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ゾルゲル法により合成したチタン酸バリウムナノ粒子の結晶性

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Academic year: 2021

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(1)

ゾルゲル法により合成したチタン酸バリウムナノ粒子の結晶性

牧野 晃久

*1

有村 雅司

*1

藤吉 国孝

*1

山下 洋子

*1

桑原 誠

*2

Crystallinity of Barium Titanate Nanoparticles Synthesized by Sol-gel Method

Teruhisa Makino, Masashi Arimura, Kunitaka Fujiyoshi, Yoko Yamashita and Makoto Kuwabara

情報通信機器の小型化,高機能化に伴い,電子デバイスの小型化,高性能化が求められている。そして,電子デ バイスに誘電体層として用いられるチタン酸バリウムには,100nm以下の粒径かつ欠陥の少ない粒子が要求される。

本研究では,ゾルゲル法により合成したチタン酸バリウムナノ粒子の結晶化挙動をDSC及びXRDにより調査し,ナノ 粒子の合成条件と得られるナノ粒子の結晶性について考察した。ナノ粒子内部にある水酸基由来の欠陥はDSCにお ける発熱ピーク温度以下でエージングすることにより大幅に低減できた。また,発熱ピーク温度以下のエージング によって結晶化させるためには,前駆体中のアルコキシドの高濃度化が必要不可欠である。

1 はじめに

薄膜コンデンサの高容量化を図るためには,薄膜を 構成する材料自身の高誘電率化と薄膜の薄層化が重要 になる。本研究では厚み1µm以下の誘電体薄膜を連続 的に形成する手法について検討している。かかる厚み の誘電体薄膜を実現する上で,原料の微粒化,誘電体 組成の均一化が重要となり,100nm以下の粒径及び組 成が均一な粒子が要求される。液相を利用するチタン 酸バリウム(BaTiO

3

)の合成方法は固相反応を利用し た方法に比べて均一微細な粒子を合成できるが,液相 に含まれる水酸基に由来する欠陥が最終製品の電気特 性に影響を及ぼすことが問題となっている。本研究で は,高濃度前駆体を用いたゾルゲル法により合成した BaTiO

3

ナノ粒子の結晶化挙動をDSC及びXRDにより調査 し,ナノ粒子の合成条件と得られるナノ粒子の結晶性 について考察し,結晶性の向上について検討した。

2 実験方法

前駆体溶液はジエトキシバリウムを乾燥窒素雰囲気 中にてメタノールとエチレングリコールモノメチルエ ーテルの混合溶媒に溶解した後,テトライソプロポキ シチタンを加えて攪拌し,所定の濃度となるように調 製した。次いで,水とアルコールの混合溶液を滴下し て前駆体溶液の加水分解を行った。得られたゲルは所 定の温度で所定時間エージング処理を施し,BaTiO

3

ナ ノ粒子を得た。加水分解後の前駆体溶液の昇温に伴う

吸発熱量を示差走査熱量計(DSC, Seiko Instruments inc., EXSTAR6220)を用いて測定した。ナノ粒子の結 晶子径はX線回折(XRD, BRUKER AXS, MXP18)を用い て測定した(110)面の回折ピークの半価幅からシェラ ーの式により算出した。また,合成したBaTiO

3

ナノ粒 子は透過電子顕微鏡(TEM, JEOL, JEM-3200EX)を用 い,加速電圧300kVで形態観察した。

3 結果と考察

3-1 BaTiO

3

ナノ粒子の結晶化挙動

図1は加水分解終了後の前駆体溶液の昇温に伴うDSC プロ フ ァイ ル であ る 。加 水 分解 後 の前 駆 体溶 液 は,

0℃付近で重縮合反応に伴う発熱ピークを示した後,

シネレシスにより吸熱側に推移し,30℃以上で吸熱ピ ークを示した。その後,55℃前後で発熱ピークを示し た後,アルコールの気化に伴う吸熱反応を示した。

図2は各エージング温度における結晶子径の経時変 化である。エージング温度を発熱ピーク温度以下であ る20℃及び30℃としたサンプルはすぐに結晶化せず誘 導期間を経てから結晶化した。その後,結晶成長し,

最終的に20℃では20nm,30℃では17nmの粒子が得られ た。これに対し,エージング温度を発熱ピーク温度以 上である50℃,90℃としたサンプルは保持直後から結 晶化したが,結晶成長はせず,それぞれ最終的にそれ ぞれ13nm,11nmのナノ粒子が得られた。エージング温 度が低くなるほど粒子径が大きくなる傾向を示した。

*1 化学繊維研究所

*2 九州大学

(2)

3-2 BaTiO

3

ナノ粒子の結晶性

このときのエージング温度と得られた粒子内に存在 する水酸基量の関係を図3に示す。30℃以下でエージ ングしたサンプルは水酸基量が2%以下であるのに対し,

50℃以上でエージングしたサンプルは6%以上と,約3 倍になっていた。図1,図2の結果と併せて考えると,

30℃以下でエージングを施した場合には,シネレシス が十分に進行した後結晶化したために,水及びアルコ ールをゲル骨格外に排出でき,水酸基量を低減できた。

一方,発熱ピーク温度以上でエージングを施した場合 には,シネレシスが進行する前に結晶化したために水 酸基由来の欠陥が粒子内に多く残ったと推測される。

2%以下の水酸基量は水熱合成法により合成したナノ粒 子を700~800℃で熱処理した後の粒子内の水酸基量に 相当し,熱処理せずに低欠陥の粒子が得られることが 判明した。

図4は前駆体濃度を変化させたときのエージング温 度と結晶子径の関係をまとめたものである。前駆体濃 度を1.0mol/Lとした場合,20℃で結晶化し,温度上昇 とともに結晶子径は小さくなった。これに対し,前駆

体濃度を0.5mol/Lとした場合では,20℃,30℃では結 晶化せず,0.3mol/Lとした場合には90℃で保持しても 結晶化しなかった。このように欠陥を含まずに高結晶 性のナノ粒子を合成するためには低温での結晶化が必 要不可欠であり,低温での結晶化は前駆体濃度を高め ることにより可能になる。

4 まとめ

ゾルゲル法により合成したBaTiO

3

ナノ粒子の結晶化 挙動をDSC及びXRDにより調査し,ナノ粒子の合成条件 と得られるナノ粒子の結晶性について考察した。ナノ 粒子内部にある水酸基由来の欠陥はDSCにおける発熱 ピーク温度以下でエージングすることにより大幅に低 減できた。また,発熱ピーク温度以下のエージングに よって結晶化させるためには,前駆体中のアルコキシ ドの高濃度化が必要不可欠である。

5 掲載論文

Key Eng. Mater., Vol.350, pp. 31-34 (2007)

-30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

Temperature (oC)

Endo.Exo.

図1 前駆体溶液のDSC曲線

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

0 10 20 30 40 50 60

Time (hour)

Crystallite size (nm)

20℃

30℃

50℃

90℃

0 5 10 15 20

0 20 40 60 80 100

Aging temperature (oC)

Amounts (wt%)

-OH TG-loss C(EGMME)

Contents wt%

図3 水酸基量のエージング温度依存性

0 5 10 15 20 25

0 20 40 60 80 100

Temperature (oC)

Crystallite size (nm) a 1.0M

0.5M 0.3M

0 5 10 15 20 25

0 20 40 60 80 100

Temperature (oC)

Crystallite size (nm) a 1.0M

0.5M 0.3M

図2 結晶子径エージング温度依存性

図4 結晶子径のエージング温度依存性

参照

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