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肝疾患における糖代謝異常 (その1)

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(1)

肝疾患における糖代謝異常 (その1)

糖負荷試験よりみた肝疾患の糖代謝異常

       金沢大学医学部内科学第一講座(主任:武内重五郎教授)

      沢  田  大  成        (昭和40年9月30日受付)

(本論文の要旨は,昭和39年5.月2日第50回日本消化器病学会総会において発表した.)

 肝臓は体内における最大の腺臓器であるのみならず 代謝の中心の場でもある.

 肝疾患では糖代謝の失調があり,酵素および中間代 謝の面より検索が進められている,静脈内ブドウ糖負 荷試験からみても古くはThannhauser&Pfitzer 1)

の報告があり,その後多数の研究業績2)一10)が発表さ れてきている.しかしこの負荷試験方法は肝機能の反 映11)ばかりでなく,膵内分泌機能の表現12)コ3)でもある

との報告がある.また近年肝硬変と糖尿病の合併頻度 が高い14一18)との報告がみられるので肝疾患に行なっ た静脈内ブドウ糖負荷試験は必ずしも肝障害による糖 代謝異常のみを反映しているとはいえなくなってい

る.ここに新しく肝疾患の糖代謝異常の検索方法が要 求される.

 1954年Spellberg 19)は肝疾患および軽症糖尿病に 0,33g/kg,0.66g/kgブドウ糖負荷試験を行ない,両 糖負荷試験成績から上記両疾患の鑑別が可能であるこ

とを強調した.しかし本法は糖負荷後の血糖値が空腹 時血糖値に戻るまでの時間で判定する回復時法による ため,空腹時の血糖値に影響されることが多く,また 血糖回復までの時聞が長いため判定に困難を感ずる場 合が多い.この欠点を補う方法としてはConardが提 唱しているTotal index法20)を用いるのが最も適し ていると思われる.

 ブドウ糖負荷量を変えて肝疾患の糖代謝異常を検索 一したのはSpellbergの報告がみられるのみであり,

またTotal index法を用いて両糖負荷試験成績を表 現し,肝疾患の糖代謝異常を追求した報告はみられな

い.

 そこで著者は肝疾患患者について糖負荷量の血中糖 消却恒数値におよぼす影響を観察し,また糖尿病患者

および肝硬変と糖尿病合併患者の成績とを対比する二 とにより肝疾患の糖代謝異常ならびに糖負荷試験の意 義について検討したので報告する.

被 検 対 象

 対象とした症例は肝硬変22例,慢性肝炎12例,肝硬 変をともなうBudd−Chiari症候群3例,肝硬変と糖 尿病の合併10例,糖尿病29例,代謝正常例16例であ

る.

 肝硬変および慢性肝炎の診断は2例を除きすべて腹 腔鏡(大部分は肝生検を併用)により診断を確認し た.腹腔鏡および肝生検:を施行できなかった症例は肝 硬変および慢性肝炎の各1例であり,臨床所見および 一般臨床検査成績により診断した.肝疾患症例で検査 時肝性昏睡を呈した症例はなかった.糖尿病の診断は 坂口食試験あるいは飽食試験21)を用いて行ない,坂口 食試験で最高血糖値が180mg/dl以上(Somogyi−Ne−

1son法22)による.一部症例はGlucose oxidase法 23)で血糖を測定したが,Glucose oxidase法でえら れた血糖値:はSomogyi−Nelson法より約10 mg/d1 三値であったので,本法によるときは測定値に10mg

/dlを加算してSomogyi−Nelson法にi換算した),

2時間血糖値が130mg/dl以上を満足するもの,飽 食試験では2時間自および3時血目の血糖値がともに 130mg/d1以上を示すものを糖尿病と判定した.糖 尿病症例はいずれも肝・心臓・腎の障害および感染症 のない非肥満患者であった.ただし非肥満患者とは肥 満度が標準体重に対し十20%未満の症例をいう.肝硬 変と糖尿病の合併例とは肝生検で肝細胞壊死,肝実質 の結節性再生,び漫性の結合織噌生,小葉改築像がみ られる24)他に核空胞化%)の所見があり,かつ空腹時血

 Disturbance of Carbohydrate Metabolism in Liver Disease I. Carbohydrate Meta−

bolism in Chronic Hepatic Disease Using Clucose Loading Test.丁融isei Sawad呂,

The First Department of Internal Medicine,(Director:Prof. J. Takeuchi). School

of Medicine, Kanazawa University.

(2)

糖値が130mg/dl以上を示す症例を指している.肝 硬変をともなうBudd−Chiari症候i群の診断は腹腔 鏡,下大静脈撮影および理学的所見により行なった が,うち2例は剖検および手術により確認した.

 年齢構成は肝硬変例および慢性肝炎例では22〜70 歳,糖尿病例では29〜68歳,肝硬変と糖尿病の合併例 では51〜74歳,代謝正常例は17〜57歳であった.

実 験 方 法  1)静脈内ブドウ糖負荷試験

 1)0.33g/kgブドウ糖負荷試験(以下0.33−IG TTと略す):体重1kgあたり0.66 ccの50%ブド ウ糖を肘静脈より正確に2分間で注入し,注入終了後 60分遅で10分ごとに採血し血糖を測定した,

 2)o.669/kgブドウ糖負荷試験(以下。.66−IG TTと略す):体重1kgあたり1.32 ccの50%ブド ウ糖を肘静脈より正確に10分間で注入し,注入後の採 血は0.33−IGTTにならって行なった.

