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大学生の食生活の実態に関する一考察

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大学生の食生活の実態に関する一考察

沼 田 貴美子・高 木 麻 衣**

A Study on Actual Dietary Life of University Students Kimiko N UMATA and Mai T AKAKI

はじめに

一般に日常の食事では,各人の嗜好や心身の状態 及び食物への安全・安心意識などの価値観に適合し た食べ物を整えることで食生活をより質の高い充実 したものにできる1).食生活の改善意識の調査報告

(国民健康・栄養の現状2))によると,食品の選択・

購入や食事のバランスを整えるのに困らない知識や 技術を身につけることを改善したいとする回答は約 51%,すでに身につけてできているとの回答は約 32%であった.改善したい意向が高いことは,食生 活の様式や価値観の多様化などにより食の外部化が 進み調理済み食品などの利活用による中食及び外食 で手軽に食事ができる現代においても食事作りへの 関心・意欲があることを示しており,調理を通して 食生活3)をより豊かなものにしたいと考えていると いえよう.

平成20年8月に告示された小学校学習指導要領解 説家庭編4)では,中学校技術・家庭科の内容との系 統性や連続性を重視し,生涯にわたる家庭生活の基 盤となる能力と実践的な態度を育成する観点から,

『⑷ 食事への関心

簡単な調理』から『B 日 常の食事と調理の基礎』へ内容項目については改善 を図っている.生活や学習の基盤となる食育推進の ため,食事の役割や栄養を考えた食事のとり方,調 理などの学習活動を一層重視し,食生活に関する内 容の充実が図られている.調理に関する基礎的・基 本的な知識及び技能を身につけることは,生涯にわ たって健康で安全な食生活を営むための生きる力に つながる.子ども達にその知識や技能を身につけさ せるために小・中・高等学校の家庭科教員の役割は 大きいといえる.

先に,小学校家庭科の教科書の家族の生活,消費 生活,食生活,衣生活,住生活,地域,福祉,環境 など生活全般の学習項目に対する教員養成系の大学

生の指導観について研究した結果,生活をより向上 させるための実践的な態度と豊かな心情を育成する 必要性が示された.

本報では,大学生が日常の食生活に関係する行為 をどの程度実践しているのか,心身ともに健康で安 全な食生活のための食品の選択や購入や食事づくり などに対してどの程度の難易感を抱いているのか,

食生活行為に関連した調査項目を設定し詳細に調査 分析した.本調査の結果から大学生の食生活の実態 や意識を明らかにするとともに大学生への食生活教 育の手立てを得ることを目的に研究を行った.

教科書の内容調査

調査票の調査項目の設定のために,小学校の家庭 科教科書(開隆堂出版株式会社5)と東京書籍株式会 6))の調理や食生活に関係ある項目,及び小学校 学習指導要領解説家庭編の家庭科改善の趣旨,家庭 科の目標や内容について調べ,食生活関連の内容を 分類整理し調査項目を決定した.調査項目の設定の 参考にするために中学校と高等学校の教科書につい ても内容を調査した.

調査項目の選定

実践度の調査項目には,小学校家庭科の教科書の 調理の内容,炊飯器での炊飯やポットで湯を沸かす ことなど普段の生活で行なわれる具体的な行為も取 り上げて実態を把握できるようにした.ここでの調 理は,食事計画,献立作成,食品素材の選択,購入,

食材の準備,種々の調理操作を経て,食事構成,盛 り付け,配膳に至るまでの食事を整えるための食生 活行動すべてを網羅した広義の調理1)を意味する.

調査項目の内容としては,米飯の調理に関する行 為,みそ汁の調理に関する行為,サンドイッチの調 理に関する行為,卵の調理に関する行為など具体的 な調理に関する項目.非加熱調理操作の食材の切 断・成形に関する項目,調理操作のろ過・抽出に関 する項目,湯を沸かす行為に関する項目,計量に関

熊本大学教育学部

** 熊本大学教育学部卒業生

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する項目,食材を炒める・ゆでる・煮る・焼くなど の加熱調理操作に関する項目,調理や後片付けの処 理など調理と環境に関する行為,食材の選択と購入 に関する行為,食事の摂取に関する項目,食器・調 理器具の洗浄に関する行為の分類項目数13項目の調 査小項目数46項目を設定した.実践度について調査 した調査項目の一覧を表1-1,表1-2に示した.

