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3. 時刻表によるドライバーの選択行動

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Academic year: 2022

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(1)

ドライバー意識に基づく片側交互通行規制時に時刻表を導入した際の切替時間の設定方法

秋田大学 学生会員 ○佐藤連 秋田大学 正 会 員 浜岡秀勝

1. 研究背景と目的

暫定

2

車線の高速道路において補修・補強を目的とし た工事を行う際、その規制方法は片側交互通行規制にな ることが多い。その場合、規制の有無に関しては、道路 情報板等で知ることができる。しかし、これでは規制区 間に到着したときの通行可能状況までは得られず、規制 区間での無駄な待ち時間を強いられる可能性がある。

以上のような問題点に対して予め上下線の通行可能な 時刻をドライバーに提供する、時刻表の導入が有効と考 えており、有効性の検証が必要である。

吉永の研究1)では、時刻表導入に有効な本線上での待ち 時間を明らかにした。また、髙島の研究2)では、現状の交 通状況より信号導入時の待ち時間を明らかにした。

本研究では、これらの結果をもとに最適な切替時間を 検討するため、片側交互通行規制のビデオ観測、高速道 路利用者へのアンケート調査等を実施した。これらのデ ータを用いて、待ち時間に対するドライバーの選択行動 に基づいた時刻表の導入方法を検討した。その結果から、

停止車両数や待ち時間を減少させる時刻表の時間設定を 明らかにする。

2. アンケート調査とビデオ観測の概要

時刻表により規制区間での待ち時間が分かった場合、

その待ち時間に応じてドライバーがどのような選択行 動をとるのか調査した。アンケート調査の概要を表-1 に示す。調査の結果、389名分のデータを得た。

片側交互通行規制時の上下線切替時刻や、通行車両 の規制区間前での待ち時間等のデータを得るため、ビ デオ観測を実施した。ビデオ観測の概要を表-2に示す。

表-1アンケート調査概要

調査場所 西仙北上下SA・錦秋湖SA

対象者 高速道路利用運転手

アンケート方法 ①対面式調査形式 ②配布形式

調査日 10月3日(月) 10月4日(火) 10月5日(水) 10月14日(金) 調査時間(西仙北) 9:00~16:00 9:00~16:00 10:00~16:00 9:00~16:00 調査時間(錦秋湖) 8:30~15:00 9:00~16:00 10:00~15:30 9:00~15:30

表-2ビデオ観測概要

撮影日 10月3日(月) 10月4日(火) 10月5日(水) 10月14日(金)

撮影場所 横手IC~湯田IC

データ取得時間(横手側) 6:26~15:5 8:03~17:45 9:08~16:31 8:11~16:17 データ取得時間(北上側) 7:44~15:24 8:05~16:34 8:59~16:28 8:03~16:17

サイクル数(横手側) 38 35 59 42

サイクル数(北上側) 35 20 59 43

設定待ち時間 最大15分待ち

規制距離 4.6km 4.6km 2.0km 3.2km

3. 時刻表によるドライバーの選択行動

アンケート調査の結果の中で、規制区間での待ち時 間に応じたドライバーの行動変化に着目した。図-1は、

待ち時間に対応したドライバーの選択行動を示してい る。規制区間前での待ち時間が

5

分以内であっても、

10%の人が規制区間での待ち時間を回避しようとする

ことがわかる。待ち時間が

5

分から

10

分に増加すると、

サービスエリアで休憩する割合が増加する。待ち時間 が

15

分程度になると、サービスエリアで休憩する割合 が、そのまま走行し規制区間前にて停止する割合を上 回る。また、待ち時間が

15

分を超えると、インターチ ェンジから出て一般道を走行する割合が増加する。そ して待ち時間が

25

分を過ぎると、インターチェンジか ら出て一般道を走行する割合が、そのまま走行し規制 区間前にて停止する割合を上回る。

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

1分 3分 5分 10分 15分 20分 25分 30分

①そのまま走行し、規制 区間前にて停止する

②サービスエリアで休憩 する

③速度を調整して通行で きる時間に間に合わせる

④インターチェンジから出 て一般道を走行する

⑤その他 待ち時間(分)

割 合

図-1 待ち時間に応じたドライバーの選択行動

1

4. 時刻表による待ち時間の変化

時刻表の導入による、規制区間での待ち時間の変化 を見るため、時刻表導入時の待ち時間の期待値を調べ た。図-1の待ち時間に応じた、そのまま走行し規制区 間前にて停止する割合から、時刻表を導入した場合の 待ち時間の期待値を算出した。(図-2)

キーワード:暫定二車線高速道路,片側交互通行規制,時刻表,利用者評価,ビデオ観測,選択行動 連 絡 先:〒010-8502 秋田県秋田市手形学園町

1-1 TEL (018)889-2979 FAX (018)889-2975

IV-36

土木学会東北支部技術研究発表会(平成28年度)

(2)

0:00:00 0:05:00 0:10:00 0:15:00

1 107 213 319 425 531 637 743 849 955 1061 1167 1273 1379 1485 1591 1697

15 10 5

0

0 5 10 15 20 25 30

時 刻 表 が あ る 場 合 の 期 待 値

( 分

時刻表がない場合の待ち時間(分)