 両静脈内ブドウ糖負荷試験からえられた血糖値をそ れぞれ片対数ブラフに点描すると,0,33−IGTTおよ び0.66−IGTTとも静注後20分より50〜60分までの時 間と血糖値との間には直線的関係がみられた.上記の 所見から血中糖消却恒数値は次式により算出される.

   K_(1・9・・Cd−1・9・・C・)×2・303

       T

Cd:外挿法により求めたブドウ糖注入終了時点に    おける血糖値

Co:ブドウ糖負荷直前の血糖値

T:ブドウ糖負荷後の血糖値が負荷前の血糖値に    戻るまでの時間

 以後0.33−IGTTおよび0.66−IGTTの血中糖消 却恒数値をそれぞれKo.33およびKo.66と略す.な お両ブドウ糖負荷試験の実施間隔は2日間とした.症 例によってはときどきhumped curve 26)を示した り,あるいは静注後50分以内に血糖値が空腹時血糖値 に戻ることがあるが,このような症例は除外すること

にした.

 また一部の症例はブドウ糖負荷後試験前の血糖値 に戻るまでの時間で判定する回復時法を用いて検索し

た.

 皿)インシュリン負荷試験(以下ITTと略す):

体重1kgあたり0・1単位の正規インシュリンを被検 対象の肘静脈より注入し,注入前および注入後60分ま では15分聞隔で,以後120分までは30分ごとに計7回 にわたり採血し卿糖を測定した.

 各負荷試験とも施行する前3日間は少ななくとも出

質300927)を患者に投与した. また試験前日のタ食 後は禁食とし,前日夕食後15〜17時間目に各負荷試験 を行なった.両ブドウ糖およびインシュリン負荷後の 血糖変動を避けるために試験前10分間および試験中は 患者に安静臥床を守らしめた28).糖尿病および肝硬変 と糖尿病の合併例は大部分が未治療患者であったが,

抗糖尿病薬・インシュリン使用例では治療を中止し,

3日間経過を観察した後上出品負荷試験を行なった.

治療中止によりケトン尿を認めた症例はなかった.

 血糖採血時間は30秒以内とし長くても1分以内にと

どめた。

 肝の組織学的検索はホルマリン固定後パラフィン切 片とし,ヘマトキシリン・エオジン染色およびアザン 染色を用いて行なった.

 肝機能検査法として黄疸指数・血清膠質反応(CoR・

ZTT・TTT)・血清総コレステロール(ZaK−H:enry 法29))・BSP(45分値)・血清アルカリ性フォスファタ

ーゼ(Bessey−Lowry 30)法)・血清トランスアミナー ゼ(Sigma−Franke131)法)・血清コリンエステラーゼ

(柴田・高橋32)法)・プロトロンビン時間(Quick I 段法)を測定した.また同時に血清蛋白(日立蛋白計)

および分画(濾紙電気泳動法33)一ベロナール緩衝液 pH 8.6,イオン濃…度O.05,1mA,110 V,14時間泳動)

・血清鉄(Ramsay 34)法)・鉄抱合能35)も測定した.

        実 験 成 績  1)Ko.33およびKo.66の日差変動

 慢性肝疾患の同一例に対して0.33−IGTTおよび 0.66−IGTTをそれぞれ2日前隔で行ない, K o.33と Ko.66の日差変動を追求した.肝硬変4例,慢性肝 炎1例のKO.33の日差変動は(1.62→1.67)×10「2,

(0.88→0.80)×10一2,  (1.19→1.19)×10一『2, (0.76→

0.86)×10一2,(1.01→1.06)×10{2でその差は,平均 0.06(0〜0.10)x10一2であった.また肝硬変3例,慢 性肝炎1例のKO.66の日差変動は(1.75→1.75)×

10一2,  (0.80→0.89)×10一2,  (1.10→1.10)×10●一「2,

(3.22→3.12)×10一2でその差の平均は0.05(0〜0.10)

×10一2であった.

 皿)各疾患における静脈内ブドウ糖負荷試験

 1)0.33−IGTT:代謝正常群(以下C群と略す)16

例,慢性肝炎群(以下CH群と略す)22例,肝硬変を

ともなうBudd−Chiari症候群(以下LC+BC群と略

す)3例,肝硬変と糖尿病の合併群(以下LC十DM

群と略す)10例,糖尿病群(以下DM群と略す)28

例について0.33−IGTTを行なった.空腹時血糖の

平均値はC群82±9mg/dl(危険率5%での信頼限

(3)

界,以下同様),CH群75±9 mg/d1, LC群84±6mg

/d1, LC十DM群170±57mg/d1, DM群129±18mg

/d1であった.この平均値をみるとC群, CHi群およ びLC群ではDM群にくらべ低値を示しており,これ ら晶群とDM群との間にはいずれも推計学的にみて 有意の差が認められたが,DM群とLC十DM群の両 群間,C群, CH群, LC群の三者相互の間には推計 学的にみて有意の差は認められなかった,図2は上記

ブドウ糖負荷試験よりえられた各疾患群のKo.33の 分布を示している.Ko.33の平均値はそれぞれC群

(1.73±0.27)×10h2, CH君羊 (1.78士0.16)×10{2, LC 群(1.13±0.16)×10一2,LC十DMi群(0,80±0.30)×

10一2,DM群(0.93±0.12)×10h2であった. LC群,

LC十DM群およびDM群ではいずれもC群にくら・べ Ko.33は低値を示しその差は推計学的に有意であった が,LC群, LC十DM群およびDM群の各糸間およ びC群とCH群の晶群間では推計学的にみて有意の差 が認められなかった.

