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そうした場所はその地域の中心であると言

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Academic year: 2022

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(1)地下鉄駅のもつ中心性とその要因に関する研究* A Study on the Formation Factor of the Centrality of Subway Stations *. 若林孝介**・浅野光行*** By Kosuke WAKABAYASHI **・Mitsuyuki ASANO ***. 1.背景と目的. (ⅱ)地下鉄駅を駅の構造及び周辺地域特性を用い て分類する. ある地域を考えたとき、その中に周囲に対して特に 活気がある、または特に重要であると思われる場所が. (ⅲ) (ⅰ)と(ⅱ)を照らし合わせてどのような特 徴をもつ地下鉄駅が中心性を持つかを求める. 存在する。そうした場所はその地域の中心であると言. なお、対象としたのは東京都内にある地下鉄駅のう. える。「その地域が中心として自身の周辺地域に及ぼし. ち、東京メトロと都営地下鉄の駅である。さらに、昼. ている影響の強さ」 、 「その場所が周囲に対して相対的. 間人口、夜間人口に平成 12 年のデータを用いているた. に重要であると認知される度合」 、本研究ではこれを. め、平成 12 年度の段階で開業している駅を対象とした。. 「中心性」と呼ぶこととする。. 路線価については路線に沿って測定できた 55 駅、人口. 地上を走行する路線、例えば JR・私鉄の駅を考える. 集積については 134 駅から測定した。. と、駅はその街及び地域の中心的場所となっているこ とが多い。一方、地下鉄駅を見てみると、駅前といえ. 3.中心性の測定. どもその周囲の地域とさほど変わらない場所が多く見 受けられる。地下鉄駅の中心性は概して低いと考えら. (1) 中心性の指標. れるが、相対的に高い駅も存在する。そうした駅に倣. 中心性を測定する際には客観的に説明できる指標を. い、駅の中心性を高めていくことは駅周辺地域にとっ. 選択することが重要であり、困難な部分である。これ. ても有益であると考えられる。. までにも様々な指標が考案されているが、常に最適と. 中心市街地の賑わいや集積を扱った研究は多数存在 4)5)6). する. いう指標は現在まで無いとされている。. が、対象地は市街地の特定の区域か地上を. 本研究で扱う地下鉄は特に都心部において密集して. 走行する鉄道駅であるものがほとんどであり、地下鉄. いるので分析を非常に狭い範囲で行った。そのため業. 駅を扱ったものは見当たらない。. 態による構造を見るなどの手段は困難である。細かい. 本研究では冒頭で述べた概念を基にして、地下鉄駅 のもつ中心性を路線価および人口集積によって測定し、. 範囲においても変化を見ることのできる指標として路 線価と昼間人口、夜間人口による測定を行った。. どのような要因が中心性に関与しているのかを調べる ことを目的とする。. (2) 路線価による中心性の測定 人々がその場所をどの程度重要と感じているかの指標に地価. 2.研究の概要. がある。駅における地価の上昇をもって中心性の指標とする。 地価には様々な表し方があるが、地下鉄の多くが道路地下を走. 本研究は地下鉄駅に中心性をもたらす要因を調べる ことを目的としている。そのための作業は3つの手順. 行していること、路線に沿って連続して値が求められることか ら路線価を用いた。. からなる。 (ⅰ)地下鉄駅の中心性を測定する。指標として地. *キーワーズ:鉄道計画 **学生員,早稲田大学大学院理工学研究科建設工学専攻 ***フェロー会員,工博,早稲田大学理工学部社会環境工学科教授 (東京都新宿区大久保3‑4‑1 51号館15階07室、 TEL03‑5286‑3408、FAX03‑5272‑9723). 路線価 比(率︶. 価(路線価)上昇と人口集積をとる。. 路線価による中心性は以下の手順によって求めた。 路線価中心性 1.0. 距離 中心 −200m. 中心. 中心 +200m. 図−1 路線価中心性の数値化.

