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新規化合物の初期臨床開発におけるModel Informed Drug Discovery & Developmentの実践に関する研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

新規化合物の初期臨床開発におけるModel Informed Drug Discovery & Developmentの実践に関する研究

馬場, 裕子

http://hdl.handle.net/2324/2236165

出版情報:九州大学, 2018, 博士(創薬科学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

博士論文

新規化合物の初期臨床開発における

Model Informed Drug Discovery & Development の実践に関する研究

2019 年

九州大学大学院 薬学府 創薬科学専攻 薬物動態学分野

馬場 裕子

(3)
(4)

目次

目次 ... 1

略号及び用語の定義一覧... 3

緒言 ... 7

公開論文 ... 10

第1章 ... 11

1. 背景 ... 12

2. 目的 ... 13

3. カニクイザルにおける解析方法 ... 13

3.1 解析に用いたデータ... 13

3.2 共変量 ... 14

3.3 解析環境 ... 14

3.4 解析 ... 15

3.4.1 PK解析 ... 15

3.4.2 PK/PD解析 ... 20

4. カニクイザルにおける解析結果 ... 27

4.1 データセット ... 27

4.2 PK解析 ... 29

4.2.1 最終PKモデル ... 29

4.2.2 最終PKモデルの評価 ... 33

4.3 PK/PD解析 ... 37

4.3.1 最終PK/PDモデル ... 37

4.3.2 最終PK/PDモデルの評価 ... 41

5. ヒトへの外挿 ... 43

(5)

2

5.1 ヒトにおけるPKモデル ... 43

5.2 ヒトにおけるPK/PDモデル ... 44

6. ヒトにおけるSIMULATION ... 45

6.1 MABEL ... 45

6.2 ヒトにおけるPK/PD推移 ... 46

7. 考察 ... 49

第2章 ... 53

1. 背景 ... 54

2. 目的 ... 54

3. FIH試験の方法 ... 55

4. FIH試験の結果 ... 56

4.1 ヒトにおけるPK解析 ... 56

4.2 ヒトにおけるPD解析 ... 59

4.3 ヒトにおけるPK/PD解析結果と推定値の相違 ... 61

4.4 ヒトにおける免疫原性... 63

5. 考察 ... 63

総括 ... 67

参考文献 ... 69

APPENDICES ... 73

E6011について ... 73

NONMEM INPUT FOR FINAL PK MODEL ... 75

NONMEM INPUT FOR FINAL PK/PD MODEL ... 78

謝辞 ... 81

(6)

略号及び用語の定義一覧

略号 用語の定義

ABPI Association of the British Pharmaceutical

Industry 英国製薬工業協会

ADA anti-E6011 antibody 抗E6011抗体

ADAM10 disintegrin-like metalloproteinase 10 -

ADAM17 TNFα-sonverting enzyme -

AUC(0-t)

area under the concentration-time curve from zero time to time of last quantifiable concentration

投与時から定量が可能であった最終採 血時 間(t)まで の血漿中濃 度-時間 曲 線下面積

AUC(0-x)

area under the concentration-time curve from zero (predose) to fixed time-point x after the end of infusion, eg, AUC(0-336h)

投与時から x 時間までの血漿中濃度- 時間曲線下面積(例:AUC(0-336h)) BASE total FKN concentration at pre dose

(baseline of free soluble FKN) E6011 投与前の総 FKN 濃度(分泌型

FKNのベースライン)

BIA BioIndustry Association バイオインダストリー協会

BLQ below the limit of quantification 定量下限未満

BMI body mass index 体格指数

BWhuman human body weight ヒトの体重

BWmonkey monkey body weight カニクイザルの体重

C1 E6011 concentration in the central compartment

中心コンパートメントにおける血清中 E6011濃度

CD Crohn’s disease クローン病

CI confidence interval 信頼区間

CL total clearance 総クリアランス

Cmax maximum observed concentration 最高濃度

Complex E6011-FKN complex concentration E6011と分泌型FKNの結合体の濃度

CV coefficient of variation 変動係数

CX3CL1 chemokine (C-X3-C motif) ligand 1

(fractalkine) CX3C サブファミリーケモカインのリ

ガンド1(フラクタルカイン)

CX3CR1 chemokine (C-X3-C motif) receptor 1 (receptor of fractalkine)

CX3C サブファミリーケモカインのレ セ プ ター1(フ ラクタル カ イン の受 容 体)

DN AUC(0-t) dose-normalized AUC(0-t) 単位用量あたりのAUC(0-t)

DN Cmax dose-normalized Cmax 単位用量あたりのCmax

ELISA enzyme-linked immunosorbent assay 酵素免疫測定法

EMAX maximum effect 最大効果

EMEA European Medicines Evaluation Agency 欧州医薬品審査庁

(7)

4 略号 用語の定義

FDA Food and Drug Administration 米国食品医薬品局

FIH first in human 被験薬をヒトに対して初めて投与する

こと FKN fractalkine (CX3CL1; chemokine [C-X3-C

motif] ligand 1 ) フラクタルカイン(CX3CL1)

FKNSfree free soluble FKN concentration E6011に結合していない分泌型FKN濃

FKNtot total FKN concentration 総FKN濃度

FOCE first order conditional estimation 一次近似法

IBD inflammatory bowel diseases 炎症性腸疾患

IgE immunoglobulin E 免疫グロブリンE

IgG immunoglobulin G 免疫グロブリンG

IIV inter-individual variability 個体間変動

IV intravenous 静脈

IVIVE in vitro to in vivo extrapolation In vitroからin vivoへの外挿

IWRES individual weighted residual 個別の重み付き残差

K12 transfer rate constant from the central compartment to the peripheral compartment

中心コンパートメントから末梢コンパ ートメントへの移行速度定数

K21 transfer rate constant from the peripheral compartment to the central compartment

末梢コンパートメントから中心コンパ ートメントへの移行速度定数

KD steady state dissociation rate constant 定常状態の解離速度定数

KDEG FKN degeneration rate constant 分泌型FKNの異化速度定数

KE elimination rate constant from the central compartment

中心コンパートメントからの消失速度 定数

KINT complex internalization rate constant E6011 と分泌型 FKN の結合体の内在 化速度定数

KM Michaelis-Menten rate constant ミカエリス-メンテン速度定数

KOFF dissociation rate constant 解離速度定数

KON binding rate constant 結合速度定数

KSS quasi-steady-state constant Quasi steady state定数

KSYN FKN production rate constant 分泌型FKNの生成速度定数

LLOQ lower limit of quantification 定量下限

mAb monoclonal antibody モノクローナル抗体

MABEL minimum anticipated biological effect level 推定最小薬理作用量

M&S modeling and simulation -

MID3 model informed drug discovery &

development -

(8)

略号 用語の定義

NA not applicable 該当せず

NE not estimated 推定せず

NOAEL no observed adverse effect level 無毒性量

NONMEM nonlinear mixed effects model 非線形混合効果モデル

PBC primary biliary cholangitis 原発性胆汁性胆管炎

PBPK physiologically based pharmacokinetic 生理学的薬物動態

PD pharmacodynamic 薬力学

Pi, j percentile of the jth observation for the ith

participant i という対象の j という観測時点にお

けるパーセンタイル

PK pharmacokinetic(s) 薬物動態

PK/PD pharmacokinetic/pharmacodynamic 薬物動態/薬力学

QSS quasi-steady-state 準定常状態

RA rheumatoid arthritis 関節リウマチ

RSE relative standard error 相対標準誤差

SD standard deviation 標準偏差

shε ε-shrinkage 残差変動のshrinkage

shη η-shrinkage 個体間変動のShrinkage

SVPC standardized visual predictive check -

t1/2,β terminal elimination beta phase half-life β相の最終消失半減期

t1/2,γ terminal elimination gamma phase half-life γ相の最終消失半減期

tmax time at which the highest drug concentration

occurs 最高濃度到達時間

TMDD target-mediated drug disposition 標的介在性薬物分布

Total FKN sum of free soluble FKN and E6011-FKN complex

分泌型FKNとE6011と分泌型FKNの

結合体の和の濃度

ULOQ upper limit of quantification 定量上限

V1 volume of distribution in the central compartment

中心コンパートメントにおける分布容 積

V2 volume of distribution in the peripheral compartment

末梢コンパートメントにおける分布容 積

VM maximum elimination rate constant 最大消失速度定数

VPC visual predictive check -

Vss volume of distribution at steady-state 定常状態の分布容積

WRES weighted residual 重み付き残差

Θ theta, symbol for population parameters 母集団パラメータのシンボル

(9)