 経過を観察した慢性肝疾患7例(肝硬変5例,慢性 肝炎2例)についてBSPおよび7一グロブリンの変動

とKo.33値の推移と比較した. BSPが10%以上,

γ一グロブリンが0.5g/dl以上の減少を示した場合を 改善,逆にそれぞれ10%以上,0.5g/dl以上の増加を 示した場合を増悪とし,またKo.33値の変動が十〇.2 以上を豪富理能の改善,一〇.2以下を増悪,±0.2以内 を不変と判定すると,BSPの改善2例はともに面出理 能の改善が,またBSP不変4例のうち2例は品評理能 が不変であり,2例はその改善が認められた.γ一グロ ブリンの改善をみた2例はともに糖処理能の改善が,

またγ一グロブリン不変5例のうち2例は糖処理能が 不変,他の3例は増悪を示した.

 2)0.66−IGTT:C群11例, CH群8例, LC i群16 例,LC十DM群8例, LC十BC群3例, DM群18例 について0.66−IGTTを行なった.疾患別にみるとK o.66の平均値はC群(1.83±0.31)x10一2, CH群(2.14 士0.62)x10一2, LC群(1.34±0.29)×10h2, LC十DM 群(0.63±0.27)×10一2,DM群(0.93±0.14)x10一2で あった.この平均値をみるとしC群, DM群, LC十 DM群ではCi群にくらべ低値を示し,各群とC群との 間にはそれぞれ推計学的にみて有意の差が認められた が,CH群とC群との闇には有意の差は認められなか った.LC群のKo.6θはKo.33にくらべ高値に分布す る傾向があり,LC群とDM群のKo.・;・葺の平均値の差 は推計学的にみて有意であった(図3).

 0.33−IGTTでのべた判定様式を用いBSPおよび γ一グロブリンとKo.66値の時間的変動を追求してみ

ると,BSPの改善をみた2例のうち1例に糖処理能 の改善をみたが,1例は不変であった.BSP不変5 例のうち,2例は糖処理能が不変であり,他の3例で は増悪がみられた.γ一グロブリンの改善をみた3例の うち2例に糖処理能の改善をみたが,1例では増悪が みられた.7一グロブリン不変4例のうち2例に糖処理 能が不変であり,他の2例では増悪が認められた.

血   400

値500

箔2・・  

100

一 一

。亀噺贈㍉

1

0.66g/kg ブドウ糖負荷 0.55g/kg ブドウ糖負荷

10 20 ろ0 40 50 60 (分)

  代 謝 正 常 例

図2 0.33g/kgブドウ糖負荷時の   血中糖消却恒数値(KO.33)

KO.33 言

2

x10−2

3

2.00

o

3

9

●3

●o ㍗

1.00

●●o

3

影 多●

●・

慢 肝 糖

謝正常 性肝炎 硬変 尿病 肝 硬蓼顔弓

群 群

群 群

(4)

 皿)Ko.66−Ko。・3(血中糖消却恒数較差と仮称す る):C群,CH群, LC群, DM群, LC十DM群の各 群ではそれぞれKo.33の平均値とKo.615の平均値と の間には推計学的にみて有意の差は認められなかっ た.しかし両IGTTの関係1をKo.66−K o.33で表現 するとDM群ではその分布は小さく,全例とも士0.3 以内にとどまった.慢性肝疾患群では一〇.98より十

〇.98の範囲内に分布していた.すなわちCH群では 一〇.98より十〇.84,LC群では一〇.34より十〇.96 であり,推計学的にみてこの山群とDM群の各分布 聞には有意の差が認められた(図4).Ko.66−Ko.33 が十〇.3以上を示した肝硬変6例では代謝正常群にく らべKo.33の平均値は低値を示し,その差は推計学 的にみて有意であったが,Ko.66の平均値は魚群聞 で明らかな差は認められなかった.

 0.33−IGTTで経過を観察した7例のうちBSPお

よびγ一グロブリンが改善した2例のKo.66−Ko.33はそ れぞれ+0.88→+0.07,十〇.36→十〇.14と低値にな

り,またBSPおよびr一グロブリンが不変であった4 例のうち, 1例はKo.66−Ko.33が十〇.17→十〇.10と 変化しなかったが,他の3例では増加あるいは減少を 示し一定の関係は認められなかった.

 Ko.66−Ko.33をその前後に行なった肝機能検査成 績の推移と比較するとしC群ではBSPおよびγ一グロ ブリンの両者またはBSPの改善がみられた症例は1 例を除き全例Ko.61−Ko.33が十〇.3以上を示した.