図-2時刻表がない場合の待ち時間と時刻表を導入した 場合の待ち時間の期待値との関係

5. 時刻表導入の想定と現状の制御結果との比較

停止車両数や待ち時間を減少させる時刻表の時間設 定を明らかにするため、ビデオ観測のデータを用いて 時刻表導入の想定を行う。まず、通行可能時間(図-3)

を設定し、撮影結果から得られた車両の到着時間をも とに、規制区間での待ち時間を算出した。そして、図 -2の規制区間での待ち時間に応じた時刻表導入時の待 ち時間の期待値を用いて、各車両の待ち時間の期待値 を出した。時刻表導入時の平均待ち時間と現状の平均 待ち時間を比較し、現状より効果的な時間設定を調べ る。また、時刻表導入時の停止車両の割合を時間設定 ごとに調べ、現状の停止車両の割合と比較し、現状よ り効果的な時間設定を考察する。

想定には、

10

3

日と

10

5

日のデータを用いた。

表-3のように通行可能時間を設定した。また、実際の 平均通行可能時間は、

10

3

日が

2

2

秒、

10

5

日 が

1

35

秒であった(表-3網掛け部分)。全停止時間 は、規制区間通過時間の最大値から設定し、10月

3

日 は

7

10

秒、10月

5

日は

2

40

秒と設定した。

通行可能時間 停止時間 横手側

北上側

通行可能時間

図-3片側交互通行規制の流れ 表-3 通行可能時間の設定(分)

横手側 北上側

10月3日 1.0 1.5 2.0 5.0 8.0 10.0 1.0 1.5 2.0 5.0 8.0 10.0 10月5日 1.0 1.5 2.0 5.0 8.0 10.0 1.0 1.5 2.0 5.0 8.0 10.0

図-4は、

10

3

日の平均待ち時間と停止車両の割合 を示している。この図より、通行可能時間が増加する につれ、平均待ち時間の減少を確認できる。また、通 行可能時間が

8

分と

10

分では、現状よりも平均待ち時 間が短くなる。次に、停止車両の割合は、通行可能時 間を増加するにつれ減少することが分かる。また、通 行可能時間を

5

分、8分、10分に設定した場合、現状 の停止車両の割合よりも少なくなる。これにより、通 行可能時間を

10

分に設定し、上下線の切替を

17

10

秒ごとに行うと停止車両数や待ち時間が減少すること がわかる。

次に、図-5は、

10

5

日の平均待ち時間と停止車両 の割合を示している。この図より、通行可能時間を

2

分に設定すると、現状よりも平均待ち時間が短くなる ことがわかる。次に、停止車両の割合は、通行可能時 間を

5

分、8分、10分に設定した場合、現状の停止車 両の割合よりも少なくなる。これにより、通行可能時 間を

2~5

分に設定し、上下線の切替を

4

40

秒~7 分

40

秒ごとに行うと停止車両数や待ち時間が減少す ることがわかる。

誘導員 1分 1.5分 2分 5分 8分 10分 3日横手側 3日北上側 2 8

2 4 2 0 1 6 1 2 8 4 0

設定通行可能時間(分)

0 20 40 60 80 100

誘導員 1分 1.5分 2分 5分 8分 10分 3日横手側 3日北上側

設定通行可能時間(分)

図-4

10

3

日の平均待ち時間と停止車両の割合

誘導員 1分 1.5分 2分 5分 8分 10分

5日横手側 5日北上側 設定通行可能時間(分)

6 5 4 3 2 1 0

0

20 40 60 80 100

誘導員 1分 1.5分 2分 5分 8分 10分

5日横手側 5日北上側

設定通行可能時間(分)

図-5

10

5

日の平均待ち時間と停止車両の割合

6. おわりに

本研究では、停止車両数や待ち時間を減少させる時 刻表の時間設定を明らかにするため、高速道路利用者 へのアンケート調査や片側交互通行規制のビデオ観測 等を実施した。これらのデータを用いて時刻表導入の 想定を行ったところ、適切な時間設定を明らかにでき た。10月

3

日の場合は、上下線の切替を

17

10

秒ご とに行うことで、停止車両数や待ち時間が減少するこ とを明らかにできた。また、10月

5

日の場合は、上下 線の切替を

4

40

秒~7分

40

秒ごとに行うと、停止 車両数や待ち時間が減少することを明らかにできた。

今後の課題としては、規制区間の距離と交通量に応 じた時刻表の適切な時間設定を調べる必要がある。

参考文献

1)吉永 朋弘:片側交互通行規制時における通行可能時

刻提供の有効性に関する研究,平成

26 年度土木学会

東北支部技術研究発表会講演概要集,IV-37,2015.3

2)髙島 尚希:高速道路の暫定二車線区間工事規制にお

ける制御方法に関する研究,平成

27

年度土木学会東 北支部技術研究発表会講演概要集,IV-43,2016.3 土木学会東北支部技術研究発表会(平成28年度)

参照

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