6 略号 用語の定義

Σ sigma, symbol for standard deviation

describing the residual variability 残差変動を表す標準偏差のシンボル

Ω omega, symbol for inter-individual variance-

covariance matrix 個体間変動のシンボル

(10)

緒言

医療ニーズが充足されない理由として,コストや時間といった多大なリソースが成果に 結びつかない医薬品開発が挙げられて久しい。医薬品開発の効率化についてアカデミア,

規制当局,製薬企業は進歩・改善を試みてきた。その中で,1990 年代に提唱されたのが,

医薬品の薬物動態や薬力学,安全性といったプロファイルをモデルに統合することで定量 的に 解釈し, 仮説・検 証(Learning-Confirming) を 繰り返す ことで その解釈の 精度を 高め,

後期臨床試験の成功確率を高めることを企図する方法論であった 1。Sheiner1は臨床後期の 成 功 確 率 を 高 め る た め , 医 薬 品 開 発 の よ り 早 期 か ら 取 り 組 む こ と を 強 調 し て い る 。

Modeling and Simulation(以降M&S)とされたこの方法論の呼称は,主にその適用範囲の明

確化・拡大と,医薬品開発における M&S 担当者とチームのコミュニケーションのあるべ き姿の観点から逐次変遷をたどり(Figure 1),近年では Model Informed Drug Discovery &

Development( 以 降 MID3) と 称 さ れ て い る 2。“MID3”に は ,M&S が 化 合 物 選 択

(Discovery),臨床開発(Development)及び研究開発に関わる規制(Regulatory)といった

医薬品開発のあらゆる相において意志決定に関わることを表している。当初の M&S とい う呼称では方法や使用状況が漠然としており,より具体的なPMx(pharmacometrics)やSP

(systems pharmacology)が用いられるようになった。しかし,解析の専門家以外には理解

が難しいという問題があり,医薬品開発に M&S を適用することを指して MBDD(model

based drug development)という呼称が用いられるようになった。長年にわたり使用されて

い た が , モ デ ル が 医 薬 品 開 発 の 意 志 決 定 を 支 配 す る と い う 誤 解 を 生 ん だ た め ,MIDD

(model informed drug development)とされ,その後開発段階における適用範囲を拡大して

MID3となった。本稿では,1章で報告する一連の定量解析を指してM&Sという用語を用

いることとする。

(11)

8

Figure 1. Model Informed Drug Discovery and Development (MID3): genesis of terminology.2

M&S, modeling & simulation; MBDD, model based drug development; MID3, model informed drug discovery & development; MIDD, model informed drug development; PMx, pharmacometrics; SP, systems pharmacology.

MID3 の具体的な適用例としては,標的選択,薬効メカニズム解明,化合物選択,ヒト

PK/PD 推定,試験デザイン適正化,PK/PD の個体間変動要因解明,後期臨床試験のリスク

/ベネフィット予測,用法用量設定,競合薬や標準治療との差別化,対象患者選択及び特 別集団のブリッジングが挙げられる 2。幅広い適応症の臨床試験において,MID3 を適用す ることで症例数の低減及び試験期間の短縮を実現し,コスト削減を達成しており2,今日,

MID3の医薬品開発に対する適用の必要性に議論の余地はないと考えられる。

MID3 は動物やin vitro を対象とする非臨床からヒトを対象とした臨床に移行する相にお

いても適用される。ヒトにおける最初の試験であるFIH(first in human)試験で重要な課題

(12)

となるヒト初回投与量の設定については,従来FDA(Food and Drug Administration)のガイ ドラインによって具体的な計算方法が提示されていた 3。2006 年に発生した抗 CD28 mAb

(monoclonal antibody)である TGN1412 を投与された被験者に重篤な有害事象が発現した

事件を受けて,MABEL(minimum anticipated biological effect level)という概念が提唱され,

リスクの高い化合物のFIH試験については MABELを用いることが推奨された4,5。非臨床 データを PK/PD(pharmacokinetic/pharmacodynamic)モデルに統合して,MABEL を推定し た報告は複数ある6,7,8,9,10。いずれも問題解決の手法としてMID3の有用性を主張している。

しかしながら,推定したヒトのPK/PD とFIH 試験から得られた PK/PD を比較した報告は ない。臨床フェーズに入る前のヒトPK/PDの推定は不確実性が極めて高く,実際のデータ との比較で,より客観的に MID3 の有用性を謳えるものと考える。本研究では,当該比較 を行い,本法の有用性と限界について考察した。

本研究では非臨床段階から得られる情報をPK/PDモデルとして要約し,定量的な視点か ら臨床段階の医薬品開発ストラテジーの立案に貢献することで,MID3 における一つの手 法を確立することを目的とした。第1章では,非臨床データをPK/PDモデルに統合し,新

規化合物E6011のMABELを推定し,FIH試験を計画立案した。第2章では,E6011のFIH

試験結果を報告するとともに,1章における推定と比較した。

(13)

10 公開論文

本研究の内容は以下の学術雑誌に収載されたものである。研究者名として旧姓田渕を用 いている。

Pharmacokinetics, Pharmacodynamics, and Safety of E6011, a Novel Humanized Antifractalkine (CX3CL1) Monoclonal Antibody: A Randomized, Double‐Blind, Placebo‐Controlled Single‐ Ascending‐Dose Study.

J Clin Pharmacol. 2018 Dec 21. doi: 10.1002/jcph.1361.

H Tabuchi, T Katsurabara, M Mori, M Aoyama, T Obara, N Yasuda, T Kawano, T Imai, I Ieiri, Y Kumagai.

(14)

第 1 章

Modeling and Simulation を用いた非臨床データの

定量的解釈に基づく First in Human 試験計画の立案

(15)

12 1. 背景

E6011 はエーザイグループの株式会社カン研究所において創製された世界で最初のヒト

化抗 FKN(fractalkine)mAb である。FKN は接着分子としての作用と白血球遊走・活性化

作用を併せもち,炎症細胞のみならず広く免疫担当細胞の生体内動態を制御することによ り,免疫応答において重要な役割を果たしていることが示唆されている 11。ケモカインの ほとんどは分泌型タンパク質として血中に存在し,細胞遊走活性を示す。一方,FKN は,

膜結合型と分泌型の 2 つの形態で存在する 12。膜結合型 FKN がプロテアーゼ(ADAM10 [disintegrin-like metalloproteinase 10],ADAM17 [TNFα-sonverting enzyme] )によって切断さ

れて,分泌型FKN として血中に放出される。膜結合型FKN は,単球及びリンパ球などの 細胞表面に発現したFKNレセプター(CX3CR1 [chemokine {C-X3-C motif} receptor 1] )を 介して細胞接着分子としての作用を示す。分泌型FKNはCX3CR1が発現した細胞に対して 遊走活性を示す 13,14。FKN の発現部位は血管内皮細胞を始め,樹状細胞,ニューロン,活 性化アストロサイト,膵臓 β 細胞,腎メサンギウム細胞,気道,尿細管及び腸管上皮細胞 である11。ヒトにおける膜結合型FKNの発現の程度については分かっていないが,分泌型 FKNについては健康成人の血清中において0.56 ± 0.56 ng/mLとの報告がある15。in vivo/in vitroの多くの報告からFKNが炎症性疾患に関与していることが示唆されており,E6011は CD(Crohn’s disease),RA(rheumatoid arthritis)及びPBC(primary biliary cholangitis)の治