(2) ①路線に沿って路線価を 50m ごとに測定する。駅の付近で最も 路線価が高い点を、駅周辺路線価の中心点とする。 ②中心点における路線価、加えて中心点からそれぞれ前後に200 m離れた点での路線価を測定する。 ③3点による線の形状から図−1に示すように求める。 求めた路線価中心性を表−1に示す。 表−1 路線価中心性の値 路線価中心性 値 偏差値 西葛西 0.53 84 綾瀬 0.49 80 新御茶ノ水 0.43 73 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 水天宮前 0.15 52 末広町 0.15 51 表参道 0.15 51 駅名. 駅名 町屋 茗荷谷 虎ノ門 ・ ・ ・ 京橋 赤坂 八丁堀. 路線価中心性 値 偏差値 0.13 50 0.13 50 0.12 49 ・ ・ ・ ・ ・ ・ -0.03 37 -0.03 36 -0.04 36. 表−2 昼間人口中心性 昼間人口 中心性 荻窪 1.31 瑞江 1.31 門前仲町 1.30 新宿三丁目 1.29 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 南砂町 0.77 四ツ谷 0.74 東京 0.72 国会議事堂前 0.71 駅名. 表−3 夜間人口中心性 夜間人口 中心性 銀座一丁目 1.68 大門 1.27 根津 1.25 人形町 1.25 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 国会議事堂前 0.56 三越前 0.54 秋葉原 0.45 大手町 0.07 駅名. 4.駅の分類 中心性に関係する要因を抽出するために駅を分類する。 大きく分けると、 駅の形態による分類:駅自体の特徴 周辺地域による分類:駅周辺の特徴 によって見ることができ、それぞれ表−4に示す分類. (3) 昼間人口・夜間人口による中心性の測定. を行った。. 駅周辺における昼間人口および夜間人口の集積増加 をもって中心性の指標とする。人が駅を重要と感じて. 表−4 駅の分類. いれば人の増加という形で現れるという考え方による。. 分類項目. 本研究では昼間人口・夜間人口それぞれの集積を考 え、中心性の指標としている。これらを便宜的に「昼 間人口中心性」 「夜間人口中心性」と呼ぶこととする。 通例、中心性はその場所を表す性格の 1 つであるので、 このような定義は本来の中心性の定義とはやや異なる。 しかし、商業地と住宅地の差を考慮するため、この方 法を用いた。昼間人口・夜間人口はそれぞれ、以下の. に 駅 よ の る 形 分 態 類. ような値である。 昼間人口:昼間該当地にいる人の数 夜間人口:該当地における常住者人口 昼間人口・夜間人口の中心性は以下の式によって定義する。. 半径200m内の昼間( 夜間) 人口 昼間(夜間)人口中心性= 半径400m内の昼間( 夜間) 人口. に駅 よ周 る辺 分地 類域. 内容 条件・分類数 走行区間として 地上走行区間と 走行区間 地上区間か 地下走行区間で 地下区間か 2通りに分類 地上走行 JR・私鉄が JR・私鉄の有無で 路線の 入っているか 2通りに分類 有無 地下鉄 地下鉄路線が 地下鉄路線数が 乗換の 1路線か 1路線か複数かで 有無 複数路線か 2通りに分類 出入口の経緯度 駅出入口が 駅出入口 から分散を求め、 集中しているか の分布 偏差値50前後で 分散しているか 2通りに分類 周辺土地利用が 土地利用から 土地利用 主に住宅用途か 3通りに分類 用途 商業用途か (後述) 駅周辺800m内 周辺駅 周辺に駅が の駅数を求め、 密度 多いかどうか 偏差値50前後で 2通りに分類. 各町丁目の昼間人口密度・夜間人口を、水域を除いた面積で 按分することによって、駅周辺 400 m内及び 200 m内の昼間人 口・夜間人口をそれぞれ求めた。 76人. 40人. 3人/マス 2人/マス. ●土地利用による分類 昼間人口と夜間人口に関係する土地利用を元に分類. 24人. 16人. した。土地利用データは 1994 年細密数値情報を用いた。 縦軸に昼間人口と関係が深い[商業地+公共施設用地] を、横軸に夜間人口と関係が深い[住宅地]をそれぞれ偏. 駅 128人. 差値で取り、各駅をプロットする。さらにクラスター 80人. 2人/マス 1人/マス. 54人 26人 計120人. 図−2 昼間人口密度・夜間人口密度の測定. 分析によって図−3のように分類される。 なお、緑地や道路比率の高い駅(図−3におけるク ラスターで「低密度」と名づけた駅など、桜田門や新 木場などが含まれる)は面積按分が不正確になるので. 求めた昼間・夜間人口中心性を表−2、表−3に示す。. 対象から除外した。.

