S9
〈論 説〉
部 族 、 個 人 と して の イ ン デ ィ ア ン(1)
一 ア メ リカ ・イ ンデ ィア ン法研 究 序説(十 一)一
藤 田 尚 則
目 次 は じめ に 第一 節 部 族
1部 族 とい う用語
II連 邦 に よ る部族 の承 認 の 意 味
m法 的 ・政 治 的 目的の た め に部 族 と して の地 位 を決定 す る連 邦 の権 限 iv承 認 を め ぐる初 期 の 判 例 展開
V連 邦法 の適 用 一 裁 判例 を 中心 に(以 上 、 本号) VIイ ンデ ィ ァ ン部 族 承 認 手 続再 考
w管 理終 結 法 とイ ンデ ィ ア ンの法 的 地 位 皿 管 理終 結 され た部 族 の 権 利 回復 Dく 州 に よ って承 認 され た 部族
第 二 節 個人 乃 至構 成 員 と して の イ ン デ ィア ン 1"Whois2121ndianwithinthemeazzing(ゾthatAct"
II構 成 員 資 格 の 決定 と連 邦政 策 の変遷 過 程 m構 成 員 資 格 を 決定 す る部族 の権 限 IV構 成 員 資 格 を 決定 す る連 邦 の権 限
V連 邦法 にみ るイ ンデ ィア ン の定 義 の類 型 化 VI婚 姻 に よ る権 利 の得 喪
は じめ に
イ ン デ ィ ア ン法 に 関 す る著 書 、 論 文 、 連 邦 法 、 判 例 等 に 目 を通 す と、 ア メ リ カ ・イ ン デ ィ ア ン(ア メ リ カ 先 住 民)を 指 して 様 々 に 表 現 さ れ て い る こ と が 理 解 さ れ る 。 当 該 用 語 を 表 す 言 葉 を 英 語 表 記 す る と 、Indian、AmericanaIndian、
Indiannation,NativeIndian,Indiangroup、Firstハrations、Tribe,Indian
tribe、TribeofIndians、Nation、 ハ7ationofIndians、Band、 ゴη4匿981ZOπS
η纏oη5等 と 表 現 さ れ 、 イ ン デ ィ ア ン の 土 地 を 表 す 言 葉 を 英 語 表 記 す る とIndian land,Indian‑occupiedland,IndianTerritory,Indianterritory,Indian
countryと 表 記 さ れ る 。 更 に 、 連 邦(乃 至 州)と イ ン デ ィ ア ン と の 法 的 関 係 を 捉 え て イ ン デ ィ ア ン 又 は そ の 地 位 を 表 し て 、Indiansovereignty、Indiantribal
sovereignty、tribalsovereignty、territorialsovereignty、domesticdependent
I)
nations、governmenttogovernmentrelationship'の 表 現 が 散 見 さ れ る(第 一 部 に お い て 連 邦 法 乃 至 判 例 に つ い て 言 及 す る場 合 、 これ ら用 語 は極 力 原 文 で 用 い ら れ て い る 当 該 用 語 を 忠 実 に 訳 出 す る よ う心 掛 け た)。
Z)
と こ ろで 、 歴 史 的 に振 り返 る と、 連 邦 政 府 及 び 内 務 省 は 、 条 約 締 結 の 交 渉 を 行 い 或 い は ま た 如 何 な る団 体 が1934年 制 定 の 「イ ンデ ィ ア ン再 組 織 法 」(the
ヨ
IndianReorganizationAct、IRA)の 下 で 承 認 さ れ る べ き か を 決 定 す る に 際 し て 、 い ず れ の イ ン デ ィ ア ン ・グ ル ー プ(lndiangroup)が 部 族(tribe)で あ る か に 関 して の 決 定 を 行 っ て き た 。 従 来 の ア ド ・ホ ッ ク な 決 定 は 、1978年 の 「連 邦 行 政 命 令 集 第1章 第F節 第83款 一 ア メ リ カ ・イ ン デ ィ ア ン の 団 体 が イ ン
4)
デ ィ ア ン 部 族 と して 存 在 す る こ と を 確 立 す る為 の 手 続 」 の 制 定 を 以 っ て 統 一 さ れ た 。
イ ン デ ィ ア ン ・ グ ル ー プ が イ ン デ ィ ア ン 部 族 と し て 行 政 上 、 承 認 (acknowledgementorrecognition)さ れ る こ と に よ っ て そ の 資 格 を 取 得 す る た め の 要 件 は 、 当 該 団 体 が 継 続 的 に 保 留 さ れ た 政 治 的 権 限(politicalpowers) を も っ 部 族 と して 存 在 して き た と い う こ と に あ る と解 釈 す る論 説 も み ら れ る と
5)
こ ろで あ るが 、 あ る グル ー プ が部 族 で あ るか 否 か の 決 定 は 、 当 該 グ ル ー プ それ 自体 の み な らず 、連 邦 政 府 及 び州 政 府 、 他 の イ ンデ ィ ア ン部族 並 び に非 イ ンデ ィ ア ン(non‑lndians)に 対 して も政 治 的 の み な らず 法 的 に重 大 な 影 響 乃 至 結 果 を もた らす そ れ で あ る と言 わ ざ る を得 な い 。
以 下 、 第 一 部 で10回 に亘 っ て展 開 して き た合 衆 国 の 対 イ ン デ ィ ア ン対 策 の歴 史 的 展 開 を念 頭 に 置 き な が ら、 イ ン デ ィ ア ン ・ネ ー シ ョ ンが 法 学 的 意 味 に お け る 「国家 」(state)一 領 土 、 国 民 、 領 土 か ら な る 一 と言 い 得 るか の或 い は それ に代 っ て如 何 よ うに 法 的 に位 置 付 け られ るの か 、 何 らか の 答 え を導 くべ く 第 二 部 で は統 一 体(unit)と して の或 い は 法 的実 在(legalentity)と して の 「部 族 」、 「個 人 と して の 若 し くは部 族 構 成 員 と して の 個 々 の イ ン デ ィ ア ン」、 「イ ン
部 族 、 個 人 と し て の イ ン デ ィ ア ン(1) 61 デ ィ ア ン ・カ ン ト リ ー 」、 「部 族 主 権 」(tribalsovereignty)並 び に 「信 託 責 任 」 (trustresponsibility)に つ い て 考 察 す る こ と に な る が 、 本 稿 に お い て は 、 数 回 に 亘 っ て 部 族 及 び 個 人 と して の 若 し く は 部 族 構 成 員 と して の イ ン デ ィ ア ン に つ い て 考 察 す る 。
第一節 部 族
1部 族 と い う用 語
(D「 部 族 」 とい う用 語 は 、 民 俗 学 的(ethnological)若 し くは 法 的 ・政 治 的 意 味(regal・politicalsense)に お い て 使 用 さ れ るが 、 民 俗 学 的 に用 い た場 合 、
『広 辞 苑 』(第 五 版)に は 「人 種 ・言 語 ・文 化 な どの 特 徴 を 共 有 し、 一 定 の地 域 内 に 住 ん で 同 族 意 識 を もつ 集 団。 ふ つ う親 族 集 団 あ る い は 地 縁 的 な 集 団 に分 か れ て お り、 戦 闘 な どの 場 合 に集 団 と して ま と ま りを見 せ る。」 と定 義 さ れ て い る。
こ こで言 及 され て い る 「人 種 」(race)と い う言 葉 に つ い て 同 じ く 『広 辞 苑 』(第 五版)は 、 「人 間 の 生 物 学 的 な 特 徴 に よ る区 分 単 位 。 皮 膚 の 色 を始 め頭 髪 ・身 長 ・ 頭 の形 ・血液 型 な どの形 質 を総 合 して分 類 され る。 コー カ ソイ ド(類 白色 人種群)・
モ ン ゴ ロイ ド(類 黄色 人極 群)・ ネ グ ロイ ド(類 黒 色人種 群)の 三 大 人 種 群 に分 類 さ れ るが 、 オ ー ス トラ ロ イ ド(類 オ ース トラ リア人種 群)・ カ ポ イ ド(コ イサ ン人 種群)を 加 え た五 大 分 類 も行 わ れ て い る。」 と定 義 して い る。 そ して 、 ア メ リカ ・
イ ンデ ィ ァ ン は 、 最 終 氷 河 期 に 当 時 陸 続 き で あ っ た べ 一 リ ン グ海 峡 を経 て ア ジ ア大 陸 か ら渡 来 した 人 び との子 孫 で 上記 モ ン ゴ ロイ ドの 特 徴 を もつ と して い る。
部 族 と い う用 語 が 法 的 ・政 治 的 意 味 に用 い られ る場 合 、 そ こ に は一 般 的 乃 至 共 通 の定 義 を見 出 す こ とは で き な い。 す な わ ち 、 合 衆 国 憲 法 、 連 邦 法 律 及 び規
