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有機表面修飾酸化コバルト粒子の水熱合成

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Academic year: 2021

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(1)

山本 直美, 1

B–25

高温高圧条件下における

有機表面修飾酸化コバルト粒子の水熱合成

Hydrothermal synthesis of organic surface-modified cobalt oxides under high temperature and pressure condition

応用化学専攻 山本 直美 YAMAMOTO Naomi

緒言

有機

無機ハイブリッドナノ粒子は無機ナノ粒子の 表面に有機分子を賦与したもので、無機材料の機能 と有機分子の溶媒への分散性などの性質を併せ持 つため、盛んに研究されている。このような有機表面 修飾ナノ粒子の簡便かつ迅速な合成法として、超臨 界水(水の臨界点:374 °C、22.1 MPa)を利用した

in-situ

表面修飾法が提案されている

1)

水の比誘電率は温度上昇に従い低下し、臨界点 近傍ではアセトンなどの有機溶媒と同程度になる。こ の水の性質の変化によって、常温で溶解している金 属イオンは昇温とともに過飽和となり、金属酸化物結 晶として析出する。一方、常温で非水溶性の有機分 子は昇温に従い媒体中に溶解していく。金属酸化物 の結晶面と溶解した有機分子がその場で相互作用 することで表面修飾された金属酸化物が得られ、同 時に粒子径や形状が制御される。

これまで、in-situ 表面修飾法により様々な金属酸 化物ナノ粒子が合成されているが、酸化コバルト

(CoO)の合成には成功していない。本研究では、回 分式及び流通式反応により

CoO

粒子の選択的合成 を試み、反応様式の違いが生成物の結晶相や結晶 子径に与える影響を調べた。

1. 実験

回分式実験では

Co(OH)2

(0.5 mmol)、クエン酸

(0.5 mmol)、蒸留水(5 mL)を高温高圧用反応器に 入れ、電気炉を用いて、400 °C で

30

分間反応を行 った。水浴につけて反応を停止させ、生成物を回収 した。

流 通 式 実 験 で は 、 常 温 の 前 駆 体 水 溶 液

Co(OH)2

ク エ ン 酸 混 合 水 溶 液 (

0.03 M

) ) を

2 mL/min

で、蒸留水を

10 mL/min

でそれぞれ送液し た。蒸留水は事前にヒーターで

400 °C

に加熱され、

背圧弁によって反応管内の圧力は

24 MPa

に制御さ れた。前駆体水溶液と超臨界水を混合部で反応させ た(Fig. 1)。冷却水で急冷し反応を停止させ、生成 物を回収した。

それぞれの反応様式で得られた生成物は、水及 びエタノールで洗浄し、乾燥後

XRD、STEM、FT-IR

により評価した。

2. 結果及び考察

XRD

より、クエン酸を添加し合成した生成物は、反 応様式によらず、単相の岩塩型

CoO

であった(Fig.

2)。回分式反応において、クエン酸を添加しなかっ

た場合、CoO と

Co3O4

の混合物が得られた。従って、

クエン酸の添加には、結晶相と

Co

イオンの価数を制 御する効果があった。XRD パターンの線幅から結晶 子径を算出すると、回分式で合成したクエン酸添加

Fig. 1. 流通式実験装置図(P:圧力計、T:温度計)

P 前駆体水溶液

2 mL/min

蒸留水 10 mL/min T2

T3 T4 T5

T1 混合部

冷却水

ポンプ1 ポンプ2

フィルター

ヒーター

流通排出液 背圧弁

反応部

(2)

山本 直美, 2

生成物は

61.8 nm

であり、流通式でのそれは

40.6 nm

であった。反応様式の違いによる結晶子径変化が確 認された。

STEM

観察により生成物の形状を確認した(

Fig.

3)。未修飾生成物は長さ100 nm、幅20–30 nm

程度 の棒状の粒子であった。回分式クエン酸添加生成物

は粒子径

5–1000 nm

程度の幅広い分布を持つ粒子

であった。流通式クエン酸添加生成物は

20–100 nm

程度の粒子が集合している様子が確認でき、一次粒 子の平均粒子径は

40.1 nm

であった。生成物の粒度 分布を狭くするためには、金属イオンの過飽和度を より大きくし、急激に反応を進行及び停止させること が重要である

2)

。流通式は、回分式と比較し昇温速 度が速く、さらに生成した

CoO

粒子は迅速に系外へ 排出されるため、生成物の粒度分布が回分式よりも 狭くなったと考えられる。これまでの結果より、クエン 酸添加によって生成物の結晶相と

Co

イオンの価数 が制御されたことから、クエン酸と

CoO

結晶との相互 作用が示唆される。

FT-IR

測定から未修飾生成物は

577、670 cm–1

Co3O4

スピネル型結晶の

Co–O

バンドが、3300 cm

–1

付近に表面に吸着した水に帰属されるバンドがそれ ぞれ観測された(Fig. 4)。反応様式によらずクエン酸 を添加し合成した生成物は、400-500 cm

–1

CoO

岩 塩型結晶の

Co–O

バンドが、1550、1385 cm

–1

には、

クエン酸に由来するカルボキシレートアニオンのバン ドがそれぞれ観測された。従って、CoO 粒子表面の

Co

イオンにクエン酸が化学結合していることが示唆 される。

流通式クエン酸添加生成物について

CoO

結晶表 面への単位面積当たりのクエン酸結合量を熱重量分 析及び

SEM

観察により算出した平均粒子径から見 積もったところ

1.2

分子/nm

2

となった。

3. 結言

超臨界水を用いたクエン酸修飾

CoO

粒子の水熱 合成に成功した。反応時にクエン酸を添加することで 回分式、流通式いずれの反応様式でも生成物の結 晶相を

CoO

単相に制御できた。流通式での合成に より、回分式合成と比較して、粒度分布の狭い粒子 が得られた。反応時に添加したクエン酸は反応様式 によらず

CoO

結晶表面に化学結合していた。

参考文献

1) T. Adschiri et al., Chem. Lett, 2007, 36, 1188.

2) H. Wakayama (Ed.), Materials chemistry in supercritical fluids, 2005, Research signpost, pp.

79-97.

Fig. 2. 生成物の XRD パターン.

0 1 2 3 4 5 6

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 I/Imax

2θ / degree

流通 クエン酸 回分 クエン酸 回分 未修飾 市販 Co(OH)2 Simulation CoO Simulation Co3O4

111 002 022

022 113 222 004 224 115 044

111

Fig. 3. 生成物の SEM 及び TEM 画像 回分 未修飾

100 nm 回分 クエン酸

500 nm

回分 クエン酸

100 nm 流通 クエン酸

500 nm

Fig. 4. 生成物の FT-IR スペクトル.

400 1000 1600 2200 2800

3400 4000

Absorbance/ a.u.

Wavenumber / cm-1 流通 クエン酸

回分 クエン酸 回分 未修飾 市販 Co(OH)2 市販 CoO 市販 Co3O4

Fig. 3.  生成物の SEM 及び TEM 画像 回分 未修飾100 nm回分 クエン酸500 nm 回分 クエン酸 100 nm流通 クエン酸500 nm Fig

参照

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