経済政策」を説明するのであるが,第

1

次世界大戦後の資本制経済については 「世界経済論 としての現状分析の対象 をなす もの としなければな らない」3)とする。

そこでは,重商主義‑ 自由主義‑帝国主義 という資本制経済の発展段階に もとづ き叙述が行われているが,ここで帝国主義の基礎を形づ くる金融資本 について ドイツを 「典型的なもの

」4 )

としなが らイギ リスやアメ リカの金融 資本について も叙述 しているのは,第 1次世界大戦を惹起 させることとなっ た発展 した資本制諸国の 「帝国主義の経済政策」あるいは 「世界の分割」の 相克をもた らした要因を明らかにするためであった。

ここで

,

帝国主義」 にかかわる先進諸国での生産諸力の発展 と世界市場 の分割 との相克の重要性 とは別に, ドイツ ・イギ リス ・アメリカでの生産諸 力の発展 と金融資本のあ り方の違い との関連を重視するという問題意識は, 現在の資本制経済での蓄積体制 と信用制度あるいは金融システムの関連の各 国での差異 と連続させて とらえることができる。そ して,その方法の深化に よって

,1 9 8 0

年代か ら顕在化 してきた 「金融主導型蓄積体制」の諸特徴の理 論化へ寄与することができよう。

1)『

経済学の効用』東京大学出版会,1

9 7 2

年,1

6 5

ページ。

2)『

宇野弘蔵著作集』第

7

巻,岩波書店,1

9 7 4

年,1

82

ページ。

3

)同書,2

4 8

ページ。

(3)

資本蓄積 と信用制度 あ るいは金融 シ ステム

2 6 1

4

)同書

,1 4 4

ページ。なお

,1 9

世紀末か ら

2 0

世紀初頭の資本制経済に とって ドイツの金融 資本を 「典型的な もの」 とするとき

,2 0

世紀の資本制経済の分析に とって この 「典型」

がどの ような理論的有効性を示すのかは明 らかではない。た とえ

1 91 3

年以降の 「現状分 析」は,それ以前 と異 った経済を対象 としているとして も

,2 0

世紀の資本制経済の分析 にとっての 「典型」の有効性の内容は不明瞭である。

銀行に基礎を置 く金融システムと株式市場に基礎を置 く 金融システム,そ して信用制度

レイモン ド ・ゴール ドス ミスによる1

9 0 0

年 か ら1

9 5 0

年頃までのアメ リカ合 州国内での経済発展 に対応す る金融仲介機関の発展 についての先馬区的な研

5 )

のあ と,近年金融 システムあるいは法的システムが経済成長 に与 える影 響について,先進国だけに止ま らずに世界の諸国を網羅 した,そ して第 2次 世界大戦後 についての研究がすすんでいる。

それ らの諸研究では,金融システム と経済成長 との関係については,金融 システムの発展が経済成長あるいは資本蓄積の進展 を可能 にしていることが 示 されている。また,さらにい くつかの研究では,金融システムの発展 より

も法的システムの発展のほうが経済成長あるいは資本蓄積によ り強い影響を 与 えている とされている。

ソーステン ・ペ ック とロス ・レヴ ァインは次の ように述べている。「われ われは論争 を四つの見方に分ける。すなわち,銀行 に基盤があ るとする見方

( ba nk‑ ba s e d)

,株式市場 に基盤がある とする見方

( ma r ke t ‑ ba s ed)

,〔金融シス テム としての両者の区別を重視せず ‑ 引用老〕金融サー ビスの経済成長へ 与 える効果を重視す る見方

( f i na nc i a ls e r vi c e s )

,法 と金融の関連 を重視す る 見方

( l a w a ndf i na nc e )

,である

」。6)

彼 らの

1 9 8 0

年代か ら

9 0

年代 にかけての4

0

カ国ほ どの資料を使 った研究では,前二者の区別 はたい して意味がな く,後 二者の発展は経済成長 に有効であるが, とくに法システムは よ り一層効果的 であることが述べ られている。この ような研究が相次いで発表 されている

7)

0

(4)

ペ ック とレヴ ァインな どの研究では,金融システムの発展が資本蓄積ある いは経済成長 に与 える影響については, ドイツや 日本の ような銀行に基礎を 置 く金融 システム

( ba nk‑ ba s e df i na nc i a ls ys t e m)

とアメリカや イギ リスの よ うな株式市場に基礎 を置 く金融システム

( ma r ke t ‑ ba s e df i na nc i a ls ys t e m)