G)
則 が 当 該 用 語 を 使 用 し て い る が 、連 邦r=̲i的に と っ て 「イ ン デ ィ ァ ン 部 族 」(lndian tribe)又 は 「イ ン デ ィ ア ン ・ネ ー シ ョ ン」(lndiannation)と い う用 語 に つ い て 単 一 の 連 邦 法 の 定 義 は 存 在 し な い 。 そ の 結 果 、 歴 史 的 に 連 邦 裁 判 所 が 、 連 邦 に よ っ て 承 認 さ れ た 部 族(federallyrecognisedtribe)の 存 在 を 決 定 す る 重 要 な 役 割 を 担 っ て き た の で あ っ て 、 そ の 際 、 裁 判 所 は 、 争 点 と な っ た 部 族 を 承 認 す
る条 約 、 法 律 、 行 政 命 令 或 い は 協 定 を 通 して の 政 治 部 門(politicalbranches) に よ っ て 執 り行 わ れ た 処 理 の 歴 史 に 重 点 を お い て 問 題 解 決 に 当 た っ て い る 。
1994年ll月2日 、合 衆 国議 会第103議 会 は 、 「連 邦 に よっ て承 認 され た イ ンデ ィ ア ン部 族 の一 覧 表 に 関 す る年 次 の 公 示 を 規 定 し及 び そ の他 の 目的 の為 の 法 律 」 を制 定 した が 、 当該 法 律 の 第1編 「1994年連 邦 に よ っ て承 認 さ れ た イ ン デ ィ ア7)
ン 部 族 一 覧 表 法 」(theFederallyRecognizedIndianTribeListActofl994)
第102条 第1項 第2号(合 衆 国 法 律 集 第25編 第479a条 第1項 第2号)は 、 イ ン デ ィ ァ ン 部 族 と は 「内 務 長 官 が イ ン デ ィ ア ン 部 族 と し て 存 在 す る こ と を 承 認 す る (acknowledge)イ ン デ ィ ア ン 又 は ア ラ ス カ 先 住 民 部 族 、 バ ン ド、 ネ ー シ ョ ン 、 イ ン デ ィ ァ ン部 落(pueb且o)、 集 落(vmage)又 は コ ミ ュ ニ テ ィ(community)」
を 意 味 す る と規 定 す る 。 第103条 は 、 合 衆 国 議 会 の 「認 定 」(findings)に 関 す る 規 定 で あ る が 、 同 条 は 、 ① 合 衆 国 憲 法 は 、 連 邦 判 例 法 に よ っ て 解 釈 さ れ る が 如
く 合 衆 国 議 会 に 対 し て イ ン デ ィ ア ン 問 題 に 関 す る 無 条 件 の 権 限(plenary authority)を 賦 与 す る と し(第1号)、 ② 上 記 権 限 に 付 属 し て 合 衆 国 は 、 承 認 さ
れ た 部 族 に 対 し て 信 託 責 任 を 有 し 、 こ れ ら部 族 と政 府 対 政 府 の 関 係 を 維 持 し及 び こ れ ら部 族 の 主 権 を 承 認 す る と し(第2号)、 ③ イ ン デ ィ ア ン 部 族 は 、 現 在 、 合 衆 国 議 会 法 、 「ア メ リカ ・イ ン デ ィ ア ン の グ ル ー プ が イ ン デ ィ ア ン 部 族 と して 存 在 す る こ と を 確 立 す る 為 の 手 続 」(ProceduresforEstablishmgthatan
AmericanIndianGroupExistsasanIndianTribe)と ロ乎ば れ る連 邦 行 政 命 令 集 第83款 に 規 定 さ れ た 行 政 手 続 若 し くは 合 衆 国 裁 判 所 判 決 に よ っ て 承 認 さ れ 得 る と し(第3号)、 そ し て ④ 上 記 の い ず れ か の 一 つ の 方 法 で 承 認 さ れ て き た 部 族 は 合 衆 国 議 会 法 に よ る場 合 を 除 い て 管 理 終 結 さ れ 得 な い と し(第4号)、 ⑤ 合 衆 国 議 会 は 、 明 白 に 承 認 さ れ た イ ン デ ィ ア ン 部 族 の 管 理 終 結 政 策 を 否 定 し且 つ 従 前 に 管 理 終 結 さ れ て き た 部 族 の 承 認 を 現 実 的 に 復 活 して き た と規 定 して い る(第
5号)。 続 い て イ ン デ ィ ア ン 部 族 の 一 覧 表 に 関 し て 、 ⑥ 内 務 長 官 は 、 全 て の 連 邦 に よ っ て 承 認 さ れ た 部 族 の 一 覧 表 を 保 持 す る 責 任 を 負 う と し(第6号)、 ⑦ 内 務 長 官 に よ っ て 公 示 さ れ る一 覧 表 は 、 一 定 の グ ル ー プ が 合 衆 国 か ら の 役 務 を 受 取 る 資 格 を 決 定 す る た め に 各 省 並 び に 合 衆 国 の 行 政 機 関 に よ っ て 使 用 さ れ る が 故 に 正 確 且 つ 定 期 的 に 更 新 さ れ 、定 期 的 に 公 示 さ れ な け れ ぼ な ら な い と し(第7号)、
⑧ 内 務 長 官 が 公 示 す る連 邦 に よ っ て 承 認 さ れ る 部 族 の 一 覧 表 は 、 合 衆 国 に よ っ て イ ン デ ィ ア ン に 対 し て 彼 ら の イ ン デ ィ ア ン と し て の 地 位 の 故 に 提 供 さ れ る 特 別 計 画 並 び に 役 務 の 資 格 を 有 す る 合 衆 国 内 の 連 邦 に よ っ て 承 認 さ れ た イ ン デ ィ
部 族 、 個 人 と して の イ ン デ ィ ア ン(1) 63 ア ン部 族 の 全 部 を反 映 す る もの で な けれ ば な らな い 旨 を規 定 して い る(第8号)。
そ して 同 法 第104条 第a項(合 衆 国 法律集 第25編 第479a‑1条 第a項)は 、 「内 務 長 官 は、 フェ デ ラル ・レ ギ ス タ(FederalRegister)に 合 衆 国 に よっ て イ ンデ ィ ア ン に対 して 彼 らの イ ン デ ィ ア ン と して の 地 位 の故 に 提 供 さ れ る特 別 計 画 並 び に役 務 の資 格 を有 す る と内務 長 官 が 承 認 す る全 イ ン デ ィ ア ン部 族 の 一 覧 表 を 公 示 しな けれ ば な ら な い。」 と規 定 し、 同 条 第b号 は、 一 覧 表 は 同法 制 定 か ら60日 以 内 に及 び そ の後 は毎 年1月30日 若 し くは そ れ 以 前 に公 示 され な けれ ば な ら な い と定 め て い る。
(2)1978年 の行 政 命 令 及 び1994年 法 は、 いか な る先 住 民 グル ー プが 連 邦 法 の 目的 に とっ て イ ン デ ィ ア ン部 族 若 し くはネ ー シ ョン と して の 資 格 を 有 す るか の 決 定 に 際 して 、 これ ま で の 連 邦 裁 判 所 の 果 た して き た役 割 に全 部 と まで は言 え な い に して も取 っ て 代 わ っ て き て い るが 、 今 日、 連 邦 に よ って 承 認 され た部 族 の公 的 な 一 覧 表 の 存 在 が 、 一 覧 表 に含 まれ る先 住 民 グ ル ー プ に関 して その 法 的
ゆ
地 位 の不 確 定 性 を 不 要 に して い る と言 う こ とは で き るで あ ろ う。
イ ンデ ィ ア ン部 族 とい う用 語 は、 先 住 民 に とっ て の 意 味 と連 邦 法 に と って の 意 味 とで は明 白に 異 な っ た意 味 を有 して い る と言 わ ざ る を得 な い 。先 住 民 に とっ て ネ ー シ ョン若 し くは部 族 と して の存 在 は 、 共 通 の 言 語 、 儀 式 、 血1縁又 は一 族 の きず な及 び 特 定 の 土 地 に対 す る共 有 関係 に帰 着 す る。 部 族 構 成 員 が 自 ら を表 す た め に使 用 す る言 葉 は、 集 合 的 に"thepeople"を 表 す言 葉 で あ る とされ る。
更 に 、 先 住 民 の 基 本 的 な政 治 的構 成 単 位 は しば しば複 雑 で あ っ て 、 重 要 な統 治 機 能 を果 た す分 散 され た バ ン ド、集 落 、一族(clan)或 い は 血縁 関 係 に あ る グル ー
プ(kinshipgroup)を 伴 い、 場 合 に よ って は よ り大 きな 集 合 体(aggregation)
の
が政 治 的 機 能 を果 た す と され る。
