論文内容要旨
【論文題名】
抗RANKL抗体製剤(デノスマブ)による関節リウマチ患者の骨密
度及び軟骨代謝に与える影響
掲載雑誌名 昭和学士会雑誌 2019 年 掲載予定
医学研究科 外科系 整形外科学専攻 口石 怜司
【目的】関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)は免疫異常による滑膜 炎が病巣の本体であるが,続発性骨粗鬆症を合併する事が多い.健常人と 比較して骨粗鬆症及び骨折のリスクが高く,RA 患者の骨粗鬆症治療は 未 だ 問 題 と な っ て い る. R e c e p t o r a c t i v a t o r o f N F k a p p a B
ligand(RANKL)は,破骨細胞前駆細胞に作用して破骨細胞分化を促進さ
せ成熟破骨細胞の活性化を制御する分子であり,RA 骨関節破壊におい
て RANKL が関与していることが近年明らかになってきている.RA 患
者に対する抗 RANKL 抗体製剤(デノスマブ)投与の臨床試験の報告が 増えてきており,骨びらん,骨量減少に対し抑制効果があったとの結果が 報告されているが臨床上の研究データは少なく,特に軟骨代謝に関する データはまだない.そこでデノスマブを投与された臨床 RA 患者の骨密 度及び骨・軟骨代謝を経時的に測定し、その変化について検討を行った.
【方法】新規にデノスマブ製剤が投与開始となったRA症例44例及び 比較対象として同様にデノスマブ製剤が投与開始となった原発性骨粗 鬆症症例12例を対象とした.これらの症例で骨密度,骨吸収マーカー,骨 形成マーカー,軟骨破壊マーカーをそれぞれ登録時,デノスマブ投与 3,6,12ヶ月後で評価した.骨密度はDual energy X-ray
absorptiometry(DEXA)による測定を行い,腰椎・大腿骨・前腕骨で評 価し,骨吸収マーカーとしては血清Trap-5b,骨形成マーカーとしては血 清P1NP,軟骨破壊マーカーとしては血清COMP(cartilage oligomeric matrix protein)の測定を行い投与前後での推移,及びRA-非RA間で の比較検討を行った.【結果】①腰椎骨密度はデノスマブ投与後で有意 な改善傾向を認めた.②骨代謝マーカーの血清Trap-5b,血清PINPはデ ノスマブ投与後で有意な改善傾向を認めた.③軟骨代謝マーカーの血清 COMPはデノブマブ投与後で有意な改善傾向を認めた.④デノスマブ 投与後で改善傾向を認めた腰椎骨密度,血清COMPの改善率に関して RA-非RA 間では有意な差は認めなかった.【考察】デノスマブ投与 後腰椎骨密度、骨代謝マーカーの改善を認めており骨粗鬆症加療とし て有用性が認められた.軟骨代謝マーカーはRA-非RA 間では改善率 に差は認められなかったが,全体としては改善傾向を示しており,RA軟
骨破壊に対して直接的な抑制効果は少ないも間接的な軟骨破壊抑制効 果がある可能性が考えられた.