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論文審査の結果の要旨

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Academic year: 2021

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様式8の1の2 別紙2

論文審査の結果の要旨

専攻名 システム創成工学専攻 氏 名 落合 聖史

本論文は、「活性汚泥構成細菌によるアシル化ホモセリンラクトン合成および分解機構の解析」

と題し、活性汚泥構成細菌における微生物間情報伝達機構Quorum Sensing (QS)のシグナル物質で あるアシル化ホモセリンラクトン(AHL)の合成細菌と分解細菌の取得とその機能解析について述 べたものである。

細菌はその菌体密度により特定の遺伝子発現が制御されるQS機構を有している。QSはオートイ ンデューサーと呼ばれるシグナル物質によって制御されており、多くのグラム陰性細菌では、シ グナル物質としてAHLが用いられている。菌体密度が高い環境の一例として活性汚泥が挙げられ る。活性汚泥を用いた排水処理は先進国を中心に広く活用されているが、その内部を構成する細 菌およびQS機構の存在、関与などについては明らかになっていない。また、活性汚泥処理後に用 いられる膜ろ過において、微生物の付着とバイオフィルム形成による膜の目詰まりが問題となっ ている。バイオフィルムも活性汚泥と同様、菌体密度が高い環境であり、QSが活発に機能してい ると考えられる。しかし、活性汚泥由来の細菌によるバイオフィルム形成に関する詳細な検討は これまでになされていない。

本論文は、排水処理技術における活性汚泥構成細菌からのAHL合成細菌およびAHL分解細菌の単 離と、AHL合成細菌によるバイオフィルム形成について、また、AHL分解細菌のAHL分解機構につ いて、それぞれ解析を行ったものである。

本論文は5章で構成されており、その概要は以下のとおりである。第1章は序論であり、QS機 構、QS制御技術、活性汚泥を用いた排水処理技術など、研究の背景と研究目的を提示している。

第2章では、本研究で用いた菌株、プラスミド、使用機器について記している。第3章では、活 性汚泥処理システムからのAHL合成細菌の単離と同定、および、そのバイオフィルム形成能とQS との関連について述べている。その結果、157株のAHL合成細菌を単離、同定し、その98%が Aeromonas属細菌であること、その中でもっとも存在割合の高かったA. hydrophila R2株がC4- HSL、および、C6-HSLを生産していること、また、そのAHL合成遺伝子の破壊株を作製し、バイオ フィルム形成実験を行った結果、A. hydrophila R2は、AHLを用いたQSによってバイオフィルム 形成を制御していることを明らかとしている。第4章では、栃木県内7ヶ所の下水処理センター の活性汚泥からのAHL分解細菌の単離と同定、および、その分解機構と分解遺伝子について述べ ている。その結果、AHL分解細菌として報告がほとんどないAcinetobacter属細菌が高い割合で存 在していること、AHL分解活性の高いOoi24株のAHL分解遺伝子amiEを取得し、AHL分解酵素AmiEは 長鎖AHLに対して強い分解活性を示すAHLアシラーゼであるが、既知のAHLアシラーゼとは系統の 異なるアミダーゼファミリーに属すること、さらに、amiEはAcinetobacter属細菌に広く保存さ

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れた配列ではなく、外部から転移してきた可能性があることを明らかとしている。第5章では、

論文全体の概要と、AHL合成細菌、および、AHL分解細菌の活性汚泥処理技術への応用に関する今 後の展望について述べている。

本研究において得られた成果を総括すると次のようになる。

1)活性汚泥構成細菌からAHL合成細菌とAHL分解細菌の単離と同定

2)AHL合成細菌としてAeromonas属細菌が高い割合で存在していること、および、Aeromonas属 細菌のバイオフィルム形成に対するQSの関与に関する証明

3)AHL分解細菌としてAcinetobacter属細菌が高い割合で存在し、AHLアシラーゼであるAmiEを 有していることの初めての報告

4)AmiEの系統解析と由来に関する検討

本論文については、2015年2月13日、陽東キャンパス2号館221番教室において、審査員ならびに 関連分野の研究者が出席して公聴会が開催された。発表終了後に、質疑応答が交わされ、特に問題 が無いことが確認された。公聴会終了後に、審査員全員による学位審査委員会において本論文の 内容を詳細に検討した。その結果、本研究成果は工学的に価値が高く、研究内容の学術的水準の高 さと独創性において優れていると判断した。

よって本論文は、博士(工学)の学位論文に値するものと認める。

参照

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