学 位 論 文 審 査 要 旨 公開審査日 2017 年 11 月 22 日(水)
報告番号:甲・
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乙 第 2130 号 氏名: 丸山 浩史論文審査
担当者 主査 教授 菅野 義彦 印
副査 教授 小田原 雅人 印
副査 教授 横須賀 忠 印 審査論文の題目:Serum decoy receptor 3 levels are associated with the disease activity of MPO-ANCA-associated renal vasculitis.
(血清 decoy receptor 3 濃度は MPO-ANCA 関連血管炎の活動性と関連する)
著 者:Hiroshi Maruyama, Kouichi Hirayama, Miho Nagai, Itaru Ebihara, Homare Shimohata, Masaki Kobayashi
掲載誌:Clinical Rheumatology 35:2469-2476(2016)
論文要旨:
抗好中球細胞質抗体(antineutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)関連血管炎の発症機序の一つと 考えられている Th17 細胞異常を示す可能性のある TNF-like ligand 1A(TL1A)とその可溶性リガンド である decoy receptor 3 (DcR3)などを血清中で測定し TL1A-Th17 系と血管炎の臨床指標との関連を 検討した。PO-ANCA 関連腎血管炎の初回治療開始前(活動期)24 症例、治療後寛解時(非活動期)24 症 例、および対照として非血管炎性腎疾患ならびに健常人 20 症例において血清 IL-17、IL-23、および TL1A 濃度は血管炎活動期、非活動期、対照群との間に有意差は認められなかった。一方、血管炎活動期の血 清 DcR3 濃度は、非活動期、対照群に比して有意な高値を認めた(各 P<0.0001)。ROC 解析による疾患活 動性に対する血清 DcR3 濃度の cut-off 値は 0.87ng/mL(感度 75.0%、特異度 67.9%、P=0.002)で、
血清 DcR3 濃度が cut-off 値より高値の症例では BVAS(P=0.0073)、血清 CRP 値(P=0.0491)が有意に 高値であった。ANCA 関連血管炎において、TL1A と疾患活動性・MPO-ANCA 産生・Th17 細胞異常との関連 は認められなかったが、血清 DcR3 濃度は疾患活動性に指標として有用な可能性が示唆された。
審査過程:
・ 本疾患に関する実験動物での過去の知見について回答することができた。
・ 疾患活動性の指標として CRP と DcR3 を統計学的に比較すべきであるという提案に対し、今後の検討 事項を適確に説明できた。
・ DcR3 がデコイ受容体としてシグナル抑制に効くことを機序から説明できた。
・ 活動期群と非活動期群の設定が適切でない可能性について、課題と生産的な方針を明示できた。
価値判定:
ANCA 関連腎炎における Th17 系の活性を示す因子の血中濃度と疾患の活動性を示す他の臨床指標との関 連を検討した。研究デザインの点で改善の余地があるものの、比較的稀な疾患で患者数を確保するのが 難しいこともあり、今後の研究を立案する指標となり得る基盤的なデータを提示したという意義は高 く、博士論文としての価値を認める。