(3)部 族 の 理 解 とは 対 照 的 に 、連 邦 法 は 、通 例 、 イ ンデ ィ ア ン部 族 とい う用 語 を連 邦 政 府 が 何 等 か の 政 治 的 関 係(politicalrelationship)を 確 立 して きた か 若 し くは承 認 手続 を とっ て き た先 住 民 の グ ル ー プ を指 して用 い て い る。 か か る 承 認 を促 す 理解 は 、 常 に部 族 の理 解 を反 映 す る もの で は な い と され る。 従 って 、 例 え ば 、 連 邦 政 府 に よ っ て 管 理 終 結 され て き た部 族 が 、 法 的 訴 訟 の対 象 とな る 先 住 民 コ ミュ ニ テ ィ と して 存 在 す る に も拘 らず 、他 方 で は連 邦 に よ っ て 承 認 さ れ た 部 族 に の み 認 め られ る制 定 法 上 の利 益 を認 め る連 邦 法 の 解 釈 の 目的 に とっ
て は 当 該 先 住 民 コ ミ ュ ニ テ ィ が 存 在 し得 な い と い う事 態 が 生 ず る の で あ る 。 他 方 に お い て 、 連 邦 に よ っ て 承 認 さ れ た 部 族 の 中 に は 、 法 的 実 在 に す ぎ な い そ れ が 存 在 して い る 。 例 え ば 、 シ ョ ー ソ ン(Shoshone)と ア ラ バ ホ(Arapaho)の
ウ ィ ン ド ・ リバ ー 部 族(WindRiverTribes)の よ う に 、 連 邦 の 政 策 を 反 映 し て 合 衆 国 議 会 に よ っ て 創 出 さ れ た 連 合 乃 至 合 併 さ れ た 部 族 が 存 在 す る 。 或 い は ミ ネ ソ タ ・チ ペ ワ部 族(MinnesotaChippewaTribes)や ト リ ン ギ ッ ト ・ハ イ ダ ・ イ ン デ ィ ァ ン部 族 中 央 評 議 会(CentralCounciloftheTlingit&HaidaIndian
Tribes)の よ う に 、 部 族 が 政 治 的 目 的 を 以 っ て 連 合 し 、 法 主 体 を 形 成 し 、 連 邦 の 承 認 を 得 て き た 例 も存 在 す る 。1934年 イ ン デ ィ ア ン 再 組 織 法 の 下 で は 、 連 邦 に よ っ て 付 与 さ れ た 保 留 地 内 に 居 住 す る全 て の イ ン デ ィ ァ ン 達 は 、 彼 ら が 言 語 的 、 文 化 的 或 い は 政 治 的 に 一 体 的 で あ る か 否 か に 拘 ら ず 連 邦 に よ っ て 承 認 さ れ る諸 部 族 に 組 織 化 す る こ と が 許 さ れ て い る(同 法 第19条 参 照)。 或 い は 、 カ リ フ ォ ル ニ ア ・イ ン デ ィ ア ン(CaliforniaIndians)に 文 化 的 崩 壊 と貧 困 が 訪 れ た 際 、 合
io)
衆 国 議 会 は 、1902年5月27日 法 に よ っ て 南 カ リ フ ォ ル ニ ア に 土 地 購 入 の た め の 資 金 提 供 を 行 っ て い る 。 す な わ ち 、 カ リ フ ォ ル ニ ア の ミ ッ シ ョ ン ・イ ン デ ィ ア ン(MissionIndians)の 援 助 及 び 開 化 の 目 的 を 以 っ て 、 即 時 に 利 用 で き る よ う 、 100,000ド ル の 歳 出 配 分 が 承 認 さ れ 、 内 務 大 臣 は 当 該 総 額 の 中 か ら 南 カ リ フ ォ ル ニ ア の 適 切 な 土 地 を 購 入 し、 当 該 土 地 に い ず れ か の 場 所 に 適 切 な る 土 地 が 提 供 さ れ 得 な い と こ ろ の カ リ フ ォ ル ニ ア の サ ン ・デ ィ エ ゴ 郡(SanDiegoCounty)
内 の サ ン ・ジ ョ セ ・デ ・ヴ ァ レ(SanJosedelValle)又 は ワ ー ナ ー ズ ・ラ ン チ (WarnersRanch)に 居 住 し若 し く は 所 属 す る ミ ッ シ ョ ン ・イ ン デ ィ ア ン に 居 住
u)
を構 え させ る権 限 を 付 与 され る と規 定 して い る。 或 い は ま た 、軍 事 的 に 弱 体 化 させ る 目的 を以 っ て連 邦 法 に よ って 地 理 的 に分 離 さ れ 且 つ 独 立 に承 認 され た部 族 で あ るス ー ・ネ ー シ ョ ン(Siouxnation)の よ うに 、連 邦 に よ っ て承 認 さ れ た 法 主 体 の 中 に は、 従 前 は統 一 され て い た集 団 が 不 完 全 な形 で 集 合 して い る 団体 も存 在 して い る。 更 に、 オ ネ イ ダ(Oneida)、 チ ェ ロ キ ー(Cherokee)、 チ ョ ク
トー(Choctaw)の 各 部 族 の よ う に、19世 紀 の連 邦 の 強 制 移 住 政 策 の 一 環 と し て 、 構 成 員 の一 部 が 新 た な テ リ ト リー に 移 住 を余 儀 な く され 、 他 の構 成 員 が 故 郷 の土 地 を立 ち 去 る こ とを 拒 否 した が た め に 、 多 数 の 分 離 したネ ー シ ョン と し
12)
て 承 認 され た集 団 が 存 在 して い る。
部 族 、個 人 と して の イ ンデ ィア ン(1) 6S II連 邦 に よ る 部 族 の 承 認 の意 味
1部 族 の カ テ ゴ リー
(1)イ ンデ ィ ア ン ・グル ー プ に 対 して 部 族 と して の 法 的 地 位 を 付 与 す る連 邦 の承 認 は、 部 族 の 存 在 を別 個 の 政 治 的 社 会(distinctpoliticalsociety)と して 確 認 し、 部 族 と連 邦 政 府 の 間 に政 府 対 政 府 の 関 係 を制 度 化 す る正 式 の 政 治 的 行 為(politicalact)で あ る。 承 認 され た 部 族 に対 す る州 の 権 限 は、 そ れ に 付 随 し
て制 約 され る こ と に な る。 合 衆 国 最 高 裁 判 所 は、1959年 、 非 イ ンデ ィ ア ンの 原 告 と保 留地 イ ンデ ィ ア ンの 被 告 との 間 の保 溜 地 の交 易 所(tradingpost)で の 販 売 契約 を め ぐ る訴 訟 に 関 して ア リ ゾナ 州 の 管 轄 権 を否 定 し、 部 族 裁 判 所 の排 他
13)
的管 轄 権 を認 め たWilliamsv.Leeで 、 州 裁 判 所 に訴 訟 の 提 起 を 認 め る こ とは 部 族 裁 判 所 の権 限 を侵 食 し、 そ して そ の 故 に保 留 地 の 事 項 を統 治 す る部 族 の 法
ia)
的 資 格 を 侵 害 す る と判 示 して い る。 条 約 、 制 定 法 、 行 政 手 続 又 は そ の 他 の 合 衆 国 との そ の 他 の交 渉 に よっ て 承 認 され た 部 族 は 、連 邦 に よっ て 承 認 され た部 族 と して 知 られ 、 当 該 カ テ ゴ リー の存 在 は 連 邦 に よっ て 承 認 さ れ な い部 族(non‑
federa且且yrecognizedtribe)の 否 定 的補 集 合 体 の 存 在 を示 唆 す る こ とに な るが 、 後 者 の カ テ ゴ リー に は、 部 族 と して の存 在 に関 す る歴 史 的及 び 民 俗 学 的 証 拠 が 存 在 す る に も拘 らず 連 邦 政 府 に よ っ て承 認 され て こな か っ た 部 族 が 含 まれ る。
(2)連 邦 に よ っ て 承 認 さ れ な い部 族 で あ って も、 州 に よ っ て 承 認 され 得 る場 合 が 見 出 され る。 この カ テ ゴ リー に属 す る部 族 と して 、 ニ ュ ー ・ヨ ー クの シ ン
15)
ネ コ ッ ク 部 族(ShinnecockTribe)、 ノ ー ス ・カ リ フ ォ ル ニ ア の ハ リ ワ ・サ ポ ニ
IG)
(HaliwaSaponi)、 ヴ ァ ー ジ ニ ア の マ タ ポ ニ(Mattaponi)、 パ ム ン キ ー (Pamunkey)、 チ ッ カ ホ ミ テ ィ ー(Chickahomity)、 イ ー ス タ ン ・チ ッ カ ホ ミ テ ィ ー (EasternChickahomity)、 ラ ッ パ ハ ン ノ ッ ク(Rappahannock)、 及 び ア ッ パ ー ・
17)
マ タ ポ ニ(UpperMattaponi)を 挙 げ る こ とが で き よ う 。 州 の 承 認 は 、 イ ギ リ ス の 植 民 地 に 端 を 発 し 、 ア メ リ カ 革 命 後 も 州 と の 関 係 を 維 持 し て き た こ と に そ の 根 源 を 見 出 す こ と が で き る が 、 州 に よ っ て 承 認 さ れ た 部 族 の 中 に は 、 後 に 連 邦 法 律 に よ っ て 承 認 さ れ た 部 族 が 存 在 す る 。例 え ば 、1980年10月10日 制 定 の 「1980 年 メ イ ン ・イ ン デ ィ ァ ン 請 求 解 決 法 」(theMaineIndianClaimsSettlement