(3) 商業地+公共施設用地(偏差値). 70. 商業型. 表−7 分類ごとの昼間人口中心性. 商業傾向 60. 中間型. 低密度1 50 30. 40. 50. 60. 70. 80. 住宅型. 40. 地上鉄道あり 地上鉄道なし 地下鉄 地下鉄 地下鉄 地下鉄 1路線 複数 1路線 複数 出 出 出 出 出 出 出 出 集 分 集 分 集 分 集 分 入 入 入 入 入 入 入 入 中 散 中 散 中 散 中 散 口 口 口 口 口 口 口 口 住 駅 55 宅 密小 (5) 型 度 駅 密 大 49 (1) 中 度 間 型 駅 密 小 47 (4) 度. 低密度2 30. 住宅地(偏差値). 図−3 土地利用による分類 5.駅の分類ごとの中心性 (1)分類方法 4.で求めた分類ごとに、3.で求めた路線価、人 口集積の各中心性指標を見ていく。この章内における 表については、括弧無しの数字が、その分類に当ては. 駅 密 大 48 (3) 商 度 業 型 駅 密小 度. 50 (2). 38 (1). 50 49 (30) (14) 52 (1). 52 (1). 42 (2). 56 (1). 51 (2). 25 (1). 62 (2). 56 (5). 40 (2). 49 (2). 73 (1). 42 (3). 46 (5). 47 (3). 52 (5). 48 (1). 52 (4). 41 (9). 57 (5). 50 (1). 56 (2). 50 (1). まる全地下鉄駅における中心性の平均を示し、括弧有 りの数字がその分類に当てはまる全地下鉄駅のサンプ. 現れた傾向は以下のとおりである。. ル数を示す。また、サンプルが 2 以上で偏差値が 50 以. ・地上走行鉄道(JR・私鉄)が入っている駅は入っ. 上の項目はグレー表示した。. ていない駅とさほど変化が現れなかった。 ・JR・私鉄の入っている駅では住宅型の駅で中心性. (2) 路線価による傾向. が高く、地下鉄のみの駅では中間型>住宅型>商業. サンプル数が少ないため、詳細に要因をみることは できなかったが、大きな分類の中で傾向を見た。. 型となった。 ・周辺の駅密度が小さい駅では出入口は分散している 方が、周辺の駅密度が大きい駅では出入口は集中し. ①路線の地上地下の違い. ている方が、中心性が高く現れた。. 表−5 走行区間の地上・地下 地下区間 地上区間 50 ( 52) 78 ( 3). 路線価中心性. (4) 夜間人口による中心性 地下走行区間における駅について、駅の分類ごとに 中心性の平均値を求めたものを表−8に示す。. 地上走行区間の駅に高い中心性が現れている。なお、 昼間・夜間人口による中心性を用いても、路線価ほど ではないが同様の傾向が現れた。以下の議論は地下走 行区間の駅について行う。 ②地上走行鉄道の有無・土地利用による変化 表−6 土地利用 路線価中心性 地上鉄道あり 地上鉄道なし. 住宅型 中間型 54 (3) 56 (3) 47 (16) 51 (7). 商業型 54 (8) 48 (15). 地上走行鉄道の有無では「あり」の方が「なし」に 比べて高い中心性が現われた。土地利用については、 中間型>商業型>住宅型の順で中心性が現れている。 (3) 昼間人口による中心性 地下走行区間における駅について、駅の分類ごとに 中心性の平均値を求めたものを表−7に示す。. 表−8 分類ごとの昼間人口中心性 地上鉄道あり 地上鉄道なし 地下鉄 地下鉄 地下鉄 地下鉄 1路線 複数 1路線 複数 出 出 出 出 出 出 出 出 集 分 集 分 集 分 集 分 入 入 入 入 入 入 入 入 中 散 中 散 中 散 中 散 口 口 口 口 口 口 口 口 住 駅 50 宅 密小 (5) 度 型 駅 密 大 34 (1) 中 度 間 型 駅 密 小 46 (4) 度 駅 密 大 53 (3) 商 度 業 型 駅 密小 度. 59 (2). 47 (1). 52 54 (30) (14) 50 (1). 50 (1). 49 (2). 59 (1). 54 (2). 42 (1). 46 (2). 58 (5). 58 (2). 57 (2). 42 (1). 44 (3). 44 (5). 37 (3). 46 (5). 63 (1). 54 (4). 44 (9). 45 (5). 63 (1). 46 (2). 45 (1).

