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小児慢性特定疾病登録データからみた気道狭窄症例に関する研究

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Academic year: 2021

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小児慢性特定疾病登録データからみた気道狭窄症例に関する研究

研究分担者  守本倫子(国立成育医療研究センター耳鼻咽喉科) 

研究協力者: 

二藤隆春(東京大学耳鼻咽喉科  講師) 

   

A. 研究目的 

2015 年より慢性呼吸器疾患に認定されていた「気 管狭窄」が、気道狭窄という群となり喉頭狭窄や咽頭 狭窄、気管狭窄および気管・気管支軟化症を含むよ うになった。これらの登録はまだ始まったばかりであり、

どの程度の症例数がいるのか推測の域をでない。し かし、今までも咽頭・喉頭狭窄が病態でありながら、

気管狭窄として登録していた症例も少なくなく、今後 は正確な登録により実態の調査が可能になると考え られる。今回は平成 25 年度、26年度の小慢事業登 録データにおける気管狭窄症例を比較検討すること を目的とした。

B. 研究方法 

対象と方法

小児慢性特定疾患治療研究事業登録データ解析 平成 26 年度の小慢事業登録データを用い、慢性 呼吸器疾患 3,009 例のうち気管狭窄として登録され

ていた 985 例(32.7%)について、咽頭狭窄や喉頭狭

窄などが疑われる症例を検索した。

(倫理面の配慮)

本調査は、研究利用について同意がなされている 小児慢性特定疾病登録データを用いて行われてお り、国立成育医療研究センター倫理審査委員会によ る倫理審査(受付番号:1637)による承認済である。

C. 研究結果 

慢性呼吸器疾患の平成25年度、26年度の内訳を 示す。

研究要旨

小児慢性特定疾患治療研究事業に気管狭窄として登録されている症例について、平成25年度および 26 年度の小慢事業登録データを用いて検討を行った。気管狭窄として登録されている疾患の 70%近く は咽頭や喉頭などの上気道の狭窄に伴う病態であった可能性が考えられた。頭蓋顔面奇形などは治療と 共に気道のトラブルが少なくなってくる可能性もあり、年次ごとに経過を追っていくことで病態や治療、予 後が明らかになり、将来的には社会福祉政策に反映させることができると考えられる。

平成 29 年度厚生労働行政推進調査事業費(難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)) 

「小児慢性特定疾病対策の推進に寄与する実践的基盤提供にむけた研究」  分担研究報告書

 

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 気管狭窄

気管支喘息 中枢性低換気症 気管支拡張症 肺ヘモジデローシス 線毛運動障害 横隔膜ヘルニア 嚢胞線維症 肺胞蛋白症 慢性肺疾患

H26 H25

(2)

- 220 - 平成25年度、26年度それぞれの慢性呼吸器疾患の うち、気管狭窄と診断されていた症例はそれぞれ

3,355 例、3,009 例であった。全体的に登録されてい

る人数が減少している傾向にあった。気管狭窄症例 について、喘息症状がないこと、また気管切開などの 治療介入が必要であったものの、人工呼吸器の装着 や酸素投与が必要ではない症例を抽出した。

図2a  H25年度慢性呼吸器疾患症例(n=3,355例)

図2b H26年度慢性呼吸器疾患症例(n=3,009例)

平成25年、26年共に気管狭窄は30%、32.7%と同 じ割合であったが、登録数はやや減少傾向にあった。

2 歳以下で診断されていた症例は 862 例であり、気 管切開をうけていた例は 665 例(77%)であった。そ のうち 490 例は人工呼吸器が必要とせず、357例は 酸素も必要としていなかった。気管切開を行わなかっ た197例のうちbi-PAPなどの呼吸器装用が54例、

在宅酸素のみが65例であった。

D. 考察 

2 歳以下の先天性気管狭窄と登録されていた症例 において、気管切開を受けたものの、呼吸器装用や 酸素治療などの下気道または中枢性疾患の合併も 疑われる症例は 308 例であり、357例は上気道狭窄 のみの障害と推測された。また、気管切開をうけず、

人工呼吸器や酸素投与が必要ない 77 例もエアウェ イなどを使用しているなどの上気道狭窄が原因の可 能性は高い。H27 年よりようやく気道狭窄というカテ ゴリーの中で、咽頭狭窄や喉頭狭窄という概念で別 に登録事業が開始されている。周知が不徹底でまだ 登録は十分ではない可能性はあるが、これらの症例 が年齢とともにどのような治療が行われているか検討 していくことで、症例全体としての治療、治療効果、

予後などを明らかにすることが可能となるだろう。 

E. 結論 

H25,26 年の気管狭窄例を比較検討したが、ほとん

ど変化なかった。

現在の小児慢性疾患データでは、気道狭窄(咽頭、

喉頭)による対象症例がどのくらいいるのか、予測が 困難である。

気管切開、CPAPなどの呼吸補助装置、酸素の使用 がない症例では、経鼻エアウェイなどで加療している 可能性は高い。

慢性呼吸器疾患

3355例 気管狭窄

1020例

気管狭窄 喘息(−)

903例

気管狭窄喘息(+)

116例

気管切開なし 気管切開あり 185例

718例

人工呼吸器管理(+)

183例 人工呼吸器管理(−)

535例

在宅酸素(+)

132例 在宅酸素(−)

403例

合併症

合併症(−)

81例

合併症(+)

256例 呼吸管理

酸素投与 H25年 慢性呼吸器疾患

在宅酸素(+)

69例 在宅酸素(−)

68例 人工呼吸器管理

(+)48例 気管切開あり

85例

人工呼吸器管理

(+)32例 在宅酸素(+)

22例 在宅酸素(−)

41例 気管切開なし 31例

慢性呼吸器疾患

3009例 気管狭窄

985例

気管狭窄喘息(−)

865例

気管狭窄 喘息(+)

120例

気管切開なし 198例 気管切開あり

667例

人工呼吸器管理(+)

171例 人工呼吸器管理(−)

496例

在宅酸素(+)

127例 在宅酸素(−)

369例

合併症

合併症(−)

78例

合併症(+)

231例 呼吸管理

酸素投与 H26 年 慢性呼吸器疾患

在宅酸素(+)

55例 在宅酸素(−)

83例 人工呼吸器管理

(+)60例 気管切開あり

79例

人工呼吸器管理

(+)26例 在宅酸素(+)

5例 在宅酸素(−)

17例 気管切開なし 41例

気管狭窄862

H26年小慢データより 発症2歳以下の気管狭窄 862例について

気管切開(+)

665例 気管切開(ー)

197

人工呼吸器(+)

175例 人工呼吸器(ー) 490例

酸素(+) 133例 酸素()

357 例

人工呼吸器(+)

54例 人工呼吸器(ー) 142例

酸素(+) 65例 酸素(ー)

77例 BPAPなど

(3)

- 221 -

F. 研究発表 

1. 論文発表

なし

2. 学会発表

 水野貴基、和田友香、守本倫子:新生児・乳児 の上気道狭窄に対する経鼻エアウェイの有効性 に関する検討.第 12 回日本小児耳鼻咽喉科学 会、平成29年6月2日、宇都宮市

 水野貴基、和田友香、藤野修平、他:新生児・

乳児の上気道狭窄に対する経鼻エアウェイの有 効性に関する検討.第53回日本周産期・新生児 医学会、平成29年7月17日、横浜市

G. 知的財産権の出願・登録状況(予定を含 む。) 

1. 特許情報/実用新案登録/その他 なし/なし/なし

  

   

(4)

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