ie)
Actof1980)に よ る メ イ ン 州 の パ サ マ ク オ デ ィ 部 族(PassamaquoddyTribe)、
ペ ノ ブ ス コ ッ ト ・ネ ー シ ョ ン(PenobscotNation)及 び マ リ シ ー ト部 族(Maliseet
Tribe)、1983年10月18日 制 定 の 「マ シ ャ ン ツ ケ ッ ト ・ペ ク ウ ォ ッ ト ・イ ン デ ィ
ia)
ア ン 請 求 解 決 法 」(theMashantucketPequotIndianC且aimsSettlementAct)
に よ る ウ ェ ス タ ン ・ペ ク ウ ォ ッ ト 部 族(WesternPequotTribe)と し て 知 ら れ て い る コ ネ チ カ ッ ト 州 の マ シ ャ ン ツ ケ ッ ト ・ペ ク ウ ォ ッ ト部 族(Mashantucket PequotTribe)が そ れ で あ る 。 或 い は ま た 、 州 に よ っ て 承 認 さ れ た 部 族 の 中 に は 、BIAの 連 邦 承 認 事 務 局(theOfficeofFederalAcknowledgment,OFA)
'20)
の 手 続 に 拠 っ て連 邦 承 認 を 求 め た 事 例 も存 在 す る と こ ろ で あ る。 州 に よ っ て承 認 され た部 族 は 、 言 う まで も な く連 邦 に よ って 承 認 され た部 族 とは看 倣 され ず 、 当 該 部 族 の 保 留地 の 法 的 地 位 並 び に政 府 権 限 は 州 法 の 衷 項 とな る が 、 州 は 当 該
zq
部 族 の 立 場 に立 って 相 当 の 自律 を認 め て い る。
(3)さ らな るカ テ ゴ リー に、 か つ て 連 邦 に よ っ て承 認 され た が 、 そ の後 、 合 衆 国議 会 に よっ て 管 理 終 結 され た部 族 が 存 在 す る。 通 例 、 か か る部 族 は 「管 理 終 結 され た 」(terminated)と 表 出 され 、 連 邦 に よっ て承 認 され て い な い 部 族 の カ テ ゴ リー に加 え られ るが 、 か か る管 理 終 結 され た部 族 は合 衆 国 議 会 に よ る連 邦 承 認 を回 復 し得 る と こ ろで あ る。 そ の 典 型 的 な例 と して 第 一 部 第 六 章1‑2‑
(3)で 詳 述 した1973年12月22日 、 第93議 会 で 可 決 され た 「ウ ィ ス コ ン シ ン の ミノ ミニ ー ・イ ン デ ィ ア ン部 族 の 財 産 並 び に成 員 に 対 す る連 邦 の 管 理 を終 結 す る法律 を破 棄 し、 ウ ィス コ ンシ ン の ミノ ミニ ー ・イ ンデ ィ ア ン部族 を連 邦 に よっ て 承 認 され た 主 権 を 有 す るイ ン デ ィ ア ン部 族 と して 再 組 織 し及 び ア メ リカ ・イ ン デ ィ ア ン とい う地 位 の故 に ア メ リカ ・イ ン デ ィ ア ン に提 供 され る連 邦 業 務 を ウ ィス コ ンシ ン の ミノ ミニ ー部 族 に 回 復 し並 び に そ の他 の 目的 に 関 す る 法 律 」
zz)
(「ミ ノ ミニ ー 回 復 法 」(theMenomineeRestorationAct))を 挙 げ る こ とが で き よ う。
2承 認 の 意 義
(1)あ る イ ン デ ィ ア ン ・グ ル ー プ が 部 族 で あ る と連 邦 に よ っ て 決 定(承 認)さ れ る こ と は 、 当 該 団 体 が 合 衆 国 と 政 府 対 政 府 の 関 係 に 立 つ こ と を 意 味 す る 。 部 族 で あ る こ と の 連 邦 に よ る 積 極 的 決 定 は 、 部 族 が 州 か ら独 立 し た 固 有 の 主 権 的 権 限(inherentsovereignauthority)を 有 す る 一 国 内 の 従 属 的 国 家(domestic
23)'L4)
independentnation)で あ る と し て も 一 こ と を も 意 味 す る 。 承 認 に よ っ て 部 族 は 、 主 権 免 除(sovereignimmunity)を も ち 、 自 ら の テ リ ト リ ー(ten・itory)
部 族 、 個 人 と して の イ ン デ ィ ア ン(1)67
に 対 す る管 轄 権(jurisdiction)を 行 使 し、 部 族 裁 判 所(tribalcourt)を 設 立 す る こ と が で き る 。 ま た 、 「イ ン デ ィ ア ン 自 決 及 び 教 育 援 助 法 」(theIndianSelt'‑
ze)
DeterminationandEducationAssistanceAct)に 基 づ い て 補 助 金 を 管 理 し 、
'27)
「イ ン デ ィ ァ ン 賭 博 規 制 法 」(theIndianGamingRegulatoryAct)に 従 っ て 賭 博 場 を 設 置 し 、 「イ ン デ ィ ア ン 交 易 及 び 通 商 法 」(theIndianTradeand
zs)
IntercourseAct)に よ っ て土 地 請 求 を提 起 し得 る。 更 に、 部 族 は 、 条 約 に基 づ く狩 猟 権 及 び 漁業 権 を 行 使 し、 その 他 の連 邦 上 の諸 利 益 を 一 連 邦 法 に よ っ て
制 限 され な い 限 り 一 取 得 し得 るの で あ る。 また 反 対 に、 一 般 的 な 禁 止 若 し く は制 限 が 、 連 邦 に よ って 承 認 され た 部 族 に 適 用 さ れ る こ とに な る。 例 え ば 、 信 託保 有 さ れ ず 若 し くは 譲 渡 制 限 され て い な い 土 地 を個 人 と して の イ ン デ ィ ア ン 又 は 信 託 関 係 に あ る部 族 が 取 得 し よ う とす る場 合 に は 、 合 衆 国議 会 法 に よ って
30)
許 可 さ れ な け れ ば な ら な い と さ れ 、 イ ン デ ィ ア ン ・カ ン ト リ ー 内 で の ア ル コ ー ル 性 リ キ ュ ー ル(intoxicatingliquors)の 所 持 は 、 科 学 的 、 儀 式 的 、 医 学 的 又 は 機 械 的 目 的 の 場 合 を 除 い て 、 初 犯 の 場 合 、 罰 金 又 は1年 以 下 の 懲 役 若 し く は 併
科 され 、 重 犯 の 場 合 罰 金 又 は5年 以 下 の懲 役 若 し くは併 科 され る。
連 邦 に よっ て 承 認 さ れ な い部 族 は、 連 邦 政 府 との 間 に 法 的 関 係 を も た ず 、 そ の結 果 、 当該 部 族 は法 的 乃 至 政 治 的 に機 能 す るた め の連 邦 に よ っ て 許 可 され る 権 限 を ほ とん ど行 使 し得 な い こ と にな り、 イ ンデ ィ ア ン ・ネ ー シ ョン並 び に そ の構 成 員 に と って 有 効 な連 邦 の給 付 金(benerit)を もほ とん ど利 用 で き得 な い。
時 と して 合 衆 国 議 会 は 、保 健 管 理 及 び その 他 の 利 益 を提 供 して きて い る。 例 え ば 、1988年ll月23日 に制 定 され た 「1988年イ ン デ ィ ア ン保 健 管 理 改 善 法 改 正 」
a2)
(theIndianHealthCareImprovementActAmendmentofI988)は 、 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 内 に 居 住 す る 連 邦 に よ っ て 承 認 さ れ た 部 族 の 全 構 成 員 に 加 え て 、
①1852年6月1日 に 同 州 に 居 住 して い た イ ン デ ィ ア ン の 全 て の 子 孫(現 在 カ リ フ ォ ル ニ ア に 居 住 して い る者 、 イ ン デ ィ ア ン保 健 サ ー ビス(IndianHealthService)
の 地 方 計 画 に よ っ て 提 供 さ れ る イ ンデ ィ ア ン ・コ ミ ュ ニ テ ィ の構 成 員 及 び 当 該 子 孫 が 居 住 す る コ ミュ ニ テ ィ に よ っ て イ ン デ ィ ア ン と看 倣 さ れ る者)、 ② カ リ フ ォ ル ニ ア の 公 有 地 、 国 有 林 又 は イ ン デ ィ ア ン 保 留 地 の 割 当 地 に 信 託 利 益 を 有 す る全 て の イ ン デ ィ ア ン 及 び ③1958年8月18日 法(72Stat。619)に 基 づ い て カ リ フ ォ ル ニ ア の イ ン デ ィ ア ン 部 落 並 び に 保 留 地 の 資 産 配 分 計 画 に 記 載 さ れ た カ リ フ ォ ル ニ ア