(4) 現れた傾向は以下のとおりである。. ○ さらに駅の要素として道路や駅の地上部分につい. ・地上走行鉄道が入っていない駅のほうが入っている. て調べることができれば、駅に中心性をもたらす. 場合に比べて中心性が高い。. 要因がより判明すると思われる。. ・中心性は住宅型で高く、商業型で低くなっている。 ・住宅型・中間型で周辺の駅密度が小さい駅では、出. (2) 傾向より考察. 入口は分散している方が中心性は高く現れ、商業型. 縦軸に昼間人口中心性、横軸に住居割合/(商業割合+. では出入口は集中していた方が中心性が高く現れる. 公共施設割合)をとると、図6のようになる。かなり値. 傾向にある。. が分散しているが、住居型から中間型、商業化と昼間 人口に関する土地利用が増加していくと緩やかな山型. (5) 傾向のまとめ. となっている。. ①地上走行区間の駅は中心性が高い ・地上走行区間の駅では路線価・昼間人口・夜間人 口ともに高い中心性を示した。JRや私鉄と似た 特性を示すからであると考えられる。 ②商業傾向が非常に高い駅では中心性は山型では現れ ない ・JR・私鉄の駅において、路線価を用いたときには 中心性が高く現れたが、昼間人口・夜間人口を用い. 昼間人口中心性. 以上の結果を踏まえて得られた傾向をまとめる。. 80 70 60 50 40 30 20 10 0. 住居型 商業型 中間型. 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 住居割合/(商業割合+公共施設割合). 図−4 商業化と昼間人口中心性. たときには高く現れなかった。JR・私鉄の駅は地 下鉄の駅に比べて規模が大きいため、周辺 400m では差が現れにくかったものと思われる。 ・国会議事堂前、銀座などの高度に発展した地域では 逆に中心性が低く現れる。 ③住宅地率の大きいところでは夜間人口による中心性. また、5. (5)②・④より、駅同士が近いがゆえに 競合したときには中心性は低く、逆に駅勢圏が重なら ない範囲でできるだけ大きな駅であれば中心性が高く なると考えられる。つまり、駅周辺が商業化されて大 きくなるにつれて基本的には中心性が高まるが、駅勢. が高い. 圏が重なると共に地域間で競合して中心性が低下して. ・地下鉄に多い小規模の地下鉄駅の多くは夜間人口. いくと考えられる。. に対して中心性をもつと考えられる。 ④中心性の高い駅では周辺の駅密度と出入口の分散度 合が反比例する傾向がある ⑤平均すると中間型には中心性の高い駅が多い ・土地利用の分類において、中間型には中心性の高 い駅が多い。. 参考文献 1) 江沢譲爾:「クリスタラー都市の立地と発展」,大明堂,1969.8, pp.1-215 2) 大友篤:「地域分析入門」,1997.7,東洋経済 3) 森川洋:「中心地論Ⅰ」「中心地論Ⅱ」,1980.5,大明堂 4) 海道清信:「人口密度指標を用いた都市の生活環境評価に関す. 6.まとめ. る研究−交通生活及び徒歩圏の地域生活施設を中心に−」,第 36回日本都市計画学会研究論文集,2001,pp.421‑426. (1) まとめと今後の課題 ○ 本研究では中心性を路線価と人口という2つの指 標によって表した。どちらの指標も一長一短あり、. 5) 上田新平:「鉄道駅周辺市街地の商業に影響を及ぼす要因に関 する研究」,土木学会第 56 回年次学術講演会講演概要集, 2001.10,pp.114‑115. 全ての駅に対して中心性を的確に表現できたとは. 6) 前田近邦:「ネットワーク利便度から見た都市の中心性に関す. 言い切れない。しかし、駅の分類とあわせていく. る研究」,土木学会第 56 回年次学術講演会講演講演集,. つかの傾向を見ることができた。. 2001.10,pp.124‑125. ○ 本研究では地下鉄駅を点として捉えた。駅によっ ては出入口が広範囲に分布しており、さらに地下 鉄同士の接続も複雑である。「地下鉄駅の位置」や 「地下鉄駅の形」を考える際にはその面的な広がり を考慮に入れることで精度が高められると考えら れる。.

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