療に有効であると考えられている。E6011 の薬理及び毒性については Appendices に添付し た。

ヒト初回投与量の設定にあたっては,被験薬のリスクを考慮しなければならない。潜在 的リスクが認識されるならば,MABEL4,5を用いることが推奨される。MABEL の算出につ いては具体的な規定はない。ガイドラインでは,PK/PDに関わる全てのin vitro及びin vivo の情報を利用しMABELを算出すること,可能であればそれらの情報をPK/PDモデルに統

合しMABELを設定することと記載がある4

(16)

E6011 は免疫系を標的とする新規作用機序を有し,受容できない毒性の可能性が考えら

れ た 。 そ の た め ,in vivo 及 び in vitro の 情 報 を PK/PD モ デ ル に 統 合 し 利 用 す る こ と で

MABEL を算出し,ヒト初回投与量を設定することとした。さらにヒトの PK/PD を推定し,

FIH試験計画の立案を行った。

2. 目的

カニクイザルにおけるE6011のPK及びPK/PDモデルを構築し,ヒトに外挿してFIH試 験のヒトにおけるPK/PDを推定することで,ヒトにおけるE6011のMABEL及びPK/PD推 移を推定することである。

3. カニクイザルにおける解析方法 3.1 解析に用いたデータ

カニクイザルを用いた 2 つの非臨床試験(DMPKT2011-007 及び T11005)において,カ ニクイザル総計n=19に0.05~100 mg/kgを単回IV投与後,経時的に採血した。これらの試 験から得られた血清中E6011濃度(E6011),血清中総FKN濃度(total FKN)及び抗E6011 抗体の有無(ADA; Anti-E6011 antibody)のデータを解析に用いた。試験概要を Table 1 に示 す。

(17)

14

Table 1. Summary of Studies Included in PK and PK/PD Analyses

Study Number DMPKT2011-007 T11005

Animal Cynomolgus monkey Cynomolgus monkey

Number of Animals 15 (Male: 15, 3/dose group) 4 (Male: 2, Female: 2, 1/dose group/gender)

Dose (mg/kg) 0.05, 0.3, 1, 3, 10 30, 100

Study objective To assess the PK profile of E6011 after single intravenous bolus in Cynomolgus monkeys

To assess the toxicity of E6011 after single intravenous infusion in Cynomolgus monkeys

Analyte E6011, ADA, total FKN E6011, ADA, total FKN

Sampling Point

0.05, 0.3 mg/kg: Pre dosing, at 5 minutes, 1, 2, 4, 8, 24, 48, 72, 96 hours, and 1, 2, 3, 4, 5, 6 weeks after dosing (16 points)

1 mg/kg: Pre dosing, at 5 minutes, 1, 2, 4, 8, 24, 48, 72, 96 hours, and 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8 weeks after dosing (18 points)

3, 10 mg/kg: Pre dosing, at 5 minutes, 1, 2, 4, 8, 24, 48, 72, 96 hours, and 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13 weeks after dosing (23 points)

Pre dosing, at 5 minutes, 1, 4, 8, 24, 48, 96 hours, and 1, 2, 3, 4, 5, 6 weeks after dosing (14 points)

3.2 共変量

本解析はカニクイザルにおけるPK又はPDデータと背景因子との関係性を探索すること を目的としていないため,データセットには背景因子及び共変量となるデータを含まなか った。

3.3 解析環境

・ThinkPad T410, lenovo (OS: Windows XP)

 NONMEM(nonlinear mixed effects model) version 6.2

 R version 2.12.2

(18)

 EXCEL2003

・EliteBook 2540p, hp (OS: Windows7)

 EXCEL2010

3.4 解析 3.4.1 PK解析 3.4.1.1 PKモデル

カニクイザルに E6011 を単回 IV(intravenous)投与した時の投与量ごとの血清中 E6011 濃度推移(片対数)をFigure 2に示す。LLOQ(lower limit of quantification)は0.020 µg/mL である。血清中E6011濃度は,投与直後の高濃度域では2相性(α及びβ相)に減少した。

約10 µg/mL以下ではE6011は急峻に減少した(γ相)。

(19)

16

Figure 2. Observed Serum E6011 Concentrations in Cynomolgus Monkey The circles represent the observed data.

(20)

PKモデルとして,セントラルコンパートメントから線形及び非線形の消失過程を有する 2コンパートメントモデルを検討した。非線形の消失過程はMichaelis-Menten型の消失経路

として記述した。mAb の PK モデルとして,線形,非線形,並びに線形及び非線形の消失 過程を伴うモデルが報告されている 16。本解析では消失過程を生理学的に最もよく表して いると考えられる線形及び非線形の消失過程を有する 2 コンパートメントモデルを採用し た。

PKモデルをFigure 3に示す。

(21)

18

Figure 3. Schematic of PK Model

IV, intravenous; K12, Transfer rate constant from the central compartment to the peripheral compartment; K21, Transfer rate constant from the peripheral compartment to the central compartment; KE, Elimination rate constant from the central compartment; KM, Michaelis-Menten rate constant (E6011 concentration at which elimination is at half maximum); V1, Volume of distribution in the central compartment; VM, Maximum elimination rate constant.

(22)

パラメータの個体間変動は正規分布を仮定した対数分布モデルで評価した。残差変動は 等誤差及び比例誤差モデルを評価した。

モデルの採否にあたっては下記の評価項目を考慮した。

・ Minimization procedure converges

・ Number of significant digits at least 3

・ Covariance step terminates without any warning message

・ RSEs (Relative standard errors) of the estimates should preferably be less than 50%

・ No correlation between parameters greater than 0.95

データのモデルへのあてはまりは goodness-of-fit-plots により評価した。さらに,パラメー

タのpost-hoc値の頑健性検討のため shrinkage17を評価した。PK パラメータのshrinkage が

30%よりも大きい場合,当該パラメータは不適切であると判断した。

3.4.1.2 最終PKモデルの評価

最終PKモデルはBootstrap re-sampling technique18及びSVPC(standardized visual predictive

check)19を用いて評価した。

SVPCとは,投与量別各群の例数が少なく、かつPK又はPDに非線形性があり投与量に

より標準化出来ないときなど,VPC(visual predictive check)に代えて用いる手法である。

解析に用いたデータセットに基づき,1000データセットを最終PK又はPK/PDモデルから 発生させ,iという対象(カニクイザルサル)のj という観測時点におけるパーセンタイル

(Pi,j)を以下で計算する。yijを実測値,y'ij,kを k 番目のデータセットのシミュレーション 値としたとき,yij > y'ij,kの場合δij,k=1, それ以外の場合0として算出する。

, = 1

1001 1 + ,

PK又はPK/PD構造モデルやパラメータが適切であれば,Pi,jは0~1に一様分布する。

(23)

20 3.4.2 PK/PD解析

3.4.2.1 PK/PDモデル

カニクイザルに E6011 を単回 IV 投与した時の投与量ごとの血清中総 FKN 濃度推移を Figure 4に示す。LLOQは0.3 ng/mL,ULOQ(upper limit of quantification)は6 ng/mLであ

る。100 mg/kg群の投与後336時間以降の血清中総FKN濃度はULOQを超えた。血清中総

FKN濃度は用量依存的に増大し,血清中E6011濃度の減少に相関して減少した。10及び30

mg/kgの推移から,投与後速やかに定常状態に達することが示唆された。また,E6011投与

後に総FKNが増大したことから,分泌型 FKNの消失速度はE6011が結合することにより 延長したと考えられた。

(24)

Figure 4. Observed Serum Total FKN Concentrations in Cynomolgus Monkey The circles represent the observed data.