各調査項目の実践度は頻度別に「毎日」「週に1〜

2回」「月に1〜2回」「ほとんどしない」の4段階 を設定し該当するものを1つ回答させた.

難易度の調査項目は,教科書に記述された具体的 な調理方法,挿絵で紹介されている項目,発展とし て扱われている項目のすべてを選定し,調理を実際 に行うときに感じる難しさの度合いについて調査し た.難易度の調査項目は実践度の調査項目及び小学

校家庭科教科書の食材の選択と保存に関する項目と 食事のマナーに関する項目なども追加選定し分類項 目数15項目の調査小項目数61項目を設定した.難易 度の度合いは,「易しい」「やや難しい」「難しい」の 3段階を設定し1つ回答させた.

指導力の程度の調査は,教科書の指導内容に基づ いた調理を小学生に指導する力がどの程度あると認 識しているのか自己評価による指導力の程度につい て調査した.指導力の程度の調査項目は上記の調理 に対する難易度の調査項目と同様であった.難易度 と指導力に関して調査した全項目の一覧を表2-1,

表2-2に示した.

調査対象者の多くは大学2年生であり,調査実施 時には小学生への指導経験がほとんどない状態で あったため現時点での自己評価で該当する指導力の

表1-1 実践度に関する調査項目

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程度を回答させた.指導力の程度は,「できる」「少 しできる」「できない」の3段階を設定し1つ回答さ せた.

調査対象・調査時期

調査は,熊本市内の教員養成系の大学生を対象に 質問紙調査法による一斉調査を2010年10月下旬に実 施した.調査票は学生に直接配布し調査の趣旨を説 明した後記入させ回収した.調査票の配布数・回収 数は108票(回収率100%)で,そのうち有効回答票 数は106票(有効回答率98.1%)であった.その結果,

調査対象者は106名(男子47名(44.3%),女子59名

(55.7%))であった.調査対象者の居住形態別につ いては,家族と同居が53名(男子19名(35.8%)・女

子34名(64.2%)),一人暮らし他が53名(男子28名

(52.8%)・女子25名(47.2%))であった.調査結果 は,単純集計,クロス集計,分散分析(二元配置),

相関係数にて分析を行った.

結果及び考察

実践度

実践度を4段階の「毎日」「週に1〜2回」「月に 1〜2回」「ほとんどしない」で回答させた結果を図 1に示した.「毎日」で最も回答が多かった項目は,

「調理や食事で出たゴミを分別する(40%)」であっ た.20%以上の回答があった項目は,「調理で使用 表1-2 実践度に関する調査項目

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表2-1 難易度と指導力に関する調査項目

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した鍋類や食器を洗う」「調理に使う材料を包丁で 切る」「(調理する時は)食べ残さず,生ごみになら ないよう適切量を調理する」であった.一方「ほと んどしない」で80%以上の回答があった項目は,「ス ポンジケーキを焼く」「クッキーを焼く」「煮干しで だしをとる」「みそを計量スプーンの大さじで量る」

「皮ごと食べられる食材を選択する」「エコクッキン グをする」であった.70%台の回答があった項目は,

「ゆで卵をはさんだサンドイッチを作る」「きゅうり やトマトをはさんだサンドイッチを作る」「包装材 の廃棄が少ない食材を選択する」「塩を計量スプー ンの小さじで量る」などであった.クッキーなどの 菓子はプレゼントやイベントで作るもので実践の機 会は少なかった.教科書に詳細に記載されている計 量スプーンで量る操作はほとんど実践されていな かった.

表2-2 難易度と指導力に関する調査項目

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図1 実践度

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上記のような結果から,実態をより把握しやすく するために大学生の食生活行動の実状を考慮し,「毎 日」と「週に1〜2回」を合わせて「する」に,「月 に1〜2回」と「ほとんどしない」を「しない」の 2段階に集約し,実践度を再分析した.「する」との 回答が50%以上であった項目は,「調理で使用した 鍋類や食器を洗う」「米を炊飯器で炊飯する」「調理 や食事で出たゴミを分別する」「米を洗い,分量の水 に浸漬する」「調理に使う材料を包丁で切る」「ガス こんろで湯を沸かす」「食材量を購入する」であった.