CH群では3例(4件)にBSP・γ一グロブリンの両者 またはBSPの改善がみられたが,全例(3件)とも にKo,66−Ko.3零が十〇.3以上の高値を示した.逆に 十〇.3以上のKo.66−Ko.33をみたしC群では6例

(7件)中5例(5件),CH:群では3例(4件)中3 例(3件)にBSP・7一グロブリンまたはBSPの改善 がみられ,Ko.66−Ko.33が十〇.3以下であったLC 群では10例(12件)中8例(11件)に,CH群では1 例を除き全例BSPが不変ないし増悪を示した(表

1),

 慢性肝疾患21例に肝生検を行ない組織学的検:索を行 なったが,表1に示すように肝細胞はいろいろの程度 に再生現象がみられた.肝細胞再生の程度を,ほとん どみられない(一),比較的に弱い(十),やや強い

(甘),強い(柵),非常に強し、(鼎)の5段階に分け てみるとしC群ではKo.G6−Ko.33が十〇.3以上の 症例は(什)と判定された症例1例を除き他はすべて

(柵)以上と判定された.一方Ko.66−Ko,33が+0.3 以下の症例ではいずれも(+)以下と判定された.

またCH群でも同様にKo.66−Ko.33が十〇.3以上

図3 0.66g/kgブドウ糖負荷時の   血中糖消却恒数値(KO.66)

Kα66

o

×10−2

2.00

8

9

3

●●

0

・0

●o

A

3

1.00

㌻ 鵡

o

代 謝正常群 慢 性肝炎群 肝 硬変群 糖 尿病群 肝 硬琴賛纏

図4 各疾患における血中糖消却恒数較差      (O はしC十BC例)

十2.86・

十1.00

o●

3●

3

3.

●o

0 ●3 ●● 9% ・ぎ

⁝︸

o

一1.00

慢 肝 糖 肝

謝正常 性肝炎 硬変 尿病 硬変糖 {尿 ネ

群 群

(5)

1

No.

−乙ウ臼りδ

T.M.

T.N.

K.A.

性 年 齢 24ーム ρ00﹂盈U 小○小○OT

35 T8 T0

OT︿○小○

MNHSHS

4FOρ0

49 R4 S8 T4

小0小00†3

YKKKSSMK78910

22 T0 R6 R5 S7 V0 T3 U3 S0 Q5 U4 U7 U0 T2 U2 V4 T1 U4 V0 T3

∩モ♂︹子小Q小0小0小○小00T∩¥小OOT小○幽小○小○OT小○小O小○○了

NSHYNT101YKANITSOKTTAHTTKKSTMHSTSKYTKSMK

11 P2 P3 P4 P5 P6 P7 P8 P9 Q0 Q1 Q2 Q3 Q4 Q5 Q6 Q7 Q8 Q9 R0

33 U4 S4 R5 Q5

小06♀小0小O

SNKKHTSNZU

31 R2 R3 R4 R5

鵬3033 6︿0小O

NSSKRT

ρ07.00

333

診断名 C

〃〃

L

〃〃〃 〃〃〃〃 〃〃〃〃〃〃

L.C.+LCa.

  〃 L.C.十B.C.

  〃   〃 LC.十D。M.

〃〃〃〃〃〃〃

C.H.

〃〃〃〃〃 〃〃〃 腹腔鏡 肝生検

肝機能の推移

1.1. BSP

(%) AIG γ一GL

(mg/d1)

腹 水 下腿浮腫 肝再生像

Ko.33 Ko.63 Ko.66−

 Ko.33

88 R9 R6 O8 P4 Q1 O7 O1 S6

或〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃グ 十十十十十十十十一一十十十十十十十幽一一一剛十十一願一十顧鮪十十一十十一一十十十十脚一十

aaO︒0︒αqα軌α0︒軌aaO.αaaaaaO︒aaaααaa軌aaaaaaaaaa軌a十二a Q2

@679896141006240234092662865581170304190727244267032572118404953398

45 P0 P5 Q5 V5 P4 V6 U1 W9 S6 O4 Q5 Q9 U4 O8 W0 P8 W7 V3 S0 P1 P0 V8 O4 W2 O6 V7 T1 U0 R7 T3 R1 T2 S5 P2 P7 R1 W7 V8 O5 T9 R2 X1 R4 U2

L×LLL2︒LO︒0︑0.LL法a乞L1︑aa1︑LLa乞乱LO.aaL似aaa3乞LL南扇2︒La三井

魂〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃F〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

57 P0 V6 W9 U7 O0 T5 T4 W8 X2 Q6 W5 U2 U6 P2 U7 O8 W1 X7 S2 S5 P9 O4 S2 X6 U1 T8 U8 T7 S1 V2 Q4 Q5 U9 V0 T0 R4 P2 O6 X4 V5 Q8 W6 U7 U0

a×ααL乳LαaaLO︒L1.1︒LLaaLLLLL伍1︒LO.aLaq似似名LL乞乞LLL1.乞L      柵冊冊 ︵  ︵ ︵  

︵            + 息出畳 ︵    ︵︵ ︵     什+ ︵ ︵ ラ   十十

︵ ノー曳

    ラ 柵鼎枡 ︵ ︵ ︵             冊料 辮柵 ︵ ︵    ︵  ︵               剛+冊+柵 ︵ ︵ ︵ ︵ ︵       十一柵 ︵  ︵︵        

