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木村 俊也

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Academic year: 2021

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第 86 回獣医学会講演要旨

1.はじめに

循環式入浴施設は,循環系配管が微生物増殖の場 となりやすいため,レジオネラ属菌を中心とした病 原微生物対策が実施されているが,いまだ,レジオ ネラ属菌感染症事例が多数報告されている。また,

レジオネラ属菌感染症事例発生時には迅速な対応が 求められるが,現在の培養法では結果が得られるま で 7 〜 10 日を要し,行政・営業者ともに状況に即し た迅速な対応が難しい。そこで,行政的に活用する ための基礎資料を得るため,遺伝子検査法による汚 染評価の検討を行うとともに,愛媛県内(松山市を 除く。)の循環式温泉入浴施設におけるレジオネラ属 菌汚染状況及び衛生管理の実態を調査し,汚染リス クについて考察した。

2.材料及び方法

平成 20 年 10 月から平成 22 年 3 月の間,循環式温 泉入浴施設 34 施設の浴槽水,原水及び逆洗水につい て,培養法及び核酸増幅法(定量 PCR 法,定量 RT- PCR 法)によるレジオネラ属菌数,遊離残留塩素濃 度,pH を測定するとともに維持管理状況の調査及び 衛生指導を行った。

3.結 果

培養法と核酸増幅法の定量値に明確な相関は認め られなかったが,原水を除いた浴槽水及び逆洗水

(以下,「浴槽水等」という。)では,両者に弱い正の 相関が認められた。浴槽水等では,定量 RT-PCR 法 陰性であった 18 件すべてが培養法陰性と判定でき陰 性的中率 100 %であったが,定量 PCR 法陰性であっ た 31 件のうち 2 件は培養法陽性であった。核酸増幅

法は,塩素消毒や加熱等による死菌も検出するため,

培養法陰性であった 41 件のうち,定量 RT-PCR 法陽 性 は 2 3 件 ( 5 6 . 1 % ), 定 量 P C R 法 陽 性 は 1 2 件

(29.3 %)であった。一方,県内の循環式温泉入浴施 設における実態調査では,レジオネラ属菌陽性率は,

培養法では浴槽水 30.3 %(10/33),原水 20.7 %

(6/29),逆洗水 43.8 %(7/16),定量 RT-PCR 法では 浴槽水 68.8 %(22/32),原水 78.6 %(22/28),逆洗 水 80.0 %(12/15)であった。浴槽水,原水及び逆洗 水のレジオネラ属菌数の平均値は,培養法ではそれ ぞれ 55,164,150 CFU/100 ml で有意な差はみられ な か っ た が , 定 量 R T - P C R 法 で は 9 0 , 4 2 0 , 190 CFU/100 ml で原水が有意に高かった。また,レ ジオネラ属菌は,Legionella pneumophilaが 84.8 %分 離され,そのうち,SG6 が 39.4 %と最も多く,SG1 が 21.2 %,SG5 が 18.2 %,SG10 が 15.2 %と続いた。

そ の 他 の 菌 種 で は ,

L . l o n d i n i e n s i s

が 3 検 体 ,

L. micdadei

および

L. anisa

が各 1 検体から分離され

た。遊離残留塩素濃度が 0.2 mg/L 以上の浴槽水にお ける pH 別の培養法陽性率は,pH  8.5 未満では 6.7 %

(1/15)であったが,pH  8.5 以上では 27.3 %(6/22)

であった。ろ過器,配管の洗浄頻度等の管理方法や 施設規模によりレジオネラ属菌汚染リスクの比較を 行ったところ,洗浄頻度等が少ないと汚染リスクが 高くなる傾向がみられ,浴槽容量やろ過器等の規模 が大きいほどリスクが有意に高かった。なお,本調 査結果をフィードバックし,それぞれの施設にあっ た管理法等の指導を行ったところ,レジオネラ属菌 の培養法検査において全ての施設の浴槽水で陰性と

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木村 俊也

1

,田坂 紀博

1

,矢野 恵子

2

1愛媛県薬務衛生課,2愛媛県松山保健所

第 86 回麻布獣医学会 一般演題 1

(2)

麻布大学雑誌 第 23 巻 2011 年

なった。

4.考 察

遺伝子検査法は,迅速性を有するとともに,施設 の潜在的な汚染リスクの評価が可能であり,レジオ ネラ属菌が検出された際の陰性確認検査として,ま た,衛生管理の指標として活用する意義は極めて高 いと考えられた。今回の実態調査により,愛媛県内

の温泉入浴施設は,源泉の性質上レジオネラ属菌汚 染のリスクが比較的高いことが示され,pH,栄養分 等の条件が増殖に適していれば,健康被害を起こす レベルの高濃度汚染を招く惧れがあることから,原 水を含めた施設全体の衛生管理体制の構築が必要で あると考えられた。

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参照

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