「する」との回答が30%台であった項目は,「(調理す る時は)食べ残さず,生ごみにならないよう適切量 を調理する」「食事バランスを考えて食事をとる」「肉 を炒める」「栄養バランスを考えて調理する」「買い 物に行くときは買い物袋を持参する」「フライパン や食器の油汚れをゴムべらや紙でふき取る」などで あった.比較的に実践度が高い項目は,食品の購入,

炊飯,鍋類や食器の洗浄,ゴミの分別,湯を沸かす ことなど日々必要とされる操作が多いことが分かっ た.一方「しない」との回答が80%以上であった項 目は25項目みられ,「スポンジケーキを焼く」「りん ごの皮を包丁でむく」「魚を煮る」「みそを計量スプー ンの大さじで量る」「煮干しでだしをとる」「包装材 の廃棄が少ない食材を選択する」「皮ごと食べられ る食材を選択する」「じゃがいもの皮を包丁でむく」

などであった.50%台の項目は,「みそ汁を作る」「い りたまごを作る」などであった.日常の食事づくり の調理操作の焼く,むく,ゆでる,切る,炒めるな どの実践度が低い傾向にあることが分かった.

調査項目を分類した表1に示した13の分類項目ご とでは,「サンドイッチの調理に関する行為」「非加 熱調理操作(切断・成形)」「加熱調理操作(炒める,

ゆでる,煮る,焼く)」において,「しない」が有意

(p<0.01)に多かった.「みそ汁の調理に関する行為」

「調理操作(ろ過・抽出)」「調理と環境に関する行為」

「食材の選択と購入」においては,「しない」が有意

(p<0.05)に多かった.「非加熱調理操作(切断・成 形)」では,「調理に使う材料を包丁で切る」を,実 践するとの回答が59%であったことから,食材を特 定することはできないが何らかの食材の切断をして いることが分かった.食材の切断や成形の操作は調 理の基本的な技能で,家庭での実践を通して知識や 技能を定着できるように包丁の扱いに慣れ使用する 機会を増やすように促す必要性を感じた.「調理と 環境に関する行為」の「包装材の廃棄が少ない食材 を選択する」「皮ごと食べられる食材を選択する」は 85%以上が実践していなかった.小学校家庭科では 持続可能な社会の構築など社会の変化に対応し環境

に配慮したモノの活用など主体的に生きる消費者を はぐくむ学習活動を行うこととしている.それゆえ 生活主体者として調理の実践を通した環境配慮の意 識を高めていく必要があると考える.

居住形態別の実践度の比較では,「加熱調理操作」

と「米を洗い,分量の水に浸漬する」「米を炊飯器で 炊飯する」の炊飯の操作では,一人暮らしの学生の 実践度が有意に高かった.家族と同居している学生 に比べて一人暮らしの学生は,炊飯操作や加熱調理 操作をすることは食事を摂る上で必須であるから他 の調理操作に比べよく実践していた.その他の分類 した項目では居住形態による有意な差はみられな かった.

難易度

調理の難易度を3段階の「易しい」「やや難しい」

「難しい」別に分析した結果を図2に示した.「難し い」との回答が30%以上であった項目は,「米粉でだ んごを作る」「栄養バランスを考えて調理する」「缶 詰めの品質表示で鮮度を判別する」などであった.

20%台であった項目は,「粉ふきいもを作る」「みそ 汁を作る」「ハムの品質表示で安全性を判別する」

「じゃがいもの皮を包丁でむく」などであった.最 も高い割合を示した「米粉でだんごを作る(53%)」

は教科書の指導内容には掲載されてないが,米粉は 我が国の自給率向上への取り組みで注目されている.

調査時には米粉製品が十分に普及していなくて学生 のほとんどが米粉製品を味わうことや米粉の調理を した経験が少なかったことで米粉の調理を難しく捉 えていたと思われる.「白玉粉でだんごを作る」を

「難しい」と感じているのは25%で米粉より白玉粉 のほうが学生には身近で調理しやすいようであった.