内の 全 イ ン デ ィ ア ン に、 イ ンデ ィ ア ン保 健 サ ー ビス に よっ て提 供 され る保 健 サ ー ビス の 資 格 を 付 与 して い る。 また 、 連 邦 に よ って 承 認 され て い な い部 族 は 、保 健 ・社 会 福 祉 省 内 の ア メ リカ先 住 民 部 に よ る補 助 金 を 州 と して 連 邦 承 認 運 動 を 遂 行 す る た め に 受 領 して きて い る。
(2)連 邦 に よ っ て承 認 され て い な い部 族 は 、 部 族 の 主 権 及 び 土 地 基 盤 へ の連 邦 に よ る重 視 の 欠 如 、 州 管 轄 権 か ら の保 護 の 欠 如 、 国 籍 回 復 権 へ の ア クセ ス及 び連 邦 法 の下 で の種 々 の 文 化 的保 護 の 欠 如 並 び に合 衆 国 との政 府 対 政 府 関 係 を 享 受 す る部 族 が 受 け るほ とん どの 利 益 の 否 定 を甘 受 しな け れ ば な らな い 。 例 え 33)
ば 、2002年 、 オ レ ゴ ン 地 区 連 邦 地 方 裁 判 所 は 、Bonnichsenv.UnitedStates
で ワ ナ パ ム ・バ ン ド(WanapamBand)は イ ン デ ィ ア ン ・グ ル ー プ と して の 連 邦 の 承 認 を 得 て い な い こ と を 理ra三iに、1990年 制 定 の 「ア メ リ カ 先 住 民 墓 地 保 護 及 び 返 還 法 」(Pub.L.No.101‑601,104Stat.3048)の 下 で 原 告 適 格 を 欠 く と判 示 し て い る 。
皿 法 的 ・政 治 的 目的 の た め に部 族 と して の 地 位 を 決 定 す る 連 邦 の 権 限
1総 説
(1)上 で 述 べ て き た イ ンデ ィ ア ン部 族 との政 治 的 関 係 を 確 立 、維 持 す る合 衆 国 議 会 の 権 限 は 、 合 衆 国 憲 法 第1条 第8節 第3項 に規 定 され る 「イ ン デ ィ ァ ン 通 商 条 項 」(lndianCommerceClause)に 求 め る こ とが で き る。 合 衆 国 憲 法 は ま た 、執 行 部 に連 邦 承 認 と矛 盾 しな い 外 交 上 の 行 為 及 び 行 政 行 為 を執 り行 う権 限 を 認 め て い る。 例 え ば 、 大 統 領 は 、 過 去 に お い て憲 法 第2条 第3節 第4文 に い う 「大 統領 は 、 大 使 そ の他 の 外 交 使 節 を接 受 す る。」 との規 定 に基 づ き、 イ ン
34)
デ ィァ ン部 族 に 政 府 職 員 を派 遣 し、 部 族 の代 表 団 を接 受 して きて い る。 また 、
;S5)
1871年3月3日 制 定 の 「歳 出 配 分 承 認 法 」 を 以 っ て イ ン デ ィ ア ン ・ネ ー シ ョ ン 又 は 部 族 との条 約 締 結 は 終 了 す るが 、 同 法制 定 ま で は 大 統 領 は 、 保 留 地 の 設 立 を含 む 部 族 の 承 認 行 為 の 根 拠 を 憲 法 第2条 第2節 第2項 が 規 定 す る条 約 締 結 権 に 求 め て い た の で あ る。 大 統 領 は、 以 後 、条 約 を締 結 す る こ とが で きず 、 更 に は 合 衆 国議 会 第66議 会 に お い て1919年6月30日 に制 定 され た 「1920年6月30
日 に終 了 す る財 政 年 度 の 為 に 種 々 の イ ンデ ィ ア ン部 族 との条 約 の 規 定 を履 行 す る 目的 を 以 っ て イ ン デ ィ ア ン問 題 局(BureauofIndianAffairs,BIA)の 現 行及
部 族 、 個 人 と し て の イ ン デ ィ ア ン(1)69
ヨの
び 不 確 定 の経 費 に対 す る歳 出 配 分 を承 認 し及 び そ の他 の 目的 の 法 律 」 に よっ て 、 1919年 以後 行 政 命 令 等 に よ り保 留 地 を設 立 す る こ とが で きな くな る。 同 法 第27 条 は、 「以後 、合 衆 国 の 如 何 な る公 有 地 も、 行 政 命 令(ExecutiveOrder)、 布 告
(proclamation)若 し くは そ の他 の方 法 で合 衆 国議 会 の 法律 に よ る場 合 を除 い て イ ン デ ィ ア ン保 留 地 の 為 に又 は イ ン デ ィ ア ン保 留地 と して取 り上 げ る こ とは で
;17)
きな い もの とす る。」 と規 定 して い る。
更 に は1927年3月3日 法 に よ っ て合 衆 国 議 会 の 法律 に よ る場 合 を 除 い て 行 政 命 令 、 布 告 若 し くは その 他 の 方 法 で イ ンデ ィ ア ン の 使 用 又 は 占有 の た め に既 存
のラ
の 保 留 地 の 境 界 線 の 変 更 も禁 止 され た(同 法第4条)。
(2)尤 も、 合 衆 国議 会 は 、 行 政 部 に部 族 の 連 邦 承 認 と矛 盾 しな い行 為 を行 う 権 限 を長 い 間 に亘 っ て 委 任 して きて い る。 す な わ ち、1832年7月9日 、 合 衆 国 議 会 第22議 会 に お い て 制 定 さ れ た 「イ ン デ ィ ア ン問題 局 長(Commissionerof
IndianAffairs)の 任 命 を 規 定 し及 び そ の 他 の 目 的 の 法 律 」第1条 は 、 「大 統 領 は 、 上 院 の 助 言 と承 認 に よ り及 び 以 っ て 陸 軍 長 官 〔現 行:内 務 長 官 〕 の 指 揮 下 に あ
り… … 大 統 領 が 規 定 す る行 政 規 則 に 従 っ て 全 て の イ ン デ ィ ア ン 問 題 及 び イ ン デ ィ ア ン 関 係 か ら生 ず る 全 て の 衷 項 を 指 揮 、 監 督 す る … … イ ン デ ィ ア ン 問 題 局 長 を 任 命 す る 。」 と 規 定 し、 さ ら に 、1834年6月30日 、 合 衆 国 議 会 第23議 会 で 制 定 さ れ た 「イ ン デ ィ ア ン 問 題 部 門(departmentorIndianaffairs)の 組 織 にiす
an)
る法 律 」 第17条 は、 「合 衆 国 大 統 領 は、 大 統 領 が 本 法 の 種 々 の規 定 及 び イ ンデ ィ ア ン 問題 に関 す るそ の 他 の金 て の 法 律 並 び に イ ンデ ィ ア ン 問題 部 門 の 決 節 を効 果 的 に遂 行 す るに 有効 と思 料 す る規 則 及 び行 政 規 則 を定 め る権 限 を 付 与 され る。」
と規 定 して い る。 か か る合 衆 国議 会 に よ る授 権 が 、1978年 の 連 邦 行 政 命 令 集 第
41)
1章 第F節 第83款 を制 定 す る執 行 部 の 法 源 とな って い る と言 え よ う。
2判 例
合 衆 国 最 高 裁 判 所 は、 この 間 題 に つ い て 如 何 な る答 え を用 意 して い るの で あ ろ うか 。 ニ ュー ・メ キ シ コ州 の サ ン タ ・ク ラ ラ(SantaClara)部 落 に ア ル コ ー ル 飲 料 を 持 ち込 ん だ 罪 で 刑 事 訴 追 され た 事 件 に 関 して ニ ュ ー ・メ キ ソ コー 地 区 合 衆 国 地 方 裁 判 所 が 管 轄 権 を 有 す る か 否 か が 争 わ れ た1913年 判 決 のUnited
42)
Statesv.Sandoval(以 下 、S朋40〃 α1事決 判 決 とい う。)で 、 連 邦 の 権 限 を す べ て の 従 属 的 な イ ン デ ィ ア ン ・コ ミ ュ ニ テ ィ に 対 す る 介 護 及 び 保 護 の 促 進 を 行 使
す る優 越 し且 つ 文 明 化 した 国 家 と して の 合 衆 国 政 府 の 権 限 と義 務 か ら導 き 出 さ れ る連 邦 コモ ン ・ロ ー(federalcommonlaw)の 問 題 と して イ ン デ ィ ア ン 問題
43)
の 中 に 見 出 して い る。 しか し、 今 日で は、 連 邦 の 権 限 を憲 法 の規 定 の 枠 組 み の t外 に 置 くか か る解 釈 は 、 広 く受 け 入 れ られ た 限 定 さ れ た 連 邦 の権 限 の概 念 と 矛 盾 す る と考 え られ る。 蓋 し、 合 衆 国最 高 裁 判 所 は 、1973年 、 ナ ヴ ァホ ・イ ン デ ィ ア ンが ア リ ゾ ナ州 課 税 委 員 会 を 相 手 に支 払 わ れ た 州所 得 税 の 払 戻 しを 求 め