剛十剛幽一隔一一噌二十輯幅

︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵              ラ             

輌脚哨幅一十鞠鴫一幅噛一十十階一画嘲十一

︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵  ︵ ︵ ︵ ︵ ︵  ︵ ︵ ︵  ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵           ﹁一﹁嘲一 ︵ ︵  ︵︵ ︵         ﹂一噛 ︵  ︵  ︵         十一一一一隅一十十十.十胸一 ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵                   ラ       ヘノ           

嗣一幽駒一十繭一一一十一十十脚一直馴︻騨

︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵            闇一一一﹇ ︵  ︵  ︵ ︵  ︵       剛一一 ︵  ︵︵

498170 2468804483760 5047979

 ユ ユ よ ユ  りゐ   リム  ユ りのりね リムリム

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓5488998318 8551599091376 2752111212211 323

一  252513718525082643946024920

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

1 2232222 223112222231121111 0 4791515 0588480109457283526 5361730 266688403547923498

78873071173248209748830633591222422221233123212222221121

4

980745 983854832 3992222 172245727736136154599809 576446689 7535599 662866676848810470 000AU10   00A︶000000   000000ハ︶   0000000000n︶A︶nV1⊥−←ーユ0ーエ

↓↓↓↓↓↓↓↓一↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

9270017466 02735224972280943840470764419405

5949887596 574925463659796326556605557780670000000000  

00001二〇〇〇〇〇〇〇〇AV︵UAVOAVOOO︵V−←00000︵︾−←00

3290345531821456  893 27 0321 11 233212114   221 11 11↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓57897406853156995035008273331 2222441233242132313

28023325220663313431221322222

 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓4339236812236367

13431321231423 6999486804168643 4905664          ム   み      ワの    ユ   ワぢ

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

       8087047641 5989799276025

       ワ6Q4

       11←  ︐11←    −よ  11   9自        −

︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵  ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵  ︵  ︵ ︵ ︵ ︵︵ ︵ 十十十

十︻十十十十十十十十十十十十十十十十十十十十十十十十十十

十十十十十 十十十                                            ヘノ                         ︵  ︵  ︵ ︵ ︵ ︵一︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵  ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ 十.十十

十一一十一十十十十十一一十十一馴︻一騨十十十一十十一十十

十十十十十 十十十          ク             ラ  ラ         ラ                          23  23    

8 721

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 よヨ     ユ       ヨ り

25604745685995563

(6)

の症例では4例中3例は肝細胞の再生が盛んで(辮以 上)あり,のこり1例も(什)の再生像を呈した.十

〇.3以下の値を示した症例のうち1例は(什)の再生肝 であったが,のこり4例はいずれも(十)の再生像を 示した.

 肝硬変と糖尿病の合併例では,Ko.・6−Ko.33は糖 尿病と同様十〇.3以下であった.肝生検を施行した 6症例では肝細胞の再生像が(柵)以上を示したが,

う1ち1例でBSP・γ一グロブリンの改善がみられるに もかかわらずKo.66−Ko.33の増加がみられなかった.

 皿)インシュリン負荷試験

 C群6例,:LC群12例, LC十DM群7例, DM群29 例にインシュリン負荷試験を行なった,各群の平均空 腹時血糖値はそれぞれ94±:3mg/d1,84士7 mg/d1,

165土36mg/dl,154±20 mg/dlであり, C群とLC 群との間には推計学的にみて有意の差は認められなか った.C群における血糖下降は15分ないしは30分で最 低となり,以後血糖は回復過程をたどり,120分でほ ぼ空腹時血糖値にまで回復した.インシュリン負荷 後15分の平均血糖下降率は25.2±8.7%で,C群の 55.8士15.0%にくらべて明らかに小さく,その差は推 計学的にみて有意であったが,30分後では各々43.8土 10.5%,57.8士14.4%で有意の差はみられなかった.

またしC群における最大血糖値は静注後45分で最低値 を示し,C群にくらべ初期血糖下降が遅延する傾向が みられたが,推計学的にみると有意の差があるとはい えなかった。また負荷後60分,90分,120分の平均血 糖下降率はLC群で41.3士7.8%,28.6±8.7%,

図5 インシュリン補正下降指数

3 4.00

3.00

・ひ.

9 % :

200

●●

::

2●

1.00 融

2

肝 糖 肝

謝正

硬 尿

硬変糖

病 +尿

a

群 群

13.2士13.1%,C群で33.7±16.1%,17.8±17.0%,

1.8±18.3%でしC群ではC群にくらべて血糖回復が 遅延する傾向がみられたが,推計学的にみるとやはり その差は有意ではなかった.DM群では45分および60 分を除く各時点でそれぞれC群にくらべ平均血糖下降 率が有意の恩田を示した.

 インシュリン感性指数として補正下降指数36)を用い ると,C群ではすべて2.00以上であり, LC群では1 例を除きすべて2.00以下の値であった.またDM群 では29例中15例(59%)が2.00以下の値であった(図

5).