(25)

22

E6011と膜結合型及び分泌型FKNの相互作用を考慮した関係をFigure 5に示す。mAbの

よ う に 標 的 に 結 合 す る 過 程 が 薬 物 動 態 を 規 定 す る 化 合 物 の 構 造 モ デ ル と し て ,TMDD

(target-mediated drug disposition) モ デ ル が 知 ら れ て い る 20。 化 合 物 (eg., E6011), 標 的

(eg., FKN)及び化合物と標的の結合体(eg.,E6011-FKN complex)各々の濃度の式で本モ

デルは構成される。E6011 の場合,E6011,分泌型 FKN,膜結合型 FKN,E6011 と分泌型 FKNの結合体,E6011と膜結合型FKN の結合体の濃度である。膜結合型FKN 及び分泌型 FKN の 測 定 は 技 術 的 に 実 現 不 能 で あ っ た 。 分 泌 型 FKN は ,ELISA(enzyme-linked

immunosorbent assay)を用いた測定系においてキャプチャー抗体と E6011 が競合するため

測定できなかった。また,Figure 5に示すコンパートメント間の関係性を,カニクイザルを 用いた非臨床試験で測定可能であった総FKN濃度(分泌型FKNとE6011-分泌型FKN結合 体の和)ではモデル化してパラメータを推定することが困難であった。そこで,Figure 5に おいてグレーで表示した膜結合型FKNに結合することによるE6011の消失過程を含まない

モデル(Figure 6)で記述することとした。膜結合型 FKN による消失過程が含まれないた

め,E6011濃度は総FKN濃度と同時解析せず,PK解析に続いてPK/PD解析を行うことと

した。

(26)

Figure 5. Schematic of Full Mechanism-Based PK/PD Model

Complex, E6011-FKN complex concentration; Free soluble FKN, free soluble FKN concentration; IV, intravenous; KD, steady state dissociation rate constant; KDEG, FKN degeneration rate constant;

KINT, complex internalization rate constant; Membrane bound FKN, membrane bound FKN concentration.

(27)

24

Figure 6. Schematic of PK/PD Model

Complex, E6011-FKN complex concentration; Free soluble FKN, free soluble FKN concentration; IV, intravenous; KD, steady state dissociation rate constant; KDEG, FKN degeneration rate constant;

KINT, complex internalization rate constant; KSYN, FKN production rate constant.

(28)

総FKN濃度のみで記述するために,QSS(quasi-steady-state)近似を仮定した。QSS近似

はComplexの時間的変化がないとみなせる場合に成立する。

( )

= × 1 × − ( + ) × = 0

=

ここで,ComplexはE6011と分泌型FKNの結合体の濃度,KONは結合速度定数,C1は 中心コンパートメントにおける血清中E6011濃度,FKNSfreeはE6011に結合していない分泌 型FKN濃度,KINTはComplexの内在化速度定数,KOFFは解離速度定数,KDは定常状態 の解離速度定数である。

Figure 4 に示す通り,総FKN 濃度推移は投与後速やかに定常状態に到達することから,

Complexが一定レベルである時間が長く,Complex の時間的変化を0 とするQSS 近似は妥

当であると考えた。近似を用いたTMDDモデルのパラメータの同定の精度については議論 されており,QSS近似はTMDDを示すPK及びPDデータを良好に記述する事が示されて

いる20,21

E6011は膜結合型及び分泌型FKN に結合し,結合体として血清中から消失する。E6011-

膜結合型 FKN 結合体は血清中に分泌されないことが実験的に示された。故に,総 FKN 濃 度(FKNtot)は分泌型FKN(FKNSfree)とE6011-分泌型FKN結合体(Complex)の和である と考えられた。

= +

総FKN濃度(FKNtot)の時間変化は下記のとおりである21

= − × − ( − ) × × 1

+ 1

=

= +

(29)

26

=

ここで,KSYN は分泌型 FKN の生成速度定数,KDEG は分泌型 FKN の異化速度定数,

KSSはQSS定数,BASEはE6011投与前の総FKN濃度(分泌型FKNのベースライン)で

ある。

総FKN濃度の時間変化は下記の通り書き換えることができる21。最終PKモデルから得 られた個別のPKパラメータを用いてC1 を算出し,総FKN 濃度について下記の式で記述 した。

= − × × 1 − × 1

+ 1 =1−

ここで,EMAXは最大効果である。

最後に,総 FKN 濃度を用いて推定したパラメータ KSS を用いて, 下記の式からE6011 と結合していない分泌型FKN濃度(FKNSfree)を推定することにより21,MABELを求める こととした。

= ×

+ 1

個体間変動については,総FKN濃度のデータ数が各パラメータの個体間変動を推定する には少なく,また,母集団平均の代表値として MABEL を推定するため,個別の推定値を 得る必要はないと考え検討しなかった。残差変動は等誤差及び比例誤差モデルを評価した。

モデルの採否にあたっては下記の評価項目を考慮した。

・ Minimization procedure converges

・ Number of significant digits at least 3

・ Covariance step terminates without any warning message

・ RSEs of the estimates should preferably be less than 50%

・ No correlation between parameters greater than 0.95

(30)

データのモデルへのあてはまりはgoodness-of-fit-plotsにより評価した。

3.4.2.2 最終PK/PDモデルの評価

最終PK/PDモデルはBootstrap re-sampling technique18及びSVPC19を用いて評価した。

4. カニクイザルにおける解析結果 4.1 データセット

PK及びPK/PD解析におけるデータセットはそれぞれ,カニクイザルn=19(投与量0.05

~100 mg/kg)及び血清中 E6011 濃度の観測値 n=232,並びにカニクイザル n=15(投与量

0.3~100 mg/kg)及び血清中総FKN濃度の観測値n=105であった。

PK解析では,E6011を投与し,投与及び採血情報のある少なくとも一つのLLOQ(0.020

µg/mL)以上のE6011濃度データを有するカニクイザルのデータを解析対象とした。Figure

7に100 mg/kg群の血清中E6011及びTotal FKN濃度推移を示した。100 mg/kg群(n=2)の

うち1例(検体番号:ID18)の投与後840時間及び 1008時間E6011濃度データは,ADA の影響を受けていると考えられ,PKモデルに合致しなかったため解析から除外した。なお,

ADAはカニクイザルn=11(0.05 mg/kg: n=3,0.3 mg/kg: n=2,1 mg/kg: n=2,3 mg/kg: n=2, 10 mg/kg: n=0,30 mg/kg: n=1,100 mg/kg: n=1)において観察された。

PK/PD 解 析 では,E6011 を投 与し,投 与及び 採 血情 報 のあ る少 な くとも 一 つ の LLOQ

(0.3 ng/mL)からULOQ(6 ng/mL)の総FKN濃度データを有するカニクイザルのデータ

を解析対象とした。100 mg/kg群(n=2)のうち1例(検体番号:ID18)の投与後840時間 の総FKN 濃度データは,ADA の影響を受けていると考えられたため,PK/PD 解析から除

外した(Figure 7)。なお,100 mg/kg群の投与後336時間以降の血清中総FKN濃度はULOQ

を超えたため解析から除外した。

(31)

28

Figure 7. Observed Serum E6011 and Total FKN Concentrations in Cynomolgus Monkey: 100 mg/kg

(32)

4.2 PK解析

4.2.1 最終PKモデル

血清中 E6011 濃度推移はセントラルコンパートメントから線形及び非線形(Michaelis-

Menten型)の消失過程を有する2コンパートメントモデルを採用した。パラメータの個体

間変動は正規分布を仮定した対数分布モデルを採用した。KE(中心コンパートメントから の消失速度定数)はサルにおけるIgGの半減期(8.3日)22から算出し,V1(中心コンパー トメントにおける分布容積)はサルの血液量 55~75 mL/kg23 から求めた値に推定値が近似 してい たため固定 した。K12(中心コンパート メントから末梢コンパー トメント への移行 速 度 定数) は収束 の安定化 のため 直 前の 推 定値で 固 定し た。 個 体間 変 動は KE,V1,VM

(最大消失速度定数)及び K21(末梢コンパートメントから中心コンパートメントへの移 行速度定数)について推定した。残差変動(ε)は等誤差モデルと比例誤差モデルを検討し,

等 誤 差 モ デ ル を 採 用 し た 。 尤 度 関 数 算 出 過 程 に お け る 近 似 法 と し て FOCE(first order conditional estimation)を用いた。

最終PKモデルにおけるパラメータの推定値をTable 2に示す。E6011濃度の観測値とモ デルから推定した母集団平均値の片対数時間推移図及びgoodness-of-fit plotsをFigure 8及び Figure 9にそれぞれ示す。NONMEM input fileをAppendicesに添付した。