44)
たMcClanahanv.Ariz.StateTaxComm「sで 、 「イ ン デ ィ ア ン事 項 に 対 す る連 邦 の 権 限 の 源 泉 は 、 混 乱 状 態 に あ る問 題 で あ る と され て き た が 、 今 や 当 該 権 限 は イ ン デ ィ ア ン部 族 との 通 商 を 規 制 し及 び条 約 を締 結 す る連 邦 の 責 任 か ら 導 き 出 さ れ る もの で あ る とい う こ とが 一 般 に承 認 さ れ て い る。」 と判 示 して い る
45)
か ら で あ る(尚 、 第 一・部 第 六 章 第 一 節1‑3‑(3)参 照)。
IV承 認 を め ぐる 初 期 の 判例 展 開
1総 説
初 期 の判 例 を 見 る と、 合 衆 国議 会 又 は行 政 部 が 「部 族 は 、 存在 す る。」 と認 定 して きた 場 合 、 裁 判 所 は 、 通 例 、 当 該 決 定 を追 認 し、 か か る決 定 を司 法 判 断 に 適 しな い と して 「政 治 的 問 題 」(politicalquestion)と して 処 理 して い る。 例 え ば、 合 衆 国 最 高 裁 判 所 は 、1903年 、 サ ウス ・ダ コ タ州 内 の ス ー ・イ ン デ ィ ア ン の シ セ トン ・バ ン ド(SissetonBand)の 構 成 員 の 土 地 の 被 割 当人 に対 す る州 の 課 税 権 と当 該 課 税 に対 す る連 邦 政 府 の エ ク イ テ ィ上 の 救 済 の 権 利 が 争 わ れ た
4f)
UnitedStatesv.Rickert(以 下 、Rickert件 判 決 とい う。)で 「州 は これ らの イ ンデ ィ ア ンに 通 例 は市 民 に の み 帰 属 す る選 挙 権 及 び そ の 他 の諸 権 利 を授 与 し て きた の で あ っ て 、 そ して それ 故 に彼 ら は 、 当 該 諸 権 利 を享 有 す る他 の人 民 と 同様 に 政 府 の負 担 を分 担 す べ き で あ る と言 わ れ る。 これ ら の こ と は、 合 衆 国 議 会 が 取 り組 む べ き問 題 で あ る。 これ らイ ンデ ィ ア ン が 、 何 時 独 立 の 状 態 に あ る こ とを 止 め、 そ の 結 果 、 市 民 権 付 与 に伴 う責 任 を 引受 け るべ きで あ る か を 宣 言 す る権 限 は政 府 の 立 法 部 門 に あ る。 それ は 、 裁 判 所 が 決 定 し得 な い政 治 的 問題 で あ る。 裁 判 所 は、 事 件 を それ が 合 衆 国 議 会 の 立 法 に 従 っ て存 在 す る もの と し
47)
て処 理 し得 るの み で あ る。」 と判 示 して い る。
1871年 にイ ン デ ィ ア ン ・ネ ー シ ョ ン との 正 式 な条 約 関 係 は終 わ りを迎 え た が 、
部 族 、個 人 として の イ ンデ ィア ン(1) 7/
そ れ に も拘 らず 、 部 族 の 存 在 の 認 定 に つ い て の 司 法 の 敬 譲 一 敬 譲 の 法 理 (deferencedoctrine)一 は、 この分 野 に お け る合 衆 国議 会 の権 限 の 広 範 囲 に
4d)
亘 る そ の性 質 と行 使 に よ って い まだ 正 当化 され て い る。 合 衆 国 議 会 が 、 ほ とん どの 部 族 の存 在 を 暗黙 の うち に条 約 、 連 邦 法及 び 協定 に よ っ て承 認 して きた こ と、 連 邦 に よ って 承 認 され た 部 族 の 公 式 な リス トの公 表 を命 じた こ と、 特 定 の 部 族 の 連 邦 承 認 を規 定 した 立 法 を 制 定 した こ と、 行 政 部 が 承 認 決 定 の た め の 手 続 を公 示 した こ とに つ い て は 、既 に述 べ て きた と ころ で あ る。
以 下 、 部 族 の 存 在 を 決 定 す る連 邦 の 権 限 が 争 われ た初 期 の判 例 を瞥 見 して み よ う。
2UnitedStatesv.Holliday
(1)事 実 の概 要 第 一 の 例 と して 、1865年 に合 衆 国 最 高 裁判 所 で 判 決 が 下 さ
49)
れ たUnitedStatesv.Holliday(以 下 、H∂ 〃㎡ の 事 件 判 決 と い う)を 挙 げ る こ と が で き よ う。1834年6月30日 法(4Stat.732.)は 、 イ ン デ ィ ア ン ・カ ン ト リ ー で イ ン デ ィ ア ン に 対 し酒 類 を 販 売 した 者 は500ド ル を 没 収 さ れ る 旨 を 規 定 して い た が 、 同 法 は1862年2月13日 法(12Stat.339.)(以 下 、1862年 法 と い う。)で 改 正 さ れ 、 合 衆 国 に よ っ て 任 命 さ れ た イ ン デ ィ ア ン 監 督 官 又 は イ ン デ ィ ア ン 担 当 官 の 監 督 下 に あ る イ ン デ ィ ア ン に 蒸 留 酒 類(spirituousliquors)を 販 多竈 し た る 者 は 、 合 衆 国 地 方 裁 判 所 で 有 罪 と さ れ 、 罰 金 及 び 懲 役 が 科 さ れ る と さ れ た 。 本 件 は 、1862年 法 に 基 づ き 起 訴 さ れ た 二 つ の 事 件 を 併 合 審 理 し た そ れ で あ る が 、 一 方 の 本 件 被 告 人 ホ リデ ー(Holliday)は 、 ミ シ ガ ン の グ ラ テ ィ オ ッ ト郡(Gratiot County)で 合 衆 国 に よ っ て 任 命 さ れ た イ ン デ ィ ア ン 担 当 官 の 監 督 下 に あ る イ ン デ ィ ア ン で あ る オ テ ィ ブ ス コ(Otibsko)の 一 人 に 酒 類 を 販 売 し た と し て ミ シ ガ ン の 合 衆 国 地 方 裁 判 所 に 正 式 起 訴 さ れ 、 地 方 裁 判 所 か ら 巡 回 裁 判 所 へ の 正 式 起 訴 の 破 棄 差 戻 し(remission)を 認 め る1846年8月8日 法(9Stat.73)に 従 っ て 、 巡 回 裁 判 所 に 移 送 さ れ た 。 答 弁(p且ea)は 、 同 郡 は ミ シ ガ ン 州 の 組 織 化 さ れ た 郡 で あ り、 郡 内 に イ ン デ ィ ア ン保 留 地 は 存 在 せ ず 、 オ テ ィ ブ ス コ は1855年 条 約(後 述)に い う チ ッ ペ ワ ・イ ン デ ィ ア ン(ChippewaIndians)の 一 つ で あ る と主 張
し て い る 。 そ こ で 本 件 で 、 被 告 人 に 対 す る 第 一 審 管 轄 権 が 、1862年 法 の 下 で 巡 回 裁 判 所 に あ る か 否 か が 争 わ れ た 。 合 衆 国 最 高 裁 判 所(ミ ラ ー 判 事 が 法 廷 意 見 を 執 筆 して い る。)は 、 「1789年 裁 判 所 法 」(theJudiciaryActofl789)第12条 が
offences)に 対 し て 、 本 法 が 別 に 定 め る場 合 若 し くは 合 衆 国 の 法 が 別 に 指 示 した 場 合 を 除 い て 、 排 他 的 管 轄 権(exclusivejurisdiction)を 有 し、 及 び 地 方 裁 判 所 に 管 轄 権 が 付 与 さ れ た 犯 罪 に つ い て 当 該 裁 判 所 と の 競 合 管 轄 権(concurrent jurisdiction)を 有 す る。」 と規 定 し て い る こ と を 根 拠 に 、 巡 回 裁 判 所 は1862年 法
の 下 で 本 件 被 告 人 対 す る 第 一 審 管 轄 権 を 有 す る と判 示 して い る 。
(2)判 旨 ミ ラ ー 判 箏 は 、 判 決 の 中 で 、 答 弁 及 び 訴 答(replication)の 中 で 述 べ ら れ た 情 況 下 に あ っ て 本 件 イ ン デ ィ ア ン が1862年 法 に い う イ ン デ ィ ア ン 担 当 官 の 監 督 下 に あ る か 否 か に 関 連 し 、1855年8月2日 条 約 に よ っ て 部 族 は 解 散 さ れ て い る が(筆 者 註:1855年 の ミ シ ガ ン州 の デ トロ イ ト市 で 締 結 され た 「サ ギ ノ ウの チ ッ ペ ワ 等 と の 条 約 」(TreatywiththeChippewasofSaginaw,Etc.,11Stat.