のあいだには差がない ことが示 されている。

他方, さまざまの経済の成熟度にある

2 4

ヶ国のデータに基づいた

,2 0

世紀 の経済成長 に対 して金融システムが与 えた効果 についてのラフラム ・ラジャ ン とル イジ ・ツ インゲ‑ルスの研究 があ る

8)

。それによれば,それ らの国々

2 0

世紀の長期の経済成長 にたいする金融システムが与 える効果 を,銀行を 基盤 とす るもの と,株式市場を基盤 とするもの との二つの金融システムに分 けずに,金融 システムを銀行預金や株式発行高な どに対す る

GDP

で尺度 し て見てみ る とき,金融的な発展は1

91

3年が最初の頂点であ り

,1 990

年代の後 半 になって ようや くその水準を凌駕 した としている

9)

。そ して, この尺度で みるなかで ドイツは第 1次世界大戦前 にはその株式市場の大 きさでイギ リス に接近 していたが,その後縮小 し第

2

次世界大戦後は銀行に基礎 を置 く金融 システムへ と変化 した。 この ような1

91 3

年 にイギ リスに近接 しアメリカを超 えていた例は,ベルギー ・フランス ・スウ ェーデンにも見 られる。 これ らの 諸 国では,GDPか ら見 た株式市場 での資本調達 は, 1

990

年代 の初頭 まで

1 91 3

年の水準を回復 しなかった としている

1 0) 0

つま り,銀行 に基礎 を置 く金融システム と株式市場 に基礎を置 く金融シス テム とは

,2 0

世紀を通 じてみる と固定的ではな く,一方か ら他方へ と変化 し そ してまた元のほうへ戻 りつつある例 も少な くない としている。そして, ど ち らの金融システムになってい くかは,政治的な選択 によるとしている

11 )

0

以上の諸研究か ら見 えて くることは,長期 にわたる経済成長あるいは資本 蓄積 に とっての信用制度のあ り方は,銀行 に基礎を置 く金融システム と株式 市場 に基礎 を置 く金融システム とではその成果 に甲乙つけに くい とすれば,

(5)

資本蓄積 と信用制度あるいは金融システム

2 6 3

どち らに重心のある信用制度になるかは歴史的なそして時代的な社会的再生 産の諸条件の もとで決 まって くるということである。

そのような諸研究 と,これまでの ドイツ型の金融資本を典型 として他の諸 国の資本蓄積 と信用制度 との関連を裁断 してい くこととは,理論 として同一 平面上にあるとはいえないが両者を対比させてみると,後者の側での金融資 本を銀行資本 と産業資本 との関連の究極の姿 として捉えることの根拠が社会 的再生産過程の中で理論的に示 されて きた とはいえない。あるいはまた, ド

イツ型の金融資本を基準 として,先進各国のあるいはその他の諸国の信用制 度あるいは金融システムを裁断できるという方法上の根拠が,実証的に示 さ れてきた ともいえないようである。そ してまた,各国の資本蓄積あるいは拡 大再生産に とって どの ような信用制度あるいは金融システムがより適合的で あるかの判断には,金融資本概念は有用ではあるものの,『金融資本論』 (

して 『帝国主義論』)だけでは理論的に不十分だ といえる。

この 『金融資本論

』1 2 )

では,その後半の第

1 6

章で拡大再生産表式を利用 し て恐慌の発生の根拠が示 されているが,その ような社会的資本の次元 と,金 融資本の規定のような個別的資本の次元の相違 と関連が意識 されて展開され ているわけではない。その点で,『資本論』では,資本循環論 にその方法上 の認識をみることがで きるように,全篇にわたって個別資本 と社会的資本の 次元の差 とその関連を意識 しながら叙述されていることと相違 している。す なわち,『金融資本論』の第

5

章 と第

7

章および第

1 0

章で金融資本の規定が 行われているが,それは個別資本 としての産業資本 と銀行資本 との融合 とし て とらえられてお り,それ と社会的再生産 との関連には触れてお らず,他の 部分で も社会的資本 と個別的資本 としての金融資本 との関連についてふれて いない。

この ような個別資本次元の概念である金融資本概念での分析が資本制経済 全体の分析に とって も有効であるとするとき,先験的に金融資本が資本制生 産での信用制度の最高の到達点であるとするだけでは不十分で,なぜ有効で

(6)