考 察

 静脈内ブドウ糖負荷試験の判定様式として種々の方 法が考案されているが,比較的よく利用されているの はTotal index法20)37)およびIncrement index法 38)39)40)であろう.この両者の表現方法は経験的なもの であり,いずれの方法が糖同化能のよりよい指標であ るかについては種々の論議にもかかわらず未だ決定的 な見解はえられていないようである.最:近Franckson ら41)はConardらの提唱したTotal index法を分 析し,最初の工数分画は自由ブドウ糖がその分布領域 へ混入および拡散する時間であり,糖負荷後15分〜60 分の聞に糖の同化がみられるとのべ,本法がよく糖同 化現象を表現しているとの見解を発表している.実際 に0.33−IGTTおよび0.66−IGTTではいずれも静 注後20分までの血糖値に一定の関係が認められなかっ たことより,West&Wood 37)およびFrancksonら 41)がのべているごとく,この期間内の血糖値を除外し て求めたTotal index法は止処理能の指標として用 いるのにより生理的な方法であり,また評価を1指標 で表現できる利点があると考えられる.そこで著者は 0.33−IGTTおよび0.66−IGTTを肝疾患患者に行な い,Total index法で求めた血中糖消却恒数値につい て検討した,

 慢性肝疾患患者の静脈内ブドウ糖負荷試験でまず問 題になるのは本試験の再現性である.健康人に関して はDuncan 39),八面42)らの報告があり再現性のある ことが確認されている.しかし慢性肝疾患では代謝の 変動が予想されるので本試験の再現性について疑問が

もたれるが,この点に関しての検索は未だ行なわれて

いない.そのため著者は肝硬変4例,慢性肝炎1例に

ついて0・33−IGTTを2日間隔で行ない,両負荷試験

より求めたKo・33を比較したが詠振ともよく一致す

る所見がえられた.同様に0.66−IGTTでも2日間隔

で行なう限り再現性のあることを確認した.この成績

(7)

は肝疾患における糖負荷試験を同一時点で比較できる 可能性を示している.

 ついで問題となるのは肝疾患におけるブドウ糖負荷 量の血中糖消却恒数値におよぼす影響についてであ

る。代謝正常群における両者の関係についてはいまな お見解の一致をみていない8)銘)42)43)44)45、.著者の成績

では0.33−IGTTおよび0.66−IGTTより求めたK o.33およびKo.66の差が大部分の代謝正常群で士0.3 以内の値を示し,両血中糖消却恒数値の間には推計学 的にみて有意の差が認められなかった.慢性肝疾患群 でも代謝正常群と同様にKo.33とKo.66との間には 推計学的にみて有意の差は認められなかった.しかし 個々の症例よりみると慢性肝炎群および肝硬変群では 代謝正常群にくらべ明らかに高値あるいは低値を示す 症例が多くみられた.この所見より慢性肝疾患群の糖 負荷試験には代謝正常群と異なった作用機序が関与し ていることが示唆される.

 Spellberg 19)は0.33g/kgおよび0.66g/kgブド ウ糖負荷を用いた場合,肝疾患では糖尿病と異なりブ ドウ糖負荷量を増すことにより血糖回復時間が短縮す ることを観察し,その原因を肝糖原形成に求めた.し かし現在の考え方からすればこの血糖回復時間の短縮 は肝糖原形成のみによって起つたとはいえないようで ある.すなわち静脈内ブドウ糖負荷試験よりえられる 血糖曲線は肝糖駆出の抑制41)46),肝内糖収容41)46)およ び末梢糖利用41)の表現と考えられているためである.

したがって肝疾患にみられる血糖回復時間の短縮は上 記三者の表現すなわち肝および末梢の糖処理能の増大 と考えるのが妥当であろう.一般に慢性肝疾患では,

1)肝二二出の抑制低下46),2)肝内糖収容率の減少46),

3)末梢糖利用の低下47),4)インシュリン効果の減弱48)

49)などにより糖処理が低下するといわれている.しか し肝疾患で倍量糖負荷によ り糖処理能の増大がみられ ることは注目されねばならない事象と考えられる.そ こで著者は肝疾患でこのような二二理能の増大する状 態がみられるか否かをTotal index法を0.33−IGTT および0.66−IGTTに用いて追求してみた.また糖尿 病患者の成績と対比することにより慢性肝疾患におけ る血中糖消却恒数較差のもつ意味について検討した.

糖尿病患者にみられる血中糖消却恒数較差は全例とも 土0.3の範囲内にあり,倍量糖負荷による変化は軽微 であった.しかし慢性肝疾患患者の血中糖消却恒数較 差の分布は糖尿病の分布にくらべ明らかに大きく,二 二の間には推計学的にみて有意の差が認められた.慢 性肝疾患群を血中糖消却i回数較差よりみて増加型(十

〇.3以上),中間型(±0.3以下),減少型(一〇.3以下)

に分類し,各型の特徴を検討してみるとつぎのごとく である.

 増加型:肝硬変初期では二二理能が一過性に増大す る50)との報告がみられるので,その疑いのある慢性肝 炎例を除外した肝硬変6例について:Kα33値の分布 をみると,糖尿病群と同様言値に分布し,両群の平均 値:に有意の差は認められなかった.一方K一義の 分布は糖尿病群と異なり代謝正常群と同様の分布を示 し,肝硬変例6例と代謝正常群のKo.66の平均値に有 意の差は認めちれなかった.この所見は増加型肝疾患 では糖負荷量を増すことにより糖処理能が代謝正常入 とほぼ同程度に行なわれるようになることを示して いる.なお二二理能が倍量糖負荷により増大している 増加型慢性肝疾患ではインシュリン効果が代謝正常人 と変らない可能性も考えられる,増加型肝硬変例で Ko.33が正常値以下を示した3例についてインシュリ ン負荷試験を行なったが,いずれもインシュリン効果 の減弱が認められた.糖処理能の増加した症例でイン シュリン効果の減弱が認められたのは一見理解に苦し む所見であるが,著者の見解としてはインシュリン効 果の減弱をみたのは従来よりいわれている肝および末 梢のインシュリン感性低下の他にdysproteinemiaに よるインシュリン不活性化の可能性をも考慮する必要 性を示唆するものと考えている.