今後は米粉の特性や米粉を使った調理実習を行うな どの取り組みも必要であると考える.一方「易しい」

との回答が80%以上であった項目は,「米を炊飯器 で炊飯する」「米をとぐ」「目玉焼きを作る」「ゆでた まごを作る」「市販のだしの素でだしをとる」などで あった.60%台であった項目は,「ピーマンをせん 切りにする」「キャベツをたんざく切りにする」「ね ぎを小口切りにする」「指先を丸めて材料を押さえ,

包丁にそわせて切る」などであった.米や卵など大 学生にとって身近であると考えられる食材の調理や 食材の切断に関しては易しいと感じている傾向に あった.

さらに,難易度の「やや難しい」と「難しい」を 合わせて「難しい」とし,「易しい」と「難しい」の 2段階で再分析した結果について述べる.「難しい」

と70%以上が回答したのは,「米粉でだんごを作る」

「栄養バランスを考えて調理する」「みそ汁を作る」

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図2 難易度

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「食事バランスを考えて食事をとる」「缶詰めの品質 表示で鮮度を判別する」などであった.50%台は,

「こんぶでだしをとる」「かつおぶしでだしをとる」

「フレンチソースを作る」などであった.3段階の 難易度が高い回答であった「米粉でだんごを作る」

「栄養バランスを考えて調理する」「缶詰めの品質表 示で鮮度を判別する」などは,2段階での分析でも 難しいと感じていた.「みそ汁を作る」「食事バラン スを考えて食事をとる」などは,難易度を2段階に 集約すると「難しい」と感じている学生の割合が増 えた.

調査項目の分類項目15の項目ごと(表2)では,

「米飯の調理に関する行為」は「易しい」が有意(p

<0.01)に多く,「サンドイッチの調理に関する行為」

「卵の調理に関する行為」「非加熱調理操作(切断・

成形)」「調理と環境に関する行為」「非加熱調理操作

(洗浄・浸漬)」「食器・調理器具の洗浄」でも「易し い」が有意(p<0.05)に多かった.調理操作を具体 的にイメージしやすいものは,「易しい」と捉えてい ると考えられる.「非加熱調理操作」の切断操作に 関しては8割程度が「易しい」としていたが,じゃ がいもやりんごの皮をむく成形操作は6〜7割程度 が「難しい」と回答し,成形操作を切断操作に比べ 難しく感じていた.皮をむく操作は包丁の刃が左手 の方向を向いており,左手で食品を回し右手で包丁 を皮にそわせながら両手で食品を回すタイミングで むく操作をすること,包丁の刃を下におろす切断操 作に比べ包丁への恐れを強く感じ難しいとしている ものと思われる.また,包丁を使って皮をむく成形 操作でも,じゃがいもとりんごではじゃがいもの皮 をむく方が「難しい」と回答した割合が高く,皮を むく食品の大きさや形状,皮や食品のかたさによっ ても難易度が変わることが分かった.「調理操作(混 合)」の「フレンチソースを作る」は7割程度の学生 が「難しい」と回答した.フレンチソースは材料の 計量と混合の簡単な操作でできるが,家庭でわざわ ざフレンチソースを作らなくても好みに合った市販 品を利用することが多くなり,小学校の教科書にフ レンチソースの作り方は掲載されているが,「フレ ンチソース」という言葉に馴染みがないことや材料 や作り方を知らないことから「難しい」と回答した と思われる.難易度においては「易しい」とする調 理操作と「難しい」とする調理操作の2傾向がある ことが明らかになった.大学生に調理の正しい調理 操作の手順やコツなどを詳細に指導し難易感の軽減 につなげていく必要があると考える.