あるのかを個別的資本次元だけに止 ま らずに,同時 に社会的な再生産過程 に 即 して も示す ことが必要であろう。

すなわち,産業資本 と銀行資本 との融合 という金融資本概念が,資本制生 産の分析 に有効である とする ときには,その ような金融資本 とい う産業資本 と銀行資本 との新 しい関係の成立が,個別の産業資本や銀行資本の発展ある いは資本蓄積 にどの ような積極的な効果を与 えたか とい う点に止 まらずに, 社会全体 としての再生産の発展すなわち拡大再生産 と資本蓄積あるいは経済 成長 にどの ような積極的な効果を与 えたかが示 されることが必要であ り,そ のせ きに金融資本の合理的な存在根拠 が社会的に説 明された ことになる。

5)Ra ymo ndW.Go l ds mi t h , Fi nanc i alI nt e r me di ar i e si nt heAme r i c anEc o no mys i nc e 1 900

,

Pr i nc e t o na P"1 95 8( Re pr i n t e dbyAr noPr e s s ,1 97 5) .

6)Tho r s t e nBe c ka ndRos sLe vi neH̀ ̀ I ndus t r yGr o wt ha ndCa pi t a lAl l o c a t i o n: Do e sHa v‑

i

ngaMa r ke t ‑o rBa nk‑ ba s e dSys t e mMa t t e r

?"

,J o umalo fFi nanc i al Ec o no mi c s 6 4 , p. 1 4 8

,

2 0 0 2

,また

,Tho r s t e nBe c k,A s

li

Di mi r

gt

i G ‑ Kunt ,Ro s sLe vi nea ndVo j i s l a vMa ks i mo v

ic,

̀ ̀ Fi na pc i a l St r uc t ur ea ndEc o no mi cDe ve l o pme nt

,"

TheWo r l dBa nk,Po l i c yRe s e a r c h Wo r ki ngPa pe r2 4 2 3 ,Aug us t2 0 0 0

,な どを参照。

また

,As l iDe mi r

gt

i G ‑ Hunta ndRo s sLe vi ne( e ds . ) ,Fi nanc i dlSt y uc t uy l eandEc o no mi c Gy 1 0 Wt h:A Cr o s s ‑ Co unt 叩 Co mPar i s o no fBank s ,Mar k e t s ,and. De v e l

o

pme nt ,Ca mbr i d ge

,

Ma s s a c hus e t t s :TheMI TPr e s s ,2 0 0 1

, も参照。

7

) た とえ

,Ra f a e lLaPo r t a,Fl o r e nc i oLo pe z ‑ de ‑ Si l a ne s ,Andr e iShl e i f e ra ndRo be r t Vi s hn y

,

" La w a ndFi nanc e" ,J o ur nalo fPo l i t i c alEc o no my, Vol . 1 0 6, No. 6, 1 9 9 8

,あるい は,同じ著者達による,

" I nve s t o rPr o t e c t i o na ndCo r po r a t eGo ve r na nc e" ,J o umalo f Fi n anc i alEc o no mi c s 5 8 ,2 0 0 0

,な どを参照0

8

) ラジ ャン とツ インゲ‑ルスによる以下 の資料 を参照

( 25

の諸国の うち

5

ヶ国を抜粋。

また,銀行預金の残高な どの表は省略 した)0

Ra ghur a m G.Ra j a na ndLui giZi nga l e s

,

〉 タ

̀ ̀ TheGr e a tRe ve r s a l s :ThePo l i t i c so fFi na nc i a lDe ve l o pme nti nt he2 0 t hCe n t ur y,

NBERWo r ki ngPa pe rNo. W81 7 8, J ul y2 0 0 2.

(7)

資本蓄積 と信用制度 あ るいは金融 シス テム

1 GDP

に対する株式市場での資本化の発展

( t a bl e3,p. 5

1)

′265

フラン′

0. 7 8 0. 1 9. 0. 0 8 0. 2 8 0. 1 6‑ 0 . ‑ . 09 . 0. 2 4 1. 1 7

ド イ ツ

0. 4 4 0. 3 5 0. 1 8 0. 1 5. 0. 3 5 P, . 1 6‑・ ‑ 0. Q 9 O. ? 0 0. 9 : 7

0. 4 9 1. 2 0 ト吊l 0. 05 0. 3 . 6 0. 2 3 0. 3 3 1. 6 4 0. 9 5 英

1. 0 9 1. 3 8 1. 1 4 0. 7 7 1. 0 6 1. 6 弓 9. 3 甲 9. 81 2. 2 . 5

2

粗固定資本形成の うち株式

( e qui t y)

によって調達 された部分

( t a bl e4,p. 5 2 )