各パラメータの RSE は 40%未満であった。shrinkage は 30%未満であり,パラメータの

post-hoc値の頑健性が示された。ベイズ推定の有無に関わらず,最終PKモデルはE6011濃

度 の 観 測 値 を 良 好 に 記 述 し た 。|IWRES|(individual weighted residual) vs. individual prediction よ り , 残 差 変 動 に つ い て 等 誤 差 モ デ ル は 適 切 に 選 択 さ れ た こ と が 示 さ れ た 。 WRES(weighted residual) vs. population prediction,dose(mg/kg)及びtime(h)より,観

測値は 0 を中心に均等に分布しており最終 PK モデルは観測値,投与量及び時間の影響を 受けないことが示された。

(33)

30

Table 2. PK Parameter Estimates of Final PK Model NONMEM Estimates

Parameter [Unit] Point Estimate RSE (%) Shrinkage (%)

Θ1: KE [1/h] 0.00350 fix NE -

Θ2: V1 [L] 0.120 fix NE -

Θ3: VM [mg/h] 0.00579 8.45 -

Θ4: KM [mg/L] 0.396 22.5 -

Θ5: K12 [1/h] 0.0363 fix NE -

Θ6: K21 [1/h] 0.0437 6.59 -

Inter-individual variability (CV (%))

Ω1: KE 29.3 34.9 27.9

Ω2: V1 15.9 24.0 6.42

Ω3: VM 24.6 34.8 15.0

Ω4: K21 28.1 39.8 10.9

Residual variability (µg/mL)

Σ (additive) 0.0818 8.50 12.9

CV, Coefficient of variation; K12, Transfer rate constant from the central compartment to the peripheral compartment; K21, Transfer rate constant from the peripheral compartment to the central compartment; KE, Elimination rate constant from the central compartment; KM, Michaelis-Menten rate constant (E6011 concentration at which elimination is at half maximum); NE, not estimated;

Ω, Omega, symbol for inter-individual variance-covariance matrix; RSE, relative standard error of the estimate = SE/parameter estimate x 100; Σ, Sigma, symbol for standard deviation describing the residual variability; Θ, Theta, symbol for population parameters; V1, Volume of distribution in the central compartment; VM, Maximum elimination rate constant.

(34)

Figure 8. Observed and Typical Predicted E6011 Concentration-Time Profile in Cynomolgus Monkeys

Line represents typical predicted (population mean) E6011 concentration time course. Circles represents observed E6011 concentrations.

(35)

32

Figure 9. Goodness-of-Fit Plots of Final PK Model IWRES; individual weighted residual, WRES; weighted residual.

(36)

4.2.2 最終PKモデルの評価 4.2.2.1 BOOTSTRAP METHOD

Minimization success rate は100%であった。Table 3 にBootstrapの結果を示す。Bootstrap

により推定したパラメータの分布の中央値は最終 PK モデルのパラメータと近似していた。

Bootstrap 法により,最終 PK モデルは安定でパラメータの推定精度は良好であることが示

された。

(37)

34

Table 3. Bootstrap (Final PK Model, 1000 Replicates)

Parameter [Unit] Population Mean Bootstrap Median (95%CI)

Θ1: KE [1/h] 0.00350 fix NA

Θ2: V1 [L] 0.120 fix NA

Θ3: VM [mg/h] 0.00579 0.00555

(0.00459, 0.00677)

Θ4: KM [mg/L] 0.396 0.393

(0.173, 0.524)

Θ5: K12 [1/h] 0.0363 fix NA

Θ6: K21 [1/h] 0.0437 0.0433

(0.0376, 0.0488) Inter-individual variability

Ω1: KE 0.0856 0.0892

(0.0328, 0.199)

Ω2: V1 0.0252 0.0247

(0.0129, 0.0391)

Ω3: VM 0.0607 0.0501

(0.00931, 0.0969)

Ω4: K21 0.0792 0.0602

(0.00843, 0.133) Residual variability (µg/mL)

Σ (additive) 0.0818 0.0816

(0.0689, 0.0964) CI, confidence interval; K12, Transfer rate constant from the central compartment to the peripheral compartment; K21, Transfer rate constant from the peripheral compartment to the central compartment; KE, Elimination rate constant from the central compartment; KM,

Michaelis-Menten rate constant (E6011 concentration at which elimination is at half maximum);

NA, not applicable; Ω, Omega, symbol for inter-individual variance-covariance matrix; Σ, Sigma, symbol for standard deviation describing the residual variability; Θ, Theta, symbol for population parameters; V1, Volume of distribution in the central compartment; VM, Maximum elimination rate constant.

(38)

4.2.2.2 SVPC

Pi,j vs. TIME(h)及びDOSE(mg/kg)をFigure 10に示す。Pi,j vs. E6011濃度は全時間を

通して0と1の間に均等に分布した。PK推移は最終PKモデルにより良好に記述されたと 考えられた。投与量の推定値に対する影響を検討したところ,10 mg/kg でやや過大な推定,

30 mg/kg doseでやや過小な推定がみられたが,全体としてPi,jは均等にばらついた。

(39)

36

Figure 10. SVPC Plots for the Final PK Model

Circles: calculated Pi,j for each observation. Dashed line: 2.5th, 50th, and 97.5th percentiles of model- predicted Pi,j (from bottom to top). Pi, j, percentile of the jth observation for the ith participant.

(40)

4.3 PK/PD解析

4.3.1 最終PK/PDモデル

QSS近似を仮定したTMDD modelをPK/PD構造モデルとして採用した。BASEのRSEが

67.4%とモデル採否の基準を超えたため,推定値 0.000209 に固定したところ安定して収束

した。残差変動(ε)は等誤差モデルと比例誤差モデルを検討し,比例誤差モデルを採用し た。尤度関数算出過程における近似法としてFOCEを用いた。

最終PK/PDモデルにおけるパラメータの推定値をTable 4に示す。総FKN濃度の観測値

とモデルから推定した母集団平均値の片対数時間推移図,及びgoodness-of-fit plotsをFigure 11及びFigure 12にそれぞれ示す。NONMEM input fileをAppendicesに添付した。

KDEG( 分 泌 型 FKN の 消 失 速 度 定 数 ;0.0900 /h) は KINT( 結 合 体 の 消 失 速 度 定 数 ;

0.00234 /h)よりも大きかった。各パラメータのRSEは20%未満であった。最終PK/PDモ

デルにより総FKN濃度推移は良好に記述された。WRES vs. population prediction及びtime

(h)より,データは均等に分布し,最終 PK/PD モデルは濃度及び時間に依存しないこと が示された。また,WRES と投与量に全般的に相関はなかったが,100 mg/kg では総 FKN 濃度をやや低く推定した。

(41)

38

Table 4. Parameters Estimates of Final PK/PD Model NONMEM Estimates

Parameter [Unit] Point Estimate RSE (%)

Θ1: KSYN [µg/mL/h] 0.0000188 9.73

Θ2: BASE [µg/mL] 0.000209 fix NE

Θ3: EMAX [-] 0.974 0.52

Θ4: KSS [µg/mL] 1.75 18.6

KDEG

(=KSYN/BASE) [1/h] 0.0900 NA

KINT

(= (1-EMAX)*KDEG) [1/h] 0.00234 NA

Residual variability (CV%)

Σ (proportional) 21.9 8.38

BASE, total FKN concentration at pre dose (baseline of free soluble FKN); CV, Coefficient of variation; EMAX, Maximum effect; KDEG, FKN degeneration rate constant; KINT, complex internalization rate constant; KSS, Quasi-steady-state constant; KSYN, FKN production rate constant; NA, Not applicable; NE, not estimated; RSE, relative standard error of the estimate = SE/parameter estimate x 100; Σ, Sigma, symbol for standard deviation describing the residual variability; Θ, Theta, symbol for population parameters.

(42)

Figure 11. Observed and Typical Predicted Total FKN Concentration-Time Profile in Cynomolgus Monkeys

Line represents typical predicted (population mean) total FKN concentration time course. Circles represents observed total FKN concentrations.