指導力

大学生の指導力の程度の結果を図3に示した.指

導「できない」との回答が40%以上であった項目は,

「みそ汁を作る」「粉ふきいもを作る」「缶詰めの品質 表示で鮮度を判別する」「ハムの品質表示で安全性 を判別する」などで食品の選択と保存」に属する項 目が多くみられた.20%台の項目は,「食品を適切 な条件で保存する」「かつおぶしでだしをとる」「こ んぶでだしをとる」「じゃがいもの皮を包丁でむく」

などであった.指導「できる」との回答が70%以上 であった項目は,「米を炊飯器で炊飯する」「目玉焼 きを作る」「米をとぐ」「米を水に浸す」「いりたまご を作る」などであった.60%台の項目は,「ピーマン をせん切りにする」「にんじんをせん切りにする」「だ いこんをいちょう切りにする」などであった.「米 飯の調理に関する行為」「卵の調理に関する行為」「非 加熱調理操作(切断)」は「できる」と多く回答して いた.

以上の結果から,分類項目ごとでみると米飯,卵,

野菜などの身近な食材の調理を小学生に指導するこ とは「できる」と判断していた.食材の品質表示の 安全性や鮮度を判断すること,食事バランスを考え た食事のとり方などについては,小学生に教えるこ とが「できない」としていた.指導力の程度に関す る調査項目中「できない」との回答の割合が高い項 目は難易度調査でも難しいとの回答が高い傾向で あった.

実践度と難易度の関係

実践度と難易度の両者に関連した調査項目34項目 の関係について,実践度を「する」と「しない」の 2段階,難易度を「易しい」と「難しい」の2段階 としてデータを組み合わせて集計・類型化し,「す る・易しい」「する・難しい」「しない・易しい」「し ない・難しい」の4パターンについて分析した.そ の結果を図4に示した.

「する・易しい」で50%以上の高い回答率の項目は,

「米をとぐ(58%)」「米を水に浸す(58%)」「米を炊 飯器で炊飯する(64%)」「調理で使用した鍋類や食 器類を洗う(67%)」であった.次いで40%台が「調 理や食事で出たゴミを分別する(48%)」「調理に使 う材料を包丁で切る(42%)」であった.「する・易 しい」は,「米飯の調理に関する行為」「卵の調理に 関する行為」「非加熱調理操作(切断・成形)」「加熱 調理操作(ゆでる,炒める,煮る)」「調理操作(計 量)」では正の強い相関関係がみられ,これらの分類 項目に関しては,実践している人ほど実践の成果が みられ易しいと感じていることが分かった.「調理 と環境に関する行為」に分類した「フライパンや食 器の油汚れをゴムべらや紙でふき取る」「調理や食 事で出たゴミを分別する」,「食器・調理器具の洗浄」

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に分類した「調理で使用した鍋類や食器を洗う」の 3項目は,一連の調理工程の中で片付けの操作にあ

「易しい」と感じていることが分かった.

「する・難しい」では全体的に低い回答率であった 図3 指導力の程度

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で出たゴミを分別する(17%)」「調理に使う材料を 包丁で切る(17%)」「みそ汁を作る(13%)」は比較 的に高い回答率であった.計量的な判断や調味,バ ランスのよい食事をとるための食品の種類や栄養素 を組み合わせることは実践していても難しいと感じ ているようであった.学生は一人暮らしあるいは家 族と同居でも昼食や夕食で外食や中食などの食事の 取りかたをしている機会が多いから,食事バランス や栄養バランスを自身の健康管理のために意識して いる様相もみられた.

「しない・易しい」で50%以上の回答率の項目は,

「ゆで卵を作る(81%)」「きゅうりやトマトをはさん だサンドイッチを作る(74%)」「ゆで卵をはさんだ サンドイッチを作る(74%)」「トマトをくし形切り にする(59%)」「きゅうりを輪切りにする(66%)」

など17項目であった.30%台であった項目は,「煮 干しでだしをとる(35%)」「米をとぐ(34%)」「米 を水に浸す(33%)」「米を炊飯器で炊飯する(30%)」

など9項目であった.分類した項目ごとでみると,

特に「サンドイッチの調理に関する行為」「非加熱調 図4 実践度と難易度の関係

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理操作」の切断操作などにおいては,実践していな いが「易しい」と感じている割合が高い傾向である ことが分かった.その理由としては,小学校家庭科 で学習する内容のため基本的な行為であるとの認識 があり,やればできると安易に判断し評価している ようであった.