計‑ 、空 1 91 3 1 9 2 9 1 9 3 8 1 95 0 1 9 6 0 1 97 0 1 9 8 0 1 99 0 1 9 9 9

フラン′

0. 1 4 0. 2 6 0. 0 3 0. 02 0. 0 4 0. 0 4 0. 0 6 0. 02 0. 09

0. 08 0. 1 3 0. 7 5 0. 1 5 0. 0 3 0. 01 0. 1 0 0 . . 67

イギ リス

0. 1 4 0. 35 0. 09 0. 0 8 0. 0 9 0. b1 0. ' 04 0. 06 0. 0 9

なお, この論文はのちに,

" TheGr e a tRe ve r s a l s:ThePol i t i c so fFi nanc i a lDe ve l op一 me nti nt heTwe nt i e t hCe nt ur y" ,J o ur nal o fFi nanc i al Ec o no mi c s6 9,2 0 0 3

,として発表 され ている。そ こでは,上の表の数値は同 じであ り,また論 旨にも変更はない。

9

)ラジ ャン とツ インゲ‑ルスは先進国を含む

25

の国の分析結果について次の ように指摘 している。「ほ とん どの測定による と,諸国は

1 91 3

年 において

1 9 8 0

年 よ りも金融的 には よ り一層発展 していたのであ り,その

1 91 3

年の水準 を ようや く近年 にな って凌駕 したにす ぎない

「とくに興味深 い ことは,すべての諸国で金融的発展の指標は

1 929

年 以降低下

,1 9 8 0

年頃にその底 に達 した。それ以来,金融市場の復活が見 られる

」( Ra j a na ndZi n‑

ga l e s

,

" TheGr e a tRe ve r s a l s' ' ,NBERWo r ki ngPa pe rNo. W81 7 8,p. 3 ) 0「1 9 9 0

年代の終 りにな って ようや くそれ ら

〔 GDP

比で見た金融 システムの発展 一 引用者〕は

,1 91 3

の水準 を越 えた ようであ る

」 (i bi d.p. 1 0) 0

1 0)i bi d.p.

ll

.

なお

,

「テ ィリー

[ Ti l l y] ( 1 99 2,p. 1 03)

,2 0

世紀初頭の ドイツでの株式発行は イギ リスのそれ よ りも大 きかった ことを示 している。彼は, イギ リスでは 「情報の乏 しさ と 会社設立者 と内部者の操作への金融的な統制が相対的に弱かった こと」を示唆 している。」

と,その注 に記 されてい る

( i bi d.p.3

)0

(8)

l l )

「このようにして,ヨーロッパの銀行中山のシステムも,アメリカの株式市場に基礎を 置くシステムも,市場の話力の当然の結果ではない。それらはどちらも政治的な選択の 結果である

」( Ra j a na ndZi n ga l e s

,

" Ba nksa ndMa r ke t s :TheCha ngi ngCha r a c t e ro fEu‑

r o pe a nFi na nc e' ' ,NBERWo r ki ngPa pe r9 5 9 5 ,Ma r c h2 0 0 3, p. 3 )

.「しかしながら,どち らのシステムが好ましいかは,決定的に環境による

」 ( i bi d.p. 2 )

0

1 2 )Rudo l fHi l f e r di ng

,L

k l SFi na n z k a pi t al:Ei neSt u di ei i b e rdi ej l i n gs i eEnt u J i c k l un gd e s Ka Pi t al i s mu s ,Fur a nkf ur t :Eur o p急 i s heVe r l a gs a ns t a

l

t ,1 9 6 8( o r i g ina l 1 91 0 ).

岡崎次郎訳

『金融資本論』(上)(下),岩波書店 〔文庫〕

,1 9 8 2

年。

む す び

『資本論』の理論的装置か らこの問題 に接近するためには,よ り一般的な 資本蓄積 にかかわる貨幣資本 と実物資本の接触点か ら出発することで,信用 形態の発展 とは方法上相違 した信用制度あるいは金融システム と資本蓄痕 と の関連への接近が可能 となろう。

『資本論』第2部第3篇の 「第21 蓄積 と拡大再生産」 ( 8稿)で, 蓄積基金 としての蓄蔵貨幣の形成 と支 出の均衡 について,一方的な購買 とし て この蓄蔵貨幣を支 出 しようとしている資本家群Bと,他方で一方的な販売 によって蓄蔵貨幣を形成 しようとしている資本家群

A

との間の均衡の成立の 必要性 に言及 していることはこの接近のための出発点 とな りうる可能僅をも っている

1 3)