(43)

40

Figure 12. Goodness-of-Fit Plots of Final PK/PD Model WRES, weighted residual.

(44)

4.3.2 最終PK/PDモデルの評価 4.3.2.1 BOOTSTRAP METHOD

Minimization success rate は100%であった。Table 5にBootstrapの結果を示す。信頼区間

(CI)は小さかった。Bootstrapにより推定したパラメータの分布の中央値は最終PK/PDモ デルのパラメータと近似していた。Bootstrap法により,最終PK/PDモデルは安定でパラメ ータの推定精度は良好であることが示された。

Table 5. Bootstrap (Final PK/PD Model, 1000 Replicates)

Parameter [Unit] Population Mean Bootstrap Median (95%CI)

Θ1: KSYN [µg/mL/h] 0.0000188 0.0000188

(0.0000153, 0.0000227)

Θ2: BASE [µg/mL] 0.000209 NA

Θ3: EMAX [-] 0.974 0.974

(0.964, 0.987)

Θ4: KSS [µg/mL] 1.75 1.75

(1.24, 2.72) Residual variability

Σ (proportional) 0.048 0.0458

(0.0371, 0.0537) BASE, total FKN concentration at pre dose (baseline of free soluble FKN); CI, confidence interval; EMAX, Maximum effect; KSS, Quasi-steady-state constant; KSYN, FKN production rate constant; NA, Not applicable; Σ, Sigma, symbol for standard deviation describing the residual variability; Θ, Theta, symbol for population parameters.

4.3.2.2 SVPC

Pi,j vs. TIME(h)及びDOSE(mg/kg)をFigure 13に示す。Pi,j vs. 総FKN濃度は全時間

を通して0と1の間に均等に分布した。総FKN 濃度推移は最終PK/PDモデルにより良好 に記述されたと考えられた。投与量の推定値に対する影響を検討したところ,低用量では わずかに過大な推定,100 mg/kg doseで過小な推定がみられたが,全般的にPi,jは均等にば らついた。

(45)

42

Figure 13. SVPC Plots for the Final PK/PD Model

Circles: calculated Pi,j for each observation. Dashed line: 2.5th, 50th, and 97.5th percentiles of model- predicted Pi,j (from bottom to top). Pi, j, percentile of the jth observation for the ith participant.

(46)

5. ヒトへの外挿

5.1 ヒトにおけるPKモデル

種 間 の モ デ ル の ス ケ ー リ ン グ に は , ア ロ メ ト リ ッ ク ス ケ ー リ ン グ と ,PBPK

(physiologically based pharmacokinetic)解析を用いたIVIVE(in vitro to in vivo extrapolation) による外挿の2種があり,一般的にmAbで用いられるのは前者である24。カニクイザルの 最終PKモデルのパラメータはヒト(BWhuman = 60 kg)とサル(BWmonkey = 3.44 kg,PK解 析に用いたカニクイザルn=19の中央値)の比を用いたアロメトリックスケーリングにより ヒトに外挿した。

P はパラメータ,b はアロメトリック指数,BW(body weight)は体重である。CL(total clearance ;=KE*V1),VM及びQはbを0.7525とおいた。他の文献においてmAbのCLのb

として 0.9626,0.8527又は0.828といった報告がある。最小の 0.75を採用することでヒトの CL は最小となり E6011 濃度は高くなるため,より保守的に MABEL を推定できると考え

た。V1及びV2はbを125,26,27とおいた。KMは種間のE6011の交差反応試験の結果からヒ

トとカニクイザルで同等とした。

動物モデルからヒトの PK を,アロメトリックスケーリングを用いて推定する手法は,

E6011 の よ う に PK が 3 相 性 を 呈 す る mAb で は , 低 用 量 の Cmax(maximum observed

concentration)を過大に推定する可能性がある 25。β 相以上の濃度域であれば推定は良好で

ある。本法はMABEL推定にあたって,保守的なPK暴露量を提供すると考えた。

上記により推定したヒトのPKパラメータをTable 6に示す。

(47)

44

Table 6. Human-Projected PK Parameters of Human PK Model

Parameter [Unit] Parameter value for human

Θ1: KE [1/h] 0.00171

Θ2: V1 [L] 2.09

Θ3: VM [mg/h] 0.0494

Θ4: KM [mg/L] 0.396

Θ5: K12 [1/h] 0.0178

Θ6: K21 [1/h] 0.0214

K12, Transfer rate constant from the central compartment to the peripheral compartment; K21, Transfer rate constant from the peripheral compartment to the central compartment; KE, Elimination rate constant from the central compartment; KM, Michaelis-Menten rate constant (E6011 concentration at which elimination is at half maximum); V1, Volume of distribution in the central compartment; VM, Maximum elimination rate constant; Θ, Theta, symbol for population parameters.

5.2 ヒトにおけるPK/PDモデル

BASEはヒトサンプルを用いた実験から得られた0.00099 µg/mLに変更した。KSSは種間

のE6011の交差反応試験の結果より,ヒトとカニクイザルで同等とした。KSYN,KDEG及

びKINTについては,ヒトとカニクイザルの種差の情報がないため調整しなかった。KDEG 及 び KINT は カ ニ クイ ザル の 値 と 同 等 と 仮 定 し ,KSYN は 4.74 倍 (KSYN=KDEG*BASE, 3.4.2.1 )した。EMAXはEMAX=1–KINT/KDEG(3.4.2.1 )により計算した。

上記により推定したヒトのPK/PDパラメータをTable 7に示す。

(48)

Table 7. Human-projected PK/PD Parameters of Human PK/PD Model

Parameter [Unit] Parameter value for human

Θ1: KSYN [µg/mL/h] 0.0000891

Θ2: BASE [µg/mL] 0.00099

Θ3: EMAX [-] 0.974

Θ4: KSS [µg/mL] 1.75

KDEG

(=KSYN/BASE) [1/h] 0.0900

KINT

(= (1-EMAX)*KDEG) [1/h] 0.00234

BASE, total FKN concentration at pre dose (baseline of free soluble FKN); EMAX, Maximum effect; KDEG, FKN degeneration rate constant; KINT, complex internalization rate constant;

KSS, Quasi-steady-state constant; KSYN, FKN production rate constant; Θ, Theta, symbol for population parameters.

6. ヒトにおけるSimulation 6.1 MABEL

ヒトのPK及びPK/PDモデルを用いて,ヒトにE6011を投与した時の分泌型FKN濃度を

推定した。E6011による分泌型FKN抑制の割合は下記の式から求めた。

ℎ (%) = 1 − × 100

MABEL は分泌型 FKN 濃度を BASE から最大 10%抑制するのに必要な E6011 投与量

(mg/kg)と定義した(考察に経緯を記述)。本解析ではMABELは0.007 mg/kgと算出され

た。

(49)

46 6.2 ヒトにおけるPK/PD推移

FIH試験の投与量は0.0006,0.006,0.04,0.2,1,3,6及び10 mg/kgと計画された(考

察に経緯を記述)。

モデルから推定した E6011 濃度の母集団平均値の片対数時間推移図,モデルから推定し た総 FKN 濃度の母集団平均値の片対数時間推移図,及びモデルから推定した分泌型 FKN 抑制の母集団平均値の時間推移図を Figure 14,Figure 15 及び Figure 16 にそれぞれ示す。

Simulationの結果,ヒトの0.0006 mg/kg におけるE6011濃度はLLOQ未満と推定された。

最大用量の10 mg/kgでは,BLQ(below the limit of quantification)となるまで120日が必要 であると推定された。

(50)

Figure 14. Typical Predicted Serum E6011 Concentration in Human

Figure 15. Typical Predicted Serum Total FKN Concentration in Human

(51)

48

Figure 16. Typical Predicted Soluble FKN Inhibition in Human

(52)

7. 考察

PK 解析において,セントラルコンパートメントから線形及び非線形(Michaelis-Menten

型)の消失過程を有する 2 コンパートメントモデルにより,E6011 濃度は良好に記述され た。

抗体製剤には 2 つの異なる消失経路(非特異的線形消失過程及び標的介在性非線形消失 過程)が存在する16, 29。E6011の消失過程にもこれら2つの消失経路が存在すると考えられ