633.)を 指 し、 条 約 第6条 は 「当 該 イ ン デ ィ ア ン の 部 族 組 織 は 、 本 協 定 の 諸 規 定 を実 効 あ ら し め る 目 的 の 為 に 必 要 で あ る場 合 を 除 い て 、 以 後 、 解 散 さ れ る。」 と規 定 して い る。)、当 該 条 約 は 部 族 関 係 が 一 定 の 目 的 の た め に1865年 ま で 継 続 す る こ と を 要 求 し て お り、 こ れ ら 目 的 は 部 族 が イ ン デ ィ ア ン 監 督 官 の 管 理 下 に あ る と い っ た そ れ で あ っ て 、1862年 法 の 当 該 部 族 の 構 成 員 へ の 適 用 を 正 当 化 し て い る 。 事 実 認 定 か ら して 明 ら か に 内 務 省 並 び に イ ン デ ィ ア ン 問 題 局 長 は 、 本 件 条 約 の 諸 規 定 を 実 効 あ ら し め る た め に 部 族 組 織 が 保 存 さ れ る べ き で あ る と決 定 し て き た の で あ る 。 こ の 種 の す べ て の 事 項 に 関 し て 、 政 府 の 執 行 部 及 び そ の 他 の 政 治 部 門 の 行 為 に 従 う こ と が 当 法 廷 の 準 則 で あ り、 こ れ ら 政 治 部 門 こ そ が か か る 衷 項 に 関 し て よ り特 別 の 義 務 を 負 っ て い る の で あ る 。 政 治 部 門 に よ っ て こ れ ら部 族 が
50)
承 認 さ れ る な らば 、 当 法 廷 は 同様 に しな けれ ば な らな い と判 示 して い る。
51)
3TheKansasIndians
(1)事 実 の 概 要1867年 に 判 決 が 下 さ れ た 本 件TheKansasIndians(以 下 、 TheKansasIǹliars事 件 判 決 とい う。)は、カ ンザ ス 州(1861年 、州 に 昇 格 。)が シ ョー ニ ー(Shawnee)、 ウ ェ ー(Wea)及 び マ イ ア ミ(Miami)の 各 部 族 の 個 人 と し て の イ ン デ ィ ア ン が 州 内 に 単 独 保 有 権(severalty)を 有 す る土 地 に 対 して 課 税 権 を 有 す る か 否 か が 争 わ れ た 事 件 で あ る。 合 衆 国 最 高 裁 判 所 は 、 カ ン ザ ス 州 は1854 年 に 各 部 族 と締 結 さ れ た 条 約 に よ っ て 彼 ら部 族 に 発 出 さ れ た 公 有 地 譲 渡 証 轡 の 下 で 部 族 員 に 対 して 課 税 す る 権 利 を 有 さ な い と判 示 し て い る 。
部 族 、 個 人 と して の イ ン デ ィ ア ン(1)
シ ョ ー ニ ー 部 族 の 場 合 、 そ の 歴 史 を 辿 れ ば 、1817年 当 時 、 部 族 の 一 部 は ミ ズ ー リ に 、 他 の 一 部 は オ ハ イ オ に 居 住 し て い た が 、 合 衆 国 に よ っ て 与 え ら れ た ニヒ地 に 住 ん で お り、 条 約 に よ っ て ミズ ー リ の シ ョ ー ニ ー は 彼 ら の 土 地 が イ ン デ ィ ア ン の 土 地 で あ る 限 り、 課 税 さ れ な い と宣 言 さ れ て い た(7Stat.166)。1825年11 月7日 、 ミズ ー リの シ ョ ー ニ ー は 、 「シ ョ ー ニ ー との 条 約 」(theTreatywiththe Shawnees,7Stat.284)に よ っ て 自 分 た ち の 土 地 を 合 衆 国 に 譲 渡 し 、 そ の 見 返
り と して 並 び に オ ハ イ オ の 同 胞 が 彼 ら に 続 くで あ ろ う と し て 、 カ ン ザ ス に50,000 平 方 マ イ ル 若 し く は1,600,000エ ー カ ー の 荒 蕪 の 土 地 を 受 取 っ た の で あ る 。1830 年5月28日 に 合 衆 国 議 会 に よ っ て 制 定 さ れ た 法 律(4Stat.411)に よ っ て オ ハ イ
オ ・シ ョ ー ニ ー は 、 オ ハ イ オ の 彼 ら の 土 地 を 譲 渡 した が 、 こ の 法 律 に よ っ て 移 動 さ せ ら れ た カ ン ト リ ー が 彼 ら と相 続 人 に 永 久 に 保 障 さ れ 且 つ 保 護 さ れ る と さ れ た 。1831年 、 オ ハ イ オ の シ ョ ー ニ ー は 、 カ ン ザ ス に 去 っ て い た ミ ズ ー リ の 同 胞 に 合 流 す る こ と を 決 議 し 、 そ の 年 の8月8日 、 合 衆 国 と オ ハ イ オ の ワ イ ア ン ド ッ ト、 セ ネ カ 及 び シ ョ ー ニ ー と の 条 約 が 締 結 さ れ(7Stat.355)、 大 統 領 は オ ハ イ オ か ら や っ て 来 た 部 族 に イ ン デ ィ ア ン の 他 の 部 族 、 ネ ー シ ョ ン若 し くは あ ら ゆ る 人 間 か らの 妨 害 又 は 侵 害 か ら彼 ら の 居 住 地 を 保 護 し、 移 住 後 に カ ン ト リ ー 内 に 居 住 す る 彼 ら に 保 護 と 監 督 を 行 う こ と を 約 し た の で あ っ た 。 上 で 述 べ た 50,000平 方 マ イ ル の う ち100,000エ ー カ ー の 土 地 は 、 彼 らが ネ ー シ ョ ン と し て 存 在 す る 限 り公 有 地 譲 渡 証 書 に よ っ て 無 条 件 相 続 地 と し て 認 め ら れ 、 こ れ ら の 土 地 は 合 衆 国 に 対 す る 場 合 を 除 い て 譲 渡 で き な い も の と さ れ 、 如 何 な る 州 又 は 準 州 の 領 土 に 含 ま れ ず 、 州 又 は 準 州 の 法 律 に 服 さ な い と さ れ た 。
オ ハ イ オ ・シ ョ ー ニ ー の カ ン ザ ス へ の 移 住 は 、1854年 ま で 継 続 的 に 行 わ れ た が 、 こ の 間 、 多 数 の 白 人 が 周 辺 部 で 生 活 を 営 む よ う に な り 、 シ ョ ー ニ ー が 白 人 に 取 り 囲 ま れ る と い う 状 況 を 来 して い た 。1854年5月 、 カ ン ザ ス は 、 合 衆 国 議 会 が 定 め た 基 本 法(organiclaw)を も つ 合 衆 国 の 準 州 に な り、同 法 に よ っ て 「〔準 州 内 の 〕 テ リ ト リー に 居 住 す る イ ン デ ィ ア ン 部 族 と合 衆 国 政 府 と の 間 の 全 て の 条 約 、 法 律 及 び そ の 他 の 協 定 は 、 誠 実 且 つ 厳 粛 に 遵 守 さ れ な け れ ば な ら な い 。」、
「イ ン デ ィ ア ン 部 族 と の 条 約 に よ っ て 如 何 な る 州 又 は 準 州 の 領 土 内 若 し く は 管 轄 権 内 に 入 ら な い と さ れ た 〔全 て の 〕 テ リ ト リー は 、 〔州 又 は 準 州 の 〕 境 界 線 か ら 排 除 さ れ 、 及 び 当 該 部 族 が 州 又 は 準 州 に 包 括 さ れ る と す る 合 衆 国 大 統 領 に 対 す
さ れ た 。 共 有 分 割(partition)は 構 成 員 の 間 で 為 さ れ て は い な か っ た が 、200エ ー カ ー 分 を 構 成 員 の 間 で 分 割 し よ う と提 案 して い た 彼 ら は 、1854年5月10日 に 締 結 さ れ た 「シ ョ ー ニ ー と の 条 約 」(theTreatywiththeShawnees,10Stat.