 血中糖消却恒数較差と肝生検所見および肝機能成績 とを対比してみると,増加型慢性肝疾患ではほとんど の例に肝再生像が強くみられ,逆に肝の再生現象の強 い例は全例+0.3以上の血中糖消却恒数較差を示し た.また肝機能検査の面からみると7一グロブリンで表 現される間葉系機能よりも,BSPで表現される肝細 胞機能と相関する傾向がみられた.すなわち増加型慢 性肝疾患群では肝細胞障害が改善される傾向を示し,

逆に肝細胞機能の改善をみた症例はほとんど増加型慢 性肝疾患であった.また増加型肝硬変2例で経過を観 察してみると肝細胞機能の改善がみられるとともに血 中糖消却恒数較差が小さくなった.以上の所見より慢 性肝疾患例では肝細胞の再生現象が強く,肝細胞機能 の改善がみられる症例においては糖負荷量を増すこと により糖処理能の増大がみられると結論される.

 中丸型:この群に属する慢性肝疾患の肝生検所見は

再生像が比較的に弱いのが特徴であり,肝細胞機能

障害が不変あるいは増悪を示す症例が大部分であっ

た,また本症山中7例にインシュリン負荷試験を行な

ったが,1例を除きすべてインシュリン効果の減弱が

認められた.中間型慢性肝疾患でKo.33が正常以下を

示す症例ではインシュリン感性の低下により糖処理能

(8)

の低下が惹起されたと考えられる.しかしこのような 症例では血中糖消却恒数較差が糖尿病群にみられると 同様土0.3以内に分布していることより膵β細胞障害 の存在を否定するわけにはいかない.

 減少型:本群4例の肝生検所見はいずれも肝細胞の 再生が弱かったが,肝細胞障害の推移については例 数が少ないため一定の関係を見出すことはできなかっ た,前述したごとく糖尿病群の血中糖消却恒数較差が

±0,3の範囲内に分布していることより,本天でK O.33が正常以下の値を示す症例では膵β細胞障害の存 在を否定することが一見可能のように思える.しかし 糖尿病を合併した肝硬変の1例で血中糖消却恒数較差 が一〇.3以下の値を示したことより.その存在を完全に 否定するわけにはいかない.更に検討を必要とすると 思われる.

 糖尿病を合併した肝硬変8例の血中糖消却恒数較差 は1例を除き糖尿病群と同様±0,3の範囲内に分布し ていた.また肝生検を行なった6例のうち1例を除き 全例肝細胞の再生が強くみられ,うち1例に糖蜜:量 負荷により肝細胞機能障害の改善がみられたが,血中 糖消却価数較差の増加がみられなかったことは注目さ れねばならない.すなわちこめ成績は肝硬変による糖 代謝異常よりも糖尿病による肝糖調節機構の失調が優 位であることを示唆している.

 最近静脈内ブドウ糖負荷により内因性インシュリン 分泌増加51)52)の起ることが注目されてきている.また 耐糖能が内因性インシュリン分泌の表現13)であるとの 見方もある.肝硬変をともなうBudd−Chiari症候群 では門脈血の多くが直接大循環系に入るので本症の Ko.33の低下には膵β細胞障害の関与が大きいと考 えられる.事実本症候群のうち1例はKo.33が0,96

×10一2と正常以下の値を示しており一見膵β細胞障害 の存在が疑われたが,血中糖消却恒数較差が十2.86と 異常増加を示していることより,謡扇では膵β細胞に 異常なく,むしろ肝障害による糖代謝異常が糖処理能 の低下を惹起したと考えるのが妥当であろう.なお本 意を含む2例ではKo.66がKo.33にくらべ大きく血 中糖消却恒数較差が十〇.3以上であったことより,こ の較差の増加にはブドウ糖負荷による内因性インシュ リン分泌の増量が加味されているのではないかとの印 象を受けた,

 最近Moorhouseら45)は静脈内ブドウ糖負荷試験が ブドウ糖負荷:量によっては糖代謝異常の鋭敏な指標に なりうると報告している.

 0.33−IGTTおよび0.66−IGTTより求めたKo.33 およびKo.66は代謝正常例ではそれぞれ(1.10〜

2.62)×10一2,(1.34〜2.66)×10−2の範囲内に分布し ていた.代謝正常例におけるKo.33およびKo.66の 下限界をそれぞれ1.05×10−2および1.30x10『2と し,それ以下を誌面理能の低下と判定すると,両糖負 荷試験を行なった糖尿病18例の糖処理能異常発見率は 0.33−IGTTでは61%,0.66−IGTTでは94%で,

0.33−IGTTにくらべて0.66−IGTTの方がより高率 に急劇理能低下を発見しうることが明らかになった.