た。E6011 が低濃度のとき,標的介在性非線形消失過程が総クリアランスに大きく寄与し,

E6011 の消失が非常に早いが(γ 相),濃度が高くなると標的介在性非線形消失過程は徐々

に飽和し,E6011 の消失が遅くなったため β 相が出現したと考えられた。十分に高い濃度 では,標的介在性非線形消失過程は飽和し,濃度に関わらず一定のクリアランスを示す非 特異的線形消失過程の総クリアランスへの寄与が相対的に大きくなったと考えられた。カ ニクイザルのE6011濃度推移から,約10 µg/mL以上で標的介在性非線形消失過程の飽和が 起きていると考えられた。非線形(Michaelis-Menten型)の消失過程は膜結合型のターゲッ トに結合することによるmAbの消失に対応していると考えられており16

標的介在性非線 形消失過程の飽和は膜結合型FKNの飽和に対応していると考えられる。

血清中総FKN濃度は分泌型FKN及び分泌型FKNとE6011の結合体の和として測定され

た。E6011 の単回 IV投与後,血清中総 FKN 濃度の増加がみられた。この増加は,分泌型

FKNとE6011の結合体の濃度を反映していると考えられ,E6011が結合したことでIgGの

半 減 期 相 応 に な り , 分 泌 型 FKN 単 独 の 半 減 期 よ り も 延 長 し た た め と 考 え ら れ る 。 最 終

PK/PDモデルではKDEG(分泌型FKNの消失速度定数;0.0900 /h)>KINT(結合体の消失

速度定数;0.00234 /h)となり,分泌型 FKN が結合体となることで消失が遅延したことが 示唆された。

QSS 近似を仮定した TMDD modelにより総 FKN 濃度推移は良好に記述された。TMDD

model の適用を成功させるためには,入手可能なデータに基づくパラメータの同定の精度

(53)

50

が重要な課題である 29。本解析では,TMDD model の全パラメータを推定するためのデー

タ(eg., 分泌型FKN濃度など)が不足していたためQSS近似を用いた。投与後5分,1時

間,2時間,4時間,8時間といった総FKN濃度が急激に変化する時間帯における頻回採血

や E6011 濃度の低濃度域のデータ(最小値 0.02 μg/mL~)により,KM(0.396 μg/mL)や

KSS(1.75 μg/mL)の推定の精度は高まったと考えられる。E6011の分泌型FKNに対する結

合親和性は実験よりKD=1. 728× 10−9 mol/L(0.27 µg/mL)であるが,最終PK/PDモデルに おいてKSSは1.75 µg/mLと推定された。KDとKSSの乖離はin vivoとin vitroの環境の違い によると考えられる。

新 規 作 用 機 序 のmAbの ヒ ト 初 回 投 与 量 設 定 に お い て は ,NOAEL(no observed adverse

effect level)だけでなく,MABELを検討することが推奨されており4,5,本FIH試験において

もMABELを検 討した。 検討にあ たって, データを 得る動 物種の選 択は重要 なポイン トで

ある 。E6011はヒ トとカニク イザルのFKNに対 しほぼ同じ用量依存 曲線をもっ て結合し,

カニクイザルのFKNに交差反応性を示したが,ラット,マウス及びウサギの各FKNに対し ては結合しなかった。このことから,動物種としてカニクイザルを用いて評価することは 適 切 で あ っ た と 考 え ら れ た 。 カ ニ ク イ ザ ル の 毒 性 試 験 に お け るE6011のNOAELは ,100 mg/kg以 上 で あ っ た 。NOAELか ら 初 回 投 与 量 を 設 定 す るFDAガ イ ダ ン ス3に 基 づ け ば ,

E6011の安全性面について考慮する要因としては,カニクイザルの血清中E6011濃度が非線

形性 であるこ と及び新規作用機序 である ことが挙げ られ,安 全性係 数を100ある いは1000 とした場合,初回投与量は1又は0.1 mg/kgと算出された。一方,MABELについては2通りの 方法で算出した。MABELは分泌型FKNをBASEから最大10%抑制するのに必要なE6011投与

量(mg/kg)と定義した。ガイドライン4

5ではMABELという概念が提唱されるのみで,具

体 的 な 算 出 方 法 は 記 載 さ れ て お ら ず ,10%と い う 規 定 は な い 。 当 該 ガ イ ド ラ イ ン は , ABPI(Association of the British Pharmaceutical Industry)/BIA(BioIndustry Association)報告書31

び第1相臨床試験のEXPERT SCIENTIFIC GROUP報告書32が元となった。これら二つの文書

(54)

中にはMABELの算出例示として,「5-10%」「20%」が用いられている。ガイドラインの パブリックコメント段階におけるEMEA(European Medicines Evaluation Agency) workshop において,アストラゼ ネカJennifer Sims氏は,ABPI/BIA早期臨床タスクフォースの成果の 発表 資料中でTGN1412を例にMABELを受 容体占有 率10%とし て算出し た33。E6011の開発 にあたっては,最小 の基準と考えられた10%をMABELとして用いることとし た。MABEL

は,M&Sを用いて推定したヒト血清中の分泌型FKN濃度(本研究)又はin vitroにおけるヒ

トCX3CR1発現細胞のヒトFKNによる遊走活性,それぞれを最大10%抑制するE6011の用量

と定義した。本研究ではMABELは0.007 mg/kgと算出された。一方,ヒトCX3CR1を発現さ せた細胞(マウスBリンパ球前駆細胞,B300.19)のヒトFKNによる遊走に対して10%抑制

するE6011濃度を算出すると3.2 ng/mLであった。E6011は生体内において細胞外液(血管内

及び組織間液:体重60 kgの場合は約12 L)に分布すると予想され,3.2 ng/mLに達するため に必要なE6011の用量は0.00064 mg/kg(0.0384 mg/60 kg)と計算される。すなわち,in vitro の細胞遊走阻害活性に基づくMABELは0.00064 mg/kgと算出された。

ヒトの初回投与量を設定する上で,算出根拠の違いにより異なる推定値が得られた場合,

国内のガイダンス5では科学的根拠に基づいて決定するように示されており,またEMEAガ イドライン4では最小の値を用いることが推奨されている。より大きな数値を採用する科学 的根 拠は見当たらなかった。このた め,E6011の初回 投与量の 選択に際 しては,最小値で ある細胞遊走阻害活性に基づくMABEL 0.00064 mg/kgを採用し,最終的に0.0006 mg/kgと決 定した。次用量は本研究で算出されたMABELに近似した0.006 mg/kgと設定した。初回投与 量の10倍と 高い設定 ではある が,MABELとし て算出さ れた数値 であるため設定可 能と考 えた 。最高用量 は,カニクイザル の4週間 反復投与毒 性試験に おいて少なくとも10倍以上 の用 量の安全性 が確認され ている用量 として10 mg/kgを設定 した。用量 幅は, 0.0006~1

mg/kgでは,毒性試験において最高用量の100 mg/kgまで毒性所見がみられていないことを

考慮して比較的広く設定した。また1~10 mg/kgでは,カニクイザルの単回静脈内投与時の

(55)

52

血清 中E6011濃度 が投与量の 増加以上 に上昇し,非線形性を示したこ とから, 用量幅を狭

く設定した。

本FIH試験における血清中E6011濃度測定のための期間は以下のように設定した。推定 したヒトのPK/PD推移(6.2 )より, 0.0006~0.2 mg/kgでは投与後2週までに, 1~10

mg/kgでは投与後17週までに定量限界未満となった。また,ADAは血清中E6011濃度が

十分に低値となった後に検出される。このため,本FIH試験では1週間の投与入院期終了 後に7週間のフォローアップ1期を設定し(計8週間),高用量のコホートではさらに16 週間のフォローアップ2期を設定することとした(合計24週間)。

(56)

第 2 章

E6011 の First in Human 試験における実測値と

非臨床データからの推定値の比較

(57)