1053)に よ っ て 、1825年 に 承 認 さ れ た1,600,000エ ー カ ー の 土 地 全 体 を 合 衆 国 に 譲 渡 した 。 条 約 の 中 で 、200,000エ ー カ ー の 土 地 の 返 還 が 、 こ れ ら の 返 還 さ れ る 土 地 に 個 人 に よ る土 地 の 改 良 が 行 わ れ て き た 土 地 を 含 む こ と及 び 彼 ら の 権 原 に 従 前 に 付 加 さ れ た 制 約 が 合 衆 国 議 会 が 為 し得 る 譲 渡 権 限 に 関 す る も の で あ る こ と を 条 件 に 実 行 さ れ た 。 条 約 の 一 箇 条 に は 、 「合 衆 国 の 保 護 と監 督 が 実 施 さ れ 、 イ ン デ ィ ア ン は 合 衆 国 の 法 律 に 従 う こ と に 同 意 し 、 保 護 さ れ る こ と を 期 待 し並 び に イ ン デ ィ ア ン よ っ て 主 張 さ れ た 諸 権 利 を 有 す る も の と す る 」 と規 定 さ れ て い る 。 ま た 、 合 衆 国 に 対 す る譲 渡 の 見 返 り と し て 総 額 で829,000ド ル が 、 シ ョ ー ニ ー ・イ ン デ ィ ア ン に 支 払 わ れ る こ と が 約 定 さ れ て い る 。 こ の 再 譲 渡 さ れ 又 は 保 留 さ れ た200エ ー カ ー の 土 地 か ら 、 自 ら の 土 地 を 共 有 す る こ と に な っ た バ ン ド
の 場 合 を 除 い て 、 個 々 人 に 選 択 さ れ る こ と に な り、 個 人 に 割 当 て られ た 土 地 は 、 合 衆 国u会 に よ る 制 約 若 し く は 内 務 長 官 が 課 し得 る制 約 の 下 で 公 有 地 譲 渡 証 書 に よ り譲 渡 さ れ た 。 当 該 土 地 に は 、 内 務 長 官 の 同 意 無 く し て 譲 受 人 若 し く は そ の 法 定 相 続 人 に よ っ て 売 却 又 は 譲 渡 さ れ 得 な い との 制 限 が 加 え られ て い た(こ の 時 期 、1829年 に 大 統 領 に 就 任 した ジ ャ ク ソ ン(AndrewJackson,1767‑1845)は 、 1830年 、 先 住 民 の 多 くを ミ シ シ ッ ピ川 の 西 に確 保 す る オ ク ラ ホ マ に強 制 移 住 さ せ る法 案 を提 出 し、 議 会 の 承 認 を得 て い る。 彼 が 大 統 領 在 職 中 に 先 住 民 と の 間 に 締 結 した 条 約 は70近 く に上 り、 移 住 条 約 に 基 づ い て 合 衆 国 が 取 得 した 土 地 は 、 アパ ラ チ ア 山 脈 か ら ミ シ シ ッ ピ川 ま で お よ そ100,000,000エ ー カ ー に も達 す る と言 わ れ て い る。な お 、1954 年5月 に は 、 上 で 述 べ た よ う に 、 カ ンザ ス=ネ ブ ラ ス カ 法 が 成 立 して い る)。
1861年1月29日 、 合 衆 国 議 会 に よ っ て 州 の 連 邦 加 入 を 認 め る 法 律 が 可 決 さ れ た が(14Stat.lll)、 当 該 法 律 に は 以 下 の こ とが 規 定 さ れ て い た 。 す な わ ち 、 「前 記 州 の 境 界 線 に 関 す る こ の 前 記 憲 法 の 如 何 な る 規 定 も 、 当 該 権 利 が 当 該 テ リ ト
リ ー の イ ン デ ィ ア ン と の 条 約 に よ っ て 失 効 さ せ ら れ な い 限 り、 当 該 イ ン デ ィ ア ン に 現 在 関 係 す る 人 身 若 し く は 財 産 の 権 利 を 減 ず る も の と解 釈 さ れ て は な ら な い 。」 と さ れ 、 ま た 「当 該 イ ン デ ィ ア ン部 族 と の 条 約 に よ っ て 如 何 な る 州 若 し く
部 族 、 個人 と して の イ ンデ ィア ン(1) 75 は準 州 の領 土 の 境 界 内 又 は 管 轄 権 内 に含 ま らな い とさ れ た(当 該部族 が 同意 した 場合 を除 く)全 て の テ リ トリー は 、 含 まれ な い もの とさ れ る。 か か る テ リ トリー の 全 て は 、 上 記 部 族 が 上 記 州 に含 まれ るべ きだ との 彼 らの 同 意 を合 衆 国 大 統 領 に表 明 す る ま で は カ ンザ ス 州 の 境 界 線 か ら除 外 され 且 つ カ ンザ ス 州 の一 部 を構 成 しな い。」 と規 定 さ れ て い た 。 しか し、 か か る 同意 が 部 族 に よ って 与 え られ て 条 約 は 、 部 族 に よ って 締 結 され て は お らず 、 ま た正 式 記 録 か ら も大 統 領 に対 す る 同意 は 示 さ れ て は い な い 。
(2)判 旨 法 廷 意 見 を執 筆 した デ ー ヴ ィ ス判 事 は 、 本 件 の 解 決 は ひ と え に条 約 、 イ ン デ ィ ア ン部 族 と政 府 との 関係 及 び 合 衆 国議 会 法 の解 釈 にか か って い る
と し、 中 で も部 族 との 間 に 締 結 さ れ た条 約 史 を み る必 要 が あ る と し、 歴 史 を か な り詳 細 に検 討 した 結 果 、 カ ンザ ス 州 の シ ョー ニ ー に対 す る課 税 権 を 否 定 して い る。1831年 条 約 を再 確 認 した1854年 条 約 に よ る部 族 を保 護 す る との 公 約 は 、 政 府 は部 族 の一 部 か ら政 府 の 保 護 を撤 回 す る こ と を意 図 した とい う考 え を排 除 す る もの で あ る(他 の諸 条約 の すべ てに おいて も同様 に解 され る。)。しか し、1831 年 条 約 に 謳 わ れ た保 護 を州 の課 税 か ら全 部 族 の 財 産 を護 るた め に1854年 条 約 に 引 き 入 れ る必 要 は な い。 シ ョー ニ ー の 部 族 組 織 が 完 全 に保 護 され 、政 府 の政 治 部 門 に よっ て 存 在 す る もの と して承 認 され て い る(recognizedasexisting)と す る な らば 、 「他 か ら区別 され た 人 民 」 で あ り、条 約 を 締 結 す る権 能 を有 し、 カ
ンザ ス の 管 轄 権 か ら分 離 され る の で あ って 、 そ して 連 邦 政 府 に よ っ て 排 他 的 に 統 治 され るべ きで あ る。 シ ョー ニ ー が 多 くの こ と を失 っ て きて い る とす るな ら ば 、彼 ら は合 衆 国 憲 法 、諸 条 約 及 び合 衆 国 議 会 の 諸 法 律 に よ っ て与 え られ た保 護 を 失 っ て は い な い の で あ る。 カ ンザ ス の 文 明 人 の 面 前 で シ ョー ニ ー は、 もは や 異 な っ た人 民(distinctpeople)と して存 在 し得 な いか も しれ な い が 、彼 らが 諸 権 利 を与 え られ 市 民 と して の す べ て の 義 務 に 拘 束 さ れ る まで は 、 州 の 課 税 か
52)
らの 相 対 的 な 免 除 の特 権 を享 有 す るの で あ る。
59) 4ChippewaIndiansofMinnesotav.UnitedStates
(1)衷 実 の 概 要 合 衆 国 は 、1889年1月14日 制 定 の 「ミネ ソ タ の チ ッ ペ ワ ・ イ ン デ ィ ア ン の 救 済 及 び 開 化 の 為 の 法 律 」(25Stat.642)で 、 ミ ネ ソ タ 州 に 居 住
し て い た チ ッ ペ ワ ・イ ン デ ィ ア ン の 保 留 地(ホ ワ イ ト ・ア ー ス と レ ッ ド ・レイ ク保 留 地(WhiteEarthandRedLakeReservation)を 除 く)の 合 衆 国 へ の 土 地 譲