また上記の判定基準を用いて肝疾患の糖負荷試験成績 をみると血糖負荷試験を行なった肝硬変16例の0.33−

IGTTおよび0.66−IGTTの異常発見率はおのおの 50%および63%であり,慢性肝炎9例の異常発見率は 0%および11%であった.以上のごとく肝疾患では 0.66−IGTTより求めた糖処理能低下の発見頻度が 0.33−IGTTのそれを上廻る傾向がみられたが,糖尿 魚群におけるほど著明ではなかった.肝疾患では糖負 荷量を増すことにより糖処理能の増大する症例のある ことがその一因であろう.しかし糖尿病群の成績から して三面理能低下の診断に対する感度は0.33−IGTT よりも0.66−IGTTが高いことは確実である.

        結     論

 慢性肝疾患患者を対象として静脈内ブドウ糖負荷

(0.33g/kgブドウ糖負荷および0.66g/kgブドウ糖負 荷)を行ない,慢性肝疾患の糖代謝異常を追求し,ま た両糖負荷試験の意義についても検討した.その結果 は下記の通りである.

 1)肝疾患では両ブドウ糖負荷試験とも2日間隔で 行なう限り満足すべき再現性がえられた.

 2)両糖負荷試験より求めた血中糖消却恒数較差は 糖尿病群では各症例とも±0.3の範囲内に,また糖尿 病を合併した肝硬変群では全例十〇.3以下の値を示し た.慢性肝疾患群を血中糖消却恒数較差よりみて増加 型(〉十〇.3),中間型(≦≦士0.3),減少型(く一〇.3)

に分類すると増加型は40%,中間型は48%,減少型は 12%であった.増加型慢性肝疾患では糖尿病の合併を 否定することができる.        肛

 3)肝細胞の再生が強く,肝細胞機能の改善をみた 慢性肝疾患は血中糖消却恒数較差の面からみると増加 型数十肝疾患であり,比較的に再生が弱く,肝細胞機 能障害が不変ないしは増悪を示す症例は中間型および 減少型の慢性肝疾患であった.

 4)慢性肝疾患にみられる血中糖消却恒数較差の増 大は肝細胞機能改善の一指標になる可能性がある.

 5)魚心理能を検:面する場合には0,33g/kgブドウ

糖負荷法よりも0.66コ口kgブドウ糖負荷法を用いた方

がその異常発見率が高い.

(9)

 稿を終るに臨み,終始ご懇篤なご指導とこ校閲を賜った恩師武 内重五郎教撫こ心から感謝の意を表します.きらに高田昭助教授,

杉岡五郎講師ならびに教室諸先生方のこ助接に謝意を表します.

       参 考 文 献

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(10)

      Abstract

  An atempt was made to demonstrate the disturbance of carbohydrate metabolism in chronic hepatic disease, using intravenous glucose (O.33g/kg and O.66glkg) loading tests and the significance of the tests in chronic hepatic disease was also discussed. The results obtained were as follows:

  1) In the hepatic cirrhosis and chronic hepatitis groups, blood glucose decay constants (Ko.33, Ko.66 calculated according to Conard's formula) obtained by both intravenous glucose loading tests were reproducible respectively, when each of the tests was repeated at 2‑day interval in the same individual.

  2) The differences between the two blood glucose decay constants (Ko.66‑Ko.33) distributed within a range of ±O.3 in any case of the diabetes mellitus group.

The differences, on the other hand, in the hepatic cirrhosis and chronic hepatitis groups were distributed more widely than in diabetes mellitus group and were less than +O.3 in hepatic cirrhosis associated with diabetes mellitus. Chronic hepa‑

tic diseases without complication of diabetes mellitus were divided into three types by blood glucose decay constant difference, i. e.: increase type (>+O.3), intermediate type (tt"±O.3) and decrease type (<‑‑‑O.3). Incidence of the increase, intermediate and decrease type were 40%, 48% and 12% respecitively.

  The increase type in chronic hepatic diseases was clearly differentiated from diabetes mellitus and hepatic cirrhosis associated with diabetes mellitus by glucose decay constant difference.

  3) Blood glucose decay constant difference showed above +O.3 in the patient either with hepatic cirrhosis or with chronic hepatitis, having pronounced hepatic cell regeneration and improvement of hepatic cell function in the clinical course, but the difference was below +O.3 in the patient with chronic hepatic disease in whom hepatic cell regeneration was not remarkable and hepatic cell function showed exacerbation.

  4) It seemed that the difference between blood glucose decay constants more than +O.3 was indicative of possible improvement of the hepatic cell function.

  5) In the study of glucose disposal ability, O.66 g/kg glucose loading test gives

a better detectability of this abnormablity than O.33 glkg glucose loading test.

表 1 No. −乙ウ臼りδ 氏名 T.M. T.N. K.A. 性 年齢24ームρ00﹂盈U小○小○OT 35 T8 T0OT︿○小○MNHSHS4FOρ0 49 R4 S8 T4小0小00†3YKKKSSMK78910 22 T0 R6 R5 S7 V0 T3 U3 S0 Q5 U4 U7 U0 T2 U2 V4 T1 U4 V0 T3∩モ♂︹子小Q小0小0小○小00T∩¥小OOT小○幽小○小○OT小○小O小○○了NSHYNT101YKANITSOKTTAHTTKKSTMHSTSKYTKSMK11P2P

参照

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図 21 のように 3 種類の立体異性体が存在する。まずジアステレオマー(幾何異 性体)である cis 体と trans 体があるが、上下の cis