54 1. 背景

本治 験はE6011を初め てヒトに 投与する試 験であり, 下記に述 べる点を考慮した。ヒト 初回投与量は非臨床データからMABELを推定し,以降の用量は,E6011の非線形性及び毒 性試 験の結果を 考慮して設定した (1章) 。低用量群 から漸増 して投与し,各用量 群(コ ホート)の安全性及び忍容性を評価して問題ないと判断された場合に,次コホートへ移行 する こととした 。有害事象が発生 した場合 の影響を最 小限に止 めるため ,各コホー ト8例 の被 験者のうち同一日に投与する被 験者数は2例まで とし,各 日1例目 の投与開始から2時 間以上空けて2例目の投与を開始することとした。試験期間はM&Sを用いて,PK及びADA 評価 を考慮して 設定した(1章) 。なお,E6011のMABEL付近 では十分 な有効性 はみられ ないと考えられ,患者にとってメリットが期待できないことから,本治験の対象として患 者は選択しなかった。

非臨 床データをPK/PDモデル に統合して ,ヒトのPK/PDを推定 する試みは複数報告され ているが,本章では推定したヒトのPK/PDとFIH試験から実際に得られたPK/PDを比較し,

MID3の有用性について考察した。

以上より,日本人健康成人男性を対象とし,単施設,無作為化,二重盲検,プラセボ対 照,単回投与用量漸増試験(ClinicalTrials.gov Identifier:NCT01731275)を計画・実施し,上 記で得られたFIH試験結果と推定値(1章)との比較を行った。

2. 目的

非臨床データからM&Sを用いて推定したヒトPK/PDプロファイルと,FIH試験から得 られた実際の結果を比較する。

(58)

3. FIH試験の方法

64例の被験者を8つのコホート(0.0006,0.006,0.04,0.2,1,3,6,10 mg/kg)に分

け,各コホート8例の被験者のうち6例にE6011を,2例にプラセボを投与した。各被験 者の体重に応じてE6011又はプラセボを生理食塩液で希釈し,約30分間で点滴静脈内投 与した。各コホートの第1日目の被験者2例は,E6011及びプラセボが各1例となるよう に割り付けた。残りの被験者6例は,E6011が5例及びプラセボが1例となるように割り 付け,第2日目から第4日目までに投与した。同一日に投与する被験者数は2例までと し,1例目の投与開始から2時間以上空けて,2例目の投与を開始した。

本治験はスクリーニング期,観察入院期,投与入院期(二重盲検),フォローアップ1 期(二重盲検)及びフォローアップ2期(第5~8コホートのみ設定:非盲検)から構成 された。投与後1週間は被験者を入院にて観察・調査し(投与入院期),その後外来に て,第1~4コホート(0.0006,0.006,0.04,0.2 mg/kg)では投与終了8週後まで(フォロ ーアップ1期),また,第5~8コホート(1,3,6,10 mg/kg)では投与終了24週後まで 観察・調査した(フォローアップ2期)。次コホートへの移行は,各コホートで得られた 安全性の結果に基づき,移行に問題ないと判断した場合に実施した。

非喫煙の日本人男性で,年齢が20歳以上45歳未満,スクリーニング時のBMI(body mass index)が18.5 kg/m2以上25.0 kg/m2未満の者を対象とした。

血清中E6011濃度,血清中総FKN濃度及びADAの評価のため血液検体を試験期間を通

して採取した。ADA陽性の血液検体は,さらにアイソタイプ(IgG又はIgE

[immunoglobulin E] )及びE6011に対する中和活性の有無について評価した。WinNonlin

6.2.1 (Pharsight, Mountain View, CA)を用いてノンコンパートメント解析を行いPKパラメー

タを算出した。得られたPKパラメータを用いて,用量比例性を検討した。

(59)

56 4. FIH試験の結果

64例の被験者が治験に組み入れられ,63例がフォローアップ1期を完了した。コホート 4のプラセボ投与の被験者1例が被験者都合で治験を中止した。コホート5~8の32例の被

験者は全てフォローアップ2期を完了した。日本人においてE6011を0.0006~10 mg/kg単 回静脈内投与したときの安全性及び忍容性は良好であった。

4.1 ヒトにおけるPK解析

ノンコンパートメント解析により算出したPKパラメータをTable 8に示す。血清中E6011 濃度推移の片対数グラフをFigure 17に示す。

カニクイザルの血清中E6011濃度推移(1章)と同様に,ヒトにE6011を単回静脈内投 与した際の薬物動態は,α相,β相及びγ相の3相性のプロファイルを示すと考えられた。

点滴静脈内投与終了後,Cmaxから急速に減少する初期の分布相(α相)が存在し,その 後,高濃度では緩やかな消失相(β相),低濃度では急峻な最終消失相(γ相)が観察され た。γ相とβ相の境界点は10 μg/mL付近であった。0.04及び0.2 mg/kg群では,β相は観察 できず,α相に続いてγ相が出現していると考えられた。3~10 mg/kgの投与後336時間に おける血清中E6011濃度の平均値は10 μg/mLよりも高かったが1 mg/kgでは低かった。1

~10 mg/kg群では,採血ポイントの不足から,最終消失相であるγ相を正確に評価するこ

とができなかったため,γ相に依存したPKパラメータを算出できなかった。t1/2,βはt1/2,γよ りも長かった。6及び10 mg/kg間でt1/2,βは近似していた。3~10 mg/kgのAUC(0-336h)では用 量に比例した増加が認められた。

(60)

Table 8. Summary of PK Parameters of E6011 in Human

PK Parameter E6011 (mg/kg)

0.04

(n=6) 0.2

(n=6) 1

(n=6) 3

(n=6) 6

(n=6) 10 (n=6) Cmax

(µg/mL) 0.860

(0.0925) 4.92 (0.375) 23.5 (2.43) 69.8 (4.53) 127 (8.67) 238 (18.1) tmax

(h) 0.500

(0.50 – 0.50) 0.500

(0.50 – 1.50) 0.500

(0.50 – 1.50) 1.000

(0.50 – 6.50) 1.500

(0.50 – 6.50) 0.500 (0.50 – 1.50) AUC(0-t)

(µg•h/mL) 7.04 (1.89) 202 (16.4) 2520 (300) 13700

(1560) 35200

(3170) 69500 (10400) AUC(0-336h)

(µg•h/mL) – – 2520 (300) 10400

(905) 20300

(1250) 37700 (3780) t1/2,β

(h) – – 122 (8.78) 224 (29.9) 346 (32.8) 353 (62.6) t1/2,γ

(h) 8.55

(0.705) 30.3 (7.66) – – – –

DN Cmax

([µg/mL]/[mg/kg]) 21.5 (2.30) 24.7 (1.87) 23.5 (2.43) 23.3 (1.49) 21.1 (1.44) 23.8 (1.81) DN AUC(0-t)

([µg•h/mL]/[mg/kg]) 176 (47.5) 1010 (81.2) 2520 (300) 4570 (522) 5860 (529) 6950 (1040) Data are shown as mean (SD [standard deviation]) except for tmax, median (min–max) is shown.

AUC(0-336h), area under the concentration-time curve from zero (predose) to fixed time-point 336 h (2 weeks) after the end of infusion; AUC(0-t), area under the concentration-time curve from zero time to time of last quantifiable concentration; Cmax, maximum observed concentration; DN AUC(0- t), dose-normalized AUC(0-t); DN Cmax, dose-normalized Cmax; max, maximum; min, minimum; tmax, time at which the highest drug concentration occurs; t1/2,β, terminal elimination beta phase half-life;

t1/2,γ, terminal elimination gamma phase half-life.

(61)

58

Figure 17. Serum Concentration-Time Curve of E6011 in Human The circles represent the arithmetic mean of the observed data, and the error bars represent the standard deviation.

Figure 1. Model Informed Drug Discovery and Development (MID3): genesis of  terminology
Table 1. Summary of Studies Included in PK and PK/PD Analyses
Figure 2. Observed Serum E6011 Concentrations in Cynomolgus Monkey  The circles represent the observed data
Figure 3. Schematic of PK Model
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参照

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