。そ して,マル クスは実際 にはその ような均衡の成立は,信用制 皮 (この引用文では銀行制度を中心 としている。)あるいは資本市場を通 じ て可能 となっていることを述べている。すなわち

,

「この ような可能的貨幣 資本 として積み立て られて行 く剰余価値 を利潤 として も収入 としても使用で きるものにしようとする欲求は,信用制度や 「有価証券」にその努力の 目標 を兄いだす。 これによって,貨幣資本は,また別の形で,資本制生産体制の 進行 と強力な発展 とへの最 も巨大な影響力を もつことになるのである

」 (K

Ⅱ. S. 4 9 4,〔 Ms. Ⅶ. S. 5 4 〕 )

と述べている

1 4)

。 また この ように, この均衡が

(9)

資本蓄積 と信用制度 あ るいは金融 シス テム

267

達成 され うる場 については,信用制度か ら資本市場へ とい う一方的な発展 と してではな く,それ らを並列 させて述べている。

この ような蓄蔵貨幣の形成 と支出をめ ぐる二様 の資本家群の間での均衡の あ り方 と経済成長や資本蓄積 との関連は,時代に よって も国によって も一様 ではない。 しかし, この ような一般的な基礎 か ら出発することで,資本蓄積 あるいは拡大再生産 と信用制度あるいは金融 システムの関連 についての各国 別あるいは時代による変化への接近が可能 となるであろう。その際には,悲 定 された唯一の極限形態が,各国の信用制度あるいは金融システムの分析基 準 となるとはいえない。

そ して,近年の 「金融主導型蓄積体制

」1 5 )

とグ ローバ リゼーシ ョン との関 連 を考 える とき,銀行 に基礎 を置 く金融システムおよび資本市場 に基礎 を置 く金融 システム と資本蓄積の関連 には新 しい変化 が生 じてい る と考 え られ

1 6 )

。上述の点か ら出発することで, この ような事態の分析のための接近法 を見出すことがで きよう。

1 3)

小稿 「社会的再生産過程 と信用

経営 と経済』 (長崎大)

74

2

,1 994

9

月,を 参照。関連 して,小稿 「利子生み資本 と資本蓄積 と物象化

熊本学園大学経済論集

』 9

3・4

,2 0 03

3

月, も参照。

1 4)

同様 に二様の資本家群のあいだでの蓄蔵貨幣の形成 と支 出についての言及 として,同 じく第

2

部第

2

篇の 「第

1 7

剰余価値 の流通」 (

2

稿)を参照

( KⅡ. S. 34 9‑35 0) 0

そ こでは, (1)銀行預金

,( 2)

政府証券

,( 3)

株式 ,を挙げてい る。第

8

稿である第

21

章の記述の方が,政府証券」がないことで より妥当だ と思われる。

なお,大谷禎之介

蓄積 と拡大再生産

」(

資本論』第

2

部第

21

章)の草稿について‑

『資本論』第

2

部第

8

稿か ら」 (上)『経済志林』 (法政大)

,49

2

,1 9 81

1 0

月,

61

ページ, も参照の こと。

1 5 )Ro be r tBo ye r

,

̀ ̀ TheDi ve r s i t ya ndFut ur eo fCa pi t a l i s m:A Re gul a t i o nni s tAna l ys i s'

',

i nGe o f f r e yM,Ho dgs on,Ma ko t oI t o ha ndNo buha r uYo ko ka wa( e ds

.

) ,Ca pi t al i s mi nEv o

l ut i o n:Gl o b alCo nt e nt i o ns ‑Ea s t andWe

s

t ,Che l t e nha m: UK,Edwa r dEl ga r, 2 0 01

,を参照.

(10)

1 6 )

ラジャン とツ インゲ‑ルスは次の ように述べている。「最近の

2 0

年間に,金融市場の劇 的 な発展 がア メ リカ合州 国や世界 のいた る ところで見 られた

」( Ra j anandZi ngal es

,

" Ba nksa ndMa r ke t s ",p.5 )

。 また

,

過去

2 0

年間, ヨー ロッパの金融システムは資本 市場に基礎をお くシステムにな って きてい る

( i bi d. p.5 7 )

。 この指摘は, レギ ュラシオ ン理論の研究者 による

1 9 8 0

年代 か らの 「金融主導型蓄積体制」の設定 と重 っている。

なお,彼 らは この論文では

,

「親密な関係 に基礎をお く

( r e l a t i o n‑ ba s e d)

システム」 と

距離 をおいた関係

( a r m' sl e ngt h)

としての金融市場 に基礎 をお くシステム」 として も, 先の区分 を表現 している。

参照

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