以上のことから,小学校で学習する調理に対して,

実践していなくても「易しい」と感じている学生が 多い傾向であることが分かった.それと同時に,実 践しているが「難しい」と感じている行為,実践し ていないから「難しい」と感じている行為もあるこ とが明らかになった.生活の基礎・基本の行為とな る小学校家庭科で学習する調理などにおいては,ま ずは調理の実践を増やしていく必要がある.大学生 に実践することの必要性を意識させるとともに調理 することへの興味・関心及び食生活教育を指導する ための知識・技能を身につけることの意義を抱かせ ることが課題であると考える.

「しない・難しい」で50%以上の回答率であった項 目は,「じゃがいもの皮を包丁でむく(64%)」「みそ 汁を作る(61%)」「野菜を煮る(60%)」「煮干しで だ し を と る(56%)」「り ん ご の 皮 を 包 丁 で む く

(56%)」など6項目であった.30%〜40%台であっ た項目は,「じゃがいもをゆでる(47%)」「塩を計量 スプーンの小さじで1/4杯量る(40%)」「みそを 計量スプーンの大さじで1/2杯量る(31%)」など 5項目であった.20%台であった項目は,「トマト をくし形切りにする(28%)」「きゅうりやトマトを はさんだサンドイッチを作る(24%)」など6項目で あった.「加熱調理操作」では実践していない学生 ほど難しいと感じていることが分かった.

実践度,難易度及び指導力の関連性

実践度,難易度及び指導力の程度の関係をみると,

調理の実践は「しない」が小学校家庭科で学習する 調理例を「易しい」と感じており,小学生に「指導 できる」と回答したパターンが各分類項目でみられ た.日常生活で実践していなくても小学校家庭科で 学習させる程度の調理であるならば容易であると捉 えていた.これまでの実践度,難易度及び指導力の 程度の結果において,実践を「しない」傾向が高く,

「易しい」と感じている傾向であったが,指導力の程 度に関しては学生の自己評価によるものであり,「小 学生に指導できる」とはこの結果からは評価できな い.小・中・高等学校の家庭科の学習で培ってきた 調理等に関する知識や技能を大学生の立場でも実践 する機会を自ら持つことが指導力向上につながると

考える.

ま と め

食の外部化が進み家庭で調理しなくても食事をす ることができるが,外部から取り入れるだけの食事 は均一化された味や外観のものが多く,個人の嗜好 や健康状態に合わせた食事を整えることが難しい.

そこで,自ら調理することが必要になってくる.小 学校家庭科の新学習指導要領においては,食生活に 関する内容の充実が図られており,食事の役割や栄 養を考えた食事のとりかた,調理などの学習活動を 一層重視している.よって,調理を指導する教員の 役割も大きいと考え教員養成系の大学生が小学校家 庭科で学習する食生活教育の内容をどのように捉え ているのか,大学生の普段の調理の実践度,調理に 対する難易度及び指導力の程度を把握するために調 査・分析した.実践度と難易度との関係から大学生 の実態と課題が明らかになった.実践度が低いほど

「難しい」と感じていることが分かったので,実践度 が低い項目や難易度の高い項目については大学生へ の指導を強化する必要性が示唆された.大学生に対 し調理を実践することの必要性を再認識させ実践度 を高めることで難易感を軽減させることができ,さ らには大学生自身の指導力の向上につながるものと 考える.

このことに鑑みて家庭での実践報告を課した調査 結果については今後報告する予定である.

本調査に快くご協力いただいた大学生の皆様に感 謝いたします.

参考文献

1) 渋川祥子編(2009),エスカベーシック食べ物と健康―

調理学―,同文書院

2) 健康・栄養情報研究会編(2008),国民健康・栄養の現状

―平成17年厚生労働省 国民健康・栄養調査報告より―,

第一出版

3) 福田靖子・小川宣子(2007),食生活論(第3版),朝倉 書店

4) 文部科学省(2008),小学校学習指導要領解説家庭編,東 洋館出版社

5) 櫻井純子ほか(2010),小学校5・6 わたしたちの家庭 科,開隆堂

6) 渡邊彩子ほか(2010),新編 新しい家庭科5・6,東京 書籍

参照

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